平成二十二年三月五日(金曜日)
午前九時四分開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君
理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君
理事 笠 浩史君 理事 坂本 哲志君
理事 馳 浩君 理事 富田 茂之君
石井登志郎君 石田 勝之君
石田 芳弘君 江端 貴子君
川口 浩君 城井 崇君
熊谷 貞俊君 後藤 斎君
佐藤ゆうこ君 瑞慶覧長敏君
高井 美穂君 高野 守君
中川 正春君 永江 孝子君
平山 泰朗君 牧 義夫君
松本 龍君 山本 剛正君
湯原 俊二君 横光 克彦君
横山 北斗君 吉田 統彦君
遠藤 利明君 北村 茂男君
塩谷 立君 下村 博文君
菅原 一秀君 永岡 桂子君
古屋 圭司君 松野 博一君
池坊 保子君 宮本 岳志君
城内 実君
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文部科学大臣 川端 達夫君
内閣府副大臣 大塚 耕平君
総務副大臣 渡辺 周君
外務副大臣 武正 公一君
財務副大臣 野田 佳彦君
文部科学副大臣 中川 正春君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
文部科学大臣政務官 後藤 斎君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 金森 越哉君
文部科学委員会専門員 芝 新一君
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委員の異動
三月五日
辞任 補欠選任
牧 義夫君 永江 孝子君
松本 龍君 山本 剛正君
同日
辞任 補欠選任
永江 孝子君 牧 義夫君
山本 剛正君 松本 龍君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(内閣提出第五号)
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○笠委員長代理 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
高校無償化法案の内容を充実する立場から質問をいたします。本日は、この無償化法案の外国人学校への適用問題と、高校の公私間格差問題、私学の無償化問題をお伺いいたします。
まず、文部科学大臣に確認をいたします。
この無償化法案は、法案第二条のとおり、「高等学校の課程に類する課程を置く」、日本にある外国人学校のすべてに適用する、こういうことでございますか。
○川端国務大臣 お答えいたします。
法案では、専修学校と各種学校については、高等学校の課程に類する課程として文部科学省令で定めるものということでございます。文部科学省令において対象を定める際の客観性を保持するために、高等学校の課程に類する課程として、その位置づけが、学校教育法その他により制度的に担保されているということを規定することと予定をいたしております。
そういう意味から、自動的に外国人学校の高等課程に類するものすべてが今の時点で対象になっているということではありません。今からの議論にもよると思っております。
○宮本委員 そこが大問題に今なっているわけですね。
改めて聞きたいんですけれども、日本は、国際人権規約A規約、いわゆる経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約を一九七九年に批准をしております。子どもの権利条約も一九九四年に、あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約についても一九九五年に加入をしております。
この人種差別撤廃条約では、その第五条で、「第二条に定める基本的義務に従い、締約国は、特に次の権利の享有に当たり、あらゆる形態の人種差別を禁止し及び撤廃すること並びに人種、皮膚の色又は民族的若しくは種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等」という権利を「約束する。」こうして、「(e) 経済的、社会的及び文化的権利」、特に五番目には、「教育及び訓練についての権利」を挙げております。
また、首相が施政方針演説で、段階的な無償化条項についてもその留保撤回を具体的な目標とすると述べられたまさにその国際人権規約の第十三条は、「この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。」としております。子どもの権利条約も、すべての者に教育についての児童の権利を認めております。国際条約上、どの国の子供に対しても学ぶ権利をひとしく保障するというのが当然の国際ルールだというふうに思います。
文部科学大臣、この国際ルールは守らなければならない、この認識に違いはありませんね。
○川端国務大臣 国際人権規約のいわゆる留保以外の部分は批准をしておるわけでありますし、その部分に沿ってやることは当然のことでございます。
ただ、今回の無償化の部分、要するに権利という部分でいえば、高校に入りたいのにこの人たちは受験資格があるとかないとか、そういう基本的な権利の阻害はあってはならないことであることは当然でございますが、そういう意味で、今回の部分は高等学校の課程に類する課程という人に対して支援をするということでありますので、高等学校の課程に類するということの判断をすることは差別をすることではないというふうに思っております。
○宮本委員 そもそもこれまでも、まさに今大臣が述べられた大学の入学資格について、文部科学省の対応について国連の子どもの権利委員会では大きな問題になってまいりました。
一九九八年の国連の子どもの権利委員会最終所見で、本委員会は、在日韓国・朝鮮人の子供の高等教育へのアクセスに不平等が存在していることという懸念が表明されました。
二〇〇四年の第二回国連子どもの権利委員会の最終所見では、日本における外国人学校の卒業生の大学入学資格が拡大されたものの、高等教育へのアクセスが依然として否定されている者がいることという懸念が表明されました。
二〇〇一年にも、人種差別撤廃委員会から最終見解が出されまして、「委員会は、韓国・朝鮮人マイノリティに対する差別に懸念を有する。」と、差別的取り扱いを撤廃するために適切な措置をとるよう勧告を受けております。
今回、二月の二十四日、二十五日にスイスのジュネーブで開催された人種差別撤廃委員会でも早速この問題が取り上げられて、高校の無償化法案をめぐって、朝鮮人学校を対象から除外することに意見が出されたと報じられております。
きょうは、外務省から副大臣に来ていただいておりますけれども、どのような意見が委員から出され、そして、日本政府はどのように対応いたしましたか。
〔笠委員長代理退席、委員長着席〕
○武正副大臣 宮本委員にお答えをいたします。
二月二十四日、二十五日にジュネーブにおいて、人種差別撤廃委員会による我が国政府報告に対する審査が行われました。
同審査において、二十四日、ロシアの委員から、高校無償化法案に関して朝鮮人学校を無償化の対象から除外するのかとの質問がありました。また、グアテマラの委員から、在日朝鮮人を排除しようとする態度を憂慮している、日本の新聞の社説がその態度を批判し、日本政府にもう一度見直しをするよう求めているとの発言がありました。
これに対し、二十五日、我が国政府代表団より、いわゆる高校無償化法案がことし一月閣議決定され、本国会に提出され、同法案において、外国人学校を含む各種学校については、高等学校の課程に類する課程として文部科学省令で定めるものを対象とすることとしており、今後の国会における審議等を踏まえつつ適切に対処してまいりたいと発言をいたしました。
○宮本委員 早速こういう懸念が国際社会から示されたわけです。それで、今回もしこの朝鮮人学校を排除するというようなことがあるならば、まさに国連の各委員会で大問題に発展せざるを得ないと思っています。
今回提出された高校無償化法案は、文部科学大臣も趣旨説明でこう述べられたように、「諸外国では多くの国で後期中等教育を無償としており、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約においても、中等教育における無償教育の漸進的な導入について規定されておりますが、我が国はこの規定を留保していることから、この留保の撤回に向けた施策を進めることが求められております。」これが大臣の本法案の趣旨説明であります。諸外国では常識になっているようなこの後期中等教育の無償化を、我が国もおくれた現状を取り戻し進めるのだ、こういう御決意だと思うんですね。
私はこれについては大いに評価をしているんです。しかし、世界の常識からの立ちおくれを取り戻そう、やっと日本もそこに追いつこうというこの法律の審議の過程で、特定の国の外国人学校を排除することによって、新たな非常識、新たに国際的な場でこれはちょっとおかしいんじゃないかと言われるようなことを生み出したのでは、私は本当に重大なことになるというふうに思います。
大臣、その点どのようにお考えになるか、お答えいただけますか。
○川端国務大臣 人権条約の件に関して御評価をいただいていることはありがたいことだと思いますが、何度も先ほど来申し上げていますように、特定の国を排除するとかそういうことではなくて、高等学校に行っている子供たちを応援しよう、それがまさに人権条約の留保条件の撤回につながるわけですから、そういう中で高等学校の課程に類するというものを客観的な判断基準としてどうしたらいいかということを議論しているのであって、何か特定の学校を入れるか入れないかということを議論しているのでないことだけは、ぜひともに御理解をいただきたいと思います。
○宮本委員 特定の国を排除するというつもりはない、高等学校の課程に類する課程を置くということをどう判断するかという問題だ、こうおっしゃいました。
ところで、朝鮮人学校の卒業者が個別資格審査でどれぐらい大学の入学資格を認められ受験し、入学しているのか。先ほども議論がありましたが、もう一度御答弁いただきたいと思います。
○川端国務大臣 制度的に、個々人に対して個別の入学資格審査を大学が行うという制度で入学資格が認められるということが、制度としてあります。
平成十九年度の入試においては、個別資格審査制度を導入している大学数は、国立七十九校、公立五十六校、私立三百十三校の計四百四十八校。なお、国立大学については、平成二十二年になりましたが、現時点では、すべての大学、八十二大学において個別資格審査の制度を導入しております。これで実際に学生が入学した大学というのは、国立七校、公立二校、私立二十八校の三十七校で、入学した学生数は、国立二十三人、公立三人、私立二百十二人の計二百三十八人でございます。
その中間にあります、何人が資格を得たのかという数字は把握できておりませんのと、この中で朝鮮人学校を出た者がどれぐらいかも把握をしておりません。
○宮本委員 一昨日、委員会の皆さんとともに朝鮮人学校を視察してまいりました。そこでは、日本の国公私立のほとんどすべての大学が朝鮮高級学校卒業生の受験資格を認めているというふうにお伺いをいたしました。今、個別資格審査という点では日本のすべての国立大学だというふうに文部科学大臣からも御答弁がありました。説明によると、国立大学、私立大学に入学している子供は、〇八年卒業生で百七十七名中四十七名、〇六年には七十六名にも上っております、日本の大学に進学しておられるのが。
大学受験資格があり、受験した結果大学にも入学しているということは、日本の高等学校と同等の水準の教育を行っているということは明瞭だと思います。高等学校の課程に類する課程を置くという点でもこれは一つの大きな物差しになると思っております。差別なく適用すべきだと私はこう思いますけれども、再度、文部科学大臣の御答弁を求めたいと思います。
○川端国務大臣 この制度も、いわゆる学校として、高等学校ですと高等学校ということで一条校として認められるということで自動的に大学の入学資格はあるんですけれども、そういうことが学校としてはいろいろな状況でできないので個別に認めようという、個人を対象にしている制度であります。
そういう意味では、学校単位にこの学校を高等学校の課程と同等の課程というふうに判断するというときに、この制度で大学に行っている人がいるからという条件だけではなかなか客観的に難しいと思っております。
○宮本委員 先ほどから議論があったように、これだけで認めるかどうかというのは別として、大変大きな指標であるというふうに思っておりますので、くれぐれもそういうふうに国によって差別をしていると受け取られることのないように、国際ルールにのっとった運用を求めたい。これは引き続き議論をしていきたいと思っております。
次に、公私間格差の問題でお伺いをいたします。
この高校無償化法案でありますけれども、概算要求段階で私立高校に対する就学支援金は、年収五百万円以下の世帯まで対象にし、公立高校生の二倍、すなわち二十三万七千六百円が助成される、こういう予定になっておりました。ところが、予算案では、年収二百五十万円程度未満で二倍、年収三百五十万円以下で一・五倍に縮小をされております。
まず確認しますが、なぜ縮小したのか、これによる概算要求からの減少額は幾らか、お答えいただけますか。
○川端国務大臣 お答えいたします。
御指摘のとおり、概算要求時には、年収五百万未満の世帯について支給できるように要求をいたしております。このときの概算要求時の増額支給分については四百億円でございます。最終的には、予算編成の中でも、厳しい財政状況の中で、御指摘のように、二百五十万以下及び三百五十万以下という部分の二倍及び一・五倍という制度になります。結果として百四十億円の予算になりましたので、二百六十億円減額をいたしました。
○宮本委員 概算要求からそれだけの額を減らしたことによって、大きく父母負担を残すことになりました。
先日の本会議で私が大臣に、公立の授業料を不徴収にする一方で私立高校の授業料については一定額の補助にとどまり、公私間格差を助長しかねないと指摘をいたしましたところ、大臣は御答弁で、「私立高校生に対しては手厚い支援を行っているところであり、むしろ公私間格差は縮小すると考えております。」と答弁をされました。これは今も変わりはありませんか。
○川端国務大臣 公立、私立にかかわらず、十一万八千円を年額、平均ですけれども支給するということに加えて、今申し上げました百四十億円分は私立の低所得者に手当てをするということと同時に、都道府県において、昨年まで私立の低所得者層に対しての授業料の減免制度というのがございます。これで総額約二百九十億円、地方において私学の低額所得者に対する授業料減免として手当てをされております。今回、一定額分を国が負担をすることになりました。したがいまして、そこの部分に今までどおり上乗せをしていただきたいと要請をいたしましたが、これ以上上乗せする仕組みでないというところもあれば、いろいろでありましたが、結果として、今調査している段階では、二百六十三億円は引き続き地方自治体が私学への助成をしていただけるということでございます。
そうしますと、例えば三百五十万未満の私学のところにいわゆる十一万八千円プラス二倍ないし一・五倍ということで、総額として三百十八億円、国庫のお金が出ます。それに加えて、減免補助が地方財政として二百六十三ですね。総額五百八十一億円になる。今まで二百九十億円は年収五百万未満に大体やられていましたので、そこまで計算しますと、今まで地方だけがやっていた私学の減免措置二百九十三億円が二百六十三に減額されましたけれども、国庫から出るという分を合わせますと約七百七十七億円になるという意味では、今までよりは相当額手厚い支援が私学の所得の厳しい人に手当てされるという意味では、今までからの相対的な比較においては、縮小するというのは数字的には間違っていないというふうに認識しております。
○宮本委員 それは、国の制度でそれだけの枠を出すわけですから、合計額が前に比べてふえるという議論は当然であって、そんなものが減ってしまうんだったら本当にひどい話になるわけですね。
それで、本会議でも指摘しましたけれども、私立高校に就学支援金が助成されるからと、これまで自治体独自に行ってきた私学授業料減免予算を減額するという自治体がふえている。今御答弁にあったように、全体としても二百九十億円から二百六十三億円へと、これは現に減っているわけです。それで、私どもの調査でも、三分の二以上の自治体がこれを減額することになっているということを指摘をいたしました。
本会議では明確な答弁がありませんでしたけれども、その後、文部科学省から、二〇〇九年と二〇一〇年の各都道府県の私立高校生への授業料減免補助の状況という資料が届きました。前年度から減額した県は幾つあるか、減額した総額は幾らか、ひとつ御答弁いただけますか。
○川端国務大臣 就学支援金の導入後の、これまで把握できた四十五都道府県の平成二十二年度当初予算案の授業料減免補助の予算額によると、平成二十一年度当初予算に比べて増額の県が十一県、減額の県が三十三県となっております。
○宮本委員 三十三県、ですから、これは三分の二を超えるどころか、七三・三%の県で明確に減額になっております。そして、総額で見ると、五十一億五千七百万円の減というふうになると思います。
それを、私は改めて見やすいように資料一にまとめてまいりました。三角印がついているところが全部減額になっているんですね。つまり、国からこの支援金が出るからといって、これまで出していた授業料減免補助を減らしたというのがこの黒三角のついた県でありまして、今ふやした十一県というのは、下の、印のついていない十一だけなわけであります。
それで、資料一の上から二段目、長野県は、二〇〇九年度が一億七千二百万円、今年度はわずか二千七百万円へと実に八四・三%も減額をしております。
これも文科大臣にお伺いいたしますけれども、長野県の今年度の父母負担は年収別にどのようになっているか、聞かせていただけますか。
○川端国務大臣 事前にお尋ねいただいたのでございますが、年代別の保護者の授業料負担額については、ちょっと詳細を把握しておりません。
○宮本委員 私ども、もしつかんでおられなければと思いまして、掌握をしてまいりました。全国私立学校教職員組合連合の調査をお借りして資料をつくってまいりました。資料二に、長野県その他の県についておつけをしてあります。
長野県の今年度の私立学校の一人当たり父母負担、すなわち授業料と施設設備費の平均は四十七万四千六百八十円になります。二〇〇九年度と二〇一〇年度、一番上の長野県の欄の上の段と下の段を見比べていただきたい。生活保護世帯や住民税の所得割非課税世帯、年収約二百八十万円以下という家庭では何の変化もなく、上下とも二十六万二千八百八十円となっております。
長野県では、従来から、年収三百五十万円まで授業料部分の全額免除が行われてまいりました。今回の支援金実施に当たっても、県の減免制度は授業料に限っておりますので、年収三百五十万円までの層は父母負担は少しも減らないということになります。残るこの二十六万何がしというのは、つまり、授業料と本来同等の位置づけである施設設備費が丸々残るわけです。
これは、三段目につけた栃木県も、上下とも十三万六千円余り、全く同様の事態になっています。
これでは、結局、自治体がこれまで行ってきた授業料減免を国の就学支援金で肩がわりしてやるだけということになるのではありませんか。生活保護世帯、所得割非課税世帯で二十六万円という負担は極めて重いです。父母負担の軽減につながらないのでは法律の趣旨に反する、こう言わざるを得ません。
文部科学省はこういう事態をつかんでいるのか、そしてどのように是正するのか、大臣、ひとつ答弁をいただきたいと思います。
○川端国務大臣 トータルとしては増額になるということを申し上げました。そして、個々の県において多少のばらつきがあることは事実でございます。
そういう中で、二百五十万程度未満の世帯に対しては既に全額免除相当の補助を行っている県、いわゆる全額補助ですので、すべてということをやっているところを除いたすべての都道府県で、就学支援金と合わせると増額になるということになっております。二十四都道府県では、新たに、今までそうでなかったのを全額授業料の免除、既に行っている十三県と合わせて三十七都道府県で全額免除相当の支援になる。あるいは十県では、全額でないものの、現在よりも手厚い支援と予定しています。
三百五十万未満の世帯に対しても、八府県で新たに授業料を全額免除相当の支援、既に行われている四県と合わせると十二府県で全額免除相当の支援、二十七都道府県で、全額免除でないものの現在より手厚い支援になるということで、おおむね手厚い支援になるんですが、御指摘の例は、こういうところが出てまいりました。
私たちとしては、都道府県に対しての財政措置も二十億円を五十億円に増額いたしました。そういう部分であとは地方自治の判断にゆだねることになっているんですが、できるだけそういうことのないようにお願いをしているというのが現状でございまして、御指摘の部分は、こういう実態にあることが事実として起こってしまったということでございます。
○宮本委員 前よりもよくなるところがある、そんなことはわかっているんですよ。問題は、何も変わらなかったり悪くなるところが生まれるおそれがあるということを申し上げているわけです。
資料二の二段目に静岡県をつけておきました。静岡県は、授業料、施設設備費で今年度で平均五十一万三千五百四十七円ということになるんですけれども、これが父母負担なんですが、二〇〇九年度と二〇一〇年度とを比べていただきますと、なるほど、生活保護世帯は下がっておりますけれども、問題は、所得割非課税、年収二百八十万円以下という左から二つ目の欄であります。昨年度二十九万七千五百四十七円、それが今年度は何と三十三万五千三百四十七円、これは逆に四万円も負担がふえるということに私どもの調査ではなるんですけれども、こういう事例が生まれるのではありませんか。
○川端国務大臣 こういう試算、家族がどれぐらいいて、どういう前提条件にするかということでいろいろあるということで、この事例に関して詳細を把握していないのでコメントをできないんですけれどもというのがお答えでございます。いろいろな前提条件によるんだというふうに思います。
○宮本委員 これは、授業料だけに限って、そして施設設備費も含めてきちっと無償に向かうということをやっていかないと、やはりこういう問題は解決しないと思うんです。
それで、私たちの調査でも、公立高校と同額の補助しかされない三百五十万円から四百万円世帯の学費負担というのが、大変枠外に置かれてくるわけですよ。京都の五十二万三千九百九十円、岡山では四十九万二千五十六円、こういう高額負担の県が出ている一方で、北海道では、この三百五十万円から四百万円世帯というところでは十四万千百七十一円というふうになりまして、自治体間のばらつき、格差というのも非常に大きいわけです。
つまり、県による地域格差をこのように放置しておいていいと思うのか、もっとこういう問題についてしっかりと目を配るべきではないか。この点、川端大臣、いかがですか。
○川端国務大臣 国としては、公立の授業料不徴収と同時に、私学に対して一定の同額プラスアルファの支援をするという中で、先ほど申し上げましたように、地方の財政措置も講じる中で、地方自治体それぞれがその地域の実情に応じてきめ細かく対応していただくという仕組みになっておりますので、私たちとしては、できるだけきめ細かくかさ上げできるようにという要請はいたしておりますけれども、最終的には地方の判断でおやりになるという状況でございます。
また、先ほど、施設整備費等のお話がありました。高校生修学支援基金も、授業料あるいは授業料以外の施設整備費の減免補助にも活用できますので、これも、都道府県に対して、そういう活用することの充実もお願いをしているところでございます。
○宮本委員 もう時間ですので、最後に大臣にお伺いいたします。
私は、私学にはこうした五十一万、五十二万というような高学費を残す一方で、これは当然のことでありますけれども、公立高校は所得にかかわらず授業料不徴収となる。この私学の負担感というのは圧倒的なものだと思うんですね。だから、大臣は格差は縮まるとおっしゃるけれども、私立と公立の格差感というのは広がる、こう言わざるを得ません。
予算編成段階での私学支援分の削減というのはやはり大きく響いていると思います。また、県独自の減免予算の削減が響いているわけです。各県の減免制度の上限を授業料の範囲にとどめて、本来授業料と同等であるはずの施設設備費が除かれているというのも一つの原因だと思っています。
国の予算を今こそもっとふやす、自治体予算をちゃんと拡充させて、やはり、施設設備費も含む私学学費についてもすべてを無償化させるべきだと、その方向に向かうという大臣のこの御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○川端国務大臣 私学に対する助成は、一つは、地方は地方の実情に合わせた、それぞれの特色ある対応をしていただきたいということでございます。
同時に、私学の果たしていただいている役割は大変大きいわけでございますが、トータルの額としていえば格差は縮小する方向で予算措置されていることは間違いありませんが、格差の拡大感とおっしゃいました、感があるというのは事実でございます。それは、一方は払わなくていいという部分でありますが、私学とのそれぞれの役割の中で国としてどうかかわってお手伝いするのがいいのかという今までの議論もありますので、きょうの意見も踏まえながらまたいろいろと議論し、対応してまいりたいと思います。
○宮本委員 終わります。