平成二十三年四月十三日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君
理事 野木 実君 理事 松崎 哲久君
理事 松宮 勲君 理事 下村 博文君
理事 馳 浩君 理事 池坊 保子君
石井登志郎君 大山 昌宏君
奥村 展三君 金森 正君
川口 浩君 城井 崇君
熊谷 貞俊君 佐藤ゆうこ君
笹木 竜三君 瑞慶覧長敏君
高野 守君 中屋 大介君
平山 泰朗君 村上 史好君
室井 秀子君 本村賢太郎君
山田 良司君 笠 浩史君
和嶋 未希君 あべ 俊子君
赤澤 亮正君 河村 建夫君
北村 茂男君 塩谷 立君
永岡 桂子君 古屋 圭司君
松野 博一君 富田 茂之君
宮本 岳志君 城内 実君
土肥 隆一君
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文部科学大臣 高木 義明君
文部科学副大臣 笹木 竜三君
財務大臣政務官 尾立 源幸君
文部科学大臣政務官 笠 浩史君
文部科学大臣政務官 林 久美子君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 泉 紳一郎君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 磯田 文雄君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 合田 隆史君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 倉持 隆雄君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 藤木 完治君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 布村 幸彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 篠田 幸昌君
政府参考人
(経済産業省大臣官房技術総括審議官) 西本 淳哉君
参考人
(原子力安全委員会委員) 久住 静代君
参考人
(独立行政法人日本学術振興会理事長) 小野 元之君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
遠藤 利明君 赤澤 亮正君
田野瀬良太郎君 北村 茂男君
同日
辞任 補欠選任
赤澤 亮正君 遠藤 利明君
北村 茂男君 田野瀬良太郎君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
独立行政法人日本学術振興会法改正案は、研究者らの声にこたえて科研費を複数年度にわたって使用できるよう基金を創設するもので、私どもも賛成であります。
まず、この基金の対象でありますけれども、若手研究者を対象としたものなど、今年度新規採択の約八割にもなります。今後は、基金の対象を広げることなども視野に入れて科研費の大幅な増額を図るべきだと私どもも考えますけれども、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○高木国務大臣 今回の法改正においては、科研費のすべての研究種目を基金化するのではなくて、特に、複数年度にわたる研究費の使用の政策効果が高いと見込まれる研究種目を対象にすることにいたしました。具体的には、柔軟な発想が期待される比較的小規模の研究種目を対象として基金化を行うこととしております。
ほかの研究種目の基金化につきましては、これは、国会の御審議あるいはまた研究現場のさまざまな御意見を聞きながら、研究費に係る基金制度の効果を確かめながら今後検討してまいりたい、このように思っております。
科研費につきましては、全国の大学あるいは研究機関において行われるさまざまな研究活動を支える重要な制度でございますので、今後とも、その改善並びに充実に努めてまいりたい。
○宮本委員 今回の東日本大震災では、地震や津波によって未曾有の被害が発生をいたしました。地震防災対策特別措置法第十三条では、「国は、地震に関する観測、測量、調査及び研究のための体制を整備するとともに、」「必要な予算等の確保に努めなければならない。」としております。地震や津波から国民の生命財産を守ることは国の重要な仕事であります。
地震、津波などの調査研究に関する文部科学省の予算、それから、それを担っている独立行政法人防災科学技術研究所に関する予算は、この四年間どう推移してきたか。二〇〇八年度から二〇一一年度までの四年分をそれぞれ分けて答弁していただきたいと思います。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
地震、津波等の調査研究に関する文部科学省のまず本省の予算でございますが、地震研究プロジェクトや活断層の評価等に係る予算として、平成二十年度、六十四億三千九百万円、これは補正予算の十五億五千七百万円を含んでおります。平成二十一年度には四十六億八千三百万円、平成二十二年度は四十五億三千万円、平成二十三年度が四十二億七千七百万円でございます。
引き続きまして、防災科学技術研究所の予算でございますが、平成二十年度、八十六億二千四百万円、この中には補正予算一億五千四百万円が含まれております。平成二十一年度、八十三億九千百万円、この中には補正予算四千万円が含まれております。平成二十二年度、七十九億七千三百万円、平成二十三年度、七十五億八千六百万円でございます。
○宮本委員 きょうはそれを資料にして配付をいたしました。補正予算の分は除いてあります。これは文部科学省が私の手元に出したものです。
予算の推移は右肩下がりであることは、もう一目していただいて歴然です。文部科学省分でこの四年間に六億円、防災科研の予算で九億円、計十五億円の減となっております。
自民党政権のもとで防災科学研究所は独立行政法人化されました。そして、毎年数%、一律削減のシーリングが課せられてきました。それが政権交代して民主党政権にかわっても、事業仕分けの名で、基盤的経費の削減や地震調査研究に係る分野のプロジェクトの予算縮減などが行われてまいりました。
防災科学技術研究所が集めている地震観測のデータは、ほぼリアルタイムで気象庁や大学に送り、公開もされております。気象庁が発表している緊急地震速報で使われている観測点の八割は防災科研のものであります。現場からは、全国で二千弱の観測点の地震計の老朽化が指摘をされております。
例えば、阪神・淡路の大震災の後、補正予算などによってK―NETと呼ばれる強震観測網用の震度計が全国千カ所に設置されましたけれども、大震災から既に十五年を過ぎ、そのほとんどが更新時期を迎えているということであります。震度計にはコンピューターの機能がついておりまして、震度計のシステムや部品の状態などから、十二年から十四年で更新する必要があります。中には、七年前後で更新すべき部品もあるということでありました。
ところが、防災科研全体の予算が減らされていることから、震度計の更新計画を出しても、更新の優先度の高いものからだとか、できる範囲で少しずつなどと言われて、更新がままならない状況があるとお聞きをしたわけです。
いざ地震が発生したときに、老朽化して使えなかったとか地震検知のタイミングがずれたなどということがあってはなりません。まさに、国民の命を守る一番大事なネットワークが財政的理由で甚だお寒い状況にさらされていると言わなければなりません。
大臣、こんな状況でいいと思われるか。震度計の更新に必要な予算ぐらいは確保すべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
○高木国務大臣 現在、防災科学技術研究所においては七百八十八台の高感度地震計を用いておりまして、地震観測、予測研究に必要なデータを取得しております。そのデータは、お話にもありましたように、気象庁が運用する緊急地震速報等にも活用されております。
この高感度地震計は、全体として九五%以上の稼働率となるように計画的に維持管理をしております。平成二十三年度においても、環境条件が悪く、特に劣化が著しい八台の高感度の地震計の点検、更新のための予算を計上することによりまして、目標とする九五%以上の稼働率を維持することとしております。
東北地方の太平洋沖地震による停電などによって一時的に九十七台の地震計が観測できない状況となりましたが、現在は復旧して稼働しております。
言うところの予算確保でございます。我が国はまさに地震国であると同時に、こういった必要な知識あるいは研究ということについては重要な課題でございますので、私たちとしては、必要な地震観測データが常に取得できるように、今後とも、予算の確保について取り組みを進めてまいります。
○宮本委員 幾らシステムがあってもデータがきちっと集まらなければ役に立たないわけですから、しっかりとこれは予算を確保して、老朽化ということのないようにしていただきたいと思うんです。
それで、この間、本委員会でも議論になってきた放射線量の調査ですけれども、これも、測定点を抜本的にふやし、大規模に調査を行う必要があると考えております。
日本学術会議は四月四日に、「福島第一原子力発電所事故後の放射線量調査の必要性について」という緊急提言を発表いたしました。
そこでは、「避難地域での復興活動及び避難している人々の帰還時の安全性の保証には詳細な汚染分析が必須」だとして、一キロメートル四方に一点なら千五百点、数百メートル四方に一点なら一万五千点で、地表の表面汚染、空気中放射能濃度、地表の放射線量率、住民の被曝線量等々について、多数の測定者による大規模調査を早急に実施することを求めております。
この緊急提言にどのように対応するのか、お伺いしたいと思います。
○高木国務大臣 このたびの福島第一原子力発電所からの放射性物質の放出を把握をして、これはもう国民の安全と安心を確保するために政府として必要な対応の中で私ども文部科学省が特に取り組んでおりますのが、放射線のモニタリングでございます。これは、極めて正しい値を速やかに計測をし、そしてそれを皆さん方にお示しをするということは、何よりまず大事な話でございます。
文部科学省といたしましては、二十キロ以遠の地域における空間放射線量の計測、そして、水や土壌などのモニタリング、そしてまた、空から海から航空機、船を使った調査、こういったことでさらにその拡充をしておるところでございます。
引き続き、放射線のモニタリングということについての強化をしなきゃならぬと考えておりまして、現在進められております補正予算も念頭に置きながら、モニタリングの数の増加、そしてまた、原子力安全委員会の適切な助言も踏まえながら取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。
○宮本委員 今、補正予算も念頭に置きながらという御答弁もいただきました。
前回の当委員会の議論では笹木副大臣の方から、一生懸命やっているが、なかなか百、二百のオーダーで機器や人材がすぐに調達できる状況ではないという答弁もありましたので、ここはやはりしっかり補正予算で予算を確保して、こういう不安にしっかりこたえるように、測定点を学術会議の提起にこたえて抜本的にふやすということを求めておきたいというふうに思っております。
次の質問に入りますけれども、昨日、政府は、東京電力福島第一原発一―三号機の事故について、原子力施設事故の深刻度を示す国際評価尺度で最も深刻な事故を意味するレベル7に相当すると発表いたしました。いよいよ、史上最悪の原発事故と言われた八六年のチェルノブイリ原発事故と同じレベルに並んだということになります。
それで、去る四月六日、衆議院経済産業委員会で我が党の吉井英勝衆議院議員は、今回事故を起こした福島原発について、既に五年も六年も前から、全電源喪失による炉心溶融の危険を何度も指摘してきたにもかかわらず、政府も東電も、原発は安全だという安全神話にとらわれて耳を傾けず、対策もとらなかったことを厳しく批判をいたしました。
それに対してさすがに寺坂信昭原子力安全・保安院長も、当時の認識に甘さがあった、深く反省していると述べ、当時の原子力安全委員長であった鈴木篤之原子力研究開発機構理事長も、「私自身、痛恨のきわみ」、「このような事故が現実に発生した以上、過去のことが正しかったということはない」と答弁をいたしました。
まず大臣に基本的認識を問うわけですけれども、今回のような深刻な事故が現実に発生した以上、原子力発電所は絶対に安全だというようなことは正しくなかったと、このことはよろしいですね。
○高木国務大臣 絶対にということはあり得ない、このようなことを認識をいたしております。したがいまして、今後とも安全には重ね重ね注意をしながら進めていかなきゃならぬ、このように思っております。
○宮本委員 あの事故を前にして、原発が絶対に安全だと言う人は、もう今は一人もいないと思うんですね。
ところが、こういうことを子供に教え込んでいる書物があるんです。きょうおつけした資料の三枚目、資料三を見ていただきたいと思います。
本文の下から四行目、原子力発電所について、「大きな津波が遠くからおそってきたとしても、発電所の機能がそこなわれないよう設計しています。さらに、これらの設計は「想定されることよりもさらに十分な余裕を持つ」ようになされています。」一番下の「ココがポイント」というところを見ていただきますと、三つのことが書いてありまして、「原子力発電所では、事故を未然に防ぎ、事故への発展を防止する対策が取られている。」「原子炉は放射性物質を閉じこめる五重のかべで守られている。」「大きな地震や津波にも耐えられるよう設計されている。」こう書かれております。
大臣、こういう書物が作成され学校で使われているということを御存じでしたか。
○高木国務大臣 使用されておるということは知っておりましたが、この文面、今改めて見まして、今回の事故について、全くあってはならないことが起きたと、このように認識をしております。
○宮本委員 これは、文部科学省と経済産業省の資源エネルギー庁発行の「チャレンジ!原子力ワールド 中学生のためのエネルギー副読本」の内容です。
こちらは小学生向けの「わくわく原子力ランド」という副読本でありますけれども、こちらの方は、資料の二、一ページ戻ってもらったところへつけてございます。「原子力発電所では、放射性物質が外にもれないよう、五重のかべでしっかりととじこめています。」また、別のページでは、「もし地震が起きたとしても、放射性物質をあつかう原子炉などの重要な施設は、まわりに放射性物質がもれないよう、がんじょうに作り、守られています。」まさに同様の内容になっています。
これはまさに、吉井議員の指摘に原子力安全・保安院や原子力安全委員会が、反省している、痛恨のきわみと述べた原子力安全神話そのものだと言わなければなりません。
これは文科省の研究開発局に聞くんですけれども、この副読本は、小学生用、中学生用、それぞれ何校、何人に配付されているか、そして予算は幾ら使われているか、お答えいただけますか。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
この資料で配付いただきました冊子、平成二十二年二月、昨年の二月に作成されたものであると思いますが、これにつきましては、まず、小学生用の副読本「わくわく原子力ランド」につきましては約二万五千部、中学生用の副読本「チャレンジ!原子力ワールド」につきましては約一万四千部を作成し、全国に配付したところでございます。
また、それに要しました予算額は三千四百万円でございました。
以上でございます。
○宮本委員 私が問題だと思うのは、この副読本は、原子力のメリット、デメリットを客観的、科学的に子供たちに理解させようとするものではありません。一方的な安全神話を子供たちに振りまいている、そういう内容であるとしか言いようがないですね。まさに電力会社の宣伝冊子そのものなんですよ。これは決して言いがかりではないんですよ。
それは、東京電力のホームページというのを私ここに持ってきましたけれども、原子力発電所の安全対策は多重防護を基本とし、放射性物質を五重の障壁で閉じ込めていると電力会社のホームページに書いてあります。まさに、副読本と言葉遣いまで全く同じところがたくさんあります。
また、「地震対策」としてこの東電のホームページでは、建設予定地周辺を徹底的に調査、揺れの少ない強固な岩盤上に建てる、原子炉は安全に自動停止、考えられる最大の地震も考慮して設計、そして津波への対策、これもこの副読本とほとんど一緒、うり二つなんです。
この副読本の作成、普及や授業での活用には、国の支援事業として二〇一一年度予算で四億八千六百万円も支出をされております。
研究開発局、文部科学省は国費を使って電力会社の安全神話の宣伝をしてやっているんですか。いかがですか。
○藤木政府参考人 昨年の平成二十二年二月に発行されましたこの冊子につきましては、その作成に当たりまして、原子力の専門家の方、そして、小学校の、あるいは中学校の理科の先生の方々の意見を討議していただきまして、その結果作成したものであると承知しております。
その時点におきましては最新の情報をもとにつくられたというふうには認識しておりますけれども、現にこういう福島の事故が起こっているという状況でありますので、先ほど大臣からお話しありましたように、絶対はないということでございますので、今回のこの記述につきましては、改めて見直していく必要があるのではないかというふうに思います。
○宮本委員 それは、こういう事故が起こって見直すのは当然ですけれども、しかし、こういうことを今までやってきたということについての責任は免れないと言わなければなりません。
それで、この副読本には「新学習指導要領対応」と左上に大きく、中学生用にもあるいは小学生用にも書かれてあります。この副読本の企画制作委員会のメンバーを見て私は驚きました。資料四をごらんください。清原洋一文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官(理科)、澤井陽介、社会の教科調査官、田村学、総合的な学習の時間の教科調査官、この三名が加わっております。教科調査官が先頭に立って、新学習指導要領をもとに原子力安全神話を広げていこうとするものだと言わなければなりません。
そもそも、こういう電力会社の宣伝のような副読本の企画制作に教科調査官がかかわるということ自体、大問題ではありませんか。いかがですか。
○藤木政府参考人 エネルギー、あるいは原子力、あるいは放射線につきましては、学習指導要領においても一定の記載がございます。したがいまして、この副読本、冊子をつくる際にも、そういった指導要領の内容と整合性があるものにすべく、そういった方々にも参画をいただいたという状況でございます。
○宮本委員 この副読本の今見ていただいた企画制作委員会、上から七人目、そこには電気事業連合会の広報部部長という人も加わっているわけです。まさに、電力業界の宣伝担当者が加わって、教科の調査官と一緒になってこの冊子をつくっているわけですよ。ですから、本当に、電力業界と一緒になって安全神話を子供たちに小学校のうちから植えつけてきたと言われても仕方がないと思うんです。
それで、文部科学省研究開発局が財団法人日本原子力文化振興財団に作成させたこの冊子、「原子力・エネルギーに関する教育の取組への支援事業案内」というものを見ますと、「学校教育の現場では、平成二十年三月に小・中学校、平成二十一年三月に高等学校の学習指導要領が改訂され、」云々、「社会科や理科などの教科において、原子力の利用などに関する内容の充実が図られたことから、今後、原子力を含めたエネルギーに関する適切な教育・指導の充実が必要不可欠となります。」こう述べた上で、そして「原子力に関する副教材等の作成・普及」というページ、ここをあければ、まさにこの「わくわく原子力ランド」とこの「チャレンジ!原子力ワールド」という二つの冊子が掲げられて、そしてそれがこの支援事業なんだという説明になっているわけですよ。
ですから、これは文科省ぐるみで進めたことだと言わざるを得ないと思うんですが、そうじゃないんですか。
○藤木政府参考人 先ほどと同様でございますけれども、この副読本をつくる、あるいはその関連の事業を当時行うに当たりましては、原子力の専門家の方、あるいは小中学校で教育に携わっておられる方等も含めまして、その時点における最新の情報を踏まえてつくったというものでございます。
したがいまして、特段の何かに偏った宣伝的なものをつくろうという意図ではなかったと理解しております。
○宮本委員 確かに、学習指導要領を新しく改訂されたわけですね。前の指導要領と新しい改訂後の指導要領と、この原子力に関して、エネルギーに関してどういうふうになっているかと私も一応調べてみましたけれども、改訂前の指導要領は、長所と短所をそれぞれのエネルギーについてきちっと教える、つまり、両面きちっと教えるということになっていたんですけれども、今度の改訂された以降のものはそういう表現が見当たらないんです。
ですから、やはり原子力安全神話に文科省もとらわれてきた、これはもう認めざるを得ないことであって、こういうことをやってきた責任は本当に重大だと言わなければなりません。
しかし、支援事業のこのパンフレットの中には、「副読本を含め副教材等の授業での使用など学校教育の場での活用を図るための普及活動を実施し、原子力を含めたエネルギーに対する正しい知識や適切な判断力を身に付けることができる環境を整備すること」を目的とするんだと。ここには「正しい知識」、「適切な判断力」とこうなっているんですけれども、あなた方がそれに基づいてつくったこの副読本は、正しい知識でもなければ適切な判断力でもなくて、まさに、先ほど指摘したように、原子力安全神話、原子力は安全だ安全だということを子供たちに植えつけると言わざるを得ないものになっていると思うんです。
これはもう大臣、冒頭にも絶対ということはないということをおっしゃいました。先ほど研究開発局も、もう今日においては適切ではないというふうにもお考えだと思うんですけれども、少なくとも、このような原発安全神話に立った副読本は今や子供たちに使わせてはならないと私は思いますけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○高木国務大臣 今回の議論におきましても、科学の世界においては想定外という言葉は使ってはならない、こういう御指摘もございました。現実に、あってはならない事故に遭遇しました。したがって、我々はこの現実に立ち向かわなければなりません。
したがって、まずはとにかくあの事態を、レベル7という指定もされたようですけれども、とにかくこういった事態が一日も早く収束されなきゃならぬ。そのために、我が国の総力を挙げて最全力を尽くすということがまず大事と思っております。
その上で、児童生徒のみならず、さまざまな場において、原子力について、あるいはまた放射線について、客観的な知識あるいは多様な意見を学び合う、それに基づいて判断をする、こういうことが大事であろうと思っております。
今私たちは、この事態、大変苦しい事態でございますが、科学立国という我が国の誇りにかけても、何としてもこれを克服をし、そして世界に向けて新たな発信をしなきゃならぬと私は思っております。その意味でも、科学技術に取り組む研究者の皆さん方の存在、そしてまた育成というのが極めて大事でございまして、その意味で今法案も御審議をいただいておるということでございます。
今後とも我々は、今回の事態をきっちり検証しながら、安全点検をしながら、前に向かって進まなきゃならない、このような決意でございます。
○宮本委員 いや、大臣の見識はわかるんですけれども、私の問いに答えていただいていないんですね。
少なくとも、この副読本は子供たちに現時点では使わせてはならないんじゃないですかと。そして、やはりこれは回収して見直すべきだということを申し上げたいし、そして、この原子力エネルギーに関する教育の取り組みへの支援事業というものも改めて見直す必要があると私は思うんです。
見直す必要がある、大臣、それぐらいのことはお認めになるでしょう。
○高木国務大臣 見直してみたいと思います。
○宮本委員 しっかりと見直していただくことを求め、そして、こういう副読本は本当に絶対使わせないということを強く求めて、私の質問を終わります。