186-衆-文部科学委員会-23号 平成26年06月11日
平成二十六年六月十一日(水曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
小此木八郎君 大串 正樹君
神山 佐市君 菅野さちこ君
木内 均君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
桜井 宏君 新開 裕司君
冨岡 勉君 野中 厚君
馳 浩君 比嘉奈津美君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
菊田真紀子君 細野 豪志君
吉田 泉君 遠藤 敬君
椎木 保君 三宅 博君
中野 洋昌君 柏倉 祐司君
井出 庸生君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
山口 壯君
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議員 笠 浩史君
文部科学大臣 下村 博文君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
文部科学大臣政務官 上野 通子君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 青木 信之君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
文部科学委員会専門員 久留 正敏君
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委員の異動
六月十一日
辞任 補欠選任
永岡 桂子君 大串 正樹君
同日
辞任 補欠選任
大串 正樹君 永岡 桂子君
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六月十日
学校図書館法の一部を改正する法律案(笠浩史君外六名提出、衆法第三三号)
同月十一日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(津村啓介君紹介)(第一三四二号)
同(宮本岳志君紹介)(第一四七四号)
同(宮本岳志君紹介)(第一五一四号)
同(小此木八郎君紹介)(第一五九一号)
教育無償化を進め給付制奨学金を実現することに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一五八九号)
奨学金被害をなくし、真に学びと成長を支える奨学金制度を求めることに関する請願(宮崎政久君紹介)(第一五九〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
学校図書館法の一部を改正する法律案(笠浩史君外六名提出、衆法第三三号)
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○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
もちろん、私たちも、子供たちの読書、学習への支援を学校図書館を活用して行うためには、学校図書館法に基づき配置されている司書教諭のほかに、学校図書館の日常業務を専門的に行う学校司書の配置を進めることが必要だと考えております。そういう立場で、今回の議員立法の検討の場となった学校図書館議員連盟に加わり、議論にも参加をしてまいりました。
そこでまず、現状を確認するんですが、文科省、学校司書の配置状況をお答えいただけますか。
○前川政府参考人 学校司書の配置は、平成二十四年五月現在で、小学校四七・八%、中学校四八・二%、高等学校六七・七%となっております。
小中学校での配置は増加しておりまして、また、非常勤の割合が高く、複数校兼務しているという場合もあるという状況でございます。
高等学校での配置は、従前に比べやや近年減少しているという現状がございます。
○宮本委員 そこで、法案提出者に聞くんですけれども、この法案は、学校司書の配置率を向上させ全校配置を目指す、このために学校司書を法的に位置づけるというものでございますね。
○笠議員 今、宮本先生から御指摘ありましたように、今回の改正は、学校司書を法律上明確に位置づけるとともに、学校司書を置くことの努力義務を課すことにより、学校において学校司書が置かれるべきであるとの方向性を明確にしたところでございます。
そして、今文科省からもあったように、現在、学校司書の配置率は高校で七割、あるいは小学校、中学校は五割を切る状況でございますので、今回の改正により、より多くの学校図書館に学校司書が置かれるようになると考えておりますけれども、これはあくまで今回第一歩であって、学校司書の配置率が向上するよう、今後とも学校司書の配置をしっかりと働きかけていきたいというふうに考えております。
○宮本委員 文部科学省は、昨年八月に学校図書館担当職員の役割及びその資質向上に関する調査研究協力者会議というものを設置して、ことし三月に報告をまとめておられますけれども、学校司書の役割として、この報告書ではどのように記述されておりますか。
○前川政府参考人 御指摘の報告書におきましては、学校図書館には大きく読書センター、学習センター、情報センターという三つの機能があるとした上で、これらの役割に沿って、学校司書には、子供たちがくつろぎ、進んで読書を楽しむために訪れるような読書活動の拠点となる環境整備や、学校における読書活動の推進及び読む力の育成の取り組みを司書教諭と協力して行うこと、また、授業の狙いに沿った資料を司書教諭や教員と相談して整備すること、また、チームティーチングの一員として、教員の主導で行う学校図書館を活用した授業において、児童生徒に指導的にかかわりながら学習を支援すること、さらに、図書館資料を活用して児童生徒や教員の情報ニーズに対応することなどが求められるとしているところでございます。
○宮本委員 文科省のこの調査研究協力者会議報告書でも、学校司書の大きな役割が認められております。
そこで、文部科学省に聞くんですけれども、学校司書の配置されている学校といない学校では、子供たちの読書、学校図書館の活用において、また、学力テストの結果において、どのような違いがございますか。
○前川政府参考人 平成二十五年度の全国学力・学習状況調査の結果によりますと、学校図書館担当職員を置いている学校と置いていない学校を比べた場合に、置いている学校において、学校図書館や地域の図書館に行く頻度が高く、また、子供の読書量が多いということが示されております。
また、同じく全国学力・学習状況調査におきましては、読書が好きな子供の方が正答率が高いという傾向が見られております。
○宮本委員 私たちは、文部科学省が実施している全国学力・学習状況調査が真の学力をはかるものとなっているかどうかについては異論がございます。しかし、その文科省の調査でも、「「学校司書」等を置いている学校の方が、正答率が高い傾向が見られました。」とこの文部科学省のパンフレットにも書いてございます。
こうした学校司書の役割からして、学校司書に求められる資質能力として、先ほど触れた報告書ではどのように記述をしておりますか。
○前川政府参考人 御指摘の報告書におきましては、学校司書に求められる資質能力といたしまして、学校図書館の運営管理に関する職務に携わるための知識、技能、また、児童生徒に対する教育に関する職務に携わるための知識、技能が必要と整理しているところでございます。
その上で、運営管理につきましては、情報機器やネットワーク、情報検索に関すること、著作権や個人情報等の関係法令に関することなど、また、教育につきましては、各教科等における指導内容に関することや発達段階に応じた読書活動の指導の方法等についての知識、技能を習得することが求められているとしているところでございます。
○宮本委員 学校司書には、今お話があったように、相当高度な資質や能力が求められていると思うんです。
そこで問題になってくるのが、学校司書の資格のあり方、養成のあり方だと思うんです。法案の附則を見ますと、本法施行後速やかに、「学校司書としての資格の在り方、その養成の在り方等について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というふうにされております。
これは、もしこの法案が成立いたしましたら、文部科学省として法施行後直ちに検討に取りかかるという必要が出てくると思うんですが、文科省、そういうことでよろしいですか。
○前川政府参考人 本法案が成立いたしましたら、この附則の定めに従って速やかに検討してまいりたいと考えております。
○宮本委員 同時に、法案提案者にもお伺いしたいと思うんです。
議連での検討においても、私も参加させていただきましたが、関係団体から相当ヒアリングをさせていただき、法案化作業を行いました。
提案者としても、文科省だけに任せるのではなく、関係団体との意見交換の場を今後も引き続き設定するなどの取り組みを進めていくべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○笠議員 実務者の各党の協議の中では、宮本委員にも本当に御尽力をいただいたこと、感謝を申し上げたいと思います。
今御指摘がありましたように、この法律案の附則の第二項の検討条項において、検討の主体を私どもは国としております。つまりは、政府だけでなく、立法府である国会も引き続き学校司書の資格のあり方、養成のあり方等について検討を行う必要がある旨を規定しております。
今般の法改正は議員立法によりなされるものであり、改正後の状況については我々も責任を負っていることを認識し、今後の取り組みを進めるべきと考えており、今後、今御指摘がありましたように、議連等の場において関係団体としっかりと意見交換を行いつつ、よりよい学校図書館の運営が行われるように努力してまいりたいと思っております。
○宮本委員 検討を進めるわけですけれども、検討の前提として、学校司書の現状がどうなっているのかが問われてくると思うんです。
現在配置されている学校司書がどのような資格を有しているのか、文科省としては、これを調査し、把握しておりますか。
○前川政府参考人 現在、全国的な状況を把握しておりません。
○宮本委員 この全国的な状況がわからなければ、検討のしようがないわけです。まずこの調査から行うべきだと私は思いますが、文科省、よろしいでしょうか。
○前川政府参考人 今後、しっかり調査してまいりたいと考えております。
○宮本委員 学校図書館を学校全体で組織的に対応していく取り組みが大事だと思うんですね。そのためにも、学校司書と教員が共通認識を持って取り組むことが必要だと思います。
そのために、学校図書館にかかわる校内組織あるいは職員会議などに学校司書が参加すべきだというふうに思うんですけれども、先ほどから触れております調査研究協力者会議の報告書では、この点、どう述べておりますか。
○前川政府参考人 御指摘の報告書におきましては、「学校図書館担当職員が、その役割を果たすためには、学校図書館に関する計画等の策定や学校図書館経営委員会等の活動に参画することはもとより、職員会議や学校に置かれる各種組織に参加し、学校の教育活動全体の状況を把握した上で職務に当たることが有効である。」とされているところでございます。
○宮本委員 そういう学校図書館の職員がさまざまな学校の会議、職員会議等に協力する、参加することが大事だ、こう述べられております。
そこで、私はここに、我が党の新潟市議会議員団が独自に取り組んだ新潟市学校図書館司書アンケートの集計結果を持ってまいりました。市内百七十校に配付して、約四三%から回答が寄せられております。
このアンケート結果の「学校の先生方との連携」という欄を見ますと、非常勤の学校司書からの声では、一日六時間勤務のため、放課後しか先生方と打ち合わせできないのに、その放課後は自分の退勤時間になってしまう、あるいは、正規雇用ではないため、勤務時間が短く、また、中学校教諭は多忙で、報告、連絡、相談をする時間は部活動後であるため、なかなか時間がとれない等々。また、臨時の学校司書の声としては、先生方の時間がある程度自由になる放課後には私は勤務時間を過ぎているので、なかなか詳しく話をする時間がとれず、放課後以前は先生方が忙しそうで、話しかけるのを遠慮してしまいますとか、休み時間は図書館にいなければならないし、放課後は勤務時間を過ぎてしまうため、先生方との連絡がとりにくい、そういう声がたくさん出されております。
文部科学省にこれも聞くわけですけれども、報告書では、学校司書の配置について、職務が十分に果たせるように、どのように述べておりますか。
○前川政府参考人 御指摘の報告書におきましては、「学校図書館担当職員の配置については、職務が十分に果たせるよう、その充実に関する前向きな検討とともに、学校図書館担当職員の職務の特性から、継続的な勤務に基づく知識や経験の蓄積が求められることを踏まえ、その配置や支援を継続して行うことが大いに期待される。」と述べられているところでございます。
○宮本委員 報告書でも、学校司書の職務の特性から、配置や支援を継続して行うことが大事だ、こう指摘をされております。
そこで、今度はここに、岡山市の学校司書の皆さんが行った調査結果があるんです。この調査結果を見ますと、歴然としております。
岡山市では一校一名の正規学校司書が配置されておりますけれども、岡山市内の学校の一年間の子供一人当たりの平均貸し出し冊数というのは八十三・三冊となっております。ところが、岡山県内で、他の自治体ですけれども、三校兼務となっている非正規学校司書配置校では、子供一人当たりの年間貸し出し冊数は、例えばD小学校では四十七・八冊、E小学校では三十一・五冊と、岡山市内の先ほどの一校一名の正規学校司書配置校の半分以下という結果になっております。
それから、子供たちの予約を処理した件数というものも比較されていますが、こちらではさらに差が開きます。先ほどの三校兼務の非正規校では、D小学校が二百五十八件、E小学校が百三十二件ということでありますけれども、一校一名の正規学校司書配置の岡山市内の学校では、A小学校は二千九百十六件、B小学校は二千七百九件、C小学校は何と五千二百三十件と、十倍から四十倍の開きがこの報告によると出ているわけです。
そこで、提案者にお伺いをいたします。
報告書でも、学校司書は「継続的な勤務に基づく知識や経験の蓄積が求められる」と述べておりますけれども、やはり学校司書の配置は、複数の学校をかけ持ちしたり、他の学校の業務と兼ねるということではなく、学校図書館の業務に専念できる専任、図書館を運営していくために必要な専門性、司書教諭など学校の他の教職員との連携を図る必要からもやはり正規といった、専任、専門、正規での位置づけが必要だろうと私は考えるんですけれども、提案者、いかがですか。
○笠議員 そうした認識、同じような思いを持っておる中で、先ほど来も答弁をしておりますように、今回の改正においては、学校司書の専門性について、本則及び附則の文言において配慮をしたところでございます。
御指摘のとおり、学校図書館関係団体の方々からは、学校司書について、専任、専門、正規の職員としての処遇を求める御要望が強いことも承知をしております。学校司書を専任及び正規の職員として処遇できるかについては、提案議員としてはこのような御要望を強く受けとめるものではございますが、学校司書については、学校図書館の運営に必要な職員として、地方自治体の自主的な取り組みとしてさまざまな形態で配置が進んできたという経緯も一方であるわけでございます。
このため、まずは政府及び地方公共団体が、その職務の重要性を踏まえ、学校司書が継続的、安定的に職務に従事する環境に努めることが重要であると考えておりまして、本改正に合わせて、その点は政府及び地方公共団体にもしっかりと働きかけてまいりたいと思いますし、さらに、議員連盟などを中心にしながら、今後もまた宮本先生とも検討を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
○宮本委員 私も議連で作業に参加しましたから、そういう議論がずっと続けられてきたことはよくわかっております。
私どもはこれまでも、学校司書の法制化に当たっては、専任、専門、正規での全校配置を求めてまいりました。きょうはこの後、専任、専門、正規での全校配置を進める我が党としての修正案を提起することにしております。ぜひともその点での御協力もお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○小渕委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○小渕委員長 この際、本案に対し、宮本岳志君から、日本共産党提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。宮本岳志君。
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学校図書館法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○宮本委員 私は、日本共産党を代表して、学校図書館法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。
その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
修正案提案の理由及びその内容について御説明申し上げます。
学校図書館は、学校教育をより豊かにする上で欠くことのできない基礎的な設備であり、学校における図書活動の中心として大きな役割を発揮することが期待されています。
学校図書館を図書館として十分に機能させるには、専任の人の配置が望まれます。そのためには、国の責任で学校図書館の専任職員を配置し、既に配置されている職員については、正規の専任職員として身分の安定を図るとともに、給与や研修の保障など処遇の改善を図るべきであります。
この点、今回の改正案は、学校司書を法律上位置づける点では一歩前進ではありますが、学校司書を置くよう努めることとすることにとどまり、専任の職員の配置義務づけまでは踏み込んでおりません。学校図書館の関係団体からは、学校司書を法律上位置づけるとともに、各校に専任、専門、正規の学校司書の配置を求める要望も出されております。
そこで、豊かな学校図書館活動をより発展させるために、司書教諭と協力して学校図書館の運営に当たる専任、専門、正規の学校図書館担当職員としての学校司書の配置を義務づける修正案を提出するものでございます。
次に、修正案の内容について御説明申し上げます。
第一は、学校には、司書教諭に加えて、学校司書を置かなければならないこととし、その職務は、司書教諭と協力して学校図書館の専門的職務に従事することとしています。
第二は、学校司書の資格及び講習について規定を設けています。その際、現に学校図書館職員である者については、雇用形態のいかんを問わず、一定の経験年数と講習で学校司書に移行できるようにしています。
第三は、学校司書は、高校、中等教育学校、特別支援学校に必ず置くこととし、小学校、中学校においては特別の事情のあるときを除き必ず置くこととし、三年間で段階的に配置することとしています。義務教育諸学校においては、県費負担職員としています。
第四は、学校図書館及び学校教育において学校司書の果たす役割を勘案し、改正法施行後三年以内を目途として、学校司書の職務に応じた給与、研修その他の処遇に関し検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしています。
これによる平年度の国庫負担の増額は約百五十億円を見込んでいます。
以上が、修正案提案の理由及びその内容でございます。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明を終わります。