平成二十三年三月二十三日(水曜日)
午前九時八分開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君
理事 野木 実君 理事 松崎 哲久君
理事 松宮 勲君 理事 下村 博文君
理事 馳 浩君 理事 池坊 保子君
石井登志郎君 磯谷香代子君
大山 昌宏君 奥村 展三君
金森 正君 川口 浩君
城井 崇君 熊谷 貞俊君
佐藤ゆうこ君 笹木 竜三君
瑞慶覧長敏君 高野 守君
竹田 光明君 中屋 大介君
平山 泰朗君 村上 史好君
室井 秀子君 本村賢太郎君
森本 和義君 山崎 誠君
山田 良司君 笠 浩史君
和嶋 未希君 あべ 俊子君
遠藤 利明君 河村 建夫君
塩谷 立君 田野瀬良太郎君
永岡 桂子君 古屋 圭司君
松野 博一君 富田 茂之君
宮本 岳志君 城内 実君
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文部科学大臣 高木 義明君
文部科学副大臣 笹木 竜三君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
財務大臣政務官 尾立 源幸君
文部科学大臣政務官 笠 浩史君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 辰野 裕一君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 合田 隆史君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 篠田 幸昌君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 安藤 久佳君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 山崎 誠君
大山 昌宏君 森本 和義君
金森 正君 磯谷香代子君
平山 泰朗君 竹田 光明君
同日
辞任 補欠選任
磯谷香代子君 金森 正君
竹田 光明君 平山 泰朗君
森本 和義君 大山 昌宏君
山崎 誠君 石井登志郎君
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三月二十二日
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
同月十日
学校司書の法制化に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一五八号)
同(村井宗明君紹介)(第一五九号)
同(矢崎公二君紹介)(第一九五号)
同(秋葉賢也君紹介)(第二二〇号)
同(宮本岳志君紹介)(第二二一号)
同(吉井英勝君紹介)(第二二二号)
同(服部良一君紹介)(第二二四号)
同(穀田恵二君紹介)(第二七二号)
教育費の無償化など費用の大幅な軽減を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一六〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一六一号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一六二号)
同(宮本岳志君紹介)(第一六三号)
同(吉井英勝君紹介)(第一六四号)
教育格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(大島理森君紹介)(第一六五号)
同(野田国義君紹介)(第一六六号)
同(村井宗明君紹介)(第一六七号)
同(山本剛正君紹介)(第一六八号)
同(今津寛君紹介)(第一九三号)
同(工藤仁美君紹介)(第一九四号)
同(田中康夫君紹介)(第二〇〇号)
同(福井照君紹介)(第二〇一号)
同(伊東良孝君紹介)(第二〇六号)
同(斉藤鉄夫君紹介)(第二〇八号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第二一四号)
同(高橋昭一君紹介)(第二二三号)
同(向山好一君紹介)(第二二六号)
同(山本有二君紹介)(第二二七号)
同(大山昌宏君紹介)(第二四五号)
同(加藤勝信君紹介)(第二四六号)
同(加藤紘一君紹介)(第二四七号)
同(福田衣里子君紹介)(第二四八号)
同(古本伸一郎君紹介)(第二四九号)
同(秋葉賢也君紹介)(第二六六号)
同(江渡聡徳君紹介)(第二六七号)
同(小野寺五典君紹介)(第二六八号)
同(梶原康弘君紹介)(第二六九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二七〇号)
同(森本和義君紹介)(第二七一号)
同(大西健介君紹介)(第二九八号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第二九九号)
同(吉田統彦君紹介)(第三〇〇号)
国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやすことに関する請願(河村建夫君紹介)(第一六九号)
同(斉藤鉄夫君紹介)(第二〇九号)
同(村上誠一郎君紹介)(第二一九号)
学費の負担軽減、高等教育予算増額を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一七〇号)
国の教育予算をふやし、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一三号)
子供に行き届いた教育を進めることに関する請願(高橋英行君紹介)(第二一八号)
教育格差をなくし行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(坂本哲志君紹介)(第二二八号)
同(坂本哲志君紹介)(第三〇一号)
教育格差をなくし子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二六五号)
同月十七日
教育格差をなくし子どもに行き届いた教育に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二二号)
同(笠井亮君紹介)(第三二三号)
同(穀田恵二君紹介)(第三二四号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第三二五号)
同(志位和夫君紹介)(第三二六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三二七号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三二八号)
同(宮本岳志君紹介)(第三二九号)
同(吉井英勝君紹介)(第三三〇号)
教育格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(石原洋三郎君紹介)(第三三一号)
同(遠藤利明君紹介)(第三三二号)
同(石津政雄君紹介)(第三六二号)
同(木村太郎君紹介)(第三六三号)
同(斎藤やすのり君紹介)(第三六四号)
同(渡辺喜美君紹介)(第三六五号)
同(木内孝胤君紹介)(第四二一号)
同(木村たけつか君紹介)(第四二二号)
同(川島智太郎君紹介)(第四四〇号)
同(吉泉秀男君紹介)(第四四一号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第四五六号)
教育格差をなくし行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三三三号)
学校司書の法制化に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三三四号)
同(佐藤ゆうこ君紹介)(第三六六号)
教育格差をなくし、すべての子供たちに行き届いた教育を進めることに関する請願(川島智太郎君紹介)(第四三九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
文部科学行政の基本施策に関する件(「平成二十三年東北地方太平洋沖地震」に関する文部科学省所管事項)
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
去る三月十一日に発生した東日本大震災で犠牲となられた方々に対し、謹んで私からも哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
被災地では、季節外れとも言われる寒さと雪に見舞われておりまして、食料や燃料などの不足の解消と同時に、行方不明者の捜索も急がれております。被災者に対し一刻も早い生活再建のための支援が急務だということは言うまでもありません。また、学校教育や子供たちに深刻な困難をもたらしているということも議論されてきたとおりです。我が党としても全力で支援に当たることをまず申し上げて、質問に入ります。
文部科学省は、きょう冒頭も説明のあった、この地震による被害情報を公表しておりますけれども、この中を見ましても、岩手県、宮城県、福島県の不明者については不明というふうになっているわけですね。
私が伺ったところによりますと、宮城県では、既に授業の終わっていた小学校、卒業を祝う会を取りやめた中学校など、学校から離れた子供たちの情報が全くつかめていないということですね。岩手県では、海沿いの屋内プールにいた部員を助けに行った高校教員が行方不明になった。福島県では、高校入試の判定の会議中に被災をし、原発の影響もあり、子供たちのだれが行方不明かもわからない等々の声が寄せられております。
それで、行方不明となっている児童生徒数と教職員数をどのように把握しているか、この三県について明らかにしていただきたいんです。また、行方不明者をどのように掌握しているのか、お聞かせいただけますか。
○高木国務大臣 文部科学省関係の人的被害の状況については、都道府県教育委員会などからの報告をもとに情報を集約し、既に掲載をしておるところでございます。そのうち、行方不明者の項目が不明となっているのは、岩手県、宮城県、福島県からの公立学校における状況が不明であるとの報告を受けておるところでございます。
文部科学省としましても、行方不明者の状況把握、これはかなり重要なテーマでございまして、各県の教育委員会に対し早急な状況の把握を依頼しているところでございます。午前中からの議論の中でも、人的なバックアップ体制、これはお互いに知恵を出し、あるいは助け合って、一人でも多くの方々の協力によってこの把握をしなければならないと思っております。
○宮本委員 ニュースで児童生徒の死者、不明はこの三県で千百人を超えるというものも流れました。ただ、確認難航と。要するに、この千百人でとどまるものじゃなくて、まだまだわかっていないという状況があるわけですね。まずやるべき仕事は、やはり子供たちの安否、所在、置かれた状況がどうなっているかをつかむ必要があると思うんです。
それで、同時に、自宅や住居を失った子供たち、それから自宅を失ってしまった教職員はどれだけいるのか。この資料に出てこないんですけれども、これはどうなっておりますか。
○高木国務大臣 現在、被災の甚だしい県教育委員会においては、児童生徒や教職員の安否や学校施設の安全性の確認、さらには避難場所となっている学校において、避難した住民への対応等を行っておるところでありますが、御指摘のように、自宅あるいは住居を失った児童生徒や教職員の数については、残念ながら現時点では把握できておりません。
しかしながら、こういう状況ですから、学習環境の回復状況を把握する上での必要性、あるいは文部科学省の支援策を講じる上での把握する必要性を勘案しながら、その時期について我々も検討していきたいと思っております。
○宮本委員 ぜひ早急にそれもつかんでいただきたいと思うんですね。
それで、依然として東北地方を中心にガソリン不足が深刻でありまして、岩手県盛岡市など内陸で比較的被害の少なかったところの教員から、支援やボランティアで沿岸各地に赴きたいという気持ちがあるものの、燃料不足で思うように行動できないという声が寄せられました。子供たちの安否確認に行きたいが、ガソリンがないために校区内を回り切れない、こういう声も寄せられております。
きょうは経産省に来ていただいておりますけれども、こういう、燃料があればという声にどのようにお答えになりますか。
○安藤政府参考人 お答えさせていただきます。
日本全体の状況で申し上げますと、被災によりまして、日本全体の生産能力が約七割に一度落ちました。今順次回復をしておりまして、輸出を除きました国内需要をおおむね賄えるような状況には至っております。
また、備蓄の大幅引き下げということで、民間備蓄義務を二十五日分引き下げさせていただきました。これは、生産能力の回復を現実の流通量に反映しようというものでございます。
ただ、今先生御指摘のように、では本当に現場にガソリンが流通しているのか、あるいは末端のガソリンスタンドの供給拠点が強化されているかということでございます。十七日に海江田大臣の方から総合的な対策を発表させていただきまして、今、随時実施をさせていただいております。
まず、タンクローリーが相当被災をいたしまして、輸送手段がないということでございます。三百台投入しようということで、今二百十五台を東北地域に投入させていただきました。また、西日本の製油所、これは大丈夫なものですから、こちらをフル稼働させる、あるいは輸出を抑制させる、緊急輸入を進めるということで最大限供給を図っておりますけれども、まだまだ足りない点がございます。
ただ、幾つか明るい兆しもございまして、東北エリアの太平洋側の非常に大きな油槽所でございます塩釜の油槽所というのがございます。こちらに、一昨日から、小型ではございますけれどもタンカーが着岸できるようになりました。日々二千キロリットル入れております。今後、さらにこれが拡大をしていく。これによりまして、岩手方面等々への供給が可能になる。また、鉄道出荷も増加をさせていただいております。
また、ガソリンスタンドの状況、まだ大変厳しい状況でございますけれども、緊急重点ガソリンスタンドということで、重点的にガソリンを供給するスタンドを指定させていただきまして、今先生がおっしゃるような、非常に緊急性の高い皆さん方にガソリンが行き渡るように万全を期していきたいと思っています。まだまだ不十分でございますが、全力を挙げていく所存でございます。
○宮本委員 やはり、ガソリンスタンドまできちっと行き渡るように、途中でとまってしまっているという状況がありますから、すべて末端まで行き届くように対策をとっていただきたいというふうに思います。
それで、避難所の様子が日々報じられております。幾つか紹介したいんですけれども、津波で壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町の大槌高校では、避難所にいる四十名ほどの高校生が水くみや掃除、物資運びを率先して行っております。岩手県釜石市では、避難所の高校生が、今は助け合うときだからと、男子生徒が朝六時に近くを流れる川へトイレに流す水をくみに行き、女子生徒はおにぎりやみそ汁をつくっております。福島県相馬市では、避難所で中学生が新生徒会をつくって、毎朝避難所のトイレ掃除をし、小さい子やお年寄りと一緒に折り紙をしていると伝えられておりますし、岩手県釜石市の別の避難所では、中学生が小学生に勉強を教える勉強会を始めておりまして、避難所で勉強が再開できるようにと、学校から百冊近い本を持ち込んで生徒らに本を貸し出す教員の記事も紹介されておりました。
子供たちと教職員の避難所での生活の状況をしっかりと把握をして、そして、生活物資はもちろんですけれども、ノート、筆記用具といった学用品、本なども確保し、急いで届ける必要があると思うんですね。先ほど、学用品を届けるように指示したという説明もありましたけれども、必要なものを必要なところにしっかり届ける、この点の対応はどうなっておりますか。
○高木国務大臣 まさに生活物資とともに、子供たちにとって、児童生徒にとって学用品、本などは今必要になっております。特に、四月中旬から、学校再開に向けて必要になるものであります。
したがいまして、私どもも、被災地においてそれぞれの自治体の要望にこたえて、全日本文具協会あるいは日本書籍出版協会などの関係業界団体に働きかけをして、要望にこたえられるように取り組んでまいりたいと思っております。
○宮本委員 資料によりますと、五百四十五校の公立学校が避難所になっている。他の国立、私立も合わせれば五百六十八校、学校が避難所になっているんですね。教職員が避難所の運営に携わっているというところが多いんですよ、さっき校長先生を先頭にという話がありましたけれども。
宮城県では海沿いの学校の多くが避難所になっておりまして、一日三交代で教職員が中心になって支援活動に当たっております。福島県の県立高校ではほとんどが避難所になっており、八時から十八時までと十八時から翌朝八時までと、二交代制で教職員が避難所の運営に携わっていると伺いました。まさに、今学校に設けられた避難所は、教職員による寸暇を惜しむ奮闘によって、努力によって成り立っております。
避難所で支援に当たっている教職員からは、子供たちの安否や状況確認の把握に専念させてほしい、それもやる必要があるのと、避難所の運営に非常に追われているという声も寄せられているんですけれども、これの一刻も早い解決が求められると思いますけれども、いかがでしょうか。
○高木国務大臣 委員から、それぞれの避難所において、先ほどは生徒などの事例、そして今は教職員の皆さん方の事例、まさに心を打たれるところがたくさんございまして、そういう真摯な対応には心から敬意を表し、感謝をしたいと思っております。
被災した県の教育委員会では、県内の被災地域以外の教職員を応援隊として派遣しております。また、今年度退職予定であった者を一定期間継続して勤務できるようにすることとしたところもございます。
こういった取り組みについて、教職員の負担軽減について我々としては支援をしてまいりたいと思っておりますし、今後、仮設住宅などの設営が進んでいきますと、震災復興が進むにつれて、教職員が一日も早く本来の学業に専念できるよう、文部科学省としては、スクールカウンセラーの派遣あるいはそれぞれ専門家の派遣を含めて、教職員の負担軽減について最大の努力をしていかなきゃならぬと思っております。
○宮本委員 先ほども、今大臣からもスクールカウンセラーという話がありましたし、臨床心理士の派遣、特に心のケアということも出されました。現実に臨床心理士はどれだけ派遣されていて、今後どういう派遣計画があるか、教えていただけますか。
○高木国務大臣 被災した児童生徒の心のケアのための臨床心理士の派遣についてでありますが、派遣予定人員としては、宮城県に三十四人、福島県に二十二人、茨城県に五人、そして愛知県、これは被災児童を受け入れたところでございますが五人、仙台市に七十八人、百四十四人に上っております。
○宮本委員 本当に子供たちの心のケアというのは大事ですから、しっかりとやはり現場の要望にこたえて、派遣に万全を期していただきたいと思うんです。
それで、避難所が被災地から近隣諸県に拡大をしております。本格的な生活再建を始めるためにも、一刻も早く、家や家族を失った子供の行き先の確保について、文部科学省としても全力を挙げるべきだと思います。
それで、阪神・淡路大震災時の対応も踏まえて、災害救助法の適用による学用品や教科書の支給、就学援助の速やかな認定、奨学金の給付、貸与など、子供たちの学習教育活動に対する支援措置が急務だと思います。文書も出していただいているようですけれども、これについて、どうなっておりますでしょうか。
○高木国務大臣 今回の災害によって必要となった学用品については、これも先ほども申し上げましたように、災害救助法に基づいて、必要な費用については都道府県が支弁をし、そしてその一部を国が補助するということにされております。
小中学校に対する就学援助については、被災地において就学困難な児童生徒が相当数増加することが予想されておりますから、可能な限り弾力的な対応を都道府県教育委員会に通知しておるところでございます。
高校生の奨学金については、各都道府県に措置されておりますいわゆる基金、この活用を含めて、都道府県が実施する緊急採用制度の弾力的な運用をもって図るように通知をしたところでございます。
○宮本委員 全国規模のことですので、周知徹底させて、支障のないようにしていただきたいと思います。また、被災した高校生について、教科書を無償で提供することや、制服や教材費などについても無償とするような対策も検討する必要があるということを申し上げたいと思います。
それで、四月からいよいよ新学期が始まるわけでありまして、被災地に入っている同僚議員から聞きますと、避難所生活を送っている被災者からは、新学期が始まったら避難所となっている学校から追い出されてしまうのじゃないか、こういう不安の声、あるいは、新学期になって学校を始められるのかという、今度は就学に関する心配、両方が出されていると聞いております。
避難所から先の生活場所として、一部の自治体では仮設住宅の建設が始まる。一時的な被災者の県外移住なども検討されておりますけれども、県内にとどまっている被災者の多くは、四月になっても避難所にとどまらざるを得なくなります。新学期が始まれば、いよいよ学校では教育活動の場としてこういう活動が始まるわけでありまして、新学期の開始までには、被災者への生活支援に当たる要員は別にきちっと配置をして、学校の教職員については、学校の再建と授業の再開に専念する体制を整えるべきだと思うんですね。
この点の対応は万全でしょうか。
○高木国務大臣 被災した児童生徒の受け入れについては、三月十四日付で、可能な限り弾力的な取り扱いをし、速やかに受け入れる、これについて通知を発出し、そしてまた周知をしたところでございます。文部科学省としては、各都道府県教育委員会における転入学、この弾力的な受け入れ、そして、被災地教育委員会を初めとした関係者に広く周知を図っておるところでございます。もちろん、教員、あるいは加配ということも考慮に入れなきゃならぬと思っております。
また、被害が広範囲にわたっておりまして、まさに被災に遭った学校をその場所で復旧し、教育活動を再開するところもあれば、あるいは、被害に遭った多くは、県内のほかのところや県外に転校する方も、さまざまなケースが考えられます。したがいまして、そういうところについても、まさに非常時の災害でございますから、弾力的に、また適切な指導が行われるように我々としても取り組みを進めてまいりたいと思っています。
○宮本委員 先ほども議論があったようですけれども、三宅島の噴火のときには、三宅島の学校そのものが東京都内に引っ越した形で運営されたと思うんですね。今、原発事故から避難されている地域では、それこそ地域丸ごとが埼玉県あたりに避難されている。そういった際に、双葉町でしょうか、双葉町の方々が、その地元の学校に子供たちが入るんじゃなくて、埼玉県で町立の学校を再開するということは可能だと先ほどお話があったと思います。ここは、その地元の方々の希望をしっかり生かしてということになるんでしょうか。
○高木国務大臣 先ほども鈴木副大臣が答弁をいたしておりますが、今御指摘のとおり、私たちは柔軟に対応していきたいと思っております。
○宮本委員 今回の震災ですけれども、年度末に起きたということもあって、年度を越えて子供たちを継続的に支援できるような措置を特別に講ずる必要があると思うんです。
被災地の教職員からは、二〇一一年度の教職員の人事異動を必要最小限にしてほしい、教員の人事異動の内示を急がず、被災地の学校では人事異動すべきではないという声が私のもとに届けられております。親を失った子供のところを担任が訪ねて、抱き合って喜んだという光景も報じられております。被災地の子供たちにとって、この一年を一緒に過ごした担任や教員が何よりの心の支えになっていると。これは、安否確認一つとっても、子供の顔も知らない新任の教師ではおぼつかない、これはだれが考えてもわかることだと思います。
人事は、各教育委員会の権限であることはもちろんわかっているんです。わかってはおるんですけれども、やはり今回の震災の被害の深刻さを考えるならば、被災地においてはこれまでの教員と子供との結びつきを安易に断ち切らない柔軟な対応が求められていると私は思うんですけれども、文部科学省としてはどのようにお考えでしょうか。
○高木国務大臣 被災した主な県の教育委員会においては、これは福島県、岩手県においては、一部の人事異動の時期を延期するということが工夫をされております。また、福島県の、これは管理職のみでありますが、宮城県においても、今年度の退職予定者を一定期間継続して勤務できるようにする。また、これは宮城県でありますが、異動予定の被災地の教職員に、異動先と現任地の兼務発令を行う、引き続き被災地の学校においても勤務できるようにする、こういう配慮も考えられております。また、岩手県においては、県内の人事異動を再検討する。そういう、それぞれの県の実態に応じた、工夫された対応がなされております。
我々としましても、引き続きこういったことを、ある意味では全面的に支援をし、学校教育が早く正常に運営できるように取り組んでいきたいと思っております。
○宮本委員 今、兼務発令をしたという話もありましたけれども、期日を見ると、四月の何日という、随分、これはやはり短いんですよね。やはり相当、今回の震災でいえば、子供たちの関係というのは一定の期間かかると思いますから、それが子供たちに一番よい形で進められるように、文科省としてもしっかりと御配慮いただきたいというふうに思います。
それで、被害情報、今度は建物ですけれども、地震や津波で被害を受けた学校は、公立学校で四千六百二十六と、九割以上は小学校、中学校、高校、特別支援学校ということであります。私立の学校は千百二十五、これは半分程度が幼稚園ということでありますけれども、こういう学校の教育活動の再開に向けた対策が必要なんですね。
とりわけ、専門家の協力も得て安全確認をきちっと行うということが必要ですし、それから、私立の学校関係者からは、この壊滅的な被害を受けている学校は、手厚い財政支援がなければもう学校そのものが再開できないと悲鳴のような声が届けられております。学校再開に向けて緊急の財政措置を講じる必要があると思うんですけれども、どのような対策を検討されておられますか。
○高木国務大臣 私立学校については、今回、激甚災害に指定をされたこともありまして、私立学校施設災害復旧補助として二分の一の国庫補助を行うことができると。また、残りの経費については、日本私立学校振興・共済事業団による長期、低利の融資、貸し付けの対象になる、こういう制度の中で対応しなきゃならぬと思っています。
ただ、午前中も、午前中というか先ほども議論の中にございましたように、阪神・淡路大震災の例もございます。これについては、私立学校の施設災害の復旧の補助に加えて、特別に教育研究活動の復旧や学費減免のための経常費の補助の予算措置を行ったということも経験としては持っております。
したがって、こういうものも含めながら、一刻も早い学校の教育活動ができますように、状況の把握を的確にした上で我々としても迅速な対応を進めていきたい、このような決意を持っております。
○宮本委員 ぜひ、ありとあらゆる制度を使って、公立に限らず私学もしっかりと教育活動を再開できるように支援をお願いしたいというふうに思っております。
もう時間が来ましたので最後の質問にしたいんですが、今春卒業予定の大学生の就職問題、先ほども議論がありました、内定率が七七%、なかなか深刻な状況ですね。この間、当委員会で、あるいは予算委員会でも学生の就職問題を私も取り上げてまいりました。そして、文科大臣初め三大臣連名で経済団体に追加採用を求めていただく文書も発出していただいたわけです。しかし、この状況ですね。
その上、震災が起こって、被災を理由とする内定取り消しも懸念される。青森公立大では二名が岩手県内のホテルなどから内定を取り消されたと報道されました。震災を理由とする内定取り消しがさらに広がる懸念がありますけれども、これに対してどういう対策をおとりになりますか。
○高木国務大臣 この震災の厳しさ、こういう中で、内定の取り消しという懸念がされております。宮本委員も、これまでも学生等の就職問題についてはいろいろ御議論いただきました。私どもも、このような新卒者の雇用に係る問題が発生しないようにしていくことが大事だと思っております。
そのために、昨日、三月二十二日でございますが、大学と連携をいたしまして、学生生徒の就職を支援する立場である私と雇用対策を担当する厚生労働大臣の連名をもちまして、主要な経済団体に対しまして、震災を受けた被災者の学生生徒に対する支援のメッセージを発出しておりますし、関係省庁と連携をとりながら、産業、企業側にも格段の努力をお願いしたいし、そして願わくば、被災した学生生徒、これに負けないように希望を持って粘り強く頑張っていただきたい。
特に、この災害の起きた時期は年度末そして年度初めという学校教育にとっても大変重要な時期であるだけに、私どもはその点については十分肝に銘じてしっかりした対応をしていかなきゃならぬ、このように思っております。
○宮本委員 文書も読ませていただきました。内定取り消しをしないように呼びかけることや被災学生の入社予定日の柔軟な取り扱いなど、確かに大事なことなんですね。しかし、今や会社ごと壊滅状態という企業もあるわけでして、やはり、この国難というべき事態にあって、かねてから私が申し上げているように、こういうときこそ大企業がその社会的責任をしっかり果たして、体力のある大企業がそういう学生たちを大いに積極的に追加採用する、これが大事だと思います。
ぜひ、そういうことを強く経済界にも求めていただくということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。