平成二十三年九月九日(金曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 吉田おさむ君
理事 糸川 正晃君 理事 梶原 康弘君
理事 古賀 敬章君 理事 中根 康浩君
理事 橋本 清仁君 理事 長島 忠美君
理事 古川 禎久君 理事 石田 祝稔君
相原 史乃君 網屋 信介君
石井登志郎君 石田 三示君
石津 政雄君 石山 敬貴君
磯谷香代子君 大西 孝典君
柿沼 正明君 勝又恒一郎君
木内 孝胤君 岸本 周平君
沓掛 哲男君 斎藤やすのり君
空本 誠喜君 高橋 昭一君
富岡 芳忠君 初鹿 明博君
樋口 俊一君 福嶋健一郎君
村井 宗明君 本村賢太郎君
森本 和義君 谷田川 元君
柳田 和己君 秋葉 賢也君
小里 泰弘君 梶山 弘志君
田野瀬良太郎君 竹下 亘君
二階 俊博君 林 幹雄君
森山 裕君 西 博義君
宮本 岳志君 重野 安正君
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国務大臣
(防災担当) 平野 達男君
国土交通副大臣 奥田 建君
国土交通副大臣 松原 仁君
内閣府大臣政務官 郡 和子君
農林水産大臣政務官 森本 哲生君
国土交通大臣政務官 津島 恭一君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 原田 保夫君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 米田耕一郎君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 原口 亮介君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 佐々木克樹君
政府参考人
(外務省領事局長) 沼田 幹男君
政府参考人
(文化庁次長) 吉田 大輔君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 唐澤 剛君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 清水美智夫君
政府参考人
(林野庁長官) 皆川 芳嗣君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 関 克己君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 菊川 滋君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 久保 成人君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 井手 憲文君
政府参考人
(観光庁長官) 溝畑 宏君
政府参考人
(気象庁長官) 羽鳥 光彦君
政府参考人
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) 伊藤 哲夫君
衆議院調査局第三特別調査室長 仲川 勝裕君
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委員の異動
九月九日
辞任 補欠選任
今井 雅人君 樋口 俊一君
打越あかし君 石井登志郎君
大西 健介君 磯谷香代子君
大西 孝典君 谷田川 元君
小山 展弘君 村井 宗明君
近藤 和也君 沓掛 哲男君
畑 浩治君 石津 政雄君
皆吉 稲生君 福嶋健一郎君
山本 剛正君 初鹿 明博君
吉川 政重君 石田 三示君
若泉 征三君 柳田 和己君
小里 泰弘君 二階 俊博君
竹下 亘君 田野瀬良太郎君
江田 康幸君 西 博義君
高橋千鶴子君 宮本 岳志君
同日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 柿沼 正明君
石田 三示君 吉川 政重君
石津 政雄君 木内 孝胤君
磯谷香代子君 大西 健介君
沓掛 哲男君 近藤 和也君
初鹿 明博君 山本 剛正君
樋口 俊一君 本村賢太郎君
福嶋健一郎君 相原 史乃君
村井 宗明君 小山 展弘君
谷田川 元君 大西 孝典君
柳田 和己君 若泉 征三君
田野瀬良太郎君 竹下 亘君
二階 俊博君 小里 泰弘君
西 博義君 江田 康幸君
宮本 岳志君 高橋千鶴子君
同日
辞任 補欠選任
相原 史乃君 皆吉 稲生君
柿沼 正明君 打越あかし君
木内 孝胤君 畑 浩治君
本村賢太郎君 勝又恒一郎君
同日
辞任 補欠選任
勝又恒一郎君 今井 雅人君
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八月三十一日
一、災害対策に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件(平成二十三年台風第十二号による被害状況等)
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○吉田委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
九月三日から四日にかけて四国、中国を縦断した台風十二号は、西日本から北日本にかけて広い範囲で記録的な大雨をもたらしました。とりわけ、紀伊半島で甚大な被害をもたらして、死者五十四名、行方不明者五十四名と深刻な被害が広がっております。
私は、まず初めに、今回の災害でお亡くなりになった方々に心からの哀悼の意を表するとともに、被災されたすべての皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
我が党は、地方議員を先頭に直ちに現場に入りまして、被災の状況をつぶさに調査してまいりました。医師、看護師、保健師の派遣など医療体制の確保、あるいは電気、水道、電話などライフラインの復旧等々、課題は山積をしております。一刻も早い孤立集落の解消や新たな土砂崩れ対策、住民の避難など、二次災害の防止に万全を期すことが求められております。
激甚災害の指定ということも含めて、まず平野大臣にその御決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○平野国務大臣 今回の台風第十二号に関連しての災害、大変大きな災害となっております。まずは、先ほど来申し上げているとおりでございますけれども、まだ五十人を超える行方不明者がおられる、その方々の捜索救助に全力を挙げるということがまず第一でございます。
それからあと、孤立集落がまだございます。そこの孤立集落を解消すると同時に、そこにおられる方々への物資等の供給をしっかり進める。それから、ライフラインの復旧、これも急がなければなりません。さまざまな課題がございまして、自治体と国一体となって今回の災害に対応してまいりたいと考えております。
激甚災害につきましては、先ほど来申し上げているとおりでございますけれども、災害の額の特定を待って、これが発動されるかどうかが決まってまいります。ただ、今回の災害は本当に非常に大きな災害であるということだけは、私も強く認識しているということでございます。
○宮本委員 私も現場を見てきましたけれども、本当に甚大なものですので、しっかりとお願いをしたい。
次に、河道閉塞、いわゆる天然ダムとか土砂ダムと呼ばれるものについて聞きます。
これまで十二カ所で確認をされ、このうちの、奈良県の十津川村と五條市、それに和歌山県田辺市の四カ所は決壊の危険性が高い、こう言われております。
昨年成立した土砂災害防止対策法の改正で、土砂ダムなど高度な技術を要する土砂災害については、国が緊急調査を実施することができるようになったばかりであります。国交省として、既に危険な状態にある土砂ダムの水位を二十四時間監視して、避難勧告の判断などが適切にできるように情報を逐次提供することにしているようでありますけれども、排水作業の具体化を早急に進めるなど、二次災害を防ぐ対策に万全を期すことは当然だと思っております。
これは国交省の事務方で結構ですので、具体的にどういう対処をしようとしているのか、御答弁願います。
○関政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘のように、現在、奈良県及び和歌山県におきまして、台風十二号に伴う豪雨によりまして十二カ所の河道閉塞の発生を確認しており、これに関する調査の結果、四カ所の河道閉塞につきましては、決壊に伴う土石流の被害のおそれがあるということで、九月六日に、御指摘のように土砂災害防止法に基づきます緊急調査に着手し、この調査の結果、土石流が発生した場合に被害が想定される区域等が昨日明らかになりました。
これに基づきまして、国土交通省といたしましては直ちに、避難勧告等の自治体の判断を支援するため、近畿地方整備局長から、関係県の知事様それから市町村長にあて、土砂災害緊急情報を通知させていただきました。この通知を受け、対象地域では避難指示等の発令が図られたところでございます。
あわせまして、この地域につきましては、救助活動をされているいろいろな機関がございます。こういった関係機関にも、二次災害の防止という観点からも周知をさせていただいたところでございます。
そういった状況を踏まえ、今後でございますけれども、湛水池あるいは上流の水位を観測するための水位計、河道閉塞の状況、あるいは土砂が埋塞している、こういった状況をしっかり監視してまいらなければなりませんので、カメラの設置等の監視観測体制をしっかり構築していくということをまず考えております。既に進めているところでありますが、今後、こういったものをさらに構築してまいります。そして、得られた情報につきましては関係機関と共有いたしまして、避難等の対応や周辺での救助活動の安全確保等を引き続き支援してまいりたいと思います。
また、御指摘のように、今後の具体的な対策でございますが、さかのぼりますと、平成十六年の中越地震あるいは平成二十年の岩手・宮城内陸地震でもこういった状況が発生してございます。こういった河道閉塞への対応実績を参考にいたしまして、関係県と協力しまして、ポンプによる湛水の排水、排水路の確保、安定的に排水が行われるようにこういった確保、あるいは堆積土砂の安定化等、応急対策について現在検討を進めているところであり、こういったものを実施に移していきたいというふうに考えております。
○宮本委員 そういった対策を行う費用の負担でありますけれども、私どもは本当に、今のこの災害のもとで、その費用負担についても国がしっかり責任を持って対応すべきだと思っておりますが、これは、平野大臣、よろしいですか。
○平野国務大臣 災害復旧、応急復旧も含めてでございますが、それに対しての費用負担については、激甚指定あるいは局甚指定等々を含めて制度が用意されております。あわせて、自治体負担が過度になれば、例えば総務省さんが特別交付税についての措置をするとか、こういった措置については今までやってきたとおりでございますけれども、こういった措置をフルに活用して、かつまた、今回の場合の被災の大きさにかんがみて、さらに措置が必要であれば必要な措置をとる、こういう姿勢で臨んでいきたいというふうに思っております。
○宮本委員 次に、大滝ダムのある奈良県川上村迫地区で起きた土砂崩れについて取り上げたいと思います。
私も、九月七日に川上村の土砂崩れ現場に伺いました。私が見て感じた限りでありますけれども、ここで起きた土砂崩れは、長さ五百メートル、最大でも幅二百メートルにわたるものでありまして、きょうは皆さんに写真をお配りしてあります。資料一を見ていただきたい。
山腹の大半が大きく崩れて、大量の土砂と水が写真中央部左右にある国道を越えて、下に見える大滝ダムにまで流れ込んでおります。この大滝ダムはまだ本格稼働しておらず、貯水率は約二割となっておりますけれども、その水面に流れ込んだだけでなく、ダム湖内に木が根から水底に突き刺さって立ったままになっている、こういう状況でありました。
現場からわずか五十メートルほど離れたところの飲食店の経営をしておられる方に話を聞きましたけれども、土砂崩れのときの様子、ゴーという、まるで飛行機が落ちてくるような不気味で大きな音がしたので外へ出てみたら、国道の橋になっている部分がダム湖の水面で円を描きながら沈んでいくのが見えた、地震のように地面が揺れ動いていた、こう話しておられました。
これは国土交通省に聞くんですけれども、今回の土砂崩れとダム建設による地盤への影響についてどのように見ておられるか、お答えください。
○関政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘の大滝ダムにつきましては、建設に際し、ダム本体を設置し、そして水をためることになるわけですけれども、この湛水が及ぼす影響という観点から事前の調査を行いまして、現在、地すべりが発生するおそれがあると考えられる箇所につきまして必要な対策を講じているところであり、一部では完成をしているという状況にございます。
御指摘の、今回台風十二号によりまして川上村の迫地区で発生しました土砂の崩壊につきましては、今回の台風十二号により他の箇所で発生した土砂災害、こういったものを含めて見ますと、極めて大量の、多くの雨、降雨に伴って発生しました深層崩壊に起因する土砂の崩壊であるというふうに見ているところでございます。
○宮本委員 そういうことであれば、実はこのダムは、試験湛水を行ったことによる地面や家屋の亀裂ということがこの間問題になってきた場所なんですね。
今回崩落したこの場所というのは、地すべり対策を行っている場所ではないんですけれども、そういう点では、徹底的に国土交通省と奈良県で調査を行って、改めて万全の対策を国の責任においてとる必要があると思いますが、国土交通副大臣、お答えいただけますか。
○奥田副大臣 お答えいたします。
川上村迫地区を含めた奈良県内の土砂災害対策については、これまでも奈良県が中心になって進めてきたところであり、今後も、県を中心として進められていくべきものと考えております。
国としても、今回の災害の大きさにかんがみ、奈良県に対し最大限の支援を行い、土砂災害が発生した箇所による再度災害の防止を図り、地域の安全、安心の確保に努めてまいるつもりであります。
また、国の方の支援というのは、先ほど局長の方から、土砂災害防止法の改正に伴う支援を行っているということの説明をさせていただきましたので、省略をさせていただきます。
○宮本委員 この地域というのは、大滝ダムをめぐって随分歴史があるわけですよ。そういう点では、国との信頼関係ということもありますから、しっかりと国が対策をとっていただきたいと思うんです。
あわせて、国道百六十九号線についても申し上げなければなりません。
資料二につけてありますけれども、これは先ほどの崩落現場のさらに接近した写真でありますけれども、今回の土砂崩れで国道百六十九号線は橋梁ごとダムに水没をいたしました。そして、この道は、奈良県奈良市から川上村を通り和歌山県新宮市に至る一般国道であり、村にとっては命綱とも言える重要な道路です。
今回の土砂崩れ現場のすぐそばには村役場もあるわけでありますけれども、私は副村長から、一刻も早い復旧と安全対策を切望する声を聞いてまいりました。
この道路の重要性や川上村が置かれた状況にかんがみれば、国の責任でこの国道百六十九号の復旧と安全対策を行うべきだと思うんですけれども、これは、平野大臣、お答えいただけますか。
○平野国務大臣 国の責任ということが、国主体、国直轄でやるかどうかということでございますれば、これは国交省から御答弁いただくのがよろしいかと思いますが、いずれにせよ、こういった被災については、国と自治体が情報を共有し合ってしっかり対応していくというのが基本だと思います。
○関政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど先生がお示しになりました土砂の崩壊箇所、そしてその下にはまさに国道、県管理の国道でございますが、国道があり、その橋梁が流失したところでございます。
当該箇所の復旧、特に緊急対策、それから本格復旧に当たりましては、土砂の対策と橋梁という両方の側面があることから、基本的には、先ほど申し上げましたように、県が中心になって進められるというふうに考えておりますが、進めるに当たっては、私どもも既に緊急調査に入ってございまして、橋の復旧及び斜面の対策というのを一体的に進めるという非常に困難な、技術的にも非常に高度なものが求められますので、国としても積極的にそういった調査に協力し、県を全面的に支援させていただきたいというふうに考えてございます。
○宮本委員 もう時間が参りましたけれども、最後に、これは私の方から奈良、和歌山両県にも伝えたことでありますけれども、これからたとえ電気が通じてテレビなどが映るようになりましても、例えば視力障害者や聴覚障害者など、いわゆる情報弱者と言われる方々がどの地域にもいらっしゃいます。東日本大震災でも今ごろになって、そういう方々が取り残されたということが問題になっておりますけれども、こういったいわゆる情報弱者と言われる方々への特別な配慮が必要だというふうに思っております。
こういった被災地の要望に最大限にこたえる、こういう平野大臣の御決意を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○平野国務大臣 今回の災害に関しましては、医療体制の確保とか、ライフラインの早期復旧、それから情報弱者への特別な配慮等、こういったことが喫緊の課題だというふうに思っております。
特に情報弱者につきましては、今回の被災の中でも情報がしっかり行っているかどうか、多分行っていない地域も多々あったろうと思います。こういった状況についてはしっかり把握するとともに、今後の対策に役立てていくということが必要だというふうに思っております。
○宮本委員 終わります。