186-衆-文部科学委員会-24号 平成26年06月18日
平成二十六年六月十八日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
今枝宗一郎君 岩田 和親君
小此木八郎君 神山 佐市君
菅野さちこ君 木内 均君
工藤 彰三君 熊田 裕通君
小林 茂樹君 桜井 宏君
新開 裕司君 末吉 光徳君
冨岡 勉君 永岡 桂子君
根本 幸典君 野中 厚君
馳 浩君 比嘉奈津美君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
八木 哲也君 菊田真紀子君
細野 豪志君 吉田 泉君
遠藤 敬君 椎木 保君
三宅 博君 中野 洋昌君
柏倉 祐司君 井出 庸生君
宮本 岳志君 青木 愛君
吉川 元君 山口 壯君
…………………………………
議員 山下 貴司君
議員 古屋 範子君
議員 井坂 信彦君
文部科学大臣 下村 博文君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
防衛大臣政務官 若宮 健嗣君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 吉田 大輔君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 常盤 豊君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 田中 敏君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 大西 康之君
政府参考人
(資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官) 藤原 正彦君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 豊田 硬君
参考人
(独立行政法人理化学研究所理事長) 野依 良治君
参考人
(独立行政法人理化学研究所理事) 坪井 裕君
参考人
(東京電力株式会社代表執行役副社長) 石崎 芳行君
文部科学委員会専門員 久留 正敏君
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委員の異動
六月十八日
辞任 補欠選任
桜井 宏君 根本 幸典君
新開 裕司君 今枝宗一郎君
比嘉奈津美君 末吉 光徳君
宮内 秀樹君 岩田 和親君
同日
辞任 補欠選任
今枝宗一郎君 新開 裕司君
岩田 和親君 宮内 秀樹君
末吉 光徳君 八木 哲也君
根本 幸典君 桜井 宏君
同日
辞任 補欠選任
八木 哲也君 比嘉奈津美君
―――――――――――――
六月十六日
公認心理師法案(河村建夫君外八名提出、衆法第四三号)
同月十三日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一六三五号)
同(うえの賢一郎君紹介)(第一七一一号)
同(宮本岳志君紹介)(第一七七五号)
教育費負担の公私間格差をなくするための私学助成に関する請願(佐藤英道君紹介)(第一六三六号)
奨学金被害をなくし、真に学びと成長を支える奨学金制度を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一六三七号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一六三八号)
同(漆原良夫君紹介)(第一七一二号)
同(階猛君紹介)(第一七一三号)
同(桜井宏君紹介)(第一七七九号)
同(宮本岳志君紹介)(第一七八〇号)
同(吉川元君紹介)(第一七八一号)
私立幼稚園教育の充実と発展に関する請願(桜井宏君紹介)(第一七七六号)
教育無償化を進め給付制奨学金を実現することに関する請願(桜井宏君紹介)(第一七七七号)
同(吉川元君紹介)(第一七七八号)
同月十六日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(谷川弥一君紹介)(第一八二八号)
同(中根康浩君紹介)(第一八二九号)
同(宮本岳志君紹介)(第一八三〇号)
同(今村雅弘君紹介)(第一九一二号)
同(志位和夫君紹介)(第一九一三号)
同(宮本岳志君紹介)(第一九一四号)
同(山本有二君紹介)(第一九一五号)
学費の負担軽減、高等教育予算増額を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一八三一号)
障害児学校の設置基準策定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九〇〇号)
同(大畠章宏君紹介)(第一九〇一号)
同(笠井亮君紹介)(第一九〇二号)
同(穀田恵二君紹介)(第一九〇三号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一九〇四号)
同(志位和夫君紹介)(第一九〇五号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一九〇六号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一九〇七号)
同(中根康浩君紹介)(第一九〇八号)
同(宮本岳志君紹介)(第一九〇九号)
同(務台俊介君紹介)(第一九一〇号)
同(柚木道義君紹介)(第一九一一号)
学校司書の法制化に関する請願(笠浩史君紹介)(第一九一六号)
私立幼稚園教育の充実と発展に関する請願(笠浩史君紹介)(第一九一七号)
奨学金被害をなくし、真に学びと成長を支える奨学金制度を求めることに関する請願(武正公一君紹介)(第一九一八号)
同(山井和則君紹介)(第一九一九号)
同(笠浩史君紹介)(第一九二〇号)
同月十七日
学校に正規の現業職員を必ず配置するよう法制化を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第二〇二四号)
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇二五号)
同(笠井亮君紹介)(第二〇二六号)
同(志位和夫君紹介)(第二〇二七号)
同(宮本岳志君紹介)(第二〇二八号)
同(郡和子君紹介)(第二二〇九号)
同(東郷哲也君紹介)(第二二一〇号)
同(中根康浩君紹介)(第二二一一号)
同(原口一博君紹介)(第二二一二号)
同(神田憲次君紹介)(第二三三一号)
同(玉城デニー君紹介)(第二三三二号)
同(中谷元君紹介)(第二三三三号)
同(永岡桂子君紹介)(第二三三四号)
同(宮本岳志君紹介)(第二三三五号)
教育格差をなくし、全ての子供たちに行き届いた教育を進めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二〇二九号)
学校司書の法制化に関する請願(青山周平君紹介)(第二〇三〇号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第二〇三一号)
同(笠井亮君紹介)(第二〇三二号)
奨学金被害をなくし、真に学びと成長を支える奨学金制度を求めることに関する請願(漆原良夫君紹介)(第二〇三三号)
同(宮崎政久君紹介)(第二〇三四号)
同(阿部知子君紹介)(第二二一四号)
同(宮本岳志君紹介)(第二二一五号)
同(中野洋昌君紹介)(第二三三七号)
障害児学校の設置基準策定に関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第二〇三五号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第二〇三六号)
同(穀田恵二君紹介)(第二〇三七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二〇三八号)
同(杉本かずみ君紹介)(第二〇三九号)
同(田嶋要君紹介)(第二〇四〇号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇四一号)
同(野間健君紹介)(第二〇四二号)
同(吉川元君紹介)(第二〇四三号)
同(郡和子君紹介)(第二二一六号)
同(左藤章君紹介)(第二二一七号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第二二一八号)
同(宮本岳志君紹介)(第二二一九号)
同(秋葉賢也君紹介)(第二三三八号)
同(小川淳也君紹介)(第二三三九号)
同(柿沢未途君紹介)(第二三四〇号)
教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(寺島義幸君紹介)(第二二一三号)
同(井出庸生君紹介)(第二三三六号)
教育予算の増額に関する請願(郡和子君紹介)(第二三三〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
公認心理師法案(河村建夫君外八名提出、衆法第四三号)
文部科学行政の基本施策に関する件
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○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、学生のアルバイトについて聞きたいと思います。
実は今、学生のアルバイトに異変が起きております。若者を使い潰すブラック企業のような違法、無法な働かせ方が学生アルバイトにも広がっているわけです。この間、メディアでも取り上げられまして、産経は、若者を標的にしたブラック企業が社会問題化する中、違法な働き方でバイト学生を使い捨てにするブラックアルバイトが新たな問題として浮上していると報じました。また、読売にも、違法行為が横行し、学業に影響するほどの長時間労働を強いられるケースもふえているなどと取り上げられております。
まず文部科学省に聞きますけれども、このようなブラックアルバイトの現状を承知しておりますか。
○吉田政府参考人 文部科学省では、学生のアルバイトの実態を網羅的に把握するための調査は実施はしておりませんけれども、今委員御指摘のように、法令に反してアルバイトに従事せざるを得ないような状況に学生が置かれ、大学での学業にも大きな影響が生じているということが、新聞その他の報道で指摘されたことは承知しております。
○宮本委員 日本共産党としても、去る六月二日に、「ブラックバイトから学生生活を守ろう」と題したアピールを発表いたしました。きょうは委員の皆さんにも資料として配付をさせていただきました。
かつては、学生バイトといえば、あくまでも正規雇用の補助、低賃金だが責任は軽く、テスト前には休むことができ、バイト先も比較的自由に選べる、それが学生バイトの従来の一般的なイメージでした。しかし、現在はそうしたイメージが通用しなくなっております。低賃金、低処遇にもかかわらず、正社員並みの過度な責任やノルマを課されるという例が数多くあります。
ブラックバイトの命名者であるとされる大内裕和中京大学教養学部教授は、ブラックバイトの定義を、低賃金であるにもかかわらず、正規雇用労働者並みの義務やノルマ、重労働を課されるアルバイトのこと、非正規雇用労働の基幹化が進む中で登場した、残業代の未払いや異常な長時間労働など、法令違反を伴うことが多いとしております。
私たちが全国で行った調査によりますと、例えば、シフトの連絡が直前、予定があるのにシフトを急に入れられる、これはファストフード店でありますけれども、あるいは、テスト期間なのに、頑張ってシフトに入ってくれと言われる、結婚式場の事例でありますが、こういう無理なシフトを組まれるという事例です。
あるいは、やめたいが、いろいろ言われてやめさせてもらえない、居酒屋。バイト最年長という立場からシフトを無理に入れられ、深夜にも呼び出される、やめるなと念を押される。やめたいと言ったら、求人広告費分として給料から四分の三を差し引くと言われた、これは飲食店でありますけれども、こういうふうに、やめられない事例が後を絶たないわけですよ。
さらには、学生、働く人間としての権利も無視したような働かせ方、あるいは売れ残りを買い取らせる、ただ働きや罰金などの違法、脱法行為まで学生バイトの間に広がっている。これは新聞記事で、産経にも読売にもそういう報道がされております。
その結果、大学教員からも、授業中もバイト先からの連絡が入り、授業に集中できない、シフト変更がききにくく、ゼミ合宿の日程が決められないなど、告発の声も広がっております。
中には、バイトと学業を両立できず、留年や大学中退に追い込まれる深刻なケースまであり、ブラックバイトは学生生活と大学教育の障害となっていると言わなければならないと思います。
今は二紙挙げましたけれども、その他の一般紙も全部、この間、ブラックバイトというのは一つの社会問題だというふうに報じておるわけですけれども、まず大臣、このような状況を放置しておいていいとお考えでしょうか。
○下村国務大臣 今お聞きしていると、それはもう我々の学生のころとは全く違う世界が今は学生の前にあるのかなというふうに思いました。
この御指摘のブラックアルバイト、法令に反してアルバイトに従事せざるを得ないような状況に学生が置かれ、大学での学業にも大きな影響が生じる、これであれば教育上ゆゆしき問題であるというふうに思います。
このブラックアルバイト対策については、厚労省とも連携しながら、大学における取り組みを促してまいりたいと思います。
○宮本委員 ぜひ、委員の皆さんにも問題の本質を御理解いただきたいと思うんです。
現状は、学生がお金欲しさに、学生の本分を忘れてアルバイトにのめり込んでいるという問題ではないんです。本人は、試験だから行かせてくれ、休ませてくれ、授業だから授業に行かせてくれと言っているのに休ませてもらえない、休めないという現状がまかり通っている。
なぜかといいますと、かつてであれば、それぞれアルバイト先には正社員がいて、その人に休ませてくれとお願いするという関係だったのが、今はアルバイトが店をやっているわけです。そして、学生自身がアルバイトリーダーという形で、シフトも含めて本人が組んでいるわけで、休ませてくれと言う相手がいないわけです。そういう現状が広くある。これはもうまさに、正規労働者がどんどん減らされて、非正規だけで回っているという店がうんと広がってきていることの影響でもあるわけです。
学生であろうがなかろうが、フリーアルバイター、フリーターの低賃金という問題は、既にワーキングプアということで問題になってきたわけですけれども、この問題はそれとも違って、ブラックアルバイトというのは、学業と両立しない、これが学生のブラックアルバイト問題の本質、重大さということだと思います。
きょうは厚生労働省に来ていただいております。端的に幾つか確認したいと思います。
アルバイトは、法律上、短時間労働者であります。契約期間や勤務条件、職責などが正社員より緩やかに定められておりますけれども、雇い主との法律上の関係は正社員と変わりません。労働基準法や労働安全衛生法など労働関係法令は当然アルバイトにも適用されますね。端的にお願いします。
○大西政府参考人 委員御指摘のとおり、アルバイトの方であっても、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者であれば、労働基準関係法令は適用されます。
○宮本委員 当然、アルバイトでも労働関係法令が適用され、これに反すれば刑事罰をもって罰せられるということになります。
労働日、労働時間は雇用契約の基本中の基本でありまして、労働基準法で書面での明示が義務づけられております。契約にない日や時間にシフトを入れるためには、働く人との合意が大前提となります。これを企業側が一方的に押しつけたり、パワハラ的な言辞で強制することは許されないはずでありますけれども、これも間違いないですね。
○大西政府参考人 労働契約法におきまして、労働契約は労働者と使用者の合意により変更することができるとされております。
委員御指摘の労働契約に定める労働日や労働時間の変更などに際しては、事前に使用者と労働者の間で話し合うことなどにより、合意のもとに変更することが求められていると考えております。
○宮本委員 サービス残業、未払い残業が違法であることは明瞭です。法に照らせば、着がえや引き継ぎ、掃除などの時間も一分単位で賃金を請求できるはずであります。一日八時間を超えて働いた分あるいは午後十時以降の深夜勤務については、割り増し賃金を支払うべきことも定められております。これも厚労省、間違いないですね。
○大西政府参考人 労働基準法では、法定労働時間を超えて労働させる場合や深夜に労働させる場合にはそれぞれ割り増し賃金の支払いが義務づけられておりますので、賃金不払い残業は違法でございます。
○宮本委員 本人が退職を希望しているにもかかわらず、やめさせない、やめるなら求人広告費を払えと迫る、過大なノルマを与え、売れ残った分は学生に買い取らせる、あるいは賃金から差し引き、商品で渡す、故意でないミスについて弁償を迫るなどは、全て労働基準法違反ではありませんか。いかがですか。
○大西政府参考人 個別の事実関係を踏まえて判断することとなりますが、一般的には、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約を締結すること、あるいは、法定の除外事由等がなくて賃金の一部を控除して支払うなどにつきましては、労働基準法違反となると思います。
○宮本委員 労働関係法令がアルバイトにも適用されるということは、当然、有給休暇など労働者の権利についても学生バイトにも保障されることになります。半年以上同じところで働いていれば、アルバイトにも有給休暇がある、これは事実ですね。
○大西政府参考人 アルバイトの方でありましても、労働基準法第三十九条に定める要件を満たしておれば、年次有給休暇を取得することができます。
なお、一日の所定労働時間が短い方、あるいは一週間の所定労働日数が少ない方については、それぞれ、通常の労働者の所定日数と比較して考慮された日数の年次有給休暇が付与されます。
○宮本委員 これが実は事実なんですけれども、そういったことが学生たちには本当に知らされておりません。私たちがそういう話をすると、えっ、そうだったんですかと目を丸くして驚く学生がほとんどであります。
そして、ブラック企業やブラックバイトは、学生の社会経験の未熟さや労働法、雇用ルールについての知識の乏しさにつけ込んだ違法、脱法行為で成り立っていると言わなければなりません。
本来は、高校までに労働法の基本や雇用のルールなどをきちんと身につけてもらう必要があります。しかし、今はそれがほとんど行われていない以上、大学における取り組みが極めて重要だと思います。
大学で、労働法の専門家や弁護士、労働組合などと協力して、アルバイトについても適用される労働法の基本などについてセミナーやガイダンスを開く、あるいは相談窓口を設けるなどの取り組みを、文科省、しておりますか。
○吉田政府参考人 文部科学省におきましては、平成二十四年八月に厚生労働省から、大学生等への労働法制の基礎知識の普及に関する取り組みについての協力依頼も受けまして、同月に各大学等に通知を発出し、各大学において学生に対して労働法制の周知を図るセミナーや講義を実施する場合には、各都道府県労働局とも連携をして取り組むよう促してきたところでございます。
各大学における取り組みの全体を把握しているわけではございませんが、例えば三重大学におきましては、労働局の担当者の講演などを通じて、学生に対して労働法の理解を促進する取り組みを行ったと承知をしております。
○宮本委員 今や、学生であるということを尊重しないような働かせ方がまかり通っておりまして、学業そのものと両立しない例がふえている。各大学の状況をしっかりつかんで、ぜひとも進めていただきたいと思うんです。
そこで厚生労働省に聞くんですけれども、厚労省は今年度予算で、若者の使い捨てが疑われる企業等への対応策を強化していると聞いております。その中で、大学等での法令等の周知啓発予算というものが組まれておりますけれども、それはどういうものであるか、予算額は幾らか、今どこまで進んでいるか、お答えください。
○大西政府参考人 若者の使い捨てが疑われる企業等への対応策でございますけれども、大学生等を対象とした労働条件セミナー事業を実施する予定でございます。
事業の内容でございますが、労働関係法令に余りなじみのない大学生などの若年者を主な対象として、実際に働くに当たって有用な労働関係法令等の知識の周知啓発を行うセミナーを、これは全国で開催することを予定しております。
予算額でございますが、関連する労働条件相談ダイヤル事業、労働条件相談ポータルサイト事業と合わせて約二億円でございます。
事業につきましては、現在、セミナー用の研修テキストや講演内容等の具体的な内容を検討中であり、実施に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本委員 文科省、今既に学生に被害が出ているわけであって、やはり文部科学省としても、厚労省の取り組みだけに任せるんじゃなくて、大いに全国の大学の状況をつかむ、労働法や雇用ルールなどの知識を付与するセミナーの実施、それから、大学にもブラックバイトの相談窓口を設置して厚労省と連携して取り組みを進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○吉田政府参考人 将来社会に出て働くことになる学生に対しまして労働法制の基礎知識を付与する取り組みを行うことは、大変重要でございます。
現在、大学では、約八割におきまして学生相談室等の相談窓口を設置しておりますけれども、今問題となっておりますようなブラックアルバイトのように、違法な労働条件でアルバイトに従事することを余儀なくされ、大学の授業等に支障を来すような問題が生じた場合について、この学生相談室等での相談を受け付けるように促してまいりたいと思いますし、また、必要に応じまして、労働局の総合相談コーナーや労働基準監督署等の連携を図るとともに、先ほど厚生労働省から御紹介がありましたような事業との連携も促してまいりたいというふうに思っております。
そのあたりにつきまして、一層の取り組みを大学に促してまいりたいと思っております。
○宮本委員 大臣、この問題を根本的に解決するためには、学生がこれほどバイトに追われなくとも、お金の心配なく学べ、希望を持って大学を巣立っていける状況をつくる必要がある。これは言うまでもないことです。
何度も大臣と議論してまいりましたけれども、日本の大学の初年度納付金は、国立で八十二万円、私立で平均百三十一万円。高校入学から大学卒業までかかる費用は、一人平均で一千万円を超えております。それにもかかわらず、我が国には、大学生向けの給付制奨学金は支援機構には一切なく、奨学金とは名ばかりの、大半が利子つきの借金が主流になっております。世界でこういう国は本当にないという議論をやってまいりました。
大学を出ても、低賃金で不安定な非正規雇用や、若者を使い捨てにするブラック企業が横行しております。奨学金の返済があるから、ブラック企業とわかっていてもやめられないというような声まで伝わってくるありさまです。奨学金の返還が滞れば、ブラックリスト、一括請求、法的措置、自己破産と、私がこの間明らかにしてきたような現実がございます。
奨学金を借りても、将来返す当てがあるのかという不安から、今度は逆に、奨学金を借りずに、あるいは借りる額をもできるだけ抑えて、アルバイトで何とかしよう、こういう学生がふえつつあるわけであります。そして、ブラックバイトにひっかかると、休めない、授業に出られない。
大臣、昨日も参議院の委員会で、日本の学生がアメリカの学生に比べて学習時間が短い、レジャーランド化しているというふうに答弁されておられましたが、しかし、私が今紹介したようなこういうブラックアルバイトの現状でいえば、それこそ勉強する時間などとれないということになってしまいます。
大臣、奨学金の借金を何百万と背負って、返済のためならブラック企業にでも就職するか、それが怖ければ、奨学金を敬遠してブラックアルバイトで学業も続けられなくなるか、未来を担う学生にこんな悪魔のような選択を迫るようなことで日本の未来はない。これはもう全く意見が一致だと思います。
日本は、高校や大学の教育を段階的に無償にする、こう定めた国際人権規約の条項も既に受け入れました。大学生向けの給付制奨学金制度の創設は、自民党の総選挙公約でもございます。大学の学費負担の軽減、奨学金はせめて無利子とし、将来的には給付制を当たり前にするなど、今日学生が置かれている深刻な状況を根本から改善するために、今こそ政治がその役割を果たすべきときだと思うんですけれども、最後に大臣の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○下村国務大臣 奨学金に関しては宮本委員と意見は全く同じでありまして、経済的な理由によって学生が修学を断念することがないように、経済的支援の充実を果たしていくことは大変重要なことだというふうに思います。
二十六年度からも、授業料減免の充実とか、それから無利子奨学金の貸与人員の増員に着手いたしましたが、本来、有利子があってはならないと思いますし、できるだけ早くのうちに有利子を無利子にすることをしていかなければならないと思いますし、また、御指摘のように、ことしから高校は給付型奨学金をまずスタートいたしましたが、大学における給付型奨学金、それももっと拡充することによって、どんな経済的な家庭の子供であっても安心して学べるような高等教育機関の充実に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
○宮本委員 ありがとうございました。終わります。