平成二十五年六月二十一日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 渡海紀三朗君
理事 馳 浩君 理事 牧原 秀樹君
理事 三原 朝彦君 理事 渡辺 博道君
理事 福田 昭夫君 理事 伊東 信久君
理事 伊藤 渉君
青山 周平君 井上 貴博君
大串 正樹君 大塚 高司君
大野敬太郎君 加藤 寛治君
神田 憲次君 小林 史明君
新開 裕司君 関 芳弘君
冨樫 博之君 橋本 岳君
藤井比早之君 船橋 利実君
前田 一男君 宮崎 謙介君
武藤 容治君 村井 英樹君
八木 哲也君 簗 和生君
山下 貴司君 山田 賢司君
大島 敦君 津村 啓介君
古川 元久君 前原 誠司君
杉田 水脈君 鈴木 義弘君
西根 由佳君 伊佐 進一君
岡本 三成君 井坂 信彦君
柏倉 祐司君 宮本 岳志君
青木 愛君
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参考人
(独立行政法人理化学研究所理事長) 野依 良治君
参考人
(政策研究大学院大学長) 白石 隆君
衆議院調査局科学技術・イノベーション推進特別調査室長 雨宮 由卓君
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委員の異動
六月二十一日
辞任 補欠選任
武村 展英君 冨樫 博之君
福田 達夫君 青山 周平君
武藤 容治君 井上 貴博君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 新開 裕司君
井上 貴博君 橋本 岳君
冨樫 博之君 武村 展英君
同日
辞任 補欠選任
新開 裕司君 藤井比早之君
橋本 岳君 武藤 容治君
同日
辞任 補欠選任
藤井比早之君 福田 達夫君
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本日の会議に付した案件
科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件(我が国の科学技術、イノベーション推進の今後の在り方について)
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○渡海委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志でございます。
本日は、野依参考人そして白石参考人、両先生には大変ありがとうございます。
先ほどのお話をお伺いしておりまして、両先生とも、若手や女性研究者の活躍の場を広げることの大切さにお触れになりました。
私も若手研究者とお話をする機会がありますけれども、やはりなかなか、任期つきの職が多いとか、あるいは収入、将来への不安ということもたくさんの方々から出されます。
京大の山中先生が、iPS研究所の研究員でさえ九割が有期であるというふうにおっしゃっているということも有名な話でありますし、先日、当委員会で国立環境研究所の視察に参りまして、メダカやミジンコに対する環境ホルモンの影響ということを研究している、そういうパートを視察しましたけれども、少し聞きましたら、十二人でやっている仕事のうち正規の研究員は二人である、あとはそれ以外から来ていただいているパートなども含めてやっているんだ、こういう状況ですね。
それで、しっかりとそうした若手研究者、女性研究者が活躍の場を広げていくために、さまざま御議論もありましたけれども、やはり身分の安定といいますか、そういうことも非常に大事かと思っておるわけでありますけれども、両先生の御意見をまずお伺いしたいと思っております。
○野依参考人 私は、若い人、女性、外国籍であればいいということを申し上げているんではないので、前に優秀なというのが大事だろうと思って、そういった優秀な人をどういうふうに同定していくかということが大事だろうと思っておりまして、初めからそういった人に全て永住権を与えるというのは私はよくないと思っております。
全部任期制でもよくないし、全部定年制でもよくない。その両方をあわせてうまく運用していくということが、日本の科学技術あるいは高等教育をうまく円滑に運営していくことが大事だろうと思っております。
ですから、それをどういうふうにミックスするかということを先ほど白石先生もおっしゃったわけですけれども、それはテニュアトラック制だろうと思います。若い人は全て、ある意味で任期制で五年なり七年なりです。そこでその評価をした上で、初めて終身雇用、定年まで雇用する、それをやる前にテニュアトラック制を全国広く導入するということが大事であって、特定の大学、特定の研究所だけでそれを適用しても動かないわけですね。全国的にそれを適用することによって、適材適所、そしてできる人はどこかの大学あるいは研究所に職を得る、こういうシステムが私は大事だろうと思っております。
○白石参考人 私も野依先生と同感でございまして、若手、女性、外国人の研究者の登用というのは非常に重要ですけれども、これはあくまで優秀なという言葉がつくことは間違いございません。
その上で申しますと、世界、特にアメリカ、欧州での長期的な傾向から申しますと、アメリカの場合には定年もないわけですけれども、身分を保障して長期にわたって雇用するというよりは、六年ないし七年くらいでの有期の契約になって、業績がある人については契約が継続される、それで六年なら六年でずっと回していくということがどうも趨勢になっておりまして、例えば、十年後にまたこういう議論があったら、日本ではそろそろそういうのをやったらいいんじゃないかみたいな議論になっているんじゃないかなと、実は正直なところ思った次第でございます。
もちろん、それは同時に、そういうそれだけのリスクをとるわけですから、それに見合うだけの報酬は当然なきゃいけなくて、せっかくの機会ですので申し上げさせていただきますと、その意味で申しますと、昨年の公務員給与の引き下げというのは少なくとも大学の外国人にとっては非常に大きなショックだった。私の大学は極めて小さい大学ですが、外国人の先生が十五人おりまして、そのうち二人がこの半年でやめました。ですから、よくよくこの問題は考えていただきたいと思います。
○宮本委員 ありがとうございます。
確かに、任期をどうするかという問題もあるんですけれども、私が話を聞いている若手の方々でいうと、本当に暮らしもなかなか成り立たないような低賃金という状況がやはりあるわけですよね。
大学の先生が、学生が博士課程の大学院に進学したいと言うと、家はお金持ちか、あるいは結婚する何か資産家の配偶者の予定はあるか、こう聞いて、それがなければ諦めるべきだ、こう言うという笑い話があるぐらい、今本当に学問に打ち込もうと思えばそういう非常につらく厳しい時代を覚悟しなきゃならない。これではやはりなかなかですね。
優秀なとおっしゃるのはよくわかるんですけれども、あらかじめ優秀ということが明らかであればいいんですけれども、そういう意味では、優秀な方というのがいつ大器晩成していくかというのはわからないわけですから、その点では、非常にこの点は大事な問題だと思っております。
もう一つなんですけれども、実は、総務省が昨年十二月発表した科学技術研究調査結果の概要というものを見ますと、これはもうさまざまな形で、各省庁さまざまにまたがって出されている国や地方公共団体の科学技術研究費なんですけれども、これがやはり減っているんですよ、この十年間で。平成十四年で三兆四千五百二十七億円だったものが、二十三年度には三兆二千三百二十六億円へ、これは六・四%の減となっております。
つまり、まあそれは民間の資金とか外国の資金とかいろいろあるんですけれども、そもそも国や地方公共団体の科学技術研究費の支出が減っているというのは極めてゆゆしきことだと私は思うんですが、この点、両先生からお話をお伺いして、私の質問時間が参りましたので、終わりたいと思います。
○野依参考人 大変ゆゆしき問題だと思っておりまして、ぜひ増強をお願いしたいと思っております。
それと、先ほども申し上げましたように、それをどういうふうにすれば一番有効に使えるかということも研究現場の方でやはり考えていく必要があろうかと思います。今までどおりの使い方をしていれば、仮に減らなくてもぐあいが悪いわけですから、やはり、その両方が、先ほど申し上げたように、要するに、研究投資が本当の投資として生きるかどうかということを投資する側もそれからその投資を受ける側も考えていく必要があろうかと思います。使い勝手をどうするかということですね。
○白石参考人 研究費の減少は、今、野依先生もおっしゃられましたけれども、ゆゆしき問題だというふうに考えております。
私が申し上げたいことは、先ほど先生は、若い人に相談されたら金持ちかと聞く、笑い話みたいな話だと。これは笑い話じゃございません。私は常に学生にはこういうアドバイスをして、よっぽど、見ておりましてこの人はもう間違いなく伸びるという、自分に自信がなければやめた方がいいというふうにアドバイスします。
それを考える上で非常に重要なことは、博士課程以上の学生には十分なフェローシップはやはり提供すべきだ。博士課程の学生は学生なんだからというふうに考えている限り、私はやはり、本当に行ってほしいような人というのは博士課程に行かないのではないかというふうに思います。
○野依参考人 日本以外の国では、実験系の大学院の学生は全部生活費を支給されております。
大学院の学生というのは二面性がありまして、一つは被教育者であるということ。これは授業料を払わなきゃいけない。これは奨学金でコンペンセートされるべきだろうと思います。それから同時に、大学院の学生というのは教授なり助教の研究を助けているわけですから、それに対してやはり対価は当然払わなければいけないということでございまして、ざっくり言いますと、一月に二十万円、一年間で二百万円から二百四十万円ぐらいの支給があって当然だろうと思います。
○宮本委員 ありがとうございました。終わります。