平成二十四年六月十九日(火曜日)
午後二時開議
出席委員
委員長 稲津 久君
理事 川村秀三郎君 理事 笹木 竜三君
理事 竹田 光明君 理事 道休誠一郎君
理事 柚木 道義君 理事 あべ 俊子君
理事 松浪 健太君 理事 池坊 保子君
川口 浩君 橘 秀徳君
富岡 芳忠君 初鹿 明博君
松岡 広隆君 三宅 雪子君
室井 秀子君 森山 浩行君
山崎 摩耶君 山田 良司君
小渕 優子君 棚橋 泰文君
馳 浩君 宮本 岳志君
小林 正枝君 吉泉 秀男君
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国務大臣 中川 正春君
内閣府副大臣 後藤 斎君
政府参考人
(内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官) 伊奈川秀和君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 杵淵 智行君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 岩瀬 充明君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 原口 亮介君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 上月 正博君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 関 靖直君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 有松 育子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 石井 淳子君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長) 生田 正之君
衆議院調査局第一特別調査室長 横尾 平次君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
青少年問題に関する件
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○稲津委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
去る六月十一日、社会保障と税の一体改革特別委員会で、私、総理大臣に、ことしの自殺白書で、若者の就職失敗を理由とした二十代の自殺者の急増に注意が必要というふうに述べられていることを取り上げて、首相の認識を伺いました。総理は私の質問に、若者の雇用対策とあわせ、若年層の自殺対策を今後の自殺総合対策の最重要の課題の一つとして位置づけ、救える命を救っていくという努力に万全を期したいと答弁をされました。
自殺対策担当の大臣であり、若者支援対策担当であり、そしてかつては文部科学大臣であった中川大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○中川国務大臣 御指摘のとおり、自殺者数というのは三万六百五十一人ということで、平成十年から十四年連続して三万人を超えているということに対して、基本的には、危機感といいますか、この社会の状況に対してしっかりとした認識を持たなきゃいけないというふうに思っております。
ただ、この二年ほどは減少しておりまして、いろいろな対策を打ってきた、その効果が多少でも出ているんだろうというふうに思うんですけれども、三万一千人を下回ってきました。これも十四年ぶりであります。そういう意味で、さらに頑張っていくということだと思います。
御指摘のように、二十歳以下の若年層というのが二十二年に比べて増加をしておりまして、これは、先ほどのお話のように、雇用というものと密接に関連しているんだというふうに思います。ですから、基本的には、雇用対策を構造的にしっかりしたものにしていくということ、これが一つ。
それからもう一つは、先ほどお話の出ていたひきこもりということなども含めて、非常に、社会の今の状況の中から振り落とされてしまうというか、よくセルフエスティームというのですが、自分自身に価値を見出さないと生きる力にならないんだといいますが、その自分自身の価値というのを見失ってしまう若者がやはり依然としてふえてきているということだと思うので、そこのところは、先ほどのきめの細かいサポートセンターのような形のもので寄り添っていくというような施策もあわせて、きめ細かくやっていく必要があるのだというふうに思っております。
○宮本委員 この二年ほど、全体の数は減っているわけですけれども、若者の、しかも就職を原因とする自殺というのはそれこそふえているんですね、この間でいうと。
それで、これは内閣府に数を出していただきたいんですが、就職失敗を原因とする二十代の自殺者数を、二〇〇七年からの五年間、男女別にお示しいただけますか。
○杵淵政府参考人 お答えいたします。
警察庁の統計によりますと、就職失敗を原因、動機とする二十代の自殺者数は、二〇〇七年、男性五十一人、女性九人、計六十人。二〇〇八年、男性六十九人、女性十七人、計八十六人。二〇〇九年、男性九十八人、女性二十四人、計百二十二人。二〇一〇年、男性百三十八人、女性十五人、計百五十三人。二〇一一年、男性百十九人、女性二十二人、計百四十一人でございます。
○宮本委員 平成二十一年を機に急増していると言われるとおり、二〇〇七年に六十名だったのが、百五十人とか百四十人という状況になっているんですね。
それで、急増に注意が必要と自殺対策白書は述べているんですが、注意が必要というような生易しいことではないです。就職の失敗ぐらいで何も死ぬことはと安易に言えるような状況でもないんですね、これは当人たちにとっては。
それで、みんなの就職活動日記というホームページがございます。その中に「もう就活辞めたい 辛すぎる」という掲示板がありまして、そこには就活真っ最中の学生の苦悩がつづられております。
ある学生は、四月二十五日の書き込みで、進学校を出て、有名大学を出て、そこそこの学歴があるのに、ああ、ここしかないのかと考えてしまう自分が嫌だ、落ち込んでいる暇があるなら一つでも多くエントリーシートを出すべきということもわかっている、でも、出してもどうせ落ちるんだろうなと思うと気が進まないし、涙が出てくる、お父さん、お母さん、せっかく学費を出してもらっていいところの学校を出させてくれたのに、大手じゃなくてごめんなさい、兄弟そろって就活落ちこぼれでごめんなさい、こう書いているんですね。
同じく四月二十五日の午前四時三十九分には、別の学生が、毎日不安で眠れません、きょうもまたこんな時間と書き込んでいます。
四月十八日には、無理なら諦めて死ぬなりフリーターになればいい、それが現実でしょう、もちろん、俺も内定がないのでそうなるかもしれませんがねという書き込みがある。
同じく四月十八日、周りに内定所有者がたくさんでき始めた、ツイッターもフェイスブックも内定報告を見たくなくてアプリを消した、でも、どうしても授業やゼミで情報が耳に入ってしまう、つらい、面接で自分のことを伝えるのが嫌でうまくいかない、怖い。
四月十七日、何社落ちたのか、本当に自分はだめなやつなんだな、数え切れないほど落ちて、それでも頑張って、先が見えてきたと思ったらまた奈落に突き落とされて、もう疲れた、お母さん、ごめんなさい、失敗してしまいました。
四月十日、はっきり言ってとてもつらいです、泣いても現状は変わらないですが、涙が自然に出てきてしまう。
きわめつけは五月二十三日の書き込みです。正直、大学では勉強とかより捏造スキルと面接スキルを磨き切った方がいいと思うよと後輩に伝えたい、勉強など就活の役に立たない、面接スキルや捏造スキル、つまり、やってもいないことをさもやってきたかのようにうそをつく能力を磨いた方が役に立つ、こういう書き込みまであるんですね。
大臣、こういう今の就活の理不尽さ、命まで絶ちたくなる学生の苦しみというものをおわかりになりますか。
○中川国務大臣 そのことについても内閣府の方で調査を入れていまして、これは十五歳から二十九歳までの三千人ぐらいの調査で、現在の就職活動などの採用の仕組みやあり方は適切かという問いに対して、そうは思わない、または余りそうは思わないと答えたのが四三・九%に及んでいるということも出てきております。
これは、企業、産業界ともさまざまにこれから話し合いをしていかなきゃいけないところだと思うんですが、若者の就職活動のあり方だけではなくて、適切な人材を採っていくという意味からも、春一回きりの一斉採用という形から周年採用に切りかえていくような形態が必要なんじゃないか、そんなことも議論が広がってきているというふうに認識をしております。
一回きりのチャンスではなくて、何回もチャンスはあるんだというふうな形は、今の時代になれば必要なんだというふうに思っておりまして、そういう意味では、さまざまに議論を重ねて、社会全体が新しいシステムに持っていく、そういう必要があると思います。
○宮本委員 相当精神的に追い詰められているわけですね。ここに本当に心寄せる必要があると思うんですよ。
死を選ばないまでも、就職の失敗が引き金となってひきこもりになる若者も少なくありません。これは、内閣府が二〇一〇年に公表した若者の意識に関する調査では、若者のひきこもりになったきっかけについて聞いているんですけれども、職場になじめなかった、就職活動がうまくいかなかったというのを合わせると四四%になりまして、それがきっかけで引きこもっているという若者も生まれているんですね。
同時に、経済的な負担も学生たちの将来不安に拍車をかけております。六月十一日の先ほど申し上げた特別委員会で私も指摘したんですが、日本に給付制奨学金がなくて、全てが借金になるため、奨学金を借りた学生の多くは、卒業し、社会人となったその初日から莫大な借金を背負わされている。月額十二万円というのが今最高額なんですが、十二万円を有利子で借りますと、返済総額七百七十五万円ですよ。社会人になった初日に七百七十五万円もの借金を背負わせている国というのは本当にひどいと指摘をいたしました。
私の質問を見た方からメールが来たんです。
六月十一日の国会中継を見ました。僕は静岡県で育ち、大学まで県内の学校に通いました。今は就職して三年目です。奨学金は高校と大学で借りていました。現在はそれらの返済が月三万円ほどあります。宮本さんが言ったことと同じことをずっと思っていました。僕は高校、大学に借金をつくりに行ったと思っています。家も貧しかったので、大学は行かず高卒で働こうと思っていましたが、家族の大学には行っておきなさいという言葉で、一応大学進学を決めました。しかし、僕の予想していたとおり、親は授業料を払えず、僕が奨学金とアルバイトでやりくりしました。学生時代も今も、働いて稼いでも奨学金の返済があります。こんなことなら大学に行かなければよかったと思います。
この若者は、私の質問がうれしかったと言い、今の日本にもこれからの日本にも全く期待していませんが、宮本さんのことは応援しますと。何とも、喜んでいいのか、本当に胸の痛むメールでしたよ。
高校、大学に借金をつくりに行ったようなものだ、大学に行かなければよかった、こういう若者の声に一体どう応えるのか。これは、文部科学大臣として給付制奨学金の概算要求をされた大臣ですから、お答えいただきたいと思います。
○中川国務大臣 私も、給付型の奨学金については、どうしても実現をして、芽出しの一歩もしたいということで頑張ったんですけれども、なかなか壁がその当時厚かったということなんですが、一穴はあけたんですね。
給付型という丸々にならなくても、所得連動返済型の無利子奨学金制度、こういうのができました。これは出世払い奨学金、私が名前をつけたんですが、出世払い奨学金で、ある程度、卒業してからしっかりと所得が一定のところで返してもらうというところまで待ちましょう、実質的には給付型と同じような効果を持っていくんじゃないかということで、ここについては大幅な拡充が行われておりまして、これを様子を見ながら、もう一頑張りしていくということだと思います。
○宮本委員 大臣、僕は、あの質疑でも安住大臣の答弁を聞いて、本当にふんまんやる方なかったんですよ、今大臣のおっしゃった出世払い奨学金という表現なんですね。
この所得連動返済型奨学金というのは、年収三百万に達しなければ猶予するという制度でしょう。つまり、三百万になったら返させるという話で、払わせるんですよ。出世払いと言うけれども、年収三百万が出世なのか。そんな、三百万ぐらいで出世と言われたら、本当にみんな頭にきますよ。
だから、ちゃんと安心して学べる、こんな、大学へ行かなきゃよかったとか、借金つくりに行ったようなものだと若者に言わせないような、ちゃんとした給付制奨学金をつくるべきだ、このことを重ねて申し上げて、きょうは時間が来ましたから、私の質問を終わらせてもらいます。