平成二十二年五月十四日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君
理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君
理事 笠 浩史君 理事 坂本 哲志君
理事 馳 浩君 理事 富田 茂之君
石井登志郎君 石田 勝之君
石田 芳弘君 江端 貴子君
川口 浩君 城井 崇君
熊谷 貞俊君 後藤 斎君
佐藤ゆうこ君 瑞慶覧長敏君
菅川 洋君 高井 美穂君
高野 守君 中川 正春君
平山 泰朗君 松本 龍君
湯原 俊二君 横光 克彦君
横山 北斗君 吉田 統彦君
遠藤 利明君 小野寺五典君
北村 茂男君 塩谷 立君
下村 博文君 菅原 一秀君
永岡 桂子君 松野 博一君
池坊 保子君 宮本 岳志君
城内 実君
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文部科学大臣 川端 達夫君
文部科学副大臣 中川 正春君
文部科学大臣政務官 後藤 斎君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
文部科学委員会専門員 芝 新一君
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委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
牧 義夫君 菅川 洋君
古屋 圭司君 小野寺五典君
同日
辞任 補欠選任
菅川 洋君 牧 義夫君
小野寺五典君 古屋 圭司君
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四月二十六日
教育格差をなくし、行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(大島理森君紹介)(第八〇一号)
同(矢崎公二君紹介)(第八〇二号)
同(石山敬貴君紹介)(第九〇七号)
高校の無償化と返済不要の奨学金の創設を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第八五〇号)
無償教育の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八五一号)
同(笠井亮君紹介)(第八五二号)
同(穀田恵二君紹介)(第八五三号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第八五四号)
同(志位和夫君紹介)(第八五五号)
同(塩川鉄也君紹介)(第八五六号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第八五七号)
同(宮本岳志君紹介)(第八五八号)
同(吉井英勝君紹介)(第八五九号)
教育格差をなくし、すべての子供たちに行き届いた教育に関する請願(平岡秀夫君紹介)(第八七四号)
同(志位和夫君紹介)(第九一五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第九一六号)
教育格差をなくし行き届いた教育に関する請願(宮本岳志君紹介)(第八八六号)
私学助成の拡充を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第八八七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
文部科学行政の基本施策に関する件
PTA・青少年教育団体共済法案起草の件
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
PTA・青少年教育団体共済法案、これについて質問いたします。
行政庁の監督を受けない自主共済を禁じた改正保険業法、二〇〇六年四月の施行に伴って、県レベルで存在する高校のPTA共済などが廃業、縮小を余儀なくされる、こういう事態になっております。
PTA共済も、一昨年三月末までに法人化して組織を少額短期保険業者に移行するよう求められてまいりました。しかし、多くの団体は移行せず、四月以降、保護者から掛金を集めることが不可能になっておりました。愛知県の高校向けPTA共済では、十一億円の積立金を持っていましたけれども、積立金がなくなるまで見舞金の給付を続けると言っておられます。他の団体も、PTAの運営費に充てるなど、少なくないPTA団体が共済事業の縮小や廃業の方向をとっております。
今回の法改正によって、PTAなどの共済事業の内容を明確にし、PTA共済事業を存続するとともに、これまでの業務内容範囲の拡大、また枠を子供会など青少年教育団体まで広げるということについては、賛成できるものだと考えております。まず、そのことを明らかにした上で、質問をしたいと思います。
これまで自主共済として活動してきた団体の中にはスポーツ関連団体もございました。ところが、今回の法案では、スポーツ関連団体への共済事業は対象外となっております。なぜ対象外にしたのか。とりわけこれは馳議員にも聞きたいところでありますけれども、それもできないようでありますので、文部科学省としてスポーツ関連団体の自主共済活動をどの程度把握しておられるのか、この点、まずお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 現在、スポーツ団体独自の自主共済を実施している、まず文部科学省所管の特殊民法法人は七法人、財団法人日本ゲートボール連合、日本卓球協会、スポーツ安全協会、日本ラグビーフットボール協会、日本オートスポーツセンター、日本モーターサイクルスポーツ協会、それから社団法人の日本プロゴルフ協会。日本プロ野球選手会は既に共済事業を廃止しておりますので、今申し上げた七団体。加えて、今申し上げたのは財団法人、社団法人でありますが、そうではなくて任意団体である全日本アマチュア野球連盟、日本勤労者山岳連盟、これだけが実施していると承知をいたしております。
○宮本委員 私の名前、岳志のタケというのは山岳の「岳」という字を使うんですけれども、私の父親は山男でありました。登山もスポーツの大切な一分野でありますけれども、スポーツ関係団体の一つである日本勤労者山岳連盟の遭難対策基金についてきょうはお伺いしたいと思うんです。
勤労者山岳連盟、いわゆる労山でありますけれども、一九七三年から自主共済を初めて、三十年以上継続し、現在二万人を超える人が参加をしております。掛金は一口千円で、登山に応じて十口までで、捜索救助は三百倍、十年継続の場合は四百倍で、四百万円の給付を行っております。
遭難対策基金の対象は、捜索救助、死亡見舞金などで、家を出てから家に帰るまでを対象としております。海外の場合も同じ率で、保険会社の場合、ヒマラヤ登山の場合などは十万円の保険金が必要なんですけれども、労山の場合は一万円で済みます。
遭難対策費用として、最大一千万円以上支出する場合も過去にあると言われております。それは冬山で埋没事故が起きた場合、人海戦術で捜索するわけですけれども、民間ヘリなども頼まなくてはならないからなんですね。北アルプスや谷川岳の難しい岩場での事故などの場合、技術の高い民間ヘリをチャーターすると、待っている時間も含めて、一時間五十万円かかると言われております。捜索は半年かかる場合もある。手弁当といえども、捜索に当たる人に何千円の日当も出さなければならない。このような遭難事故は年間五件から六件起きているというふうに報告をされております。
このような遭難対策基金について、やはりこれは安心、安全な登山の普及上必要不可欠だと私は思いますけれども、大臣、この点の認識は同じでございましょうか。
○川端国務大臣 あってはいけないことですが、遭難が現には起こり、その費用に相当な負担がかかるということはよく言われることで、承知をしております。そして、労山遭難対策基金、詳細は把握しておりませんけれども、会員の皆さんが登山活動中に事故により多大な経済負担をこうむった際の救済制度として、今先生お触れになりましたように、加盟団体や会員からの拠出金で運営されていることは承知をしております。
一般的に登山活動は大変危険を伴うということでありますので、その場合の個人の経済的負担の軽減を図るという必要で、労山以外にも登山活動に関する団体、例えば日本山岳協会等においても同様の共済事業を実施している例があると承知していますので、そういう必要性があるということの実態にあることはそのとおりだと思っております。
○宮本委員 最近はフリークライミングが流行しているわけですけれども、これの死亡事故も年間十件程度起きております。こうした死亡事故に対しても基金の対象としていると聞いております。
労山のやっていることはそれだけではないんですね。基金を使って安全対策講習会や自前の救助隊へ装備や訓練費用として年間千五百万円支出しているとも聞きました。また、スキー場の従業員や電力会社の保線要員、山スキーヤー、スノーボーダーを対象に雪崩対策や訓練も行っているとお聞きもいたしました。これも年間五百万円の予算を組んでいるようです。
また、三十万円をかけて、リボルトと申しまして、だれでも使う岩登りの練習場となっている岩場の安全確保のためにボルトを打ち直す整備作業への補助を独自に行っているともお伺いしているわけです。こうした活動が基金で自主的に行われているわけですね。
私はこれをお伺いして、このリボルト、岩場の安全を確保するためのボルトの打ち直しなどへの補助金の支出というふうなことは、本来はこれは文部科学省が補助金を出してこういう場所の安全確保に資するべきだと思うんですけれども、この点、大臣どうお考えでしょうか。
○川端国務大臣 広くスポーツの振興を図ることは、私たちとしてやらなければならない施策の重要な一つだと思っております。同時に、今先生御指摘の視点というのは特に安全ということでありますが、それも含めてスポーツ振興に関してはしっかりといろいろな形で応援をしてきているというふうに思います。
それで、今御指摘の意味で言いますと、直接の予算ではないんですが、いわゆるスポーツ振興くじというのがございます。この助成においては、法人格を有する団体が実施するスポーツ教室、大会等のうち、一定の要件を満たすものに対して支援をしており、その中で、それをやるという意味でのスポーツ用具の購入に対する経費についても助成の対象としております。
そういう意味では、個々具体のお話でございましたから即答できませんけれども、趣旨からすると、そういう対象の枠に検討の余地があるのではないかというふうにも思います。
文部科学省としては、これまで今御指摘の連盟から具体的に何かのお申し出があったことはありませんので検討したことはないんですが、もしもあれでしたら、一度相談があればお話をお伺いしたいというふうに思います。
○宮本委員 ありがとうございます。
スポーツ団体の振興という点では国会内にも超党派の議連がつくられておりまして、私もスポーツ議連というものに加えていただいて他会派の先生方と一緒に鋭意努力をしているところでありますので、ぜひさまざまな団体からの声にお耳を傾けていただきたいと思っております。
さて、二〇〇六年の改正保険業法の施行に伴って、労山として少額短期保険への移行ということも検討されたようです。しかし、そういたしますと一口三千円になってしまう、移行は無理という結論になったとお伺いをいたしました。現在は経過的な措置で対応しておられるようですけれども、継続的な運営は困難だということでありました。
こうした自主共済が存続できなくなるということは、スポーツ登山の普及と安全対策にとって大きな障害でありますし、社会的損失は大きいというふうに思いますけれども、これは存続できるように、当委員会でどうこうできるかどうかは別として、その方向で政府としては努力すべきだと私は考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 今お触れいただきましたように、いわゆる労山が労山遭難対策基金について保険業法の適用除外を求めておられるということは承知をいたしております。そして今、政府の動きといたしましては、金融庁において、一定の要件に該当する団体について、当分の間共済事業を継続することを可能とする法案が国会に提出されたところと伺っております。
そういう意味で、これまで今御指摘の団体等々から具体的に、所管は金融庁でありますけれどもスポーツという意味では文科省でありますので、こういう部分はどうなんだろうというお問い合わせがあったとは承知をしておりませんが、お問い合わせがあれば可能かどうかまたお話をさせていただきたいと思います。
○宮本委員 ありがとうございます。
また、多くの医師が参加をしている、今度はお医者さんのことを言うんですが、地域医療に継続的に貢献できるように保険医休業保障共済制度というものがございます。
保険医休業保障共済制度とは、開業保険医みずからが倒れた場合、その間も診療を継続するための代診医などの手当て、休診した場合の従業員の給与等の保障をする仕組みであります。この休業保障制度は四十年の歴史を持ち、四万五千人の会員が加入しております。万一の傷病による公的な保障がほとんどない中で、政府の保険医行政を支える上でも貢献していると思うんですね。
ところが、保険業法の改正によってこの保険医休業保障共済制度も存続が難しくなっている。実際、入りたいという希望者は年間二千人ぐらいいるにもかかわらず、この四年間、新しい加入を受け付けていないと聞きました。医師不足の中、開業しようと思っても不安だという声が広がっております。
保険医の中には学校医の方もいらっしゃる、学校歯科医をしておられる先生もいらっしゃいます。子供たちの健康や安全、地域医療の継続のために、こうした保険医の休業保障制度は必要だと思うんですね。この点についても、ちょっと大臣の見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○川端国務大臣 全国保険医団体連合会で会員の傷害または疾病による休業時の生活安定に寄与することを目的として実施する休業保障制度について、今御指摘の、平成十七年に業法改正ということがありましたので、平成十八年四月以前の契約を団体においてやっておられるというふうに承知をしております。
先ほど申し上げましたように、金融庁において、平成十七年の保険業法の改正によって継続することができなくなった共済事業について、金融庁における検討で一定の要件に該当する団体について、当分の間共済事業を継続することを可能とする法案が提出されたところと承知をいたしておりまして、この団体部分は直接私の所掌とするところではございませんが、その法律に対して一定の要件に該当し当分の間継続できるかどうかということを含めては、所管のところで御相談をいただければというふうに思います。
○宮本委員 二月十九日の財務金融委員会で我が党の佐々木憲昭議員がこうした自主共済全体の存続を求めて質問したところ、亀井大臣は、そうした方々の共済事業がきちっと継続できるように、直ちに今国会できっちりとした法案を出すように今懸命に作業中と答えておりましたけれども、先ほど大臣が御指摘のように、保険業法改正案も既に国会に提出をされたと聞いております。
当委員会で準備されているPTA共済法案は、スポーツ団体などその他の自主共済を対象にしていないという点で不十分さを指摘せざるを得ないものであります。しかし、まずPTA、青少年教育団体の共済事業だけでも継続させることには一定の意義があり、提案されるならば我が党も賛成でございます。しかし、同時に、まじめな自主共済すべてが従来どおり運営できるように、一刻も早く条件整備を図ることを強く求めて、私の質問を終わります。
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