平成二十三年四月二十七日(水曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君
理事 野木 実君 理事 松崎 哲久君
理事 松宮 勲君 理事 下村 博文君
理事 馳 浩君 理事 池坊 保子君
相原 史乃君 石井登志郎君
大山 昌宏君 笠原多見子君
金森 正君 川口 浩君
城井 崇君 熊谷 貞俊君
佐藤ゆうこ君 笹木 竜三君
瑞慶覧長敏君 高野 守君
中屋 大介君 平山 泰朗君
福嶋健一郎君 村上 史好君
室井 秀子君 本村賢太郎君
山田 良司君 笠 浩史君
和嶋 未希君 あべ 俊子君
遠藤 利明君 河井 克行君
河村 建夫君 齋藤 健君
塩谷 立君 田野瀬良太郎君
永岡 桂子君 松野 博一君
富田 茂之君 宮本 岳志君
城内 実君 土肥 隆一君
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文部科学大臣 高木 義明君
内閣官房副長官 福山 哲郎君
財務副大臣 五十嵐文彦君
文部科学副大臣 笹木 竜三君
厚生労働副大臣 大塚 耕平君
文部科学大臣政務官 笠 浩史君
農林水産大臣政務官 田名部匡代君
経済産業大臣政務官 中山 義活君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 三輪 和夫君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 辰野 裕一君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 磯田 文雄君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 合田 隆史君
政府参考人
(文化庁次長) 吉田 大輔君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 石井 淳子君
政府参考人
(厚生労働省健康局長) 外山 千也君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 木倉 敬之君
政府参考人
(農林水産省生産局畜産部長) 佐藤 一雄君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 横尾 英博君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官) 黒木 慎一君
政府参考人
(特許庁審査業務部長) 橋本 正洋君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 井上 俊之君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 渡邉 綱男君
政府参考人
(防衛省運用企画局長) 櫻井 修一君
参考人
(原子力安全委員会委員長代理) 久木田 豊君
参考人
(原子力安全委員会委員) 久住 静代君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
四月二十七日
辞任 補欠選任
奥村 展三君 相原 史乃君
田野瀬良太郎君 河井 克行君
古屋 圭司君 齋藤 健君
同日
辞任 補欠選任
相原 史乃君 福嶋健一郎君
河井 克行君 田野瀬良太郎君
齋藤 健君 古屋 圭司君
同日
辞任 補欠選任
福嶋健一郎君 笠原多見子君
同日
辞任 補欠選任
笠原多見子君 奥村 展三君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
先ほど来も議論が続いておりますので、質問を少しはしょって、核心部分から始めたいと思うんです。
文科省がこの間、「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」、これで毎時三・八マイクロシーベルトという基準を示した。その背景にあるのが、国際放射線防護委員会、ICRPの三月二十一日の声明で、今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルの一から二十ミリシーベルト・パー・年の範囲で考えることも可能としたという、この国際基準を考慮して、原子力安全委員会の助言を得たものだ、こういう答弁を繰り返されております。
ここで私がまず指摘したいのは、この一から二十ミリシーベルトというICRPの基準というものは、二十ミリというものを線量限度とするものなんですね。それで、そもそも、こういうことを定めた七七年の勧告を見ましても、幾つかの原則が掲げられておりまして、正当化の原則、適正化の原則、そして線量限度遵守の原則。特に、三つ目の線量限度を遵守する原則というのは、ここまで被曝してもよいという値ではないんだ、これ以上は絶対に被曝してはいけないという上限値なんだと。
かつて、線量限度のことを許容線量と呼んだことがあったけれども、しかし許容線量という用語は、ここまで被曝してもよいという間違った考え方に陥りやすい響きを持っているので、これ以上は絶対に被曝してはいけないという上限値であることがわかるように線量限度という用語に変更した経緯があるんですよ。
きょうは原子力安全委員会に来ていただいておりますので、その経緯について、間違いないですね。
○久住参考人 お答えいたします。
間違いございません。
○宮本委員 私、青少年特別委員会でも指摘したとおり、この二十ミリシーベルトという基準は、大人も含む一般公衆の参考レベルの最大値、最高値なんですね。これを児童生徒に適用してよいのかということがまさに問われている。先ほど来そういう議論が重ねられてまいりました。
ここに持ってまいりましたのは、日本放射線公衆安全学会による「医療従事者のための医療被ばくハンドブック」という、一般的に医療現場で使われている本であります。ここには、二〇〇一年十一月二日付で、米国食品医薬品局、FDAが通達を出して、小児らのCT検査における被曝線量低減の必要性を強調したということ。
我が国でも、二〇〇五年二月二十一日に、社団法人日本医学放射線学会、日本放射線技術学会、日本小児放射線学会から「小児CTガイドライン 被ばく低減のために」が公表され、その第一に、「小児は放射線に対する感受性が成人の数倍高い。」とこの本にもはっきり書かれてあります。これはもう医療現場では常識なんですね。
先ほど福山官房副長官でさえ、大人より子供の方が放射線の影響は大きいとその場で答弁していたではありませんか。
大臣にお伺いするんですが、なぜ子供の放射線感受性の高さを考慮しないのか、お答えいただけますか。
○高木国務大臣 宮本委員にお答えをいたします。
先ほどからも、暫定的な考え方については、国際放射線防護委員会、ICRP、二〇〇七年の勧告を、非常事態収拾後の参考レベルの年間一から二十ミリシーベルトを目安としたものです。したがいまして、おっしゃられるとおり、これは限度であります、上限です。
したがって、何度も申し上げますけれども、できるだけ当たらない方がいいことに決まっておりまして、また我々もそのためのいろいろな対応をしなきゃなりません。したがいまして、学校の活動でありますから、この判断についてはこの基準をひとつ考慮して、私たちとしては、福島県に対して一つの目安として暫定的な考え方を示したものでございます。
このICRPは、年間二十ミリシーベルトという基準自体、これも、午前中からも出ておりますように、大人にも子供にも適用できるものだ、こういう基準でございまして、我々としては、原子力安全委員会の助言も踏まえて、できるだけこれを下げていく、そして、みずからの体を子供たちが守れるような留意事項も加えていくことが、学習活動に安心がいけるんじゃないか、このようなことで示したのでございました。
○宮本委員 確認をいたしますけれども、政府は四月二十二日に計画的避難区域というものを設定いたしました。その基本的考え方の第一に掲げられている基準は、年間の積算放射線量が何ミリシーベルトに達するおそれのある地域とされておりますか。
○高木国務大臣 現在、野外活動を制限する基準の該当する学校について、私どもとしましては、年間二十ミリシーベルトを超えることなく、環境モニタリングを今後充実していけば適切であろう、このように思っております。
○宮本委員 私は、計画的避難区域を設定したが、そこでの基本的な基準、考え方は、年間の積算線量、何ミリシーベルトになっているかと聞いたんです。
○高木国務大臣 二十ミリシーベルトでございます。
○宮本委員 そもそもこの二十ミリシーベルトというのは、事件発生から一年間の累積放射線量がこれを超えるおそれがあるというだけで、大人でさえ避難する必要のある放射線量なんですね。そのような放射線量までは子供たちを浴びさせてよいというような話は到底だれも納得しないと言わなければなりません。
大臣、これで本当に子供たちに対する責任を果たせるんですか。
○高木国務大臣 最新の知見、あらゆる専門家の皆様方、そして最終的には原子力安全委員会、あるいは原子力対策本部として、我々はこの考え方を示したものでございますので、どうぞ安全だということで教育活動を進めていただきたい。
特にこれから大事なことは、モニタリングをきちっとやりながら状況をしっかり見守る、このことが大事であると思っております。少なくとも八月の終わり、夏休みまでにはこの考え方で臨み、そして、その中でも特別な、異常な状態がもしあるならば、それはそれとして我々は適切な措置をとらなきゃならぬと思っております。
○宮本委員 きょうは原子力安全委員会の久住原子力安全委員に来ていただいております。先日、青少年問題特別委員会でも久住さんと論議をさせていただきました。
あのとき、原子力安全委員会は、決して一年間二十ミリシーベルトを子供たちが受けることを容認しているわけではないんだと。スタート時の基準として容認したのであって、決してこのまま毎時三・八マイクロシーベルトで一日八時間、一年間で二十ミリシーベルトも子供たちが受けることを容認したわけではないというふうに答弁されたと思うんですが、間違いないですね。
○久住参考人 ただいまの先生の御発言、間違いございません。
つまり、私も、当時、そのときは学校を開始する判断として、ICRPの勧告する、いわゆる現存被曝回復状態にある線量バンド、一から二十ミリシーベルトを暫定的にとられて、夏季休暇の終了に向けて、いわゆるALARAの観点から、線量の低減化に努めることは妥当であるというようなことを申しました。
そのときの一つの私どもの根拠といたしましては、きょう先生も資料としてお示しでございますけれども、私どもは四月の初めの時点で、沃素とセシウムの寄与がほぼ一対一になっていることや、それから体育館の空間線量率と校舎内の空間線量率では、校舎内の方は十分の一になっているということから、ただいまの基準としている年間二十ミリシーベルトという線量の基準は校舎外の線量でございますから、子供たちは校舎内であればその十分の一の線量程度で過ごすことができるのであろうということを考えた上で、このようなことを申しました。
それと同時に、私どもは、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、モニタリングの結果によりまして適宜助言を行ってまいりたいということも申したつもりでおります。
○宮本委員 ですから、一年間、これで結構なんていう話を原子力安全委員会がやったわけじゃないんですよ。もちろん文科省も、二十ミリまではいいんだと言っているわけじゃないと。それはそう思うんですよね。
話としては、暫定基準として、八月末、夏休みの終了までということでいうと、ひとまず今、スタート時点ではそれもやむを得ないだろう、許容したと。しかし、その先は、さらに一年間でいえば二十ミリにもならないようにしっかり見直していく必要があるということを含んだ御判断だと私は思うんです。
これは文科大臣も基本的に同じ認識を共有できると思うんですけれども、こういうものはさらに見直せる段階が来れば見直すべきだと私は思いますが、大臣よろしいでしょうか。
○高木国務大臣 委員も御指摘のとおり、まずスタートをさせていただきました。したがって、線量の計測についてはしっかり取り組まなきゃなりませんし、私どもとしては、それがずっと低くなっていくことを目指しておりますし、また期待をしております。
ただしかし、もし異常な変化があれば、それはそのときにしっかりまた専門家等の意見を踏まえて、これは特別な措置をしなきゃならぬ場合も出てまいります。
○宮本委員 できるだけ低く見直すのは当然のことだということを指摘しておきたいと思います。
そこで、今度聞きたいのは、校庭、園庭でこの基準、毎時三・八マイクロシーベルト以上の空間線量率が測定された学校では、当面、校庭、園庭での活動を一日当たり一時間程度にするなど、学校内外での屋外活動をなるべく制限するということでありますけれども、四月十九日の時点で、この基準を上回ったのは十三学校園だと発表されました。私は、この判断のもとになった四月十四日時点の調査結果を見て、非常に不審に思った点があるんです。
きょう配付した資料の一を見てください。
これは文部科学省が出してきたものでありますけれども、ナンバーの上に丸が付されているのが屋外活動制限を受ける学校であります。それを判断する数字は、空間線量率、マイクロシーベルト・パー・アワー、こういう欄の最初、「校舎外平均値」というところであります。
四十一番、福島市立福島第三小学校、一メートルのところで三・六、五十センチで三・九。したがって、これは丸がついております。屋外の活動は制限されております。ところが、その一つ上の四十番を見てください。福島市立福島第一中学校、一メーターで三・七、五十センチで四・一。いずれの指標でも第三小学校を上回っているにもかかわらず、この四十番には丸がついておりません。ノーマークになっております。どうしてこういうことが起こるんですか。
○高木国務大臣 校庭、園庭の空間線量率というのは、地表から低いほど高くなるという傾向がございます。空間線量率の測定については、一般的に一メートル高さで行うことが標準でありますけれども、児童生徒などの身長を考慮しますと、中学校については一メートル高さ、幼稚園、小学校、保育園については五十センチ高さ付近が体の中心になるということから、線量率の判断をする高さとして、こういうことが適切ではないか、このように考えたものでございます。
○宮本委員 いいですか、三・八マイクロシーベルトというのは、冒頭議論したように、この限度を超えてはならないという最大限度なんですよ、それは。
今この小学校と中学校の違い、どこにあるか。小学校は身長が低いので五十センチ、中学校は一メーターでとったんだと言うけれども、現に福島市立第一中学校は、三・七と四・一、五十センチ地点で四・一というマイクロシーベルトの計測結果が出ているわけですよね。中学生だってしゃがみ込むこともある。運動場に座ることだってあるでしょうよ。小学生だって、六年生になれば、一メーター近いところに胸や口や鼻が来るというのは幾らでもあることであって。
こんなことで、三・八を超えていたって抜け落ちているようでは、とても安全を守っているとは言えないじゃありませんか。この委員会の人たち、だれが聞いたっておかしな話だと、だれが考えてもわかる話ですよ。こんなのが何で許されるんですか。
○高木国務大臣 これは平均値でございまして、私どもとしましては、三・八を、高目のところについては、一日の間の野外での活動を一時間以内に抑えていただくならば、そしてまた、留意事項である、手を洗ったり、あるいはほこりのあるときは窓を閉めたり、あるいは校舎に入り、あるいは家庭に帰るときには泥を落としたり、そういうことをすれば、年間の積算の被曝線量についてはこの以内の中におさまっていくであろう、こういうことから五十センチと一メートルを決めさせていただきまして、そういう平均の値をここに記載をしたところでございます。
○宮本委員 平均なんかとっていないですよ。低い方をとっているんですよ。
きょうは原子力安全委員会、来ておりますので、安全委員会にも聞きたいですけれども。
こういう場合に、四・一という数が出ているにもかかわらず、中学校では一メーターをとるものだから、五十センチで四・一でも構わないと。私は、少なくとも、どちらかが三・八を超えれば、やはりこれは最大限を超えたというふうに判断すべきだ、これが科学的態度だと思いますけれども、そうお考えになりませんか。
○久住参考人 お答え申し上げます。
私どもが文部科学省といろいろ議論してまいります過程では、先生御指摘の件は、校舎外あるいはほかの場所においても三・八を超えるようであれば、そこは三・八以上と判断するというような御説明を受けております。
○宮本委員 大臣、おかしいじゃないですか。そういう説明を受けて助言をしたと言っているんですから、それは考えを改めるべきですよ。いかがですか。
○高木国務大臣 この設定については、毎時三・八マイクロシーベルトという基準自体、これは事故発生以降一年間で二十ミリシーベルトを超えないものということで設定をされておりまして、この基準に当たって、次のような安全側の条件を考慮しております。
例えば、まず一つは、校舎あるいは園舎の中での空間線量、これは木造と比べて極めて低いこと、これが一つあります。それから、暫定的な考え方においては、一日のうち八時間を野外にいると想定しておりますが、児童生徒の一般的な生活パターンからして、平日八時間の外出は考えにくいこと。三番目には、暫定的な考え方では、放射線は、午前中もございましたが、いわゆる核種の減衰、どんどん減っていくわけですが、これについては全く見込んでいないこと。また四つ目には、今回の措置は、あくまでも夏休み終了までの暫定措置でありまして、実測値を勘案しまして必要な措置の再検討を行うことにしております。
以上によりまして、私たちとしては、安全は確保できる、このように考えております。
○宮本委員 答弁になっていないじゃないですか。
原子力安全委員会は、そんな話は聞いていない、どこかでも三・八を上回ったら、それは上回ったものとするんだと聞かされて了としたと。ところが、今話を聞いたら、そうなっていないじゃないかということになっているわけですね。こんなものは直ちに見直しなさいよ、当然のことじゃないですか。
三・八というのは、最大値をあなた方はとったわけだ。もっと低いところでとっていれば別だけれども、最大値をとった。これを超えれば、一年間たてば二十ミリシーベルトを超えてしまうような最大値をとったわけだから、これを超える値が、三・八マイクロシーベルトを超える値がどこかででも出たら、直ちにやはりそれは超えると判断すべきが科学的態度だということになると思うんですね。
これは見直す、少なくとも見直す、再検討すると。お答えください。
○高木国務大臣 これは、いわゆる小学校、幼稚園などについては五十センチ、中学校については一メートル、こういうことで、これは私たちとして安全基準の中にきちっと入る、こういう認識でございます。
○宮本委員 まともに答えないじゃないですか。
では、もう一度原子力安全委員会に、そういうやり方でよいかどうかということを助言を求めなさいよ。いかがですか、大臣、求めますか。助言をもう一度、このことはこれで大丈夫かということを求めてくださいよ。
○高木国務大臣 当然、これは求めてまいりたいと思います。
○宮本委員 きちっと原子力安全委員会で議論をしていただく。それを見きわめた上でないと、これでよしなんていう話になりませんから、ここは引き続き私どもも追及していきたいというふうに思っております。
それで、同時に、私は、もうきょうは時間が余りないですけれども、残った時間で土壌の問題についても聞かなければなりません。
まず事実を、数を聞きますけれども、四月十四日に行われた調査で、本宮市第四保育園の土壌放射能の沃素とセシウムの値を答弁していただけますか。
○高木国務大臣 四月五日から七日まで、五十二校について再調査をしました。
その際、土壌の放射能についても測定をいたしまして、御指摘の本宮第四保育所の土壌放射能については、一キログラム当たり、沃素131が三千七百ベクレル、セシウム134が八千六百ベクレル、セシウム137が九千九百ベクレルと測定をされております。
○宮本委員 それを資料二につけておきました。第四保育所に下線を引いてあります。極めて高い値です。
この保育園では、空間線量で校舎外平均値が三・〇マイクロシーベルトでありますから、活動制限の対象とはなっておりません。自由に園庭で活動できるわけです。しかし、これだけの量の放射性物質が堆積しており、それが土ほこりとなって幼児たちに吸収されるおそれがあります。幼児が土をなめたりすることは幾らもあることであります。
この第四保育園の土壌放射能の値は、沃素で吸収する場合で、シーベルト換算すると二十七マイクロシーベルト、セシウム137で三百八十六・一マイクロシーベルトになります。一時間当たりの空間線量だけ見れば基準を下回っていますけれども、園庭で遊んでよしとなっているけれども、園庭の土壌には既にその百倍を超える放射線量が蓄積していることになります。もちろん、これはキログラム当たりの線量でありますから、これが全部吸収されるということはないでしょう。しかし、この一部が体内に入れば内部被曝を起こす原因となるわけです。セシウム137で半減期は三十年です。
このセシウム137で土壌放射能が五千ベクレルを超える保育園、幼稚園、小学校、中学校は、福島県下に幾つございますか。
○高木国務大臣 御指摘の調査によりますと、セシウム137が一キログラム当たり五千ベクレルを超える値を示した小学校などは、幼稚園が四つ、保育所が四つ、小学校八つ、中学校二つ、特別支援学校が一つ、計十九校でございます。
○宮本委員 十九校にも上るわけですね。五千ベクレルをこういう学校で超えている。その他の学校も極めて高い値を示しております。
原子力安全委員会の資料や安全委員が指摘するように、土壌の汚染、これを考慮するのは当然のことなんですね。ですから、子供の放射能の感受性、先ほどこれを考慮して見直すべきだと言いましたけれども、土壌汚染、これを考慮に入れてやはり基準を再検討する必要がある、こう私は思うんですが、大臣いかがですか。
○高木国務大臣 これにつきましては、土壌サンプリングの調査を分析した結果、土壌を巻き上げることなどによる体内からの受ける線量の影響は極めて小さく、外部から受ける線量に比べ、体内から受ける線量の影響度合いは極めて小さいことが確認をされております。
したがいまして、線量が継続的に低く抑えられているかを確認するために今後とも継続的にモニタリングを実施してまいりますし、先ほどからも何度も答えておりますように、暫定的な考えは夏休み期間の終了まででありまして、これらのモニタリングの結果を踏まえてそのあり方についても検討がなされるものである、このように思っています。
○宮本委員 では、これも念のために久住安全委員に聞いておきたいと思います。
土壌から吸収されるものというのは、今言ったように極めて小さいんですか。
○久住参考人 子供たちの活動を考えますと、先生御指摘のように、子供たちが決して土壌からの吸収が小さいと私には考えられません。
○宮本委員 ここでも食い違っているじゃありませんか。改めてきちっと原子力安全委員会に助言を求めるべきですよ。こんなでたらめな話がありますか。大臣どうですか。
○高木国務大臣 福島県における学校の放射線モニタリングについての件であります。
この校庭や園庭で三・八マイクロシーベルト、これは時間当たりですが、幼稚園、小学校、特別支援学校については、ちょっとさっきの質問に関連しますが、五十センチの高さ、中学校については一メートルの高さの数値以上の空間線量率が測定された学校については、生活上の留意事項を配慮するとともに、当面、一日の活動を一時間以内にするなど、それはなるべく制約することが適当である、そういうことについて私たちとしては認識をしておるところです。(宮本委員「全然答弁になっていないじゃないですか」と呼ぶ)
○田中委員長 質問者の趣旨を御理解なさっていますか。それに答えてください。今の久住委員との意見の違いを……(発言する者あり)とめた方がいいですか。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○田中委員長 速記を起こしてください。
高木大臣。
○高木国務大臣 先ほど私が答弁をいたしました、いわゆる土壌を巻き上げることによっての体内からの受ける線量の影響は極めて小さく、外部から受ける線量に比べ、体内に受ける線量の影響度合いは極めて小さいことが確認をされておるということについては、私たちの判断でございます。(発言する者あり)
○田中委員長 違います。原子力安全委員が言っている意見を文部省は同じように採用しないのか、そうであればどういう理由なんだというような質問ですよね。
お答えください。
○高木国務大臣 そのことについては、原子力安全委員会にも私たちの考え方を述べて、このようにするということについて承知をされております。(発言する者あり)
○田中委員長 もう一回、質問を聞きますか。
では、速記をとめてください。
〔速記中止〕
○田中委員長 速記を起こしてください。
高木大臣。
○高木国務大臣 私が先ほど述べたことにつきましては、これは安全委員会からも、「平成二十三年四月十九日付で、要請のありました標記の件については、差支えありません。なお、以下の事項にご留意ください。」といって、一つ、二つ、二本のことが付された、こういうことでございます。
○宮本委員 そういう二つの留意点は、さっきから答弁しているとおりですよ。そんなことを言っているんじゃないんですよ。
しかし、五十センチ、一メーターというところで、小学校は五十センチ、中学校は一メーターで判断するんだ、五十センチのところで三・八マイクロシーベルトを超えていてもそれはオーケーとするんだというようなことは、相談にあずかっていないという話が出た。さらに、土壌の影響について、安全委員会は軽微だと考えるかといえば、そうとは考えていないと出ている。
時間がなくなりましたから、このまま続けたって後の質問者に迷惑が及ぶばかりですから。私、引き続きやりますけれども、こんな食い違ったままでは到底この委員会は進みませんよ。
改めてしっかりと統一見解を出していただく。これはちゃんとはっきりさせなければ、あなた方が親御さんに配っている資料を見ても、ICRPの基準に基づいて、原子力安全委員会の助言も得て安全ということでやっているんですと書いているけれども、たちまちここで食い違っているじゃないですか。
ここがはっきりしない限り、これは前に進まないということを申し上げて、私の質問を終わります。