平成二十三年五月十三日(金曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君
理事 野木 実君 理事 松崎 哲久君
理事 松宮 勲君 理事 下村 博文君
理事 馳 浩君 理事 池坊 保子君
石井登志郎君 大西 健介君
大山 昌宏君 奥村 展三君
金森 正君 川口 浩君
城井 崇君 熊谷 貞俊君
佐藤ゆうこ君 笹木 竜三君
瑞慶覧長敏君 高野 守君
中屋 大介君 平山 泰朗君
村上 史好君 室井 秀子君
本村賢太郎君 山田 良司君
笠 浩史君 和嶋 未希君
遠藤 利明君 河村 建夫君
塩谷 立君 永岡 桂子君
古屋 圭司君 松野 博一君
斉藤 鉄夫君 宮本 岳志君
城内 実君 土肥 隆一君
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文部科学大臣 高木 義明君
内閣官房副長官 仙谷 由人君
文部科学副大臣 笹木 竜三君
経済産業副大臣 松下 忠洋君
文部科学大臣政務官 笠 浩史君
政府参考人
(文部科学省大臣官房長) 土屋 定之君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 合田 隆史君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 藤木 完治君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 布村 幸彦君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 中西 宏典君
参考人
(原子力安全委員会委員長) 班目 春樹君
参考人
(原子力安全委員会委員) 久住 静代君
参考人
(独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長) 鈴木 篤之君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
五月十三日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 大西 健介君
富田 茂之君 斉藤 鉄夫君
同日
辞任 補欠選任
大西 健介君 石井登志郎君
斉藤 鉄夫君 富田 茂之君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件(文部科学行政における原子力関連施策)
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
前回に引き続き、「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」についてお聞きをいたします。
前回、私の質問に、大臣の答弁と原子力安全委員会の答弁が食い違って、審議がたびたび中断をいたしました。きょうはそういうことのないように、真摯な答弁を求めておきたいと思います。
まず、前回の宿題から始めたいと思うんです。
前回の委員会で、中学校は地上一メートル、小学校は五十センチメートルを基準に空間放射線量を測定し、たとえ中学校で五十センチの高さで放射線量が高い値を示していてもノーマークになっている問題を取り上げました。年間二十ミリシーベルトという、ICRPがこれ以上は絶対に浴びてはならないという限界線量に基準を定めておきながら、中学校で、五十センチの高さであれば四・一マイクロシーベルトなどという高い数値が測定されていてもよしとしているのはおかしいではないか、こう指摘をいたしました。
原子力安全委員会の久住安全委員は、文部科学省といろいろ議論してきた過程では、校舎外あるいはほかの場所においても三・八を超えるようであれば、そこは三・八以上と判断するというような説明を受けていると答弁をされて、大問題となりました。最終的に私が、ではもう一度、そういうやり方でよいかどうか助言を求めよと迫ったのに対して、大臣は、「当然、これは求めてまいりたい」と答弁をされました。
大臣、原子力安全委員会に対して助言は求めましたか。そして、この問題はどのように議論され、どういう結論になりましたか。
○高木国務大臣 宮本委員にお答えをいたします。
前回の委員会で御指摘のありました点につきましては、改めて原子力安全委員会の見解を伺ったところでございます。
原子力安全委員会としては基本的な考え方に関して助言をしているものであって、どこの高さで判断するかなどについては、助言された基本的な考え方に即して実施者である文部科学省において適切に判断されるものであればよい、こういうことで受けております。
○宮本委員 先ほど、原子力安全委員会の委員長の方からもそういう答弁がありました。ただ、同時に、先ほども、五十センチで高いならこれはこれでちゃんと対処してほしいともおっしゃっていたわけですね。
ですから、具体的な計測方法については文科省が判断するということであれば、これは文科省の方で、五十センチのところでは四・一と出ていながら、一メーターが三・八なのでこれはオーケー、こういう判断は文科省がおやりになったということでありますね。ですから、文科省の判断としては、今後しっかりとこの点は見直していく。
やはり私が申し上げたように、三・八というのが限界線量から割り戻したものであるならば、たとえ一メーターというところで低くても、五十センチのところでそれを超えるような線量が出た場合にはやはり規制をするというふうに運用すべきである、見直すべきである、こういうふうに思うんですけれども、これは文科省の方の御見解をお聞きします。
○合田政府参考人 お答えをさせていただきます。
先生御案内のように、現段階では、校庭線量につきましてはおおむね低減傾向にございまして、当初十三校ございました屋外活動制限対象の学校は現在一校だけになっているわけでございます。
将来におきまして新たな事態が生じるなどの状況がございましたならば、先生御指摘の趣旨も踏まえて、合理的に達成可能な限り低くという、いわゆるALARAの観点から検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○宮本委員 過去の問題じゃないと思うんです。今下がっているということでありますけれども、福島第一原発の現状は、昨日も、原発一号機の燃料棒が完全に溶融し、圧力容器の底に落ちていることが明らかになりました。
東電の松本純一本部長代理は、燃料の形を維持できない状態で溶けていることは認識している、原子炉の底が完全に抜けているとは考えていないが、部分的に突き破ったことは否定できず、一部の燃料が格納容器に落ちていることもあると思うと述べました。
東京電力は、原子炉の底に穴があいて格納容器側に大量の水があふれ出し、さらには格納容器からも原子炉建屋などに水が漏れ出ているという見方を示しております。危機的状況は一層深まっておりまして、予断を許さないという状況なんですね。
ですから、再び何らかの原因で放射性物質が原発から漏れ出す危険はいまだに否定はできないわけです。その点では、今後の運用において、私が指摘したように、きちっと再検討し対応すべきだと先ほど局長の方からも答弁がありました。大臣もこれでよろしいですね。
○高木国務大臣 いわゆる暫定的考え方については、これまでも申し上げておりますように、これは年間一ミリから二十ミリを学校の校舎あるいは校庭の利用判断における暫定的な目安として示しておりまして、二十ミリシーベルトでいいというわけではありませんで、あくまでも、できる限り線量率を減らしていくことが適切である、こういう考え方であります。
また、毎時三・八マイクロシーベルトという数値も、屋外に八時間、屋内に十六時間、こういう安全サイドの前提でありまして、年間二十ミリシーベルト、放射線量を受けてもよいという意味ではないということは御理解いただきたい。
例えば、これはもっと詳しく計算をした値が出ておりますが、今、児童生徒の平均的な生活パターンから見ると、四月十四日の測定時点で校庭の空間線量が毎時三・八マイクロシーベルトであった学校における事故発生から一年間の線量率は、多くても十ミリシーベルトではないか、こういう試算もあります。
さらに、福島県内五十五校・園の教職員などに積算線量計を配付しておりまして協力をいただいておりまして、昨日、先月の二十七日から五月の八日までの測定結果を取りまとめました。この結果を見ても、実際の児童生徒が受ける放射線量の全体平均は毎時〇・二二マイクロシーベルトということになっておりまして、さきに述べた試算を用いた値と比べても相当低いところにある、このように承知をしております。
しかし、これはあくまでも暫定的な考え方でございまして、私どもとしては、ほかに線量を下げる努力、そして夏休みに一定の見直しを行う、こういうことでございます。
なお、冒頭話されましたように、今のサイトの状況は予断を許しませんけれども、我々としては、一日も早く安定した状況になるように全力を傾注しなきゃならぬ、このように思っておりますし、またそのことを期待しております。
○宮本委員 詳しくやってみたら十ミリシーベルト以下、私が聞いたところでは九・九九ミリシーベルトという計算結果が出ておりましたけれども、だったら下げられるんじゃないですか。下げても差し支えないんじゃないですか。
○高木国務大臣 私たちとしては、ICRPの基準に基づいて今このような考え方を示しておりますので、安心の上で計算したところ、そうでございますということでございます。
したがって、これからもできるだけ線量の軽減の対応を図ることが必要である、このように考えておりますので、一応の目安として示した値は今の状況でございます。
○宮本委員 いや、二十ミリシーベルトというのが安心できないという議論が起こっているわけですから、そして実際には十ミリシーベルト以下に抑えられるというんだったら、下げればいいんですよ。
前回の委員会では、もう一つの体内被曝問題も問題になりました。しかし、これは大事な問題なんですが、きょうは当面するさらに重要な課題があるので、引き続き取り上げるということにしたいと思います。
大臣、あなたは十日の記者会見で、暫定的考え方について、いろいろな専門家の意見を聞いて決めたものだから、ここはひとつ信頼してほしい、つまり二十ミリというものを信頼しなさい、こうおっしゃいました。
端的に聞きますけれども、なぜこの二十ミリというものが信頼されていないか、おわかりですか。
○高木国務大臣 いろいろな専門家の御意見もありますし、私どもとしましては、最終的には、原子力安全委員会の助言をいただいて、原子力災害対策本部として取りまとめを行ったものでございます。
この上は、私たちとしては、二十ミリシーベルトでいいということでは決してなくて、少なくとも一ミリシーベルトを目指して、原子力発電所の収束を願うし、そして同時に、その間少しでも線量の軽減のための努力をしていく、こういうことでございまして、ぜひひとつ、そのようなことで御理解をいただきたい、このように思っております。
○宮本委員 いや、もう全然現場も理解できていないんですよ。
私、この五月九日に福島県に入りました。福島県教育委員会、あるいは福島市の教育委員会、郡山市の教育委員会からも直接聞き取りを行って、養護学校、小学校、保育園等々の現場を、運動場も含めて、この目で見てまいりました。
どこでも、現場の関係者は怒り心頭という状況でありました。父母や県民の不安の声に対して、我々は専門家ではないので、国が決めた基準だからといって説明するしかない。ところが、その政府の内部から、とんでもなく高い数値だと涙を流して訴える記者会見をやられたら、もう説明のしようがないんだ、こう語っておりました。
これ、私、小佐古さんの辞意表明の文章も持っておりますけれども、改めて、この事態が起こって、現場はもう本当に、この数値について信じられないという状況になっていると思うんですね。
私、これはもう仕切り直ししかないと。この際、年間二十ミリシーベルトを撤回して、政府として改めて、中通りや福島市、郡山市なども含めて、放射能汚染の実態について正確かつ綿密に把握をした上で、もう一度、幅広い専門的、科学的知見を集めた納得のいく基準づくりを行うべきではないか、こう思いますが、大臣いかがですか。
○高木国務大臣 これまで、私どもとしましては暫定的な考え方をお示しいたしましたので、これに基づいて、できるだけ線量が少なくなるように取り組むことでございます。
○宮本委員 私、こうなってまいりますと、まさに、先ほど来他の委員からも出たように、小佐古敏荘元内閣官房参与にこの委員会に出てきていただいて、一体、政府内でのこの意見の分裂というものがどういう経緯で起こったのかということについてもただす必要が出てくると思います。
委員長、これはお願いですけれども、元内閣官房参与小佐古敏荘氏を参考人として招致することを求めたいと思いますが、お取り計らい願えますか。
○田中委員長 後ほど理事会で検討いたします。
質問を続行してください。
○宮本委員 四月十九日の暫定的考え方の発表時には、十三校・園が、校庭、園庭での活動を一日当たり一時間以内に制限する、こういう措置がとられました。その後、一週間ごとに調査を行い、二週連続して下回った場合は解除をされてきたわけです。
五月六日時点で、この暫定的考え方に照らして屋外活動を制限されている学校・園はどれだけございますか。
○高木国務大臣 暫定的考え方に基づいて、五月六日現在、校庭などの空間線量率が毎時三・八マイクロシーベルト以上の学校は一校のみでございます。
○宮本委員 福島県渡利中学校一校のみと伺っております。
そうしますと、今福島県で継続的な放射線量のモニタリングを行っている学校、五十六校・園となっておりますけれども、三・八マイクロシーベルトを上回って屋外活動が制限されているのは一校のみですから、あとの五十五校・園では、子供たちが屋外に出て通常どおりの活動をしていてもよいはずですが、実際はどのようになっておりますか。
○高木国務大臣 文部科学省においては、継続的なモニタリングをしております。
その五十六校・園については、屋内活動の実態調査をしたところ、五月九日現在、学校長の判断によって、体育、部活動等の野外活動を一、二時間、一から二時間程度に制限して行っている学校等は、園も含めて十三校・園。屋外活動を行っていない学校は四十三校・園でありました。
○宮本委員 きょうは資料にその一覧をおつけいたしました。「福島県内の学校等における校庭等の表土除去と屋外活動状況」という一覧表であります。これは文部科学省提出資料です。
先ほどの大臣の答弁にあったとおり、屋外活動を制限していないという学校は全くのゼロです。表土の除去を行った学校でも、私が福島県を訪問した五月九日時点では、一部実施さえしておりませんでした。私が訪問した郡山市では、やっと五月十日から、授業で一時間以内、クラブで二時間以内で校庭の利用を始めようというところでありました。これでさえ授業では一時間以内というんですから、文科省の言う毎時三・八ミリシーベルトを超えた学校、つまり、一時間以内というものとほとんど同じ扱いなんですね。
つまり、これまでは表土を取ったところでも、一時間も外には出していないということであります。つまり、文科省の基準を信じて、では三・八を下回っているから結構ですよとやっているところなんかは一つもないんですよ、現実に。
福島県教育委員会では、今外で遊ぶ子はいない、会津では遊んでいる子供がいるが、福島、郡山では連休中も外で遊んでいないという話でした。福島市教育委員会では、一時間当たり三・八マイクロシーベルト、年間二十ミリシーベルトについては保護者に理解してもらえないので、たとえ制限がかかっていなくとも屋外活動を自粛しているとのことでありました。この自粛というのは、一時間も外には出していないということであります。
大臣、結局、文部科学省が四月十九日に示した暫定的考え方というようなものは、もはや何の意味もなしていないじゃありませんか。基準にもなっていないんですよ。こんな、県民から相手にもされていないようなものを、変えないんだと言って頑張ってみたって、意味がないんですよ。
第一、日弁連からも会長声明が出る。昨日は日本医師会から声明が出たと、先ほど民主党の委員からも触れられました。
私は、ここに医師会名の声明、見解を持ってきましたけれども、一から二十ミリシーベルトの最大値の二十ミリシーベルトを扱った科学的根拠が不明確である、成人と比較し、成長期にある子供たちの放射線感受性の高さを考慮すると、国の対応はもっと慎重であるべきだ、こう述べて、国は、幼稚園、保育園の園庭、学校の校庭、公園の表面の土を入れかえるなど環境の改善方法について、福島県下の学校等の設置者に対して検討を進めるよう通知を出したが、もっと国として責任を持って対応せよと。
医師会だって日本医師会名で出しているわけですから、それは父母にしたって、幾ら文科省がそう言っても、弁護士会は言う、医師会は言う、そのもとで到底これは納得されないということになると思うんです。
だから、私は、あらゆる科学的知見を集めて、現地の声にもよく耳を傾けて、本当に納得していただける基準をつくり直すべきだ、守られていないような基準にいつまでもしがみついていても仕方がないじゃないかということを申し上げているんですが、大臣、そうは思われませんか。
○高木国務大臣 私どもは国際基準に基づいてこの暫定的考え方を決めさせていただきました。
それぞれの学校の判断で、今の議員御指摘の現状があるかと思っております。
○宮本委員 ボタンをかけ違えているんですよ、これは。あなた方がそうしてかたくなになればなるほど、国民から疑念を持たれることになります。そういう態度は早晩続かなくなる。間違えたときには思い切って引き返す勇気を持っていただきたいということを、これは指摘をしておきたいと思います。
この暫定的考え方は、同時に、できる限り今後児童生徒の受ける放射線量を減らすことが適切だ、そうも書いているわけでありますが、あなた方がやってきたことはモニタリングを続けてきたわけであって、放射線量を減らす具体策はこれまで示されてこなかった。そして、この間初めて、表土を除去するという話が出てまいりました。
郡山市では、十年後の子供のリスクを考えて、後顧の憂いは残してはならない、市民の安全と子供たちの健康は市が守るとの強い意思のもと、小学校十五校と十三の保育所において表土の除去を行いました。
私の聞き取り調査によると、薫小学校では、除去前四・一マイクロシーベルトあったものが、除去後一・九マイクロシーベルトへと劇的に下がっております。また、鶴見担保育所でも、四・五マイクロシーベルトから〇・九マイクロシーベルトへと劇的に下がったと聞きました。
文科省は、五月八日に、福島大学附属幼稚園と附属中学校の二カ所で、表土を下層の土と入れかえる上下置換工法の実地検証を行いましたけれども、この結果、線量はどれだけ下がったか、またその効果はお認めになりますね。
○高木国務大臣 御指摘の点でございますけれども、私どもとしましても、線量を下げる努力の一つとして、独立行政法人日本原子力研究開発機構において、五月八日に、福島大学と協力いたしまして、学校あるいは校庭、幼稚園における空間線量の低減を検証するために、表土の上下置きかえに関する実地調査を行いました。十一日にその結果の報告を受けました。
この中では、土壌は二十センチ程度の厚みで九〇%程度の線量率低減効果がある、二十センチ程度の覆土で放射線遮へいの観点から十分効果がある、また、まとめて地下に集中的に置く方法と上下置きかえ法の二つの方法が有効とされております。
文部科学省といたしましては、こういったことについて、原子力安全委員会にその結果を報告した上で、現状において学校における対策として、この方法を採用する際の留意事項として福島県教育委員会に示したところでございます。
今後、設置者である市町村教育委員会の要望に応じて、私どもも必要な助言を行ってまいりたいと思います。
○宮本委員 佐藤福島県知事の要望書でも、「土壌の入れ替えや、除去した土壌の処理について、適切な方法を早急に示すこと。」と強い要望が出されております。
私がお会いした郡山の教育長も、発生者責任の原則に立って、国と東電の責任で、除去した土、砂の適切な処理方法、場所について速やかに提示するとともに、除去費用について助成を求めたいという強い要望が出されました。
これは、ぜひ国として前向きに受けとめていただきたいと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
○高木国務大臣 郡山市などにおいては、市の独自の判断として校庭の土を削り取ったものと受けとめております。
この削り取った土をどうするかについて、処分場所の検討とともに適切な処理方法について、今回の事務連絡を踏まえながら必要な助言等を行ってまいりたいと思っております。
○宮本委員 表土除去といいましても、先日文科省が行った上下置換工法、いわゆる天地返しというものもありますけれども、大きな穴を掘って表土を埋め、きれいな土で覆うという方法、一直線に深い溝を掘ってそこに表土をずっと埋めて、上に一メーター程度のまた新鮮な土を入れるという方法、さまざまな工法があるというふうに聞きました。
また、現地の学校で聞いたところによりますと、校庭の二十センチ下にはパイプが幾つも通っており、それらを傷つけてはいけない、あるいは、学校の周辺には井戸水を使っている家庭もあり、地下水系に影響を与えてはならない、さまざまな条件が学校ごとにあると聞きました。
それぞれの学校の状況に応じて表土除去、穴埋め、または表土の搬出、さまざまな対応を行う柔軟な対応が必要だと思いますが、大臣いかがですか。
○高木国務大臣 御指摘のとおり、それぞれの学校の校庭の築造に対してもいろいろなやり方もあっておりますし、またそれぞれ違ったケースもあります。
したがいまして、この件については、適切な方法を選択することについて、私どもとしましては、柔軟な対応が行えるように必要な助言を行ってまいります。
○宮本委員 何よりも現場の意見をよく聞いて進めていただきたい。
郡山市では、既に表土の除去を行って、先ほど述べたように、放射線量を低下させるために大きな効果があることがわかっております。
しかし、表土をはいだだけで解決といかない問題があるんですね。一つは、そうやって表土をはぎますと、校庭が大変荒れるんです。私も見ましたけれども、上のやわらかい土が取られていて、ざらざらなんですね。このままで子供が使うとけがをするというので、校庭を使うことに二の足を踏んでおります。やはり、そこにやわらかい表土をかぶせる、あるいは芝生を植えるなどして使えるようにしなければならない。
表土をはぐだけじゃなく、今後こういうことについても手当てが必要になってくると思いますが、大臣、その点はいかがでしょう。
○高木国務大臣 私どもとしましては、先ほど述べましたように、効果的な方法を選択していただく。
もちろん、郡山の例においては、取り除いた土砂の処分場に地元の了解が得られないということもございまして、またもとのところに山積みをされておると思っています。これの取り扱いについては、やはりきちっとしなきゃなりません。
したがって、私どもとしましては、表土については、柔軟な対応をこれからもとってまいります。
○宮本委員 たとえ天地返しをしても、上に行く土はやはり表面にあるやわらかい土と違いますので、郡山のように、はぎ取ってのけたからざらざらになっているんじゃなくて、下にはざらざらの、大変やわらかくない土があるんですよ。天地返ししたって、文科省の言うようにやったって、上に出てくる土はやわらかくないんです。だからちゃんと手当てが要るんです。
もう一つ聞きますけれども、二つ目に、幾ら校庭や園庭の土壌だけをきれいにしても、周りがそのままでは、子供たちは校外で被曝することになります。また、時間がたてば、風で飛んできて、校庭の放射線濃度も再び上がることになります。現に、私が視察した郡山市の保育所は、表土の除去によって放射線量は低下しておりましたが、その目と鼻の先にある公園から高い線量が検出されて、その公園が新たに使用禁止となったと聞きました。
通学路や地域全体の放射線量も下げなければ、子供たちの安全は守れないと思うんです。学校外の土壌についても放射線量を計測し、高いところは土壌を除去するなどの対応が必要です。
これは文部科学省だけの問題ではないと思うんですけれども、文部科学大臣として、政府内で問題提起をする必要もあると思うんですが、大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。
○高木国務大臣 児童生徒のいわゆる生活パターンに即した試算を先日行いまして、学校で受けると想定される線量の影響は生活全体の約一七%という結果が出ております。
今後は、学校外でも線量の高いところはあるわけでありまして、できるだけ、モニタリングをしながら、例えば水たまりとかそういう線量の高いところを避けるように、私どもとしても考えていく必要があろうと思っております。
また、今後、文部科学省としましては、子供たちのことを考えて、さらに、医学あるいはまた医療、あるいは子供の心理、発達と教育、こういうことをさまざまな観点から専門的に議論していく場もぜひ設けていきたいと思っております。
○宮本委員 今回の原子力災害は、子供たちや親はもちろん、学校にも自治体にも責任はありません。原子力安全神話を無責任に振りまいて原発依存を進めてきた東電と国にこそその責任があることは明らかです。
地元自治体が求めているように、発生者責任の原則に立って、国と東電の責任で一刻も早く万全の措置をとることを強く求めて、私の質問を終わります。
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