平成二十三年三月二十五日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君
理事 野木 実君 理事 松崎 哲久君
理事 松宮 勲君 理事 下村 博文君
理事 馳 浩君 理事 池坊 保子君
石井登志郎君 小原 舞君
大山 昌宏君 奥村 展三君
金森 正君 川口 浩君
城井 崇君 熊谷 貞俊君
小宮山泰子君 佐藤ゆうこ君
笹木 竜三君 瑞慶覧長敏君
高野 守君 高橋 英行君
中野 譲君 中屋 大介君
平山 泰朗君 村上 史好君
室井 秀子君 本村賢太郎君
山田 良司君 笠 浩史君
和嶋 未希君 あべ 俊子君
遠藤 利明君 河村 建夫君
北村 茂男君 塩谷 立君
田野瀬良太郎君 谷畑 孝君
永岡 桂子君 古屋 圭司君
松野 博一君 富田 茂之君
宮本 岳志君 城内 実君
土肥 隆一君
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文部科学大臣 高木 義明君
文部科学副大臣 笹木 竜三君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
財務大臣政務官 尾立 源幸君
文部科学大臣政務官 笠 浩史君
文部科学大臣政務官 林 久美子君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 辰野 裕一君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
参考人
(放送大学教授) 小川 正人君
参考人
(元全国特殊学校長会会長)
(東洋大学文学部教授) 宮崎 英憲君
参考人
(東京都教育委員会次長) 松田 芳和君
参考人
(茅ヶ崎市教育委員会教育長) 谷井 茂久君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
三月二十五日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 小原 舞君
奥村 展三君 小宮山泰子君
城井 崇君 中野 譲君
本村賢太郎君 高橋 英行君
遠藤 利明君 谷畑 孝君
河村 建夫君 北村 茂男君
同日
辞任 補欠選任
小原 舞君 石井登志郎君
小宮山泰子君 奥村 展三君
高橋 英行君 本村賢太郎君
中野 譲君 城井 崇君
北村 茂男君 河村 建夫君
谷畑 孝君 遠藤 利明君
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三月二十五日
展覧会における美術品損害の補償に関する法律案(第百七十六回国会閣法第一四号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
展覧会における美術品損害の補償に関する法律案(第百七十六回国会閣法第一四号)(参議院送付)
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
本日は、参考人の皆様から貴重で示唆に富んだ御意見をお伺いをいたしました。ありがとうございました。
まず、小川参考人にお伺いをしたいと思うんです。
先ほども、アメリカ・テネシー州のスター計画ということについても触れられました。私も前回のこの委員会の質疑でスター計画について取り上げたわけでありますけれども、この計画、十三人から十七人の少人数の学級と、二十二人から二十六人の普通学級で比較をしたということなんです。そういう点でいいますと、少人数に効果があるかどうかという比較にしても、このレベルでやっているわけです。今我々が議論しているのは、四十人を三十五人にという話なんですね。
それで、アメリカでは十八人学級というものが今ほぼ低学年では定着していると。私、実は、在日米軍基地の中にある米軍の子供たちの学校のクラスサイズというものを調べて驚いたんですけれども、米軍基地内の小学校、これはやはり小一から小三までは十八人学級でやっておりまして、それ以外も二十五人学級ということであります。
この四十人学級というものが世界的なレベルに比べたら本当に立ちおくれている、これはもう間違いないと思うんですけれども、まずそこのところをお話しいただきたいと思います。
〔委員長退席、松宮委員長代理着席〕
○小川参考人 私の方から特に説明はないんですが、もういろいろなデータでおわかりのとおり、欧米は大体二十五ないしは多くても三十、そして先ほど言ったように、今、アメリカやヨーロッパでは幼児教育の重要性というふうなことが非常に語られ始めていますので、小学校低学年等々については、さらにそれよりも学級の子供の数は減らすというような方向に来ております。
ただ、日本を含めてアジア領域というか、日本、韓国云々というのは、アジア的な従来のような、生活集団と学習集団を一緒にして、学力だけではなくて、社会的な規範とか社会性を育成するというようなそういうふうな発想で学級を把握してきましたので、欧米なんかと比べると、そういう学級集団の数というのは多目であるというのがやはり事実です。
ただ、これからは、個性とか創造性ということをやはり考えていった場合には、たとえ従来の生活集団と学習集団を一体にする手法、そういうふうに学級の機能をとらまえるということは、私は、今後もやはり日本の教育の強みを維持していくためには必要だと思いますけれども、もう少し分業化をしていくことは必要だし、その分業化の中で、もう少し先生方が教科指導等々に専念できるような状況をつくっていく必要がある。
そういう点では、四十というのは、欧米等々の流れからしても、やはり多過ぎるというふうに実感で思っています。
○宮本委員 昨年の八月に文部科学省は、やっと、来年度から小学校一、二年生から三十五人学級を実施するという概算要求を出しました。その後の予算折衝で、これは一年のみの実施ということになったんですね。
それで、少人数学級のこの効果については、既に前回の委員会でも、私の質問に答えて文部科学大臣が、学校現場からも、保護者、児童生徒からも一定の評価を得ている、学力の向上という点で、あるいは不登校や欠席率の低下という点で一定の効果があると。少人数学級の効果は、既にほぼ間違いのない、議論の余地のないところになっているわけです。
ところが、前回の委員会で財務省の答弁を見ておりますと、小学校一年生については小一プロブレムの解消があるのでこれはやるんだと。しかし、小学校二年以降については、学級規模と教育成果の相関性についても検証する必要があると。財政的見地だけでなくて、二年以上はまだこの教育成果との相関性が明らかでないかのような答弁を財務省はしたわけですよ、この委員会で。
私、これは少し違うんじゃないかというふうに思うんですけれども、小川参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○小川参考人 学級規模の話と学力の相関関係なんですけれども、これは、先ほど自民党の委員の方もお話しされているとおり、私は、ストレートにそれが直結しているというふうに因果関係があるとは思っていません。
やはり、学力を規定する諸要因というのはさまざま複雑に構造的になっていますので、学力が向上するためには、先ほどからの議論があるように、教員の質を高めたり、学校全体の構造を変えて教師の創意工夫というのがより発揮できるような仕組みをつくるとか、あと、家庭や地域の教育力を回復して、家庭や地域での子供の学習とかさまざまな諸活動を保障していくとか、あらゆることの相乗効果の中で学力というのがやはり出てくるんだろうと思います。
そういう点で、私も基本的には、学級規模の縮小が学力にストレートに結びついているとは思っていません。そこには複雑にいろいろ絡んでいます。
ただ、そうは言いつつも、先ほどから言っているとおり、日本の学校の生活集団と学習集団を一体にして学級経営をする、その学級経営というのがやはり学校の教育活動の最も基盤的な要素であるのは、これは変わりません。これは、欧米なんかと比べると、はるかに学級の持つ意味というのは重いと思っているんです。
そういう点で私は、日本の学校教育を語る際、学級をどうするか、学級の規模をどうするかということは、欧米と比べてより重い、重要なテーマだと思っています。
一応それは前提としつつ、もう一つは、日本でなかなかその効果検証がないというふうなことも僕は話していますけれども、全く皆無であるわけでもありません。都道府県等々が追跡調査でずっとやっています。
そこではもう明らかに、これはちょっと調査としては弱い面があるんですけれども、例えば、先生方の実感調査で、少人数になってよくなったかどうかとか、そういうふうな実感調査が一つベースになっているのと、もう一つは、一般的な学力調査の結果を使っていますよね。これは、学級をきちっと操作して正確な調査研究かというと、やはり不正確な点があって、しかし全体とすれば、学校現場を預かっている先生方の実感として、少人数になることでいろいろなことが可能になって子供も教師も非常に活性化したという、そういう実感のところについては僕は重視すべきだと思っています。
ただ、やはり重要なのは、それプラス、もう少し実験的な実証研究をつけ加えられないかなと思っています。
この点についても、少し先ほど意見陳述でお話ししたように、国立教育政策研究所が、ようやく平成十九年、二十年ごろからそういう実験的な少人数学級の効果検証を始めています。私もそれは幾つかかかわっていますけれども、明らかにやはり少人数の方が、圧倒的な上位のデータではないんですけれども、一定度の成果、少人数の効果はあるというのはそういう実験的な調査研究からも今出始めていますので、今後さらにそういうふうな調査研究、特に実験的な調査研究はもっと国が責任を持ってやりながら、この義務標準法がもしも成立した場合には、その検証というのは、やはり国のもう一つの責務としてやっていくべきではないかなというふうに思っています。
○宮本委員 先ほどの国立教育政策研究所の調査については、それも私、前回この委員会で取り上げたんですが、しっかりそういう効果というものははっきりしているということで受けとめる必要がやはりあると思うんです。
一言だけもう一度お答えいただきたいんですが、一年生には効果があるが二年生にはという言い分には根拠がないと私は思うんですが、ちょっと一言だけ。
○小川参考人 基本的には、先ほど言ったように、学級づくりをベースとした日本の教育活動にとっては、やはり一つは継続性が重要だと思いますので、一年で少人数で、二年で急に三十五とか四十とかというふうになるのは、教育の継続性ということから考えるとやはり望ましいことではない。できれば、一年生がそうであれば、二年以上の学年もできる限りそうした環境をつくるべきだと思います。
○宮本委員 ありがとうございます。
中教審のこの提言を受けて文部科学省は、三十五人学級を、来年から一、二年生、そして小中全部に、そして小学校一年生、二年生はやがて三十人学級、一応こういう八年計画を昨年立てたわけですよね。ところが、それが三大臣合意という形で、「予算編成において検討する。」というふうに、計画としてはまだ認められていないという状況に今なっております。
中教審の提言では、「国が教育条件整備の責務をしっかりと果たし、都道府県等が計画的かつ安定的に教職員配置を行うことができるよう、早急に新たな教職員定数改善計画を定め確実に実施する必要がある。」というふうにしていたにもかかわらず、それは残念ながら、そういう計画としてまだ今は確定していないわけです。これでは、教職員を計画的、安定的に採用、配置できなくなるというおそれがあると思います。
これは、小川参考人、松田芳和参考人、それから谷井茂久参考人、教育委員会の方々についても、都道府県教委、地方の教育委員会の教員採用を計画的に進める上で、この点でどういう問題があるかということをお話しいただきたいと思います。
○松田参考人 やはり採用する立場からいえば、さまざまな要素を勘案して、当然、例えば退職者の動向、それから学級数、いわゆる子供たちの自然増減の動向、それから施策的な面での動向、それらを勘案いたします。かつ、人事管理的に長期的なスパンで見ての採用計画、これも立てていくわけでございます。
あわせて、私どもの立場でいえば、都道府県の中で財政当局とのさまざまなやりとりがございます。今後の教員の定数管理がどうなっていくのかということは非常に大きなテーマでございまして、そういった観点からいっても、将来の見通しがきちんと立っているということが、確実に教育条件を進めていく上では非常に重要な要素だろうというふうに思っております。
○谷井参考人 茅ヶ崎の場合は、政令市でもないし県ということではありませんので直接の採用はしていませんけれども、計画的な採用が難しいことによって茅ヶ崎であらわれる現象ということで考えますと、恐らく、臨時的な任用の教員が多くなるだろうなというふうに思っております。
県の方では、やはり不確定な分だけはっきりした採用の数が採れないということになると思いますので、そしてまた、市町村の教育委員会としては、臨時的な任用の教員が多い分だけ、計画的な、例えば教員研修とかもなかなか難しい状況になりますし、たった一年きりの先生というようなことが多くなってしまうという、そういう弊害はあるのかなというふうに思っています。
以上です。
○小川参考人 今お二人の答弁とほぼ同じなんですが、やはり一番今懸念しているのは、この間、改善計画が本当にストップしまして、毎年度、概算要求の中で国のそういう定数というのが決まっていく中で、都道府県が計画的な採用ないしは人事管理というのがなかなかできにくくなっているのは事実です。
そういう結果が、この数年間の推移を見てみますと、全教職員の中で非正規の教員がやはり徐々にふえてきて、最近のデータでも、先ほど言ったように、一五%を超えて、七人に一人が非正規になっている。
これは、都道府県からすると、そういう非正規の教員を採用、人事のある意味では調整弁にして学校現場のニーズに対応できるようにするという、調整の役割としては、そういう非正規の教員がやはりふえているのではないかなと思っています。
そういう点では、そういう非正規の教員を減らすことも考えると、国が数年間にわたる定数改善の計画をきちっとやはり提示していただきたい。そのもとでやはり計画的な都道府県の人事、採用が安定的にできるのかなと思っていますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。
〔松宮委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本委員 ことしの四月から新学習指導要領の本格実施が始まるわけです。それで、小学校では、現行学習指導要領のもとでの時間よりも授業時間が五・二%増になる。教科内容、授業時数の増加する一方で、教員の多忙化は既に深刻な状況です。
二〇〇六年に行われた文部科学省の調査、東京大学に委託した調査ですけれども、平日のみで三十四時間の残業時間を抱えて、年々、精神疾患などで倒れる教職員は増加の一方だ、こういうふうに言われています。これがさらに多忙になろうとしているという状況であります。
この調査は小川参考人も中心になって進められたと思うんです。少人数学級の実施とともに教職員の増員がなければ抜本的な解決はないと私は思うんですけれども、このことについて小川参考人の御意見をお伺いいたします。
○小川参考人 これももう私から特別言うことでもないんですが、今、学校現場のいろいろな関係者に聞きますと、新教育課程でもって授業時数が確実にふえていますし、なおかつ教科書の中身もかなりふえていますので、果たして、この四月から小学校、来年度から中学校とスタートする中で本当に対応し切れるのかどうかということで、非常に大きな懸念の声が出ていることが事実です。
実際、東京都を中心として、これまでの週五日ではこなし切れないということで、五日制をとるところでは七時間、八時間というふうな時間割りを組むところも出始めていますし、また、土曜日の授業開講ということを真剣に検討している教育委員会というのは、東京都以外にもかなりあるというふうに伺っています。
そういう点では、新教育課程のそういうふうな内容を考えれば、やはり、それに対応した定数配置、改善ということが必要かと思います。
それに関して、私今は中教審の副会長というふうな立場ですので、そういう懸念もありまして、二〇〇六年の勤務実態調査に引き続いて、できれば、中学校の新教育課程がスタートする再来年の後半以降にぜひ同じような勤務実態調査を国として実施していただけないかというふうに今お願いしているところです。
そういうことをすることで、この二〇〇六年以降の教員の負担軽減の取り組みというのが各教育委員会等々で行われてきていますので、そういう成果が実際あったのか、なかったのかということを検証しながら、新教育課程の内容に対応して今の定数配置で十分対応できるのかどうかということも検証できるというふうに思っていますので、ぜひこれも、再来年後半以降、二〇〇六年度に引き続いた勤務実態調査を実施してほしいということはお願いしているところなので、そういうところで検証をさらに深めていっていただければなと思っています。
○宮本委員 ぜひ、私の方からもそういうことを求めていきたいというふうに思っております。
それで、先ほど非正規教員の問題も出されました。これは東京の松田参考人にお伺いしたいんですけれども、東京では、公立小学校、中学校の教員定数の標準に占める正規教員の割合が一番高くて、定数を超えて一〇二・二%の正規教員が配置されている。これはなかなか他の府県ではそうなっていなくて、定数よりも正規教員の数の方が少ないんですね。
それで、ぜひ、東京でこういう状況に努力されている、どういう哲学のもとに正規の教育を行うための努力をされているのかということについて披瀝いただきたいと思っております。
○松田参考人 私ども教育行政の立場で申し上げれば、やはり、人材の確保といいますか人員の確保というのは、教育条件の中でも最も重要なものだろうというふうに思っております。したがいまして、定数については、必ず確保をしていくというのが従来から基本的なスタンスとして持っております。
一〇〇%を超えているのは、都単独の加配の部分があるからではないかと思います。
○宮本委員 宮崎参考人、大変お待たせをいたしました。
発達障害を抱える子供たちへの丁寧な指導が求められている、これはもう言うまでもないことでありますけれども、発達障害を抱える子供たちの多くは学校生活の大半を通常学級で過ごしているわけで、通常の学級においても丁寧な指導が行えるようにするには、学級編制規模の縮小が欠かせないというふうに思います。
それで、全国特別支援学校長会としても少人数学級を要望されておりますけれども、特別支援学校の学級編制規模について具体的なお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○宮崎参考人 特別支援学校の現在の学級編制基準は、諸外国に比べて格段に劣っているということではございませんで、おおむね一定規模の学級編制基準ということで私は考えております。
ただし、どういうところが諸外国と比べて違いがあるかといいますと、重度重複に対する対応の仕組みが少しまだ弱いかなというふうに考えてございます。
それから、特に医療的なケアなどを必要とする肢体不自由校あるいは病弱の特別支援学校にありましては、そこへの配慮、支援というのが非常に欠かせない課題になってございまして、これは単に教員で補充をすればいいということではなくて、いわゆる専門的なスタッフをいかに学校の現場に活用していくかということが求められる。そういった意味では、多様な専門家との連携のもとに学校教育が行われていかなければいけない。
この点が現在の仕組みの中ではまだ十分ではないのではないかというふうに考えてございます。
○宮本委員 おっしゃるとおりだと思っております。
ところが、特別支援学校では、教職員定数に含まれる教員についても、時間数で細切れに勤務する非正規教員がこれは逆にふえているという状況がありまして、定数崩しということがやられているわけです。私の地元大阪では、特別支援学校で働く教員の三割以上が非正規教員という学校もあると伺っております。
個々に抱える障害等に配慮しながら教育を行うべき特別支援学校こそ、専門性を持ち合わせた正規教員の配置をもっと重視すべきだと私は考えますけれども、この点、宮崎参考人の御意見をお伺いいたします。
○宮崎参考人 先生のおっしゃるとおりであろうかというふうに思っております。
それからもう一つは、実は、特別支援学校の教員の免許状取得率が大変今課題になってございます。
というのは、教員養成の中で特別支援学校免許状を課程認定している大学が非常に少ないということがございまして、これも障害種によって大分異なっているわけですけれども、そういったような意味では、教員の資質向上というようなことも含めて、今後の教員養成のあり方でこの点は検討していただく課題になろうかというふうに思っております。
特に、出現率が極めて少ない障害種の専門家、スタッフをどんなふうに整備をしていくかというのも、大きな課題になっているかというふうに思っております。
○宮本委員 私、大阪の特別支援学校にも現地にお伺いをして、先ほどお触れになった養護教員の配置基準の問題、これも当委員会で取り上げたんです。
それで、特別支援学校の教室不足も極めて深刻でありまして、校庭をつぶして教室をつくっているとか、音楽室や図書室を普通教室に転用するとか、廊下にまで教室をつくっているとか、本当に深刻な状態がある。現場でこの目で見てまいりました。
少し、そういう実態についても宮崎参考人の方からお話しいただけますでしょうか。
○宮崎参考人 先ほど、私が最後に触れさせていただきました特別支援学校の大規模化というのは、まさに、今先生がおっしゃったような状況で生まれているところです。
私も全国あちこちの特別支援学校にお伺いしているわけですが、どこも手狭で、大変厳しい状況にあります。校長室までなくなった学校などもありまして、大変厳しい状況があるというようなこともあったりいたします。
これについては、各都道府県の実情等厳しい状況もございますが、ぜひ大規模化に関しては支援をしていただきたい。決して特別支援学校が大規模化することは望ましいことではありませんので、その点では、今後とも、学校建設等も含めて支援をお願いしたいというふうに思っております。
○宮本委員 本当に大事な問題だというふうに思っております。
最後に、これは谷井参考人にお伺いしたいんですね。
市町村で独自に学級編制を行う場合、これまでは都道府県教委と事前協議に基づく同意が必要とされましたけれども、今後はこれが事後届け出制ということになります。こうした規制緩和についてどのように受けとめておられるか。これは、市町村教委の立場でひとつお話しいただきたいと思います。
○谷井参考人 規制緩和に関しての御質問ですけれども、先ほど申し上げましたように、まず、学校の現場をきちんとやはり大事にしていきたいというふうに思っています。
そして、それを市町村教育委員会で吸い上げまして、そのことの判断のもとに、現在では県の方に相談するという形になっていますけれども、独自でできるという部分に関しては、本当に学校の現場をより吸い上げやすいという状況が確保しやすいのかなというふうに思っていますので、賛成でございます。
以上でございます。
○宮本委員 本日は、本当に貴重な御意見、数々と承りました。ありがとうございました。
私の方からも心からお礼を申し上げまして、私の質問を終わります。