平成二十三年七月十五日(金曜日)
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議事日程 第二十三号
平成二十三年七月十五日
午後一時開議
第一 農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 日本放送協会平成十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
第三 日本放送協会平成二十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書
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一 国務大臣の演説
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○本日の会議に付した案件
日程第一 農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 日本放送協会平成十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
日程第三 日本放送協会平成二十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書
外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件
野田財務大臣の財政についての演説及びこれに対する質疑
午後一時二分開議
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、第二次補正予算案に関し、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)
先日私が訪問した被災地宮城県の、ある幼稚園の玄関に七夕飾りが立ててありました。短冊に子供の字で、「はやくおうちへかえれますように」「おとうさんのしごとがはじめられますように」、そう書かれてあるのを見て、思わず胸が詰まりました。
大震災から既に四カ月がたったにもかかわらず、復旧と復興は遅々として進まず、被災地では、長引く避難生活による生活の困窮や雇用問題の深刻化とともに、震災関連死が相次いでいます。劣悪な避難所や仮設住宅の環境改善は待ったなしです。いつまでに、どのように改善するのか、明確にお答えください。
瓦れきの処理では、岩手、宮城、福島の被災三県で撤去されたのは、まだ全体のわずか三割余りにしかすぎません。なぜこのような状況になっているのですか。
瓦れきの処分場所の確保や財政負担について、国が全面的に責任を果たすことを明確にすべきですが、総理の答弁を求めます。
一人一人の被災者が、破壊された生活の基盤を回復し、自分の力で再出発できるように支援することこそ、復旧復興の基本です。また、復興の進め方については、計画をつくるのは住民合意で、実施は市町村と県、国が連携して、財政の大半は国の責任でという原則を堅持すべきであります。
漁業、水産業の再開、復興には、海の瓦れき撤去を優先しながら、ワカメ、昆布、カキ、アキシャケなどの生産適期、いわゆるしゅんに合わせた漁船、漁具の確保、養殖施設の復旧、魚市場の再開、冷蔵施設、水産加工場などの一体的な復旧についての支援策が不可欠です。そして、それを進めてこそ、甚大な打撃を受けた被災地の地域経済を前向きに動かし、新たな雇用も創出できるのではありませんか。
その際も、復興は、あくまでも住民合意を尊重し、上からの押しつけであってはなりません。復興構想会議が示した水産特区構想も、企業が地元の意向を無視して強引に浜に入ることを許すようなものであってはならないと考えますが、総理の答弁を求めます。
なりわいの再建にとって、二重ローンの解消は絶対に必要です。農林水産業、中小企業など、被災地にとって、マイナスからではなく、せめてゼロからの出発を、これは強い願いです。民間医療機関や私立学校、個人の住宅ローンに至るまで、二重ローン解消の対策が急がれますが、総理の答弁を求めます。
被災地の復興は、住民が主役で決めるというのが大原則です。その最大の障害となっているのは、国の財政支援の方向が明確でないことです。
津波浸水地域に建築制限がかけられているところでは、都市計画決定がなければ、何も前に進みません。
また、集団移転や高台移転を希望しても、防災集団移転促進事業で国が出すのは四分の三のみで、残る四分の一は被災自治体の負担とされています。多くの集落で集団移転を希望している宮城県東松島市では、この事業の枠組みでは市の負担が二百から三百億円と試算されています。ただでさえ震災で税収の大幅な落ち込みが予想されている被災自治体がこのような膨大な負担を行うことは不可能です。
被災自治体の財政の現状に照らせば、住民の総意で移転を求める集落、地域の取り組みには、国が全額支援すべきではありませんか。
津波で浸水した農地の復旧・除塩事業や地盤沈下した宅地のかさ上げは、個人の力ではどうしようもありません。一時的に、被災した農地、宅地を国が買い上げる制度についても、その必要性が叫ばれてきたのに、一向に具体化されていません。一体どうするつもりか、総理の答弁を求めます。
被災三県の雇用は一層悪化しています。ハローワークの職業相談件数は四十万件を超え、雇用保険離職票交付件数も十三万件に上っています。新規学卒者の就職難も深刻で、七月八日の厚労省の発表でも、来年三月卒業予定の高校生に対する求人受理数は、前年同月比で全国的に九%の減。中でも被災地は、福島県が四一%の減、宮城県は二八%の減と極めて深刻な事態であり、仕事の確保と雇用対策は待ったなしです。
ところが、本補正予算には全く雇用関係の予算が組まれていないのは、なぜでしょうか。被災地の雇用を立て直そうと思えば、雇用調整助成金の拡充、柔軟な適用や、失業給付の額改善と期間延長、さらには公的就労の場を確保することを含めて、真剣な対策が求められると考えますが、厚生労働大臣の答弁を求めます。
そして、何よりも、震災を口実にした大企業の身勝手な解雇、雇いどめを許さず、新規学卒者の採用をふやさせるなど、大企業に雇用と地域経済への社会的責任を果たさせることが必要だと考えますが、総理の答弁を求めます。
子供たちは復興の希望です。大震災と原発事故の影響から子供と教育を守ることは、被災地だけにとどまらず、すべての国民の切実な願いです。
まず第一に、大震災による経済的貧困から子供たちが学業を断念せざるを得ないというようなことは、絶対にあってはなりません。
学校納付金への減免制度をさらに拡充するとともに、今こそ給付制の奨学金に道を開くことが求められています。被災した学生には、お金を貸すのではなく、給付するのが当たり前ではありませんか。総理の答弁を求めます。
被災した子供たちへの心のケアも切実です。養護教諭、スクールカウンセラーも含め、この際、教職員のさらなる増員をすべきではありませんか。文部科学大臣の答弁を求めます。
そして第二に、放射線の被害から子供の健康を守ることです。
被曝線量のモニタリングをきめ細かく行うこと、子供の健康調査を内部被曝を含めて行い、学校を初め子供たちが生活するすべての場所で徹底した除染を行うべきです。
今回創設される福島県原子力被災者・子ども健康基金は県の要望を受けたものとのことですが、基金による施策の内容等については県に任されるということでよいのですね。答弁を求めます。
原発事故の被害に遭っているのは福島県民だけではありません。周辺の各県にも広がっている放射能被害から住民の健康を守り、安全、安心を確保するためにどのような手だてをとるのか、答弁を求めます。
六月下旬、福島県南相馬市内に住む九十三歳の女性が、みずからの命を絶ちました。「老人はあしでまといになる」「お墓にひなんします ごめんなさい」、こう書き残していました。私は、このニュースを、いても立ってもいられない思いで聞きました。
議場の皆さんも、政治家ならば恐らく同じ思いではないでしょうか。このような痛ましい犠牲者をこれ以上絶対に出してはなりません。
福島第一原発事故をめぐっては、一刻も早い事故の収束はもちろんのこと、あらゆる努力を国が尽くすことを求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕