二月二十六日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
田村 憲久君
平成二十二年二月二十六日(金曜日)
午前九時一分開議
出席分科員
主査 伴野 豊君
岡本 充功君 沓掛 哲男君
中林美恵子君 江田 康幸君
富田 茂之君
兼務 宮本 岳志君
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厚生労働大臣 長妻 昭君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
厚生労働大臣政務官 山井 和則君
厚生労働大臣政務官 足立 信也君
厚生労働委員会専門員 佐藤 治君
予算委員会専門員 杉若 吉彦君
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分科員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
岡本 充功君 福田衣里子君
富田 茂之君 江田 康幸君
同日
辞任 補欠選任
福田衣里子君 岡本 充功君
江田 康幸君 佐藤 茂樹君
同日
辞任 補欠選任
佐藤 茂樹君 高木美智代君
同日
辞任 補欠選任
高木美智代君 富田 茂之君
同日
第六分科員宮本岳志君が本分科兼務となった。
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本日の会議に付した案件
平成二十二年度一般会計予算
平成二十二年度特別会計予算
平成二十二年度政府関係機関予算
(厚生労働省所管)
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○伴野主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。
平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮本岳志君。
○宮本分科員 大臣、政務官、おはようございます。日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、放課後児童健全育成事業、いわゆる学童保育についてお伺いしたいと思います。
学童保育は、親の就業を保障するというだけでなく、子供たちにとって、かけがえのない遊びと生活の場でありまして、育ちの場となっております。かく言う私の二人の子供たちも、かつて学童保育にお世話になって育ってまいりました。
私はこの間大阪で、学童保育の指導員さんたちや子供たちから、直接、学童保育のすばらしさ、値打ちについて、いろいろと話を聞かせていただいてまいりました。
日本で最初の学童保育所は大阪市東住吉区の今川学童保育所で、一九四八年に開所したと言われておりますから、学童保育というものはもう六十二年の歴史を持ちます。
ただいまと元気な声で帰ってくる小学一年生、そして、お帰りと温かい声で返事を返す指導員。勉強道具がいっぱい詰まった重たそうなランドセルをおろし、早速、きょう学校であったことを指導員に一生懸命話し始める姿は家庭そのもので、話を聞く指導員も、子供たちの学校での生活に変化はないかと気を配る。また、学校には行けなくとも学童には行けるという子供たちもおります。学童保育は留守家庭の子供たちのオアシスだと語られておりました。学童っ子として育った子が今は二十になり、同じ学童で指導員として働いている、次は親として我が子も学童で育てたい、そういう感動的な話もお伺いをいたしました。
まず、厚生労働大臣に確認をいたしますけれども、政務官で結構ですけれども、児童福祉法第六条の二第二項では、放課後児童健全育成事業をどう規定しておるでしょうか。
○山井大臣政務官 宮本委員にお答え申し上げます。
放課後児童クラブについては、児童福祉法第六条の二の二項において、放課後児童健全育成事業として位置づけられております。
具体的には、この法律ではこの育成事業とは、「小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、政令で定める基準に従い、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。」というふうに規定をされております。
○宮本分科員 適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る、これが大切なところだと思います。
ただ単に遊ばせておけばよいというものではありません。あくまで、保護者が仕事で昼間家庭にいない子供たちにとって、学童保育は生活の場であり、指導員はいわば親がわりの役割も負っているわけであります。だからこそ、ただいまと帰ってくればお帰りと迎え、親のかわりに一日学校であったことも聞く。これは、児童福祉法に定められた福祉事業であって、親にかわって生活の場を保障するかけがえのない事業だ、これは大臣、間違いないですね。
○長妻国務大臣 今言われた趣旨だと思います。
保育所から小学校一年生になって、やはり親御さん、働かざるを得ない方、御心配だと思いますけれども、この放課後児童クラブはその延長線上にもある非常に重要なシステムだと思っています。
○宮本分科員 二〇〇七年四月からスタートした放課後子どもプランは、当初、文部科学省の放課後子ども教室と厚生労働省の放課後児童健全育成事業を一体的あるいは連携して実施する総合的な放課後対策という表現がとられておりました。そして、すべての小学校区での実施が目指されておりました。
しかし、ことし一月二十九日に新政権のもとで閣議決定されました子ども・子育てビジョン、私もこれを見せていただきましたけれども、この中での書きぶりは少し変わっております。このビジョンの中の施策の具体的内容では、「「放課後子どもプラン(放課後児童クラブ・放課後子ども教室)」の推進」として何と書かれてあるか、これも政務官、ひとつお答えください。
○山井大臣政務官 子ども・子育てビジョン、施策の具体的内容、私もこの作業に実務としてかかわらせていただきましたが、その中では、「「放課後子どもプラン」などの取組について、全小学校区での実施を図るため、放課後児童クラブと放課後子ども教室を連携して実施する総合的な放課後児童対策を推進します。」というふうに記載をいたしました。
○宮本分科員 放課後児童クラブと放課後子ども教室を連携して実施という表現になり、一体的という言葉が抜け落ちているわけです。実は、これは非常に大きな意味を持つことだと思います。
自公政府のもとで始まった放課後子どもプランについては、この一体的という表現があったために、関係者からも大きな不安と懸念が表明をされてまいりました。
二〇〇六年六月一日の衆議院青少年問題に関する特別委員会、私、これも会議録をすべて読ませていただきましたけれども、この特別委員会でも、この一体的という表現のために、この本来別々の意義を持つ事業が一本化されてしまうのではないか、あるいは学童保育がなくなってしまうのではないか、我が党はもちろんでありますけれども、自民党の委員も民主党の委員も、とにかくみんながその不安と懸念を表明しております。そして、当時の馳浩文部科学副大臣も、厚生労働省の北井久美子雇用均等・児童家庭局長も、これまでの放課後児童クラブの果たしてきた機能、役割が損なわれないようにするという旨の答弁を繰り返しておられます。
今回の子ども・子育てビジョンでこの一体的という言葉が抜け落ちたことは、放課後児童クラブと放課後子ども教室という本来別々の意義を持つ事業は、連携は必要だとしても、まるで一体化してしまうかのような誤解を与えることのないようにするというふうに理解してよろしいでしょうか。
○山井大臣政務官 この策定に私もかかわりましたので、お答えさせていただきます。
放課後子どもプランは、放課後等の子供の安全で健やかな活動の場の確保を図る必要があるということで、すべての小学校区において、先ほど言いましたように、放課後児童クラブと子ども教室推進事業を一体的あるいは連携して実施する、こうなっていたわけですが、先ほど私も答弁しましたように、今回の子育てビジョン、子どもプランの中では連携して実施するとなっております。
これは、宮本委員御指摘のように、さまざまな議論があることは私たちも承知をしておりますが、プランの実施方法の趣旨を変更したものではないと私たちは理解をしております。そして、両事業を一体的あるいは連携して実施するかどうかは、地域の実情に応じて、自治体の判断により実施するものと考えております。宮本委員のおっしゃる意味は、よく理解をしております。
○宮本分科員 これはやはり、きちっと議論をしていただかなきゃならない問題なんですね。
それで、実態は、二〇〇六年当時のみんなの危惧というものは、実は現実のものになりました。一体的という名目での学童保育の形骸化が各地で進められてきたというのは事実なんです。私の地元、大阪市などでは、放課後子ども教室と学童保育とを区別すると逆に差別になるので、区別はしない方がよいなどという論まで堂々と飛び出しているありさまであります。
今回の子ども・子育てビジョンでも、「「放課後児童クラブガイドライン」を踏まえ、放課後児童クラブの質の向上を図ります。」こういう表現も出てまいります。
これも確認いたしますけれども、学童保育の質を向上させる上で、二〇〇七年十月に出された放課後児童クラブガイドライン、これを踏まえることが大切だという立場には変わりはありませんね。
○長妻国務大臣 先ほど山井政務官も、地方の実情に応じてという話で、大阪市の資料も入手しましたけれども、放課後子ども教室と児童クラブを組み合わせたり、いろいろ三つぐらいのメニューでやられていると聞いておりますけれども、ただ、その根本にあるのは、今おっしゃられた放課後児童クラブガイドラインというのが基礎にあるわけであります。
中身は言うまでもありませんけれども、集団の規模についてはおおむね四十人程度までとすることが望ましいとか、最大七十人までとするとか、あるいは、土曜日や長期休業期間等は保護者の就労実態等を踏まえて八時間以上開所ということで、夏休みもやっていただくような、こういうガイドラインというようなものについては変わっておりません。
○宮本分科員 では、現場でこのガイドラインが守られているかということをお伺いしたいんです。
大阪市では、いきいきクラブと呼ばれる学童保育の事業と、全児童対象のいきいき活動というものは、まさに一体的にやられてまいりました。ある小学校では、それぞれの表札はかかっているものの、いきいきクラブ室では遊びを中心とし、いきいき活動室では受付と宿題など学習をすることになっております。また、別の小学校でいいますと、学校施設の一階でいきいきクラブをやり、二階でいきいき活動をやるというふうに部屋を分けているものの、日常的には一階のいきいきクラブを全体で使用し、いきいき活動の部屋はほとんど使われていない、こういう実態があります。
政府が踏まえることが大切だと今おっしゃっている放課後児童クラブガイドラインでは、「児童のための専用の部屋または間仕切り等で区切られた専用スペースを設け、生活の場としての機能が十分確保されるよう留意すること。」「子どもが生活するスペースについては児童一人あたりおおむね一・六五平米以上の面積を確保することが望ましい。なお、子どもが体調の悪い時などに休息できる静養スペースを確保すること。」等々を示しております。
ガイドラインに照らしても、およそ、いきいきクラブに生活の場としての機能が保障されているとは言いがたいと私は思いました。これが学童保育とみなされて、国からの補助金対象となっているというのは一体どういうことなんですか。
○山井大臣政務官 今、大阪市の事例を御指摘いただきました。
確認になりますが、平成十九年度に策定した子どもプランにおきましては、児童クラブと子ども教室を一体的あるいは連携して実施することにより推進するということを定めておるわけですが、ただし、これは委員御指摘のように、当然、放課後児童クラブとしての質が確保されていることを前提としたものであります。
この放課後児童クラブと放課後子ども教室を一体的に実施する場合においても、放課後児童クラブの補助の要件を満たしていることが必要であります。事業の実施主体である大阪市において、補助の要件に照らし、運営状況を御確認いただいているものと考えております。
○宮本分科員 それは当然のことであって、ガイドラインに沿ってきちっと基準を満たしていただかなきゃならないわけですけれども、しかし、このガイドラインというものが技術的助言だとされておりまして、決して最低基準という扱いになっていないわけですよ。
このガイドラインを出した二〇〇七年十月十九日の局長通知というものも私は読ませていただきましたけれども、最低基準ではない、こう書いてあるんですね。同時に、放課後児童クラブを運営するに当たって必要な基本的事項を示し、望ましい方向を目指すものだとも書いてあるわけなんです。
必要な基本的事項を示すというのであれば、本来、最低基準と言うべきだと私は思う。そういう形でガイドラインを運用してきて、もう二年たちます。そして、現に実態、現場で起こっていることは、これを一体的という表現で、必要な基準すら守られないという事例があるわけですから、学童保育が望ましい方向へ進むためには、ガイドラインをもっと充実させる、そしてやはり最低基準に格上げすることを検討すべきではないか、私はそう思いますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
○長妻国務大臣 今御指摘の放課後児童クラブガイドラインでは、クラブとして望ましい運営内容を目指すためのガイドラインという位置づけになっておりまして、一方で、やはり地域の実情に応じた運営をお任せしていくということも必要だ。
つまり、待機児童、保育所ではそういうふうに呼びますけれども、放課後児童クラブの定員が本当にどういう状況なのかというのは地域によっても異なりますので、一律にこのガイドラインを最低基準として義務づけるということに関しましては、やはり地方の自由度、事情、そういうものに応じた対応がなされるべきだというふうに考えておりますが、当然、このガイドラインの趣旨をよく御理解していただいて運営をしていただくというのは大前提にあるというふうに考えております。
○宮本分科員 地方の自由度に任せておけば、今申し上げたような事例が生じているということを私も指摘させていただいたわけですから、ぜひ御検討いただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思うんです。
この放課後児童クラブガイドラインでは、職員体制、それから指導員についても定めております。どのように定めてあるか、政務官、お答えいただけますか。
○山井大臣政務官 放課後児童クラブガイドラインにおいて、職員体制については、「放課後児童クラブには、放課後児童指導員を配置すること。放課後児童指導員は、児童福祉施設最低基準第三十八条に規定する児童の遊びを指導する者の資格を有する者が望ましい。」と記載をされております。
私自身、大学時代、児童福祉施設の、まさに放課後の子供の遊び相手を六年間やっておりまして、そこで福祉に関心を持ったということもありますが、やはりこういう職員体制というのは非常に重要だと思っております。
○宮本分科員 今答弁にありましたように、ガイドラインでは指導員について、児童福祉施設最低基準第三十八条に規定する児童の遊びを指導する者の資格を有する者が望ましいとして、放課後児童指導員の役割について、子供の人権の尊重と子供の個人差への配慮、あるいは保護者との対応・信頼関係の構築など六つの留意点を示すとともに、七つの活動というものを列挙しております。この七つを、これも政務官、ひとつお願いします。
○山井大臣政務官 放課後児童クラブガイドラインにおいて、放課後児童指導員の活動について、次のとおり書かれております。
(1)子どもの健康管理、出席確認をはじめとした安全の確保、情緒の安定を図ること。
(2)遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと。
(3)こどもが宿題・自習等の学習活動を自主的に行える環境を整え、必要な援助を行うこと。
(4)基本的生活習慣についての援助、自立に向けた手助けを行うとともに、その力を身につけさせること。
(5)活動状況について家庭との日常的な連絡、情報交換を行うとともに、家庭や地域での遊びの環境づくりへの支援を行うこと。
(6)児童虐待の早期発見に努め、児童虐待等により福祉的介入が必要とされるケースについては、市町村等が設置する要保護児童対策地域協議会等を活用しながら、児童相談所や保健所等の関係機関と連携して対応を図ること。
(7)その他放課後における子どもの健全育成上必要な活動を行うこと。
と記載されております。
○宮本分科員 今、七つ読み上げていただきましたけれども、本当に専門的で、そしてやはり相当大きな役割が求められているわけです。児童虐待の早期発見に努め、児童虐待等により福祉的介入が必要とされるケースについては、きちっと関係機関にも連携してそれに対応するということも求められるわけですね。
まさに、学童保育指導員は、昼間家庭にいない保護者にかわって、いわば親がわりの役割をも果たさねばなりません。だからこそ、ガイドラインにも、放課後児童指導員としての資質の向上ということがきちんと掲げられております。つまり、全児童対象の放課後子ども教室における指導者と違って、特別の専門性が求められる、これは明瞭なことだと思うんですけれども、大臣、この点の御確認をお願いしたいと思います。
○長妻国務大臣 これは確かに、余り御存じない方は、子供と遊ぶ方だという認識程度の方もいるかもしれませんけれども、小学校一年から三年ぐらいの子供を、本当に親がわりで、今言ったような非常にデリケートな心を持っておられる時期でありますので、非常に専門的な知識も必要だ、大変な仕事だと一言で言えば思います。
現在、二十一年五月現在ですけれども、指導員の七割が児童の遊びを指導するなどの資格を有しておられるというふうに聞いておりまして、今後とも、そういう皆様方が専門知識をつけていただくために、厚生労働省としても後押しをしていきたいと考えています。
○宮本分科員 大臣から大変心強い答弁をいただいたわけです。
ところが、何と、その専門性を持つべき多くの学童保育指導員が極めて不安定な雇用のもとに置かれているわけです。
全国学童保育連絡協議会の二〇〇七年の調査によれば、回答を寄せた指導員六万四千三百人中、公営の学童保育で正規職員となっているのはわずか二千六百人。それに対し、非常勤や嘱託、パートといった非正規職員が二万八千四百人。法人など民間で運営されているところでは、正規職員は一万四千五百人。非正規職員が一万八千八百人。両方合わせても、圧倒的に、指導員は非正規職員として働いておられます。
二〇〇六年三月十五日、衆議院厚生労働委員会で、当時の川崎厚生労働大臣は、放課後児童クラブにおける職員と児童の関係は、児童の健全育成の観点から重要であることから、職員にはできる限り継続的に勤めていただけるよう、自治体において研修の充実などに配慮していただくことが重要だと答弁されております。
前政権でもこういうふうにおっしゃったわけですから、これはもう、新しい政権の長妻厚生労働大臣、この立場に変わりはないと思いますが、いかがでしょうか。
○山井大臣政務官 大臣の前に、私も一言。なぜかといいますと、川崎大臣に質問をしたのは私でありますので。
当時から、宮本委員御指摘のように、やはり専門性を持ってもらうためには継続した雇用が望ましいというふうに私自身も思っております。
やはり、長妻大臣からも御指摘ありましたように、ただ単に遊ぶだけではなくて、子供にとってはすごく重要なひとときを過ごすわけでありまして、小学校の時間よりも逆に学童クラブの時間の方が夏休みも入れると長くなっていますし、子供にとっては、かた苦しい授業というのを超えて、本当に先ほどおっしゃったようなオアシスを提供する、そういうさまざまな、ある意味で学校の先生にまさるとも劣らない専門性というのがこれから必要となってくるのではないかと思っております。
○長妻国務大臣 川崎厚生労働大臣の議事録も拝見しておりますけれども、基本的には立場は変わっておりません。
継続的な勤務が望ましいということでありますけれども、その一方で、やはり職員の方を自治体が確保しなきゃいけない、こういう要請もあるのも事実でありまして、その中で、今はこういう、今おっしゃられた非正規、正規の比率になっているということであります。
いずれにしても、継続的な勤務、そして専門性、知識の向上ということについては、今後とも我々としては進める立場にあるということです。
○宮本分科員 しかし、今現実に自治体の現場で起こっていることというのは、できる限り継続的に勤めていただけるようになどというものではないんです。
全国学保連の先ほどの調査によれば、勤務できる年数に制限を設けている自治体が、回答を寄せた七百七十一自治体中、百五十五自治体ございます。私の地元である大阪では、豊中市、茨木市、寝屋川市、枚方市、四条畷市などで、指導員が三年任期の任期つき雇用に置きかえられてきております。
総理は施政方針演説で、「放課後児童対策の拡充など、子供の成長を担う御家族の負担を社会全体で分かち合う環境づくりに取り組みます。」こう述べられたわけですけれども、こんな雇用の現状では、子供たちの成長と発達を保護者や教師らとともに支える指導員の専門性も継続性も守られない、こういうことだと思うんです。
これは厚生労働大臣、そういうふうに思われませんか。
○長妻国務大臣 これは一般の企業でもそうなんですけれども、非常勤で、正社員とか正職員を望まれる方全員がそういう形になるというのは理想だと思いますけれども、いろいろな事情、財源等々でそういう形になっている部分もあるということでありまして、基本的な立場としては、質の向上ということで、クラブ指導員の研修費用の補助なども行って、これは毎年度やっておりますけれども、そういう形で我々は支援をしていきたいと考えております。
そしてもう一つ、先ほど御紹介いただいた子育てビジョンを受けて、新しいシステム、幼保一元化も含めた、子供の育ちをどう現物支給で支援していくか、こういう検討会が始まりますので、その中でもよくそれは議論をしていきたいと思います。
○宮本分科員 私、今議事録を、青少年特でやられた議論もここに持ってきたんですけれども、かつて厚生労働省は、このガイドラインをつくる過程で、まだ厚生労働省の放課後児童クラブにおけるガイドラインが出る前ですけれども、これをつくる前にどういうものを参考にするかという議論をやっておりまして、我が党の石井郁子衆議院議員の問いに答えて、財団法人こども未来財団が発表した放課後児童クラブにおけるガイドラインに関する調査研究というものについて当時の厚生労働省の村木さんが、こども未来財団の調査研究報告、大変いい内容でございまして、私どももこれをしっかり参考にしてガイドラインをつくりたい、こういうふうに答弁しておるんです。これは政務官でいいですけれども、事実ですね。
○山井大臣政務官 宮本委員御指摘のように、子供と安定的に継続的なかかわりを持てるように配置されることが求められるという、このような記述、これはまさにこれからも守るべきであると思います。
私の地元でも、学童クラブの指導員の方が、非常にすばらしい指導員さんだったんですけれども、やはり余りにも雇用が不安定で先が見えないということで、その仕事は好きだったんですけれども、泣く泣くほかの仕事に転職されてしまったという本当に残念な残念なケースがあって、子供たちも大変悲しんだというケースもありますので、やはり、継続して、プロの仕事としてやっていけるようにしていかねばならないと思っております。
○宮本分科員 ぜひ、そういう方向で頑張ってください。
最後に、社会保障審議会の少子化対策特別部会での議論で気になる点を一つ確認しておきたいと思うんです。
学童保育を全国的に実施していくことや、小学校全期を対象として量的拡大を図っていくことや、質の維持向上を図るべく制度上の位置づけや財源のあり方を検討する、これは大いに賛成でありますけれども、しかし、非常に危惧されるような議論も出てきております。多様な体験活動を保障すると称して、地域のボランティアや定年退職者など多彩な人材の参画が、指導員の質の確保の中で論じられているわけです。
先ほどから議論しているように、指導員には保育士や教師のように高い専門性が求められます。指導員がいた上で、多様な体験活動を保障すべくボランティアや定年退職者の力もかりるというのならば、学童保育の質の向上にもつながるかもしれません。しかし、この部会では、指導員の配置の基準や指導員への研修などを議論しておりまして、多彩な人材を安易に指導員にとってかえる、こういうことがあったのでは、指導員の質の確保どころか、学童保育の質そのものが守れないと思うんです。
厚生労働省として、多彩な人材という言い方で、安易に指導員としてこれを入れかえるというようなことはないと私は思うんですけれども、その点を最後に確認して、私の質問を終わります。
○長妻国務大臣 昨年の九月一日、少子化対策特別部会でいろいろ議論があって、地域ボランティア、定年退職者など多様な人材の参画とありますけれども、もちろん、放課後児童クラブで、これまでやっていた方が全くいなくて、地域ボランティアの方だけでやるということではありませんで、きちっと専門知識を持った方がいた上で、そういう方々の御協力もいただいて、行く行くは、御関心があって専門知識を身につけるということであれば、そういう方々に仕事についても同じ立場で参画していただく、そういう趣旨だと考えております。
○宮本分科員 ありがとうございました。