平成二十一年十一月二十六日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 池坊 保子君
理事 石井登志郎君 理事 小野塚勝俊君
理事 黒田 雄君 理事 佐藤ゆうこ君
理事 園田 康博君 理事 菅原 一秀君
理事 松浪 健太君 理事 高木美智代君
打越あかし君 大泉ひろこ君
大山 昌宏君 京野 公子君
小林 正枝君 道休誠一郎君
初鹿 明博君 松岡 広隆君
山崎 摩耶君 山本 剛正君
柚木 道義君 あべ 俊子君
馳 浩君 宮本 岳志君
吉泉 秀男君
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国務大臣 福島みずほ君
内閣府副大臣 大島 敦君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
厚生労働副大臣 細川 律夫君
厚生労働副大臣 長浜 博行君
内閣府大臣政務官 泉 健太君
法務大臣政務官 中村 哲治君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
厚生労働大臣政務官 山井 和則君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 松田 敏明君
衆議院調査局第一特別調査室長 湯澤 勉君
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委員の異動
十一月二十六日
辞任 補欠選任
室井 秀子君 松岡 広隆君
同日
辞任 補欠選任
松岡 広隆君 室井 秀子君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
青少年問題に関する件
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○池坊委員長 次に、宮本岳志さん。
○宮本委員 大臣、大変お久しぶりでございます。日本共産党の宮本岳志です。
大臣は朝の所信的あいさつでも、心身ともに健康で社会的に自立した青少年を育成していくことは、我が国の将来を左右する、そして政府の最重要課題だというふうに位置づけられたと思います。ところが、我が国の現状は、高校卒業予定者の就職先も決まらない、自立どころか働く場所さえ保障できないという状況が今広がっております。
きょうは、私、福島大臣と政治家としての大きな議論をしたいと思っておるんです。
私は、この間、求人倍率が〇・二六と大変深刻な青森県、そして私の地元大阪で、高校の新卒者の就職の問題を、労働局や県当局、高等学校の教職員組合の先生方から子細に実態をお伺いしてまいりました。
まず、福島大臣に基本認識を問いたいんです。
この新規学卒者の就職問題というのは、雇用問題一般には解消できない問題だ、一人一人の子どもたち、若者たちの未来と人生にかかわる問題でありますから、一人の子どもも路頭に迷わせてはならない、つまり、たとえ社会全体の雇用が悪かったとしても、この新規卒業者の進路の保障というのは絶対に放置するわけにいかない問題だ、こういう問題意識は共有していただいておるでしょうか。
○福島国務大臣 第二のロストジェネレーションをつくらないように、高校や大学を卒業して新卒の段階でなかなか求人が得られない、そんな状況をなくすべく、政府挙げて頑張ってまいります。
○宮本委員 そういう認識の共有はできると思うんです。ところが、今深刻なのは、そもそも求人がないということなんですね。
私、ここに持ってきたのは、青森県が知事、労働局長、教育長三者の連名で十月の十四日に発出した、県内の経済団体向けの要請書、「新規高等学校卒業予定者に対する求人の拡大について」というものでありますけれども、これによりますと、求人がこのまま低水準で推移し続ければ、高校卒業とともに失業状態となる若者が生じ、本県経済社会に深刻な事態を招くというふうに述べております。
この求人がないということを一体どう解決するのか、これは具体論で言えば一番大事なことだと思うんです。要するに、一般論でなく、高校卒業生の就職先、求人をどう確保していくか、この点について、少し大臣の御所見を伺いたいと思います。
○福島国務大臣 緊急雇用対策本部の中で、先日、緊急雇用の提言が出されました。
なかなか困難ではありますが、第一次産業や、あるいはグリーンエナジーというグリーン産業の問題、あるいは福祉や教育、医療部門などでどうやってそこに雇用をつくっていくのか。あるいは、今議論しているのは、例えばエコ住宅、住宅のところなどで、大規模な建設業ではなく、地元の、地域の建設業などをきちっと応援することで、地元で採用される若者をどうやってふやすのか。地方分権的な産業育成と、そこでの雇用創出が本当に必要だと思っています。
そして、政府は、緊急雇用対策本部のもとに新卒者支援チームを設置して、高校生に対する就職支援についても、内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が一体となって取り組んでいくこととしています。
私としても、青少年育成の観点から、新卒者支援の強化を訴えていきたいと考えています。
○宮本委員 十月の二十三日に緊急雇用対策が出された。それから、そのもとに新卒者のチームを置いておられる。私もそれは伺っておるんです。ただ、問題は、現に今起こっていることはどういう問題なのかということを、ひとつ、きょうは現地で私がつかんできたことを御紹介したいと思うんです。
青森、大阪の現場で調査してみて愕然としたことがございます。それは、大企業の求人減のひどさなんですよ。
青森の弘前のキヤノン関連工場、ここの状況も聞きましたけれども、工場立ち上げの二〇〇七年、おととしには、新規高卒者も含めて千人の求人が必要だと。このときには、もう県を挙げて大わらわで人をかき集めたというんです。ところが、昨年の高卒採用は百人だったんですけれども、ことしはわずか二十人。だから、自分たちが工場をつくるときには、千人要るとなったら県を挙げてやれと言っておきながら、経済状況が悪くなると、こういうふうにがくっと減らしてしまっているんですね。
昨年比で、青森県の電子部品製造部門における高卒者求人、これは、ことしの落ち込みは百四十二人と労働局から聞きましたから、百四十二人のうち、このキヤノン一社が大半を占めている。だから、大都市部ならどの会社がこの原因かとはわかりにくいんですけれども、青森なんかに行きますと、もろにキヤノンの八十がこの分野の百四十二人の大きな原因だとはっきり目に見てわかるわけですよ。
私の地元、大阪・堺のシャープの工場では、昨年、百八十名の高卒予定の求人を出したんですけれども、ことしは百二十名、六十名の減ということになっております。このシャープの工場には、雇用の確保を口実に、大阪府からは四百億円近い補助金が出される、地元堺市からは二百四十億円もの減税を受ける。なぜかといえば、雇用の確保のためです。ところが、この至れり尽くせりの支援を受けながら、景気が悪くなったら新規高卒者の求人を減らすというのでは、これはもう、大阪府や堺市に対する約束違反だと言わなければなりませんね。
そこで、大臣にお伺いするんですけれども、一般論ではなくて、つまり、こういう大企業に対して、きちっと雇用を確保してほしい、特に新規卒業者の雇用を減らすことはやめてほしい、こういうことをはっきり物を言うべきだと私は思うんですが、福島大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○福島国務大臣 企業に社会的責任があることは、それは確かだと思っています。確かに企業は、経営や採算やいろいろな、またそっちの企業の原理というのがあることは理解ができますが、他方、企業の社会的責任というのもあるわけですし、自治体挙げて誘致をしてきた、あるいはいろいろな援助をしてきたという今までの経過もあります。
それで、十月二十三日に取りまとめた緊急雇用対策においては、経済団体、業界団体等に対する求人拡大の要請等を推進していくことが盛り込まれています。ですから、私は緊急雇用対策本部の一員でもありますので、新卒者支援チームの取り組みを後押しするとともに、関係省庁とも連携しながら、大企業に対し、新卒者雇用について理解を求めてまいります。
○宮本委員 福島大臣らしい御答弁だと思っておりますけれども。
大臣は、ことし二月二日の参議院本会議、私、当時おりませんでしたけれども、そこで代表質問をされまして、企業の社会的責任ということについて触れられておりますね。
「自動車や電機などの日本を代表する大手製造業十六社だけでも、内部留保はこの六年間で十七兆円から三十三兆円に増えています。大企業は多額の内部留保を持ちながら、例えば日系ブラジル人の人たちなども真っ先に首を切られ、家族が路頭に迷い、子供たちは学校に行けなくなり、ブラジルなどに帰りたくても費用がないなどの人道上も許し難いことが今起きています。」とその当時言われましたけれども、日系ブラジル人の方々にも大変なことが起こっていますが、我々の子どもたち、日本の高校生が、内部留保をため込んだ大企業の人減らしによって本当に働き場所を持てないという状況が現場で起こっているわけですよね。ですから、私は、はっきり大企業にやはり物を言う必要があるというふうに思います。
この国会、十一月の四日、衆議院の予算委員会で、我が党の笠井亮議員が鳩山首相に、大企業に対して毅然とした態度で物を言うべきだ、こう迫ったんですね。そうしたら、鳩山首相からも、そのように頑張りたいというお答えをいただきましたから、私はこの際、やはり大企業そのものに対して、雇用をしっかり確保せよ、社会的責任を果たせということを政府として物を言うべきだと思うんですけれども、これに対する大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
○福島国務大臣 ありがとうございます。
いろいろな経済団体やいろいろな人たちと意見を交換したりする機会は大変あります。そのときに、少子化、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランスやいろいろな要請ももちろんしております。
ですから、今この経済不況の折ですが、みんながやはり雇用を確保することに頑張らなければ購買力も出ないわけですから、これは大企業に対しても新卒者雇用についてしっかり理解を求めてまいります。
○宮本委員 やはり、はっきりと大企業に物を言うことが大事だというふうに思いますね。
あわせて、これも少し紹介したいんですけれども、実はこの間、緊急雇用対策で、各県で合同求人説明会というものが持たれております。それで、私の地元大阪でも高校卒業生対象の合同求人説明会というのが開かれているんですね。府立体育館を会場にやったと。労働局から詳しい中身を聞かせていただきました。ことしは大変だったと。労働局が必死になって企業をかき集めても、参加した企業は、大阪でですよ、八十四社にとどまり、昨年比で三割減だったと。なかなか企業が集まらなかったというんですね。
それで、ここに当日配付された合同求人説明会の求人企業の冊子をお持ちしたんですけれども、その八十四社、私は中身を見て驚きました。大企業というものは一社もないんです。八十四社すべて中小企業ですよ。大阪でですよ。大阪に大企業は山のようにありますけれども、労働局が必死になって集めても、そうして出てくれるのはやはり中小企業であって、大企業は本当に冷たい態度だと思うんですね。
それで、大企業にはっきり物を言うというのは先ほどから繰り返し問いましたけれども、同時に、こうして大変な経営環境の中でやはり雇おうということで頑張ってくださっている中小企業、こういう方々に対しては今度はしっかりと応援をして支えていかなきゃならないというふうに思うんですけれども、その点は、大臣、いかがでしょうか。
○福島国務大臣 何か中小企業支援策まで言うとちょっと私は自分の範囲外かもしれませんが、十月二十三日に取りまとめた緊急雇用対策においても、中小企業等を広く対象とする就職面接会等の積極的開催により未内定者とのマッチング機会の提供等を推進していくとありますし、また、この内閣は、貸し渋り・貸しはがし法案を初め、中小企業をどう応援していくのかという視点はある内閣だというふうに思っております。
ですから、全体的に景気をどうしていくのか、景気の戦略、大企業の社会的責任、中小企業支援策、それとあわせてやっていきたいというふうに考えています。
○宮本委員 先ほどおっしゃったような新卒者支援チームというものも立ち上がっているわけですから、そういうチームをしっかり活用していただいて、具体的にどう手を打つかということが今大事だと思うんですね。即効性ある対策が要ると思うんです。
それで、国は今やっとそのチームとかというのが立ち上がってきているという状況ですけれども、目の前に高校生を見ている地方自治体は、もうそんなことを言っていられない、既に取り組みを始めておられます。
宮城や秋田では、県の取り組みとして、高校生を採用する企業に奨励金を出すということをやり始めておられますし、京都では、十二月に高校生緊急支援センターを立ち上げて、府として、短期雇用で府が雇うというか雇用を創出して、そして職業訓練を行うというような支援も始めようとしているわけですね。
だから、一刻も早くやはり国が乗り出して、今、目の前で行き先も決まらないという高校生たちをどう救うのかということをしっかりやる必要があると思うんですよ。
それで、あと残り五分間で大臣とぜひ議論したいのは、それでもだめだったら、最後どうなるのかということなんですよ、その子どもたちは。
というのは、私、高校の先生方からつぶさに話をお伺いして、現場の先生がおっしゃったことで心に本当に突き刺さることがあるんです。
教師としては、そうやって就職先がなかなか決まらなかったり進路が決まらない子どもに対して、心配するな、何とかなる、こう言ってやりたい。そう言ってやれれば、どれほど子どもたちも安心できるか。教師としてその言葉を本当に言ってやりたいと思うんだが、今、実はそういう言葉をかけられない状況がある。何ともならない可能性があるじゃないか。頑張って就職先も探す、進学できないかといろいろやってみるけれども、家庭的な経済状況もある。しかし、心配するな、最後の最後、進学も決まらず、就職も決まらなかったら、こういうプログラムもちゃんと用意されているよ、国はというか、公は決して見捨てないんだということを言ってやれないということほどつらいことはないというふうにおっしゃるんですね。
だから、こういう現場の声にこたえるためには、たとえ最後まで就職が決まらなかったとしても、職業訓練を受けながらちゃんと生活を保障する、そういう制度を用意するとか、あるいは、秋田のように、就職難で就職から進学に進路変更した場合には進学する学校の入学金を公的に出す、それは入学金だけでいいのか、授業料も給付制で出してほしいということもあるでしょうけれども、安心して次のステップに進めるように、ちゃんと国が責任を果たしますよということを用意する必要があると思うんですが、この点、大臣いかがでしょうか。
○福島国務大臣 おっしゃるとおりで、私も、高校や大学、あるいは中退してなかなか就職がうまくいかない子どもたちの話を聞くと、一たん社会に出るときになかなかないと、次にまた就職が困難になるという話は大変聞いております。
今おっしゃったような、職業訓練期間中にある程度生活費なりを出すということは、今はたしか制度としてありますが、ただ、この制度がちょっと使いづらいという話も当事者の皆さんから聞いているところです。つまり、職業訓練校に行ったときに何かの生活保障を一部もらえるんだけれども、それをもっととれるようにしてもらえないかという声も私は聞いておりますので、今委員がおっしゃったような取り組みも、この緊急雇用対策本部でしっかり議論し、厚生労働省、経済産業省、また文科省などともしっかり議論をしていきたいというふうに考えています。
新卒者支援チームが就活支援キャンペーンとして、就職説明会の積極的な開催及び周知の徹底、経済団体、業界団体に対する求人拡大の要請なども行うというふうにしておりますので、こういうことも政府を挙げて特にやっていきたいと考えています。
○宮本委員 職業訓練を受けながら生活保障という制度もあるというお話なんですが、僕も知っておりますけれども、だからこそ、一番最初に確認したんですね。今、失業者の方はいっぱいおりますから、そういう方々にそういうことを一般的にやっているのは知っているんですよ。問題は、高校卒業の時点で路頭に迷うということはつくってはならないという立場で、その方々に焦点を当てた、安心してくれというメッセージが要るということを私は申し上げたいんです。
それで、時間が来ましたのでこれで最後の問いにしますけれども、大臣、ひとつ、これから来年三月末に向けて、本当に自分の進路が決まるだろうかと心配している、不安に思っている子どもたちや、また現場の先生方に対して、心配するな、今度の政権はあなた方の未来を何とかする、何としても守り抜く、そういう言葉を聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○福島国務大臣 きょうのこの青少年特別委員会は、子どもたちにどんな未来を、安心を与えることができるのかという質問から始まり、最後に、子どもたちに安心だと言ってくれという質問で終わるということです。
内閣を挙げて、子どもたちに、青少年にきちっと希望と安心を与えられるよう、すべての閣僚を挙げて、とりわけ私自身も青少年担当として、三役合わせて力いっぱい頑張ってまいります。
○宮本委員 ありがとうございました。