平成二十二年四月二十一日(水曜日)
午前九時三十一分開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君
理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君
理事 笠 浩史君 理事 坂本 哲志君
理事 馳 浩君 理事 富田 茂之君
石井登志郎君 石田 勝之君
石田 芳弘君 稲富 修二君
江端 貴子君 勝又恒一郎君
川口 浩君 城井 崇君
熊谷 貞俊君 桑原 功君
後藤 斎君 佐藤ゆうこ君
斎藤やすのり君 瑞慶覧長敏君
高井 美穂君 高野 守君
玉木雄一郎君 中川 正春君
平山 泰朗君 牧 義夫君
松本 龍君 湯原 俊二君
横光 克彦君 横山 北斗君
吉田 統彦君 遠藤 利明君
北村 茂男君 塩谷 立君
下村 博文君 菅原 一秀君
永岡 桂子君 古屋 圭司君
松野 博一君 池坊 保子君
宮本 岳志君 城内 実君
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文部科学大臣 川端 達夫君
文部科学副大臣 中川 正春君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
内閣府大臣政務官 泉 健太君
内閣府大臣政務官 田村 謙治君
財務大臣政務官 大串 博志君
文部科学大臣政務官 後藤 斎君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 松田 敏明君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 西阪 昇君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 板東久美子君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 金森 越哉君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 河村 潤子君
政府参考人
(文化庁次長) 合田 隆史君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 木倉 敬之君
文部科学委員会専門員 芝 新一君
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委員の異動
四月二十一日
辞任 補欠選任
熊谷 貞俊君 桑原 功君
牧 義夫君 稲富 修二君
湯原 俊二君 玉木雄一郎君
同日
辞任 補欠選任
稲富 修二君 勝又恒一郎君
桑原 功君 熊谷 貞俊君
玉木雄一郎君 斎藤やすのり君
同日
辞任 補欠選任
勝又恒一郎君 牧 義夫君
斎藤やすのり君 湯原 俊二君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
質疑に先立って、先日の委員会の冒頭、文部科学省から「北海道教育委員会及び札幌市教育委員会における調査の状況について」とする報告がございました。
今回の問題の発端となった民主党小林千代美議員の陣営関係者が政治資金規正法違反で起訴されたことは極めて重大で、政治的道義的責任をはっきりさせる必要があります。証人喚問に応じ国民に説明すべきだし、企業・団体献金、やみ献金、さらには北教組による特定政党支持押しつけという民主主義に反する問題の真相と一連の事実を明らかにすることが求められていることは言うまでもありません。
しかし、先日の報告なるものは、北教組による政治資金問題とは直接関係のない、教職員組合の日常活動、教職員の政治活動全般について文部科学省から教育委員会に調査を求めるものとなっており、午前中の質疑の提出資料にもあったとおり、教員一人一人にまるで思想調査のような詳細な聞き取りを行う事態となっております。こんな調査をする必要は全くなく、教職員組合、教員個人の政治活動にまで不当な制約を加え、学校現場を混乱させていると言わなければなりません。
私どもは、このような調査は直ちに中止することを求めるし、また、このような報告を委員会の場で行うことには反対だということをはっきり申し上げ、質問に入りたいと思います。
きょうは、特別支援学校の問題について質問いたします。
この間、特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室など障害児教育の場は在籍者数が増加し、特別支援学校の大規模化、マンモス化が大問題になってまいりました。我が党は、東京、大阪などの実情を調査した上に立って、本日皆様方に配付させていただいた、「障害のある子どもたちの教育条件を改善するための緊急提案」を発表いたしました。
私は、その一環として、大阪府泉佐野市にある知的障害の養護学校、佐野支援学校を先日視察させていただきました。この学校には、小学部、中学部、高等部がございますけれども、この間、生徒が急増し、ついに四百五十名を突破いたしました。やむなく、ことし高等部に分校をつくりまして、そこに五十六名が移動したんですけれども、それでも、昨年本校の方は二十名減っただけで、本校の方にやはり四百三十名以上が在籍するというかなりの大規模校となっております。
朝の子供たちの登校の様子から私は見せていただきました。当初は登校が終わった後から伺う予定でありましたが、お父さん、お母さんあるいは教職員の方々から、登校時が大変なんですよ、こういう声を聞きましたから見せていただいて、驚いたんです。五市三町から十二台のバスが次々と到着をし、所狭しとバスが並ぶ中、校長先生初め教職員が総出で子供たちを受け入れておりました。先生方が子供たちを両手に、二人、三人と手をつなぎながら教室へと連れていく。毎日、登校させ、無事に学校に受け入れることそのものが大変な状況がよくわかりました。
バスを見れば、子供たちがすべての席にぎゅうぎゅうに余裕なく座り、しかも五市三町ですから、本当に校区も広く、一番遠い岬町から来るバスは片道一時間半以上かかるということでありました。しかも、そのバスの乗降場所まで、さらに家から車で親御さんが二、三十分かけて子供さんを送り届けている、こういう話も聞きました。障害のない大人でも席に余裕のないバスに一時間以上も乗っているのは大変でありますけれども、障害を抱えた子供たちにとってはなおさらのことだと思います。
そこで、まず、このスクールバスについて聞くんですけれども、特別支援学校のスクールバスの実情がどのようになっているのか、つまり、片道通学時間一時間以上バスに乗らなければならないという事例がどれぐらい全国にあるのか、これをひとつ文部科学省、お答えいただけますか。
○川端国務大臣 お答えいたします。
特別支援学校のスクールバスについては、児童生徒の通学困難の解消等を図るために、学校の設置者である各地方公共団体の判断により運営されているものと認識をしておりまして、文部科学省において各学校におけるスクールバスの実情については把握をしておりませんが、特別支援学校に在籍する児童生徒の通学が困難となることがないよう、おのおの設置者においてその実態を適切に把握した上で相応の措置が講じられることが重要と考えておりまして、こうした点については、機会をとらえて各教育委員会等に周知をしてまいりたいと思っております。
○宮本委員 把握をしていないという御答弁でありますけれども、実態を私、見せていただいて、これは本当に大変だと。実は、我が党から大阪府会議員の方も御一緒していただいた。その方は元府立高校の先生の方でありましたけれども、その方の率直な御感想は、毎朝、修学旅行の朝のようですねと。つまり、普通の府立高校であれば修学旅行の朝のような状況が、特別支援学校では毎朝引き起こされている。
本当に、スクールバスの状況、登校の状況というものをしっかりとつかんでいただいて対策を立てるべきだと思いますけれども、改めて大臣、そういう掌握の必要性をお認めになっていただけますか。
○川端国務大臣 私が一般に持っている特別支援学校のイメージと今先生御紹介の部分では、随分、随分というか、考えていないような実態を御報告いただきました。
スクールバスの状況を含めて、一度私なりに該当のところから状況は伺ってまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 もちろん、都市部と地方では状況が違うということはよくわかっているわけですけれども、特に東京、大阪というところが大変な状況になっているというふうに私たちも認識をしております。
それで、まず事実を確認したいんですけれども、佐野支援学校のような知的障害の支援学校について、学校の適正規模の基準というものを国は定めておられるのか、文科省は生徒数何人程度が適正だとお考えになっているか、お答えください。
○川端国務大臣 一学級の児童生徒数あるいは学級の編制、教員数の基準等々は、学校教育法の施行規則で当然ながら決められておるんですけれども、特別支援学校については、その障害の種類も多岐にわたるということで、それに応じたいろいろな多様な施設設備が必要とされるということと、その折々によって、在籍する児童生徒の障害の状況あるいは地域等々にもいろいろな変化もありまして態様はさまざまでありますので、現時点において、各学校の状況で柔軟な対応が可能なようにということで、設置に当たっての基準は特に設けられておりません。
文部科学省としては、特別支援学校の適正規模について、障害のある児童生徒の状況や地域の実情を考慮した上で、個々の学校の設置者の責任において適切に判断されるべきものという位置づけになっております。
○宮本委員 実は、特別支援学校、特に障害のある子供たちの教育条件という点でいいますと、この人数がやはり急増している。その一つの原因は、御承知のように、二〇〇七年に発達障害の子供も新たに特別な教育の対象に加えたということもあって、実は一九九九年に約十八万人だったものが、今日、この十年間に三十万人にふえた、急増しているわけですね。その結果、マンモス校があちこちに生まれてきているということなんですよ。その中で、今大臣がおっしゃったように、全体としての特別支援学校の適正規模の基準がないんです。国が定めていないんですね。
それで、どこにもないかといいますと、私の地元大阪府には、大阪府学校教育審議会の答申としておよその目安が示されておりまして、精神薄弱養護学校については、効果的な指導や円滑な学校運営に配慮し、さらに将来の児童生徒数の動向を見きわめつつ、児童生徒数百五十から二百人程度の規模で学校を整備していくことが妥当と考えると。これははっきり大阪府の学校教育審議会の答申で示されておりますから、大阪府自身は百五十から二百人が妥当と考えているわけなんですね。
ところが、そう言っている大阪府自身が、大阪府にある特別支援学校、実は知的障害の支援学校十七校のうち十二校が、十二校ですから実に七割が、その二百人を超えております。そのうち六校、つまり三分の一程度は、三百人さえ超えております。だから、もう全然、百五十から二百なんという基準は、大阪でいっても満たされていないというのが現状なんですね。
そこで、これも事実を文科省に確認いたします。
学校児童生徒数が二百人以上になっている知的障害の特別支援学校は全国に幾つあり、割合はどれぐらいになっているか、お答えいただけますか。
○金森政府参考人 お答え申し上げます。
全国特別支援学校知的障害教育校長会及び独立行政法人特別支援教育総合研究所が平成二十一年度に実施をいたしました調査によりますと、全国特別支援学校知的障害教育校長会に加盟する特別支援学校五百五十校のうち、在学者数が二百人以上の学校数は百三十五校でございまして、その割合は約二五%となっているところでございます。
○宮本委員 今お話があったように、全国特別支援学校知的障害教育校長会の調べでありますけれども、加盟五百五十校のうち百三十五校、つまり二五%ですから四校に一校が、大阪府が適正だと言っているような規模も超えているというのが全国の状況であります。
それで、学校の大規模化というのは教育活動に大変な支障を来しているということを現場でもお伺いいたしました。薄いカーテン一枚で仕切った教室は狭く、隣のクラスの先生や子供の声も筒抜けだ、落ちついた授業にならない、こういう実態も聞きました。特別教室をつぶして普通教室に転用する、パソコンを使った授業ができなくなったとか、カウンセリングルームがなかったりという事態も生まれています。佐野支援学校の校長先生も、努力と創意で頑張る、こうおっしゃっておりましたけれども、一方で、努力や創意ではどうにもならない限界もある、こういうふうに率直にお話しになっておりました。
特別支援学校の大規模化、狭隘化が、現状、教育活動に支障を来している。これは非常に放置できないという現状認識、これは大臣も共有していただけると思うんですが、いかがでしょうか。
○川端国務大臣 特別支援学校の在籍児童生徒数が大変ふえているということで、各都道府県からの意見、実情を御報告いただく調査をさせていただきました。
そこで出てきましたのは、今もお触れいただきましたが、普通教室、特別教室、職員室など管理関係諸室、更衣室、トイレ、スクールバスなど、不足が多く挙げられ、具体的な内容として、一つの教室をスペースを区切って使用していることにより他の児童が立てる音等が学習の妨げになっていること、特別教室を使用する授業の時間割りの設定が困難であることなど教育指導面にかかわる課題、あるいは、安全管理、教職員の服務管理が困難であることなど学校管理運営上の課題が多く挙げられた。それから、児童数が増加すると将来設計が大変立てにくいという指摘もありました。
そういうことを踏まえて、主体は都道府県の教育委員会が基本ということでありますので、二十年の三月には、文部科学省から、各都道府県教育委員会の施設主管課長と特別支援教育主管課長に、こういう実情があるので適切に、なかなか予算が厳しいということはあるんだけれども十分に、こういう指摘があるので、「特別支援学校の在籍児童生徒等の増加に伴う大規模化・狭隘化への対応について」ということで、こういう調査があるのでしっかりと現状を認識して対応していただきたいという文書を発令しているところでありますが、実情がそういうところにあって、支障を来していることの現状は承知をいたしております。
○宮本委員 支障を来していることは現状は承知していただいているということですけれども。
今、一つの教室をカーテンで仕切って使っているとか特別教室の転用ということを、大臣も、事実があることはおっしゃいました、お認めになりましたし、実情調査でも出ていると思うんですけれども、ちなみに、では、特別教室の転用が全国でどれぐらいの数、行われているのか、それから、カーテンで仕切って一つの教室を二つに使っているという事例が全国にどれだけの数あるのか、この数は掌握しておられますか。
○西阪政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣の答弁でもございましたが、平成十九年に、私どもで、全都道府県に対しまして、特別支援学校の現状と課題につきましての聞き取り調査を実施しております。
その中で、特別教室を普通教室に転用して使用しているというところが三十八都道府県でございました。ただ、何教室転用しているかということにつきましては把握をしてございません。
また、一つの教室をカーテンで仕切っているような事例ということで、こちらは三十都道府県でそのような実態がございました。こちらも、どのくらいの数の教室がなされているかということにつきましては把握をしておりません。
○宮本委員 何でこんな数もつかまれてないのか。都道府県数は出るけれども、実際の教室数、実際の事例数がつかめないというんですね。
それで、そもそも、文部科学省は、昨年の二月に特別支援学校の教室不足の実態調査というのをやりました。私の手元にも、きょうは実は皆さん方にも、そのときに都道府県別にどれぐらい教室不足があるか、文科省が出していただいた都道府県別の資料を配付してありますけれども、そもそも、この調査、昨年二月に行った教室不足の実態調査というものはどのような方法でやった調査ですか、お答えいただけますか。
○西阪政府参考人 平成十九年に、先ほど申し上げました全都道府県の実態の聞き取り調査によりまして、いろいろな課題等がございました。それのフォローアップの意味も込めまして、昨年二月に、特別支援学校の教室不足の実態調査ということでお聞きをしたものでございます。
各学校の御協力もいただきまして、私どもの方で調査票をお示しして、アンケート的にお答えをいただくということで調査したものでございまして、その結果で、それぞれの都道府県の不足教室数ということを集計したものでございます。
○宮本委員 この集計の票の下にはっきり書いていますけれども、児童生徒数の基準日となる平成二十年五月一日時点の現状を、昨年の二月にアンケート形式により聞き取ったものだと。だから、都道府県教委に、教室数は幾ら足らない状況がありますかということを基本的には聞き取って、各都道府県教委から出された数を集計したというだけの話なんですね。
その証拠に、今議論になっている大阪府は、わずか十九という数が出ているわけですよね。それから、埼玉県に至ってはゼロという答えになっているわけですよ。そして、川端文部科学大臣の地元滋賀県もゼロというふうに、不足はないですというお答えになっているんですけれども、私、大阪で十九というのを、大阪の地元の、まさに特別支援学校に子供さんを通わせている親御さんたち、学校の先生たちに見ていただいたら、もう何たることか、そんなはずはないとかんかんに怒っておられました。また、埼玉県や滋賀県も、念のために現地に聞いてみましたけれども、不足ゼロなんというのはとんでもない、やはり不足していますよという声もお聞きしたところなんですね。
だから、何かきちっと掌握されないまま、あるいは、大阪でいえば、そのときの数が十九ということであって、現場の行き着くところまでちゃんとつかまれたことになっていない状況だと言わざるを得ないと思うんです。
それで、やはり、こういう状況になるのはなぜかというと、冒頭に確認したように、適正規模が例えば二百とかというふうに決まっていて、二百を超えている学校が幾つあるかと調査すれば、びしっと、それはうその報告はなかろうと思うんですよ。ところが、文部科学省のところではそういう基準がない、全体の適正規模というのは何の基準も持っていないと。それで、不足していますか、していませんか、どれぐらいですかみたいなことを聞くと、それは都道府県によって、受けとめによってもさまざまな差が出る。
だから、東京あたりは六百三十九というのは割と正直だなと。東京で六百三十九で、大阪で十九ということはなかろうと思うんですけれども、そういうばらつきになって出てくるわけですよ。だから、二千八百というこの集計した数も、これはどう考えても、これで十分とは言えない数なんだろうと思うんですね。
そこで、大臣にお伺いするわけですけれども、やはり、この際、しっかりと特別支援学校の設置基準を定める、そして、そういう基準をはっきりさせた上で、これを超えているところがどれだけあるか実情をつかんで、そして、マンモス化している、狭隘化しているところについては、やはり思い切って特別の改善策を持つべきだと私は思うんですけれども、川端大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 実態として、大変マンモス化した部分があるということは、現実、そうだと思いますし、大変な支障を来す事態も地元の声としては上がっている。そういう中で調査をしたら、実情の調査結果は実情を反映していないのではないかという御指摘だと思います。
これは、ちょっと見ましても、一月二十七日に調査の書状を出して二月四日までに返事というと、非常に短いなと私もこれを見たときに思いました。それと、おっしゃるように、何をもって不足と言うのかというのは、確かにこれでは難しいなと。
ただ、その設置基準というのが、確かに、いろいろな特別支援の中身もありますし、その年によっての変動もありますし、ということの実情で、基準をすぱっと決めるというのはなかなか難しい部分もあるんだと思います。特に、いろいろな特別支援を必要とする者を定義として拡大をしてから以降の話でありますが、そういう意味では、まず実情をよく把握するということが大事で、そのときのことでやったんだと思うんですが、果たしてどうなのかということも含めて一度検証してみたいと思っております。
○宮本委員 もちろん、障害の種類によって一律にいかないという、その議論はわかるんですよ。ただ、やはり規模のマンモス化が支障を来していることは本当に事実でありまして、例えば泉佐野の支援学校では、運動会が、これまでは全校の児童生徒が参加して、つまり小中高等部全員が一カ所に集まってやられていたものが、四百三十とか四百五十になるともうやれないんですね。だから、今は高等部と小中学部は分けて開催するしかなくなったんだと。
これについては、小学部、中学部の親御さんからすると、高等部の子供たちの姿を見て、ああ、うちの子も何年か後にはあんなふうに成長するんだなという、やはり安心にもなるし励みにもなる。また、子供たちも励みにして頑張る。こういう教育的効果すら、やはり一堂に会して運動会ができないことによって発揮できなくなっているという切実な声もあって、僕は本当にそのとおりだと思うんですよ。
だから、やはり運動会をそうやってみんなでやれるような適正な規模というものをきちっとお示しする必要があろうかと思うんですが、大臣、改めて御答弁いただけますか。
○川端国務大臣 御指摘のように、運動会とかいろいろな学校行事は、やはりそれぞれの学年を通じての成長が具現される場でもあり、励みにもなり、あるいは、それぞれの同じ学年においても、連帯感やいろいろなことで、非常に教育的効果の大きいものであることは、そのとおりだというふうに思います。
そういう意味で、できるだけ実施をされるのが当然望ましいことであって、そのときに、先ほど申し上げましたように、大規模化したときにいろいろな問題が指摘をされているので、各都道府県教育委員会においては、限られた予算の中で施設整備に努めるとともに、いろいろな、こういう事態は避けるように配慮してくださいという、まさに独自の活動としてはという要請の文書は先ほど御紹介したように出させていただいておりまして、建前から申せば、そういう部分を含めて、それぞれの設置者において工夫、努力をしていただきたいということでありますし、実態の部分がどういう状況かが基本的に一番のベースになると思いますので、先ほどの不足の教室を含めて、改めて、どういう形で実情把握できるのかということを検証したいというふうに思っています。
○宮本委員 あと五分という紙が回ってきましたので、あと二問だけぜひ聞きたいんです。だから、簡潔に答弁をいただきたいと思うんです。
一つは、学校が大規模化している中で、先生や教職員もやはり多くなっているんですね。泉佐野の支援学校、二百人を超える教職員がいて、とても職員室で職員会議なんかできないと。四月にお伺いしたので、先生の顔を覚えるだけでも大変だというような話でありました。それから、保健室の先生、養護教諭の定数も、実は規定では六十一名以上で複数配置と決まっているんですが、六十一名以上、あとは天井知らず、二名のままなんですね。だから、四百名いても二名なんですよ。これはひどいという声も出されておりました。
私たちは、やはり小学部、中学部、高等部ごとに一名の養護教諭が配置できるようにしないと、あれだけ大きなマンモス校をお二人で見ているというのはもう大変なことだということも思いました。
今、定数の改善ということが検討されておりますけれども、特別支援学校の定数についても、こういうことも含めて検討していただけますね。
○川端国務大臣 御指摘のように、六十一人以上の学校で二人となっているんですが、それ以上の規定がないので、制度的に二人なんですよね。
それで、今御指摘のように、学級編制や計画的な教職員定数のあり方を今検討、議論しているときに、全国特別支援学校長会からは、特別支援学校の養護教諭の複数配置の実現を求めるという意見も我々のところに出ております。
同時に、今年度予算では、特別支援教育の充実のための千七百七十八人の大幅な定数増ということと、今のヒアリングの実態も踏まえて、中教審でも御審議をいただいて、八月ぐらいに概算要求を行いますので、それに向けて今議論の集約を行っているところですので、当然、議論の俎上には上がっているテーマであることは御了解いただきたいと思います。
○宮本委員 最後に、必要となる特別支援学校の新設や教室不足の解消などに必要な予算の確保についてお伺いしたいんです。
先日の委員会で、先ほど来議論になっている公立学校施設耐震化等の早期実施に関する件、全会一致で決議をいたしました。この学校耐震化を進めるために予備費を活用するということでありますけれども、実は、特別支援学校の教室不足解消のための予算とこの学校耐震化の予算というのは、同じ公立学校施設整備費に計上されているわけなんです。それで、耐震化の方をしっかり予備費を充てて進めていくということになれば、一層、この公立学校施設整備費の中で、やはり特別支援学校の教室不足、この解消のために予算も確保できるということにもなろうかと思いますので、この予算をしっかり確保して進めなければならないということが一点。
同時に、この間議論されているように、今の補助率ではなかなか二の足を踏んで進まないという面があるんですよね。それで、私は、緊急に進めるためには、我が党のこの緊急提案にも書かせていただいたんですが、国の建設費の補助金を現行の二分の一から三分の二に引き上げるというようなことも提起をしておるわけですけれども、もっと補助率も上げるし、そして予算も確保して進めていくということが求められていると思っています。
これは最後に大臣のそういう予算確保についての決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○川端国務大臣 予算で申し上げますと、平成二十二年度、当年度予算においても、耐震化に特化をして優先的にということが、一般的な表現として使っておりますけれども、特別支援学校の小学部及び中学部における教室不足等のために教育上支障が生じている特別支援学校の整備状況について優先的に配慮するということで、学校施設整備費の執行方針の中では優先的に配慮する事項ということで挙げておりますので、これを最優先の一つとして予算は配置をするということで、二十二年度予算の中で優先順位を特記しておるところであります。
事業別の方針としても、特別支援学校の幼稚部及び高等部における整備事業、教室不足のために教育上支障が生じている特別支援学校の整備を中心に事業採択するということで、耐震化事業、アスベスト対策事業、特別支援学校、体育館というのを採択する優先順位として特記しておりますので、その方針であることは間違いございません。
なお、二分の一の補助率を三分の二にかさ上げすることは、直ちにはほかの全体のバランスで難しい部分がありますので、二十三年度予算の要求においては、先ほどのいろいろな配置と同時に、この部分に関しての特段の予算の確保ができるように、しっかりと努めてまいりたいと思っております。
○宮本委員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひ特別支援学校の現場を当委員会としても視察に行くことを御提案申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十九分散会