平成二十五年三月二十七日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 松野 博一君
理事 木原 稔君 理事 中根 一幸君
理事 萩生田光一君 理事 馳 浩君
理事 山本ともひろ君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君
青山 周平君 池田 佳隆君
岩田 和親君 小此木八郎君
神山 佐市君 菅野さちこ君
木内 均君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
桜井 宏君 島田 佳和君
新開 裕司君 永岡 桂子君
丹羽 秀樹君 根本 幸典君
野中 厚君 比嘉奈津美君
藤井比早之君 前田 一男君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
義家 弘介君 小川 淳也君
郡 和子君 中川 正春君
松本 剛明君 遠藤 敬君
椎木 保君 田沼 隆志君
中野 洋昌君 青柳陽一郎君
井出 庸生君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
…………………………………
文部科学大臣
国務大臣
(教育再生担当) 下村 博文君
文部科学副大臣 谷川 弥一君
文部科学副大臣 福井 照君
内閣府大臣政務官 山際大志郎君
財務大臣政務官 竹内 譲君
文部科学大臣政務官 丹羽 秀樹君
文部科学大臣政務官 義家 弘介君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 高橋 道和君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 山下 史雄君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 清木 孝悦君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 合田 隆史君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 布村 幸彦君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 板東久美子君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 戸谷 一夫君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(文化庁次長) 河村 潤子君
文部科学委員会専門員 久留 正敏君
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委員の異動
三月二十七日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 前田 一男君
工藤 彰三君 島田 佳和君
熊田 裕通君 藤井比早之君
新開 裕司君 岩田 和親君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 新開 裕司君
島田 佳和君 根本 幸典君
藤井比早之君 熊田 裕通君
前田 一男君 池田 佳隆君
同日
辞任 補欠選任
根本 幸典君 工藤 彰三君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○松野委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
先日の下村文部科学大臣の所信を受けて、質問をいたします。
大臣は、所信の中で、「教師が子供一人一人と時間をかけて向き合える環境を整える」ことを強調されました。
我が党は、昨年十一月に、この間、深刻化してきたいじめ問題を解決するために、全国の現場の先生方や子供にかかわる関係者、あるいは被害者団体、学者、研究者の方々からの聞き取りをもとに、「「いじめ」のない学校と社会を」と題した政策提言を発表し、先日はこれを踏まえたいじめ問題のシンポジウムも開催をさせていただきました。
私たちは、この問題では、まず第一に、目の前のいじめから子供たちのかけがえのない命、心身を守り抜く緊急の取り組みが必要だと考えます。そのためには、学校教育において、どんな大切な仕事があろうと子供の命より大切な仕事はないという、いわば子供の命最優先の原則を明確にして事に当たることが決定的だと考えております。
大臣が所信で言われた「教師が子供一人一人と時間をかけて向き合える環境を整える」というそのお言葉には、私たちのこの思いにも響き合う中身があるのではないかと考えますけれども、まず、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 党派を超えて、子供の命を一番大切に思うそのための教育環境を整えるということは、これは共有して全く重要なことであるというふうに思いますし、そのようにぜひ取り組ませていただきたいと思います。
私としては、質の高い教育を行うためには、教師の目が十分に行き届き、子供一人一人に対してきめ細かく対応できるような環境を整備すること、これが非常に重要だというふうに考えております。
現在の学校現場は、学力向上、特別支援教育の充実など対応すべき多くの課題を抱えているが、御指摘のとおり、こうした教職員の指導体制の充実は、いじめの早期発見、解決にも資するものというふうに考えます。
○宮本委員 しかし、問題は、大臣のおっしゃるとおり、教師が子供一人一人に時間をかけて向き合える環境がまだまだ整備をされていない。当委員会でも教員の多忙化について、それこそ党派を超えて、繰り返し繰り返し議論がされてまいりました。
例えば、この大津市の中学校いじめ自殺事件の第三者報告書でありますけれども、ここでもさまざまな問題点が指摘をされております。「教員たちの多くは、業務に追われほぼ毎日深夜まで残業していた。こうした中で子どもたちのために費やされる時間とこころの余裕が失われていったことは必然である。」こう指摘をして、「教員の多忙化は克服すべき緊急の課題である。」とし、提言では、「教員の多忙化に対して、教員の定数を増やし、教員ひとりの負担を軽減することはよく言われることである。確かに一番の有効策であることは明白である。」こう述べております。
いじめ問題の解決を進める上でも、教員の多忙化を解消すること、そのために教員をふやし負担の軽減を図ることは喫緊の課題だ、まさにそう思うんですけれども、大臣、これは同意していただけますね。
○下村国務大臣 御指摘の大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会の報告書では、今回の事案に係る問題点の一つとして、「教員の多忙化は克服すべき緊急の課題である。」というふうにしており、「教育委員会への提言」の中で、教員の多忙化に対して、教員の定数をふやし、教員一人一人の負担を軽減することが述べられていることは承知をしております。
同時に、大津のこの問題は、それぞれの教員が孤立化していた部分もあったのではないか、お互いに教師が、多忙化も一因だと思いますが、思いやりを持ってフォローをし合えれば、早期発見することによって、子供が自殺まで追いやられなくても済んだ部分もあったのではないかということを、私もこの報告書を読ませていただいて感じたことの一つでございます。
○宮本委員 いじめ問題に対応するためには、教員の増員は当然でありますけれども、特に養護教諭、保健室の先生の増員が非常に大事だと思っております。
そこで、資料の一を見ていただきたいんですが、これは大津の第三者報告書でありますけれども、下の方の傍線、「養護教諭の大規模校常勤複数体制の確立が必要である。旧来より養護教諭、保健室の先生は、「学習の評価をしない」、「ありのままを受け入れてくれる先生」と生徒からの信頼は高く、またその役割は大きい。生徒の立場からすれば身近で相談しやすい先生である。生徒理解を進める上で、保健室という違った観点からの情報も大切であることは言うまでもない。」と指摘をされております。
いじめ対策として養護教諭が果たしている役割について大臣はどのように認識をされているのか。そして、増員が必要だと思いますが、いかがかということについてお答えいただけますか。
○下村国務大臣 御指摘のように、養護教諭は専門的知見を持って児童生徒の心身の健康に関する指導や相談に当たっており、例えば、いじめを受け悩んでいる子供のサインにいち早く気づいたり、担任教諭等に相談できない悩みを受けたりするなど、ほかの教職員やスクールカウンセラー等とも連携しつつ、いじめ対策に大変重要な役割を果たしていると認識しております。
このような養護教諭の職務の重要性に鑑み、文部科学省が主催する全国養護教諭研究大会で、いじめの早期発見や被害者の立場に立った健康相談について研修したり、指導参考資料、教職員のための子どもの健康相談及び保健指導、これを作成し、各学校等に配付したりしているところでございます。
また、平成二十五年度予算案では、いじめ問題への対応など、学校運営の改善充実のため、養護教諭は今三万八百五十人おりますが、それから比べるとまだまだ少ない数字でありますが、ことしの予算ではさらにプラス五十人の加配増を含む定数改善を計上しているところでございます。
今後とも、養護教諭がいじめ対策等に積極的に取り組むことができるような指導体制の充実を図ることが必要であるというふうに考えております。
○宮本委員 今御答弁あったように、ふやしたといっても加配なんですね。養護教諭の大規模校常勤複数体制の確立と大津の報告書は言っているわけですけれども、現状では、小学校では児童数八百五十一人以上、中学校八百一人以上の学校でないと複数配置にならない。ですから、定数改善をして、そもそもこの基準自体を引き下げるべきだと私は思うんですが、大臣、いかがでしょう。
○下村国務大臣 御指摘のように、養護教諭の定数については、義務標準法上、大規模校、小学校児童数八百五十一人以上、中学校生徒数八百一人以上において複数配置というふうになっているわけでございます。
このほか、大規模校に限らず、いじめ問題など課題のある学校においても養護教諭を複数配置できるよう加配措置を行っているところであり、それが、先ほど申し上げましたが、二十五年度予算では五十人増の改善で、トータルとして三百三十二人の加配定数を計上したところでございます。
文部科学省としては、養護教諭が果たす役割の重要性等を踏まえ、引き続き必要な定数増にこれからも努めてまいりたいと思います。
〔委員長退席、馳委員長代理着席〕
○宮本委員 定数増に努める、定数改善をするとおっしゃるわけですけれども、では、平成二十五年度の内容に入りたいと思うんです。
今回の予算案に至る過程では、昨年行われた本年度予算の概算要求段階では、三十五人学級を標準法改正で実施している小学校一年生、加配で実施している小学校二年生に加えて、小学校三年生から中学校三年生までを、加配という不十分なやり方ではあっても、五年計画で全て三十五人以下にしていく計画が文部科学省から出されました。これは、総選挙後、政権がかわった後もその内容はほぼ変わらず、引き続き概算要求されておりました。
これは初等中等教育局に聞きますが、結果はどうなったのか。定数改善は何人で、自然減は何人ですか。
○布村政府参考人 平成二十五年度予算案における教職員定数の改善数は八百人、内訳として、改善増千四百人、合理化減三角六百人、一方、自然減は三角三千二百人でございます。
○宮本委員 愕然としたというのが多くの人の偽らざる気持ちだと思うんです。結局、差し引きで合理化減も含めて二千四百人もの減。差し引きで二千人以上教員数が減少するなどということは、この数年になかったことであります。
しかも、その減少の中身も問題であります。先ほど合理化減という言葉が出ましたけれども、合理化のために六百人減員しているわけですね。この合理化減の中身を、初中局、説明していただけますか。
○布村政府参考人 お答えいたします。
合理化減、六百人減の内訳につきましては、指導方法工夫改善定数に四百人減、また研修等定数に二百人減になってございます。
○宮本委員 この指導方法工夫改善加配というのは、地方において少人数学級に充てられてきた定数なわけです。この少人数学級に充てられてきた加配まで削ると、これを削らずに維持するだけでも、地方では少人数学級への取り組みが、小学校二年から三年へ、あるいは地方によっては中学校に充てるというところもあるかもしれませんが、拡充につながったはずなんです。
この定数を維持すること自体は、新たな財政負担がかかる話ではありません。大臣、なぜそんなことすらできなかったのか、これはひとつ大臣にお答えいただきたいと思います。
○下村国務大臣 少人数学級にも活用されている指導方法工夫改善定数加配については、四万一千五百二十三人を計上しておりますので、事実上は前年度同数を維持しているというところでございます。
○宮本委員 いやいや、今、四百人減らしたと初中局から答弁があったんですけれども。
○布村政府参考人 お答えいたします。
指導方法工夫改善定数全体の枠として四万一千五百二十三人でございます。そのうち合理化減は四百人減がございましたけれども、一方、この枠の中の小学校の専科指導の増員が四百ということで、都合、前年度と同数ということになってございます。
○宮本委員 合理化減も含めて全体で二千人を減らしたことが、少なくとも、その分の定数を新たな少人数学級を拡充することに充てられたものが減らされてしまったことは間違いがないと思うんですね。私は、ここには、やはり加配でこれまでこれをずっと進めてきたことについての限界が示されていると思うんです。
そこで、私は、より根本的なことを大臣に聞くわけでありますけれども、今回の予算案で定数改善の計画というものは策定されることになっておりますか。
○下村国務大臣 小三以上の三十五人以下学級の推進や計画的な定数改善については、悉皆で行われる平成二十五年度全国学力・学習状況調査等を活用し、効果検証を行いつつ、今後も引き続き検討するということが文科大臣、財務大臣の間で合意されたところでございます。
平成二十五年度予算案では、国、地方を通じた公務員全体の人件費抑制に取り組むという非常に厳しい状況の中で、いじめ問題や特別支援教育への対応など、八百人、約十七億円ですが、教職員の定数の増を確保したほか、約七千人、これは常勤換算ですと二千百人、約二十八億円でございますが、補習等のための指導員等派遣事業も新たに実施するということもしておりまして、できるだけ学校の先生の負担軽減にもなる、また教育効果が上がるような配分を二十五年度予算案の中で対応したところでございます。
○宮本委員 定数改善計画の話をやったんですが、定数改善計画については、策定することにはなっていない、今後、学力調査の結果を見て検討するというのが財務省との間の結論になったという答弁だったと思うんです。
今、補習等のための指導員等派遣事業、学校いきいきサポート人材の活用、こういう話で約七千人、常勤教員ベースで二千百人相当というお話もありましたけれども、これは確認しますけれども、布村局長、この学校いきいきサポート人材という方に担任を持ってもらって、少人数学級を広げるということは可能ですか。
○布村政府参考人 お尋ねの学校いきいきサポート人材につきましては、放課後や土曜日における補充授業、あるいは発展的な学習を支援するため、地域の退職教職員、社会人、保護者などを児童生徒の学習サポーターや教師業務のアシスタントとして活用しようとするものでございまして、学級担任としての活用は想定しておりません。
○宮本委員 ですから、先ほど定数改善が八百人とおっしゃいましたが、その一方で二千人を超える自然減が出ているわけであって、その分が、現に教員の数が減らされている。しかし、一方でサポート事業もやりますよということでありますけれども、定数改善計画も結局決められなかった。計画的に定数改善をしていくという話は、本当にこの間つくられていないわけですね。
第七次定数改善計画が終了したのが二〇〇五年であります。二〇〇五年度以降、非正規教員の割合というのはどんどんどんどん上がってまいりました。これはまさに定数改善計画がない状態がこの原因にあるというふうに思うんですけれども、初等中等教育局、これは間違いないですね。
○布村政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、臨時的任用教員や非常勤講師などの非正規教員は増加傾向にあり、平成二十四年五月一日現在で、実数ベースで教員総数の一六・一%を占めてございます。
その背景として、非正規教員の任用状況は、各都道府県によって大きくばらつきがありますけれども、各県で教員の年齢構成を平準化するための採用調整が行われていること、また地方公務員についての定員削減計画、いわゆる集中改革プランということもございます。それ以外でも、平成十八年度以降、国の教職員定数改善計画が策定されていないことも、非正規教員の増加の要因と挙げられると考えております。
○宮本委員 今あったように、まさに非正規教員が一六%にふえた。その大もとに、この定数改善計画が策定されていないことがあるというお話もありました。
もう一度、資料一を見てください。今度は上の傍線であります。
大津市の第三者報告書でも、「当該の学校にも多くの非正規教員が在籍している。その役割や学校への貢献度も大きく、なくてはならない存在でもある。非正規教員という不安定な条件をできる限り縮小し、安定した継続的な任用が望まれる。そのことが安定した安心のある学校づくりとなることは確かなことである。」と指摘をしております。
これは大臣にお伺いしますけれども、学校現場で安定した雇用を広げる上で教職員定数改善計画は必要だと思うんですけれども、今後、新たな計画を策定するおつもりはございますか。
○下村国務大臣 御指摘のように、国が計画的な教職員定数改善を行うことは、都道府県教育委員会に対し、教職員定数についての将来にわたる見通しを持たせることができ、それにより正規教員の計画的な採用、配置が可能になります。また、一定の計画期間があることにより、後年度に及ぼす財政負担を考慮しつつ、教職員の年齢構成のバランスにも配慮しながら、計画的に定員管理を行うことが可能であり、このようなことから必要であるというふうに考えております。
私としては、このような考え方に立って、本年一月の概算要求の改要求においても、五カ年の新たな教職員定数改善計画、これは平成二十五年から二十九年度の改善総数二万六千七百人でありますが、この策定を目指して、その初年度分として五千二百人の定数改善を要求したところでございます。
しかし、残念ながら、先ほど御説明したとおり、来年度予算案に係る財務大臣との折衝の結果、そのような措置は今回は見送られ、今後、全国学力・学習状況調査等を活用した効果検証を行いつつ、教職員定数のあり方について検討するということになされたところでございます。
私としては、この検討の中で、世界トップレベルの学力や規範意識の育成など、教育再生につながる教職員配置の適正化を計画的に行う施策については必要だと考えておりまして、しっかりと必要な検討をこれからも行ってまいります。
〔馳委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本委員 定数改善計画が必要だという御答弁でありますが、必要であるというのであれば、私はやはり、学級規模の縮小、三十五人以下学級を進めることだと思うんです。
それで、少人数学級の推進とおっしゃるわけですけれども、これはどのように進めるのか。加配なのか、それともちゃんと標準法の改正で進めるのか、はっきりお答えいただけますか。
○下村国務大臣 三十五人以下学級の具体的な推進方策のあり方については、地方の声も十分聞きながら検討を行ってまいりますが、本来的には標準法改正により恒久的な制度としていくことが望ましい姿でありまして、それに向けて文部科学省はしっかり取り組む必要があると考えております。(発言する者あり)
○宮本委員 これは当然のことなんですね。今、他人事ではだめだという声も出ましたが、しっかりその方向で進める必要があると思うんです。
二〇一一年の通常国会、小学校一年生に三十五人以下学級を導入した標準法の改正は、全会一致で行われました。
その附則には、「政府は、この法律の施行後、」「公立の義務教育諸学校」「の学級規模及び教職員の配置の適正化に関し、公立の小学校の第二学年から第六学年まで及び中学校に係る学級編制の標準を順次に改定することその他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずる」こととはっきり定められております。
この附則が定めていることは、小学校二年生から中学三年生までの学級編制の標準を順次に改定することを検討し、必要な措置を講じよと言っているのであって、加配で実施することの検討ではなかったはずです。ましてや、その加配さえいわば削ってしまうというのは法の趣旨を踏みにじるものだと言わざるを得ないと私は思うんですが、これは、大臣、そうじゃないですか。
○下村国務大臣 三十五人以下学級については、必要な定数を基礎定数化して恒久的な制度として実現するためには、義務標準法の改正が必要であります。本来的にはそれが制度として望ましいものであり、文部科学省としては、それに向けてしっかり検討、努力していくのは当然のことであるというふうに思います。
ただ、御指摘の平成二十三年度改正義務標準法附則第二項では、政府が、小二以降の学級編制の標準を順次改定すること等について検討を行い、法制上その他必要な措置を講ずることを規定はしておりますが、このことは必ずしも法改正を行わなければならないことを規定しているものではないというふうに思います。
そういう意味で、ことしの平成二十五年度も、事実上、きめ細かな教員配置ということについては努力をしているところでございます。
いずれにしても、私としては、教員の目が十分に行き届き、子供一人一人に対してきめ細かな対応ができるような環境を整備することは重要であると思いますし、今後とも努力をしてまいります。
○宮本委員 いやあ、僕は下村大臣からそういう御答弁を聞くとは思いませんでした。そして、よもや下村大臣が今回の折衝で財務省にこのような形で押し戻されるとは思わなかった。これは本当にショックだということを率直に申し上げたいと思うんです。財政状況が厳しいという言い逃れは、この法律については許されないと私は思うんです。
実は、先ほど私が指摘した附則は、当初の政府案では、今のこの文言の前に「国及び地方の財政の状況その他の事情を勘案しつつ、」という文言がもともとついておりました。その文言が、自民党、公明党、民主党による修正によって削られていったいきさつがございます。あのときの委員会を私はっきり覚えていますよ。下村大臣もおられた。馳自民党筆頭もあの場におられました。笠民主党筆頭もおられました。松野委員長もあの場におりました。みんな、この耳で聞いたと思います。
そして、そのとき、この義務教育費国庫負担金については憲法に規定されている国の義務だから責任を持つべきだ、だから、そんな財政の状況などを勘案する必要はないのだといって附則から取り去ったというのがあのときの議論の中身であって、そのことは、きょうおつけした資料の議事録にはっきり出ているとおりであります。
大臣、二年前におっしゃったことに照らしても、おかしいんじゃないですか。
○下村国務大臣 改正義務標準法の修正案の提出者による提案理由説明にあるとおり、学級編制の順次改正等に関する検討に当たって勘案されるべき事項とされている国及び地方の財政状況について、勘案するのが当然のことであるため削除したもの、それは、私もその場におりましたし、今、宮本委員が御指摘のとおりで、我々野党であっても、これは池坊当時委員が提案されたことでありましたが、我々もそういう意味で削除したという経緯については当然承知しております。
今回の財務、文科両省の合意においては、そのことも確認的に記載したというふうに私は認識しております。
○宮本委員 もう一度答弁していただきたいんですが。
議事録によると、政府案にあった「国及び地方の財政の状況その他の事情を勘案しつつ、」という言葉を我々は立法の立場で外しましたと、下村当時委員は胸を張っておられるわけですが、その下村文部科学大臣が財務省とこのたび結んだ、一月二十七日付、財務省、文部科学省の確認においては、三項目めのところに、「国・地方の財政状況等を勘案し、」と、みずからがやるときにはやはりその言葉を入れているじゃないですか。
これは本当に筋が通らない、二年前に言ったことと今やっていることが全然違う。二年前のことはその場限りの言葉だったということですか、下村さん。
○下村国務大臣 そのときの麻生財務大臣との話の中で、これは、全国学力テスト、意識調査等を悉皆で行うことによって、その結果を踏まえて少人数学級については検討するということでございました。
項目としては財政状況等も入っておりますが、これは確認的に記載したということで、これについては、麻生財務大臣との話の中で、私は、拘束されないというふうに認識をしたいと思っております。
○宮本委員 いや、拘束されないといったって、文言になって、文書になって出回っているわけですから。また、そういうふうに言われると、恐らく、その文言を二年前に削られた民主党の当時の政府を担っていた方々は納得いかないだろうと思うんですね。
私は、いずれにしても、この標準法の改正の質疑で、大臣が盛んに当時の高木文部科学大臣に詰め寄ったのをはっきり覚えているんですよ。いろいろお答えになるのに対して、「ちょっと頼りない答弁ですね。財務大臣だったらまだそれは評価しますよ、私は。でも、文科大臣としてそういう姿勢では、本当に大丈夫なのかなと。」こう盛んに当時の下村委員が、筆頭理事が食い下がっておられたのを、きのうのことのように覚えております。
先日発表された教育再生実行会議の提言を見ましても、「国及び教育委員会は、教職員配置を改善充実し、少人数指導・少人数学級の推進や生徒指導に専任的に取り組む教職員の配置を進めるなど学校の取組を支援していく」ことが提言されました。提言の全体については我々は賛成できないことが多いですけれども、この教職員配置についての指摘は重要だと思います。
野党時代に主張したことは、政権をとった今こそ実施していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。