186-衆-文部科学委員会-19号 平成26年05月21日
平成二十六年五月二十一日(水曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
神山 佐市君 菅野さちこ君
木内 均君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
桜井 宏君 新開 裕司君
冨岡 勉君 永岡 桂子君
野中 厚君 馳 浩君
比嘉奈津美君 藤井比早之君
船橋 利実君 宮内 秀樹君
宮川 典子君 八木 哲也君
菊田真紀子君 細野 豪志君
吉田 泉君 遠藤 敬君
椎木 保君 三宅 博君
中野 洋昌君 柏倉 祐司君
井出 庸生君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
山口 壯君
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文部科学大臣 下村 博文君
文部科学副大臣 西川 京子君
総務大臣政務官 松本 文明君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 吉田 大輔君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 小松親次郎君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 高島 泉君
文部科学委員会専門員 久留 正敏君
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委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 八木 哲也君
桜井 宏君 藤井比早之君
宮内 秀樹君 船橋 利実君
同日
辞任 補欠選任
藤井比早之君 桜井 宏君
船橋 利実君 宮内 秀樹君
八木 哲也君 熊田 裕通君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、国立霞ケ丘競技場の問題についてお伺いをいたします。
国立競技場の改築スケジュール、予定というものを見せていただくと、三月末までに基本設計を終えるという計画であったはずなんですけれども、ずれ込んでまいりました。
これは局長に確認しますが、なぜ基本設計がずれ込んでいるんですか。
○久保政府参考人 新しい国立競技場の基本設計につきましては、本来、昨年九月にオリンピック・パラリンピック東京大会が決定して以降十月から設計に入る予定でございましたけれども、十二月までの間、建設規模ですとか経費の節減の検討を行っておりましたため、スタート時期が一月にずれ込んでおりました。
まずそこで日程がタイトになっておりましたことに加えまして、ことし二月の首都圏における記録的な降雪があったことを踏まえまして、開閉式屋根部分の安全性に関し改めて検証する必要が生じたため若干ずれ込んでおりますけれども、現在作業を行っておりまして、今月中を目途に作業を完了する予定であると聞いております。
○宮本委員 スタートもずれ込んだが、大雪を体験して、開閉式屋根の強度についての検討を行っているという御答弁でありました。
それで、大雪の影響はどういうふうにクリアすることになりましたか。
○久保政府参考人 具体的な基本計画の報告をまだ受けておりませんので詳細を承知いたしておりませんけれども、開閉式屋根の部分につきまして、若干その構造を見直して強化を図る等によりまして安全性を強化したいというふうな検討を行っていると聞いておるところでございます。
○宮本委員 こういうふうに、雪一つでも構造や設計を再検討せざるを得ない。そうなれば、三月末というスケジュールも今お話があったように五月中とずれ込んでいるわけですから、計画というのは慎重に検討することが必要だと思うんです。
五月十八日付東京新聞によると、「二〇二〇年五輪会場について都が行う環境影響評価の計画に関し、巨大すぎると批判されているメーンスタジアムの国立競技場と、自然を破壊すると危惧の声が上がるカヌー会場の葛西臨海公園に集中して八十二件の意見が寄せられた。」と報じられております。「国立競技場は、「観客八万人収容時の周辺への騒音・振動の影響を十分に調査すべきだ」「競技場がある神宮外苑の歴史的経緯も踏まえて景観の調査を行うべきだ」などの意見が寄せられた。」こうも報じられております。
これも文科省に確認しますが、こういう声を承知しておりますか。
○久保政府参考人 この二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価につきましては、東京都におきまして本年三月に調査計画書を策定した後、本調査計画書に対する意見のパブリックコメントが行われているということは承知いたしております。
その具体的な中身につきまして、文科省が報告を受けたわけではございませんけれども、この中で、先生御指摘のような、観客八万人収容の影響、それから、神宮外苑の歴史的経緯も踏まえて景観の調査をすべきだという意見が寄せられたとの報道は承知しているところでございます。
○宮本委員 報道にあるように、景観や環境に対する不安や懸念が寄せられております。
私は、昨年十二月四日の当委員会の質疑でも、一九九九年にIOCが採択したオリンピックムーブメンツアジェンダ21の「自然か人工かを問わず、地域状況に調和して溶け込むように建築、改装されるべき」、あるいは「施設は、地域にある制限条項に従わなければならず、また、まわりの自然や景観を損なうことなく設計されなければならない。」という条項も紹介をして、広く専門家の意見をよく聞いて、再度設計の見直しを図り、国民や東京都民の納得する計画に変更することを求めました。
去る四月の十八日、東京都議会で我が党の都議が、広く専門家の意見もよく聞いて、国民、都民が納得する計画に変更すべきではないかと都に問いますと、都は、建設に当たりましては、国及びスポーツ振興センターが国立競技場将来構想有識者会議を設置し、その中で有識者や各分野の専門家による具体的な検討を行ってきている、こう答弁をされております。それは国の仕事ですから、都はそう答弁するのは当然だと思うんです。
そこで、これも局長に聞きますけれども、国立競技場将来構想有識者会議では、景観や周辺環境に与える影響などについて、都の答弁のとおりきちんと調査や検討を行っておりますか。
○久保政府参考人 日本スポーツ振興センターの中で具体的にどういう形で検討が行われたか、つまびらかにまでは承知しておりませんけれども、国立競技場将来構想有識者会議のもとに置かれまして具体的な施設整備のあり方を検討いたしました施設建設グループの中には、環境、景観の専門家が参画しております。
具体的には、例えば、内藤さんは都市景観の専門家でありますし、安岡さんは建築環境工学の専門家でありますので、この方々がさまざまな専門的な見地から検討を行っていただいているものだと考えております。
○宮本委員 その検討結果というのは公表されておりますか、局長。
○久保政府参考人 その結果が具体的な全体の建築計画の姿になってきたものでございまして、その検討結果の過程につきまして、細かい事項までは公開されてはいないと思います。
○宮本委員 やはりその中身を少し見せていただかないと、どういう検討がなされたかがよくわからないんですね。ぜひその検討内容の公表を求めておきたいと思うんです。
環境の問題は、私も提案者となって全会一致で可決、成立したスポーツ基本法でも大事なコンセプトの一つであります。
第十九条「スポーツに係る国際的な交流及び貢献の推進」でも、「環境の保全に留意しつつ、国際相互理解の増進及び国際平和に寄与するよう努めなければならない。」と定められておりますし、第二十七条の、オリンピック・パラリンピックなど「国際競技大会の招致又は開催の支援等」でも、「環境の保全に留意」することが特に強調されております。
これは大臣に、基本的な事項ですから当然のことながら確認しますが、国はもちろんこのスポーツ基本法の条項と精神を尊重する、間違いございませんね。
○下村国務大臣 尊重いたします。
○宮本委員 ならば、当然、都の自主的なアセス任せにするのではなくて、国として独自に景観や周辺環境に与える影響などについて調査すべきではないか、こう思うんですけれども、スポーツ・青少年局長、いかがですか。
○久保政府参考人 今回東京都が行っております環境影響評価自体が、環境影響評価法に基づくものというよりは、IOCに対しまして特にいろいろな影響がないことを数字的に保証するために、東京都がみずからの発案で立候補ファイルに記載して調査を追加的にやろうというものでございます。したがいまして、建設実施段階での環境影響評価を行うことによりまして、全体、国も加えました各施設の評価が行えるものだと思っております。
ただ、この環境影響調査というのは、実際に建築を行うときですとか、あるいはオリンピック開催期間中の影響とかが主でございますので、それ以後につきましては、さまざまな法律に基づきまして、国及び自治体が適切に問題ないかどうかを確認するという姿勢も大事だと思いますけれども、そういう観点では、国としても今後とも騒音等の影響につきましては配慮に努めていくことは必要だと思っております。ただ、現時点で直ちに調査を行う必要があるとまでは考えていない状況でございます。
○宮本委員 もう一つ聞いておきたいことがあるんですけれども、多く私どもに寄せられている意見、これは利用料のことも寄せられております。
それで、現国立競技場は、老朽化しているとはいえ、今回のポール・マッカートニーの公演とか嵐のコンサートのように営利目的の利用料はともかく、現在の一日利用料はイベント形態によって異なっております。客席をメーンスタンドのみ使用する自治体のスポーツ大会あるいは学校の運動会など営利目的でなければ、五十万から百万円で借りられておりました。千七百億円もの建設費を考えると、新しく建てかえたら利用料が高くなって、自治体や学校などはもう手を出せなくなるのではないか、そういう声も寄せられております。
利用料はどういうふうになるのか、局長、お答えいただけますか。
○久保政府参考人 具体的な利用料につきましては、建てかえ後の施設が実際に利用に供される二〇一九年度以降に利用料金の規定が改定されることになると思いますけれども、現在の国立競技場で使われている精神、つまり、アマチュアのスポーツ利用の料金は低廉な価格に維持するという事柄につきまして、その基本的な考え方は引き継がれるものと考えているところでございます。
○宮本委員 ぜひ、手が出ないというようなことがないようにお願いしたいと思うんです。
それで、新国立競技場の改築をめぐっては、予定地に隣接する東京体育館の設計者でもあり世界的な建築家の槇文彦氏が、巨大過ぎるとの疑義を出してこられました。それに続いて、建築のノーベル賞とも呼ばれるプリツカー賞を受賞された建築家の伊東豊雄さんが、このほど改修の可能性を示した案を発表されました。建てかえ案と同じ約八万人の収容人員で、陸上トラックも九レーンにつくりかえる案で、工事費は建てかえ案の半分程度で済むのではないかということであります。ザハ・ハディッドさんの案のみに固執して、一切聞く耳持たずという態度では困ると思うんです。
私、有識者会議の議事録も読ませていただいたんですけれども、有識者会議の中で議論されている中に、先ほどのワーキンググループではなくて全体の有識者会議の議事録を読むと、ブレーキ役や慎重派というのはほとんどいらっしゃらなくて、とにかくどんどん進める、そういう発言ばかりなんです。
私は決して建てかえるなと主張しているわけではありません。しかし、現国立競技場を解体してしまえば、もはや改修という選択肢はなくなるわけです。七月に解体工事が始まれば、もうどうしようもなくなるわけですね。基本設計だって、三月末と言われたものが二カ月間延期してこうして検討しているわけでありますから、やはりしっかりこういった方々の声に耳を傾けて、御納得をいただくということが大事だと思っております。
これはもう最後の質問になりますが、大臣にお伺いしますけれども、現国立競技場が五十年、今度新しくしてさらに五十年、合わせて百年間のレガシーをつくる、そう言うわけですから、どれだけ広く国民、都民の納得を得るかというのが私は非常に大事だと考えます。
これだけ世界的に著名な建築家の方々あるいは建築関係五団体などから厳しい批判が寄せられているわけですから、聞く耳持たずというようなやり方で突っ走るのではなくて、少なくとも解体については、しばらく延期してしっかり意見を聞くべきだと私は思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 御指摘がありましたが、国立競技場の整備については、日本スポーツ振興センターが設置した国立競技場将来構想有識者会議及びその下に置かれたワーキンググループ等におきまして、有識者の意見を踏まえ、オリンピック・パラリンピックの主会場にふさわしい規模や機能を取りまとめ、国際デザインコンクールを実施し、その後は、可能な限り規模や経費の縮減を行いつつ、現在は設計作業を進めているところであります。
また、その間、専門家の方々からの意見に対しては、日本スポーツ振興センターにおいて改築計画の考え方等を説明してきております。
仮に、今から改修する案を検討した場合、これまで検討に要した期間をさかのぼってまた一からやり直すことになりまして、二〇一九年春の竣工には間に合わないという日程になってしまいます。
文科省としては、今後とも、さまざまな御意見も踏まえながら、国立競技場がオリンピック・パラリンピック会場にふさわしいものとなるよう、また、その整備を着実に進めてまいりたいと考えます。
○宮本委員 時間が参りましたから終わりますけれども、ぜひ、検討内容の徹底的な開示ということと、それから、七月までの間でもまだ時間があるわけですから、こういう方々としっかり言葉を尽くして議論をしていただくことを求めたいと思います。
大臣が担当大臣として二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックをオリンピックムーブメンツアジェンダ21の精神に立って真に成功させたければ、むしろ、しっかりと国民的な合意をかち取る努力と民主的な手続を踏んでいただきたい、このことを申し上げて、私の質問を終わります。