平成二十二年三月十七日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君
理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君
理事 笠 浩史君 理事 坂本 哲志君
理事 馳 浩君 理事 富田 茂之君
石井登志郎君 石田 勝之君
石田 芳弘君 江端 貴子君
小野塚勝俊君 川口 浩君
城井 崇君 熊谷 貞俊君
後藤 斎君 佐藤ゆうこ君
瑞慶覧長敏君 高井 美穂君
高野 守君 中川 正春君
平山 泰朗君 牧 義夫君
松本 龍君 湯原 俊二君
横光 克彦君 横山 北斗君
吉田 統彦君 遠藤 利明君
北村 茂男君 塩谷 立君
下村 博文君 菅原 一秀君
永岡 桂子君 松野 博一君
池坊 保子君 宮本 岳志君
城内 実君
…………………………………
文部科学大臣 川端 達夫君
文部科学副大臣 中川 正春君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
文部科学大臣政務官 後藤 斎君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
厚生労働大臣政務官 山井 和則君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 金森 越哉君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 徳永 保君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 泉 紳一郎君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局次長) 山田 亮君
文部科学委員会専門員 芝 新一君
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委員の異動
三月十七日
辞任 補欠選任
牧 義夫君 小野塚勝俊君
同日
辞任 補欠選任
小野塚勝俊君 牧 義夫君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、学校給食の問題について質問したいと思います。
まず冒頭、私、新聞の記事で読んだんですけれども、北海道北部の北るもい漁協の皆さんが、スナガレイというカレイを東京の学校給食に使ってもらおうと努力をされて、それで東京の子供たちの人気メニューになったという記事を読んだんです。
このスナガレイというのは、最大で三十センチほどのカレイのようでありますけれども、小型のものは輸送コストが高いということで市場には余り出回らない。北るもい漁協の天塩支部というところで、昨年十トンの水揚げがあったんだけれども、二トン在庫を抱えたそうです。
そこで、漁協は、この魚を東京の学校給食でぜひ使ってもらおうと関係者と話し合って、まず魚のサンプルを東京の小学校に輸送して、さらに、学校の栄養士さんたちを天塩町にお招きして、漁場見学などを行ったそうです。衛生管理上不可欠な、給食前日に食材を到着させる、この基準をクリアさせる、そして輸送上の問題も検証作業を重ねた上で、ついに昨年九月に栄養士さんからゴーサインが出た。
その後も、漁協は、理事さんを先頭に東京の小学校を訪問して、シャケの解体をしたりちゃんちゃん焼きの実演とか、PRに努めた。子供たちは、初めての体験に目を輝かせて、魚がとれるところからすべて見てみたい、こういう声が出るなど、食への関心を高めている、そういう記事でありました。
ことしから給食でスナガレイが出されるようになったんですけれども、その東京の小学校の副校長さんは、子供たちに骨のある魚を丸ごと一匹食べさせたいと思って探していたんだ、こう言っておられます。二度揚げをして、太い骨しか残らないように調理法も工夫して、今では子供たちが家で親に魚の食べ方を教えられるようになった、こういう記事でありました。
まず、大臣に、こういう食育の重要性について、しっかり御答弁をいただきたいと思います。
○川端国務大臣 いいお話を聞かせていただきました。まさに、食べるだけではなくて、それが教育につながるということのお手本のような例でございます。
私も、先日ふるさとに帰ったときに母校にちょっと寄ったんです、先生も何かこの前近江八幡に行っていただいたようですけれども。北海道と姉妹都市、韓国と姉妹都市、アメリカと姉妹都市と、姉妹都市が三つあるんですが、そうしたら、年に一回か二回、その町の料理という特別食メニューというのがありまして、北海道のは海産物をいろいろ取り入れた給食メニューとか、韓国はキムチを何か利用した料理とか、子供も非常に関心があって、そのことを通じてまたその町のことを話をしたりというふうなことに使っているというのを伺いました。
今先生が言われたのは、まさに食の、お魚のことを含めて、大変そういうもので創意工夫をして、子供たちの勉強以外での最大の関心事の一つが給食メニューかもしれませんので、利用して、非常にいいことだというふうに思います。
○宮本委員 大臣からも前向きの答弁をいただきましたが、そもそも、食育基本法に基づく国の食育推進基本計画では、学校給食において都道府県単位での地場産物を使用する割合の増加ということも定められておるんですね。そして、スナガレイの例でもわかりますように、そういった食材の提供が調理法の工夫や安全管理と一体であるということは言うまでもないことであります。
ところが、一方で、その子供たちの大切な食と食育にかかわる給食調理の現場が今大変な状況になりつつあるということを指摘しなければなりません。
まず、これは事実をお伺いします。
一九八五年の文部省通知「学校給食業務の運営の合理化について」、この通知が出たのをきっかけに、給食調理員の非常勤化あるいは調理業務の民間委託がどんどん進んでおります。
そこで、まず現状、単独調理場方式の学校で調理業務を外部委託している自治体数はどれだけか、学校数はどのぐらいあるか、お答えいただけますか。
○川端国務大臣 お答えいたします。
学校給食の調理業務を外部委託している自治体数というのは実は把握ができておりませんで、調理業務を外部委託している小学校、中学校、これは公立でありまして、単独調理場方式及び共同調理場方式については、平成二十年五月現在で七千六百十校、これは全体の二五・五%でございます。
○宮本委員 中学校の方もわかるでしょうか。
○川端国務大臣 失礼しました。小中合計でございます。全体で、給食実施校数、小中合わせて二万九千八百十二校中七千六百十校。経時的に見ますと、十八年が二一・三%、十九年が二二・七、二十年が二五・五ということで、少しずつ増加をしております。
○宮本委員 都道府県別の学校数、これは実はわかっておられると事前に聞きました。ぜひ、小中別、都道府県別で、私の方へ後から資料でお届けいただきたいと思うんです。
そこで、きょうは厚生労働省に来ていただいておりますので、厚生労働省にお伺いをいたします。
この間、業務委託に伴う請負契約をめぐっては、偽装請負という事態が頻発して、その是正に努めてこられました。そういうもとで、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準、三十七号告示というものが出され、疑義応答集というものが出されております。
その七で、発注者が作業工程に関して作業の順序や労働者の配置など指示していいか、発注者が作成した作業指示書を示して作業を行わせてよいかとの問いに、どのように答えが書かれてありますか。
○山田政府参考人 偽装請負の基準についてのお尋ねでございます。
適正な請負であるためには、請負事業主が、一つは、業務の遂行に関する労働者への指示その他の管理をみずから行っていること、第二に、請け負った業務を自己の業務として相手方から独立して処理していることが必要であるというふうになっております。これらに反して、発注者が請負事業主の労働者を指揮命令した場合には、いわゆる偽装請負に該当するということでございます。
その具体的な判断に当たっては、大臣告示によりまして、労働者派遣事業と請負の区分基準に示しているほか、さらに具体的な解釈については疑義応答集として示しているところでございます。
○宮本委員 発注者が請負業務の作業工程に関して仕事の順序、方法などの指示を行ったり、あるいは労働者の配置、労働者一人一人への仕事の割りつけなどを行えば偽装請負になる、これは口頭に限らず文書でも同じだというのが厚生労働省の解釈であります。
ところが、民間委託された学校給食調理の現場では、こういう事実上の偽装請負という事態が常態化をしております。
皆さんのお手元に、鳩ケ谷市の調理業務委託校の調理工程表というものをおつけいたしました。これは公文書公開決定通知に基づいて公開された公文書であります。ここには、がんもどきの含め煮ですけれども、四十リットルのがんもどきの煮汁づくりの指示書、必要な指示が書かれてあるわけですけれども、その下に、材料の量にばらつきがあった場合を想定して、あらかじめ五十から六十リットルの煮汁をつくる場合の調味料の量も、手書きで後から記入されてあります。その場で臨機応変にこういうふうに対応しなければならない給食調理の現場では、これは当然起こり得ることなんですね。栄養士や給食調理員の方にお話を伺うと、毎日子供たちに最もよい状態で給食を届けるためには、これら詳細な指示文書、文書を使った栄養士や調理員との打ち合わせは不可欠だということでありました。
そこで、厚生労働省にもう一度聞きます。これはあくまで一般論でありますけれども、請負契約による調理業務委託校において、現場で発注者からこうした具体的な指示があり、それに基づく打ち合わせが行われ、調理員らが発注者の指示どおりに調理を行っているという場合、これは適正な請負と判断されるでしょうか。
○山田政府参考人 いずれにしましても、そこら辺の基準、判断につきましては、個別の状況を詳しく調べた上でということになると思いますけれども。これを先ほど見せていただきましたけれども、こういった作業工程というものを示した上で、給食のところで働いていらっしゃる方、何人が、どういう役割分担で、どういう順番でこなしていくか、そういったところの請負事業主の裁量というものがどの程度あるのかといったところも、恐らく、その判断をするときの重要なポイントになるのではないかというふうに考えております。
○宮本委員 私が聞いたのは、現場で発注者から具体的な指示をして、それに基づく打ち合わせが行われ、調理員らがその指示どおりに、発注者の指示どおりに調理を行っている場合は、適正な請負とみなせるかと聞いたんです。いかがですか。
○山田政府参考人 一般論でお答えいたしますけれども、そういうことが実際に行われているとすれば、それは問題があるのではないかというふうに思います。
○宮本委員 問題があるんですよ、それは。
おいしくて、安心、安全な給食を提供しようと個々具体のことを発注者から現場で指示すればするほど、調理業務の委託が、実は偽装請負という違法状態に近づいていく。
鳩ケ谷市では、学校給食調理業務の請負が、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準、先ほどの労働省告示第三十七号に違反するとして、二〇〇九年七月に、埼玉労働局から、実態調査も踏まえた是正指導が入りました。
しかし、是正指導を受けて鳩ケ谷市は何をしたか。受託事業者との契約書から、学校給食の水準維持向上のための請負事務事業者に対する研修の義務を削除、調理員や業務責任者などの調理員としての経験年数や資格要件、これも削除、調理員の健康診断から細菌検査の結果報告義務も削除、受託事業者による調理業務完了報告に対する学校長の検査確認規定さえも削除、さらに、調理員や施設整備の衛生管理や調理作業を詳細に定めた鳩ケ谷市学校給食調理業務作業基準をも削除して、衛生管理や調理などを受託事業者任せにしてしまいました。
鳩ケ谷市のやり方は、学校給食の普及や充実、衛生管理に努めるべき自治体として、子供たちや保護者に対する責任放棄だと言わざるを得ないと私は思いますけれども、これは文部科学大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 個別の部分が偽装請負かどうかということに関しては、先ほどの厚生労働省が所管でありますので、そのことだというふうに思います。
ただ、今御指摘の鳩ケ谷市の事実経過で申し上げますと、いわゆる労働法制上の問題で、御指摘のように、昨年七月に埼玉労働局から指導票による改善措置が求められたことを受けて、変更契約を行って、九月七日付で埼玉労働局長に改善状況を報告したという報告を受けているんですけれども、その埼玉の労働局長からの指導票として、措置の必要性で、いわゆる労働省告示第三十七号に照らしてこういう措置をしなさいという中にもう今御指摘の部分の幾つかは含まれている、要するに、行政の指導、措置命令の中で、本来、請け負っている人はみずからの責任においてこういうことをしなさいと。逆に言うと、校長先生がそういうことにかかわることがむしろ偽装請負、請負の趣旨に反するからという中身もあるんです。
そういう意味で、これは、労働法制上の措置という問題は、まさしく法令遵守してしっかりやらなければいけないという問題は、そのとおりの御指摘だと思います。
一方で、給食をよりよいものにしていこうという趣旨は、私はそのとおりだと思います。それは、どういう契約、自前でやるか請負をさすかにかかわらず、本来しっかりやるべきものだというふうに私は思っております。
○宮本委員 はしなくも、僕は今の議論というのはそれを示していると思うんですけれども、労働省は、そういうやり方でやったら偽装請負になりますよ、労働法制上偽装請負にならないためには現場で事細かに指示しないでくださいね、発注者があれこれと現場で指示したら偽装請負になりますよ、こう言われたと。
そうしたら、本来、学校給食というのは現場であれこれと発注者と打ち合わす必要があるものなんだから、私は、当然のことながら、請負という形、つまり、民間委託という形がなかなか実情にそぐわないと考えて、その請負契約そのものを見直すべきだと思うんだが、ここでやられたことは、それだったら、もうもとからそういうことはやめましょうと。つまり、何から何まで、基準を請負業者に任せてしまいましょうということをやられたと。これは余りにもひどいというふうに思うわけですよ。
そこで、大臣に聞くんですけれども、二〇〇八年に学校給食法を改正いたしました。第八条で学校給食実施基準というものを定める、第九条では学校給食衛生管理基準というものが定められました。その趣旨は、学校給食の適切な実施のために必要な事項について維持されることが望ましい基準を定めて、学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は当該基準に照らして適切な学校給食の実施に努めると、第八条でも定められているわけですね。
つまり、設置者は、そういうことをきちっと管理し、指示し、学校給食の安全も充実も安心も守っていかなきゃならないわけだけれども、偽装請負になる可能性があるからといって、労働当局の指導に従ったかどうか知りませんけれども、ありとあらゆる基準を取っ払ったというのでは、全くこの法改正の趣旨に反するのではありませんか。いかがですか。
○川端国務大臣 学校給食法の改正自体、私は、非常にいい方向に進路を示し、しっかりやるということを決めたものだというふうに理解をしておりまして、基本的には、この法の趣旨に基づいて学校給食をやるということが学校関係者に課せられた使命だというふうに思っております。
そういう中で、一方、先ほど合理化という言葉を使われましたけれども、いわゆる行政改革の中で、より効率的、効果的な行政執行という観点からいろいろな施策が取り入れられていることは事実であります。
しかし、少なくとも、同時並行的に行われているとはいえ、学校給食の本来の目的、果たすべき役割を損ねてまで合理化をするというのは本末転倒であることは言うまでもないことでありまして、先ほど御指摘のような、労働法制もしっかり守りながら趣旨もしっかり生かすようにということが学校管理者にとって求められていることであり、そういうことで、逆にならないようには周知と実態把握、そして、食育の推進と安全管理がなお一層進められるように、我々としては指導してまいりたいと思っております。
○宮本委員 冒頭、私が北海道の例で紹介したような食育の推進という点でも、栄養教諭や教員の方々の努力にこの民間委託というのが水を差していると言わざるを得ない状況があります。
鳩ケ谷市内の小学校では、給食調理員さんらも交えて、嫌いな野菜を好きになってもらえるような授業をやろうじゃないかと、先生方も一緒になって取り組んできたというんですね。子供たちに好きな野菜、嫌いな野菜を挙げてもらって、グラフをつくる。嫌いな野菜の上位には、やはりピーマン、ゴーヤー、ニンジンが挙がるそうです。担任とも協力をして、学校栄養職員や給食調理員さんが、それぞれの野菜の特徴や給食で出すときの調理の工夫、あるいは調理員さんの苦労なども話して、給食では一口サイズの一つでもいいから食べてみようなどと子供たちの前で話をする、放課後、子供たちは話を聞いた感想を手紙にして、学校栄養職員らに担任を通じて渡す、こういう取り組みをやっておられるそうです。
子供たちはその話を真剣に受けとめ、嫌いな野菜にもいいところがあるのがわかった、今まで残していたけれども食べてみようと思ったなどの感想が出されているそうです。小学校高学年にもなりますと、給食室で教室から残飯が入った食缶を一緒に片づけたりしながら、給食委員の子供たちと、どうすれば残菜を少なくできるかを話し合う話し合いの場も持っていると伺いました。こうした経験を経た子供たちがやがて中学校に進み、職場体験として学校給食の現場に行きたいと希望する子もいるといううれしい話もお伺いした次第です。まさに改正学校給食法第一条、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たす学校給食の普及充実及び学校における食育の推進という目的そのものだと思うんですね。
しかし、こうしたことが行えるのは、やはり正規の給食調理員や栄養士がいるところであって、調理業務が民間委託されているところでは、調理業務だけを行う調理員にはそうした協力を頼むこともできず苦慮している、そういう話も聞きました。
ですから、給食調理業務を民間委託したのでは、こういった改正学校給食法の目的は達せられないのではないかと私は思うんですけれども、大臣、そのようにはお考えになりませんか。
○川端国務大臣 今お話しの部分は、非常に大事なというか、いいことをやっていただいている、食育の見本みたいなことであります。好き嫌いということに端を発しているけれども、物は大切にしなければいけないし、栄養は偏ってはいけないしという健康の問題や、自然の恵みに感謝をするということや、多様な価値観、いろいろなことにまさにつながっていくということで食育というのが重視をされることだ、私も、そのとおりだ、そして実践していただいていることは大変ありがたいというふうに思います。
先ほど来申し上げていますように、そういうことを実施していくという食育の基本理念に基づいて給食をやっていただくことと、経済的、効率的に行うということは両立でき得るものであるということの中で、しかし、後者が優先してはいけない、こういう位置づけだと思います。
ですから、必ずしも、そういうふうに外部委託をすれば非常にそうきめ細かくできないというものでは、そう決めつけるものではないと思います。それぞれの教育現場において、今みたいな役に立つ教育の事例、これは栄養士の配置問題にもかかわってくるわけでございますが、そういう問題を含めて、それぞれに工夫を凝らして、いい食育になるようにやっていただきたいと思っております。
○宮本委員 実は、この同じ問題が、二月の二十四日、衆議院総務委員会で我が党の塩川議員によって取り上げられました。行革推進法のもとで、学校給食の現場で民間委託が進んでいる実態を塩川議員がただしたところ、行革推進法は、公共サービスがどうあるべきかとか、一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、食育とはどうあるべきかという観点よりも、まさに削るための観点でできている、今さらながら今の時代に合わない条文だと思います、本当に、小さい子供たちの命を守るという観点からもやはり私たちはしっかりと議論を前に進めてまいりたいと、原口総務大臣は答弁をされました。
一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、食育とはどうあるべきかという点では、一番責任を持つべきは、私は川端文科大臣だと思うんですね。原口大臣もこう答弁されているときに、私は、もう一歩進んで、やはり、まさに削るための観点でやってきたのは間違いであって、一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、あるいは食育とはどうあるべきかという観点でしっかりと前に進むべきだという御答弁をいただけると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○川端国務大臣 行革推進法が食育に関して直接的に言及しているものではないというふうに思いますが。
先ほど来私は申し上げておりますように、やはり食育が大事であるということをしっかりやることが私の責務であると同時に、より効率的、効果的に行政を執行するという考え方も、それは間違っているわけではないというふうに思いますが、間違っても反対にならないようにという優先順位でいえば、間違いなく、効率化を求めるために食育が犠牲を強いられるということがあってはならないということは大原則でありますので、その意味では、原口大臣が言われた趣旨は、私は全く違うものではございませんし、食育に関して、二十年の法も含めて、しっかりとその精神が生かされるように、給食現場において、学校現場においてその趣旨が徹底されるように、我々としてはしっかりと推進してまいりたいと思っております。
○宮本委員 これはやはり矛盾するものなんですよ、大臣。このような異常事態を生み出した元凶にあるのは、冒頭申し上げた一九八五年の文部省通知なんです。「学校給食業務の運営の合理化について」という通知なんですね。この通知を受けて、自治体では、コスト削減を優先するために調理業務を民間委託してきたわけですよ。
しかし、実際に給食調理の業務を民間に委託してみると、限りなく偽装請負に近くなってしまうんですよ。だって、安心、安全をしっかり保って、作業工程も調理の手順も何もかもちゃんと発注者で責任を持って調理を進めようと思えば、これはおのずから偽装請負の危険が出てくるわけですよ。ですから、偽装請負を回避しようと思えば、先ほど見た鳩ケ谷のように、今度は丸々受託業者にすべて任せてしまうか、あるいは、私が指摘したように、調理業務の民間委託をやめて直接安全に責任を持つか、どちらかしかないんですよ。これをどうにかバランスをとってというのに無理があるんですよ。
学校給食法において、まさに給食の充実や普及、あるいは食育の推進ということも掲げられた。そして、先ほど言ったように、原口大臣もおっしゃっているように、いかにも古い、こういうただ単に効率一辺倒で削るというだけではもう古いんだ、合わないんだという認識になっているわけですから、ここは八五年の学校給食業務の運営の合理化通知というものを撤回すべきだと私は思いますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
○川端国務大臣 先ほど来の繰り返しになりますけれども、給食をしっかりやるという、その実態を担保する中で、法令にはもちろん違反してはいけないし、しかし、そうかといって、幾らでもお金が使えるという状況でもないという中で、それぞれに工夫しながら努力をしていただいているんだというふうに思います。
言葉としてというか、合理化はしなくていいということまでの判断はしかねますけれども、より実態を確保するために、先ほど申し上げましたように、間違っても順序が逆になるようなことは避けなければいけないというのは当然でありますので、そういうことの実態も踏まえながら指導もしてまいりたいと思っております。
○宮本委員 私は、改めてここで方向を転換すべきだと思います。
それで、どんどん学校給食調理員が減らされてきた背景には、行革推進法というものがあったわけです。先ほどの議論も、塩川議員と原口大臣との間で、総務委員会でやられました。
一方、私が二月の二十四日に本委員会で川端大臣の所信に対して質問したのに対して、川端大臣は、行革推進法第五十五条三項は平成十七年四月一日と二十二年四月一日を比較して削減を行うことが求められているということでございまして、平成二十二年四月一日との比較までしか言及していないという旨を答弁されました。
つまり、この規定はことし四月一日をもって終わるというふうに私は理解します。そうなってきたら、改めて四月以降は、給食調理員を減らすべきではなく、改正学校給食法の趣旨も踏まえて、しっかり給食調理員をふやしていくという立場に立つべきだと思うんですけれども、最後に大臣の御決意を伺って、質問を終わります。
○川端国務大臣 先般の答弁で、解釈として、まさに平成二十二年の四月一日までの減らすべき目標ということであることは、私が申し上げたとおりの認識でございます。
そういう中で、先ほど来申し上げておりますように、食育をしっかり実行するようにという趣旨の中で、学校給食の実施に当たっては、具体的にどのような方法で運営してその質の確保をしていくのかということは、各学校、地域の実情もあると思います、それに応じて、学校の設置者がまさにその精神を生かして適切に判断されるべき事項であるというふうに思います。二十三年以降の調理員の数についても、それぞれの設置者が判断していくことになるというふうに思っていますけれども、文部科学省としては、今までの議論もありましたような趣旨で食育の大切さを徹底していくと同時に、それを確保すること、しっかりやることを踏まえて対応するように、引き続き指導してまいりたいと思っております。
○宮本委員 時間ですので、終わります。