平成二十五年十一月一日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
小田原 潔君 神山 佐市君
菅家 一郎君 菅野さちこ君
木内 均君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
桜井 宏君 新開 裕司君
瀬戸 隆一君 武部 新君
津島 淳君 冨岡 勉君
永岡 桂子君 根本 幸典君
野中 厚君 馳 浩君
比嘉奈津美君 宮内 秀樹君
宮川 典子君 山田 美樹君
菊田真紀子君 寺島 義幸君
細野 豪志君 山口 壯君
吉田 泉君 遠藤 敬君
椎木 保君 三宅 博君
中野 洋昌君 井出 庸生君
柏倉 祐司君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
…………………………………
文部科学大臣 下村 博文君
文部科学副大臣 櫻田 義孝君
文部科学副大臣 西川 京子君
厚生労働副大臣 佐藤 茂樹君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
文部科学大臣政務官 上野 通子君
経済産業大臣政務官 磯崎 仁彦君
政府参考人
(財務省主計局次長) 岡本 薫明君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 布村 幸彦君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 田中 敏君
政府参考人
(文化庁次長) 河村 潤子君
参考人
(東京電力株式会社代表執行役副社長) 山口 博君
文部科学委員会専門員 久留 正敏君
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委員の異動
十一月一日
辞任 補欠選任
青山 周平君 菅家 一郎君
神山 佐市君 山田 美樹君
木内 均君 武部 新君
工藤 彰三君 瀬戸 隆一君
熊田 裕通君 津島 淳君
桜井 宏君 根本 幸典君
宮内 秀樹君 小田原 潔君
菊田真紀子君 寺島 義幸君
同日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 宮内 秀樹君
菅家 一郎君 青山 周平君
瀬戸 隆一君 工藤 彰三君
武部 新君 木内 均君
津島 淳君 熊田 裕通君
根本 幸典君 桜井 宏君
山田 美樹君 神山 佐市君
寺島 義幸君 菊田真紀子君
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十月三十一日
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
文部科学行政の基本施策に関する件
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○小渕委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
冒頭に、二〇二〇年東京オリンピックについて質問いたしたいと思います。
我が党は、二〇二〇年オリンピックの東京招致には一貫して反対をしてまいりました。二〇一一年十二月、さらにはことし三月と二度にわたって行われたオリンピック東京招致決議にも我が党は反対をしてまいりましたが、それは決してオリンピック大会そのものに反対してきたのではありません。オリンピックは、国際親善とスポーツの発展にとって大変意義深いものという認識を明らかにした上で、東京招致の目的がオリンピックを利用して大規模な東京開発を進めるものであること、今、国と都が力を注ぐべきは、大震災、原発事故からの復興であり、国民、都民の暮らし、社会保障を立て直すことにあるということを指摘して、決議に反対をいたしました。
しかし、ことし九月七日、ブエノスアイレスで開催されたIOC総会は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催地を東京と決定いたしました。
我が党は、このIOC総会の決定について尊重するという態度を表明するとともに、決して無条件の信任ではない、東京招致に反対した際に私たちが指摘してきた問題点については、変わることなく、引き続き厳しくチェックしていくことも明らかにいたしました。
その後、東京招致決定を受けて、十月十五日の今臨時国会冒頭に二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック成功決議を行うという話が持ち上がり、決議の素案が各党に示されました。しかし、その素案には、オリンピックの開催は「東日本大震災からの復興を世界に示すものとなる。」とか「全国民一丸となって東京大会を成功させるよう努めなければならない。」などという不適切な文言が含まれておりました。
そこで私から、第一に、国会が国民にオリンピックへの賛同、賛成を強制するようなことがあってはならない、あくまで国民の理解と協力を求めるべきものであること、第二に、オリンピックはオリンピック精神の体現のために開催すべきものであって、東日本大震災からの復興の妨げになってはならないことはもちろんだが、震災復興を世界に示すというようなことを目的に掲げるべきではないということ、第三に、国際競技大会の招致やスポーツの国際交流については、超党派で成立させたスポーツ基本法に規定があり、国際平和への寄与や環境保全への配慮が掲げられている、当然それらを盛り込むべきことを指摘し、それが受け入れられ、文案が修正されました。
それでも我が党が不必要だと考える文言が残されたため削除を求めましたが、入れられず、最終的に、共同提案には加わらず、あえて反対しないという態度をとった次第であります。
そこで、大臣に基本的認識を問いたいと思うんです。
オリンピックの東京招致には、これまでも、内外からさまざまな不安と疑問の声が寄せられてきました。国民の中の意見もさまざまであり、アナウンサーの久米宏さんはラジオで、最後の一人の日本人になっても反対は続けていくと公言をされております。
ところが、大臣は先日の所信表明で、大会の成功に向けて社会総がかりで進めるとか、国民総参加型の大きなうねりを生み出すとか述べられました。大臣の願望はそれはわかるんですけれども、国会決議が、国民に強制するような表現を避けて、「国民の理解と協力のもとに、その推進を図る」としたこの趣旨を御理解いただいているのかどうかということを確かめなくてはなりません。
まさか、大臣も国民にオリンピックへの賛同を強制するというようなことは考えておられないと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 宮本委員におかれましては、今回の東京招致については、心情的には大変に御協力をいただけるような思いを持っていたのではないかと、私自身は内心そんなふうに思っております。
文部科学省が八月に国民意識調査をしましたところ、この二〇二〇年オリンピック・パラリンピックあるいは国際競技スポーツについて賛同する、そのアンケート調査は九二%になりまして、これは、今までにない高い、多くの国民の皆さんが、特にロンドン・オリンピックを通じてスポーツによる勇気と感動を共有していただいた結果にもなったのではないかと思いますし、そのようなうねりのバックアップの中で、九月七日、ブエノスアイレスにおいて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致が、まさにオール・ジャパンという中での成功をおさめたのではないかというふうに思っております。
七年後の東京大会を成功にしていくためには、競技場や輸送インフラ等の整備、多数の海外からの選手や観光客の受け入れなど多岐にわたる課題に取り組む必要があり、そのためには、しっかりと、御指摘のように国民の理解と協力を得ていくことが必要不可欠であり、関係者の皆様の御指導と御協力、さらには、国民の皆様の御理解が得られるように引き続き努力していく必要があるというふうには当然思っております。
私としても、衆参両院の御決議の趣旨を踏まえ、広く国民の理解と協力を得られるようにさらに努力しつつ、大会の成功に向けて全力で取り組んでまいりたいと思いますし、このことをきっかけに、東日本大震災の復旧復興が確実に加速度を持って遂げられることもあわせてしてまいりたいというふうに決意を申し上げたいと思います。
○宮本委員 私は招致には反対をしてまいりました。招致議連というものもつくられましたが、私はスポーツ議連のメンバーでありますが、招致議連には加わっておりません。IOCの総会が東京と決めた以上、本来、オリンピック憲章にしっかりと立った形でオリンピックの成功ということについては、先ほど申し上げたように、賛成をしたという次第であります。
先国会の当委員会の質疑でも、私は、老朽化した国立競技場の改築が必要であることに異論はない、しかし、それはサッカーくじの売り上げでなく国費でやるべきであるという議論をいたしました。
そのときに聞かされていた改築費は約千三百億円というものでありました。その後、デザインコンクールで最優秀作品となったザハ・ハディッド氏のデザインによると、三千億円という試算が示されて、世界的な建築家で、このたび文化功労者の受賞が決まった槇文彦氏など、各界から疑問と異論が寄せられ、さすがに大臣も、十月二十三日の参議院予算委員会で、デザインは生かしつつ、縮小する方向で検討すると答弁をされました。
私は、当初の千三百億円でさえ巨額過ぎる、さらに徹底的にコストカットを図るべきだと考えております。先ほどの槇文彦氏も、そもそも、約十一ヘクタールの敷地に総床面積二十九万平方メートルというオリンピック史上最大のスタジアムの建設は巨大過ぎると指摘をされております。
例えば、昨年のロンドン・オリンピックのメーンスタジアムは、総床面積約十万平方メートルで、東京の三分の一、逆に敷地は一・五倍であります。しかも、八万席のうち六割以上が仮設席で、五輪後は縮小して使うということになっております。
世界で、こういうふうに、オリンピック後の施設の利用計画も見据えてできるだけコンパクトに開催する、こういう努力が強められておりますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○下村国務大臣 宮本委員がオリンピック憲章ということを二回おっしゃいましたので、これについて先にちょっと私も答弁をさせていただきたいと思いますが、これは、三月にIOCの招致メンバーが来られたときに、私に対して、日本の文部科学大臣であれば、ぜひ日本から、このオリンピック・パラリンピックをもし招致したのであれば、このオリンピック憲章を進めていくような取り組みをしてほしいという話がありました。
それというのも、その方が、同じ名字ですが、宮本武蔵の五輪書を読んでおられまして、日本というのは、もう何百年も前から、武道をただの武術としているのではなく、まさに道、柔道、剣道というふうに、スポーツを人の道まで昇華している、極めている、スポーツを通じて、人生いかに生きるかという一流の生き方を目指している、これこそはまさにオリンピック憲章そのものの精神であり、これは、どこの国以上に日本が実現できるだけの歴史と文化を持っている国なので、ぜひこれを実現をしてほしいという話がありました。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、まさに日本からオリンピック憲章が始まったと言われるような歴史的なオリンピック・パラリンピックにぜひしたいということを、まず決意として申し上げたいと思います。
その上で、現在の国立競技場は、これはもう建築後五十年以上が経過をし、近年開催されるオリンピック、サッカー、ラグビーワールドカップ等の大規模な国際競技場の仕様はもう満たさないという状況になっています。そのために新しい国立競技場にかえるということになったわけでありますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会やその後の我が国の国際競技大会主会場を担うスタジアムとして活用できるとともに、時には文化的な活動においても利用できるよう、必要な機能を備える必要があると考えております。
その上で、改築に係る経費については、適正な予算でなさなければならないことは当然であり、この観点から、全体の規模や機能を縮小する方向で検討する必要があると考えており、さきの参議院の予算委員会でもそのように申し上げました。
現在、事業主体である独立行政法人日本スポーツ振興センターにおいてその検討が行われるところでございます。
○宮本委員 オリンピック憲章の精神にしっかり立ってやると。また同時に、我が国には超党派でつくったスポーツ基本法というものがあります。前文には「スポーツは、世界共通の人類の文化」とこう定めてありますし、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」と高らかにうたってあるわけですから、これはもう答弁を求めませんが、こういうものにしっかり立って二〇二〇年東京オリンピックの真の成功を目指していきたい、私もそう考えております。
次に、国立大学ミッションの再定義についてお伺いしたい。
大臣は先日の委員会の発言の中で、「大学力は国力そのものです。」と述べ、国立大学については、「国立大学が社会的役割を一層果たすことができるよう、機能強化に向けた改革プランを策定します。」と述べられました。
そこで、先行的に開始されている教員養成系のミッションの再定義についてお伺いしたいと思うんです。
このミッションの再定義は、文部科学省が作成し、各大学にその内容が示されております。例えば大学の目標として、広域拠点型、地域密接型、大学院重点型の三類型のどれかを示し、教員組織のあり方も、学校現場の指導経験を有する専任教員の割合の向上を掲げて、数値で目標を決めております。教育委員会との連携として、教育長が構成員となる常設の諮問会議の設置、さらには、新課程の原則廃止、教職大学院の設置など、大学の目標から教育研究組織のあり方まで細かく指示をしているわけです。
とりわけ教職大学院の設置などというのは、現行の修士課程を初め、大学の学部、教員人事など、大学にとっては安易に進められない問題なんですね。大学、学部のありようにかかわる教職大学院の設置まで一律に迫るというのは、これは問題があるんじゃないでしょうか、高等教育局長。
○布村政府参考人 お答えいたします。
ミッションの再定義につきましては、各国立大学の持つ強みや特色、あるいは社会的な役割を明らかにしつつ、社会の要請に応えていくため、各大学が文部科学省と意思疎通の連携を行い、進めているところでございます。
その中で、先生御指摘の国立の教員養成系の大学、学部につきましては、国立大学の社会的な役割などからして、今後の人口動態、教員採用需要などを踏まえる必要がございます。
その上で、学校現場での指導経験のある大学教員の採用の増、あるいは実践型のカリキュラムへの転換など、初等中等教育を担う教員の資質の向上のための機能強化が必要であると考えております。
また、平成二十四年八月の中央教育審議会の答申におきまして、学校現場で求められている質の高い教員の養成のため、教職大学院を主体とした組織体制へと移行することが提言されたことも踏まえ、ミッションの再定義におきましても、文部科学省としては、教職大学院への重点化を提案させていただいております。
○宮本委員 このやり方、教員養成系のミッション再定義の作業も今進めておりますけれども、文部科学省が示した案に修正の意見を表明した大学、また、改めて示した文部科学省案に対して意見の表明があった大学、これはほとんどの大学から意見が出されているというふうに聞いております。
大学との共同作業と先ほど答弁されたわけですけれども、これは、文部科学省が一方的に方向性を示して、大学側の意見を変更させて押しつけている、これが実際じゃないですか、局長。
○布村政府参考人 このミッションの再定義につきましては、文部科学省として、教員養成系の大学、学部のあり方、今後の方向性について提案もさせていただいておりますけれども、各大学は、それぞれの地域性や特色、強みなどを踏まえて、ひな形を踏まえて、それをもとに、全ての大学においてみずからのミッションの案というものを作成いただいたものでございます。それを、意思疎通、議論をさせていただいております。
文部科学省と各大学とで意思疎通を図りながら公表案の調整を今行っているところでございますけれども、表現ぶりあるいは方向性、細かい文言の調整といったところを含めますと、全ての大学から意見をいただいている、そういう実態ではございます。
○宮本委員 いやいや、そのやっている中身、教員養成分野のミッションの再定義の中身を文科省が解説したもの等々を見ましたけれども、大体、あの三つの類型だって、大学が自分で自主的に選ぶんじゃなくて、文科省の側から、あなたのところの大学はこの類型ですよと上から押しつけるものになっているわけですね。おかしいじゃないですか。
かつて、国立大学法人化法案の質疑の際に、中期目標を文部科学大臣が定めるという仕組みが大学への介入だと、これは大変な議論になっております。このとき、質問に対して二〇〇三年当時の遠山文科大臣は、文部科学大臣に対しては法律上明確に、大学の教育研究の特性への配慮義務を課している、国立大学法人の意見の事前の聴取義務、国立大学法人の意見への配慮義務が課されていると何度も答弁をして、「いわば、中期目標の実際上の作成主体というのは国立大学法人とも解せられる」とまで答弁をいたしました。
そして文科副大臣は、「一方的に文部科学省がそれを示して、それをそのとおりに指示してやれと、こういうことにはならない」、「原案の変更は、各法人の自主性、自律性を尊重するという国立大学法人制度の趣旨を踏まえて、財政上の理由など、真にやむを得ない場合に行う」などと答弁をしておりました。
しかし、今あなた方がやっていることは、このときの答弁なんかはもうそれこそ知らんぷりで、文部科学省は国立大学法人にあれこれと箸の上げ下げまで細かく指示している。このときの答弁と全く食い違っているんじゃないですか。
これはひとつ文科大臣、全く矛盾していると私は思うのですが、いかがですか。
○下村国務大臣 我が国は、少子高齢化、グローバル化等の急激な変化に今直面しているわけであります。国立大学は、社会の変革を担う人材の養成やイノベーションの創出といった社会の要請に応えるため、その有する機能の強化に自主的、自律的に取り組むことが必要であると考えます。
一方で、文部科学省もまた、こうした社会の要請を踏まえつつ、我が国の高等教育や学術研究の発展を図るために役割を果たすことが求められているわけでありますし、そういう観点からも、国立大学だけでも年間一兆円を超える予算を計上しているわけであります。
ミッションの再定義は、各大学の強みや特色、社会的役割を明らかにしつつ、社会の要請に応えていくため、各国立大学と文部科学省が、意思疎通の連携を行い、共同して進めているところであります。
このようにミッションの再定義は、大学の自主的、自律的な取り組みを尊重しつつ、社会の要請に応える観点から実施されているものであり、御指摘の遠山当時文科大臣の答弁と矛盾するものではないと考えます。
○宮本委員 自主的自主的と言うんですけれども、実際上、このミッションの再定義で今進めている共同作業ででき上がったものが、第二期中期目標期間の中期目標、中期計画の変更及び第三期中期目標、中期計画の立案、策定の際の前提となるんだと、これは、文科省が出している資料の中にもはっきり出てきますよ。
なぜこの中期目標なるものに文科大臣が関与しなければならないのかと大学法人法のときに議論になっていまして、そのときの遠山さんの答弁は、つまり、国が責任を持って予算措置を行う以上、中期目標の策定に関与は必要だ、こういうものでありました。
しかし、肝心の国立大学運営費交付金は、責任を持って予算措置を行うどころか、法人化以降、九年間で一千六百二十三億円も削減されてきたんです。今、大学は深刻な危機に直面しております。一方では予算に責任も大して持たない、しかし、一方で、こうして中期目標、中期計画にさまざまな形で、自主的と言うんだが、上から介入する。
大臣、それだったら、この基礎的経費、国の義務的経費としての運営費交付金は、配分は堅持する、今後一切これは減額しないとはっきり言明できますか。
○下村国務大臣 大臣の挨拶のところでも述べましたが、大学力は国力そのものであるというふうに思います。大学の強化なくして我が国の発展はない。喫緊の課題である国立大学改革を推進していくためにも、教育研究活動の基盤を支える運営費交付金の確保は、御指摘のように、重要だと考えております。
このため、平成二十六年度概算要求においては、社会の急速な変化に対応しつつ、グローバル化やイノベーション機能強化に取り組む意欲的な大学に対する支援に必要な経費も含め、運営費交付金の増額を要求しているところであり、文部科学省としては、必要な予算の確保に努めてまいります。
○宮本委員 まともに金も出さない、上から指示だけはする、こういうやり方は断じて許されないと思います。ミッションの再定義などは直ちに中止をして、しっかり運営費交付金の拡充を求めておきたい。
最後に、少人数教育、少人数学級についてお伺いをいたします。
私は、ことし三月二十七日の当委員会、四月一日の予算委員会で、教職員の定数改善、少人数学級の問題について質問をしてまいりました。少人数学級、三十五人学級は、義務標準法改正で実施している小学校一年生、加配で実施している小学校二年生、今後、それに加えて小学校三年生から中学三年までの部分をどうするのか、さらに、義務標準法そのものの改正をどうするのか、このことが問われてまいりました。
まず端的に大臣に聞きますけれども、来年度以降、これは義務標準法を改正して進めるのか、それとも加配でやるのか、いかがですか。
○下村国務大臣 御指摘のように、学校現場において、高度化、複雑化しているさまざまな教育課題に対して質の高い教育を実現するためには、教職員定数の改善が不可欠であると考えております。
このため、本年八月に文部科学省が公表した教師力・学校力向上七カ年戦略においては、少人数学級の推進やチームティーチング、習熟度別指導等の推進を児童生徒の実態に応じて市町村の判断で選択的に実施できるよう、加配定数の改善を盛り込んだところでございます。
つまり、市町村が希望すれば三十五人以下学級にもなれるような加配定員も考えながら、現場の判断で柔軟に対応できるようにしていくというのがこの七カ年戦略でありまして、それを実現してまいりたいと考えています。
○宮本委員 加配でやるんですね。加配でやるのが当然であるかのような答弁であります。
大臣は、三月二十七日の当委員会で私の質問に答弁して、「三十五人以下学級については、必要な定数を基礎定数化して恒久的な制度として実現するためには、義務標準法の改正が必要であります。本来的にはそれが制度として望ましいものであり、文部科学省としては、それに向けてしっかり検討、努力していくのは当然のことであるというふうに思います。」と答弁されました。
「しっかり検討、努力」、これはどうなっているんですか。
○下村国務大臣 このことについては、宮本委員よく御承知のように、全国学力テスト、学習調査の結果を踏まえて、文部科学省と財務省で教員定数の改善についてはさらに協議をするということになっておりました。
実際に、この全国学力テスト、学習調査の結果、実態的に、チームティーチングや習熟度別指導等により生徒の学習環境の改善につながっているというデータが出てまいりまして、必ずしも三十五人以下学級だけでなく、いろいろな形での実態的な取り組みをそれぞれの自治体が行うことによって、より成果の高い学習効果があらわれているということが出てまいりましたので、そういう中で、機械的に義務標準法の改正というよりは、同じ人数の教員を加配することによって、それぞれの自治体が生徒の実態に合った配置ができるような柔軟な対策をとることの方がより成果、効果が高いだろうということで、この七カ年戦略をつくったということでございます。
○宮本委員 ちょっと耳を疑う答弁だったんですが、そうしたらあれですか、春にされた、義務標準法の改正によって進める方が望ましいという答弁は変更するということですか。
○下村国務大臣 その後の全国学力テスト、学習実態調査の中で先ほど申し上げたような成果、効果があらわれていることについては、これは、文部科学省も実態的な側面に沿って考える必要があるというふうに判断したわけです。
○宮本委員 文科省はこの間、学力テストの結果で秋田県や山形県で学力が向上している、あるいは大阪府では不登校、欠席率が低下している、つまり、少人数学級には教育的効果があると明確に何度もここで答弁をされてきたわけですね。
そして、文科省が行ったアンケートに、全国市町村教育委員会連合会からも、全国学力・学習能力調査は、学力などの現状を捉えることは可能であるが、教育全てを評価することはできない、この結果から少人数教育否定の評価の材料にならないという回答が寄せられているわけですね。
少人数学級には教育効果がある、これはもうまさに文科省自身が何度も答弁されてきたことについては、これは決して今も変わっていない、これはよろしいですね。
○下村国務大臣 それはおっしゃるとおりでございます。
先ほどからも、少人数学級の推進、チームティーチング、習熟度別指導等の推進ということで申し上げているわけで、より柔軟な学校現場における判断ができるような中で、よりきめ細かな指導という意味で、少人数学級の推進は当然必要だと思います。
○宮本委員 それを進める上で、あなた方、七カ年戦略なんですよ。民主党の時代に持っていたのは五カ年計画だったんですね。
それで、一体この七カ年での計画、この改善がどういう形で進むのか。これは、定数改善の総数は何人で、自然減、合理化減はそれぞれ何人を見込んでいるか。初等中等教育局、数だけお願いします。
○前川政府参考人 この教師力・学校力向上七カ年戦略におきましては、平成二十六年度から平成三十二年度までの七カ年で三万三千五百人の定数改善を図ることとしておりますが、同じ期間におきまして、自然減といたしましては二万五千四百人、また、合理化減として九千五百人を見込んでいるところでございます。
○宮本委員 差し引きで千四百人の減なんですね。概算要求の段階から定数改善でマイナスの計画を出すというのは、これは私も本当に驚きましたよ。
去年、概算要求では二千三百人の増要求で結論が二千人以上の減になったといってこの春随分やりとりしましたけれども、今度は、もう概算要求段階で減要求をしているわけですね。だから本当にひどい。春の議論では、大臣と財政状況を勘案するかどうかでやりとりしましたけれども、もはや、文科省自身がみずから財政状況を勘案して概算要求自身を引き下げてしまったと言わざるを得ない。
私は、こういうやり方では現場の声に応えられないということを指摘して、時間が参りましたから、きょうのところはこれで質問を終わらせていただきます。