平成二十三年二月二十二日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 中井 洽君
理事 泉 健太君 理事 城井 崇君
理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君
理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君
理事 塩崎 恭久君 理事 武部 勤君
理事 富田 茂之君
石毛 えい子君 磯谷香代子君
稲見 哲男君 打越あかし君
生方 幸夫君 小川 淳也君
小原 舞君 緒方林太郎君
大西 健介君 勝又恒一郎君
金森 正君 金子 健一君
川口 博君 川村秀三郎君
吉良 州司君 郡 和子君
佐々木隆博君 斎藤やすのり君
柴橋 正直君 白石 洋一君
杉本かずみ君 平 智之君
高井 美穂君 高邑 勉君
竹田 光明君 玉木 朝子君
玉城デニー君 津村 啓介君
中根 康浩君 中野渡詔子君
中林美恵子君 仲野 博子君
仁木 博文君 花咲 宏基君
浜本 宏君 福田衣里子君
本多 平直君 松岡 広隆君
水野 智彦君 宮崎 岳志君
宮島 大典君 向山 好一君
村越 祐民君 森本 和義君
森本 哲生君 森山 浩行君
矢崎 公二君 山尾志桜里君
山岡 達丸君 山口 壯君
山崎 誠君 山田 良司君
渡部 恒三君 秋葉 賢也君
小里 泰弘君 金子 一義君
金田 勝年君 小泉進次郎君
佐田玄一郎君 齋藤 健君
菅原 一秀君 長島 忠美君
野田 毅君 馳 浩君
宮腰 光寛君 山本 幸三君
坂口 力君 遠山 清彦君
笠井 亮君 宮本 岳志君
阿部 知子君 柿澤 未途君
山内 康一君 田中 康夫君
…………………………………
公述人
(早稲田大学法学学術院教授) 犬飼 重仁君
公述人
(岡本アソシエイツ代表) 岡本 行夫君
公述人
(株式会社野村総合研究所主任エコノミスト) 佐々木雅也君
公述人
(上智大学名誉教授) 堀 勝洋君
公述人
(日本労働組合総連合会副事務局長) 逢見 直人君
公述人
(全国農業協同組合中央会専務理事) 冨士 重夫君
公述人
(慶應義塾大学経済学部教授) 駒村 康平君
公述人
(全国労働組合総連合事務局長) 小田川義和君
予算委員会専門員 春日 昇君
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委員の異動
二月二十二日
辞任 補欠選任
稲見 哲男君 松岡 広隆君
打越あかし君 大西 健介君
小川 淳也君 勝又恒一郎君
大串 博志君 森山 浩行君
川村秀三郎君 川口 博君
吉良 州司君 花咲 宏基君
佐々木隆博君 玉城デニー君
城島 光力君 浜本 宏君
竹田 光明君 山尾志桜里君
仲野 博子君 山岡 達丸君
三谷 光男君 緒方林太郎君
水野 智彦君 金子 健一君
村越 祐民君 仁木 博文君
渡部 恒三君 山田 良司君
小里 泰弘君 秋葉 賢也君
馳 浩君 宮腰 光寛君
遠山 清彦君 坂口 力君
笠井 亮君 宮本 岳志君
山内 康一君 柿澤 未途君
下地 幹郎君 田中 康夫君
同日
辞任 補欠選任
緒方林太郎君 山崎 誠君
大西 健介君 打越あかし君
勝又恒一郎君 平 智之君
金子 健一君 水野 智彦君
川口 博君 杉本かずみ君
玉城デニー君 斎藤やすのり君
仁木 博文君 村越 祐民君
花咲 宏基君 吉良 州司君
浜本 宏君 中林美恵子君
松岡 広隆君 玉木 朝子君
森山 浩行君 福田衣里子君
山尾志桜里君 竹田 光明君
山岡 達丸君 仲野 博子君
山田 良司君 渡部 恒三君
秋葉 賢也君 長島 忠美君
宮腰 光寛君 馳 浩君
坂口 力君 遠山 清彦君
宮本 岳志君 笠井 亮君
柿澤 未途君 山内 康一君
田中 康夫君 下地 幹郎君
同日
辞任 補欠選任
斎藤やすのり君 佐々木隆博君
杉本かずみ君 川村秀三郎君
平 智之君 白石 洋一君
玉木 朝子君 稲見 哲男君
中林美恵子君 森本 和義君
福田衣里子君 中野渡詔子君
山崎 誠君 柴橋 正直君
長島 忠美君 小里 泰弘君
同日
辞任 補欠選任
柴橋 正直君 小原 舞君
白石 洋一君 森本 哲生君
中野渡詔子君 磯谷香代子君
森本 和義君 向山 好一君
同日
辞任 補欠選任
磯谷香代子君 大串 博志君
小原 舞君 三谷 光男君
向山 好一君 矢崎 公二君
森本 哲生君 宮崎 岳志君
同日
辞任 補欠選任
宮崎 岳志君 小川 淳也君
矢崎 公二君 城島 光力君
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本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成二十三年度一般会計予算
平成二十三年度特別会計予算
平成二十三年度政府関係機関予算
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○中井委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
本日は、貴重な御意見、まことにありがとうございます。
まず、岡本行夫公述人にお伺いいたします。
先ほども少し議論になりました、鳩山前首相が沖縄タイムスのインタビューに対して、在沖海兵隊の抑止力について、辺野古に戻らざるを得ない中で理屈づけしなければならず、考えあぐねて抑止力という言葉を使った、方便と言われれば方便だった、こう述べたことがこの間話題になってまいりました。その理由として、海兵隊に抑止力があるわけではない、四軍がそろって抑止力を持つ、そういう広い意味では使えるなと思ったとも語ったと言われております。
二〇一〇年五月五日の琉球新報によれば、「「県外」断念の理由に鳩山首相は、「海兵隊の抑止力」の必要性を何度も強調した。鳩山首相の口から「抑止力」の言葉が出始めたのは、自公政権下で辺野古移設案決着に奔走した元外交官の岡本行夫氏との接触があって以降だった。」こう報じられております。
まず、岡本公述人にお伺いしますけれども、抑止力という言葉を使うように進言した事実はございますか。
○岡本公述人 求めに応じて鳩山総理のところへ行ったのは事実でございます。そのときに、抑止力という概念について私は説明をいたし、御理解を得るように努めました。
以上でございます。
○宮本委員 そういうお立場で、鳩山前首相の最近語られた中身、いろいろ、先ほど本意じゃなかったというようなこともありましたけれども、少なくとも方便というふうにおっしゃったわけですけれども、これについてはどのようにお考えですか。
○岡本公述人 鳩山前総理のインタビューの記録を読みましたが、方便という言葉が若干ひとり歩きをしているような感じもございます。
鳩山前総理がおっしゃりたかったのは、今まさにおっしゃられたように、四軍がそろって初めて抑止力というものを構成するというところではなかったかと推察いたします。その意味においては、私は鳩山前総理が間違っているとは思いません。ですから、方便という言葉に余り大きな意味を置いて本件を議論するべきではないと私は思っております。
○宮本委員 先ほども岡本公述人がお話しになったように、私たちも、沖縄県内、辺野古への移設というものは事実上不可能だというふうに考えます。同時に、これは県内の別の場所でも、国内の別の場所でもだめであって、改めて、普天間基地は無条件撤去ということをしっかりと米側とも話し合うべきだというふうに思っているんですね。
それで、先ほど、北方領土、千島の問題についても議論がありました。尖閣諸島の問題についても議論に上りました。
先ほど、日米関係の揺らぎが原因だという話も出ましたけれども、私たちはそうではないと思います。なぜならば、その前、自民党政権下でも、おっしゃったとおり一歩も進まなかった、ずっとこの問題は未解決できたわけですから、そういう意味では、一貫して、この問題の解決という点では、私たちは日本の政府のとってきたやり方というものに問題があると。
日本共産党は、尖閣諸島の問題でいえば、歴史的な事実や国際法に立った、正面からの領有の正当性の主張をやってこなかった外交努力の弱さにあったと思いますし、同時に、千島問題でいえば、領土不拡大の原則に反して、踏み破って、スターリンが北海道の一部も含めて不当に領有をした。改めて、北海道の一部である歯舞、色丹はもちろんですけれども、サンフランシスコ条約二条(c)項の見直しも含めて、千島全島の返還を求めるという立場で、一からきちっとした国際法と道理に立った交渉をやるべきであると繰り返し申し上げてまいりました。
こういう点で、これまでの日本政府の外交的な姿勢について、岡本公述人はどのようにお考えか、お聞かせください。
○岡本公述人 私は、宮本先生がおっしゃった普天間の無条件撤去、それは、一つの条件が満たされれば不可能ではないと存じます。それは、日本自身が、自前で、自己完結的に国を防衛できる体制を持つということであります。
恐らく、今の四兆七千億の防衛費は、国際水準並みにGDPの二%、二・五%へ持っていくということになれば、残り七兆、八兆という防衛費を積めば、私は普天間基地がなくても日本はやっていけると思いますが、それができないのであれば、日本は米軍の抑止力に頼らざるを得ない。ですから、無条件撤去というお言葉には、私は反対であります。
領土問題の方につきましては、日本は、三つの領土紛争を隣接するすべての国・地域、つまりロシア、韓国、北朝鮮、中国、そして台湾と抱えているという世界で唯一の国であります。これだけ安全保障環境が脆弱なところに日本はございます。
私は、その中で、北方領土については、いろいろな経緯もございましたし、島が四つあるということで、単純に交渉のバリエーションも考えられますし、もう少し進んでくればよかったと思っております。
しかし、先ほど秋葉先生もおっしゃっていたように、ロシアは、みずからの力が弱いときには日本に対話をしてき、自分たちが強くなった場合には日本との門戸を閉ざすということをやってきております。今は、残念ながらといいますか、ロシアの国力が、プーチン首相、メドベージェフ大統領のもとで非常に強くなったという認識でございますから、日本から交渉を持ちかけてもなかなか、実際問題としては彼らは乗ってこないのではないか。
ただ、日本は、ロシアとの信頼関係あるいは領土以外の関係を深めて、彼らがこれ以上の実効支配を今の段階で固めないように、これは強く訴えかけていくべきだと思います。
○宮本委員 御意見は承りました。
次に、佐々木公述人にお伺いしたいと思います。
佐々木さんの「金融経済コラム」というものを見せていただきましたら、大変興味ある内容がございました。「なかなか回復しない日本の内需」という文章で、一九九二年以降一貫して、貯蓄残高が減った世帯の方が、貯蓄残高がふえた世帯の数を上回っていることがわかる。そもそも、ライフサイクル仮説に基づいて考えれば、人は本来、老後を見越して、働いている時期に貯蓄を行っているはずだ。ところが、アンケート調査の結果が示しているのは、ライフサイクル仮説でいえば貯蓄しているはずの世帯で、雇用、所得環境の悪化と相まって、なかなか貯蓄ができていないという今の日本の家計の実態だと。
きょうお示しいただいたグラフを見ても、九〇年代からずっと下がってきて、少し上がった局面はありましたが、リーマン・ショック以降また下がっているわけですね。この原因ですけれども、先生はどのようにお考えになっておられますか。
○佐々木公述人 基本的には、九〇年代以降、失業率がかなり上昇していったという点がありますので、主に雇用環境というのが一つであります。もう一点は、それにあわせまして、所得が伸びないというふうになっていったということであります。
ただ、その一方で、労働分配率、そのお示しいただいたコラムの中では触れていませんけれども、九〇年代にかけては労働分配率がむしろ上がっていく状況にあったはずでございますので、そこの部分を企業が何とか見ながら推移していったということだろうと思っております。
○宮本委員 私たちは、この間、この原因というのは、やはり給与所得の激減ということがあると思うんですよね。
それで、民間賃金は、ピーク時の一九九七年から、年収で平均六十一万円、総額では三十一兆円減った。そして、年収二百万円以下の働く貧困層と言われる方々が一千百万人に達しております。雇用も過去最悪の状態を示しています。一方で、大企業の内部留保、これはもう二百四十四兆円まで膨れ上がりまして、現預金など手元資金だけでも六十四兆円という空前の金余りという状況。これは先ほど先生がおっしゃったとおりですね。この異常な構造が内需を冷え込ませて、経済の健全な発展を妨げていると思うんですね。
ところが、来年度予算案では、一兆五千億円もの法人税減税を行い、証券優遇税制も二年間延長しようとしております。こういう大企業に対するばらまきをやめて、雇用の確保や賃上げを通じて内需の振興を図ってこそ、内需主導型の本当の経済の発展があるというふうに私どもは考えますけれども、佐々木公述人のお考えをお聞かせください。
○佐々木公述人 企業の内部留保というふうな話がございましたけれども、先ほど私が冒頭で申し上げましたように、企業がリスクテークをなかなかできないという環境が、むしろ内部留保を最終的にふやす結果になったということがあると思います。
日本経済を活性化させる上で、特に民間の企業部門を活性化させて、その結果、雇用をふやしていく、所得も伸びていくというふうな形が正常な経済の形であろうと思いますし、それを促していくということが一番大切ではないかというふうに思っております。
○宮本委員 それでは、堀公述人にお伺いしたいと思います。
社会保障、特に年金についての詳しいお話をお伺いしました。
昨年三月十五日の週刊社会保障というものの中に、「税財源の確保とともに給付の効率化・重点化を」という先生のインタビュー記事が載っておりまして、読ませていただきました。その中で、財源確保が困難な状況のもとでは、子ども手当のようなばらまきをしている余裕は全くないはずですと述べておられました。
私どもも、今、保育所に入れないお子さんがたくさんおられて、非常にそれが深刻になっている。まず保育所の増設こそ待ったなしであるし、子供の医療費の無料化とか、高過ぎる教育費への支援とか、総合的な対策を打つ必要があるというふうに思っております。
同時に、財源の問題では、手当を出すかわりに税の控除を削って庶民から取るというやり方もだめだし、ましてや、子ども手当の財源に消費税の増税というのはもってのほかだというふうに考えるわけでありますけれども、民主党の、今政府が進めている子ども手当についての堀公述人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○堀公述人 そのインタビューは、たしか、一昨年民主党が政権をとった、総選挙で勝ったときのものだと思います。
私は、財政再建というものを優先してやるべきだというふうに考えております。財政再建のための消費税の引き上げとか、そういった税制の抜本改正が必要だ。
子ども手当につきましては、財源確保の見通しのないまま制度化するというのは、私はおかしいと思っています。
それから、もう一つは、子ども手当の性格が、子を育てる家庭の経済的支援にあるということなら、高所得者層はそういう経済的支援は必要がないということであれば、これは所得制限をするべきだというふうに考えております。
○宮本委員 本日はありがとうございました。
以上で終わらせていただきます。