平成二十四年三月二日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 中井 洽君
理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君
理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君
理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君
理事 石破 茂君 理事 小池百合子君
理事 高木 陽介君
相原 史乃君 石関 貴史君
磯谷香代子君 今井 雅人君
打越あかし君 江端 貴子君
大西 健介君 奥野総一郎君
金森 正君 櫛渕 万里君
近藤 和也君 佐々木隆博君
阪口 直人君 杉本かずみ君
平 智之君 高邑 勉君
玉木雄一郎君 仁木 博文君
橋本 博明君 橋本 勉君
花咲 宏基君 馬淵 澄夫君
村越 祐民君 室井 秀子君
本村賢太郎君 山岡 達丸君
山崎 誠君 山田 良司君
湯原 俊二君 渡部 恒三君
赤澤 亮正君 伊東 良孝君
小里 泰弘君 金子 一義君
金田 勝年君 佐田玄一郎君
橘 慶一郎君 野田 毅君
馳 浩君 山本 幸三君
東 順治君 笠井 亮君
宮本 岳志君 石田 三示君
内山 晃君 三輪 信昭君
阿部 知子君 柿澤 未途君
山内 康一君 田中 康夫君
中島 正純君 浅野 貴博君
石川 知裕君 松木けんこう君
…………………………………
公述人
(奈良市長) 仲川 げん君
公述人
(公益財団法人日本国際フォーラム理事長) 伊藤 憲一君
公述人
(社団法人日本経済団体連合会経済政策委員会企画部会長)
(株式会社東芝取締役監査委員会委員長) 村岡富美雄君
公述人
(株式会社日本総合研究所理事) 湯元 健治君
公述人
(青山学院大学法学部教授) 三木 義一君
公述人
(株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長) 小室 淑恵君
公述人
(日本金融財政研究所所長) 菊池 英博君
公述人
(立正大学法学部客員教授) 浦野 広明君
予算委員会専門員 春日 昇君
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委員の異動
三月二日
辞任 補欠選任
大西 健介君 奥野総一郎君
岸本 周平君 阪口 直人君
馬淵 澄夫君 平 智之君
湯原 俊二君 本村賢太郎君
笠井 亮君 宮本 岳志君
内山 晃君 石田 三示君
山内 康一君 柿澤 未途君
中島 正純君 田中 康夫君
松木けんこう君 浅野 貴博君
同日
辞任 補欠選任
奥野総一郎君 大西 健介君
阪口 直人君 相原 史乃君
平 智之君 高邑 勉君
本村賢太郎君 湯原 俊二君
宮本 岳志君 笠井 亮君
石田 三示君 三輪 信昭君
柿澤 未途君 山内 康一君
田中 康夫君 中島 正純君
浅野 貴博君 石川 知裕君
同日
辞任 補欠選任
相原 史乃君 磯谷香代子君
高邑 勉君 橋本 勉君
三輪 信昭君 内山 晃君
石川 知裕君 松木けんこう君
同日
辞任 補欠選任
磯谷香代子君 岸本 周平君
橋本 勉君 馬淵 澄夫君
―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成二十四年度一般会計予算
平成二十四年度特別会計予算
平成二十四年度政府関係機関予算
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○中井委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 四人の公述人の皆さん、御苦労さまです。私、日本共産党の宮本岳志です。
まず、奈良市長の仲川げん公述人にお伺いをしたいと思うんです。
市長は先ほど、臨時財政対策債は、本来、交付税で入るべきものを地方の借金に押しつけているんじゃないかという御指摘もありました。
本来、交付税特会で国が借り入れて地方に保障していたものを、地方に臨財債という形で借りさせる。こういう議論をやったときに、私、ちょうど参議院の総務委員会で、本当にきのうのことのように思い出すんですけれども、そういうことをやると地方の財政がもうやっていけないじゃないかというふうに申し上げたら、当時の総務大臣が、いや、国もやっていけないんですよ、そう目の前でおっしゃったのをきのうのことのように思い出すんですね。
それで、ナショナルミニマムは、本来、国民の権利に差があってはならないというお話もありました。
言うまでもなく、地方交付税というものは、財政調整とともに財政保障の機能を持つ、これはもう当然の大原則でありますけれども、そういう点では、地方交付税というのは地方の財源ですから、これが足りないのであれば、本来、交付税法を変えて、税率の配分を変えてでもきちっと保障すべきだと私は思います。この点、市長のお考えをぜひお伺いしたいと思います。
○仲川公述人 地方財政計画を含め、地方の財源確保という観点でございますけれども、今御指摘のように、やはりナショナルミニマムという部分につきましては、特に、地方自治体間の財政格差が近年拡大をしているという状況もございますし、これからどんどん少子化や人口減少を迎える中においては、特にそういった部分の懸念が地方の首長の中でも広がってございます。
そういう意味では、国の責任において行うべき領域をしっかりと再定義していただいて、その財源をしっかりと確保していただく、これが、地方が安心して今後も継続経営をしていくための必要な条件だというふうに考えております。
○宮本委員 もう一問お伺いするんですが、市長は、小学校の全ての学年で三十人学級に取り組むということを公約に掲げて、既に徐々に始めておられると聞きました。本来、ことしは小学校二年生ということで国もやることを目指したんですけれども、残念ながら、義務教育標準法の改正は見送られて、加配で手当てをするということになりました。
市長が、そういう全学年での少人数学級ということを掲げられたのはどういう思いからか、そして、それがことしなかなか国においてはままならない、このことについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○仲川公述人 私も、マニフェストの中で三十人学級を実現すると掲げてございます。
先ほどの質問でもございましたが、OECD先進諸国の中でも教育投資の率が非常に低いというのが日本の特徴でございます。
全体の中で財源が厳しいということは当然ございますけれども、未来の世代に投資をとめてしまえばその国の未来はないというふうに考えておりますので、やはり子供たちが安心して教育を受けられる環境。そしてさらに、現場の教職員の方にとっても、三十人学級になりますと、私も現場を見ましたけれども、どの子供が消しゴムを落としたかということも先生は把握をできる状況でございます。こういったことは、わずかなことですけれども、次の日本をつくっていくために必ず必要なことだと考えております。
ただ、懸念をいたしますのは、国での今後の三十人程度学級、もしくは三十五人学級の進捗が、なかなか先が見えないということでございます。特に、既に先行して三十人学級等に取り組んでいる自治体に対しては、国の制度というのは追加的な財源が担保されないというような話も漏れ聞いてございます。このあたりはやはりしっかりと方向を示して、子供や保護者が安心できる環境をつくっていただきたいと考えてございます。
○宮本委員 ぜひ、そういう地方の思いを受けとめて国の制度として保障できるように、法律をきちっと改正することを含めて進めていきたいというふうに思っております。
そこで、次に、湯元公述人にお伺いをしたいと思うんです。
政府は、このたび、社会保障・税の一体改革ということを打ち出しましたけれども、先ほどのお話の中でも、社会保障の充実に充てられるのは、引き上げられる税率のわずか一%分、二・七兆円分しかない。これは実は、岡田副総理も我が党の質問に対してそう答弁をされました。残りは既存の社会保障の財源と置きかわるだけであるというふうに言わざるを得ないと思います。これでは、とても、社会保障の充実、一体改革ということにはほど遠いではないか。改革と言うけれども、改革の中身がないというふうに私たちは考えます。先ほどもそういうお話もあったかと思うんですが、公述人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○湯元公述人 今回の社会保障改革は、中身を見ますと、主として、格差是正対策それからセーフティーネットの強化、まさに現下の経済情勢に対して、所得の再配分や将来の安心を確保するための施策を盛り込んだというふうに私は認識しておりまして、そのための財源としてネットで二兆七千億円という計算を出したと思います。それ自体は合っている数字だろうと私は思っております。
さはさりながら、やはり社会保障の問題というのは、まさに少子高齢化が進む中で、当然、年金の部分だけが大きくクローズアップされているところはありますが、財源不足が深刻化しますのは、むしろ医療や介護、こういったところでありますから、これについても一定の手当てをしているというふうに私は思いますけれども、これで本当に十分かどうかというのは、甚だ難しい、不透明な面もあるのかなと思っております。
ただ、これも、問題が現実として浮かび上がってくるプロセスの中でそういったことに対する対応策というのをやっていかないといけないということですから、そうしますと、当然、追加的にどういうことをやるべきかということが、また二〇一五年度以降の改革議論の中で起きてくるのかなと思っております。
重要なことは、これはネットで二兆七千億ですから、本当は三兆八千億円分の充実をやるということで、見た目よりはそれなりのことをしっかりやっているということですが、減らすといいますか、重点化、効率化の方でしっかり一兆円余りのものを効率化しながらそれも財源として使う、これが本当にうまくできるかどうかというのが、きちっとできるかどうかにもかかわってくると思っております。
○宮本委員 深刻な財政危機ということは、これはもう当然議論をされているわけですね。それで、財政危機を考える場合に、私は、対GDP比で長期債務がどういう比率になっているかということが非常に大事だと思うんですよ。
先ほど、失われた二十年という話も経団連の方からもございました。日本の場合は、GDPがこの間全然伸びないというのがやはり非常に深刻で、ですから、そのままGDP比が悪化するという状況になっているわけですね。欧米などを見ても、借金はそれなりにふえている国もあるんですけれども、GDPが伸びているものですから、GDP比はそれほど悪化していないという状況もあります。
私たちは、日本のGDPが長期にわたって低迷、低落傾向にある最大の原因は、国民の所得が減って内需が冷え込んでいることにあるというふうに考えておりますけれども、このことについて、湯元公述人と日本経団連の村岡公述人のお考えをお聞かせください。
○村岡公述人 まず、財政の問題で申し上げます。
GDP比率が大事だというコメント、まさにそのとおりだと思います。今、日本は、おおよその値でGDPが五百兆円、債務が一千兆円ということで、二〇〇%の対GDP比率の債務を抱えているわけで、これはギリシャよりも高いというレベルになってございます。残高そのもの、これはGDP比率ですから、分子、分母の関係で、債務の方の増加額あるいは率、これはほかの国と比べて極めて高いわけではなくて、今おっしゃられましたように、GDPが落ち込んできている、名目GDPがこの二十年間で全く伸びていないということに起因するものであろうと思います。
したがって、私ども申し上げていますのは、名目GDPをいかに伸ばすかということが大事でありまして、実質GDPがプラスであっても、これはデフレの中でのプラスになるわけでして、デフレの中であれば、成長が伸びない、成長がないということだろうと思いますけれども、結果的にはそういうふうになっている。したがって、このGDPを伸ばしていくということが大事だろうと思います。
国民所得が減っているということに対しては、内閣府から資料も調査統計も出てございますけれども、労働分配率、これは決して落ちてはございません。
したがって、総給与が減っているとかいろいろ言われたりもしますけれども、所定外のところの賞与であるとか残業、これが今の低成長の中で減っておりまして、決して、賃金を抑制した結果とか、そういう所得のあれが減っていることではない。むしろ労働分配率は高目に、今大体七四、五%の労働分配率であって、失われた二十年のスタートする前よりは一〇ポイント近く上昇してございます。
○湯元公述人 御指摘のとおり、日本の財政赤字の悪化というのは、一つの要因としては、当然、GDPが名目でふえないということであります。もちろん、少子高齢化が進む中で特に社会保障経費が膨張しているということも同じく財政悪化の要因でありますから、それへの対応、プラス、名目GDPをいかに回復させるか。これは、イコール、我が国がいかにデフレから脱却するかを考えていかないといけないということだろうと思います。
デフレというのはさまざまな原因で起きているということが指摘されていますが、グローバルに、中国を初めとする新興国企業が世界市場に参入して、それと日本企業は競争をしていかないといけない、こういう厳しい環境であります。それに輪をかけて、歴史的な円高というような状況の中で、非常に厳しい競争を強いられてきていた。
そういう中で、実際に、もちろん賃金を何で見るかということにもよりますが、そういう競争の結果としては、それなりに賃上げの抑制等も行われてきたことは事実であります。所定内の賃金、給与とか、そういうものは結果的にはまだふえ続けておりますけれども、ボーナスのところは経済情勢が悪いときには落ち込んできたということがあります。
ただ、これは、企業側の賃上げに対するスタンスが不十分であるがゆえに内需が低迷し、それゆえにデフレが長期化している、そういうロジックではなくて、むしろ外部要因によってそういった競争環境の中でそういう状況が起きてきたということであって、大事なことは、名目GDPを回復させる、まさにデフレから脱却させる成長戦略というものを国家がしっかりとつくって、それを実行していくということが非常に重要だと思っております。
○宮本委員 総務省の家計調査を見ましても、勤労世帯の可処分所得というのは、一九九〇年の五百二十九万から、二〇一〇年、二十年後には五百四万。可処分所得が減っている。この間には、九七年のピークは五百九十六万ですから、百万近く下がっているんですね。だから、内需が本当に冷え込んでいる原因というのはここにあると私たちは思うんですよ。
それで、先ほど村岡公述人の方からは、不安が消費マインドを冷やし、内需拡大を阻んでいて、ますます経済成長率が下がっているんだ、こういう話がありましたけれども、そういう点では、その不安の中には雇用不安というものを含んでいるわけでありますし、こういう形で非常に可処分所得が下がっているのは、非正規労働が蔓延化し、そしてそれが、景気の動向が一たび悪くなればすぐに非正規切りという形であらわれる、こういうことにも一つの原因がある。やはりここから立て直さなければ、本当の内需拡大には向かわないんじゃないですか。村岡公述人、いかがですか。
○村岡公述人 先ほど申し上げましたように、一人当たりの所得が確かに減ってございます。ただ、これはいろいろな要因がございまして、例えば、働き方の多様性、非正規化、こういった方々がふえている、あるいは定年延長、六十歳以降の働かれる方、この方々の比率もふえてきているということで、一人当たりは確かに落ちてきているところもあります。ただ、同じ世代で見た場合に、その人個人個人で見た場合に減っているかというと、必ずしもそうではないということだと思います。
ただ、先ほど申し上げましたように、低成長によりまして残業が減っている、あるいは賞与が減っている、そういったことで減っているところはございます。これは、私が先ほど申し上げましたように、成長戦略を推進して、ここのところでふやしていくべきだというふうに考えてございます。
○宮本委員 持ち時間の関係で伊藤公述人には御意見を伺うことができず、申しわけございませんでした。
以上で終わらせていただきます。