平成二十五年四月十九日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 松野 博一君
理事 木原 稔君 理事 中根 一幸君
理事 萩生田光一君 理事 馳 浩君
理事 山本ともひろ君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 浮島 智子君
青山 周平君 池田 佳隆君
小此木八郎君 神山 佐市君
菅野さちこ君 木内 均君
工藤 彰三君 小林 茂樹君
桜井 宏君 新開 裕司君
永岡 桂子君 丹羽 秀樹君
野中 厚君 比嘉奈津美君
三ッ林裕巳君 宮内 秀樹君
宮川 典子君 八木 哲也君
義家 弘介君 小川 淳也君
篠原 孝君 中川 正春君
松本 剛明君 岩永 裕貴君
椎木 保君 田沼 隆志君
中野 洋昌君 青柳陽一郎君
井出 庸生君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
…………………………………
議員 遠藤 利明君
議員 萩生田光一君
議員 馳 浩君
議員 笠 浩史君
議員 鈴木 望君
議員 浮島 智子君
議員 柿沢 未途君
文部科学大臣 下村 博文君
文部科学副大臣 福井 照君
文部科学大臣政務官 丹羽 秀樹君
文部科学大臣政務官 義家 弘介君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
文部科学委員会専門員 久留 正敏君
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委員の異動
四月十九日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 八木 哲也君
桜井 宏君 三ッ林裕巳君
郡 和子君 篠原 孝君
遠藤 敬君 岩永 裕貴君
同日
辞任 補欠選任
三ッ林裕巳君 桜井 宏君
八木 哲也君 熊田 裕通君
篠原 孝君 郡 和子君
岩永 裕貴君 遠藤 敬君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案(遠藤利明君外十二名提出、衆法第七号)
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○松野委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
法案について質問いたします。しっかり議論を深めたいと思いますので、答弁は短く端的にお願いしたいと思います。
本法案は、老朽化した国立競技場改築の費用を、本来国費により進めるべきところを、toto、サッカーくじの売り上げの一部で進め、さらにそのためにサッカーくじの対象範囲を拡大しようというものであります。
超党派のスポーツ議連での議員立法だとおっしゃいますけれども、私も紛れもなくスポーツ議連のメンバーであります。スポーツ議連の中でも、我が党は当初から一貫して反対してきたということをまずはっきりと申し上げておきたいと思います。
そこで、まず法案提案者に聞きます。サッカーくじの販売拡大でありますけれども、法改正まで行って海外のリーグをくじの対象にするのはなぜでしょうか。
○笠議員 サッカーくじ制度は、平成十三年の発足から十年余りを経て、スポーツ振興のための財源確保の一翼を担う制度として社会に定着をしていると考えておりますが、昨今、経済環境の低迷の中、サッカーくじの収益をめぐる環境は大変厳しいものがあるわけでございます。
また、二〇二〇年のオリンピックの東京への招致に当たり国立霞ケ丘競技場の改築が急務となっており、その財源の確保が喫緊の課題となっております。
そこで、スポーツ振興のためのさらなる財源の確保と国立霞ケ丘競技場の改築の財源の確保の一助となるよう、サッカーくじの売り上げ増加を図るため、サッカーくじの対象となる試合としてワールドカップ等の国際大会の試合を追加させていただくことにしております。
○宮本委員 具体的に対象となり得るのはどこでしょうか。
○馳議員 FIFA、国際サッカー連盟などを想定しております。
○宮本委員 本改正案では、新たな対象となる組織等について、「サッカーの試合を通じてスポーツの振興を図ることを目的とする組織」とし、「文部科学大臣が指定する」こととしておりますけれども、その組織から同意を得ることになるのでしょうか、提案者。
○馳議員 文部科学大臣による指定は、指定される者の申請に基づくものではありません。したがって、指定に当たって、指定される者の同意を求めることは想定しておりません。
○宮本委員 スポーツ振興投票法では、くじの公正性を担保するために、サッカーくじの対象となる試合を開催する機構を文部科学大臣が指定しております。この機構に対して現在かけられている制約は一体どのようなものか、スポーツ・青少年局、お答えいただけますか。
○久保政府参考人 お答えいたします。
現在のスポーツ振興投票法では、公益社団法人日本プロサッカーリーグ、Jリーグをスポーツ振興投票対象試合開催機構として指定をいたしているところでございます。このスポーツ振興投票対象試合開催機構に対しましては、一点目といたしまして試合の開催や競技規則の制定等に関する業務規程の認可、二点目といたしまして事業計画書、収支予算書等の提出、三点目が役員の選任、解任の認可、四点目が業務に関しての監督上必要な命令などにつきまして、文部科学大臣が監督権限を有するところでございます。
○宮本委員 現在、公正性を保つために、試合を計画的、安定的に開催すること、あるいは審判等の登録、試合結果の報告、不正があった場合は文部科学大臣が役員の解任を命ずることができる等々の制約があるわけですね。
そこで提案者に伺いますけれども、今回新たな対象となる指定組織についても同様の制約がかかり、くじの公正性を担保できるんですか。
○馳議員 指定組織は日本の組織ではないことが想定されておりまして、また、その申請に基づいて文部科学大臣が指定するわけではないということから、Jリーグ機構に対するのと同様の監督規定を設けることはできないと考えております。
そこで、指定組織については、その指定の段階において、主催者の規約などにより試合の公正性を確保するための措置が講じられていることなどを確認することをもって監督規定にかえることにしております。
○宮本委員 新たな対象となるFIFAやプレミアリーグなどの試合について、公正さを害する行為があったと明らかに認められる場合、こういう言葉がありますけれども、これは一体、具体的にどういう場合なのか。また、公正さを害する行為があって開催できなかった場合は、試合の主催組織に対して公正性を担保してくれるように申し出るとか損害賠償等の請求をするとか、そういうことは可能ですか。
○馳議員 想定されることは、やはり八百長、いわゆる不正を意図的に行うということが想定をされます。払い戻しの前にそういった事案がわかれば、当然払い戻しはいたしません。
こういったことを踏まえて、今現在行われているJリーグに対して監督しているような内容について、十分に情報を確認した上で慎重に対応すべきもの、こういうふうに考えております。
○宮本委員 現に不正があってそういう払い戻しをとめたという場合に、先ほど聞いたように、損害賠償等の請求はできるのかどうか。それから、もう一つ聞きますが、逆に、売り上げが大いに日本で伸びてFIFAやプレミアリーグなどからその売り上げの分配を求められた場合、その対応について検討はしておりますか。
○馳議員 損害賠償については、その事案によるものと考えております。損害賠償を求めることが発生するような事案もあり得ると考えておりますから、そういったことについて事前にあらゆる事態を想定しておくべきだろうというふうに考えております。
○宮本委員 もう一つ。売り上げが伸びた場合に、その分配を求められたらどうするんですか。
○馳議員 想定はしておりません。
○宮本委員 新たな対象となる組織に断ることもなく、公正性の担保も何かあった場合の対応も曖昧なままで、販売対象の拡大などもってのほかだと言わなければなりません。サッカー界では現在、八百長が問題になっております。対岸の火事というような問題ではありません。きっぱりとこれはやめるべきだということをまず申し上げておきたいと思います。
きょうは、皆さんのお手元に資料で、国立霞ケ丘競技場改築基本設計についての一月二十九日付の財務省、文部科学省合意文書を配付しております。
私がこの二十九日付財務省、文部科学省の文書を見てまず奇異に感じたのは、下線一、一と番号を打った下線の部分を見てください。独立行政法人日本スポーツ振興センターの第三期中期計画に以下の文章を明記しという文言がございます。財務省と文部科学省が、独立行政法人の中期計画に書き込む文言までこの両省で取り決めたという形になっているわけですね。
これは文部科学大臣にお伺いするしかないんですが、日本スポーツ振興センターというものは、独立行政法人とはいうものの、文部科学省の言いなりに中期計画を書いている法人である、こういうことですか。
○久保政府参考人 独立行政法人は、独立行政法人通則法に基づきまして事業を展開するものでございますので、独立行政法人法の規定の中でその裁量においてさまざまな活動を行うのが基本でございます。
ただ、中期計画を作成しまして、主務大臣の認可を受けなければならないとなっております。さらに、独立行政法人日本スポーツ振興センターに関する省令によりまして、その中期計画には施設及び設備に関する計画を定めることとなってございます。
したがいまして、この合意の文書での中期計画の明記につきましては、このような文部科学大臣による中期計画の認可のプロセスを経て実現しようとするという趣旨を記載しているものでございます。
○宮本委員 いろいろ言いましたけれども、つまり、書かせようと思えば書かせられるということなんですね。そうでなければ、こんな合意は何の意味もないわけでありますから、やろうと思えばできるということなんでしょう。
法案提案者は、スポーツ議連の二月一日の総会でも、国立競技場改築の費用は国費により財源を確保しつつ取り組まれるべき性格とした上で、やむを得ずスポーツ振興くじの売り上げの一部を活用することも考える、こういう話でありました。
国立競技場の改築は国費が基本、サッカーくじは一部活用、これは遠藤提案者に、この認識に今も間違いないですね。
○遠藤(利)議員 ただいまお話がありました報告書につきましては、国立競技場など独立行政法人日本スポーツ振興センターが保有するスポーツ施設の整備等緊急の課題については、国費により財源を確保しつつ取り組まれるべき性格のものである、その上で、国立競技場の改築等に係る財源を調整する中で、やむを得ない場合はスポーツ振興くじの売り上げの一部を国立競技場の改築等緊急の課題対応に活用することも考える、このように書かせていただきました。
あくまでも国の施設でありますから、まず国が責任を持つべきもの、ただし、こうした緊急の問題について活用させていただくということで提案をさせていただきました。
○宮本委員 国費が基本で、サッカーくじはやむを得ず一部活用と。
しかし、この一月二十九日の財務省、文部科学省の合意文書には、国費が基本という言葉はどこにもないわけですよ。スポーツ振興センターの第三期中期計画に書き込ませる文言の中には、下線部二、「多様な財源の確保のあり方及び資金負担についての国、東京都及び関係者の合意」とあるだけで、国費が基本どころか、他の財源を大いに確保して進めますという書きぶりになっております。
これは文部科学大臣に答えていただかなければなりません。国立競技場の改築は、国費で進めるのが基本であることは当然のことではありませんか。なぜ、こんな一言もない文書を財務省と交わしたんですか。
○下村国務大臣 まず、提案者のお考えのように、国立競技場など独立行政法人日本スポーツ振興センターが保有する施設の整備等喫緊の課題については、基本的には国費による財源を確保しつつ取り組むことが望ましいと我々も考えます。
一方で、政府としては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致についての閣議了解において、国、地方とも財政改革が喫緊の課題であることに鑑み、施設の新設、改善その他の公共事業については、その必要性等について十分検討を行い、多様な財源の確保に努めていくこととしておりまして、このような考え方に沿って、スポーツ振興くじ売り上げの一部を活用することも必要であると考えております。
文部科学省としては、今回の改正によりスポーツ振興くじから得られた財源を、改正の趣旨を踏まえ、適切に使用するとともに、引き続き国のスポーツ予算の充実に努めてまいりたいというふうに思います。
繰り返しでございますが、政府として、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致についての方針が閣議了解されている。この中で、大会の開催に係る施設の新設、改善については、国費を基本とするという考え方はとられておらず、多様な財源の確保に努めることが求められているということでございまして、トータル的にこれは政府の方針に沿った内容となっているということで、問題はないと思います。
○宮本委員 ちょっと再確認させてください。
閣議了解では国費が基本ということは確認されていないのだ、したがってこの合意文書でもそういうことは書いていないのだと僕は聞きましたが、そうなんですか。
○下村国務大臣 冒頭申し上げましたように、基本的には国費により財源を確保しつつ、国立競技場などの独立行政法人が保有する施設の整備等については対応していくことは当然のことであるということでございます。
ただ一方、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致についての閣議了解においては、今、国、地方とも財政改革が喫緊の課題であるということの中で、この文書の中には国費を基本とするという考え方は入れておりません。
○宮本委員 いやいや、だから、これは、国費を基本とするという立場を、霞ケ丘競技場の改築については文部科学省も国費を基本という立場をとらないということを財務省と取り交わしたと受けとめていいんですね。
○久保政府参考人 この財務省との間で交わされた文書におきましては国費を基本とする旨は確かに記述はされておりませんけれども、国立競技場が独立行政法人の保有施設であるということを踏まえますれば、国立競技場の整備に要する経費は、通常、国費で賄うべきものと認識しております。
○宮本委員 当たり前のことなんですね。
これは改めて遠藤先生に確認しておかなければなりません。やはりこういう文書を取り交わすのであれば、国費が基本というふうに書いてしかるべきだと私は思いますが、法案提案者はどう思われますか。
○遠藤(利)議員 基本であるからもう既にそれは合意をされているという認識で私たちは捉えております。
○宮本委員 果たして財務省は当然のことと受けとめた上での合意かということが、まだ疑問が残ると思うんです。
そもそも、あなた方は、我が党の反対を押し切ってサッカーくじを導入したときから、スポーツ振興予算は国費が基本、サッカーくじも一部活用、サッカーくじが入っても国費は減らさせないなどと言ってまいりました。しかし、実際はどうだったかということを検証しなければなりません。
サッカーくじの収益は、スポーツ団体、地方公共団体そして国庫納付金、それぞれ三分の一ずつ分けることになっております。平成二十四年度の文部科学省のスポーツ関連予算は二百三十五億円余りとなっておりますけれども、一方で、その年のサッカーくじからの国庫納付金は約八十三億円もあるわけです。それを差し引けば、つまり、サッカーくじからの国庫納付金がそのままスポーツに出ていく分を差し引けば、百五十二億円という額になります。
そこで、文部科学省に数字を答えていただきたい。サッカーくじからの国庫納付がなかった平成十二年度のスポーツ関連予算は幾らか、初めて納付があった平成十三年度のスポーツ関連予算とサッカーくじからの国庫納付金額は幾らか、さらに平成十九年度、二十年度のスポーツ関連予算と国庫納付金額を、それぞれ額で答えていただけますか。
○久保政府参考人 お答え申し上げます。
スポーツ関係予算でございますけれども、平成十二年度は百四十七億円でございます。十三年度が百四十三億円、十九年度が百八十七億円で、二十三年度が二百二十八億円。(宮本委員「二十年度」と呼ぶ)二十年度が百九十億円でございます。
それから国庫納付金でございますけれども、十三年度は三十六億円、その後ずっと一桁になっておりまして、十九年度が七億円、二十年度が六十一億円、その後、二十一年度以降は八十億円台で推移しているところでございます。
○宮本委員 先ほどの答弁も含めて、これは全部をグラフにしておきました。見ていただきたいと思うんです。黒い棒グラフがスポーツ関連予算であります。白がサッカーくじの収益からの国庫納付金であります。そして、折れ線グラフは、その差額、つまりスポーツ関連予算から国庫納付金を引いたものであります。
あなた方が言う国費基本でサッカーくじは一部活用というのは、私は、全くのうそ偽りと言われても仕方がない結果になっていると思うんですね。
サッカーくじ導入前の平成十二年度には、サッカーくじからの国庫納付などには頼らずに、百五十億円近く国費でスポーツ関連予算は出ておりました。くじ導入の初年の平成十三年、三十五億円の納付金が入った途端に、差し引き百八億円に減っております。その後、くじの売り上げが振るわず納付金がほとんどなかったときには仕方がなく国費がふえ、平成十九年度には、一旦、百八十億円まで国費をふやしております。
ところが、BIGの導入で売り上げと収益が大きく伸びるや、二十年度には五十億円も国費が減らされました。現在の差し引き百五十億円というのは、結局、サッカーくじ導入前の平成十二年度の水準とほとんど変わらないではありませんか。
法案提案者に聞くんですけれども、国費基本でサッカーくじは一部活用というのは看板だけであって、この間の現実が、このグラフが示すことは、サッカーくじが売れなければ国費がふえるが、くじが売れれば売れるほど国費は減らされるということではありませんか。
○馳議員 財政状況が厳しい中でスポーツ振興の予算を何とか確保しなければいけないということで、これは議員立法として、私たちが諸外国の例も参考にしながら導入した制度でありますので、あとは財務省の一つの判断かもしれませんし、当然、文部科学省としても今まで以上に、できれば文化庁予算並みにスポーツ振興の予算を確保すべきだと我々も思っているんですよ。
しかし、現実を踏まえ、財政状況も踏まえ、諸外国のスポーツ振興にかける財源の調達のぐあいも踏まえて、最終的に我々は厳しい中での議員立法としての判断をしたわけでありまして、改めて今回もお願いを申し上げておりますが、スポーツ振興の予算を、サッカーくじtotoを通じて売り上げを伸ばしてさらにふやしていく努力をすべきだと考えております。
○宮本委員 いや、売り上げを伸ばしてさらに確保するんじゃなくて、ちゃんと国費で確保するように厳しく主張すべきなんですよ。
我が党は、老朽化した国立競技場の改築が必要であることに異論はありません。しかし、老朽化しているスポーツ施設は、決して国立競技場だけではありません。一九六四年の東京オリンピック開催のころに建てられた武道館、代々木体育館等々の改築も当然必要であります。
今回の法案で、サッカーくじの売り上げの五%ということでいえば、この間ざっと八百億円程度の売り上げでありますから、毎年四十億円程度のお金をそのために確保するわけですね。七年間であれば三百億円程度ということになります。三百億ほどの金ならば国庫から出せばよいではないかと私は言いたいんです。
この法案は我が党以外の各党派でまとめたものであります。我が党は一切受け取ったことはございませんが、毎年毎年、政党助成金というもの三百二十億円を山分けしておられるわけですね。こんな議員立法をつくらなくても、この政党助成金を皆さん方が一年間おやめになるだけで七年分の金額三百億円は優に確保できる、そのことを私は厳しく指摘しなければなりません。
そこで、遠藤提案者にお伺いするわけですけれども、そういうふうにしなければ、スポーツ予算が必要になるたびに、ばくちの対象にするスポーツをどんどんどんどん広げていかなきゃならない、くじをどんどん売らなきゃならない、こんなことになりませんか。
○遠藤(利)議員 国としてのスポーツ予算をふやす、これは宮本先生も御理解いただけると思いますし、私たちも一緒になってそれは進めていきたいと思っております。
ただ、先ほども言いましたように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック招致、また二〇一九年にはラグビーのワールドカップが既に決まっておりますし、場合によっては世界陸上やなでしこのワールドカップもぜひ招致をしたい、そうした緊急の課題に応えるためには当面サッカーくじの財源を確保しなければならない、やむにやまれぬという思いをぜひ御理解いただきたいと思います。
○宮本委員 それは理解しかねますが、最後に、法案にかかわって、スポーツ界における暴力指導の根絶についてお伺いします。
今後行われる調査では私たち選手のみならずコーチ陣の先生方の苦悩の声も丁寧に聞き取っていただきたい、暴力や体罰の防止はもちろんのこと、競技者にとって苦しみや悩みの声を安心して届けられる体制や仕組みづくりに生かしていただけることを心から強く望んでいます。これは柔道女子ナショナルチーム選手の文章の一節であります。彼女らが今なお匿名を貫いていることでも明らかなように、暴力やハラスメントを告発することは非常に勇気の要ることだと思います。
そこで、大臣にお伺いするんですけれども、調査や、競技者の苦しみや悩みの声を聞く窓口は公平中立であることに加え、相談者、告発者の安全や安心がまず優先されなければならないと思うんですね。まずやるべきは、スポーツ関係者らの声や要望をしっかり聞くことだと思いますが、これは大臣も同意していただけますね。
○下村国務大臣 私の方も、ことしの二月に私が発したメッセージ「スポーツ指導における暴力根絶へ向けて」の中でも、各競技団体が相談、通報窓口の設置等ガバナンス、コンプライアンスを確立すること等、また、中立的な第三者が相談を受けることができるような仕組みを整えるということが重要であると発しました。
このような仕組みをつくることによっていろいろな対応を、機敏に選手等の対応をしながら、スポーツ界が一丸となって整備されるように、先頭に立って対応してまいりたいと思います。
○宮本委員 では、聞きますけれども、これは文科省で結構ですよ。スポーツ関係者やスポーツ関係団体から、第三者機関をつくるならば日本スポーツ振興センターに置いてくれという要望でも届いておりますか。
○久保政府参考人 今回の法改正に至る経緯といたしましては、競技活動の場において選手が暴力行為を受けた場合などの相談窓口が整備されていなかったということに鑑みまして、各競技団体やJOC、それぞれに相談窓口を設置するとともに、第三者による相談窓口や調査委員会のようなものを外部に設置することによって、アスリートがさまざまな機関に相談できるようにして、安心して競技に専念できるようにしようとすることがきっかけでございます。
JOCの緊急調査対策プロジェクト最終報告書でも、JOCに対して、文部科学省、日本スポーツ振興センター、日本体育協会等と協力して、第三者相談窓口の整備に取り組むことを提言しているところでございます。
また、アスリートの声といたしましても、JOCが行ったアンケート調査におきましては、暴力行為を撲滅するために何が必要かという問いに対して、フェアな立場で問題解決を促す役割の人を置くこと、第三者の定期的なカウンセリングを置くこと等の声が上がっているところでございます。
○宮本委員 フェアな立場でという要望が出ているのは当たり前なんですよね。私は、日本スポーツ振興センターに置いてくれという要望が出ているかと聞いたんです。私もそんな要望を受けたことはないですよ。
大体、日本スポーツ振興センターは、独立行政法人というけれども、中期計画の文言まで政府の役所が決められるような組織であることは先ほど明らかになったばかりじゃありませんか。文科省から独立という点でも私は問題があると思うんですね。第三者機関という以上は、各スポーツ団体からはもちろん、国からも独立していなければおかしいと思います。
提案者に聞きますが、なぜ日本スポーツ振興センターに設置するんですか。
○馳議員 女子柔道の問題は、絶対にあってはいけない問題であり、今後の重要な課題であるというふうな認識をまず持っております。
この問題がマスコミによって報道されてすぐに、実は、今回のスポーツ振興投票法案の立法チームでミーティングをいたしまして、より専門性があり、第三者的な立場で選手の思いを受けとめて対応することのできる専門的な機関がやはり必要であるという思いに至りまして、その対象として日本スポーツ振興センターが最もふさわしいという認識のもとに法改正に臨んだものであります。
○松野委員長 宮本君、既に申し合わせの時間が過ぎておりますので。
○宮本委員 第三者機関の設置には私どもも別に異論はございません。しかし、日本スポーツ振興センターが最もふさわしいかどうかは、さらにスポーツ団体、各団体や関係者の意見を聞くということが必要だと思います。
そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
○松野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○松野委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党を代表して、スポーツ振興投票法及び日本スポーツ振興センター法改正案に対し、反対の討論を行います。
第一に、スポーツ振興くじ、サッカーくじの対象をFIFAやイングランド・プレミアリーグなどが開催する試合に拡大する本法案は、多くの日本人選手も活躍している海外リーグの試合までもギャンブル漬けにして射幸心をあおるもので、断じて容認できません。
また、国のスポーツ予算を低い水準にとどめることをも容認するものであり、反対です。サッカーの八百長問題は、全世界的に被害と加害の実態が明らかとなっているもとで、海外で開催される試合にまでサッカーくじを拡大すれば、国際的な犯罪組織が絡む八百長に国民を巻き込むことになりかねず、認めることはできません。
また、質疑を通じて明らかになったように、新たな対象となる海外の試合の主催団体について、相手の同意も得ずに文部科学大臣が指定することから、売り上げの分配を求められたり、公正さを害する行為により開催できなかったなど、問題が生じた場合の対応も曖昧なままで、場合によっては国際問題にまで発展しかねない対象拡大であることも指摘しておきます。
第二に、老朽化が目立ち、国際試合が開催できるようにするための国立競技場の改築は、本改正案のようにサッカーくじの売り上げに頼ることなく、国や自治体などが協力して行うべきであり、賛成できません。一九六四年の東京オリンピック開催ごろから利用されている、国立競技場以外のスポーツ施設についても、積極的に改築が進むよう、国などからの財政的な支援が必要であることは言うまでもありません。
第三に、スポーツ界における暴力指導やハラスメントの相談や事実調査を行う第三者機関を日本スポーツ振興センターに置けるようにする本改正案は、スポーツ界からの声でも要望でもなく、また拙速でもあり、賛成することはできません。
柔道女子ナショナルチームの選手十五名の勇気ある告発や、桜宮高校で起きた部活顧問による暴力指導などを機に、第三者機関の設置は必要です。スポーツ基本法の理念に照らせば、当事者であるスポーツ関係者らの声や要望を聞き、告発者の安全、安心が守られ、公正中立な機関や相談窓口をどうすれば設置できるのかをともに検討することこそ、まず行うべきことです。
日本共産党は、今なお根深く残る暴力指導やハラスメントをスポーツ界みずからが断ち切る決意を応援し、国民的な議論と合意形成のために力を尽くすことを表明して、討論といたします。