平成二十三年十月二十六日(水曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 石毛 えい子君
理事 金森 正君 理事 田島 一成君
理事 高井 美穂君 理事 松本 大輔君
理事 村上 史好君 理事 馳 浩君
理事 松野 博一君 理事 池坊 保子君
相原 史乃君 石井登志郎君
石田 三示君 石原洋三郎君
大山 昌宏君 岡本 英子君
奥村 展三君 川口 浩君
城井 崇君 笹木 竜三君
瑞慶覧長敏君 杉本かずみ君
高野 守君 橘 秀徳君
道休誠一郎君 中島 政希君
中屋 大介君 永江 孝子君
皆吉 稲生君 室井 秀子君
本村賢太郎君 吉川 政重君
笠 浩史君 和嶋 未希君
あべ 俊子君 甘利 明君
遠藤 利明君 河村 建夫君
木村 太郎君 下村 博文君
田野瀬良太郎君 永岡 桂子君
古屋 圭司君 富田 茂之君
宮本 岳志君 城内 実君
土肥 隆一君
…………………………………
文部科学大臣 中川 正春君
内閣官房副長官 齋藤 勁君
文部科学副大臣 奥村 展三君
文部科学副大臣 森 ゆうこ君
国土交通副大臣 松原 仁君
内閣府大臣政務官 郡 和子君
内閣府大臣政務官 園田 康博君
文部科学大臣政務官 城井 崇君
文部科学大臣政務官 神本美恵子君
会計検査院事務総局第四局長 太田 雅都君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 沖田 芳樹君
政府参考人
(公安調査庁総務部長) 景山 和彦君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 石兼 公博君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 齋木 尚子君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 磯田 文雄君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 合田 隆史君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 布村 幸彦君
政府参考人
(国土交通省航空局航空ネットワーク部長) 篠原 康弘君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 鷺坂 長美君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 西 正典君
政府参考人
(防衛省運用企画局長) 松本隆太郎君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
十月二十六日
辞任 補欠選任
石田 三示君 吉川 政重君
岡本 英子君 橘 秀徳君
笹木 竜三君 道休誠一郎君
高野 守君 皆吉 稲生君
あべ 俊子君 木村 太郎君
同日
辞任 補欠選任
橘 秀徳君 岡本 英子君
道休誠一郎君 相原 史乃君
皆吉 稲生君 高野 守君
吉川 政重君 石田 三示君
木村 太郎君 あべ 俊子君
同日
辞任 補欠選任
相原 史乃君 笹木 竜三君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○石毛委員長 次に、宮本岳志さん。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
東日本大震災から七カ月がたちましたが、生活の再建は遅々として進んでおりません。教育の分野でも、余りに大きな規模の被害であり、現行の制度だけで済ませるのではなく、国が全面的に支援することが求められております。さまざまな課題がありますけれども、緊急の課題として、大学入試センター試験の問題についてお聞きしたいと思います。
震災の影響により、従来の試験会場では試験実施が困難な地域が現にあるのではないかと思うんですね。福島、宮城、岩手の三県で、試験会場の変更や新たな試験会場の設定は、現状、どうなっているか。これは高等教育局からお答えいただけますか。
○磯田政府参考人 大学入試センター試験は、大学入試センターと大学が共同して実施する試験であり、試験会場の設置につきましては、各都道府県単位で、教育委員会や高等学校長会等の意向を踏まえつつ、大学が定めております。
今御指摘がございました被災を受けました三県におきましても、対応が検討されておりまして、北から、岩手県におきましては、昨年度までの会場で使用できない一カ所につきまして会場変更、さらに新たに会場を一カ所設置するということで、昨年度より一カ所増の七会場にて行う予定としております。
それから宮城県につきましては、これは現段階ですけれども、昨年度と同じ会場、十一カ所にて実施予定でございますが、一部、意見が、調整に今時間がかかっているものがございます。
それからもう一県、福島県におきましては、昨年度と同様に、計七会場で実施予定でございますが、昨年度までの会場で使用できない一カ所について、これも会場変更を行う予定でございます。
○宮本委員 昨年やれなかったところは会場変更する、岩手では一カ所ふやす、こういう状況でありますけれども、宮城なんですね。
十月二十四日の復興特でも議論になりましたけれども、文部科学大臣あてに宮城県気仙沼高等学校のPTAから、試験会場の気仙沼市内での設置を求める嘆願書が提出されております。一昨日の高等教育局長答弁では、いろいろ難しい面はあるが、被災受験生の進学機会を確保する、これを基本に、どのような措置が可能か、地元を含めた関係者で検討を進めているということでありました。
嘆願書を読みますと、季節はインフルエンザの流行する一月半ば、さらに大雪の年も少なくありません、こう述べて、他の受験生が受験当日の朝、自宅で朝食をとり、家族に見送られて家を出るのに対し、気仙沼、本吉、南三陸地区の受験生のほとんどが、見知らぬホテルでよく眠ることもできないまま、不安を抱えながら会場に向かうのです、健康面、費用面、交通事情など、不利な状況が多い中、親も子供たちも、大学入試センター試験でいつもどおりの実力が出せるのかどうか、とても心配しておりますと切々と訴えております。
気仙沼には、気仙沼高校を初め、会場となる場所はあるんです。文科省からも、気仙沼高校なら予想される二百数十名規模の試験会場を設置することは物理的には可能だとの回答を得ました。
大臣、これは、親の気持ち、それから子供たちの気持ちに寄り添って解決すべきだと思いますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○中川国務大臣 この問題について、先般の復興特で、たしか自民党の小野寺議員だったと思うんですが、同じような御指摘をいただきました。その後、すぐに、それが可能である状況をつくるべく努力をしなさいということで指示をしまして、その話し合いが今なされているというふうに思います。
○宮本委員 ぜひ親御さん、子供たちの最善の利益というか、その思いにこたえて、対応していただきたいと思います。
次に、教科書採択について質問いたします。
まず、原則論を大臣に確認したいんですが、教科書採択は、子供の最善の利益の立場に立って、その地域、学校の子供たちの学習に最もふさわしいものを教育の観点から選んでいくことにその重要な核心がある、私はこう思いますけれども、これは大臣、よろしいですね。
○中川国務大臣 教科書の採択は、教科書が主たる教材として学校教育において重要な役割を果たしているということにかんがみて、地域の教育を行う上で適切と思われる教科書を選んで、採択権者の権限と責任により行うことが必要であるというふうに思っています。
○宮本委員 子供のためにやはり最善のものを選ぼうと思えば、現場で教えている教師が積極的な役割を果たすことは欠かせないと思うんです。これは、国際的にも以前から確認されている原則なんですね。
具体的には、一九六六年十月五日、日本政府代表も賛成して採択をされました、ユネスコ、教員の地位に関する勧告、パラグラフ六十一、ここに持っておりますけれども、「教員は、生徒に最も適した教具及び教授法を判断する資格を特に有しているので、教材の選択及び使用、教科書の選択並びに教育方法の適用にあたって、承認された計画のわく内で、かつ、教育当局の援助を得て、主要な役割が与えられるものとする。」こう明記をしております。
文科省はもちろんこの勧告を尊重するということで、大臣、よろしいですね。
○中川国務大臣 そういうことです。
○宮本委員 いい教科書選びのためには、その科目を実際に教えている教員が積極的な役割を果たすのは当たり前であって、そのために、教科書調査員や学校の意向表明など、さまざまな創意や工夫が凝らされてまいりました。
民主党の政策集、インデックス二〇〇九には、「教科書採択にあたっては、保護者や教員の意見が確実に反映されるよう、現在の広域採択から市町村単位へ、さらには学校単位へと採択の範囲を段階的に移行します。」こう書かれております。
また、これは、ある政令市の教育委員を経験された方が書かれたものでありますけれども、「教員出身の私でさえ専門教科の社会科以外、完全に理解して採択に臨んだとは到底言い難い。 本当の意味で判断できるのは、実際に日々子供と向き合っている、その教科を専門とする教員以外にいない。」こう断言をされております。
大臣、教科書採択について教員の意向が反映されるようにするのは当然だと私は思いますけれども、いかがですか。
○中川国務大臣 教科書の採択のあり方は、インデックスの中に述べられているもの、これは将来の検討課題として私たちも意識をしていきたいと思っています。
現在においても、教員、校長、あるいは教育委員会関係者及び保護者など、こういう幅広い意見を聞きつつ、最終的には、さっきも申し上げました、法律に基づく採択権者の権限と責任において採択が行われるものであるというふうに理解をしております。
○宮本委員 民主党も、教科書採択に当たっては、保護者や教員の意見が確実に反映されることが望ましい、こういうふうに言っておられるわけでありますけれども。
ちなみに、大臣、先ほどの、教科書を本当に判断できるのは現場の教員以外にない、こう断言された教育委員経験者とはだれだかおわかりになりますか。
○中川国務大臣 いや、ちょっとわかりません。
○宮本委員 この方は、自民党の義家弘介参議院議員、このモクという雑誌ですけれども、この雑誌のことし六月号に書いてあることです。
教科書採択に当たって、教育現場の声、教員の声が反映されるべきというのは、民主党のインデックスでも、そして自民党の義家議員も、教員こそ教科書のよしあしを判断できると、ことしの六月の文書で断言をされているわけですね。
ところが、この当たり前のことが守られずに混乱が引き起こされている地域があります。先ほど来議論になっている八重山教科書採択区であります。
八重山採択地区では、採択協議会の玉津会長が、極めて強引な形で協議会の規約を選定手続途中で改定をして、協議会メンバーから教育の専門職など、現場サイドを外してしまいました。これには県教委もやり過ぎだと思ったのでしょう、八月三日に、採択地区協議会の適正かつ公正な運営についてという要請を出し、協議会メンバーに校長や指導主事を追加し、教育専門家の意見を役立てることを要請いたしました。しかし、玉津会長は取り合いもしなかったわけであります。
当然、教科書調査員からは一人たりとも育鵬社を推薦する声は上がりませんでした。現場の教員はもとより、八重山のPTA協議会も育鵬社反対の意思表示をいたしました。それを強引に、八月二十三日、育鵬社の公民教科書を答申したというのがこの間の経緯でありまして、琉球新報九月七日付の県内世論調査を見ましても、育鵬社を含むつくる会系教科書を採択してほしくないという住民は六一・三%に上り、採択してほしいというのはわずか五%にとどまっております。
大臣、まず、なぜここまで沖縄で、今回答申された育鵬社の教科書に対する反対の声が高いか、おわかりになりますか。
○中川国務大臣 これまでの沖縄というところが置かれた歴史的な経緯、その中にある一人一人の国民の気持ちというのが、その中に反映をされているんだろうと思います。
もう一方で、尖閣列島を初め、さまざまに今事象が起きておる。いわゆる中国を意識した一つの議論というものがあって、そのはざまの中で恐らく今の教科書についての選択肢というのが反映された議論があって、難しいところに来ているんだろうというふうに思っております。
○宮本委員 それは本当に沖縄の心だと思うんですね。歴史上の事実をしっかりと見なければなりません。
沖縄の地上戦では、日本軍による住民のガマ追い出し、食料強奪、スパイ嫌疑による虐殺、軍命による集団自決、八重山ではマラリア有病地への強制疎開など、本土と違う苛烈な戦争の惨劇がありました。かつて大問題になった集団自決の軍関与という問題も、大江裁判で、ことし四月二十一日、最高裁は上告を棄却して、日本軍の関与を認める判決が確定しております。
ところが、この公民ではありませんが、この育鵬社の歴史教科書では、「米軍の猛攻で逃げ場を失い、集団自決する人もいました。」と、軍の関与には一切触れられておりません。こちらの公民の教科書では、大日本帝国憲法を、「この憲法は、アジアで初めての本格的な近代憲法として内外ともに高く評価されました。」と持ち上げておりますけれども、その旧憲法のもとで、沖縄の人々は方言や歌まで厳しく禁じられるなど、皇民化政策、こういうものが強要され、沖縄戦では多数の人々が犠牲になったわけであります。
大臣、こうした歴史を踏まえた教科書を求める沖縄県民の心情、その心情については御理解いただけますか。
○中川国務大臣 ここについて、専門的な教科書研究を踏まえる一方で、保護者等の意見も取り入れる工夫など、開かれたものになるように工夫しつつ、最終的には、これも採択権者がどこかで決定をしていかなければならないということだと思います。
そういう意味で、何とか話し合いの上でコンセンサスをつくるようにということを、これまで県教委に対しても私どもも指導をしてきたところであります。
○宮本委員 県民の多くがこぞって反対しているものをひっくり返すには、それ相応の教育的な検討が欠かせないはずであります。
ところが、九月十六日の琉球新報によりますと、八重山採択地区協議会の玉津会長は、七月十九日の協議会連絡会で、九教科十五種目、百三十冊超の教科書をすべて読み込めないと発言した委員に対して、すべて読んでいなくても読んだと言えばいいと発言しております。そして、問題の公民教科書については、育鵬社に賛成した石垣市の教育委員は、公民はほとんど目を通していないので判断できないと、大勢が傍聴していた九月の三市町の教育委員会協議の場で公言をしております。
現地でだれも推薦していない、教科書調査員のただの一人も推薦しない教科書を、他の教科書を全く読まずに選ぶというのは余りにもおかしいと思うんですね。
大臣、教科書採択地区協議会というものは、教科書を読みもせずに答申を出していいと思われますか。
○中川国務大臣 その辺のことについても、県の教育委員会の方から報告を求めて、そして、それぞれ手続にのっとった形で結論を出していってほしいということを言っております。
改めて、今回、私どもが出した結論といいますか方向性について、最終的にそれぞれがコンセンサスをつくっていって、一つの形でまとまっていくように、もう一回指導をしていきたいというふうに思っています。
○宮本委員 手続にのっとった形でと言うけれども、この強引な運営は、そういうものとなっていないんだということが現場の声なんですね。
それで、先ほど紹介した自民党の義家参議院議員、同じ文書の中で、私も教育委員として教科書採択にかかわった経験を持っている、その経験からいうならば、そもそも教育委員が、すべての教科書を細かく熟読、比較検証し、児童生徒の現状も考慮して、数多くの教科書の中から最良だと思う一冊をそれぞれが選び、民主的な手続の中で採択するなんて作業ができるわけがないと述べておられます。やはり専門家たる教員の意見をきちんと尊重すべきだということなんですよ。
それで、改めて原則に戻って、教科書採択地区協議会についてお伺いをしたいと思います。しばらくは事務方にお答えいただきたいんですが。
まず、基本ですけれども、この教科書採択地区協議会が協議をしてまとめるもの、これはあくまで答申であって、採択ではありませんね、初中局長。
○山中政府参考人 お答え申し上げます。
採択地区協議会は、一般的には、採択地区内の小中学校が使用する教科書、これについて調査研究を行いまして、各教科種目ごとに一点にまとめて、これを採択地区内の教育委員会に対して、答申ですとか報告ですとか、いろいろな形がありますけれども、そういうことで出して、結論を出すということでございます。
採択地区内の公立の小中学校、ここで使用する教科書の採択につきましては、例えばこのような採択地区協議会の答申を踏まえるとか、いろいろなことがございますけれども、その答申等の取り扱いも踏まえ、採択地区内の市町村協議会が協議した結果に基づきまして、種類ごとに、種目ごとに同一の教科書を採択するということになります。
それをどういうふうに取り扱うかというところは、協議した結果に基づいて決めるということになるということでございます。
○宮本委員 大事なところなんですよ。
この採択地区協議会がまとめたものは答申であって、採択ではないですねと申し上げているんです。もう一度。
○山中政府参考人 そこで協議した結果に基づいて、複数の町村等が採択する場合には、一種類の教科書を採択するということになります。採択するのは、教育委員会の方で採択するということになる。その場合、複数の市町村が一つの採択地区をやっている場合には、一つの教科書を採択するということになるということでございます。
○宮本委員 後々の質問を想定して、妙な答弁をされても困るんですが。
これは、つまり、教科書採択地区協議会が協議をして、例えばこの八重山の場合に、八月二十三日にまとめたものは答申なんですね。採択は各市町村教委がやると。もうそのとおりなので、ぐじゃぐじゃと言う必要はないと思うんですけれども。
この答申は、市町村教育委員会の採択を拘束いたしますか。イエスかノーかで。
○山中政府参考人 これは拘束するということではなくて、例えば採択地区内の公立の小中学校において、採択地区協議会の出した答申とは別の教科書というものを市町村教育委員会が協議して採択するということはあり得るということでございます。
○宮本委員 要するに、拘束しないんですね。再度。
○山中政府参考人 拘束するかどうかを含めて、それは採択地区内の教育委員会が決めたところに従って行うということになります。
○宮本委員 拘束するわけないんですよ。
答申と採択は別物ですね。答申と採択は別のものですね、初中局長。
○山中政府参考人 答申は採択するに至る一つの過程でございまして、それは別のものでございます。
○宮本委員 当たり前なんです。
実際に教科書採択地区協議会の答申と違う教科書を採択した事例はあります。二〇〇九年、愛媛県今治市で採択地区協議会の答申と違う教科書を採択いたしました。中学校歴史の教科書でありますけれども、どこの教科書会社の答申が出て、実際、採択はどこの教科書会社を採択したか、初中局長、お答えいただけますか。
○山中政府参考人 平成二十一年の中学校の歴史分野の教科書採択でございますけれども、今治地区の教科用図書採択協議会、ここは東京書籍を選定いたしましたが、今治市それから上島町の教育委員会、これは協議の結果、扶桑社を採用したというふうに承知しております。
○宮本委員 東京書籍の答申があったが、採用は扶桑社を採用したということであります。
ところで、確認しますけれども、この答申と違う採択をした今治市、ここで教科書は無償給与されておりますね。
○山中政府参考人 これは、この採択地区において同一の教科書が採択されておりますので、これについては無償給付されております。
○宮本委員 先ほど大臣は、文科省としては、八月二十三日に出された八重山採択地区協議会の答申及び八月三十一日の同採択地区協議会の再協議の結果が協議の結果であって、それに基づいて採択を行った石垣市と与那国町に対しては教科書の無償給与をし、協議の結果に基づいて採択を行っていない竹富町教育委員会については国の無償給与の対象としない旨の答弁を行いました。
おかしいんじゃないですか。今確認したように、今治では答申と違う採択を行っても無償給与されております。なぜ今回、竹富町だけ無償給与しないんですか。
○中川国務大臣 さっきの議論のように、一つの地域としてまとまって答申と違う教科書が選ばれたということについては、これは一つの地域でまとめて採択権者が文科省に報告があって、それを給付したということですね。
今回は、一つの地域がまとまらなかったということ、それに対してどうしていくかということで、正当に、この八月二十三日と八月三十一日、これはいわゆるデュープロセスといいますか、手続に従ってなされた協議の結果、育鵬社として教科書が決まってきたということでありますから、それを受けた形で我々は執行していくということでありまして、それを竹富町がそのまま受けてくれたらもうそれでいいわけです。
ところが、それは受けずに、別個の判断をしていくということをいまだ言っておられるので、もう少しそこのところは努力をしてくださいと県の教育委員会に申し上げているというところであって、それが最終的にどこで落ちつくかということを想定した上で、後の対応というのは、子供に支障のない形でということを考えていった場合には、これは竹富町自身の責任でもってそこを解決してもらうということになるでしょうということ、これを申し上げたということです。
○宮本委員 答申どおりの採択でないからではないんだ、同一になっていないからだというふうにおっしゃる。
無償措置法第十三条の四は、「当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない。」と述べておって、同一のものになっていないということでいえば、石垣や与那国も、この採択地区は同一のものになっていないという点では、竹富が現に同一になっていないという点では同じことなんですよ。そこだけ無償給与して、そして同一になっていないある一方だけ無償給与から外すというのは、つじつまが合わないんですよ。
大体、八月二十三日の答申の結果というものは、先ほど私が申し上げたように、現場の教員の意見も聞かず、強引な運営で決めたものなんです。だからこそ、三市町の全教育委員十三人が集まって採決すれば、否決されるようなものなんですね。ですから、いずれにせよ、これは八重山地区の皆さんや沖縄県教育委員会が、この間、何とか、地区内の同一採択を実現するように、無償措置法に言う協議を行ってこられたんです。
先ほどの大臣の答弁もありましたけれども、協議を行うことについては決して大臣も否定しない、協議して同一になればそれにこしたことはない、これはよろしいですね。
○中川国務大臣 その努力を続けてもらいたいということには違いないということですが、さっきの私の話は、この八重山採択地区協議会の規約にのっとって採択地区協議会で出された結論、これは多数決なんですね。八月二十三日の八重山採択地区協議会の答申、そして八月三十一日の再協議の結果というのが育鵬社という形で出てきたということですから、それに従った手続を文科省としてやっていくということ、これが原則になっていきます。
○宮本委員 だから、先ほどの質問でも、違法状態という答弁をせざるを得なくなるわけですよ。この十三条の四に照らせば、何も竹富だけじゃないですよ、他の二つだって同一になっていないという点では一緒じゃないかという議論になるんですよ。
それで、現地は、九月八日に全教育委員が集まって協議をした。文科大臣はそれを協議が調っていないと言っておりますけれども、現場にいた県教委は有効だとしております。この協議には多くの傍聴者がいて、すべての発言を聞いております。私もその様子を起こしたものを全部読ませていただきました。
会議は、各教育委員長に招集権限があると、石垣市の仲本教育委員長の言葉で始まっております。法にも理にもかなったスタートであります。
そして、どういう協議の仕方をするかを各教育委員会で分かれて話し合い、竹富町と与那国町が全員でやろうと。石垣市は対案なし。それを改めて持ち寄った場で、二つの教育委員会が全員、一教委が対案なしなので、全員の協議で進めようとなったわけです。そのとき司会をしていた竹盛竹富町教育委員長の全員でということでという呼びかけに、出席者から、はいという返事があり、嫌だという返事はなく、全員で協議が進められていきました。
こういう努力にずっと反対したのが、協議は無効と文科大臣に文書を出した二人の教育長であります。教育委員全員の意思でいえば自分たちが少数になるので、多数決は嫌だと逃げ回ったというのが、この日の状況、様子なんですね。
その九月八日の協議を無効と決めつけるばかりか、先ほど指摘したとおり、問題の多い答申を絶対視して、答申どおりの採択をしない竹富町を違法とし、無償給与からも外してしまう。こんなでたらめなやり方は絶対に認められない。
子供たちのための教科書を、教育の専門家の意見を反映させてきちんと選んでいくことを強く求めて、私の質問を終わります。
○石毛委員長 次に、城内実さん。