平成二十三年五月二十五日(水曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君
理事 野木 実君 理事 松崎 哲久君
理事 松宮 勲君 理事 下村 博文君
理事 馳 浩君 理事 池坊 保子君
石井登志郎君 大山 昌宏君
奥村 展三君 金森 正君
川口 浩君 木村たけつか君
城井 崇君 熊谷 貞俊君
笹木 竜三君 瑞慶覧長敏君
高野 守君 玉置 公良君
中屋 大介君 平山 泰朗君
村上 史好君 室井 秀子君
本村賢太郎君 山田 良司君
笠 浩史君 和嶋 未希君
あべ 俊子君 遠藤 利明君
河村 建夫君 塩谷 立君
田野瀬良太郎君 永岡 桂子君
古屋 圭司君 松野 博一君
富田 茂之君 宮本 岳志君
城内 実君 土肥 隆一君
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文部科学大臣 高木 義明君
文部科学副大臣 笹木 竜三君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
文部科学大臣政務官 笠 浩史君
厚生労働大臣政務官 岡本 充功君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 磯田 文雄君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 布村 幸彦君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
五月二十五日
辞任 補欠選任
熊谷 貞俊君 玉置 公良君
同日
辞任 補欠選任
玉置 公良君 熊谷 貞俊君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件(スポーツ施策等の諸課題)
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○松宮委員長代理 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
スポーツ基本法にかかわって、その中心的な柱の一つである高水準の競技スポーツの問題と、スポーツ振興のための財源措置、予算の増額等の問題できょうは質問をしたいと思います。
今回の東日本大震災の復興あるいは救援、こういう活動に、卓球の福原愛選手あるいはプロ野球楽天の田中将大選手ら、日本のトップ選手が被災者を激励するなど、こぞって大きな役割を発揮しております。
私は国会のラグビー議連のメンバーでありますけれども、震災で壊滅的な打撃を受けた岩手県釜石市では、北の鉄人の異名を持つ釜石シーウェイブスの屈強なラガーマンたちが、震災直後から被災者支援に奮闘しているという姿が報道されました。また、国際的にも、世界フィギュアスケートやヨーロッパサッカーなどで義援金を募るチャリティーが開催をされております。
こうしたスポーツ選手の災害支援にかける熱い思いと連帯には、心から勇気づけられるものがあります。被災地に炊き出しの応援に入った大相撲のある力士は、被災者から初めて笑えたと言ってもらい、すごくうれしかったと語っておられます。
こうしたスポーツ選手による支援行動が毎日報道されておりますが、競技に専念し、社会に連帯する、ここにスポーツ精神にのっとった崇高な役割が発揮されていると私は思うんですが、まず大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○高木国務大臣 宮本委員にお答えをいたします。
委員御指摘のとおり、今回の東日本大震災において、各被災地に励ましの気持ちを持って、トップアスリートを初めスポーツ関係者の皆さん方、あるいは団体の皆さん方、それぞれの思いで激励に当たっておること、あるいはもちろん募金も含めてですけれども、そういう姿を見ると、私、本当に心を打たれます。特に、被災者の皆さん方に不自由な生活の中でも夢と希望を与える、本当にすばらしいことだろうと思っております。
さすがに、スポーツマン精神といいますか、お互いにチームプレーを大事にしながら困難にめげずに頑張るという、そういう思いがそれぞれに伝わってくるようでございます。
○宮本委員 こうしたトップスポーツ選手、高水準の競技者の活動を社会の財産として激励、支援していくことが極めて大事でありまして、スポーツ基本法の根幹をなす問題の一つであると私どもは考えます。しかし、我が国では、高水準の競技スポーツ、そして選手や指導者の役割、社会的な位置づけがあいまいなままにされてきた面があるんですね。
現行のスポーツ振興法では、スポーツの水準の向上のための措置、あるいは顕彰、あるいは競技技術の活用など幾つかの施策は示しておりますけれども、位置づけは極めて不十分であると私どもは思うんです。大臣の御見解はいかがでしょうか。
○高木国務大臣 御指摘のように、まさに高水準のスポーツ選手の育成については、現行法上の位置づけは必ずしも明確ではないと認識をいたしております。
文部科学省としては、トップスポーツ選手の育成のために、財団法人日本オリンピック委員会が行う選手強化事業への支援などを行っております。これらの施策の充実を努めてまいりたいと思います。
○宮本委員 この高水準の競技スポーツの位置づけが、今大臣もお認めになったようにまだまだ不鮮明なために、この分野でも、社会的な支援の制度や措置が本当に求められていると思うんです。
先日、私は、二〇一九年のラグビーワールドカップの日本開催問題で、日本ラグビーフットボール協会とも懇談をさせていただきました。お伺いすると、その準備に相当苦労されているという状況もお伺いしたわけです。
一つは、企業がスポーツから撤退しているために、選手の養成が安定しない、安定して競技に打ち込めないという問題がございます。また、就労との関係もあって、遠征や対外試合、国際試合に出場するのに経済的負担がかかる。経費がかかるので国際試合もなかなか招致できない。秩父宮や花園には立派なラグビー場があるんですけれども、それ以外は大変少なくて、グラウンドコンディションも悪いために、けがが多い。ナショナルトレーニングセンターもまだまだ整備がおくれている。このような状況に置かれているということを、直接お伺いもいたしました。
今、ラグビーの話をしましたけれども、他のスポーツも同じような環境に置かれていると思います。
競技団体は、選手強化に懸命な努力をしておりますけれども、社会的な支援策が講じられていないことがやはり決定的であると一様に語っておられまして、スポーツ界の共通認識になっていると思うんです。
こうした環境整備にかかわる施策を抜本的に講じる必要があると私どもは考えますけれども、この点での大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○高木国務大臣 今回のスポーツ基本法に対する超党派の議連の取り組みは、まさに国民レベルで、スポーツの役割、あるいはスポーツが果たす国民生活への寄与、また国際社会における平和あるいは連帯、こういったことに大きく力を持つものであるという議論の高まりを私は期待しております。
したがいまして、スポーツに励むそういう方々、特にトップアスリートなどの社会的位置づけについても、ある意味では物心両面でしっかりしたものになる方がいいことにこしたことはございませんで、我々としても、何らかの方策についても今後とも検討しなきゃならぬと思っております。
○宮本委員 大臣は御存じだと思うんですけれども、フランスにはスポーツ法典というものがございます。一九八四年に制定をされて、二〇〇六年に改定をされております。
参考になる条文が幾つかあるんです。例えば、このフランス・スポーツ法典の第二編「スポーツ選手」の第一章「ハイレベルのスポーツ」第八条には、次のような規定が置かれております。
スポーツ担当大臣は、企業委員会の意見を受け、公私の企業との間で協約を結ぶ。この協約は、ハイレベルスポーツ選手の雇用及び転職を促進するためのもので、企業との関係において規定するとともに、ハイレベルのスポーツ選手に対して、トレーニングや競技会参加を可能にする特別な勤務条件を保証し、職業教育及び職業的地位向上を促すことを目的とする。協約期限満了時における選手の再就職あっせんの条件についても協約に規定されるというものであります。
我が国も、高水準の競技スポーツの多くが企業に依拠しているのが現状であります。それだけに、フランスのスポーツ法典なども参考にして、企業スポーツ選手、指導者、チームなどの活動保障と支援の施策を講じていくように努めることが大事だと私たちは考えるんですけれども、大臣いかがでしょうか。
○高木国務大臣 御紹介のありましたフランスのスポーツ法典、お聞きをいたしました。
各国の法制度あるいは行財政制度は必ずしも一律ではありませんので、我が国において、フランスのスポーツ法典にあるハイレベル選手への支援策などが同様の法制度の中で採用できるかどうか、これは慎重に検討する必要があると考えております。
しかしながら、我が国の国際競技力の向上を図るためには、プレーヤーズファーストの精神、国際競技の最前線に立つトップレベルの競技者、そしてまた、その指導者に対するきめ細かい支援というのを充実させることが必要であろうと考えております。
○宮本委員 こうした社会的な支援がまだまだ我が国では明確でない状況のもとで、高水準の競技スポーツ選手あるいはコーチは、一方ではオリンピックなどでのメダル獲得目標をスポーツ振興基本計画で定められて、押しつけられていると私たちは考えるんですけれども、そういう状況にあるわけですね。
そもそも、オリンピックでどのような成績をおさめるか、メダルの獲得や上位入賞などの目標を追求する活動は、本来的には競技団体が自覚的、自主的に進める活動であり、国がメダルなどの目標を定め、それをあおるというやり方は、これはやはり本末転倒のやり方だと私たちは言わざるを得ないと思うんです。国の立場は、その目標達成への努力に対して必要な支援をしていくというのが基本的立場であるべきだと考えます。
こうしたメダル獲得を目標で、数で押しつけるというやり方をやはりこの際根本的に見直して、国や地方公共団体は、高水準の競技スポーツのさらなる水準向上に必要な支援に力を注ぐべきだと私たちは考えますが、この点についての大臣の御見解を聞きたいと思います。
○高木国務大臣 各競技のメダル獲得、上位入賞等の目標は、それぞれの大会において各競技団体が定めております。国はそれを踏まえた上で、トップアスリートの適切な支援のための国としての目標を掲げておりまして、各施設の充実に取り組んでおります。
文部科学省では、平成二十二年八月、スポーツ立国の戦略でありますけれども、これを策定いたしまして、「今後の夏季・冬季オリンピック競技大会について、それぞれ過去最多を超えるメダル数の獲得を目指す。」などの目標を掲げたところでありますが、これは、各競技団体を統括するJOCが、二〇一六年オリンピック夏季大会で世界第三位の金メダルを獲得することを掲げていることなどを踏まえたものでございます。
○宮本委員 私は、今ここにスポーツ振興基本計画という中での、スポーツ振興施策の展開方策、政策目標という文書も持っておりますけれども、もちろん、JOCと無関係に決めたとは言いません、しかし、相当細かく、「メダル獲得率が一・七パーセントまで低下したことを踏まえ、」云々とか、「早期にメダル獲得率が倍増し、夏季・冬季合わせて三・五パーセントとなることを目指す。」というふうに、数値も含めて書き込まれているわけです。もちろん、それぞれの競技団体が目標を数で持つことは当然でありますけれども、振興基本計画の中にこういう数値まで盛り込むと、どうしても国がそういうことをあおり立てているというふうに言われかねませんので、この点はやはりしっかりと配慮する必要があるというふうに思うんです。
我が党は、高水準のスポーツの健全な発展を目指すための支援として、高水準にある競技者がオリンピック等国際的な競技大会で活躍を目指す活動については、スポーツ団体等の要請に基づき、必要なトレーニング、遠征、派遣、大会への出場などに対し支援が講じられる必要があると考えます。
また、オリンピックに出場したなどの競技実績は顕彰されるとともに、スポーツの文化的発展の遺産として、指導、研修などを通じて社会に還元される必要があると考えます。
さらには、高度な水準を目指す競技者の養成強化は、選手の安全と人権の尊重、心身の健全な発達に即した医科学的なトレーニングの享受、諸民族との相互理解を促進するものとして奨励されなければならないとの条文をぜひとも定めるべきだという提案をさせていただいてまいりました。
きょうは参考のために御紹介申し上げましたけれども、このような規定が盛り込まれることを強く期待したいと思っております。
さて次に、スポーツ活動と地球環境の保全との一体化の問題を聞きたいと思います。
スポーツ交流の活発化と大会等の巨大化によって、大規模開発と結びついたスポーツ施設の建設、あるいは野外スポーツによる自然環境の荒廃と破壊などが懸念されております。この点でオリンピック憲章は、「環境問題に関心を持ち、」「持続可能な開発を促進すること。」を明記しております。こうして自然に優しいスポーツの探求が問われ、地球環境を守る世界の運動と共同してあらゆる努力をしていくことが求められております。
二十一世紀のスポーツのあり方として、自然環境、生活環境とともに地球環境に配慮し、その保護、保全に寄与すべきものであると私どもは考えますけれども、この点での大臣の御見解を聞きたいと思います。
○高木国務大臣 屋内スポーツあるいは屋外スポーツ、最近では特に野外でのスポーツの活発化が目を見張るようでございます。
御指摘のオリンピック憲章においては、国際オリンピック委員会の役割として、「環境問題に関心を持ち、啓発・実践を通してその責任を果たすとともに、」「特にオリンピック競技大会開催について持続可能な開発を促進すること。」こういうことが触れられておりまして、スポーツと環境問題の兼ね合い、環境への対応というのは非常に重要な課題になっております。
スポーツ基本法は、その意味で、議員立法として検討されておりますので、文部科学省としては特にコメントはありませんけれども、御容赦いただきたいと思っております。
○宮本委員 先ほど来、オリンピック招致の議論もされております。私どもは、オリンピックの招致については、それぞれの住民の方々の理解、そういったものもありますから、頭から招致すればするほどよいという立場ではありませんけれども、しかし、今本当にそういう国際競技大会を日本に招致したいと思えば、やはり地球環境の保全という理念をしっかりと掲げている国だということを世界にアピールする必要があると思うんです。
その点でも、これはむしろ本当に、こういう世界で議論になっていることを私たちの国のスポーツ基本法案にも盛り込むというのは非常に意義あることだということを申し上げておきたいと思います。
さて次に、スポーツ振興のための財源確保と予算の増額についてお伺いをいたします。
前回の質疑の冒頭にも強調いたしましたけれども、スポーツ基本法という名前の法律をつくるのであれば、スポーツの振興や推進に果たすべき国と地方公共団体の責務は非常に大きいです。そして、それは口先で宣言するだけではなく、そのための財源確保と予算の増額についても法文上担保しなければならないと考えます。
と申しますのは、平成十三年に文化芸術振興基本法という法律が既に制定をされております。これは同じく文化芸術について大いに振興する、そのための基本法としてつくられたものでありますけれども、この法律がつくられた後も、残念ながら文化関係予算は平成十五年度以降横ばいでありまして、現状でも一千億円を超える程度で推移をしております。
昨年、私もこの委員会で取り上げましたけれども、文化芸術予算については、人間国宝でもある野村萬日本芸能実演家団体協議会会長らが先頭に立って、劇場や路上で、また駅頭などで署名活動を行い、国家予算に対する文化予算の割合をせめて〇・五%にと訴えました。その署名は六十万筆を超え、国会に提出をされました。しかし、今年度の文化芸術予算は〇・一一%と、前年度と変わりがなかったわけであります。
文化芸術振興基本法がありながら、抜本的に予算をふやせていないということについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○高木国務大臣 先ほど、スポーツ振興予算との関連で、文化芸術振興基本法の制定の経緯、文化予算の増額についてもございました。
御承知のとおり、平成十三年の文化芸術振興法の制定後十年間の文化予算、文化庁の予算というのは約百二十二億円の増額となっておりまして、去る二月に策定されました文化芸術の振興に関する基本方針を踏まえて、平成二十三年度の文化庁予算は過去最高の総額一千三十一億円を確保しております。
文部科学省としては、スポーツと並んで文化芸術立国という実現を図っておりまして、文化予算の予算を初め、これに負けないぐらいの、またスポーツ予算の確保についても一層頑張らにゃならぬな、このような思いをいたしております。
○宮本委員 ちょっと再確認したいんですけれども、もちろん、わずかながらでもふえているということに異議を挟むつもりはないんですけれども、当事者の方々は本当に、せめて諸外国並みに〇・五%というような運動もされているわけです。
だから、やはり当事者の方々にしてみたら、文化芸術振興基本法の理念にかなうような抜本的な増額はまだされていない、してもらえていないという思いが現場の方に多いですし、私たちも、例えば率などで見たときにはほぼ横ばいであって、いや減ったとは言いませんよ、横ばいであって、いわゆる文化芸術振興基本法にふさわしいものにはなっていない、これは言わざるを得ないと思うんです。
今の文化予算で十分だとお感じになっていますか。そんなことはないでしょう。大臣いかがですか。
○高木国務大臣 我々としましては、なお増額が望ましいわけでございますが、今後、さらに一層、予算の確保について努力をしていかなきゃならぬと思います。
○宮本委員 そうなんですよ。なお努力しなきゃならないんです。
そのなお努力しなきゃならないものに比べてもスポーツがおくれているということはありますけれども、そのなお努力しなければならない文化程度にスポーツを持っていくというのではだめなのであって、文化ももちろん思い切ってふやすわけですけれども、やはりスポーツについても、このたび、もしスポーツ基本法というものができれば、しっかりと抜本的な予算の拡充を進めなければならぬと思うんです。
ところで、文部科学省のスポーツ関係予算というものは、現状は一体幾らになっておりますか。
〔松宮委員長代理退席、委員長着席〕
○高木国務大臣 議員御指摘の平成二十三年度のスポーツ予算でありますが、スポーツ立国戦略の策定後の初年度となる重要な年でありました。我が国のスポーツ予算としては過去最高となる二百二十八億円を計上したところでございます。
○宮本委員 過去最高がお好きなようですけれども。
かつてに比べて額が最高かどうか、それはあるんですけれども、しかし、実際にそれが、今求められているスポーツ、我が国におけるスポーツの振興、推進にふさわしいものかどうかが問われていると思うんです。今年度二百二十八億円と、ふえたのはわずか一億円の増額だと思うんです。私どもは、余りにもこれは少な過ぎると。
そこで、諸外国と比較をする議論をしたいんですけれども、諸外国では学校教育費は入っておりませんので、学校教育費を除いたスポーツ関係予算額を、日本、イギリス、フランス、韓国、この四カ国について、それぞれお答えいただきたいと思います。
○高木国務大臣 我が国の学校体育を除くスポーツ予算としては、平成二十年度で見ますと百五十八億円となっております。
各国のスポーツ予算の比較については、これは制度の違いなど、単純な比較は困難な面があると私は思っておりますが、民間の調査によりますと、イギリスは平成十九年度で二百四十九億円、フランスは平成二十年度で二百六十三億円、韓国は平成二十年度で百三十億円であります。
○宮本委員 今も民間とおっしゃいましたけれども、国際比較を行うために学校教育を除いた額の比較をしたものがございます。笹川スポーツ財団が出しているスポーツ白書二〇一一、これは国際比較をする場合にわかりやすいと国会図書館が推奨してきたものであります。
これによると、今お話があったように、日本は二〇〇八年で百五十八億円、イギリスは二〇〇七年で二百三十五億円、フランスが二百三十四億、この資料では韓国が百四十九億、こうなっております。韓国より少し高いぐらいで、イギリス、フランスの三分の二にしかすぎない。しかも、このスポーツ白書は述べていますけれども、三カ国ともこれらの国の人口はいずれも日本の半分以下なんです。としますと、結局、国民一人当たりでは日本は極めて少ないと言わざるを得ない状況だと思います。
大臣、この認識は共有できますか。
○高木国務大臣 午前中から午後に至りまして、スポーツ政策についてきょうは御議論をいただきました。スポーツの持つ意義あるいは役割については、これは我が国のみならず国際社会の中でも今後大変重要な政策の柱にしなきゃならぬと思っております。
まさに夢と希望を、感動を与えるスポーツ、そして、国の活性化とあわせ、しかも今、東日本大震災で被災された方々の励ましも含めて、我々としてはこの議論を通じながら、必要なスポーツ振興予算の確保について、これは全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○宮本委員 日本の体育・スポーツ予算は極めて少ないわけです。だから、文科省がスポーツ振興基本計画でメダルの目標を掲げて幾らあおってもなかなか実効が上がらないわけですよ。さらに社会的な支援、バックアップが必要な選手強化、競技力向上に係る補助も少ないために、もっと増額してほしいという切実な声が、競技関係者やスポーツ関係団体から寄せられております。
国として、抜本的に予算を確保、増額する、財源確保をしっかりする。我が党は、そのためにスポーツ基本法の法文上もしっかりとそのことを規定すべきだと考えているわけでありますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○高木国務大臣 財政状況が厳しいながらも、私どもは、この基本法の議論を一つの大きなばねにいたしまして、さらに予算の確保についてこれからも努めてまいります。
○宮本委員 今回、競技力の向上に必要な社会的支援のあり方の問題、それからスポーツ予算の確保の問題、それから国際的には、もう既にスポーツと切っても切り離せない問題になっている地球環境の保全という問題、こういった基本問題を取り上げてまいりました。
我が国のスポーツの発展を促進し、それを奨励、支援するためには、ほかにも、スポーツの担い手、愛好者や選手、指導者などの人権の保障等々、検討しなければならない重要問題は少なくありません。それらについても我が党は、今後も引き続き本委員会で取り上げて、改善のために努力をしていきたいと思います。
そのことを表明して、第二回目の質問を終わります。