186-衆-本会議-34号 平成26年06月20日
平成二十六年六月二十日(金曜日)
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平成二十六年六月二十日
午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
環境委員長伊藤信太郎君解任決議案(松原仁君外六名提出)
環境大臣石原伸晃君不信任決議案(松原仁君外七名提出)
法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願外四百三十八請願
国家基本政策委員会及び懲罰委員会を除く内閣委員会外十四常任委員会並びに災害対策特別委員会外九特別委員会において、各委員会から申出のあった案件について閉会中審査するの件(議長発議)
事務総長辞任の件
事務総長の選挙
午後一時二分開議
○議長(伊吹文明君) 議長宛てに提出されております環境大臣石原伸晃君不信任決議案を議題といたします。
提出者の趣旨弁明を許します。辻元清美君。
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環境大臣石原伸晃君不信任決議案
〔本号末尾に掲載〕
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〔辻元清美君登壇〕
○辻元清美君 民主党の辻元清美です。
私は、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、みんなの党、結いの党、日本共産党、生活の党、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました環境大臣石原伸晃君不信任決議案について、提案の理由を説明いたします。(拍手)
まず、案文を朗読いたします。
本院は、環境大臣石原伸晃君を信任せず。
右決議する。
以下、その理由を説明いたします。
私は、安倍内閣が誕生したとき、環境大臣に石原伸晃議員が就任すると聞いて、まず、大きな不安を抱きました。
それは、石原大臣は、自民党幹事長だった二〇一二年に、報道番組で福島第一原発を第一サティアンと呼び、地元の反発を招いていたからです。
当時、震災からまだ一年半でした。命がけで復旧に向けて作業員が懸命の努力を続けていた福島第一原発をオウム真理教の施設と同一視する感覚に、事故の深刻さを理解していない、この人にとっては他人事なんだ、そして、安全だ、安全だ、安全だと言って原発をつくり続けたのは自民党政権であり、あげくの果てに世界一過酷な事故を起こしたその責任すら自覚していないと、憤りを覚えたからです。
ところが、安倍総理は、この石原さんを、誰よりも福島の皆さんに寄り添って除染など大きな役割を果たさなければならない環境大臣に任命したのです。
また、ことしに入り、福島第一原発周辺の手抜き除染が発覚した一月四日に環境省に登庁せず、所在をいまだ明らかにしておりません。都内だとか神奈川だとか、情けない言いわけに当時も終始をいたしました。ここでも、やっぱり他人事だったのです。
そして、本年三月の国賓行事欠席。
さらに、三月十七日の参議院環境委員会に遅刻。大渋滞でおくれてしまったということでしたが、後で、渋滞は発生していなかったということも明らかになり、当初の説明を撤回いたしました。このときも、大臣としての自覚がないと大批判を浴びたことを、皆さんはまさかお忘れではないと思います。
さらに、原子力規制委員会委員選定ルールの撤廃問題も、大きな問題です。
原子力規制委員会は、民主党、自民党、公明党で協議を重ね、法案を成立させたものであります。
当時、自民党は、推進側と規制側の遮断を強く主張され、ノーリターンルールの強化、規制委員会の委員の人選ルールなどを自民党と一緒に決めました。その中には、就任前直近三年間に原子力事業者の役員についていた者や同一原子力事業者等から一定額以上の報酬等を受け取った者は、欠格要件とされておりました。
ところが、石原大臣は、大臣になった途端、このルールを一方的に撤廃する考えを示したのです。政権に復帰した途端に、推進側と規制側の厳格な線引きをやめると言い始めたのです。これでは、石原大臣は原子力村を復活させるのに手をかしていると言われても仕方がないんじゃないでしょうか。
そして出てきたのが、金目発言です。
石原大臣は、六月十六日に、中間貯蔵施設をめぐり難航している福島県との交渉について、最後は金目でしょうと発言しました。びっくりされた方、多いと思いますよ。これが政府の本音だったのでしょうか。
福島の佐藤知事も、住民の皆さんのふるさとを思う気持ちを踏みにじる発言だと批判され、双葉町の町長さんからも、金が目当てだと誤解を招くなどと、今、各方面から批判が出ております。
当初は、何を言ったか正確に覚えていないと述べ、撤回を否定いたしました。批判が高まるや、昨日、撤回しないとしていた発言を、撤回すると。いまだ迷走が続いております。
福島に出向いての謝罪については、国会会期中でございますので自由になる時間はございませんと言いながら、衆議院の環境委員会は開いていないんですよ。すぐに福島に謝罪にまず行くべきです。なぜすぐに行かないのか。
実は、石原大臣は、中間貯蔵施設の住民説明会に一度も出席していないのです。住民の気持ちを全く理解しようとすらしていないと言われても仕方がないのではないでしょうか。
一回も行っていないんですよ。それでどうやって寄り添うことができるんですか。厳しい批判を浴び、そして、腹を割って、膝を合わせて被災者の皆さんと、しっかりとその気持ちを受けとめ、話し合うのが、大臣の責任じゃないでしょうか。
これら多くの発言や、事故を反省しない政策の遂行などにより、福島の方々、原発事故被災者の方々の心を傷つけたばかりか、福島は世界に注目されております、世界に対しても恥ずかしいことではないでしょうか。
これは、福島第一原発が、コントロール下にある、健康問題には将来も全く問題ないとした安倍総理の発言と相通じるものがあると私は考えます。風評被害でいまだ苦しみ、帰還できない住民の焦り、健康不安を持つ方々の苦しみを本当に理解しているとは言えません。
これだけの失態を重ねた以上、安倍総理は大臣の罷免をすべきであると思います。
それとも、安倍総理は、集団的自衛権の行使の問題で頭がいっぱいで、福島のことは後回しでもよいとまさかお考えでないと思いたいと思いますが、いかがでしょうか。そうであるならば、まず罷免をして、福島の復興に力を向けるべきだと思います。
今国会の会期は、あさっての二十二日までです。ここで一言申し上げたいと思います。
私たちは、立法府に身を置く者です。今、安倍総理は、先ほど申し上げました、集団的自衛権の行使容認の閣議決定に突き進もうとしています。それは、この歴史の積み重ね、特に自民党政権が積み重ねてきた憲法解釈を、国会での説明もなく、国民の声を聞くこともなく、与党だけの密室で今も協議を続けていらっしゃいますけれども、この場での説明もなく閣議決定をしていいとお考えなんでしょうか。
なぜこれを申し上げるかといえば、石原大臣の今回の発言、これも大問題ですが、きょうは、最後の国会、最終日になる可能性があるわけですよ。
安倍総理は、この集団的自衛権の行使を、憲法解釈を変えようとすることを、この場で一度でも立法府の皆さんに説明をしたんでしょうか。
このような状況で国会を閉じ、その後、与党だけの協議で閣議決定することは、おやめになった方がいい。よく考えていただきたいと思います。これは、与党、野党、憲法改正に賛成、反対、関係ございません。政治にかかわる者の矜持の問題です。歴史に恥じます。
さて、安倍総理、あなたの今なすべきことは、国会無視、国民不在で集団的自衛権の閣議決定に自己中で突っ込むのではなく、石原大臣を罷免して、福島第一原発の事故処理と福島の皆さんに寄り添った復興こそ、まず今なすべきことではないでしょうか。
今回の金目発言で、中間貯蔵施設の稼働は間違いなくおくれます。福島の復興もおくれます。
福島の復興なくして日本の復興なしと言うのであれば、石原環境大臣の罷免なくして復興なしとここで最後に申し上げ、終わります。(拍手)
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○議長(伊吹文明君) ただいまの趣旨弁明に対して討論の通告がありますので、順次これを行います。まず、田中和徳君。
〔田中和徳君登壇〕
○議長(伊吹文明君) 次に、宮本岳志君。
〔宮本岳志君登壇〕
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、石原伸晃環境大臣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
東電福島原発事故から三年三カ月余り、今なお十三万人を超える人たちが避難生活を余儀なくされています。この間、被災地の皆さんがどれほど苦しんできたか。石原環境大臣の、最後は金目でしょうとの心ない発言は、こうした被災者の苦悩や不安を歯牙にもかけない、許しがたい姿勢をあらわにしたものであります。
福島県議会は、石原氏に対して、直ちに抗議文を送りました。多くの住民は生まれ育ったふるさとの将来への不安に苦しんでいる、環境大臣の発言は、住民の尊厳を踏みにじるもので、到底容認できない、このように憤りを込めて告発しています。佐藤雄平福島県知事も、住民のふるさとへの気持ちを全く顧みない発言だと、厳しく批判いたしました。
石原氏がどれほど言いわけしようと、被災地の皆さんの尊厳を傷つけた事実は消せるものではなく、環境大臣の資格はありません。安倍首相が石原環境大臣を直ちに罷免すべきは、当然ではありませんか。
しかしながら、首相は、何ら責任ある対応をとろうとせず、そのそぶりさえ示しておりません。したがって、石原環境大臣は不信任とするしかないのであります。
不信任に賛成する理由は、暴言問題だけにとどまりません。
安倍内閣の閣僚として、国民の暮らしと平和を脅かす数々の悪政の暴走を加速させてきた責任は、極めて重大であります。
再稼働を前提として原発利用を恒久化するエネルギー基本計画の閣議決定は、原発事故で苦しむ福島県民を初め、多くの国民への挑戦です。
安倍内閣は、社会保障のためなどといって消費税増税を強行しました。しかし、今国会では、医療介護法案の強行に示されるように、社会保障費の充実どころか、大幅削減の大改悪に乗り出しております。しかも、消費税増税と社会保障削減で生み出した財源を、法人税の大幅削減など大企業奉仕の財源に充てようとしているのは、言語道断だと言わなければなりません。
教育をめぐっても、安倍内閣は、教育再生などという看板を掲げ、教育委員会を国と首長の支配下に置く地教行法改悪を強行しました。また、大学をめぐっては、教授会から審議権を取り上げ、学長独裁を許し、大学を政府、財界言いなりの機関に変える、大学自治破壊法ともいうべき学教法、国立大学法人法の改悪を強行しようとしています。
これらはまさに、侵略戦争美化の愛国心教育や異常な競争主義を教育に持ち込むとともに、海外で戦争する国へ、戦争する人づくり、戦争する大学づくりへと、教育を変質させるものにほかなりません。
そして、いよいよ重大なことに、安倍内閣は、閣議決定による憲法解釈変更によって集団的自衛権を行使できるようにするなどというクーデターのごときやり方で、憲法九条をなきものにしようとしています。このようなやり方で日本を海外で戦争をする国にするなどということは、断じて許されないのであります。
日増しに高まる国民の反対の声を受けて、今国会中の閣議決定などは断念せざるを得なくなりました。しかし、今国会中にやってはならないことは、国会が終わろうが、七月に入ろうが、やってはならないのであります。
日本共産党は、党創立以来九十二年の歴史をかけて命がけで戦争反対を貫いてきた党として、クーデターのごときやり方で憲法九条をなきものにしようとする企てを断じて許さない決意を表明するものであります。
我が党は、広範な国民と共同し、我が国を危うくする安倍内閣の暴走を食いとめるために全力を尽くすことを表明し、賛成討論といたします。(拍手)