平成二十一年十一月十八日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 田中眞紀子君
理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君
理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君
理事 笠 浩史君 理事 坂本 哲志君
理事 馳 浩君 理事 富田 茂之君
石井登志郎君 石田 勝之君
石田 芳弘君 江端 貴子君
川口 浩君 城井 崇君
熊谷 貞俊君 後藤 斎君
佐藤ゆうこ君 瑞慶覧長敏君
高井 美穂君 高野 守君
中川 正春君 平山 泰朗君
牧 義夫君 松本 龍君
山本 剛正君 湯原 俊二君
横光 克彦君 横山 北斗君
吉田 統彦君 井上 信治君
遠藤 利明君 北村 茂男君
塩谷 立君 下村 博文君
菅原 一秀君 永岡 桂子君
古屋 圭司君 松野 博一君
池坊 保子君 宮本 岳志君
城内 実君
…………………………………
文部科学大臣 川端 達夫君
文部科学副大臣 中川 正春君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
文部科学大臣政務官 後藤 斎君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 西阪 昇君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 板東久美子君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 金森 越哉君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 徳永 保君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 泉 紳一郎君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 布村 幸彦君
政府参考人
(文化庁次長) 合田 隆史君
文部科学委員会専門員 芝 新一君
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委員の異動
十一月十八日
辞任 補欠選任
松本 龍君 山本 剛正君
菅原 一秀君 井上 信治君
同日
辞任 補欠選任
山本 剛正君 松本 龍君
井上 信治君 菅原 一秀君
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十一月十八日
学費負担軽減と私大助成の大幅増額を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第二四八号)
同(松本龍君紹介)(第三二七号)
高校授業料の無償化、給付制奨学金の創設等子どもの貧困克服を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第三二六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○田中委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 石井郁子前議員の後を受け継がせていただきました日本共産党の宮本岳志です。どうぞよろしくお願いをいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。
本日は、高校の無償化の問題と大学の給付制奨学金について質問をさせていただきたいと思います。
川端大臣は、先日の大臣あいさつで、昨今の経済不況のもとで、子供が経済的理由で十分な教育が受けられなくなることが懸念されていると、先ほどもある委員が触れられましたが、こういうふうに述べられました。これはもう懸念どころか既に今の事態は極めて深刻だと言わなければならないと思います。
十月の三十日に全国私立学校教職員組合連合の方々が発表された学費の滞納状況の調査というものを見せていただきますと、私立に通う中高生のことしの九月末の三カ月以上の学費滞納者、それが高校で四千五百八十七人、中学で三百四人といずれも過去最高に上っている、こういうふうになっています。
今申し上げた全国私教連の小村委員長は、「このまま推移すれば多くの生徒が学費が払えず、年度末までに高校を辞めていくことになる。私学の授業料減免措置に国と県が思いきった措置を講じる必要がある。」と述べられております。
経済的理由で一人の中途退学者も出さないために、緊急に授業料減免措置を拡充するなど機敏な対応が求められていると思うんですけれども、大臣の決意とともに、具体的な対応を求めたいと思います。
○川端国務大臣 お答えいたします。
御指摘のとおり、所信では、十分な教育を受けられなくなることが懸念されているという表現を使いましたけれども、事態は逼迫し、深刻であることは私も認識しておりますし、今お示しいただいた数字も把握をいたしております。
そういう中で、経済的理由により修学困難な高校生に対しては、現在、すべての都道府県において、公立高校授業料の減免を行うとともに、奨学金事業を実施いたしております。これは都道府県で実施をしております。都道府県における私立高校が行う授業料減免への補助に対しては、文部省が私学助成としてその一部を補助しているというのが現行の制度でございます。
これらの支援策を周知徹底するとともに、そういう保護者に対してしっかりとわかるように、そういう制度がありますよということを周知徹底するように各教育委員会に通知をしており、せっかくある制度を知らなかった、やめてしまったみたいなことにならないようにということが一つでございます。
またさらに、経済的理由により修学困難な高校生が増加しているわけですので、それに対応するために、これは平成二十一年度補正予算で、都道府県による高校奨学金事業や私立高校生の授業料減免措置への補助について、都道府県に基金を設置する形での緊急支援策として、高校生修学支援基金、平成二十一年から二十三年の三年分、四百八十六億円を措置されております。
したがいまして、これを財源として、都道府県で今の制度に人がふえたときに対応する財政措置をとっているところであります。
この基金を活用して、高校生が経済的理由で中途退学することのないように支援を行っていただきたいと都道府県に要請をしているところであります。
以上です。
○宮本委員 来年度の予算概算要求で高校の実質無償化という方向が打ち出されたことは、私どもも大変歓迎をしております。同時に、来年以降の子供たちはともかく、今現に中退という状況が生まれているわけですから、ことしの今の子供たちをどう救うのかという点で、やはり緊急の授業料の減免や緊急融資など具体的な措置が求められると思っておりますので、この点もどうぞ取り組みを強めていただきたいと思っております。
それで、教育を受ける権利を公的に保障する公教育は、原則的に公費で賄われるべきだと私たちは考えます。特に進学率が九七%を超えている高校教育の無償化は喫緊の課題だ、これは同じ思いです。私ども日本共産党も一貫して高校無償化の実施を政府に要求してきましたけれども、これは本当にある意味では遅きに失したという感があるわけですね。
そもそも、高校の無償化は諸外国では随分早くから取り組まれているということが明らかになっています。私が調べたところでは、アメリカが世界で最初に高校の無償化をある州でやったと思うんですけれども、この州は御存じでしょうか。そして何年からであるか、お答えいただけますか。
○鈴木副大臣 一八二七年にマサチューセッツ州において初めて公立学校の無償化が実現をしております。南北戦争以前に六州で高校が無償化をされているというふうに承知をいたしております。
○宮本委員 そのとおりでありまして、一八二七年、南北戦争以前にアメリカでは無償化に踏み出している。私、きょうは資料をおつけいたしましたけれども、一つ目の資料にそのことも出ております。イギリス(スコットランド)では一九一八年に、ドイツでは一九一九年、トルコで一九二六年、フランスは一九三三年と、本当に早くから無償化に踏み出しているわけですね。
それで、OECD三十カ国の中で、高校の授業料が無償化になっていない国はどこになるでしょうか。
○鈴木副大臣 私どもが承知している範囲で申し上げますと、OECD加盟国の中で、日本以外には、イタリア、韓国、ポルトガルということだと承知しております。
○宮本委員 OECD三十カ国の中で、今おっしゃった日本、イタリア、韓国、ポルトガル、こういうことでありますから、日本は本当に少数派なんですね。
それで、イタリアも確かに高等学校は有償なんですけれども、調べてみますと、年間授業料は十五ユーロでありますから、日本円換算しますと一年間で二千二十五円。実質無償と言ってもいいぐらいの額なんですね。
ポルトガルも、具体的な数字は不明なんですが、生徒は年間少額の授業料を払わなければならない、今はわずかなものだというふうに聞いております。
有償とされる韓国では、報道によれば、授業料は平均で年間百四十五万八百ウォン、日本円に直すと十一万三千円。これは日本の公立学校とよく似た額なんですけれども、グローバル経済危機への対策だということで、韓国の教育科学技術部は、十六のすべての市、道の教育庁に対して、二〇〇九年度高等学校の授業料を凍結することを決定したと報道されています。
まさに、対応で一番おくれてきたのが日本だと言わなくてはならないと思うんですね。
ここはちょっと大臣に御決意をお伺いしたいんですが、学費無償化を一刻も早く実現する、このことはよろしいでしょうか。
○川端国務大臣 政府といたしましては、二十二年四月から新たな支援制度の導入ができるように準備をして、国会の御審議に付したいと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
○宮本委員 大臣の決意が聞けました。
それでは、具体的に中身に立ち入ってお伺いしたいと思います。
高校無償化と私学との関係であります。
二〇〇八年度で、私立高校の授業料の平均は三十五万二千五百七十七円で、入学料、施設整備費を入れると総額は七十万六千五百八十九円になっております。
概算要求によれば、私立高校の場合、年収五百万円以下の世帯の場合は公立高校の二倍の額が補助される、二十三万七千六百円支給されるということでありますけれども、それ以外は公立高校と同様の十一万八千八百円の支給ということになります。
それらが支給されたとしても、なお、授業料で、五百万円以下の世帯では十一万五千円余り、五百万円以上の収入の世帯では二十三万三千八百円もの支払いが必要となります。この分とともに、入学料、施設整備費を自己負担しなければなりませんから、なお四十七万円から五十八万円もの額は結局自己負担になるわけです。
私学の場合、高校実質無償化にはかなりの距離があると言わなければなりません。これに制服代、修学旅行費などを加えると相当な額になりますね。公私間格差を埋め、私学も実質無償化をという声が起きるのは当然のことだと思います。また、私学の経営難を案ずるそういう声も経営側からも出ております。志望する公立に入れずに私立高校に通う生徒も少なくないわけでして、公立が授業料ゼロとなるのに私立は低所得者でも四十七万円、それ以外が五十八万円の負担というのでは、公立と私立の差が余りにも大き過ぎるということになりませんか。
○鈴木副大臣 今御紹介をいただきました五百万円以下につきまして、倍額を支給するのとあわせまして、このたびの概算要求で、都道府県が低所得世帯の私立高校への授業料減免補助をできるように地方交付税の要求もさせていただいております。ここに国庫補助あるいは高校生修学支援基金を合わせますと、授業料減免補助分ということで三百二十八億円を都道府県の収入になる形を要求しておりまして、私学の状況というのは都道府県によってかなり違いますので、そこの詳細な設計は都道府県にゆだねたいと思いますが、三百五十万円以下の世帯につきましては、それを実施いたしますと、おおむね、先ほどお話がありました授業料平均の三十五万円に近づくというふうに考えております。
それから、加えまして入学金あるいは教科書がかかるわけでございまして、これは私立、公立問わずでございますが、三百五十万円以下の世帯につきましては、給付型の奨学金ということを今要求しているところでございます。
こうした要求をぜひ実現すべく頑張ってまいりたいと思いますので、御支援のほどお願い申し上げたいと思います。
○宮本委員 我が党は、かねてから、年間収入で五百万円以下の世帯は授業料、入学料、施設整備費も入れて無償にすべきである、八百万円以下の家庭には二分の一の補助、そういう提案を行ってきております。こうすれば、公立、私学の学費格差は解消の方向に向かうということになります。ぜひ御検討いただきたいと思うんです。
三百五十万以下のところに手当てをするというふうにおっしゃいましたけれども、三百五十万というこのラインは生活保護及び準要保護というラインですから、そういう点では、やはり五百万、八百万というところへの配慮も必要ではないかというふうに思っております。
これは一言、御答弁いかがでしょうか。
○鈴木副大臣 御指摘のことはよくわかりますが、鋭意検討をしていきたいと思います。もちろん、極めて厳しい財政状況でもございますし、税収不足という状況もありますので、そうしたことを勘案して、まずは要求を確実に実現していくことに注力をしまして、また、きょうの御議論も踏まえて、今後の勉強の課題ということにさせていただければというふうに思います。
○宮本委員 次に、先ほど鈴木副大臣も触れられた高校の奨学金の問題です。
高校奨学金事業等の充実改善の予算、これは、年収三百五十万円以下の世帯の生徒約四十五万人を対象として、入学料と教科書費にかかわる分を返済不要の給付型奨学金として支給する、こういうことになっております。この四十五万人がほぼ要保護、準要保護の世帯と聞いておりますけれども、返済不要の給付制奨学金を我が国に導入するというのは、これは画期的なことだと私も思います。
しかし、この支給対象は、八月の旧政権下での概算要求段階では、学用品、私学の施設整備費、それから制服代、通学用品代、修学旅行費も対象にして、四百五十五億円要求しておりました。それをなぜ百二十三億円に引き下げて、対象枠も入学料、教科書費だけに絞り込んだのか、これをお答えいただけますか。
○鈴木副大臣 三百五十万以下の世帯の授業料部分については、高等学校の就学支援金の枠で要求をさせていただいておりますので、その重なる部分については調整をして要求をさせていただいているということでございます。
○宮本委員 対象枠を狭めた理由は何ですか。
○鈴木副大臣 これは判例にもございますけれども、無償化の対象範囲として、授業料というものは確定した見解であります。そして、それに準ずるものとして、入学金、教科書代といったことがより学びに直結した分野でございますので、もちろん、予算に余裕があれば、その他学用品についても対象にしていきたいという思いはございますけれども、まずは議論の確定をいたしておりますことを今年度は対象にして要求をさせていただいたということでございます。
○宮本委員 旧政権でさえ四百五十五億円で、今私が申し上げたような通学用品費、制服代、修学旅行代、全部これは対象にしたわけですよね。今、先ほど差額を申し上げましたけれども、四百五十五億と百二十三億の差額、三百三十二億あればやれるということなんですよ。これはやはり、こういうものについても進めるべきだと私は思います。
十月二十日付の読売新聞にこういう記事が出ました。「格差 若い嘆き」という記事ですけれども、文部科学省が概算要求に盛り込んだ高校授業料の実質無償化、高校教師からは不十分といった声が聞かれると。次のような教員の声を載せております。「高校生は授業料以外に、教材費や修学旅行費、PTA会費など数十万円がかかる。ここを支払えない生徒が多いのが実情。低所得世帯のほとんどは、すでに授業料の減免措置を受けており、授業料が無償化されても恩恵を受けられない生徒は多いのではないか」。現実に、修学旅行の十万円が払えず高校をやめていった女子生徒のことがこの記事に出ております。
日本高等学校教職員組合の行った二〇〇八年度の修学保障のための調査によれば、公立高校で、授業料、入学金、PTA会費などの学校納付金とともに、制服にかかる費用、教科書代、副教材、体育用品など、初年度の負担総額は、全日制高校の女子で三十一万四千八百二十八円、男子で三十万八千六百二十八円かかっております。
また、学区の拡大だとか再編統廃合によって遠距離通学が今ふえておりまして、通学費が重くのしかかっております。先ほど紹介した修学保障調査でも、通学費が年間五十万円を超えるという例も報告されておりますし、最高額は年額百七十七万六千円、定期代がかかっているというものまでありました。定期が買えない、家族の生活費に充てるために定期券を解約した、その日のバス代がないので片道四時間もかけて歩いて学校まで行った、通学費が高くて高校に行けないという生徒が現に今存在しているわけです。
学校に行くための交通費がなく学校をやめざるを得なかった、あるいは修学旅行費が出せなかったというこの悲劇をなくすためには、給付制奨学金の対象枠の拡大とともに、やはり保護者の年収額を三百五十万円から五百万円に引き上げることが必要だと私は思いますけれども、これはいかがでしょうか。
○鈴木副大臣 まず、委員は当然わかっておられると思いますが、四十五万人の皆様方は、十二万ないし二十四万円の授業料無償につながる就学奨励金を受け取るわけでございます。これは計算していただければわかると思いますけれども、四百五十五億円マイナス百二十三億円の三百三十二億円以上であるということは、もう十分おわかりだと思います。
そして、今の点も含めて、先ほど申し上げました、都道府県に対して財源を確保している部分で、まさにそれぞれの地域の事情に応じた、そこにさらに上積みをしていただいて、手厚い支援はしていただきたいという思いで、先ほどの総務省に対する地方交付税の要求をしているということでございます。ここで、まさに国の仕事と地方の仕事という整理論の中で、授業料については国がまずきちっとやるべきだろう、こういう整理をさせていただいたところでございます。
今いただいたお話は大変に重要な話でございますので、重く受けとめさせていただいて、今後の検討課題ということで、さらに勉強させていただきたいと思います。
○宮本委員 重く受けとめて検討いただけるということですけれども、鈴木副大臣は、さきの国会で、我が党の石井議員の質問に対して、この問題についてこうおっしゃっているんですね。政権がかわりましたならば、その授業料無償化の憲法二十六条の対象範囲を、今先生、石井議員がおっしゃったものについても十分逐次検討をして追加的に対象にするということは、これは時の政権の二十六条の公権解釈によって十分可能だというふうに思っています、こう答弁いただいているわけですから、ぜひとも御検討いただいて、十分可能な拡大を、追加的に対象に加えていただくということをお願いしたいと思います。
次に、大臣のあいさつに当然触れられるかと思っていたが触れられなかった問題がございます。それは、国際人権規約の留保解除の問題であります。
日本は、国際人権規約の経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、A規約十三条の2の(b)、(c)を留保したままでありますけれども、まず事実をお伺いしますが、この条項を留保している国、先ほども答弁ありましたが、改めて、どこでしょうか。
○鈴木副大臣 日本とマダガスカルの二カ国ということでございます。
○宮本委員 実は、これについても今年五月の国会審議で鈴木副大臣は答弁を、当時は副大臣じゃないですけれども、現副大臣は当時答弁をされております。この条項を批准していないのがマダガスカル、ルワンダ、日本、この三カ国というお話がありましたが、実はルワンダは留保を解除いたしまして、今や日本とマダガスカル、この二カ国になってしまったわけで、まずこの状況は一刻も早く解消してまいりたい、こう答弁をされております。
ルワンダがいつ解除したかといいますと、昨年の十二月に解除したということであります。条約の加盟国百六十カ国中、この条項を批准していないのはわずか二カ国、留保しているのはわずか二カ国だけとなりました。
そこで、大臣にお伺いするわけですけれども、鈴木副大臣が言うように、一刻も早くこの条項の留保を解除すべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 この条項の国際的環境がどの位置にあるかは今御指摘のとおりであります。
文部科学省といたしましては、条約を所管するのは外務省でございますので、外務省などとも連携しながら、留保撤回に向けた施策について検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮本委員 次に、国立大学のことについてもお伺いしたいと思うんですね。
概算要求には国立大学の授業料減免枠を五・八%から六・三%に広げることは明記をしておりますけれども、大学については学費の軽減、無償化の方向には触れていないんですね。また、奨学金についても、事項要求として今後の予算編成過程での検討に任せております。大学においても、私は、返済不要の給付制奨学金の創設は急務だと考えます。
そこで、これもお伺いするんですが、OECD参加三十カ国の中で、大学の授業料が有償で、つまり無償でなくて、しかも給付制奨学金もないという国はどれだけあるか、お答えいただけますか。
○鈴木副大臣 OECDで大学の授業料が有償な国は十四カ国ございます。そのいずれの国におきましても、大学生に対する給付型の奨学金が存在しておりますというのが事実でございます。
○宮本委員 つまり、日本だけですよね。日本は、授業料が無償でなく、しかも大学については給付制の奨学金というものがないわけでありますので、これは世界で日本だけだという状況になっています。
図書館で調べていただいて、一覧にして、きょうは二枚目の資料におつけしてあります。わかりやすく言えば、公的な給付制奨学金のない国はアイスランドと日本という二カ国でありますけれども、アイスランドは授業料が無償でありますので、両方ないのは日本だけということになります。
それで、授業料を取り、給付制奨学金もないという状況でありますから、世界一高いと言われる授業料を取りながら貸与制と有利子制の奨学金しかない。余りにも日本の到達点は世界におくれていると思うんですね。これはぜひとも、今こそ大学においても給付制の奨学金に踏み出すべきだと思うんですけれども、これはひとつ川端大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○川端国務大臣 大学に対しての奨学金制度の充実については、いろいろな観点から、今以上にさらに拡大すべきであるということで、私たちもマニフェストに記載をし、事項要求でありますけれども、いろいろな施策を盛り込んで要求しているところであります。
なお、給付型の奨学金制度の導入については、財源の問題が一つあります。同時に、大学に進学しない者との公平性の確保などさまざまな課題があることから、慎重な検討も必要という認識で取り組んでおります。
○宮本委員 選挙中、前の総選挙のさなかに、フジテレビで党首討論会が行われました。八月の二十三日だったと思います。その席上、中学生の傍聴者というか参加者が、政治家の人たちはけんかばかり、もうちょっと仲よくすればいいのにという声が中学生から出されて、それを受けて我が党の志位委員長が、一つ提案があると。この選挙の公約で、与党も野党も給付制の奨学金を言い始めている、一致点はどんどん進めていこうということを呼びかけました。そういたしましたら、当時の与党も給付制は支持していると公明党の代表がお答えになって、当時の野党側からも、民主党だったと思いますけれども、賛成の声が上がって、与野党が一致して、やはり給付制の奨学金を広げていこうということで選挙のときには一致したんですね。
その点では、ぜひともこの機会に、高校はもちろんですけれども、大学にも給付制の奨学金を広げていただいて、やはり若い人たちがお金のために勉強を断念しなければならないということがあってはならないというのは川端大臣のごあいさつのとおりですから、そういう立場で頑張っていただくということをお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。