不動産鑑定評価を追及
衆院予算委分科会 大阪カジノ用地で宮本岳志氏
日本共産党の宮本岳志議員は2月28日の衆院予算委員会分科会で、鑑定業者の談合や大阪市側の不正な関与が疑われる大阪カジノリゾート(IR)用地の不動産鑑定評価について追及しました。
この問題は住民訴訟に発展しています。宮本氏は、工事中、計画中の不動産を完成したものとして評価する場合の基準を質問。国土交通省の中田裕人土地政策審議官は「対象不動産の工事が完了していない場合は未竣工(しゅんこう)建物等鑑定評価に該当」するが、インフラ整備が完成したものとして評価する場合は「想定上の条件」だとし、いずれも根拠とともに評価書への記載が必要で、記載がない場合は国が定める評価基準に違反するとの見解を示しました。
さらに宮本氏は、鑑定士が目的や範囲を明記して契約締結までに依頼者に交付する「確認書」の未交付や日付の改ざんは不適切かと質問。中田審議官は「適切ではない」と応じました。
宮本氏は、カジノ用地の鑑定評価で根拠を示さず「IR考慮外」としたのは「基準違反」で、一部には「確認書」もないと指摘。斉藤鉄夫国交相は「個別の案件」だとして答弁を避けました。
宮本氏は、昨年2月の国交相の国会答弁の際の説明資料では、個別の案件にもかかわらず「不当ではない」とし、訴訟では市側がこの資料を反論に使っているが「黙認するのか」と追及。中田審議官は報告時点で「不当な点は確認されていない」と説明しただけだと答弁。斉藤国交相もその時点の「状況報告を受けた」と弁解しながら、現段階では不当ではないとの見解は示しませんでした。
(しんぶん赤旗 2024年3月2日)
動画 https://youtu.be/eKG-CRMBYl8?si=KZKCsTKjJhdn36XW
配付資料 20240228予算第8分科会配付資料
議事録
○宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。
この間何度もやり取りをしてきた不動産鑑定評価についてお伺いをいたします。
まず、大臣に確認をいたしますけれども、不動産の鑑定評価に関する法律は、第一条で、この法律は、不動産の鑑定評価に関し、不動産鑑定士及び不動産鑑定業について必要な事項を定めて、もって土地等の適正な価格の形成に資することを目的とすると定めて、第五条では、不動産鑑定士は、良心に従い、誠実に鑑定評価等の業務を行うとともに、不動産鑑定士の信用を傷つけるような行為をしてはならないと定められております。
これは大臣も確認していただけますね。
○斉藤(鉄)国務大臣 宮本委員御指摘の不動産の鑑定評価に関する法律第一条及び第五条の規定につきましては、委員御認識のとおりでございます。
○宮本(岳)分科員 不動産鑑定評価は、恣意的なものであってはならない、土地等の適正な価格の形成に資するものでなければならない。だから、不動産鑑定士が鑑定評価基準から外れて不当な評価を行った場合には、国土交通大臣は懲戒処分を行うことができ、法には罰則も規定されております。
そこで、不動産・建設経済局に聞くわけですけれども、国交省が定める不動産鑑定評価基準において、未竣工建物等鑑定評価の定義はどのようなものになっておりますか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
不動産鑑定評価基準におきましては、未竣工建物等鑑定評価とは、造成に関する工事が完了していない土地又は建物の新築など建築に係る工事が完了していない建物について、当該工事の完了を前提として鑑定評価の対象とすることをいうと定められております。
○宮本(岳)分科員 造成工事が完了していない土地あるいは建築工事が完了していない建物について、その工事の完了を前提として鑑定評価の対象とすることを未竣工建物等鑑定評価というんですね。
では、土地や建物ではなく、鑑定評価の対象不動産の周辺において鉄道等のインフラが工事中である場合に、工事が完了していることを前提として行う鑑定評価は、未竣工建物等鑑定評価に該当いたしますか。参考人。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
鑑定評価の対象不動産の周辺で鉄道等のインフラが整備中である場合において、その整備が完了していることを前提として行う鑑定評価は、一般的には、未竣工建物等鑑定評価に該当しないと考えます。
○宮本(岳)分科員 不動産鑑定評価基準の定めでは、鉄道など周辺のインフラ工事が工事中だからといって、未竣工建物等鑑定評価として、完成しているものとして評価することは認められていないんですね。
では、鉄道など区域外のインフラについて、インフラ工事が完了しているものとして評価を行う場合には、想定上の条件を設定しなければならないと思うんですが、いかがですか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
不動産鑑定評価基準においては、地域要件又は個別的要因についての想定上の条件につきまして、鑑定評価書の利用者の利害を害するおそれがなく、また、実現性、合法性の観点から妥当なものである場合、この場合についてはこれを設定することができるというふうにされております。
例えば、鑑定評価の対象不動産の周辺で鉄道等のインフラが整備中であり、その整備が完了していることを条件として鑑定評価を行う場合において、当該条件が、利用者の利害を害せず、合法性、実現性の観点から妥当である場合には、当該条件は一般的には想定上の条件に該当すると考えます。
○宮本(岳)分科員 日本不動産鑑定士協会連合会が発行した不動産鑑定評価に関する実務指針によると、土地造成工事等で供給処理施設に係る工事の完了を条件とする場合は、未竣工建物等鑑定評価ではなく、個別的要件に係る想定上の条件として取り扱う旨が規定されております。
この間、私が問題にしてきた大阪市のIRに関する不動産鑑定評価において、日本不動産研究所あるいは大和不動産鑑定、谷澤総合鑑定所は、周辺インフラの整備が完了することを想定上の条件として設定せずに、未竣工建物等鑑定評価として鑑定評価をしておりますが、今の答弁に基づけば、これは基準違反ということになります。
ところで、今問題にしている想定上の条件ですけれども、これは依頼目的に応じて設定するものか、それとも依頼目的に関係なく設定してよいものか。これも政府参考人にお答えいただけますか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生御指摘の想定上の条件、これにつきましては、依頼者からの依頼目的に応じ、不動産鑑定評価基準にのっとって設定する必要がございます。
○宮本(岳)分科員 依頼目的に応じて設定するものであって、依頼目的に反した条件設定はできないのは当然のことですよね。
鑑定評価基準は、想定上の条件の設定に当たっての要件を、設定する想定上の条件が鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかという観点に加え、特に実現性及び合法性の観点から妥当なものでなければならないと定めて、すなわち、実現性、合法性、利用者の利益を害するおそれがないかどうかという三つの観点から妥当性を有する場合のみ想定上の条件の設定が認められております。安易な条件設定をすれば、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがあるからなんですね。
そこで確認しますけれども、鑑定評価基準の三十九ページ、第九章第二節「記載事項」には、どう記載されておりますか。参考人。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
不動産鑑定評価基準第九章第二節「記載事項」は、鑑定評価額など、鑑定評価報告書に定める事項について規定してございます。
このうち、「鑑定評価の条件」に関しましては、「対象確定条件、依頼目的に応じ設定された地域要因若しくは個別的要因についての想定上の条件又は調査範囲等条件についてそれらの条件の内容及び評価における取扱いが妥当なものであると判断した根拠を明らかにするとともに、必要があると認められるときは、当該条件が設定されない場合の価格等の参考事項を記載すべきである。」と定められてございます。
○宮本(岳)分科員 つまり、鑑定評価において条件設定をした根拠を鑑定評価書に記載していなければ、基準違反になるんです。ところが、大阪IRの鑑定評価において、日本不動産研究所、令和元年鑑定評価書の三ページ、あるいは、大和不動産鑑定、令和元年不動産鑑定書の二ページは、IRを考慮外とする想定上の条件を設定しながら、その条件設定を妥当と判断した合理的理由の記載をしておりません。
大臣、今の参考人の答弁に照らして、これは明確な鑑定評価基準違反ではありませんか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
不動産鑑定評価基準上に規定してございますということで、一般的に、鑑定評価の条件を設定した根拠につきましては、基準について適切に記載すべきものと考えてございます。
○斉藤(鉄)国務大臣 個別の鑑定評価の内容について見解をお示しすることは差し控えさせていただきますが、国土交通省としましては、適切な鑑定評価が行われるよう、今後とも必要に応じて指導してまいりたいと思います。
○宮本(岳)分科員 余り、大臣に答えていただいて、意味がある答弁ではなかったですけれども、個別には答えないというふうにおっしゃるんですね。
それで、次に確認書という問題についても聞きますよ。
事務次官通知である、不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドラインでは、業務の目的と範囲等を確定、明記した文書、いわゆる確認書を依頼者に交付することを定めております。
ガイドラインでは、不動産鑑定業者は確認書をいつまでに依頼者に交付するものとなっているか、政府参考人、お答えいただけますか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
ガイドラインにおきましては、ただいまのいわゆる確認書でございますが、契約締結までに交付するというふうなこととなってございます。
○宮本(岳)分科員 資料一におつけしたのが、そのガイドラインであります。下線部に明記されておりますね。「不動産鑑定業者は以下の事項を明記した文書等を契約の締結までに依頼者に交付するものとする。」こうなっていますね。
そして、国土交通省は、毎年、鑑定評価モニタリングの一環として、鑑定業者に対する立入検査を実施をし、不適切なものは行政指導をしております。資料二におつけしたのは、昨年五月の十日、国土交通省不動産・建設経済局地価調査課長名で、日本不動産鑑定士協会連合会会長宛てに発出した、不動産鑑定評価等の適正な実施についてという通知であります。検査で確認された具体例として、確認書が契約の締結までに交付されていないことを挙げております。
そこで重ねて聞くんですけれども、これも政府参考人でいいですよ、確認書を契約の締結までに交付せずに、後から日付を遡って確認書を作成して、あたかも契約締結前に確認書を交付していたかのように装うということは、国交省のガイドラインに、一般論としてですよ、反していると考えますが、国交省の見解はいかがですか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
確認書につきましては、確認書に明記する事項が非常に適切な鑑定評価を行う上で重要であり、価格等調査を開始する前に依頼者との間で明示的に確認して合意することが依頼目的等に応じた適切かつ円滑な評価につながるということで、契約のときに交付するということになってございます。
ただいまの先生のお話にございましたように、このように適切な鑑定評価を行うには、依頼者との間で重要な事項について合意して価格等の調査を始めることが重要で、この意味で、一般論として、お話しのように、確認書等を契約締結までに交付せず、後日、日付を遡って交付するような場合は、ガイドラインの記載に照らしまして、適切なものではないと考えられます。
○宮本(岳)分科員 それは例えば、相手が公的機関、そういう場合でもそのとおりですね。
○中田政府参考人 お話しのとおり、相手が公的か民間かを問わず、そういうような趣旨でございます。
○宮本(岳)分科員 当然のことであります。
しかしながら、大阪IRの鑑定評価書を見てみますと、日本不動産研究所と大和不動産鑑定は、確認書をそもそも依頼者に交付していなかったことが判明しております。また、arecと谷澤総合鑑定については、実際には契約締結時には交付を行っておらず、後日、日付を遡って作成された確認書が交付されております。
大臣、さすがにこれは、幾ら何でもこれらの鑑定評価は不適切ではないですか、大臣。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
個別の案件についてはお話し申し上げられませんけれども、私ども、不動産鑑定基準等において行政をしている中で、それに違反するような話については、きちっと実情等を踏まえた形で個別個別に対応していくことになろうかと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 繰り返しの答弁になりますが、個別の案件につきましては答弁を控えさせていただきます。
○宮本(岳)分科員 個別の案件には答えないと。語られないのではしようがないので。ならば、その当不当について大臣に問いたいと思うんですね。
昨年十二月の六日の衆議院経済産業委員会での私の質問に、国土交通省は、「個別の鑑定評価の当不当について国土交通省が見解を示すということは行っておりません」、これを繰り返しながら、本日も資料三として配付いたしました「大阪IR用地の鑑定評価について」というペーパーでは、「今回の鑑定評価は、鑑定評価基準に照らして不当な評価ではない。」と大書きされていることを突きつけられると、当不当について国土交通省が見解を示すことはないというのは、対外的に見解を示すことは行っていないということであり、このペーパーは、二〇二三年二月に、不動産鑑定評価制度を所管する国土交通省の長である国土交通大臣、まさに斉藤大臣ですよ、斉藤大臣にその時点の見解を報告したペーパーだから、対外的に示したことにならないという答弁を行いました。
まず大臣に確認しますが、あなたは昨年二月にこのペーパーで不当な評価ではないという説明を受けられましたね。
○斉藤(鉄)国務大臣 大阪IR用地の鑑定評価につきまして、昨年二月に土地政策審議官部門から報告を受けたところでございます。
○宮本(岳)分科員 では、あなたはどういう認識か。この資料にあるとおり、不当な評価ではないと認識しているのか。それとも、今回鑑定評価には、鑑定評価基準に照らして不当な面があるという認識なのか。どちらですか、大臣。
○斉藤(鉄)国務大臣 私は、その報告を受けて、この報告が妥当なものと考えた次第です。
○宮本(岳)分科員 いいんですね。この場で、個別の案件であるこの件について、不当ではないという判断を国土交通大臣がお持ちであるということでよろしいですね、確認して。
○斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、報告を受けて、その内容について了解をしたものでございます。
○宮本(岳)分科員 では、改めて国土交通省に聞かなきゃなりませんね。
昨年の十二月の私の議論に対して、大臣に説明したものだから構わないんだ、外部に対外的に示したことにはならないので、当不当を語ってもそれは大丈夫なのだというふうにお答えになったと思うんですが、今これ、いよいよ正当である、不当ではないという話になっているんですが、構わないんですか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、大臣のお話にありましたのは、昨年二月に大阪IR用地の鑑定評価につきまして、土地政策審議官、私どもの部門から御説明したときに、その時点において不当な点については確認されていないというふうにお話しされたと理解してございます。
私どもとしては、一般的には当不当の話について個別に言及することはしておりません。
○宮本(岳)分科員 困りましたね。今大臣は正当だとおっしゃったんですよ。その時点の話じゃないです、今、あなたの認識はと聞いたら、このときの説明どおりだと思うとおっしゃったんです。違うじゃないですか、いかがですか。大臣、答えますか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
私どもの方としましては、一般的には当不当の判断をお示しすることはございません。
大臣のお話に出ました、また先生がお話に出されている紙につきまして、これがオープンになっているということもございますけれども、大臣認定、認可をしたということも踏まえて、一部その内容についてお話をさせていただいたことはあるかもしれませんけれども、一般的に当不当についてお話しするというのはございません。
○斉藤(鉄)国務大臣 今審議官が答えたとおりでございます。
○宮本(岳)分科員 私は、これにこだわるのには理由があるんですよ。
実は、ここに持ってきたんですが、現在大阪地裁で行われているカジノ訴訟で、被告大阪市長が提出した準備書面なんです。この準備書面の十一ページには、監督官庁である国土交通省においても、本件各鑑定評価書につき当不当に関する指摘があったことを踏まえ、令和五年二月、不動産鑑定評価制度を所管する国土交通省の長である国交大臣に対し、その時点の見解として、本件各鑑定評価書は鑑定評価基準に照らして不当な評価ではない旨、報告を行ったとのことであり、原告らの主張は失当である、これが不当だという、訴えるのは当たらないと実は準備書面に書かれているんですね。
対外的に示さない、当不当は言わないと言うけれども、いよいよ裁判の場で、正当である、不当なことではないと国土交通大臣へのこの説明ペーパーを使って大阪市が主張している。まさに大阪市は裁判の場で不当ではない論拠に使っているんじゃないですか。いかがですか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
個別の裁判の話についてコメントするということは控えたいと思いますけれども、当不当につきましての考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。
○宮本(岳)分科員 そればかりではありません。大阪市はこの準備書面で、昨年の経済産業委員会で国土交通省川野豊不動産・建設経済局次長が「価格の一致という御指摘でございましたけれども、一般論としてでございますが、不動産の鑑定評価は統一的な基準にのっとって行われるため、評価額が一定幅に収束することはあり得ると認識しているところでございます。」と私に述べた議事録も添付して、それも不当な評価でない論拠にしております。
国土交通省は、対外的には当不当は語らないなどと言いながら、この大臣レクペーパーが大阪市によって、不当な評価ではない、正当であるという論拠に使われることは黙認する、容認する、大臣、そういうことでいいんですか。大臣の御見解を。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
裁判の話につきましては、個別の話として申し上げることはございませんけれども、先ほど先生が提示されました紙につきまして、それが表に出ているということであるという前提として大阪市さんが用いたとすれば、私どもとしては、それについてどうこう申し上げる立場にないということでございます。
○宮本(岳)分科員 どうこう申し上げる立場にないということですけれども、この使われ方は構わない、大いに不当でない証拠に使ってもらって結構というのが大臣の立場ですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 個別の案件について、ちょっと申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私が二月に受けたのは、今こういう状況である、こういう状況の報告について受けたということでございます。
○宮本(岳)分科員 だから、そういう意図、そういう去年の二月の状況とは違う使われ方をしている。
当不当は語らないと言いながら、当不当、不当でないということが裁判上の主張に使われているということは、私は具合悪いことだと思うんですけれども、我々の本意ではないというふうにおっしゃるかと思いますけれども、そうじゃないんですか。構わないんですか。眺めている。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
眺めているとかそういうことではございませんで、裁判でございますので、私どもとしてコメントすることは差し控えたいということでございます。
○宮本(岳)分科員 不適切に決まっているんですよ。
今日は、最後に、内閣府のカジノ委員会にも来ていただいておりますので、少し話題を変えます。
大阪のカジノ、IRを運営する事業者に決定しているのは、大阪のオリックスと、米国のカジノ大手、MGMリゾーツ・インターナショナルが合弁で設立した大阪IR株式会社でありますけれども、先日、重大なニュースが飛び込んでまいりました。
資料四を見ていただきたい。ウォール・ストリート・ジャーナルの、今年一月二十五日付の記事であります。
MGMリゾーツ・インターナショナルがラスベガスで運営するカジノを備えたホテル、MGMグランドの元社長スコット・シベラ氏が、カジノ事業者に義務づけられた、違法を疑われる取引についての報告書を提出しなかったことが問題となり、刑事責任を認めたと、英文の記事ですけれども、中身はそういう記事であります。
スコット・シベラ氏は、二〇一七年八月から二〇一九年二月までMGMグランドの社長を務め、二〇一九年からはラスベガスのカジノリゾート、リゾーツ・ワールド・ラスベガスの社長に就任、事件発覚後の二〇二二年に辞任をしています。
そして、シベラ氏がMGMグランドの社長を務めていた二〇一七年八月から二〇一九年二月までの間、違法スポーツ賭博ビジネスを同カジノリゾートで行うことを許可するだけでなく、違法賭博の顧客獲得のため、宿泊や食事、ゴルフコースのツアーまで、MGMグランドが無償で提供しておりました。二〇二〇年までに、MGMグランドは、この違法賭博の不正な収益から約四百十万ドル、日本円で六億一千六百万円もの現金を受け取ったとされております。
まずカジノ管理委員会に事実を聞きますけれども、このMGMの米国での事件を知っておりましたか。
○原田政府参考人 お答えいたします。
今資料をお示しいただきました御指摘の報道については、承知をいたしております。
○宮本(岳)分科員 承知をしている。それは知っているわけですね。
シベラ氏は、この下線を引いたところでありますけれども、私は、自分の作為と不作為について全責任を負うが、個人的な利益のために行ったことはないことを明らかにしなければならないと供述したと報じられております。つまり、私利私欲のためではなく、MGMリゾーツ・インターナショナルという会社のためにやったことだと、この元社長は語っているわけですね。
カジノ管理委員会は、カジノ事業者等の廉潔性やカジノ規制の遵守状況を厳格に監督し、問題が生じた場合には、事業者等の排除も含め、行政処分により問題を改善することが求められていることから、既存の行政機関から独立した、いわゆる三条委員会として設立をされております。
米国で逮捕されたシベラ元社長が私利私欲のためでなく会社のためにやったという、そのMGMリゾーツ・インターナショナルが大阪のカジノ、IRを運営する事業者として選定されているわけですけれども、これは、カジノ管理委員会、問題ないんですか。
○原田政府参考人 お答えいたします。
個別の免許の審査に関する話ということになろうかと思いますが、個別の免許の審査についてはお答えを差し控えます。
なお、カジノ管理委員会におきましては、認定設置運営事業者、いわゆるIR施設を設置、運営する事業を行う事業者であって、国土交通大臣から区域整備計画の認定を受けた者でございますが、こちらからカジノ事業の免許の申請がなされた場合には、厳正に審査を行うこととしております。
○宮本(岳)分科員 こういうラスベガスで起こったようなことが絶対ないように厳正にチェックすると、そういうことでいいですね。
○原田政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますが、個別の審査についてはお答えは差し控えます。
なお、私どもは、認定設置運営事業者からカジノ事業の免許の申請がなされた場合には、厳正に審査を行います。
○宮本(岳)分科員 記事を書いたキャサリン・セイヤ記者の事前のネット配信記事によると、シベラ元社長は、反省するどころか、業界への貢献を誇りに思うとまで語っているわけですね。
そもそも、このような業界、カジノ業界を我が国に引き入れること自体が許されないというふうに私は思います。大阪IR、カジノはきっぱり断念する、中止をする、このことを求めて、私の質問を終わります。