平成二十三年四月六日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君
理事 野木 実君 理事 松崎 哲久君
理事 松宮 勲君 理事 下村 博文君
理事 馳 浩君 理事 池坊 保子君
相原 史乃君 井戸まさえ君
磯谷香代子君 大山 昌宏君
奥村 展三君 城井 崇君
熊谷 貞俊君 佐藤ゆうこ君
笹木 竜三君 瑞慶覧長敏君
高野 守君 中屋 大介君
平山 泰朗君 村上 史好君
室井 秀子君 山田 良司君
笠 浩史君 和嶋 未希君
渡辺 義彦君 あべ 俊子君
遠藤 利明君 河村 建夫君
塩谷 立君 永岡 桂子君
古屋 圭司君 松野 博一君
富田 茂之君 宮本 岳志君
城内 実君
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文部科学大臣 高木 義明君
文部科学副大臣 笹木 竜三君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
文部科学大臣政務官 笠 浩史君
文部科学大臣政務官 林 久美子君
厚生労働大臣政務官 小林 正夫君
政府参考人
(内閣府原子力安全委員会事務局長) 岩橋 理彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 辰野 裕一君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 板東久美子君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 合田 隆史君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 倉持 隆雄君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 藤木 完治君
政府参考人
(文部科学省国際統括官) 藤嶋 信夫君
政府参考人
(文化庁次長) 吉田 大輔君
政府参考人
(経済産業省大臣官房技術総括審議官) 西本 淳哉君
政府参考人
(特許庁審査業務部長) 橋本 正洋君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
四月六日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 井戸まさえ君
金森 正君 磯谷香代子君
川口 浩君 渡辺 義彦君
本村賢太郎君 相原 史乃君
同日
辞任 補欠選任
相原 史乃君 本村賢太郎君
井戸まさえ君 石井登志郎君
磯谷香代子君 金森 正君
渡辺 義彦君 川口 浩君
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四月五日
独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
同月六日
教育格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(中根康浩君紹介)(第四六九号)
同(古川禎久君紹介)(第四八〇号)
同(江藤拓君紹介)(第四九七号)
同(首藤信彦君紹介)(第四九八号)
同(谷川弥一君紹介)(第四九九号)
同(岡本英子君紹介)(第五二八号)
国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやすことに関する請願(玉城デニー君紹介)(第四七〇号)
同(竹本直一君紹介)(第五〇五号)
教育格差をなくし行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(野田毅君紹介)(第四八一号)
小学一・二年生の三十五人学級実施を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五四一号)
同(宮本岳志君紹介)(第五四二号)
教育費の無償化など費用の大幅な軽減を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第五四三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第五四四号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第五四五号)
同(宮本岳志君紹介)(第五四六号)
同(吉井英勝君紹介)(第五四七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
文部科学行政の基本施策に関する件
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○松宮委員長代理 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
本日は、東日本大震災で被災した私学への対応とともに、被災した学生及び被災地出身学生への学費免除などの支援措置について聞きたいと思います。
まず、今回の東日本大震災では、国公立の学校とともに、私学も大きな被害、打撃を受けました。物的被害を受けた私立学校施設は何校あるか、被害状況を報告していただけますか。
○高木国務大臣 物的被害を受けたと報告されておる私立学校について文部科学省として把握しておる数は、平成二十三年四月六日七時現在ですけれども、幼稚園五百八十一校、小学校十六校、中学校四十八校、高校百四十六校、中等教育学校三校、特別支援学校三校、大学及び短大百八十九校、専修、各種学校は二百五十二校、合計で千二百三十八校となっております。
その中で、例えば、福島学院大学は本館の倒壊、あるいは宮城県南三陸町のあさひ幼稚園など、地盤沈下、津波、液状化によって土地の被害を受けておる。また、千葉工業大学においても、運動施設など液状化による地盤沈下、こういったものもその一例でございます。
以上です。
○宮本委員 甚大な被害が出ているわけですね。
全私学新聞によりますと、仙台育英学園高校では宮城野校舎が使用不可になり、多賀城校舎を使用している。聖ドミニコ学院高校は四階の壁に亀裂、コンクリートがむき出しで使えない状態。東北工業大学高校では武道館の天井が落下、ひび等で本館の三、四階は立入禁止、建てかえか補修を検討しているということでありましたし、幼稚園は園舎が津波で流失、全壊、骨組みのみ残るなど、深刻な打撃を受けていることが見てとれます。
私、宮城県私立学校教職員組合の委員長が、被災した高校を激励して回った際の報告を見せていただきました。これは被災二週間後の三月二十六日の報告でありますけれども、気仙沼女子高校では、高台への途中にあるため津波の被害から逃れたが、危険な状態だったと言います。二十三年度の入学予定者は専願の十五名だけでありまして、それも全員が入学してくるか、存立の危機にさらされているということでありました。
学校が水没状態の県立気仙沼向洋高校の校長先生にもお会いしたとの報告でありますけれども、次のような話が紹介されております。
この後の授業はどこの学校を借りてやるのですかとの質問に、校長先生は、向洋でやりますよ、当たり前じゃないですか、四月二十一日から。県が公立高校の開始は二十一日と発表したんだから、例外はないでしょう、敷地内にプレハブを建ててそこでやりますよと話したと言います。宮城の私教連の委員長は、震災からほとんど家に帰らず、仮の職員室で寝泊まりし、ひげだらけの顔で強く言っていたこの校長の姿が本当に忘れられない、こう述べておられます。
まず、被災を受けた私立高校などがプレハブ仮設校舎建設を行う場合の国庫補助についてどのように対応しておるか、お聞かせいただけますか。
○高木国務大臣 被災した私立学校施設の復旧につきましては、今回の災害が激甚災害に指定をされております。私立学校施設災害復旧費補助として、復旧に要する工事費等に二分の一以内の国庫補助ができることとされております。残りの経費については、日本私立学校振興・共済事業団による長期、低利の貸し付けの対象となっております。
プレハブ仮設校舎の設置につきましては、学校施設の災害復旧事業において、工事の完了までに相当な長期間を要して学校教育に支障が生ずる場合には、国庫補助の対象としております。
文部科学省といたしましては、一刻も早い学校教育活動の回復に向けて、プレハブ仮設校舎の設置に対する支援も含めて迅速な対応をとるように、これもまた最大限の努力をしたいと思っております。
○宮本委員 プレハブ校舎に対する補助というのは、阪神・淡路大震災のときに二分の一の国庫補助で、残りのさらに半分を、これは阪神・淡路ですから兵庫県が補助するという対応をしております。急を要する対応が必要でありまして、さらなるかさ上げを行って法人負担をできるだけ少なくするように検討すべきだというふうに思います。
それから、今大臣がお述べになった、全体としての災害復旧工事費に対する補助でありますけれども、二分の一が国から出て、あとは、今お話しになったような低利、長期の融資があるということであります。ただ、これについても、阪神・淡路のときには、それにさらに加えて、特別に教育研究活動の復旧や学費減免のための経常費補助の予算措置を行っているわけですね。
さらにそういう措置をきちっととる必要があると思うんですけれども、今申し上げた二つの点、一つはプレハブの場合、もう一つは本体の復旧工事の場合、それぞれさらに国庫補助を引き上げて手当てをするということについて、どうお考えでございましょうか。
〔松宮委員長代理退席、委員長着席〕
○高木国務大臣 国庫補助については先ほど申し上げましたとおりでございます。プレハブ仮設校舎に係る補助率のさらなるかさ上げについてでありますが、これは慎重な検討が必要と考えておりまして、今回の災害によって、被害の深刻さと範囲の広さなどを十分勘案しなきゃなりません。御指摘のように、ニーズの把握にまず努めて、的確かつ迅速な対応をとる必要があろうかと思っております。
また、今、宮本委員がお触れになりました、いわゆる阪神・淡路大震災の復興支援では、二分の一補助の私立学校施設災害復旧費補助に加えて、特に教育の研究活動の復旧や学費の減免のための経常費補助などによって、予算措置として総額約三百七十二億円、当時でございますが講じられております。
私ども文部科学省としましては、今回からの復旧復興については、今まだ継続中でございまして、被害状況をまず的確に把握する、こういうことに努めて、委員の御趣旨については十分念頭に置きながら、一日も早く学校活動が回復できますように努力をしてまいりたいと思っています。
○宮本委員 事前にお話をお伺いすると、もちろん財務省との折衝を検討ということも必要になるということでありましたけれども、前回の法案でも、文部科学省としては、それは折衝はあるにしてもしっかりと要求していくという姿勢が本当に大事だと思っておるんですけれども、少なくとも今回の震災は、阪神・淡路の被害を上回る未曾有の状況になっていることは大臣御承知のとおりだと思います。
阪神・淡路のときも、我が党としてもこういった内容の申し入れを行いましたし、各政党からも同じような趣旨の要望も出されておりまして、最終的には、施設災害復旧工事費を実質的には私立も公立学校と同じ三分の二の水準に引き上げるために、教育研究活動復旧費補助として経常費加算を行っております。また、学費減免のための経常費の二分の一を国が補助するという、これは今大臣がお述べになった制度なんですね。
少なくとも、阪神・淡路を上回ることがあっても、これを下回る、あのときにやったことすら今回できないということがあってはならないと私は思うんですけれども、そのあたり、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思っております。
○高木国務大臣 現在、この災害によりまして、家計の状況が急変した世帯もたくさんあります。したがって、授業料減免措置を行う私立高等学校に対して、国は都道府県の助成額の二分の一を補助しております。加えて、二十年度を基準とした増加の人数分につきましては、高校生の修学支援基金を充当できることとなっておりまして、阪神・淡路大震災時と同等程度以上の支援を行う枠組みとなっております。
今回の震災によって生徒が修学を断念するということのないように、私どもとしましては、何度も申し上げますけれども、災害の被災状況を的確につかみ、ニーズに対して最大限の努力をしていきたいと思っております。
○宮本委員 ぜひ全力で取り組んでいただきたいと思います。
次に、被災した学生、被災地出身の学生への支援についてお伺いをいたします。
大震災から三週間以上が経過いたしましたが、今後、先が見えないという中で、学生たちも深刻な状況に置かれております。入学直前の時期で、入学手続は終えたものの、家族を失い、住宅を失った学生はたくさんおります。学校に入ることができるのか、このまま続けていくことができるのか、不安を抱いておられるわけであります。
先日も文部科学省に対し、学生の皆さんとともに要請もいたしました。その場でも紹介されておりましたが、被災された学生の置かれた状況は大変深刻であります。震災で親を亡くし、学校をやめようと考えているという被災地出身で首都圏の大学で学ぶ学生もおりましたし、学費が心配で休学を考えているという同じく被災地出身の学生など、被災が原因で安心して学ぶことができない、学業を断念せざるを得ないという状態が既に広がっております。
震災で被災した学生はもちろん、震災による影響で学業に不安を抱えるすべての学生を支える、そのために政府として全力を挙げる必要があると思っております。被災した学生に対する支援として、まず文部科学省として現在どのような対応をしておられるのか、聞かせていただきたいと思います。
○高木国務大臣 この件についても、災害発生後の三月十四日付で、鈴木副大臣名によりまして、国公私立大学、各公私立短期大学、国公私立高等専門学校長あてに、学ぶ意欲のある高校生及び大学生が被災によって修学を断念することがないように、奨学制度の活用、また各種制度の柔軟な取り扱いによって万全を期すように通知をしたところでございます。
具体的には、まず、今回の被災で家計が急変する学生を対象とした無利子の緊急奨学金などの貸与の周知を徹底する、また、授業料納付が困難となった学生に対する納付期限の猶予等の弾力的な取り扱いなどでございます。
これらの、災害という極めて非常な事態の中で、できるだけ修学が維持されるように、私たちとしてもいろいろな御意見も承りながら取り組んでまいりたいと思います。
○宮本委員 大学に通知を出したということでありますけれども、大学によって対応がまちまちなんですね。例えば法政大学では、入学予定者の学費の免除が決まったけれども、在学生については調査中、こういうことでありました。それから、東京学芸大学ではまだ何も決まっていないというふうに聞いております。慶応大学も、検討中というふうに学生には伝わっているようです。
これでは、学生から見たら、本当に助けてもらえるのかどうかよくわからないということでありまして、大学に通知を出すだけでは、直ちにどういうふうに措置されるかということがなかなかはっきりしないわけですから、被災した学生や親を亡くした学生には直ちに授業料、入学金は免除するということを国の責任で明確に打ち出すべきだと私は思いますけれども、大臣いかがですか。
○高木国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、この被災によって修学を断念するという事態があってはならないことだと認識をしておりますし、そのようなことからも、既に出しておりますこの通知がしっかり生かされるように、私たちはさらなる配慮を求めてまいりたいと思っております。
授業料の免除、授業料の納付猶予、あるいは大学独自の奨学金等の経済的支援、現在具体的に検討しておる、このように承知をいたしております。
○宮本委員 検討した上でそれを実施するためにも、やはり国としての姿勢が示されなければならないということと、それからもう一つ私が危惧するのは、例えば東京外国語大は、被災した学生に対して、基金を活用して学費分、入学金分の緊急奨学金を十名程度支給することを決めたと聞いております。そういう例がある一方で、学費減免を実施しようにも、ほとんどの大学では基盤的経費が不足しているという状況があるわけで、実施するにもやはりちゅうちょがあると思うんですよね。
ですから、運営費交付金、私学助成を追加的に出すということがなければ、やってあげてくれと通知するだけではなかなかやりようがないと。文部科学省として、やってくださいと言うだけでなくて、具体的に財政支援をすることを明確に大学に伝える、打ち出すべきだと考えますが、大臣、そうじゃないでしょうか。
○高木国務大臣 今御指摘のあったように、この大震災によって授業料減免を実施する場合に、各大学が財政的な理由からちゅうちょすることがあってはならないと私は思っております。
文部科学省としましても、各大学が学生に対する授業料減免等の支援策を確実に実施できますように、各大学における経済的支援の検討状況の調査を行ったところであります。こうした調査結果を踏まえて、国立大学に対する運営交付金や私学助成における必要な財政支援についても、このような甚大な災害ということにかんがみて、私どもとしましてはしっかり対応してまいりたいと思っております。
○宮本委員 ぜひしっかりとやっていただきたいと思うんです。
それで、一つだけ確認でありますけれども、私の聞いた学生の中には、両親が福島から東京の自分のアパートに避難してきているという学生がおられました。私立の大学生でしたけれども。
このように、両親が御健在ではあるんだけれども、職も失い、避難をしてこられている。学生本人も、東京でいるわけですから、学生は別に被災者ではない。しかし、事実上、御両親の収入が途絶えたわけでありますから、こういう学生も学費減免の対象になるというふうに考えてよろしいでしょうか。
○高木国務大臣 学生自身が被災しなくても親が被災した学生についてどうなのか、こういうお尋ねの趣旨でございます。
私としては、主たる生計の支持者が被災した学生についても、被災した学生と同様に経済的な理由によって修学を断念することがあってはならない、こういうことで十分な配慮が必要だろう、このように認識をしております。
こうしたことを踏まえて、多くの大学等においては、主たる生計支持者、いわゆる親が被災した学生についても、被災した学生と同様に措置を現在検討されておるもの、こういう承知をしております。
○宮本委員 次に、専門学生について聞きたいんですね。
専門学生に対しても通知は出ていると聞いているわけですけれども、専修学校各種学校協会は、全壊、半壊の被害を受けた学校への復興支援、授業料減免に対する公的支援を求めております。
この間、現在の政府は、高等学校の無償化では、就学支援金の対象に、高等学校だけでなく、高等学校に類する課程を持つ専修学校を含めたわけでありまして、一条校であるかどうかということにこだわる必要はないと思うんですね。同じように、学生への緊急の支援として、専門学校生に対しても国として財政的な支援が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○高木国務大臣 この阪神・淡路大震災時には、授業料減免を行うことにより、経営上資金が必要となった専修学校を対象に、日本私学振興財団を通じて特別の融資がなされたと承知をしております。
一方、私立の専修学校生徒の授業料減免措置に対する補助については、阪神・淡路大震災時においては予算措置されていなかったという経緯がございます。そういう仕組みがない、国が直接踏み出せなかった、こういうことで私は承知をしております。
今回の震災に伴う専修学校の被災生徒の授業料減免への対応につきましては、これまでの対応状況、また専修学校の役割などを踏まえて、どうしていった方がいいのかと検討を行っておるところであります。
○宮本委員 阪神・淡路のときは前政権でありましたけれども、今も申し上げたように、高校無償化でも専修学校を含めたわけですから、今は垣根を取り払って、ぜひともしっかりと支援できるようにしていただきたいと思うんです。
次に、奨学金についてお伺いするんですけれども、日本学生支援機構の無利子貸与の緊急採用を進めると先ほど御答弁がありました。現在、何人分貸与できるようになっているのか。不足した場合はどうするのか、お答えいただけますか。
○高木国務大臣 無利子緊急採用奨学金については、平成二十三年度当初予算において二十三億円を計上しております。三千九百四十七人の学生に貸与できるよう措置しているところであります。
本緊急採用奨学金は、保護者の失職、災害等によって家計が急変した学生を対象としたものでありまして、今回の震災による被害の深刻さを見て財源の不足が見込まれる場合には、財政当局と相談をし対応してまいりたいと思っています。
○宮本委員 本当に今被災した方々の奨学金、これはしっかりと当事者の立場に立って進めていただきたいんですね。
それで、被災した方は、本来、返済猶予に該当すると思います。返済猶予を直ちにかつ柔軟に進めるということが非常に大事だと思いますし、それから、被災によって滞った方を延滞扱いにしない、これも徹底すべきだ、こういうことを学生だけでなく奨学金の返済をしている人にも広く徹底をすべきだというふうに思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○高木国務大臣 災害によって返すことができなくなった場合には返還期限の猶予が可能になっておりまして、延滞状態に陥ることはないと思っております。
在学中の学生及び返還中の者への周知については、まず日本学生支援機構のホームページに掲載をしているほか、日本学生支援機構より各都道府県の知事部局及び教育委員会に対して、避難所等において返還猶予に関する掲示を依頼しております。広くこのことを周知しておるところでございます。
○宮本委員 その日本学生支援機構のホームページというものを私見せていただいたんですよ。弾力的にするということもお願いをしておりましたので、なるほどここには、罹災証明書の取得が困難な人は願い出用紙のみで提出してもらって結構だと、弾力化についても、簡素化についても触れられているんです。これは聞こうと思いましたけれども、もうここにそうなっておりましたので、重ねては聞きません。
ただ、これを見ますと、こういうことが書いてあるんですよ。つまり、減額返還を希望する場合に、それを申請しようと思えば、個人信用情報の取り扱いに関する同意書を出していない人はそのときに出していただく、提出する必要がある、こうわざわざ注記されているんですよ。
大臣と前に、奨学金、ブラックリストに載せて追い回すようなことはやめるべきじゃないですかと言いましたら、そのときの答弁は、本人の同意をとっておりますと。つまり、滞った場合はブラックリストに載せていただいて結構と本人が同意しているんだと、まるで任意で同意を求めているかのように御答弁ありましたけれども、被災された学生がこの減額返還の申請をしようと思えば、そういうときにはこの同意書を出さねばなりませんよとわざわざ条件づけしているというのは余りにもひどいというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○高木国務大臣 これは、制度は制度でございまして、返還期限の猶予の申請に当たっては、通常は罹災証明書等を添付の上、災害などによる返還困難となった旨の猶予願を日本学生支援機構に提出いただくことになっております。
ただし、被災した者でこの罹災証明書などが取得困難な場合、これは猶予願の提出のみで受け付けることにしております。
また、この趣旨について、きちっと各都道府県知事部局、教育委員会、あるいは避難所などにおいてPRを図るとともに、しっかりした周知をお願いしておるところでございます。
○宮本委員 いや、私の問いに答えていただいていないんですけれども。
とにかく、この機に乗じて同意書を提出させるようなことはやめるべきだと。これは確かに通告していなくて、その後に気づいたことですから、直ちに調べて、こういうものは改善を図っていただきたいということをはっきり申し上げておきます。
避難所で被災者のために必死に頑張る中学生あるいは高校生の姿が感動を呼んでおります。子供たちこそ復興への希望だと思うんですね。同時に、子供は被災からみずからを守るすべをまだ持っておりません。国難ともいうべき今だからこそ、子供たちに最大限の安心と希望を届けるのが政治の責任だと思います。
そのために私たちも全力を尽くすことを申し上げて、私の質問を終わります。
――――◇―――――