平成二十三年三月三十日(水曜日)
午前九時二分開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君
理事 野木 実君 理事 松崎 哲久君
理事 松宮 勲君 理事 下村 博文君
理事 馳 浩君 理事 池坊 保子君
石井登志郎君 大山 昌宏君
奥村 展三君 金森 正君
川口 浩君 城井 崇君
熊谷 貞俊君 佐藤ゆうこ君
笹木 竜三君 瑞慶覧長敏君
高井 崇志君 高野 守君
竹田 光明君 中屋 大介君
平山 泰朗君 松岡 広隆君
村上 史好君 室井 秀子君
本村賢太郎君 山田 良司君
笠 浩史君 和嶋 未希君
あべ 俊子君 遠藤 利明君
河村 建夫君 北村 茂男君
塩谷 立君 田野瀬良太郎君
永岡 桂子君 長島 忠美君
古川 禎久君 松野 博一君
富田 茂之君 宮本 岳志君
城内 実君 土肥 隆一君
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文部科学大臣 高木 義明君
財務副大臣 五十嵐文彦君
文部科学副大臣 笹木 竜三君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
財務大臣政務官 尾立 源幸君
文部科学大臣政務官 笠 浩史君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 辰野 裕一君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
三月三十日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 松岡 広隆君
河村 建夫君 長島 忠美君
永岡 桂子君 北村 茂男君
古屋 圭司君 古川 禎久君
同日
辞任 補欠選任
松岡 広隆君 高井 崇志君
北村 茂男君 永岡 桂子君
長島 忠美君 河村 建夫君
古川 禎久君 古屋 圭司君
同日
辞任 補欠選任
高井 崇志君 竹田 光明君
同日
辞任 補欠選任
竹田 光明君 石井登志郎君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
法案質疑に先立って、東日本大震災に関して幾つか聞いておきたいと思います。
四月から使用予定の小中高校の教科書のうち六十七万冊が流失などで使用不能になった、こういう報道がございました。その後、五十万冊という報道も出ておりますけれども、まず、これは大丈夫なのか、御答弁をいただきたいと思います。
○高木国務大臣 宮本委員にお答えをいたします。
今回の大地震津波によって多くの教科書取扱書店が被害を受けております。学校に供給の準備をしていた平成二十三年度使用の教科書が多数滅失しているおそれがございます。
このため、文部科学省としましても、教科書協会、全国教科書供給協会に対して、教科書供給業者の被害状況の確認や教科書の確保、増刷等について要請しておるところでございます。
全国教科書供給協会からは、三月二十五日現在で、消失のおそれがあるものは全国で約五十万冊と報告を受けております。学校までの供給義務を負う教科書発行者におきましては、災害や転校等に対応するために用意している予備の教科書、常備本でありますけれども、これを活用していただくことや、あるいはまた増刷などによって、新学期の授業を行う上で支障なく教科書の供給を行えるということでございます。
私どもとしましては、引き続き、教科書発行業者と連携を図りながら、教科書発行者等に対する支援の検討も含めて、支障が生じないように、必要なる対応をとっていきたいと思っております。
○宮本委員 ぜひ支障のないようにお願いをしたいと思います。
報道によると、文科省は、全国に教職員の短期派遣など被災地への協力要請を求めたということが報じられております。これは、各教育委員会における短期的な教職員等の派遣に対応することができるかどうか、念のために現時点で意向を確かめたということのようでありますけれども、今後、そういうニーズがきちっと明らかになって、派遣要請があれば最大限それにこたえていただく、これでよろしいでしょうか。
○高木国務大臣 被災地では今後、学校運営の本格的な復旧に向けて取り組んでいくことになります。そういった取り組みを支援するために、短期的に教員の増員が必要になることも十分予想されております。
今後、被災地の教育委員会から要望があった際には、被災地以外の教育委員会からの教員等の派遣を速やかに行えるよう、今、派遣することができるか否か、現時点での各教育委員会の意向をあらかじめ確認をすることとしております。そのための事務連絡を二十二日に発出をいたしまして、二十九日中までに提出をお願いしているところです。現在のところ、三十五の都道府県、十一の指定都市教育委員会から、派遣に前向きな回答をいただいております。
文部科学省としましては、被災地の教育委員会からの要望を十分に踏まえながら、十分な取り組みを行ってまいります。
○宮本委員 そういった短期派遣、もちろんこれはこたえていただくと。それから、もちろん、長期的な支援が求められるこういう状況のもとでは、議論になっておりますように、加配教員を、被災地はもとより、被災者を受け入れている自治体も含めて行っていくということも強く求めておきたいというふうに思います。
それで、午前中、下村委員の方から、自民、公明、民主提出予定の修正案が少し議論になりました。資料配付された修正案によりますと、当該学校の児童または生徒の実態を考慮することというのが加えられておりますけれども、学級編制の標準を小学校一年生で三十五人に引き下げるということに変更はございません。
そこで、大臣に基本的な点を確認しておきたいんですが、たとえこの修正が加えられたとしても、小学校一年生を三十五人学級に引き下げるというこの基本には変わりがないと私は思うんですが、よろしいでしょうか。
○高木国務大臣 御指摘の第五項について、小学校一年、三十五人以下という標準としての基準を前提としつつ、先ほど御答弁申し上げましたように、弾力的な学級編制を行った場合に教職員定数が確実に措置されるように、配慮を法文上明記していただいたものであると理解をしております。
○宮本委員 もう一問だけ、これは鈴木副大臣に確認したいんですが、この第五項の中に「特段の事情」というのが出てくるんですが、これはどういうふうに考えるべきか。もちろん三十五人学級を前提としたものだと思いますけれども、鈴木副大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木(寛)副大臣 繰り返しになりますけれども、小学校一年生、三十五人以下という標準としての基準を前提としつつ、例えば、個別の学校ごとの事情に応じて児童生徒に対する教育的配慮、これはいろいろその地域地域によって違うと思いますけれども、配慮から、合理的な理由がある範囲でそうした対応をしていくというふうに解せられるというふうに考えております。
○宮本委員 それでは、政府案に対する質問を行います。加配定数と基礎定数の問題です。
まず、二十二年度予算における加配定数の教職員数と二十三年度予算案における加配教職員数を言っていただけますか、大臣。
○高木国務大臣 平成二十二年度予算においては六万五百五人の加配定数を措置をしております。また、平成二十三年度予算案においては、対前年度千七百人減の五万八千八百五人の加配定数を措置をしております。
○宮本委員 手元の資料をごらんください。先ほどの御答弁の数字が出ております。全体でちょうど千七百人減っている、おっしゃるとおりなんですけれども、内訳を見れば、最上段の「指導方法工夫改善」、「少人数指導、習熟度別指導、ティーム・ティーチングなどきめ細かな指導方法改善」のための加配定数がちょうど千七百人減っている。
これはつまり、これを使って三十五人学級をやるということだと思うんですけれども、まず基本的な問題、なぜ、三十五人学級を実施するのに必要な教職員定数を確保しないで、この加配教職員定数の削減、転用で対応したのですか。
○高木国務大臣 午前中から今までも議論がありました。小学校一年については、国の学級編制の標準を四十人から三十五人に引き下げることに伴って四千人の教職員定数を措置することにしておりますが、このうち千七百人は、既存の加配定数を活用したこととしております。
この千七百人については、加配定数のうちに都道府県が現在小学校一年で既に少人数学級に活用している人数相当分ではございますから、通級指導等に実際使われている加配定数については、平成二十三年度予算案において引き続き同数を措置をしておることでございます。
○宮本委員 もともと、この加配とは別に三十五人学級をやるという方向で文科省は考えておられたと思うんです。そういうふうになったのは、三大臣合意でそういう形で決着したということは、もうだれもが御承知のとおりです。
それで、私が今一番危惧するのは、今回この千七百人を充てて少人数学級、三十五人学級を小学校一年生で進めるということになれば、来年度以降、順次二年、三年とこういうことをもちろん目指していくわけですけれども、結局、二年生を次やるときも三年生をやるときも、やはり加配定数から転用してやれということになりかねないと思うんです。
ここは、平成二十四年度以降の三十五人学級の実施に当たっては、これ以上の加配定数の削減や転用はやるべきではない、こういうふうに大臣に断言していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○高木国務大臣 これまでの経過を改めて申し上げますけれども、昨年の十二月十七日に、国家戦略担当・財務・文部科学三大臣合意において、平成二十三年度予算案の策定に当たっては、小学校一年生の三十五人以下学級を実現するために、必要な経費を計上するとともに、小学校二年以上の取り扱いについては、学校教育を取り巻く状況や財政状況等を勘案しつつ、引き続き、来年度以降の予算編成において検討するということがされました。これが経過でございます。
今後、私どもとしましては、この加配の対象人数等については、教育上の必要性を十分見きわめながらやることになると思いますが、今般、立法府として御議論があってまとめられたことについて、私たちはそれに従ってまいりたいと思っております。
○宮本委員 やはり、こういうやり方はおかしいということは言っておきたいと思うんです。
それで、昨年七月の中教審の提言も、学級編制の標準を引き下げる場合にも、これまでの教職員定数の改善により取り組まれてきたチームティーチングや二十名程度の少人数指導などについては、教育委員会、学校の判断で引き続き実施できるよう教職員定数を措置するとともに、その基礎定数化を進める必要があると述べているわけです。削減するのではなく、引き続き実施できるように定数を措置し、その上で基礎定数化を図るというものだったわけです。この中教審の提言からも逆行しているというふうに言わざるを得ないと思います。
それで、前回の質問で私は、教職員の自然減を考慮すると、年度によってマイナス予算で済むということも明らかにいたしました。その上に加配定数の削減ということになれば、大幅なマイナスということにもならざるを得ないわけです。
加配定数を充実、拡充するということは当然ですし、定数改善の教員数はきっちり確保するという姿勢を今後貫くべきだと思いますけれども、大臣のその御決意を述べていただけますでしょうか。
○高木国務大臣 今回の御提案の趣旨は、子供たち一人一人の個性を大切にしながら教職員がしっかり向き合う時間を確保するということから、少人数学級はこれまでも、現場を中心として多くの方々の要望もございました。
今回、小学校一年生でございますけれども、私たちとしては、基礎定数をしっかりこの際拡充をして、そして同時に、柔軟性に富む加配措置についても、これは必要な数については維持をしていく、こういう考え方は変わっておりません。
○宮本委員 前回の参考人質問で元全国特殊学校長会の宮崎英憲参考人は、「平成十八年以降、発達障害のための通級指導の担当教員をふやしていただいておりますが、」「残念ながら絶対数が足りておりません。」「小学校、中学校のすべての学校で通級担当教員が一人いることが望ましい」、「できるだけ速やかに多くの学校に通級指導教員の加配がされることが望ましい」と述べておられました。
文部科学省として、通級指導対応として四千三百四十人の加配を既に行っておりますが、さらなる増員を図らなければならないと私は思いますが、いかがでしょうか。(発言する者あり)
○田中委員長 御静粛に願います。席に着いてください。
○高木国務大臣 通級指導加配でございますが、平成二十三年度予算案においては、小中学校における通級指導実施のための加配定数を、前年度同数の四千三百四十人を計上しております。
通級指導は、軽度の障害のある児童生徒のための効果的な指導形態でありまして、今後とも、その教育上の姿勢を十分見きわめながら、加配定数の必要数の確保にこれまた努めてまいります。
○宮本委員 自民党の馳委員が前回の質問で、自戒というか反省も込めて、総額裁量制にしたことは本当によかったのかという思いを今でも持っているというふうに述べられておりました。私は、これは本当に正しい認識だと思うんですね。今こそこの総額裁量制の見直しをやるべきだと、前も一度大臣にそのことを問いましたけれども。
それから、中教審の提言では、国庫負担を三分の一から二分の一に戻し、教育は正規の教員で行えというふうに言っておるわけでありまして、国庫負担のあり方を含めて検討すべきだと思うんですけれども、大臣いかがですか。
○高木国務大臣 総額裁量制は、国庫負担限度額の範囲内で教職員配置等について各都道府県の裁量を高めるために平成十六年度に導入したものでありまして、今後ともその制度は維持すべきものと考えております。
また、平成十八年度に引き下げられた国庫負担率の復元をするかどうかについては、これは、国、地方の役割分担あるいは税財源配分のあり方など極めて大きな影響を与えるために、政府全体で検討すべき課題であると認識をしております。
現在、国の負担率は三分の一でありますが、残りの三分の二を地方が負担することにより、教職員給与額の全額が措置されて義務教育制度の根幹は維持されておるものと考えております。
一方で、先ほども御指摘がありましたように、近年の厳しい地方財政と相まって、国庫負担限度額まで教職員給与を確保できないという県が増加傾向にあります。これは一つの課題であります。
文部科学省としましては、平成二十二年七月の中教審の提言等も踏まえ、国庫負担のあり方について、今後とも議論を深めてまいりたいと思っております。
○宮本委員 今触れられた中教審の提言も、「国は引き続き、義務教育費国庫負担制度を堅持するとともに、」「国庫負担率の二分の一への復元についても検討することが望まれる。」と述べておりますので、しっかりとその方向で検討するように求めたいと思います。
さて、三十五人学級は、今回、小学校二年生の実施が凍結をされまして、一年生だけの実施となりました。結論は財政事情です。ここに、国家百年の計と言われる教育に対する現政府の姿勢が問われていると言わなければなりません。
まず、三大臣合意なるものについてお伺いいたしますけれども、合意の四項目めには、「平成二十四年度以降の教職員定数の改善については、学校教育を取り巻く状況や国・地方の財政状況等を勘案しつつ、引き続き、来年以降の予算編成において検討する。」となっております。これはおかしいと私は思うんですね。
そもそも教育に関することは、子供たちにとって必要かどうか、専ら教育的見地から考えられるべきもので、未来を担う子供たちに必要があるのならば、その予算を確保することこそ政治の務めだと思います。予算の範囲内でやりくりせよなどという発想自身が間違っていると言わなければなりません。
その点で、附則二項にある、国及び地方の財政の状況を勘案してなどという文言はふさわしくないと私は思いますが、大臣はどう思われますか。
○高木国務大臣 私どもは、この法案の議論をする中で、各委員の教育に対する熱い思い、そしてまた、今後の展望等についていろいろお聞かせをいただきました。まことに参考になる意見でございました。
これから私どもとしましても、義務教育の国庫負担制度の堅持、当然にして国が責任を見る、こういう精神を具現化するために、私も、この法案の成立とともにしっかり取り組んでまいらなければならぬ、このような思い、使命感を強くしております。
○宮本委員 立法府が大臣の合意などというものに縛られるいわれはないことは、国権の最高機関たる国会の権限から見て明らかなことだということは申し上げておきたいと思います。
財政論を論じるならば、我が国の教育予算がいかに低いのかということを改めてはっきりさせなければなりません。我が国の教育に対する公的支出は、国内総生産、GDPに対する比率で何%になっているか、そして、OECD諸国の平均はGDP比で何%になるか、お答えいただけますか。
○高木国務大臣 OECDの調査によりますと、二〇〇七年における学校教育費に対する我が国の公財政支出の対GDP比は、幼稚園から大学までの全教育段階については三・三%、初等中等教育段階については二・五%であります。
○宮本委員 OECD平均は。
○高木国務大臣 OECDの調査によりますと、我が国の二〇〇七年度の初等中等教育段階における公財政支出は、GDP比は二・五%で、OECD加盟国平均は三・三%であり、〇・八%の差があるということになっています。
また、我が国のGDPを約五百兆円とした場合、初等中等教育段階における公財政支出の対GDP比を〇・八%引き上げるには、約四兆円の追加が必要である、こういうデータもございます。
○宮本委員 ちょっと数字が私の手元のものと違いますね。我が国三・三%、OECD平均四・八%というのが、公表されている公財政支出、教育支出だと思うんです。今、〇・八%という差をとられましたけれども、三・三%と四・八%であれば、一・五%ほど開いているということになると思います。
いずれにしても、文部科学委員会、この委員会は、かつて教育振興基本計画について審議した際に、「教育投資について、欧米の教育先進国の公財政支出の平均的水準を目指した数値目標を設定し、その充実を図ること。」という決議がこの委員会でも上げられております。
前回、質疑で指摘したように、民主党はインデックス二〇〇九で、「先進国中、著しく低いわが国の教育への公財政支出(GDP(国内総生産)比三・四%)を、先進国の平均的水準以上を目標(同五・〇%以上)として引き上げていきます。」と、五%を目指すと書いておられるんです。そして、前回紹介したように、法律を提案して、国内総生産に対する比率を指標として予算の確保、充実の目標を定める、そういう法案まで参議院を通過させたわけですよ。
まず、民主党の立場をお伺いしますけれども、大臣、この民主党の立場、GDP比で予算をきちっと引き上げていく、この立場に変更はないんですね。
○高木国務大臣 私どもは、そのような立場でこれからも政策の実現を求めていきたいと思っています。
○宮本委員 では、少し数字が食い違いましたけれども、先ほどの〇・八%の開きを埋めるのに必要な額は幾らか、私が先ほど紹介した一・五%、これを引き上げるのに必要な額が幾らか、お答えいただけますか。
○高木国務大臣 〇・八%引き上げるには、先ほど申し上げました約四兆円という追加をする必要があるということです。
○宮本委員 〇・八%なら四兆円、ならば、一・五%なら七兆を超えますよね。七・六兆円というところになると思います。
それで、この額、四兆円というふうなことを目標に予算をふやすということを変わりなく掲げておられるわけですから、こういう額と比べれば、三十五人学級、小学校二年生をあきらめて削った分が九十三億円ですよ。私たちは、三十五人学級はもちろんのことですけれども、三十人学級を早急に進めるべきだ、六年程度でやるべきだということを提案し、後ほど修正提案もさせていただくつもりです。
三十人学級を小学校、中学校のすべての学年で六年間で段階的に実施した場合、それに係る経費を私どももちゃんと計算をしてみました。教員数の増は、小学校で六万六千人、中学校で四万一千六百人の増で済みます。それに係る経費は、初年度七百三十七億円、最終年度で七千二百九億円という計算になりますけれども、しかし、前回の質疑で明らかになったように、教員の自然減、六年間で二万二千四百人を考慮に入れると、五千七百八億円程度となります。さらに、退職者が若い教員と入れかわって平均給与が下がるということを考えると、さらに五千七百億円よりも低い額になってまいります。
教育は国家百年の計と言うのならば、子供と日本の未来のためにこのぐらいの教育投資は行うべきだと思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
○高木国務大臣 教育はまさに国づくりの基盤でありますし、人づくりは国づくり、国づくりは人づくり、私たちはそのような思いで、これからも我が国が国際社会の中でも信頼をされ、そして誇りを持って堂々たる活躍ができるためには、教育、人材育成の必要性というのは今以上に求められてくると思っております。
そういう意味で、私どもとしましては、この委員会の中でも、この法案の議論を含めて、何としても、必要な教育予算の確保は今以上に必要であるという認識を深くしたところでございます。
これからも私たちは、この法案の実施をするとともに、皆さん方の議論を踏まえて一層の努力をしていきたいと思っております。
○宮本委員 掲げている目標に比べて余りにも少ないわけですから、しっかりとそこは自覚をして進めていただきたいと思うんです。
東日本大震災という未曾有の事態に際して、その復興財源が盛んに議論されております。中には、高校無償化など教育予算まで削れといった論調がありますけれども、きょう論議してきたように、それは全く逆行した議論だと思います。教育は決して無駄ではありません。むしろ、先進国中で大きな立ちおくれがあることはだれもが否定できない事実であります。
無駄を削ると言うのなら、私が本委員会で指摘したように、米軍向けの思いやり予算千八百五十八億円というようなものこそことしはあきらめてもらい、被災地を思いやるべきであります。
また、我が党は受け取っておりませんが、政党助成金三百二十億円というようなものは直ちに廃止し、被災地復興に回すべきであります。
同時に、国難ともいうべきときに、専ら、大企業向けの法人税減税約一兆五千億円、証券優遇税制など大金持ち減税約五千億円など、総額二兆円にも及ぶ減税こそ見直すべきです。現に日本経団連会長も、法人税減税はやめていただいて結構と言っているわけですから、こういうものこそ見直すことを主張したいと思います。
子供たちの行き届いた教育のための予算はきちんと確保する、このことを強く求めて、私の質問を終わります。
○田中委員長 次に、宮本岳志君。
―――――――――――――
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○宮本委員 私は、日本共産党を代表して、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正の動議を提出いたします。
その内容は、お手元に配付しております案文のとおりでございます。
修正案の提案理由を御説明申し上げます。
今回の義務標準法の改正による学級規模の縮小は、一九八〇年に四十五人から四十人に引き下げられて以来、実に三十年以上が経過し、遅きに失したとはいえ、賛同できるものです。ただ、政府案のように小学校一年生のみ三十五人学級にとどまることなく、小中学校のすべての学年で三十人学級を実施することが必要です。
質疑を通じて明らかになったように、文部科学省の意見募集でも、八割以上の人が望ましい学級規模を三十人以下とするなど、三十人学級は国民の強い教育要求です。既に小中学校で十三の県で実施され、欧米では、我が国で四十人学級が始まった一九八〇年当時から、一学級二十五人前後が当たり前となっています。教育効果でも、三十人から二十人の学級編制の優位性が示されています。
このような観点から修正案を提案します。
以下、修正案の概要を申し述べます。
第一に、小学校、中学校の学級編制の標準を三十人に引き下げること。
第二に、この法律案施行後速やかに、特別支援学校、特別支援学級、公立の幼稚園、高等学校の学級規模、教職員の配置の適正化に関し検討し、法制上の措置を講じることを政府に義務づけること。
第三に、三十人学級の実施を段階的に六年間で実施することとする経過措置を設けることであります。
本修正の結果必要とする経費は、初年度、二〇一一年度において約七百三十七億円を見込んでいます。
何とぞ委員各位の御賛同を心からお願い申し上げます。
○田中委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。松崎哲久君。
○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 私は、日本共産党を代表して、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する我が党修正案、民主、自民、公明共同提案による修正案、修正部分を除く政府原案のいずれにも賛成の立場から討論を行います。
政府原案については、先ほど述べたように、今回の義務標準法の改正による学級規模の縮小は、一九八〇年に四十五人から四十人に引き下げられて以来、実に三十一年ぶりの改定であり、遅きに失したとはいえ賛同できるものです。ただ、政府案のように小学校一年生のみ三十五人学級にとどまるべきではありません。三十人学級は国民の願いであり、世界の流れに沿うものであり、教育効果も明らかです。直ちに小中学校のすべての学年で三十人学級を実施することが必要です。
今後、学級規模の縮小を小学校二年生以上に拡大していくよう新たな教職員定数改善計画を策定することを政府に強く求めるものであります。
民主、自民、公明共同提案による修正案は、自民党の意向を反映して、特段の事情がある場合、児童生徒の実態を考慮し、小学校一年生の学級編制を三十五人学級としないことを可能にする項目をあえて設けるなどしています。しかし、実際には極めて例外的な場合に限られるものです。
一方で、東北地方太平洋沖地震で被災した県、被災した子供たちを受け入れた県に教職員定数の加配などを行うことを明記し、被災した子供たちや教職員への支援に役立つ項目もあります。また、次年度以降についての財政状況の勘案事項の削除、教職員加配の項目の追加、必要な教職員数の確保なども当然のことで、賛同できるものです。
以上申し述べ、討論を終わります。(拍手)