平成二十二年十月二十七日(水曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 佐藤ゆうこ君 理事 高井 美穂君
理事 松崎 哲久君 理事 村上 史好君
理事 本村賢太郎君 理事 下村 博文君
理事 馳 浩君 理事 池坊 保子君
井戸まさえ君 石井登志郎君
石山 敬貴君 磯谷香代子君
大山 昌宏君 奥村 展三君
金森 正君 金子 健一君
川口 浩君 熊谷 貞俊君
小室 寿明君 笹木 竜三君
瑞慶覧長敏君 田村 謙治君
高野 守君 津村 啓介君
土肥 隆一君 中屋 大介君
野木 実君 藤田 大助君
向山 好一君 室井 秀子君
柳田 和己君 笠 浩史君
あべ 俊子君 遠藤 利明君
河村 建夫君 塩谷 立君
永岡 桂子君 古屋 圭司君
松野 博一君 富田 茂之君
宮本 岳志君 城内 実君
…………………………………
文部科学大臣 高木 義明君
文部科学副大臣 笹木 竜三君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
財務大臣政務官 吉田 泉君
文部科学大臣政務官 笠 浩史君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 木村 茂樹君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 山中 伸一君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 磯田 文雄君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 合田 隆史君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 藤木 完治君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 布村 幸彦君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 大谷 泰夫君
文部科学委員会専門員 佐々木 努君
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委員の異動
十月二十七日
辞任 補欠選任
川越 孝洋君 石山 敬貴君
田島 一成君 小室 寿明君
浜本 宏君 向山 好一君
同日
辞任 補欠選任
石山 敬貴君 金子 健一君
小室 寿明君 田島 一成君
向山 好一君 藤田 大助君
同日
辞任 補欠選任
金子 健一君 川越 孝洋君
藤田 大助君 柳田 和己君
同日
辞任 補欠選任
柳田 和己君 井戸まさえ君
同日
辞任 補欠選任
井戸まさえ君 浜本 宏君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。よろしくお願いをいたします。
きょうは文化について質問したいと思うんですが、まず冒頭、これはスポーツについて一問だけ聞いておきたいと思います。
私は超党派でつくるサッカー議連の一員でもあり、先日結成された二〇二二年FIFAワールドカップ招致議員連盟のメンバーでもございます。大臣が冒頭の所信的あいさつで二〇二二年のワールドカップサッカー大会の招致を積極的に支援すると述べられたのは、心強い限りだと思っております。
しかし私は、同時に、民主党の石森久嗣議員や本委員会の委員でもある遠藤利明先生とともに、国会議員ラグビークラブというものもやっております。ラグビーの方は、二〇一九年にラグビーワールドカップが日本で開催されることが既に決定済みであることは大臣も重々御承知のとおりだと思います。二〇二二年のサッカーの招致には触れて、その前に行われることが既に決定しているラグビーにお触れにならないというのはちょっとどういうわけかと、こういうふうに思って聞くんですけれども、もちろん、二〇一九年のラグビーワールドカップ日本大会の成功に関しても積極的に御支援いただけますね。
○高木国務大臣 国会ラグビークラブのメンバーであります委員の御指摘でございます。
サッカーはもとより、ラグビーも大変大切な競技種目でございまして、もう既に、二〇一九年にアジアで初めての、日本で開催されるラグビーワールドカップ、これは大変喜ばしいことで、国際親善あるいはスポーツの振興のために大変意義あるものと思っておりますので、これはこれとして力を注いでまいりたいと思っております。
その上で、大会招致の中核である日本ラグビーフットボール協会におかれましては、早期の組織委員会の設立、あるいは競技会場の確定、収支計画の策定、こういった取り組みがこれから必要になろうと思っておりますので、文部科学省としても、十分協会とも連携をとりまして、大会の成功に向けて支援を努めてまいりたい、このように思っております。
○宮本委員 近く、ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会成功議員連盟というものも超党派で結成される予定で、私もその呼びかけ人の一人であります。ぜひ支援の方をよろしくお願いしたいというふうに思っております。
さて、きょうは、日本の文化予算の拡充について大臣に質問をいたします。
大臣はさきのあいさつでも、文化力が国の力であることは世界で共通した認識だと述べ、文化芸術を国家戦略として振興していくことが必要であり、文化芸術立国の実現を目指す決意を示されました。ところが、残念ながら現状は裏腹だと私は思うんです。
俳優や、歌手、演奏家、舞踏家、演芸家、演出家、舞台スタッフなど実演家などの団体でつくる芸団協、社団法人日本芸能実演家団体協議会の皆さんは、今、文化芸術立国を実現するための請願署名というものに取り組まれております。
きょうは、資料一にその署名の呼びかけ人の一覧をつけておきました。昨日、文化勲章の受章が決まった蜷川幸雄さんや、俳優の西田敏行さん、上方落語協会会長の桂三枝師匠など実に多彩で、第一線で活躍されている文化人や芸術家が多数名を連ねておられます。
去る十月十七日には、人間国宝の野村萬さんやピアニストの中村さんなどが、みずから街頭に出て署名を呼びかけられました。これには大きな反響が寄せられたと聞いております。資料一の二枚目にその署名用紙をつけておきましたけれども、国民の実演芸術創造と享受の機会を拡充することや、あるいは、芸術組織がその専門性を発揮し、持続的に発展していける新たな助成制度をつくることなどとともに、文化予算を国家予算の〇・一一%から〇・五%へ抜本的な増額を求めております。
それで、十月十九日には、この芸団協とそして音楽議連が共催して「文化芸術を国の政策の基本に」と題するフォーラムが開催され、ほぼ全党全会派がこれに参加をいたしました。芸能実演家や文化関係者の声をお聞きをいたしました。民主党は枝野幸男前大臣、自民党からは、きょうもこの委員会に参加されておられる河村元官房長官、公明党からは斉藤元大臣、我が党からは市田書記局長という、そうそうたるメンバーがこれに参加をしておりました。私も行っておりましたが、高木文部科学大臣も文化庁長官もこの場に参加をされておりました。
あの場でも、芸団協の野村萬会長から、もう待てない、待っていられない、まさにせっぱ詰まった思いが出されましたけれども、大臣、こういう声をまずどう受けとめておられるか、御答弁を願いたいと思います。
○高木国務大臣 今、宮本委員提出の資料の中にも、請願署名の資料もありますし、また、文化庁の調べの統計もあります。この中で、我が国の国家予算に占める文化予算の割合というのは、極めて寂しいものがあると私は思っております。
今月の十九日の芸団協と音議連共催のフォーラムには、私自身も参加をさせていただきました。文化芸術の振興にかける関係者の切迫した思い、熱い思いを私は重く受けとめております。
文化芸術の振興については、もう言うまでもなく、平成十三年に文化芸術振興基本法が制定をされまして、これまで、二次にわたる文化芸術の振興に関する基本方針に沿って関係施策の総合的な推進を行ってまいりました。
私としては、文化審議会の審議を踏まえ、第三次の基本方針を本年度中に策定をしたいと考えております。来年度予算編成における必要な予算の確保とあわせて、文化芸術立国の実現に努めてまいりたい、このような決意をしたところであります。
○宮本委員 一九六五年に設立をされた芸団協が、創立四十五年目にして今回初めて、請願署名という形で署名運動に取り組まれているんですね。私は、十月一日に国立能楽堂で開催された第八回ユネスコ記念能、こういう公演にも参加をさせていただきましたけれども、当日、お客さん全員にこの芸団協の署名用紙が配られて、公演後、アナウンスでこの署名への協力が呼びかけられておりました。私は非常に感動を持ってこの運動を受けとめたんです。人間国宝など著名な芸能実演家や文化人が、いよいよ署名集めという具体的な行動まで始めた。その背景には、文化予算の貧困に対する強烈な危機意識があるというふうに思うんです。
芸団協のホームページには、各界の文化人、芸術家の皆さんの声が紹介されております。幾つか御紹介申し上げます。
社団法人落語芸術協会の会長桂歌丸さん、「どんなに小さな落語会、音楽会、お芝居でも、そこにいるお客様の心を潤しているに違いありません。沢山の文化芸術が沢山のお客様に触れる機会を創れますように。」こう述べておられます。
日本浪曲協会の会長澤孝子さん、「現在まで浮き沈みの流れの中で、一致団結浪曲を絶やす事の無い様、頑張って参りましたが、近年ほど厳しい社会情勢を感じることはありません。動けば出費が重なる。じっとして居れば芸が淀む、発表の場が欲しい!!」こういうことであります。
社団法人日本喜劇人協会の会長橋達也さん、「昭和四十年頃から映画の斜陽と同時に実演劇場がことごとく少なくなっていました。一番大切なのは若手育成の思いだと私は考えます。」
社団法人義太夫協会の会長波多一索さん、「人々の心の豊かさを取り戻すためには、身の回りに古典芸能に接することが出来る環境の整備が、何より必要だと存じます。 現在、古典芸能上演に必要な屏風、所作台など常備した安価なホールは激減の有様です。」等々ですね。
今紹介したのはその一部ですけれども、これらの声を読んで私が感じるのは、これら芸術家の皆さんは、決してよくはないみずからの待遇の改善を訴えるよりも先に、何よりも国民に芸能や舞台芸術を届けたい、次世代に継承したいという願いをまず出しておられることなんです。このままでは日本の伝統文化や芸術が絶えてしまう、なくなってしまう、こういう強烈な危機感がここには示されていると思うんです。
大臣、こういう思いを聞いてどういうふうにお感じになりますか。
○高木国務大臣 我が国の文化芸術の振興に当たっては、委員が申されましたように、今、現地、現場では、この文化が衰退をしてしまうのではないかという危機感さえ持たれておられます。私も、全国でもそうですけれども、地域の中で最も大切なのは、そういう文化を伝承する人材育成、いかにしてそういうものを継承させていくのかということが重要であろうと思って、今の御指摘を重く受けとめております。
文部科学省としましても、文化芸術の継承、発展、創造を担う人材の育成、あるいは伝統文化の保存、継承に取り組んでおるところでありまして、例えば平成二十二年度には、芸術文化、伝統文化に係る人材育成の支援、また、新進芸術家の海外での研修、子供の文化芸術体験活動の充実、あるいは、重要無形文化財等の指定及びその伝承者養成事業に対する支援をしております。
今後とも、私としては、文化芸術立国、この実現を目指してその振興に一層の努力をしたい、このように考えております。
○宮本委員 文化芸術立国というふうにおっしゃるわけですけれども、では予算の内容を詳しく見てみれば、残念ながら、これは裏腹の結果になっていると言わざるを得ないんですね。
なるほど、文化関係予算全体は二〇〇三年に初めて一千億円を超えました。この間は毎年一千億を超えております。来年度の概算要求も、わずかでありますけれども、確かに増額で要求されております。しかし、文化関係予算の内訳を詳しく見るとそうは言えないんですね。
きょうはお手元の資料の二に、文部科学省提出の文化関係予算の全体と分野別推移という、額について棒グラフにしたものを皆さんの手元に配付しておきました。見ていただきたいんです。
なるほど、総額は若干ふえている。それは文化財保護の充実部分がふえているからであって、その下の網かけの部分、芸術文化の振興については、これは、実は二〇〇九年度にがくっと三百九十六億から三百六十六億に三十億円も減らされました。この当時は、自公政権の時代にこの三十億というのが減ったわけです。
しかし、その後政権交代して民主党政権にかわりましたけれども、ことし二〇一〇年度の予算は昨年よりもさらに四億円ほど減って三百六十二億円というふうに、これもまた減っていますね。来年度概算要求でふやしたとはいうものの、三百六十九億ですから、まだ、二〇〇九年に減らされた分を取り戻すところまでもいかないわけですよ。
これでは残念ながら、この棒グラフに歴然とあらわれているのは、ふやしてきたとは到底言えない。つまり、減ったまま推移している。事実はそういうことになるんじゃないですか。
○高木国務大臣 平成二十三年度の文化庁予算の概算要求額は、御指摘のとおり一千五十二億円、また、分野別の内訳としましては、芸術文化の振興が三百六十九億円、文化財保護の充実が六百五十億円となっております。これは、既に示された資料のとおりでございます。
このうち、芸術文化の振興の三百六十九億円のうち、これは元気な日本復活特別枠として、まず一つには文化芸術による次世代人材プロジェクト、これに六十七億円、クリエイティブ・ニッポン!発信プロジェクト、これに五・五億円、合計七十三億円を要望しているところであります。
予算の増減の傾向は御指摘がございましたが、財政状況が厳しいといいながらも、私たちはその強い意思を持っております。昨年よりはとにかくふやしていく、こういう努力もしていかなきゃならぬ、このように思います。
○宮本委員 そうなんですよね。これは概算要求で去年より七億円ふえているとはいうものの、そのうち、今大臣が御答弁になった六十七億プラス五・五億、合わせて七十三億円というのは、政策コンテストに係る特別枠なんですね。それで、文化関係予算全体で一千五十二億円というのも、このうち百五十八億円は特別枠なんですよ。そうですね。満額とれれば、なるほど、全体でいったら一千五十二億に三十億ほどふえますね、それから、満額とれればこの芸術文化の振興予算も七億ほどふえますねということですけれども、この七十三億のうち一割でも削られてしまえばとんとん、それ以上削られれば減る、こういう話になるわけですね。
だから今、文化関係の方々が、ふやして概算要求しているからというだけでとても安心できない、とても納得いかない、本当に大丈夫かと声を上げておられるのは、ここにあると思うんですよ。
これは政策コンテストをやってみなけりゃわからないという点では、それは事実ですね、大臣。
○高木国務大臣 もちろん政策コンテストというプロセスを経ますけれども、私どもとしましては、これが満額実現するように、今最大限の取り組みをしております。
○宮本委員 みんなそう言うんですよ。閉会中審査で取り上げた国立大学の運営費交付金のうち八百八十四億円というのも特別枠で、少人数学級の実施予算も特別枠で、それで満額とれるのかと聞いたら、みんな満額とるべく鋭意努力する、こうおっしゃるわけですね。しかしはっきりしているのは、すべてが満額とれることはない、とれるとちょっと予算の計算が狂ってくるということですね。
先ほども少し池坊さんからも出ましたけれども、まず聞きたいのは、今回の予算概算要求で、特別枠、つまり、政策コンテストに係る枠として提出されている施策の合計が一体幾らになるのか、件数と総額を、大臣、お答えいただけますか。
○高木国務大臣 政府全体の中で元気な日本復活特別枠として要望されておりますのは、百八十九事業、二兆九千四百四十五億円と承知しています。
○宮本委員 百八十九事業、二兆九千億円というのがすべての合計ですね。それが結局予算でいえば、一兆三千億円、あるいは玄葉大臣はもう少しふやそうという発言もこの間されて、二兆という数字ももちろん出ておりますけれども、まだ決まっておりませんけれども、しかし、当初予定どおりなら、一兆三千億ふえたとしても、二兆というところへ二兆九千億が殺到するわけですから、もしも一兆三千億なら半分以下ですよ。たとえ二兆にふやされても、三分の二ということになるじゃありませんか。
百五十八億やあるいは先ほどの七十三億がそういう形で削られれば、たちどころに昨年に比べても減ってしまうということになってしまう、こう言わざるを得ませんね。
大臣、そうならないという保証がありますか。
○高木国務大臣 この一律一〇%削減という厳しい概算要求基準の中での公募を担っていきますけれども、我々としては、パブリックコメントにあわせて、多くの国民に理解を求める、このことが何よりも大きなことだろうと思っております。前回の私が出ました芸術団体の集会の中のあのような熱い動きも、その一つじゃないかと思っております。
ユーチューブによる映像を使っての紹介、あるいは要望をテーマにした熟議カケアイというサイトでの紹介、あるいはホームページでの紹介、こういったことを私たちは積極的に取り組んでまいりましたので、そういう情報発信の成果が私は実るものだ、このように考えております。
○宮本委員 その政策コンテストに関してもやはり不安の声が出されているわけですよ。今回のこの政策コンテストなるものも、昨年の仕分けのような公開でのプレゼンテーションという手法が想定されております。
それで、私たち日本共産党の国会議員団として、昨年の事業仕分けのときにも文化芸術団体の方々から声を随分お聞かせいただきました。文化芸術団体からは、仕分け人は国の責務を定めた文化芸術振興基本法を理解していないのではないか、こういう厳しい指摘もありましたし、文化芸術は非効率であり、効率ありきで無駄と言うのはおかしいなどの厳しい批判の声も出されたわけであります。
十九日のそのフォーラム、この前の大臣も参加されたフォーラムに参加された枝野前大臣は、みずからは仕分け人だったこともあって、文部科学省や文化庁は定量的に効果を示すのが下手だというような言いわけをされておりました。しかし、私が文化関係者あるいは芸術団体の方々から聞くところによると、そもそも文化の効果を定量的に示すことなどできるわけがない、文化を短期的な効率で見ないでほしい、こういう声が圧倒的なんですよ。だから、そもそも定量的に示せというのが無理難題なんだというそういう思いも僕はあると思います。
そこで、実はこれは確認なんですけれども、私はことし四月三十日に質問主意書を提出いたしまして、この問題を政府にただしました。その質問主意書への答弁では、政府も、「文化芸術の振興に関する施策については、文化芸術の特質を踏まえ、短期的な経済的効率性を一律に求めるのではなく、長期的かつ継続的な視点に立って展開する必要があると考えている。」という、至って当然の御答弁をいただいているわけであります。
この答弁書は、今ももちろん変えるおつもりはありませんね。
○高木国務大臣 質問主意書の件でございますが、言うまでもなく、文化振興に当たって、いわゆる短期的な経済的な効率性とか、一律でこういうものを求めることではないだろうと。やはり長期的、継続的な視点が大事だ。そういうことが必要であり、おっしゃられた方針は変わっておりません。
この上に立って我々は、さらに基本方針の策定に当たっては、このことを念頭に、一刻も早い文化予算の拡充について求めてまいりたいと思っています。
○宮本委員 もちろん、当事者の団体の方々も国民の理解を得るためにそういう署名も含めた運動をされているわけですけれども、くれぐれも、政策コンテストの場でも、そういう短期的な経済効率性というようなものではかれないのだということをしっかりと主張していただいて、必ず満額獲得していただくということは当然です。
同時に、この署名が、減らさないでくれとかそういう署名じゃなくて、やはり趣旨として、国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやしてくださいという署名であるということをしっかりと見る必要があると思います。
この点では、そもそもいかに日本の文化予算が諸外国に比べて貧弱か、世界から見て非常識とも言うべき少なさにあるかということをやはりはっきり認識をして事に当たる必要があると思うんです。
資料三をおつけしてありますので、見ていただきたいんです。これも文科省から、文化庁から出た資料ですから、私が勝手につくったものではありません。
この資料三では、諸外国と日本の文化予算及び寄附額の比較をしてあるわけですけれども、国家予算に占める文化予算の割合は、二〇〇九年で比較すると、フランスは〇・八一%、韓国〇・七三%、ドイツ〇・三九%、イギリス〇・二四%、これに対して二〇〇九年度は日本は〇・一二%、ことし二〇一〇年は、芸団協が言うとおり〇・一一%となっております。アメリカはなるほど〇・〇三%と低いんですけれども、一方で寄附が非常に多いというのが、下の方にグラフが伸びておりますのでおわかりいただけるかと思うんです。
芸団協の署名が要求しているのは、国家予算に占める割合を〇・五%にということでありますから、フランスや韓国よりも控え目の目標と言えると思います。ドイツよりもちょっと多い。ですから、ここに示されたような、文化で先進的な役割を果たしている国々との関係でいえば、〇・五%という芸団協の要求、要望というのは、決して法外なものではない。
もちろん、今の国家財政の現状その他考えればいろいろ大臣も言い分があるかと思いますけれども、ひとまず今の財政状況どうこうということを横に置けば、この〇・一一%を〇・五%にというのは、当然目指すべき方向としては一致できるかと思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○高木国務大臣 ただいまの、これまで御議論になっております資料のことであり、私も引用しましたけれども、国によって、文化行政の組織のあり方や、あるいは制度、また予算の範囲、こういったものがそれぞれ異なる部分があると私は考えておりまして、各国の国家予算に占める文化予算の割合を単純比較することは困難であろう、このように考えております。
ただ、我が国の文化予算は諸外国に比べて少ない状況である、このことは、本年六月の文化政策部会審議経過報告の中でも、我が国の文化予算というのは「諸外国と比較して極めて貧弱」との認識を示されておりまして、この上に立って、支援のあり方、抜本的な見直しを図るための六つの重点施策が述べられております。
もう具体的には割愛をしますけれども、私としては、文化審議会におけるさらなる審議をいただいて、文化芸術立国、これにふさわしい予算の確保に向けて最善の努力をしていきたい、このように思っています。
○宮本委員 外国に比べて貧弱であるということはお認めになったわけですけれども、これからは大いに主張していただかなければなりませんので、比較が困難とおっしゃれば、これは文化庁が私のところに持ってきた説明資料ですから、このことを比較して少ないですよということをこれから主張していただかなければならぬのですから、ぜひちゃんと、比較は可能だ、そして少ないんだということをコンテストでも力説をしていただきたいというふうにまずは思うんです。
そして、少ないという現状認識に立つならば、これはやはり、文化芸術立国の実現とおっしゃるならば、そこを目指して年次計画や期限を定めてしっかり財政的にふやしていくという努力が要ると思うんですよ。これはやはり役所任せではだめでありまして、それこそ政治主導でやるべきことだというふうに思うんですね。だから、政治家としてそういう決断をして、政府として思い切って進めていく必要がある。
最終的には財源ということが問題になってくるんでしょう。財源というものは、それはやはり政治判断としてつくろうと思えばつくれるということも最後に指摘をしたいと思うんです。
日本の文化予算は全体でも一千億余りでありますけれども、それに対して、日米安保条約上も、日米地位協定に照らしても別に義務でもない思いやり予算と言われるものは、ことしも千八百五十九億円出ているわけですよ。これを半減させるだけで文化予算は倍増できる計算になります。
また、芸術文化振興予算は、先ほど言ったように三百六十億ほどですから、我が党以外の政党が毎年山分けをされている政党助成金三百二十億円をやめれば、この文化芸術振興予算は倍増することができます。
こういう決断を本当にやれば財政は幾らでも回すことができるということも指摘をして、最終的にこれをちゃんと期限を切って進めるおつもりがあるかどうか、大臣の御決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○高木国務大臣 いずれにいたしましても、文化芸術立国にふさわしい予算を確保していきたい、まさに政治主導で頑張っていきたいと思います。
○宮本委員 終わります。