平成二十三年十月二十五日(火曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 稲津 久君
理事 川村秀三郎君 理事 笹木 竜三君
理事 竹田 光明君 理事 道休誠一郎君
理事 柚木 道義君 理事 あべ 俊子君
理事 松浪 健太君 理事 池坊 保子君
相原 史乃君 岡田 康裕君
岡本 英子君 川口 浩君
阪口 直人君 高橋 英行君
橘 秀徳君 富岡 芳忠君
畑 浩治君 松岡 広隆君
三宅 雪子君 室井 秀子君
森山 浩行君 山崎 摩耶君
山田 良司君 山本 剛正君
湯原 俊二君 小渕 優子君
棚橋 泰文君 馳 浩君
宮本 岳志君 吉泉 秀男君
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国務大臣 蓮 舫君
内閣府副大臣 中塚 一宏君
厚生労働副大臣 辻 泰弘君
内閣府大臣政務官 郡 和子君
内閣府大臣政務官 園田 康博君
文部科学大臣政務官 城井 崇君
政府参考人
(内閣府沖縄振興局長) 竹澤 正明君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 岩瀬 充明君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 團藤 丈士君
政府参考人
(法務省矯正局長) 三浦 守君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 徳久 治彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 尾崎 春樹君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 有松 育子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 桑田 俊一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 石井 淳子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房統計情報部長) 伊澤 章君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局長) 木倉 敬之君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 山崎 史郎君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 岡田 太造君
政府参考人
(経済産業省大臣官房技術総括審議官) 西本 淳哉君
衆議院調査局第一特別調査室長 横尾 平次君
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委員の異動
十月二十五日
辞任 補欠選任
橘 秀徳君 相原 史乃君
初鹿 明博君 高橋 英行君
同日
辞任 補欠選任
相原 史乃君 畑 浩治君
高橋 英行君 阪口 直人君
同日
辞任 補欠選任
阪口 直人君 山本 剛正君
畑 浩治君 岡本 英子君
同日
辞任 補欠選任
岡本 英子君 橘 秀徳君
山本 剛正君 岡田 康裕君
同日
辞任 補欠選任
岡田 康裕君 初鹿 明博君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
青少年問題に関する件
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○稲津委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
東日本大震災から七カ月、震災による影響は、被災地を含め、多くの子どもたち、若者たちを取り巻く状況に今なお暗い影を落としております。復旧復興の希望である子どもと若者を社会全体で支えていくことが改めて求められていると思うんです。そのために、私たち日本共産党も、本委員会において全力で奮闘することをまず申し上げて、質問に入ります。
まず、学童保育の問題についてお伺いいたします。
被災地の学童保育の現在の状況について報告をしていただきたい。あわせて、学童の復旧に向けてどのような支援を行っているか、御答弁願えますか、厚生労働省。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
放課後児童クラブの被災状況でございますが、岩手、宮城、福島の三県で二百三十六施設が何らかの被害を受けたとの報告を受けております。九月一日現在で大部分の施設が再開をしたとの報告もあわせいただいているところでございます。再開をした施設数は二百二十五カ所でございますので、九五%が既に再開をしたという状況でございます。
放課後児童クラブの復旧復興については、被災をした放課後児童クラブの復旧に係る施設整備に対する補助率を引き上げる、通常二分の一でありますのを三分の二に引き上げるとともに、被災した施設の復旧に要する初期契約費用、再開等準備経費、定額でございますが、それにつきましても補助を実施して支援をしているところでございます。
○宮本委員 二百三十六が二百二十五ということですから、差し引き十一の減。やはり被災による影響があると思うんですね。
それで、陸前高田市の学童保育に子どもを通わせているある保護者からは、津波から七カ月たったが、全壊したにこにこ浜っこクラブは遠く離れた隣の学区にある公民館で再開、同じく全壊したリトル学童クラブは、分割前のクラブに戻り合同で生活、早く安全な場所に移りたいと願っているが、学童クラブを建設する平地がほとんどない、市は学校や保育所の用地確保に奔走しているが、父母会運営の学童クラブの用地確保までは手が回っていない、こういう声が届いております。
調査できなかった市町村、先ほどの調査は幾つかの町でできていないと思うんですけれども、そういう市町村についても状況をしっかり把握して、一刻も早く安心して再開できるような対策を、支援を始めることが求められていると思います。
私も被災地の幾つかの学童保育の指導員の方からお話を伺ったんですけれども、被災地では生業、なりわいの再建が進まないもとで、仕事もない、収入もないという状態が長く続いております。退所する子どももふえて、子どもの数も減っております。そうした状況が保育料の支払いにも影響し、ひいては学童保育の指導員の給与支給さえ危ぶまれるという状況も聞いております。
被災地の学童保育においては、保育料の減免を大至急検討すべきだし、保育料収入に頼らなくても安定的な運営と指導員の雇用を保障し続けることが可能なように、補助金の額の引き上げや負担率の見直しなどに早急に着手すべきだと私は考えるんですが、これも厚生労働省から御答弁をいただきたいと思います。
○石井政府参考人 被災地の放課後児童クラブの運営費でございますけれども、まず、被災によって登録児童数が減少するところが出ております。そうした場合でありましても、国庫補助は減額しない取り扱いとしているところでございます。
また、クラブの運営主体と指導員の雇用契約が継続をしていて、指導員の職務として、その職員が仮設の放課後児童クラブの実施とか、あるいは放課後児童クラブの再開に向けた開設準備、そうしたような仕事に従事している実態がある場合には、クラブは運営されているものというふうにみなしまして、補助の対象としているなど、ここは補助金の特例を設けて被災地の支援はしているところでございます。
お尋ねの保育料の減免でございますけれども、実は放課後児童クラブの利用料につきましては、国として特段の基準は示しておりませんで、クラブの実施主体の判断でそれぞれに設定をされている、そういう意味では、非常にばらつきが多いという状況になっております。また、その水準も大体月額四千円から八千円、これをどう見るかという評価はあるわけでございますが、保育所の保育料と比べますと、それに比べたら必ずしもそれほど多くないというふうな状況もございまして、現段階におきましては、保育料においては減免の仕組みをつくっておりますけれども、そういった仕組みを設けることは、整理しなければいけない問題がなかなか多いということで、特段の措置は講じていないという状況でございます。
○宮本委員 相当大変な状況ですから、こういう被災の実態に即してしっかり検討してほしいと思うんですね。
それで、ソフト交付金への積み増しをするという方法もあると思うんです。私は文部科学委員会に所属しておりますけれども、収入減となった私立学校に対して、私学助成を積み増して渡すなどの支援を文科では考えているわけでありまして、他省の施策なども大いに研究していただいて、何らかの支援策を研究していただきたいというふうに思います。
被災地の中でも、福島の学童保育は、復旧復興に向けた努力と同時に、放射能との葛藤、闘いが続いているわけですね。福島市内でも、放射線量の高い渡利地域にある学童保育きりん教室では、独自に表土除去や夏休み期間中に近接する小学校敷地内に緊急移転することなどの取り組みを行ってまいりました。しかし、二学期を迎えても依然として室内放射線量が高いことから、再び小学校敷地内の緊急移転も検討しているということでありました。この学童保育で働く指導員は、転校した子どももいるんだけれども、目の前にここを必要としている七十名を超える子どもたちがいる、自分たちの仕事は、保護者が仕事を続けられるようにその家族の安定した生活を守る役割があるんだ、この地で学校に通う子どもたちと、不安の中働き続ける保護者を励まし、応援しながら頑張っていきたい、そう語ってくれました。
子どものいる場所だけという点の除染だけではなくて、やはり地域全体という面での除染を急がねばならぬと思うんです。最終的には、事故前の地域、学童保育に戻して子どもたちに返す、こうした立場で国が責任を持って取り組んでいくべきだ、これは政府の構えとしてはそうでなきゃならぬというふうに思うんですが、これは大臣の御認識をひとつお伺いしたいと思います。
○蓮舫国務大臣 非常に重い質問だと受けとめております。
今は放課後児童クラブに限っての御質問ではございましたけれども、特に福島におかれましては、クラブのみならず、子どもたちの生活圏として、震災前、そこに暮らしがあったわけです。そこに生活があったわけです。子どもたちの笑顔があったわけで、子どもたちの話し声があって、活気があったものが、今、大変残念ながら事故がまだ収束に向かっていないということで福島県外に一時的に避難しているお子さんあるいは御家族がおられますので、政府としては、一日も早く事故を収束させる、そして福島にもとの生活が戻るための最大限の努力をする、一人でも多くの方がお戻りをいただくために除染に最善策をとっていくという姿勢は変わらないと思っております。
○宮本委員 私がお伺いした福島県の南相馬市の除染対策室ですけれども、点での除染では放射線量がまた上がってしまう、だから、この線量だから安全と、それではまだ説明できないんだ、やはり面できちっと進めてほしいということなので、調査と除染を一体に行いながら、本当に面で除染を進めていただきたいというふうに思います。
それで、学童保育の拡充が必要という点では、沖縄を欠かすことはできません。私も、先ほど来議論があった、本委員会のメンバーで、超党派で、沖縄へのスタディーツアーに行ってまいりました。あべさんや馳さんと一緒に行ってまいりました。午前中の馳委員からの質問もございましたし、先ほどあべ委員も触れられましたけれども、昼休みに少し聞いておりますと、行っておられない委員の方々もいらっしゃって、これはひとつ委員会として沖縄に派遣で視察に行こうじゃないかという声も出ておりました。
ここは委員長に御提案でありますけれども、ひとつ委員派遣の件について御検討いただけますでしょうか。
○稲津委員長 後ほど理事会にて協議をさせていただきます。
○宮本委員 私、聞いてきたんですが、那覇市内にある学童保育では、民間のアパート四部屋分を借りて保育をしている。現場も見てきました。近くに外遊びできるスペースがないことから、そのうちの一室でボール遊びをさせているんです。壁もぼろぼろ、電灯もばりばりという状況でありましたけれども、別の学童保育は、幼稚園の空き教室を借りて開設していたものの、老朽化のためにやむなく移転、移転先は小学校の理科室で、毎日授業が終わると指導員が理科室の机やいすを片づけて、学童保育室に仕立てて保育を行い、保育が終了すると再び理科室に戻す、これを毎日繰り返しておられるわけです。
本土では、学校敷地内や学校の余裕教室での学童保育が主流となりつつありますけれども、那覇市内で三十カ所以上あると言われる学童保育のうち、学校敷地内に専用スペースが確保できているのはわずか一カ所で、それもことし四月から使用を始めたばかりです。
関係者からは、全国では公立が八割を超えるのに対し、沖縄県全体で二百カ所を超える学童保育の九割強が民立民営であることから、学童保育としての施設確保が非常に大変だ、こういう声も聞きました。全国平均に比べ、倍近い保育料、一万円を超える高額な保育料負担になっている、これも事実なんですね。所得の少ない家庭や一人親家庭の子どもたちが学童に入れないという状況もございます。
これは、アメリカ軍による統治という歴史的背景があるとはいえ、どこに住んでいても小学生の放課後の生活は同じように保障されるべきだというこの立場、先ほど大臣も、子どもは生まれる場所は選べないとおっしゃいましたけれども、言うまでもなく、児童福祉法第一条、すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならないとし、二条で、国は、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う、こう定めておりますから、この支援は不可欠だと思うんですね。
これも大臣にお伺いいたします。
国が支援をして、この沖縄の立ちおくれた現状を早急に解消することは、児童福祉法に照らしても当然のことだと私は思いますが、大臣もそれでよろしいですね。
○蓮舫国務大臣 御指摘のとおり、児童福祉法の観点でいいますと、国も地方公共団体も子どもの健やかな成長には責任を有すると感じております。
○宮本委員 議論を聞いておりますと、内閣府の沖縄振興対策、あるいは一括交付金という議論も出ております。
ただ、このおくれというのは、基地のもとでの沖縄の子どもたちの成長、発達を大きく阻害してきた歴史的条件によるものでありますから、それが原因でこういう立ちおくれを生んでしまったものを、その解消をする場合に、解消してほしかったら、いわば基地と引きかえのようなお金でという議論は余りにもひどい。私は、そういうこととリンクさせるのじゃなくて、全国ひとしく保障する中身として沖縄の対策をとるべきだということを申し上げておきたいと思います。
学童保育は、子どもの放課後の生活の場であると同時に、家庭を丸ごと受けとめ、保護者とともに子どもたちの育ちを支える専門的な場であります。だからこそ、大災害時には子どもの命と安全を守るとりでとなり、深刻化する子どもの貧困のもとで、子どもたちの成長と発達を親とともに守ろうと必死に頑張っておられます。しかし、学童保育を実施している自治体によって、設置主体が公立か民立かで保育環境が全く異なってしまいます。さっきの沖縄の例もそうですね。これで子どもたちの放課後の安全や安心が守られるのか。今だからこそ、国による学童保育制度の抜本的な拡充が求められている。
これは厚生労働副大臣にお伺いしたいんですが、そういうふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。
○辻副大臣 宮本委員御高承のとおり、放課後児童クラブは平成九年に放課後児童健全育成事業として児童福祉法に位置づけられたものでございますが、運営形態やサービス利用実態が多様であること等を踏まえ、市町村が地域の実情に応じてサービスを提供できるよう、職員配置や施設に関する基準や利用手続などにつきましては定めていないのが現状となっております。
現在、私どもが検討を進めております子ども・子育て新システムにおきましては、放課後児童クラブにつきましても、量的拡充だけではなく、質を確保する観点から検討がなされているところでございます。
御指摘の放課後児童クラブの充実につきましては、このような議論も踏まえつつ、量的拡充と質的確保の二つの観点から努めていきたいと思っております。
○宮本委員 私は、子ども・子育て新システムの議論の中でそういう話が出ていることはもちろん知っているんです。きょうは子ども・子育て新システムそのものについて議論をするつもりはありません。先ほど池坊委員から指摘があったように、私としてはこの新システムというものについては賛成できないわけでありますけれども、その前にやるべきことがあるという議論なんですね。
一九九七年に学童保育が法制化された。やっと二〇〇七年に放課後児童クラブのガイドラインが出されました。厚生労働省が二十一日に発表した平成二十三年放課後児童健全育成事業の実施状況を見ても、ガイドラインを活用している市町村が半数に上っております。ガイドラインの策定からもう四年がたって、子どもの貧困に代表されるように、子どもとその家族を取り巻く環境はこの四年間で激変をしております。
また、十月の二十一日、厚労省は放課後児童クラブの事故報告集計というものを発表いたしまして、学童保育で子どもが死亡したり、大けがをしたりする事故が、一年間に全国で二百六十件余り起きていたということも明らかになり、厚労省は子どもの安全を守るための基準について検討を進める、こうも述べられております。
私は、今こそガイドラインから一歩前に進んで、子どもたちの安全を確保するための職員配置基準や施設基準、子どもたちの成長や発達を保障できるだけの適正規模や事業内容などの運営基準を国が定めることが求められている、こう思いますが、厚生労働省、いかがですか。
○石井政府参考人 議員御指摘のとおり、平成十九年の十月に放課後児童クラブとして望ましい運営内容を目指すためのガイドラインが策定されたところでございます。
放課後児童クラブについては、これは平成二十三年五月一日現在でございますが、利用できなかった児童が七千四百八名おられるなど、量的な拡充も必要でありますし、また、質的な改善も必要ではないかというふうに考えております。
こうした中で、本日はその議論をしないということでございますが、子ども・子育て新システムに向けた検討の中で、その中間取りまとめが去る七月に取りまとめられておりまして、その中で、放課後児童クラブの質を確保する観点から、人員配置、施設、開所日数、時間などについては、国が一律の基準を設定すること、そして、その際、国の基準と地方公共団体の裁量の範囲について、今後、さらに検討する、このような記載がなされているところでございます。
具体的な内容につきましては、今後、子ども・子育て新システムの検討をさらに進めていく中で議論をしていくことになっておりまして、この結果を踏まえてしっかり対応していきたいというふうに考えております。
○宮本委員 大臣にも確認したいんですが、国による一律の基準というならば、まず国と自治体が学童保育を実施する責任を有していることをはっきりさせた上で、学童保育が抱えているおくれや格差を解決し、量的にも質的にも向上させていくべきだ、そういう方向で今後議論していくということでよろしいでしょうか。
○蓮舫国務大臣 先ほど来、宮本委員の御指摘をうなずきながら私も実は聞いていた立場なんですが、放課後児童クラブ、これはもう日本全国で定着したと言ってもいいんですけれども、他方で、指導員の資格要件ですとか職員の配置基準、あるいは施設要件等に関して明確な基準がないということ、これを果たして保護者がどこまで存じ上げているかどうかわからないんですけれども、やはり私はこれは問題だと思っています。
二〇〇七年のガイドラインを示して、厚生労働省としても質の向上は図ってきております。ただ、明確な基準がないというのは、安定的な保育の提供という部分でもやはり不十分だと考えておりますので、先ほど厚労省からの答弁にもございましたが、新システムの検討を進めていく中で、放課後児童クラブに係る客観的な基準の策定、あるいはそれを踏まえた充実と質の確保をどのように図るかというのは、この改善策を講じていくために努力をしていきたいと思います。
○宮本委員 補助金の問題も指摘しなければなりません。
二〇一〇年三月に発表された学童保育サービスの環境整備に関する調査研究によると、施設運営費が国の基準を上回る都道府県が半数以上、市町村に至っては、国の枠組みの三倍前後という過重負担となっていることが明らかとなりまして、国は、設定した補助基準と市区町村が実際に負担している運営費等の大きな隔たりを見直すことや、指導員の処遇改善等に資する補助のあり方の検討が必要だと提言をされております。
厚生労働省、これらの解消はどのように行っていくんですか。
○石井政府参考人 先ほど来答弁申し上げておりますとおり、放課後児童クラブの質を改善していくことが大変重要だというのは、もうそのとおりと思っております。
このため、まず、平成二十四年度の概算要求におきましても、子ども・子育てビジョンの目標達成に向けて、放課後児童クラブの運営費や整備費の確保など、対前年比九億円増の増額要求をしているところでございます。
また、本年七月にまとめられました子ども・子育て新システムに関する中間取りまとめにおきまして、潜在ニーズを含む保育等の量的拡充は、最優先で実施すべき喫緊の課題ということとあわせまして、職員配置の充実など必要な事項について、子ども・子育て新システム制度の実施のため、財源を確保しながら実施するとされているところでございます。
こうした中で、放課後児童クラブについて、質の改善をしっかり図る、これに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○宮本委員 学童保育は、子どもをただ単に預ける場ということでもありませんし、単なる放課後の遊び場でもありません。学童保育は、児童福祉法第六条の二に規定されているとおり、適切な遊び及び生活の場なのであって、それに見合う補助額の引き上げや制度の拡充がぜひとも必要だと申し上げておきたいと思います。
残った時間で、里親への支援と児童養護施設の職員配置の問題を取り上げます。
沖縄でのスタディーツアーで、沖縄県は里親への委託率が二五・二%と、全国の平均の一〇・八%を大きく上回って、全国第三位であるということを知りました。沖縄で里親をされている方々からもお話を伺い、里親への支援や専門的な研修などが急がれていると痛感をいたしました。
先ほども議論がありましたけれども、里親支援機関事業ですね。そして、里親委託等推進員というものが今度配置される、こういう話も聞きましたけれども、確認したいのは、厚労省ですけれども、里親委託等推進員というのは、里親支援だけを専門的に行うということになりますか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
里親委託等推進員というのは、里親支援機関事業というのがございまして、その事業におきましては、子どもに最も適合する里親などの選定の調整や里親等への訪問支援、里親等による交流事業の実施のため里親委託等推進員を配置するということとされております。また、それとともに、里親委託等推進員や児童相談所の里親担当職員、里親等により構成される里親委託等推進委員会を設置することとされております。
里親委託等推進員は、これらの里親支援に係る事業の実施に当たって、事業の企画、そして支援の実施、里親等と施設の調整、さらには関係機関との連絡調整等のさまざまな業務を行うものでございまして、里親支援だけを行うものではないというふうに理解をしております。
○宮本委員 そうなんですね。支援のみを行うわけじゃないんです。
里子になるのは、虐待や親の死亡などで家族のもとで暮らせなくなった子どもたちであります。家庭的な環境の中で育った経験が全くない子どもも少なくありませんし、生活習慣が身につかないままの子どももいると聞きました。極端に反抗的な態度や暴力など、問題行動を繰り返す試し行動、それから赤ちゃん返りなど、里親にとっては、自分の養育が間違っているのかと不安になるような場面も多いというんですね。
沖縄では、先ほどもありましたが、そういう子どもたちがふえているもとで、専門的な知識や研修がなければ、里子を養育することすらままならず、里親の苦労は並大抵ではない、ですから、里親支援の専門職員をぜひ里親会に置いてほしいとの要望がありました。
里親委託等推進員だけでなく、支援に専念できる職員がいれば、もっと里親支援に力が割ける。先ほど馳さんからもありましたが、この要望は私はもっともなことだと思います。
里親会そのものの形態や規模も全国まちまちなので、一律にというわけにはいかないでしょうけれども、要望があるところについては前向きに検討してはどうかと思いますが、厚生労働省、そうじゃないですか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
本年七月に取りまとめられました社会的養護の課題と将来像では、施設の小規模化、施設機能の地域分散化、里親推進など、家庭的養護の推進を図るため、乳児院と児童養護施設に里親支援担当職員を配置することとし、平成二十四年度の概算要求においてこれを盛り込んでおります。
お尋ねの、里親支援担当職員というのを里親会に置いてはどうかということなのでございますが、確かに、里親会、さまざまな実態があるわけでございまして、沖縄は、先ほどの話を聞きますと、法人格を持って立派なところだということでありますが、まず、乳児院と児童養護施設に置くところからスタートしたいと考えておりまして、その中で、里親会と連携をして、うまくコーディネートしてやっていただければありがたいなと思っているところでございます。
ただ、そのほかに使える措置としまして、本年四月の実施要綱の改正によりまして、児童家庭支援センターの役割に里親支援を位置づけております。地域の里親会がこの児童家庭支援センターを設置しますと、そこにおいては、里親支援を含む業務を行うために職員三名の配置が可能になります。こうしたような仕組みなどの御活用を御検討いただければありがたいなというふうに考えております。
○宮本委員 施設と里親を結ぶ職員が必要だということに別に異論はないんですね。しかし一方で、里親への支援に専念できる職員も必要だという声がある、それで今申し上げたわけで、ぜひしっかり里親を支える体制をとっていただきたいというふうに思います。
それで、同時に、児童養護施設も沖縄では見てまいりました。先ほど来議論がありまして、今、小学生、職員一人が六人の子どもという基準を概算要求では五・五人にと。しかし、目標としてはもっと高い目標で、子ども四人に対し指導員一人、これを目指しているというお話もあったわけであります。
しかし、それでも、六人というのは、実際上は、三交代で見れば、一人で十八人。五・五人になっても十七人ということですから、これはなかなかそう簡単に解決する問題じゃないと思うんですね。
それで、全国児童養護施設協議会の「子どもの権利を擁護し養育条件を高めるために」と題する提言によれば、この現状を改めて、小学生以上三人に対し児童指導員、保育士一人の配置を求めておられます。つまり、一対三まで進めてほしいと。
私も、児童養護施設の現状を聞いて、この提言の方向に進むべきだと思っております。子ども四人に対し一人というのは最終目標ではなくて、さらにその先に進むべきだと私は思いますが、これは、厚生労働副大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○辻副大臣 児童養護施設における児童指導員等、六対一の現行の人員配置につきましては、交代勤務の中で、職員一人が十八人の子どもに対応する体制となるわけでございますが、虐待などで心が傷ついた子どもに十分なケアが困難であるということでございます。そういった意味で、人員配置の引き上げが必要となっているものと考えております。
本年七月に社会保障審議会児童部会の社会的養護専門委員会におきまして取りまとめられました社会的養護の課題と将来像におきましては、小学生以上について、現行の六対一から四対一に引き上げることを目標水準としたところでございます。
児童養護施設につきましては、小規模グループケアなどの家庭的養護を推進することが重要でございますので、この基本配置に小規模グループケア加算等を合わせることによりまして、三対一ないし二対一の水準まで改善を図ることができることから、その積極的な推進を図ってまいりたいと考えております。
○宮本委員 時間が参りましたので終わりますけれども、きょうは幾つかのテーマで質疑をいたしましたけれども、子どもや若者を取り巻く状況の変化と格差の深刻さに、率直に言って驚いているわけです。大臣が所信で述べられた、子どもや若者が大切にされ、支えられながら可能性を発揮できる社会を目指して、政府含め社会全体が力を発揮しなければならないと思いを新たにしております。
最後に、この問題での大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○蓮舫国務大臣 子どもが夢を持てない社会というのは、私は国の将来性に陰りが出ると思っております。すべての子どもが夢を持ち、目標を持ち、自分なりの道筋を歩いていける可能性を示すのが政治の仕事だと思っておりますので、ぜひ、きょう宮本委員からいただいた御提言もしっかりと受けとめながら、仕事をしてまいりたいと思っております。
○宮本委員 ありがとうございました。
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