平成二十二年三月十日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君
理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君
理事 笠 浩史君 理事 坂本 哲志君
理事 馳 浩君 理事 富田 茂之君
石井登志郎君 石田 勝之君
石田 芳弘君 江端 貴子君
大谷 啓君 川口 浩君
城井 崇君 熊谷 貞俊君
後藤 斎君 佐藤ゆうこ君
瑞慶覧長敏君 高井 美穂君
高野 守君 橘 秀徳君
中川 正春君 平山 泰朗君
牧 義夫君 松本 龍君
山尾志桜里君 湯原 俊二君
横光 克彦君 横山 北斗君
吉田 統彦君 遠藤 利明君
北村 茂男君 塩谷 立君
下村 博文君 菅原 一秀君
永岡 桂子君 古屋 圭司君
松野 博一君 池坊 保子君
宮本 岳志君 城内 実君
…………………………………
文部科学大臣 川端 達夫君
財務副大臣 野田 佳彦君
文部科学副大臣 中川 正春君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
厚生労働副大臣 細川 律夫君
厚生労働副大臣 長浜 博行君
文部科学大臣政務官 後藤 斎君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 金森 越哉君
文部科学委員会専門員 芝 新一君
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委員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
江端 貴子君 大谷 啓君
城井 崇君 橘 秀徳君
牧 義夫君 山尾志桜里君
同日
辞任 補欠選任
大谷 啓君 江端 貴子君
橘 秀徳君 城井 崇君
山尾志桜里君 牧 義夫君
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三月十日
格差社会をなくし、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(平岡秀夫君紹介)(第三二三号)
教育予算を大幅に増額し、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(梶原康弘君紹介)(第三二四号)
教育格差をなくし、すべての子供たちに行き届いた教育に関する請願(伊東良孝君紹介)(第三二五号)
同(鉢呂吉雄君紹介)(第三三五号)
同(大村秀章君紹介)(第三三九号)
同(藤田一枝君紹介)(第三四五号)
同(首藤信彦君紹介)(第三五五号)
同(田中美絵子君紹介)(第三五六号)
同(遠藤利明君紹介)(第三六〇号)
同(梶山弘志君紹介)(第三六一号)
同(近藤洋介君紹介)(第三六二号)
同(額賀福志郎君紹介)(第三六三号)
同(和嶋未希君紹介)(第三六四号)
同(江藤拓君紹介)(第三九八号)
同(高木義明君紹介)(第三九九号)
同(吉泉秀男君紹介)(第四〇〇号)
同(阿部知子君紹介)(第四一四号)
同(北村茂男君紹介)(第四一五号)
同(鉢呂吉雄君紹介)(第四一六号)
同(柚木道義君紹介)(第四一七号)
同(小林千代美君紹介)(第四二六号)
同(田嶋要君紹介)(第四二七号)
同(渡部恒三君紹介)(第四二八号)
同(笠浩史君紹介)(第四三七号)
同(石原洋三郎君紹介)(第四六〇号)
同(志位和夫君紹介)(第四六一号)
学費の公私格差をなくし、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願(海江田万里君紹介)(第三三二号)
同(松原仁君紹介)(第三三三号)
同(吉田公一君紹介)(第三六五号)
教育格差をなくし、行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(中谷元君紹介)(第三三四号)
同(向山好一君紹介)(第三八八号)
同(小野寺五典君紹介)(第四一三号)
同(秋葉賢也君紹介)(第四二四号)
同(漆原良夫君紹介)(第四二五号)
同(篠原孝君紹介)(第四五八号)
同(高橋昭一君紹介)(第四五九号)
私学助成を大幅増額し、すべての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(樋口俊一君紹介)(第三三六号)
教育予算を大幅増額し、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(古賀敬章君紹介)(第三三七号)
同(藤田一枝君紹介)(第三四六号)
豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(高木義明君紹介)(第三八七号)
教育費の無償化、大幅な負担軽減を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八九号)
同(笠井亮君紹介)(第三九〇号)
同(穀田恵二君紹介)(第三九一号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第三九二号)
同(志位和夫君紹介)(第三九三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三九四号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三九五号)
同(宮本岳志君紹介)(第三九六号)
同(吉井英勝君紹介)(第三九七号)
教育格差をなくしすべての子供たちに行き届いた教育に関する請願(渡部恒三君紹介)(第四二三号)
教育費の無償化を目指して、すべての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(篠原孝君紹介)(第四五七号)
私学助成の拡充を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第四六二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(内閣提出第五号)
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
昨日の参考人質疑で出された現場の声、学識経験者の御意見も踏まえ、きょうは全般にわたって質問をいたしたいと思います。
まず、私学への就学支援金について。
前回、三月五日の質疑で、私が、概算要求時には年収五百万円未満の世帯について支給できるように要求していたものを、二百五十万円以下を二倍に、二百五十万から三百五十万は一・五倍にと切り下げた、これで予算は幾ら削減になったのか、こうお尋ねしたら、川端大臣は、二百六十億円という答弁だったと思います。これは間違いないですね。
○川端国務大臣 そのとおりでございます。
○宮本委員 私は、この高校授業料の原則無償化の予算、概算要求で四千五百億円から本予算三千九百億円余りへ約六百億円削減したのだと思っておりました。二言目には厳しい財政状況のもと、こうおっしゃいますから、それ相当の予算削減だったのだろうといわば善意で解釈をしておりました。
ところが、先ほどやりとりがあったように、公立分を就学支援金から不徴収にしたことによって三百十億減った。私立の五百万から三百五十万にあるいは二百五十万へと減らした分は、わずか二百六十億円だということであります。大臣はこの額は小さい方がよいと思われたのかもわかりませんけれども、私の受けとめは逆なんです。
昨日の参考人質疑でも、日本私立中学高等学校連合会会長の吉田晋参考人は、私立高校生で一番苦しい世帯は年収三百五十万から五百万の世帯だ、こうお話がありました。現場の声は、二百五十万円未満と五百万円未満、無償では大違いだ、こういう声であります。わずか二百六十億円、これくらいの額が何とかならないのかと思うのは私ばかりではないと思います。大臣、そうは思いませんか。
○川端国務大臣 二百六十億円が多いか少ないかといえば、大変多い数だというふうに思っております。
そういう思いを持っておられる方がたくさんおられることはよくわかりますし、私たちも、そこまで可能であれば手当てをさせていただきたいということの概算要求でございましたが、トータルの予算編成の中でかなわないことになりましたので、その部分では私たちが求めていた概算要求からは差がある予算編成になったことは、引き続きこれからの大きな政策、重点で取り組まなければならない課題の一つが残っているというふうに認識をしております。
○宮本委員 厳しい財政状況ということを理由にして、そもそも無償化に一切踏み出そうとしなかったのがこれまでの自公政権でありました。厳しい財政状況を理由にするならば、いわば今回のこの政策自身が厳しい財政状況のもとでどうなのかという議論が出てくるわけであります。そこを一歩踏み出したところに現政権の前進面があると私たちは評価しているわけであります。
事業規模四千億円に比べて二百六十億円。私は、これはわずかと表現したいと思うんですね。大体、毎年三百二十億円という政党助成金を我が党以外の政党が山分けしておられる。この三百二十億円があればすぐにでも五百万円未満の御家庭にまで広げることができるわけでありますから、私たちに言わせれば、こういうものはすぐにやめて五百万円までやるべきだと私どもは申し上げたいと思うんですね。
やはり五百万円以下というところまで広げる、それでこそ、さすが政権交代をしただけのことはある、前の政権は厳しい財政を理由になかなか我々の声にこたえてくれなかったが、今度の政権はやはりちゃんとこたえてくれるなという話になるんだと思うんですけれども、大臣はそのようにお感じになりませんか。
○川端国務大臣 熱い思いで応援していただいて、心強く思います。
まず、トータルの判断でございますが、私たちは、高校無償化に大きく踏み込んだと同時に、私学に対しても一定の応援をするということまでは踏み込めたんですが、なお一層の部分に大きなまだ目標が残っているというふうには認識をしております。
○宮本委員 では次に、留年した場合の就学支援金の支給についてお尋ねをしたいと思います。
この法案で、就学支援金の支給対象は三十六カ月、それを超えた者に対しては支給しないというふうになっております。なぜ、留年した子供の家庭には支給しない、こうなっているんですか。
○川端国務大臣 これは先ほども議論がありましたけれども、公立学校に学ぶ生徒を支援するという部分では、負担の公平さの観点からは、一定年限、すなわち三年間、三十六カ月が高校の年限でありますので、その分に関して支援をするということで、留年あるいは一度もう既に高校を卒業している人ということに関しては、公教育の受けるサービスがほかの生徒に関して負担が異なるということになるので不徴収を原則としているけれども、特別の事情として負担を求めるかどうかは設置者の判断にゆだねるという、ただしという条項の適用をすることにしております。
一方で、それをしたときに、例えば不徴収のままにしたときの負担は、私たちは、国からの財政手当ての算定基準に入れるかどうかというのが、地方の分を国が負担するのか地方が負担するのかという問題になるというふうに思います。これに関しては今最終的な制度の、政令の精査をしておりますけれども、他の一般の制度に比して多くの支援を受けることになるために、負担の公平の観点から公金算定の対象外とすることを検討しております。
先ほど来、きのうの意見陳述、委員会でもしていただきまして、馳委員からもお問いがございました。今もございましたが、そういう地方の要請が強くあることはしっかり受けとめて、前向きに検討してまいりたいと思います。
○宮本委員 今は実は私学の支援金を聞いたんですが、公立についてお答えがありました。(川端国務大臣「失礼しました」と呼ぶ)
公立高校を三年間というものを今お答えになりましたけれども、きのう参考人質問でも私は問うたんですけれども、定時制高校で、もとから四年間という課程になっているものについては、四年間不徴収という制度になっていると思うんですね。この三十六月、つまり三年間と決めたものだというわけでもないと思うんです、制度設計上は。そうですね。間違いないですね。
○川端国務大臣 そのとおりです。
○宮本委員 にもかかわらず、三年を超えたら、留年した場合にはその分のお金を取る、こういうところに何とも胸の痛む状況がある。
昨日の参考人質疑で、佐賀県の公立高校の場合は、今お話があったように、留年しても不徴収にする、こういうお話がありました。本人にその責がないもの、例えば病気とか不登校とか経済的理由によるものを不徴収にして、高校を卒業した人であっても、社会人として資質を高め、職業的自立に必要な場合は不徴収にするという、理由を聞いて本当に納得のいくものでありました。
なぜこの佐賀県のような制度設計に国自身がしなかったんですか。
○川端国務大臣 病気とかの部分で長期に休まれた部分等々、あるいは場合によっては諸般の事情で休学された部分はこの三十六カ月に参入しないということを前提としておりますので、その部分は、その期間があってもそこは対象というか、あとの部分に、おくれた部分に関して影響はないという制度になっているということでございまして、トータルとしては原則は不徴収。そして、それぞれに特別の事情で、特段のことで、この人たちからはやはり負担の公平性の観点から別段に徴収しようということが制度上できるという仕組みでありますので、それはそれぞれの地方自治体においての判断もあろうかということで現行の仕組みにさせていただいたのが私たちの考え方でございます。
○宮本委員 留年という制度は、そもそも制度上は、決められた教育課程を修得しなかったために、修学年限を延ばしてでも教育内容を修得させる、これが制度の趣旨であると思います。実は私も、全日制普通科の高校の出身でありますけれども、留年をして四年間公立高校に通った本人でありますから、その理由は病気や不登校、経済的理由など、それぞれ理由が、さまざまな事情があると思います。そういう子供たちをどう救うのかということが今問われていると思うんですね。
そこで、ちょっと具体的に事例を聞くんですけれども、例えば私立の高校に入学して一年間通った、ところが、どうしてもその学校に合わないといって中退をし、また別の私立高校に再入学した、その場合の残り二年間の就学支援金は支給されると思うんですが、三年目では授業料を全額払う、支援金の方はそういうふうになりますね。
○川端国務大臣 一年行って、また新たに入り直されたというケースということでありますが、これは一応、前の学校の一年と後の学校の二年ということが計算の基本になります。
○宮本委員 逆に、公立高校に一年間通った、その公立高校に合わなくて中退をして、別の私立高校に再入学をした、この場合はどのようになりますか。
○鈴木副大臣 基本的な考え方は、私立トータルで三十六月ということをベースにしております。もちろん、中退をして新たに入学という事例を今お示しでございますけれども、これは、この制度ができ上がりますと、我々、そのことを目指しておりますけれども、公立、私立問わず、いわゆる転学ですね、転入学、こうしたものが促進をしてほしい、あるいはされるような制度にも資するということでこういうことをやっておりますので、今の個別のお話について言えば、三十六カ月トータルというところで整理をしておりますけれども、基本的には、むしろ転入学を促進してほしいと思いますし、そういうことを応援していきたいというふうに考えております。
○宮本委員 問いに答えてくださいよ。
公立高校に一年間通った、合わなかった、公立高校をやめて私立高校に入り直したら、一体支援金は何年間出ますかと聞いているんです。
○鈴木副大臣 三十六月もらえます。
○宮本委員 公立から私立にかわった場合は、三十六月、三年間丸々出るわけですね。最初に私学に一年通った場合は二十四カ月でとまる、こういう制度設計なんですよ。余りにもこれはちょっと不整合、不合理なんじゃないですか。
○鈴木副大臣 これは、さまざまな議論をいたしました。もちろん、いろいろな御意見があることは我々も承知をいたしておりますけれども、公正というものを、だれとだれの公正をどういうふうにとっていくかという考え方の中で、とりあえずこのような決め方をさせていただいているところでございます。
○宮本委員 公正という議論をそんなふうにやると、例えば、なぜそんな大金持ちの家でも無償にするのかとか、高校に行っていない子供はどうなるのかとか、そういう話が出てくるわけですよ。
私は、この制度はそうじゃないと。大臣が趣旨説明でもお話しになったように、やはり高等学校修了までの費用は社会全体で負担しようと、まさにこの法律は社会政策ではなく教育政策だ、こういう立場でつくられた法律だというのであれば、私は、ここでこういう制度設計にするのは、やはりそろばん勘定が先立ってしまっているということを指摘せざるを得ないんですね。
生き方を模索している青年が別の学校を選択することは当然あり得ることです。入った学校でそのまますくすくといく子もそれはいるでしょうけれども、そうでない事例も多いわけですよ。その場合に修学保障するのは当たり前なんです。本来、一たんやめて別の学校に入った場合でも、卒業まで社会が責任を持つ、こう言ってこそ、皆さん方の立法趣旨は生かされるわけですよ。ところが、そうなっていない。
私は本当にここが残念だと思うんですけれども、大臣、そんなふうにお考えになりませんか。いや、大臣ですよ、これは政治論ですから。
○川端国務大臣 大きく言えば、高校の部分を、いつ、幾つになって、どんな経歴でも、行けば高校の学びを保障するというのも、一つの考え方としてはあると思います。突き詰めた理念として、非常に広義にとらえれば、我々が考えている部分はそういう理念ではないのかという御指摘の考え方は、突き詰めた議論としてはあり得ると思います。
ただ、最終的には、政策の執行におけるいろいろな判断の中の制度設計でございますので、今回は、そういう就学時のほかの生徒との負担の公平ということで一定の整理をさせていただいたということで、理念としてのお気持ちは理解をいたします。
○宮本委員 そもそも、この問題は制度の根本を問うものだと思います。
大臣は、改めて言いますけれども、法案の趣旨説明で、高等学校等は、その進学率が約九八%に達し、国民的な教育機関になっており、その効果が広く社会に還元されていることから、高等学校等の教育に係る費用について社会全体で負担していくことが要請されている、こうお述べになって、この法案を出したのだと説明をされました。
ですから、ここに公平性とかそろばん勘定というものを持ち込めば、やはりこういう不合理なことが起こってしまうわけですよ。一人一人の子供に即して何カ月分の支援を受けたかをわざわざ掌握して、そしてどこかで切るというようなことは、かえってコストがかさむんです。昨日の佐賀県の教育長も、留年しても不徴収とした方が事務経費も当然安くなる、こうおっしゃっていましたよ。だから、そういうことをむしろしない方が、やはりこの制度もシンプルになるわけであります。
改めて聞きますけれども、大臣、この制度は教育を受ける権利を保障するための制度なのか、それとも、単に父母の経済的負担を軽減するための制度なのか。つまり、社会政策なのか教育政策なのか。教育政策だと思うんですが、間違いないですね。
○川端国務大臣 基本的には、高校の部分の、先ほど御紹介いただきましたように、社会全体が負担するという教育政策として制度を理念的に構築し、あわせて、当然ながら、いろいろな部分での施策としての効果は各般に及ぶことは事実でございます。
○宮本委員 そうであるならば、やはり佐賀県のような方向で国の制度設計も改善していくべきだということを申し上げたいと思います。
あわせて、これは馳議員も先ほどおっしゃったことでありますけれども、昨日、佐賀県のこの教育長さんは、これにより超過負担が生じた場合には、国の責任において補てんしてもらいたい、こういうふうにおっしゃっておりました。この声にはこたえる必要があると思いますが、改めて大臣の見解をお尋ねいたします。
○川端国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、地元の実情に応じた生のお声としての切実な要望があることは受けとめて、前向きに検討してまいりたいと思っております。
○宮本委員 次に、高校無償化の財源として特定扶養控除の十八歳以下の上乗せ分を廃止する問題をお尋ねしたいと思います。
先日の質疑で、文部科学省が行った試算をもとに、まるで影響がないかのような議論が行われておりました。これはとんでもない話だときょうは言わなければなりません、先ほど富田議員もそういうふうにおっしゃっておりましたけれども。
多くの家庭で、所得税、住民税合わせて三万円以上の増税になる、文部科学省の試算は全日制高校に通う家庭を対象にしたもので、定時制、通信制、特別支援学校の高等部、こういうところに通う場合などが対象になっておりません。
川端大臣は本会議の質疑で、私の「通常の授業料よりも低い定時制、通信制や特別支援学校に子供を通わせている家庭や、そもそも高校に通っていない子供を持つ家庭では、増税による負担増だけが残ります。」この問いに、「御指摘のように、授業料徴収額が低廉な学校種や高校に通っていない子供を持つ家庭においては、高校の実質無償化による便益より、特定扶養控除の縮減による負担が大きくなることはあり得るものと認識をしております。」と、この問題点は既にお認めになりました。
そこで、個別に問題を聞いていきたいんです。
そもそも、高校に通っていないし就労もしていない子供を持つ家庭は、増税による負担増だけになります。特定扶養控除の上乗せ部分を廃止する十六歳から十八歳の子供で、高校などの学校に通っていない、就労もしていない人は何人いるのか。この世帯ではほとんどが増税による負担増になると思うが、この人数についてお答えいただけますか。
○川端国務大臣 御指摘のとおり、特定扶養控除の対象となる十六歳から十八歳までの者で、高校に通学せず就労もしていないものについては、特定扶養控除の見直しに伴い多くの世帯で負担増となるものと認識していますが、正確な全体数は把握できておりません。
平成二十一年度学校基本調査速報では、高校等に進学していない者は一万六千人、平成二十年度、生徒指導上の諸問題の現状という数字では、高校の中退者というのは六万六千人でありまして、高校に進学していない者というのは、一学年の人数、要するに一学年で一万六千人ぐらい進学していないという数字でありますので、全体でどれぐらいかという数字ではありません。場合によっては、その何倍かするということなのかもしれません。中退しているということでは、そういう状況であります。
それから、特別支援学校の高等部については、約五万人の生徒がおりまして、ほとんどの公立学校においては授業料不徴収としていて、徴収している学校においても授業料が低廉であることから、特定扶養控除の見直しに伴い、多くの世帯で負担増となるものと認識をしておりますが、全体数ということでは、今申し上げた約五万人生徒がいるということで、実際にどの人が負担増になるかというところまでは把握できておりません。
また、公立の定時制高校については約十一万人、通信制高等学校については約九万人の生徒がおりまして、これらの学校種については授業料が低廉であることから、特定扶養控除の見直しに伴って、多くの世帯で負担増となるものと認識しています。
数字的には、まずは以上でございます。
○宮本委員 全部を答えていただきまして、ありがとうございます。順々に聞こうと思っておったんですけれども。
一万六千人、これは一年分の人数であって、毎年毎年これだけの方が進学しない、また中退者が六万六千人出ておるということですから、これだけでも相当な人数に上ると思うんですね。
あわせて、今お答えがあったように、特別支援学校に通う子供は五万一千五百人というふうに出ております。そのほとんどは公立の学校でありまして、東京都は低廉な授業料を取っておるようですが、東京都を除く道府県では既に不徴収という状況であります。
国立の特別支援学校を調べてみましたら、年額四千八百円ということですから、これはもう本当に低廉な額になっております。
こういう御家庭は、今御答弁あったとおり、負担増だけが残ると想定されるわけですね。
そして、その次に、公立の定時制、通信制高校に通う子供、これが十九万人余り、先ほど十一万人と九万人とお答えになったでしょうか、足し合わせれば二十万人になるということでありまして、授業料は、公立の定時制で年額三万二千四百円、通信制の高校、年額六千二百四十円、これも授業料不徴収となっても、プラスになるのは三万円とか六千円ですから、増税の影響をもろに受けるということになるわけですね。
これは相当な数が増税の影響を受ける、つまり、これまでの議論でいうと、高校に行っていない子供を持つ家庭、働いていない子供を持つ家庭、ごく例外的な、ごく特殊な家庭というイメージで論じられてきたけれども、そうではない、これは相当数に上るというふうに認識すべきだと思いますけれども、その認識はおありですか。
○川端国務大臣 今申し上げましたように、今回の制度で、むしろ便益が下回るというんですか、そういう世帯が、先ほど言いましたものは少ない数字ではないことは事実でございます。
ただ、この特定扶養控除の見直しの影響は、国税は平成二十三年度分から、地方税で平成二十四年度分からでありますので、今すぐ、例えば皆さんの御理解を得て四月一日から実施したとしても、二十二年度においては直接的にまだ影響はなくて、二十三年度に国税、二十四年度から地方税という若干のタイムラグがございますので、そういう意味で、先ほど答弁をほかからいたしましたけれども、十二月に閣議決定された税制改正大綱で、「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。」ということで書かせていただいた部分は、こういう数があることを念頭に置いての閣議決定だと理解をいたしております。
○宮本委員 なるほど、実施は来年、再来年ということになるんですね。だから、今回決めて、要するに、参議院選挙までに高校の無償化の方は始まる、しかし、増税の方は参議院選挙の後になる、こういうことになるわけですね。
しかし、来年度、再来年度で国税、地方税を上げるというところまでは、これはもう決まっているわけですよ。これから決めようというんじゃない、もう決まったわけですよ。上がることは、時期は先ではあるけれども、決まっているわけなんですね。それだけに、来年までに何とかするというけれども、何をするのかが明らかにならなければ、これは本当に、だれも納得いかないと各会派から意見が出るのは当然のことだと思うんですね。
そこで、私が特に指摘したいのは、定時制の高校においては、既に授業料の減免率も全日制に比べて高いんです。それでも授業料が払えない滞納者も多い。授業料の不徴収で、授業料が払えないという問題は解決されるでしょうけれども、授業料以外の負担が多く、経済的に困難で学業をあきらめざるを得ない子供たちが多いんですね。そういう子供たちの家庭に増税の負担増のみが押しかぶさるというような結果になっては大問題だというふうに思うんですけれども、それは大臣、おわかりになっていただけますね。
○川端国務大臣 まさにおっしゃるとおりのことでありまして、そういうことが当然想定をされるということがあるから、税制改正大綱においても、その記述を、もう繰り返しませんけれども、「適切な対応を検討します。」という文言が明定をされて、閣議決定をされているわけです。
したがいまして、実際にそういう家計に影響が出るのが二十三年末でありますので、あと一年半、もう少しありますか、ということまでに、文部科学省の立場でこうこうするという直接のことが今申し上げられませんけれども、趣旨はこういうことを、無償化をやることによって、それに関連する政策判断も含めて、特定扶養控除の圧縮が行われたら高校へ行っている人たちが大変な目に遭ったということは起こしてはならないという認識のもとにやっていることだけは、はっきり申し上げておきたいと思います。
○宮本委員 この前の審議でも、高校無償化と特定扶養控除見直しの影響試算例という文科省の資料が配られておりましたけれども、こういう資料を出して、全日制の高校に通う家庭への影響だけを試算して、負担減になるというような議論をやられたら困るんですよね。同年代で学校に通えず、就労もしていない子供を持つ家庭、特別支援学校に通う子供を持つ家庭、定時制、通信制に通う子供を持つ家庭など、こういう家庭への影響こそ深刻なんですから。
先ほど、人数はそれぞれ出ましたけれども、しかし一体それがどれだけの数になるかというのは実はつかんでいないという話もありました。まず、こういうところをしっかりつかんで、他の例も試算をして影響を明らかにすべきではないですか。そういうことを直ちにやるべきじゃないですか。いかがですか。
○川端国務大臣 実態の正確な数字等々を把握することは、世帯の収入等々を含めてなかなか難しい問題がありますけれども、こういう事態が生じるということが想定をされている部分の御指摘はありますので、そのことに関しては、いろいろな方法で実態把握と、それから、これからの対応を含めて講じてまいりたいと思っております。
○宮本委員 ところで、増税は私立高校に通う子供を持つ家庭にも影響する、こういう認識はございますか、大臣。
○川端国務大臣 既に授業料を全額減免されておられるものについては、特定扶養控除の見直しに伴って、その分だけ便益が益ではなくなるという事態が生じるということになることは認識をいたしております。
○宮本委員 そのとおりなんですよね。既に先ほどの文科省がお示しになった資料でも、四県で既に年収三百五十万円以下の家庭で全額免除を実施しているわけですね。これらの御家庭は、新たに授業料の就学支援金による全額免除を受けても、今全額免除なわけですから、何らプラスにはなりません。そうなると、この所得層では、就学支援金の制度が始まっても便益は何もなく、ただただ三万一千円の増税だけになる、特定扶養控除の縮減による増税だけが残る、こういうことになります。
先日の質疑で鈴木副大臣は、愛知県の例を出して、年収三百四十万円から六百万円以下の家庭では、授業料減免の支援として、今年度二十万五千二百円から来年度二十二万九千二百円に、年収六百万から八百三十万円以下の家庭では、支援額が今年度十四万六千四百円から来年度は十七万四百円になると説明し、「愛知県におきましても、私立高校生への支援が現在より充実をいたします。」と力説をされました。
この計算では、年収三百四十万円から八百三十万円の全世帯で、いずれも二万四千円のプラスになります。実は、この所得層の特定扶養控除の見直しによる増税額は、三万一千円から六万二千円と試算されております。これでは、せっかく二万四千円プラスになっても、実は特定扶養控除の見直しによる増税額の方が上回る結果になるのではありませんか。いかがですか。
○川端国務大臣 先ほどと仕組み的には同じことが、逆に愛知県のように非常に広範に手厚く今まで減免をしていただいていたということが、一部は高校の実質無償化による便益よりも、特に所得の高い人まで応援をしようという制度をとればとるほど、特定扶養控除の圧縮による便益の減というんですかに伴って、こういうことがあり得るというふうに、それも認識をしております。
○宮本委員 ですから、この前の、鈴木副大臣の答弁を聞いて安心をいたしましたと言ったのは間違いでありまして、とても安心できるような話ではないんです。
私はこの問題、地方が努力をして支援を広げても、国が増税をするから結果として負担増になる、これは国の責任で解決をしなければならないというふうに思います。
このように、増税による負担増は、決して例外的少数ではないんですよ。多くの家庭に影響を及ぼすことは明らかなんです。高校などの学校に通っていない一万六千人、毎年一万六千人、そして中退者六万六千人、そして特別支援学校に通う約五万人、定時制、通信制高校に通う十九万六千人、そして私学に子供を通わせる少なくない御家庭でも負担増になる、これは重大な問題だと思いますね。
この間の答弁は、「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。」こういう税制改革大綱の文章を繰り返し読み上げていただくだけなんですけれども、もうこの答弁ではだれも納得できない、増税だけ決まっているわけですから。
この適切な対応とは一体何なのか、どのように担保するのか、この中身を具体的に川端大臣にお答えいただきたい。お願いいたします。
〔委員長退席、笠委員長代理着席〕
○川端国務大臣 申し上げているように、二十三年末がリミットでございますので、先ほど言われました、実態も調べろという御指摘でありましたが、実態もなかなか掌握するのが難しいという部分であると同時に、考え方として、いわゆる基本的な、その世帯に対して授業料がかかることに対して国及び地方の支援として応援してもらう分を便益と考えて、それに控除の圧縮に伴って増税される部分という差を見るのか、今受けている便益に対してマイナスになるのかということの議論も、論点としては必ずこういう税の問題は出てくることだとは思います。
そういうことを踏まえながらでありますが、高校に進学していない人、それから中退者、それから定時制、通信制などの学費の比較的低廉なところに行っている人、それから特別支援学校の高等部に通う生徒は、明らかに制度としてそういうことになるということはもう、低所得者に対しては想定をされております。
そして、同時に、今言われた人たちの部分がどういうふうな実態であり、どういう考え方を整理するかということがこれからの議論になるというふうに思っておりまして、そういう部分を含めて、まさに先ほどからの、二十三年末までということでありますので、またいろいろな情報を踏まえて判断をしていきたいというふうに思っております。
○宮本委員 いや、判断をするというだけではさっぱりわからぬわけでありまして、先ほど中川副大臣も、文部科学省だけではどうにもできない問題だ、こういう御答弁もありました。なるほど、これは川端大臣に幾ら聞いても、税制をどうするかという話はお答えようがないと思うんですね。
だからこそ、私どもも、本委員会に鳩山総理に出ていただいて、鳩山内閣として、目玉と言われるこの政策によってこんなふぐあいが生じている、しっかりどういう対策をとるのかということを答弁していただかなきゃならないと思っております。
私どもも鳩山首相の本委員会への出席を求めたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
○笠委員長代理 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
○宮本委員 次に、昨日の参考人質疑でも大きな論点となりました、授業料以外の学校教育費の負担の問題で問いたいと思います。
本会議でも触れましたけれども、文部科学省が調査した子供の学習費調査でも、公立高等学校の学校教育費は年間三十五万六千九百三十七円、授業料部分がたとえ無償化されてもなお二十四万円ほどの負担が残ります。私立高校の場合は、学校教育費は年間七十八万二千九百五十三円と出ておりますから、就学支援金が支給されても六十六万円もの負担が残ります。
昨日の参考人質疑でも、今後、残る部分への支援をお願いしたいとの声が続出しておりました。
これらの負担を軽減するためにどのようにするお考えか、お聞かせいただけますか。
○川端国務大臣 御指摘のように、経済的理由によって修学困難な高校生がたくさんいることは現実にあります。
そういう中で、すべての都道府県において高等学校の奨学金事業を実施していただいているのは御案内のとおりでございまして、高校無償化後の経済的理由により修学困難な者の通学費など授業料以外の負担については、引き続き、この高校奨学金の部分は当然制度としては残りますのでやっていただくと同時に、先ほど来議論にありました修学支援基金が授業料のほかに施設整備費の減免にも活用できるということで、これをできるだけ活用してほしい、使い勝手が悪いという御指摘がありましたけれどもできるだけ使ってほしいということと同時に、我々も弾力的な運用ができるように取り組みをしてまいりたいというふうに思います。
同時に、やはり、基本的に子供に対しての授業料の負担が減るという意味では、トータルの教育費の中でその部分が軽減されるという意味では、一定の軽減がされることは効果はあることは間違いないんですが、さらにもっとということは、ベースからいうと、一段階進んだときにもっとありますよという位置づけのときに、いろいろな今までの諸制度の活用を十分にできるように、あるいは使い勝手がいいようにということと同時に、私たちもやはり給付型奨学金制度というのを念頭にいろいろ議論を今までやってまいりました。これが大変重要な課題だと認識をいたしておりますので、今後ともに、経済的理由により修学困難な高校生に対する支援の充実、そういうことを視野にして議論をして取り組んでまいりたいと思っております。
○宮本委員 給付制奨学金の制度というものを視野に入れて検討する、頑張りたいという御答弁は評価したいと思います。
昨日も参考人が述べておられましたけれども、通学費の負担も非常に大きい、小中学校と違い、身近に通える範囲に高校があるわけではなくて、統廃合の影響もあって遠距離通学となっているという話でありました。
日本高等学校教職員組合が行った二〇〇九年の修学保障のための調査では、通学費が年間五万円以上かかるところがほとんどで、長野県などでは六十八万円もかかるという例が報告されております。通学費が払えなくて学校をやめたというような例もございます。昨日の参考人質疑では、青森県の場合、下宿させるということもあるという話が出されておりました。通学費への補助も具体的に検討すべきだと思います。
それで、今お触れになった給付制の奨学金でありますけれども、今年度の概算要求でもひとまずは給付制の奨学金ということを皆さん方もされたわけですね、結局予算に実りませんでしたけれども。そういう点では、来年目指して、これはまさか、ことし概算要求で要求したものが来年はもう概算要求でも要求しなくなるというようなことは恐らくなかろうと理解しておりますが、そういう方向で御努力いただけますね。
○川端国務大臣 まだ来年度の概算要求はまさにこれからの議論でございますが、私たちがことし要求をしたことは事実でございますし、この委員会の議論も、そういう給付型奨学金の事業が大変重要で必要な状況にあるという御議論があることもしっかり認識をしておりますので、そういうことを基本にしてこれから取り組んでまいりたいと思っております。
○宮本委員 時間ももうなくなってきましたので、最後に私学助成についてお尋ねをいたします。
公私間格差の問題をこの間取り上げてまいりましたけれども、この公私間格差の解消を進める上で、私学助成も充実をさせなければなりません。私学助成を充実させて私学の授業料そのものを軽減するということが大事だと思います。昨日の参考人質疑でも、そうでないと就学支援金が措置されてもその分授業料値上げをする学校も出るという話でありました。経常費補助を増額して対応しないとそのようなことになりかねないと思いますけれども、大臣、私学助成増額への御決意をお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 我が国の高校生の約三割は私学に通っている、そういう意味では高校教育の重要な一翼を私学が担っていただいているということは現実だというふうに思いますし、それは我々としても評価をいたしておるところであります。
そういう意味で、私学助成は、そういう役割を担っていただいている私学の教育条件の維持向上、私学経営の健全性の向上に重要なものであって、仕組みは、私学助成は都道府県でございますが、大変重要であるというふうに思っております。
国においても、平成二十二年度予算案においては、私立高校等に対する私学助成は、国庫補助は前年より四十億減額いたしましたけれども、地方交付税措置、使い道は地方に任されているとはいえ、その分の相当分として百一億円増額ということで、合わせて、私学助成相当分の国庫からの地方への支出は四十億マイナス、プラス百一億ということで、増額をさせていただきました。国の財源としては拡充をするということで対処したと同時に、財源措置においても生徒一人当たりの単価についても増額をいたしました。
そういう意味で、私学が大変大きな役割を果たしているという役割にかんがみて、私学助成を初めとする私学振興には、少子化の時代ということで大変厳しい経営環境にあることも承知をいたしておりますので、引き続き私学振興に取り組んでまいりたいと思っております。
○宮本委員 国庫補助金を四十億円削減するというのはひどいと思うんですね。今地方交付税の措置と合わせればという話がありましたけれども、国庫補助金で減額というのは十六年ぶりですからね。これは、こういうときに私学助成が国庫補助分で減っているというのは、本当に父母にも不安と懸念を広げるものだと言わざるを得ません。
それで、高校以下の私学助成は、一九七五年の制度創設以来既に三十五年が経過をしております。毎年多くの私学関係者、教職員、父母の粘り強い運動もございまして、助成額は少しずつであるが拡充をされてまいりました。近年は他の教育予算が自公政権のもとで削減をされるという状況がありましたけれども、その中でも助成額を維持してきた分野であります。
私学助成は本来経常費の二分の一をというのが皆さんの切実な願いなんです。しかし、現実は、私学助成部分で経常費に占める割合はわずか五・四%、地方交付税措置を合わせても三二・五%でしかありません。まだまだ距離があるんですね。やはり目指す方向として経常費の二分の一助成を実現するのが当然の課題だと私は考えますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
○川端国務大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、私立高校の果たしていただいている役割は大変重要であるということにかんがみて、都道府県を通じてでありますが、国は私学助成を行って、都道府県に対する財源の措置を行っているところでありまして、これはトータルとしては増額をさせていただいたというのは先ほど申し上げたとおりでありますが、御指摘のように、三分の一程度になっておるのが実態でございます。
関係者の期待としては二分の一という強い御要望があることも、長年の経過も承知をいたしております。そして、私学の建学の精神、自主的な部分と公のかかわり方という部分で二分の一が一つのリミットということの議論でもありますが、長年の経過の中でふえていない。できるだけ何とか手当てをしたいということはありますが、トータルの財政事情の中でこういう経過をたどっておりますので、私学助成の充実を図るとともに、私学関係税制の充実等々の側面的支援というんですか、こういうことも総合的な支援策を通じて行ってまいりたいというふうに思っておりますので、引き続き私学の振興に努めてまいりたいと思っております。
○宮本委員 きょうは私学の就学支援金問題から留年問題、特定扶養控除、給付制奨学金、私学助成に至るまで全面的にお伺いをしてまいりました。
世界の多くの国々で高校教育の無償化に向かう中で、我が党は一貫して高校教育の無償化を求めてきましたけれども、今回の法案は一歩前進であり、基本的には賛成であります。だが、きょう指摘したとおり、留年した場合にどうなるのか、特定扶養控除の廃止によって広く負担増が押しつけられるのではないか、あるいは公私間格差が広がるのではないか等々、まだまだ多くの国民の不安や懸念は決して払拭されていないことも事実だと思います。国民が心から歓迎できるよりよい制度にするために、一層徹底した審議を求めて私の質問を終わります。