無利子奨学金 拡大急げ(動画)
無利子奨学金 拡大急げ 宮本岳氏に首相、前向き答弁(しんぶん赤旗)
消費抑制・逆進性明らか 宮本議員 10%への増税中止を(しんぶん赤旗)
189-衆-予算委員会-8号 平成27年02月23日
平成二十七年二月二十三日(月曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 大島 理森君
理事 金田 勝年君 理事 萩生田光一君
理事 原田 義昭君 理事 平口 洋君
理事 平沢 勝栄君 理事 森山 裕君
理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君
理事 上田 勇君
青山 周平君 秋元 司君
井上 貴博君 池田 道孝君
石原 宏高君 岩田 和親君
岩屋 毅君 衛藤征士郎君
小倉 將信君 小田原 潔君
尾身 朝子君 大岡 敏孝君
大西 宏幸君 加藤 鮎子君
門 博文君 金子 一義君
金子めぐみ君 木村 弥生君
熊田 裕通君 小池百合子君
小林 鷹之君 鈴木 俊一君
鈴木 隼人君 田所 嘉徳君
土井 亨君 長坂 康正君
根本 匠君 野田 毅君
古屋 圭司君 星野 剛士君
宮崎 謙介君 保岡 興治君
山下 貴司君 山本 幸三君
山本 有二君 小川 淳也君
岸本 周平君 後藤 祐一君
階 猛君 辻元 清美君
馬淵 澄夫君 本村賢太郎君
山井 和則君 柚木 道義君
足立 康史君 井坂 信彦君
重徳 和彦君 松木けんこう君
松浪 健太君 岡本 三成君
國重 徹君 中野 洋昌君
樋口 尚也君 赤嶺 政賢君
高橋千鶴子君 畑野 君枝君
宮本 岳志君
…………………………………
内閣総理大臣 安倍 晋三君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
総務大臣 高市 早苗君
法務大臣 上川 陽子君
外務大臣 岸田 文雄君
文部科学大臣 下村 博文君
厚生労働大臣 塩崎 恭久君
農林水産大臣 西川 公也君
経済産業大臣
国務大臣
(原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当) 宮沢 洋一君
国土交通大臣 太田 昭宏君
環境大臣
国務大臣
(原子力防災担当) 望月 義夫君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(復興大臣) 竹下 亘君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(防災担当) 山谷えり子君
国務大臣
(沖縄及び北方対策担当)
(消費者及び食品安全担当)
(科学技術政策担当)
(宇宙政策担当) 山口 俊一君
国務大臣
(経済財政政策担当) 甘利 明君
国務大臣
(行政改革担当)
(国家公務員制度担当)
(規制改革担当)
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 有村 治子君
国務大臣
(地方創生担当)
(国家戦略特別区域担当) 石破 茂君
外務副大臣 中山 泰秀君
財務副大臣 菅原 一秀君
内閣府大臣政務官
兼復興大臣政務官 小泉進次郎君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 横畠 裕介君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 前田 哲君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 大庭 誠司君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 田中 茂明君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 小澤 仁君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 能化 正樹君
政府参考人
(財務省主税局長) 佐藤 慎一君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 吉田 大輔君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 滝口 敬二君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 藤田 耕三君
政府参考人
(海上保安庁長官) 佐藤 雄二君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 黒江 哲郎君
政府参考人
(防衛省経理装備局長) 三村 亨君
参考人
(日本銀行総裁) 黒田 東彦君
参考人
(日本放送協会会長) 籾井 勝人君
参考人
(日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長) 西室 泰三君
参考人
(日本放送協会経営委員会委員長) 浜田健一郎君
予算委員会専門員 石崎 貴俊君
―――――――――――――
委員の異動
二月二十三日
辞任 補欠選任
岩屋 毅君 井上 貴博君
小倉 將信君 木村 弥生君
小田原 潔君 鈴木 隼人君
熊田 裕通君 池田 道孝君
土井 亨君 青山 周平君
根本 匠君 岩田 和親君
宮崎 謙介君 門 博文君
保岡 興治君 尾身 朝子君
後藤 祐一君 本村賢太郎君
山井 和則君 柚木 道義君
松浪 健太君 足立 康史君
岡本 三成君 國重 徹君
赤嶺 政賢君 宮本 岳志君
高橋千鶴子君 畑野 君枝君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 土井 亨君
井上 貴博君 岩屋 毅君
池田 道孝君 熊田 裕通君
岩田 和親君 加藤 鮎子君
尾身 朝子君 保岡 興治君
門 博文君 宮崎 謙介君
木村 弥生君 大岡 敏孝君
鈴木 隼人君 小田原 潔君
本村賢太郎君 後藤 祐一君
柚木 道義君 山井 和則君
足立 康史君 松浪 健太君
國重 徹君 岡本 三成君
畑野 君枝君 高橋千鶴子君
宮本 岳志君 赤嶺 政賢君
同日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 小倉 將信君
加藤 鮎子君 大西 宏幸君
同日
辞任 補欠選任
大西 宏幸君 根本 匠君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
平成二十七年度一般会計予算
平成二十七年度特別会計予算
平成二十七年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○大島委員長 これにて井坂君の質疑は終了いたしました。
次に、宮本岳志君。
<低所得者層ほど消費は落ち込んでいる>
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
今、このトマ・ピケティの著書「二十一世紀の資本」というのが話題になっておりますけれども、格差問題が一つ大きなテーマになっております。
そこで、きょうは、まず総理の基本認識を確認したいと思います。
総理は、二年前の二〇一三年四月二日の衆議院予算委員会で、「今我々が行っている経済財政金融政策において、格差を拡大しよう、つまり、今所得が低い層の皆さんがさらにこの所得が低くなるということは、これは絶対あってはならない、」こう答弁をされております。
まず、これは事実だと思うんですけれども、その考えに今もお変わりはないか、総理にお伺いをいたします。
○安倍内閣総理大臣 その決意に基本的に変わりはございません。
○宮本(岳)委員 かつて小泉純一郎首相は、これまた参議院の予算委員会ですけれども、格差が出ることが悪いとは思わない、こう答弁されたこともあるんです。
それで、その小泉首相が就任した二〇〇一年以来、日本の格差は一体どうなったか。きょうは少し各種調査の数字で御紹介をしたいと思うんですが、資料一におつけをいたしました。
厚生労働省の平成二十五年国民生活基礎調査によりますと、相対的貧困率は、二〇〇〇年に一五・三%だったものが、二〇一二年には一六・一%に。子供の貧困率は、二〇〇〇年に一四・五%だったものが、二〇一二年には一六・三%に。同じ調査で、生活が苦しいという答えは、大変苦しいとやや苦しいとを合わせますと、二〇〇一年に五一・四%だったものが、二〇一三年には五九・九%。
これらの調査結果がはっきりと示しているのは、二〇〇〇年以降、この十五年間に資産及び所得の格差はやはり拡大をして、とりわけ低所得層の貧困が一層加速したのではないかと私は思うんですけれども、総理は、そういう認識をお持ちですか。
○安倍内閣総理大臣 小泉総理が、格差があっていいと、政治家としては割と思い切った発言をされたんですが、当時私は、官房副長官で聞いておりましたが、これは所得の低い方の所得が下がっていいということではなくて、どうしてもこれは差が出ますよね、そこは、それをインセンティブに、ばねでみんな頑張っていこうよ、そういう精神論的におっしゃったんだろうとは思います。
そこで、この相対的貧困率、過去二十年、増大、格差拡大が続いているということでございますが、長期的に緩やかに相対的貧困率は上昇をしております。一九八五年に一二%だったものが、二〇一二年には一六・一%ということでございますが、同時に、これは資産が反映されていない、統計によって値が異なる点に留意をする必要があるんだろうな、こう思います。また、単身の高齢者がふえているということ、これは近年の傾向であり、また、母子家庭が増加をしている。
いずれにせよ、こうした数値は注意深く見ていきたい、このように思っております。
○宮本(岳)委員 資産を反映していないと言うんですけれども、日銀の家計の金融行動に関する世論調査というものを見ますと、金融資産ゼロという世帯が、二〇〇〇年に一二・四%だったものが、二〇一四年には三〇・四%に激増しております。二・五倍にふえております。
一方で、野村総研の調査によりますと、金融資産一億円超という世帯が百万世帯に達しております。資産で見ても、格差の広がりは歴然としているというふうに思います。
では、具体的に検証いたしましょう。
まずは、低所得者の収入について確認したいんですね。
甘利大臣は、先日一月三十日、補正予算審議の当委員会で、私が内閣府の日本経済二〇一四―二〇一五、いわゆるミニ経済白書を示して、所得階層別でどこが一番収入、支出が落ち込んでいるかと問うたのに対して、最も収入の少ない層において収入、支出ともにマイナス幅が最も大きいと御答弁をいただきました。
そこで、さらに甘利大臣にお伺いするんですけれども、年間収入五分位階級別に見た場合に、収入の最も少ない第一分位では、昨年五月から十月期の実収入と消費支出は前年比で見てそれぞれ何%のマイナスになっているか、ミニ経済白書の数値をお答えいただけますか。
○甘利国務大臣 本年一月に公表しました内閣府の日本経済二〇一四―二〇一五、いわゆるミニ経済白書でありますけれども、これは、総務省の家計調査を用いて所得階層別の収入、支出の分析をしております。この総務省の家計調査とそれから厚労省の毎月勤労統計の数字が乖離がございますが、それは調査の性格によると思います。
家計調査によりますと、世帯主の年間収入によって五分割をしたうちの収入の低い第一所得階層を見ますと、二〇一四年五月から十月における実収入は、前年比マイナス五%、消費支出は同マイナス八%となっております。
○宮本(岳)委員 二枚目にそのグラフもつけておきました。第一分位、最も低所得の層においては、実収入がマイナス五%、消費支出がマイナス八%となっております。実収入の減少は低所得層で一番激しいんですね。第二分位から第五分位で見ますと、〇・一%からマイナス二・一%にとどまっているにもかかわらず、第一分位では今のような数になっている。
では、なぜ低所得層で実収入が大きく落ち込んだのか。ミニ経済白書は次のように述べております。「収入見通しの低下は、所得の低い層ほどより大きい傾向がある。また、消費税率引上げ以降、収入見通しにはいずれの階層でも一時持ち直しの動きがみられたが、低所得層では税率引上げ前のピークに対して戻りが弱く、十分に回復していないことがうかがえる。」二十六ページにそうはっきり出てまいります。
総理、冒頭に、「今所得が低い層の皆さんがさらにこの所得が低くなるということは、これは絶対あってはならない、」という総理の御答弁、今も変わりがないということを確認しましたけれども、現実には、低所得層の収入が減り、消費が落ち込んだ。総理が絶対にあってはならないとおっしゃった、そういうことが現に起こっているということではありませんか、総理。
○安倍内閣総理大臣 この相対的貧困率についての数字は二〇一二年までしかないわけでございますが、ここで、働く人々については、安倍政権が誕生して九十万人新たに職を得た人がふえたわけでございます。
年収二百万円以下の給与所得者が三十万人ふえたのは事実でございますが、これは、高いところから落ちてきたというよりも、まさにゼロの方が、パート等の仕事についてふえた人たちも随分いるわけでございますし、このふえた九十万人を分析してみますと、五百万円から七百万円の層が最もふえておりまして、プラス三十三万人ということになってまいるわけでございます。
また、非正規、正規との関係におきましても、働き盛りの十五歳から五十五歳の層を見れば、これは、非正規から正規に行く人の方が、正規から非正規に移ってくる人と比べてふえ始めているという状況はつくり出すことができたと思っております。
○宮本(岳)委員 るるおっしゃるわけですけれども、私は内閣府のミニ経済白書で議論をしているわけですからね。
それで、現にここにははっきりと、「二〇一三年央以降、低所得層のマインドの低下が大きく、持ち直しの動きも弱い」と。その理由は、消費税増税の影響が一層深刻に低所得層に影響を与えている、こういうことなんですよ。だから、低所得層のところの所得が落ち込んでいる、収入が落ち込んでいる。これは経済白書にはっきり出ていることであります。
では、低所得層の消費支出はどうか。
先ほどの説明でも、二〇一四年五月から十月に、低所得層では、実収入の落ち込み以上に、実収入はマイナス五%でしたけれども、それ以上に、消費支出はマイナス八%抑制されたという結果が出ております。ミニ経済白書では、消費税引き上げによる物価上昇は実質所得の減少をもたらし、将来にわたって個人消費を抑制する効果を持つと、これははっきり認めているんですね。
つまり、この政府の調査によっても、低所得者が将来にわたって個人消費を抑制せざるを得なくなっているということは認めざるを得ない事実だと思うんですが、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 このミニ経済白書では、消費税率引き上げが個人消費を抑制する効果を二〇一四年四月―六月期から七月―九月期にかけて機械的に計算しているものでありまして、消費税率引き上げによる物価上昇の影響が継続する期間については特段分析されていないものと承知をしているところでございます。
いずれにせよ、先日公表されたGDP速報では、三四半期ぶりに実質GDPが前期比プラス成長となっておりまして、また、二四半期連続で個人消費がプラスとなっております。景気は、雇用・所得環境の改善傾向を背景に、緩やかに回復していくことが期待されます。
○宮本(岳)委員 先日発表されたGDPの速報値、今触れられましたね。では、これも少し聞いておきましょう。
甘利大臣にお伺いしますけれども、十六日のGDP速報値で、昨年一年間の民間最終消費支出と家計最終消費支出は、対前年比で、実質ベースではそれぞれどういう数値になっておりますか。
○甘利国務大臣 二〇一四年暦年の民間最終消費支出それから家計最終消費支出の実質の前年比につきましては、二〇一四年十―十二月期が、四半期別GDP一次速報値によれば、それぞれ、マイナス一・二%、そしてマイナス一・三%となっています。
それから、先ほど委員が御指摘になりました、二〇一四年の五月から十月期のいわゆる家計調査の収入の落ち込み。このときに、同じ時期に調査している毎月勤労統計では一・一%上がっているんです。家計調査では一・五%マイナスになっているんですね。ところが、十月を過ぎると、これがほぼ一致して上昇していくんです。
この間は、やはり統計の性質上の差が出るんですね。家計消費支出というのは、支出がどういう方向に向いているかということ、それから、毎勤の場合は、実際にその所得変化というのを見ていますから、所得の変化だけを見るのであるならば、サンプル数が多い、それから入れかえ期間が長い毎勤の方を見た方が正確なのかなというふうに思いますけれども。
<消費を落ち込ませる消費税増税はきっぱり中止すべき>
○宮本(岳)委員 いろいろ言いますけれども、あなたの役所はそう論じたわけですから、それだったらそういうことを書けばいいけれども、そう書いてないわけですから。まさにそのことを私は聞いているわけですからね。
それで、私は改めて、先ほど出たマイナス一・二、マイナス一・三、消費はそうなっているわけです。この数字はこの二十年来で最悪ですよ、よかったよかったと言うけれども。
あの消費税を三%から五%に引き上げた一九九八年でも、民間最終消費支出のマイナスは〇・八%、家計最終消費支出のマイナスは一・〇%でありました。二〇〇八年、リーマン・ショックのあのときでも、どちらもマイナス〇・九%でありました。マイナス一・二とマイナス一・三というのは、この二十年来最悪の数字が出ているんですよ。だから、何らよくなってきたということに私はならないと思うんですね。
私、消費がこれだけ落ち込んで戻っていない、将来にわたって悪影響を及ぼすというんですから、消費税の増税は、延期などではなく、きっぱり中止すべきだと思いますが、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 消費税につきましては、伸びていく社会保障費に対応する、あるいは子育て支援等も含めて社会保障の充実を図るために必要な財源であるということの中において、税と社会保障の一体改革を行う中において、三%、二%上げて一〇%にいく、そういうことを法定で決めたところでございます。
確かに、三%引き上げた中において消費が冷え込んだのは事実でございます。だからこそ、十八カ月、この消費税の引き上げを延長したわけでございますが、幸い、昨年、経済界は、二%、これは十五年ぶりの引き上げ率となったわけでありますが、平均二%以上引き上げを行い、ことしも引き上げていただく。ことし引き上げていただければ、昨年の三%の引き上げ分が剥落をしていきますから、実質においてもプラスになっていくという可能性も出てくるわけでございまして、そういう意味においては、来年も上げていく、再来年も上げていくことによって消費税を引き上げる環境を整えていくことができる、このように考えております。
○宮本(岳)委員 そうおっしゃるけれども、実質賃金は、この十八カ月ずっとマイナスなんですよね。だから、多少上がっても、到底物価の上昇に追いついていないということは明瞭であって、私は、これだけ深刻な消費を喚起しようと思えば、これは先送りではなくて、きっぱり中止をすべきだと申し上げておきたいと思います。
ミニ経済白書の注目すべき点は、「所得に対する消費税の負担率は、所得が低いほど重くなる傾向があるため、消費税率引上げが特に低所得層のマインドに影響を与え、結果、そうした層での消費の抑制傾向を高めている可能性がある。」こういう指摘をしていることであります。つまり、消費税の逆進性という問題であります。
まず、総理の基本認識を問うわけですけれども、消費税の税率を引き上げることを決めた、閣議決定した二〇一三年秋の時点で、消費税を引き上げると低所得層の負担率が重くなり、消費を抑制する、そういう結果となるということを認識しておられましたか。
○安倍内閣総理大臣 そうしたことを認識しているからこそ、我々、補正予算を組んで、経済対策を行ったわけでございます。
確かに、委員が御指摘のように、逆進性というところにも我々着目をいたしまして、そこで、所得の低い方々のために給付金を行う、あるいは年金生活者の方々のために加算を行うということを実施した次第でございます。
○宮本(岳)委員 おやりになった臨時福祉給付金、簡素な給付措置三千四百二十億円程度、子育て世帯臨時特例給付金一千四百七十億円、これは一年半で一万円という話でありまして、一年半で一万円とは、月にしてみたら五百五十五円程度と、到底この消費税の増税を補うに足りないわけですよ。だから、こうして低所得のところに深刻な影響が出ているということはもう明瞭だと言わなければならぬと思うんですね。
ここで、財務省にひとつ、きょうは事務方でいいですから、これは数字を確認したいと思います。
総務省統計局の平成二十四年の家計調査、勤労者世帯をもとにして、収入階級別に一カ月当たりの税負担額を実収入で割った税の負担率は、最も低収入の第一分位と最も高収入の第十分位で、所得税ではそれぞれ何%になるか、消費税率を一〇%とした場合の消費税の負担率はそれぞれ何%と試算されるか、数字を答弁していただけますか。
○佐藤(慎)政府参考人 お答え申し上げます。
総務省の家計調査をもとに、委員御指摘のとおりの税負担額が実収入に占める割合を算出いたすということでございまして、所得税の割合でございます。収入階級第一分位の世帯で約一・〇%、それから収入階級十分位の世帯で約六・一%でございます。
他方、消費税の割合につきましては、お尋ねの、税率を一〇%と仮定するということで試算をいたしますと、第一分位の世帯で約五・九%、十分位の世帯で三・八%という試算になるところでございます。
以上でございます。
○宮本(岳)委員 消費税を八%、一〇%に引き上げると実収入に対する税負担割合が一体どう推移するか、四枚目のグラフをおつけいたしました。三枚目の資料というのが先ほど財務省主税局が答えた数字でありまして、グラフにしたものがこの資料四であります。
所得階層十分位の収入階級別に見ますと、所得税そして消費税の負担割合はこのグラフのようになります。
青いグラフは所得税です。第一分位の一%から、先ほど答弁があったように、第十分位の六%へと、所得がふえるほど右肩上がりに税負担率が上がります。これはまさに、累進性がここに示されていると言わなければなりません。
消費税を見ていただきたい。全て右肩下がりになっております。とりわけ、一〇%に引き上げた場合の赤いグラフ、第一分位、低所得層の実収入に占める消費税負担率は、先ほど答弁があったように六%、第十分位、最富裕層の所得税負担率とほぼ同じ六%に達することになっております。
総理、ここに示されているものは、明瞭に、消費税というのは低所得ほど負担率が高くなるという逆進性をくっきりと示していると思いますが、これは総理、お認めになりますね。
○麻生国務大臣 消費税の、いわゆる逆進性の高いこういったものに頼るべきではないということがおっしゃりたいんだと存じますけれども、他方で、消費税というのは、御存じのように、勤労世帯、働いている世帯に過度に税金が偏り過ぎることがないとか、また、税収が景気や人口構成等々によって変わることがないとかいう点も忘れてはならぬところであると思いますし、第一、社会保障と税の一体改革の中で、この増収分は社会保障の充実に充てるということにしておりますので、いわゆる受益は低所得者ほど大きいということになりますので、所得の再配分につながるという面があろうと思っております。
加えて、今から少子高齢化が進んでまいりますので、そういった中では、社会保障制度というものを次の世代にしっかりと引き渡すためには、消費税というものにまさる安定財源確保という道というのは、なかなか私どもとしては思いつかないところだろうと存じます。
○宮本(岳)委員 二言目には一体改革と言うんですけれども、私は税と社会保障の一体改革特別委員会もこの場所でやりましたよ。しかし、社会保障の方は、年金だってマクロ経済スライドが入る。今、どんどんどんどんよくなっているかというと、自然増だって今度の予算では別に措置していないわけです。そこからさらに削り込んでいるわけですね。国民は本当にそういう点でも納得がいかないことは明瞭だと思います。
結果、どういうことが起こっているか。低所得層では既に食料費など生活必需品を切り詰めている、家計調査をもとにそう指摘するエコノミストもいるわけですよ。
そういう点では、逆進性がある以上、低所得層に対して消費税の増税というのは、やはりやるべきでない。総理、これは考え直すべきだと私は思いますけれども、総理の御答弁をお願いしたいと思うんです。
○安倍内閣総理大臣 確かに、今グラフでお示しになったように、逆進性があるのは事実であります。しかし同時に、財務大臣が答弁をさせていただきましたように、だからこそ、社会保障の財源として、給付として、これはまさに多くの国民に裨益していくことになるわけであります。かつ、安定財源ということになりますと、所得税、法人税は景気によって大きく左右されるわけでございますが、消費税は安定をしているということではないか。
しかし、繰り返しになりますが、逆進性ということに着目をしながら、委員は少ないじゃないかという御意見でございましたが、簡素な給付措置等の対策を、低所得者の方々への対策を行ってきたところでございます。
<無利子奨学金を利用できる資格があるのに利用できない「残存適格者」が四万人!(2014年現在)>
○宮本(岳)委員 では、その対策がどういうものかということを次に議論したいと思うんですね。
総理は、子供たちの誰もが家庭の経済事情に左右されることなく希望する教育を受けられるようにする、こういう子供の貧困対策についても触れられております。
まず、文部科学大臣にお伺いするんですけれども、昨年十二月に、OECD、経済協力開発機構が、格差と貧困と題するレポートを発表しました。この報告では、所得格差が拡大すると経済成長は低下する、こう指摘するとともに、その理由の一つは貧困層ほど教育への投資が落ちることにある、こう書かれているわけですが、文部科学大臣、これは御存じでございますね。
○下村国務大臣 御指摘のように、OECDが公表した報告書では、所得格差の拡大は経済成長を大幅に抑制している、また、格差の成長に対するマイナス要因は下位四〇%の所得層において見られる、これは貧困層が教育に十分な投資をしないためであるとの分析がされておりまして、御指摘のようなまとめになっているというふうに承知しております。
○宮本(岳)委員 家計調査を見ましても、労働者世帯に限らず、全世帯で何を切り詰めているのかということを見ますと、実質値での減少幅が一番大きいのは教育。授業料、塾などの三〇・二%減というのが出てまいります。ですから、既に教育費の抑制が進んでいる、こういうふうに思うんですね。
まさにOECDが指摘するとおりの格差拡大が教育格差を招く状況が我が国には存在していると私は思いますが、文部科学大臣、いかがですか。
○下村国務大臣 特に低所得層、貧困層においてそういう傾向が出ているというふうに思います。
○宮本(岳)委員 そういう傾向があるとお認めになりました。
そういう所得格差のもとで、機会均等を実現し、子供たちが教育を受ける権利を保障するための制度が奨学金制度であります。しかしながら、日本の奨学金は諸外国の制度と比べると極めて貧困で、特に日本学生支援機構の奨学金においては、給付型の奨学金はなく、有利子制度を中心とする学生ローンのようなものになってしまっております。
下村大臣も、昨年三月十九日、衆議院文部科学委員会で、私に、「これは宮本委員もおっしゃったように、奨学金とは名ばかりの学生ローンだと私は思います。」こう答弁をされました。これも事実ですね。
○下村国務大臣 諸外国を見ても、奨学金で有利子があるというところはほとんどありませんから、これは、奨学金というよりは、学生ローンであるというふうに思います。
○宮本(岳)委員 有利子から無利子へということも総理は所信表明で触れられました。しかし、この有利子から無利子への流れを加速するというふうに言うけれども、今回、八千六百人という無利子枠の拡大にとどまったわけですね。
私、きょう最後に問いたいのは、この有利子の奨学金を受けている学生の中に、本来は無利子奨学金を受ける資格があるにもかかわらず、予算が足りずに利子つきの奨学金しか借りられないという学生、これを残存適格者と呼ぶんですけれども、適格なのに無利子じゃなく有利子で借りざるを得ないという学生たちが残されている。
きょうは文部科学省に、これは高等教育局、来ていただいていますが、一体、こういう残存適格者、平成二十六年時点で何人と見積もっておりますか。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
平成二十六年度現在で約四万人存在しているものと承知しております。
○宮本(岳)委員 四万人ですよ。四万人の学生が、その他の条件でいうと無利子の奨学金を受けられるにもかかわらず、そのお金の段取りがないために有利子で借金せざるを得なくなっている。
これは文部科学省も一刻も早く解消しなければならないという立場なんです。ですから、四万人を二年計画で解消するとして、概算要求では二万人という無利子枠の拡大をお願いしたはずなんですね。しかし、結果は、今議論しているこの予算案では八千六百人と半分以下に削られました。
麻生財務大臣、何でそんなひどいことをするんですか。
○麻生国務大臣 いつ回ってくるかと思っていましたよ。
大学生に関する奨学金の話ですけれども、これは、無利子奨学金と有利子奨学金というのを合わせますと全学生の約四割に貸与されておりますのが実態でして、希望されている方はほぼ全員に行き渡っているというのが実態です。
ただ、有利子と無利子の話が出ましたけれども、これは、在学中は利子は発生しないというのはもう御存じと思いますけれども、その後も、奨学金の全体で見ますと、もうちょっと配慮がなされてもいいのではないかという御意見ということは、金があれば、それは私どもも決してその御意見というのはわからぬわけではありませんけれども、少なくとも今の状況において、これまで平成二十一年、二十二年ぐらいのときで大体二千人ぐらいだったんですが、ことしは八千人というところまで上がってきているだけでも、かなり今までに比べれば結構な努力をしている点では認めていただければと存じます。
○宮本(岳)委員 今まで非常に不十分だったのに比べたら頑張っている、こういう答弁ですけれども。
奨学金の会という会がありまして、総選挙のときに各政党に「学費・教育費および奨学金に関する質問書」というのを送りまして、回答を各党本部からいただいたものの一覧表をここに持ってまいりました。
無利子奨学金の予約適格者は全員採用すべきか、こう全ての政党に問いかけておりますけれども、自民党の答えは、1そう思う、直ちに予約適格者は全員採用すべきだと思う、こう答えています。いや、自民党に限りませんよ。きょうこの議場にいる全ての政党が、残存適格者というのはひど過ぎる、直ちに一掃すべきだという立場に立っているんですね。
どれほど莫大な金がかかるのか。かかりませんよ。
文部科学省にお伺いしますけれども、八千六百人をやった後、残る三万人余りですけれども、この三万人余りを一気に無利子にするための予算はおよそどれだけだと試算しておりますか。
○吉田政府参考人 御指摘のような形で残存適格者につきまして単年度で全ての方に無利子奨学金を貸与するということになりますと、二百十一億円が必要であるというふうに承知しています。
○宮本(岳)委員 わずか二百十一億円ですよ。何でその金が出せないのかと言わなければなりません。
総理は、所信表明で、大学生への奨学金も、有利子から無利子への流れを加速し、将来的に、必要とする全ての学生が無利子奨学金を受けられるようにしてまいります、こう語りましたよね。この三万人を解決したって、まだ有利子奨学金を借りている学生は八十五万人残る計算になります。毎年毎年八千六百人ずつやっていったら百年かかりますよ、将来的にと言うけれども。本当に無利子化するという構えで取り組むならば、今のあなた方のやり方は到底追いつかないと言わなければなりません。
総理、これはやはり、所信表明でも触れられた、私はきょうは総選挙の重点政策集も持ってきましたよ、この中でも加速すると書いていますよ。残存適格者というようなものについては直ちに一掃すべきではないか。総理の御決断を求めたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 先ほども大臣から答弁をさせていただきましたように、八千六百人とはいえ、それまで二千人だったものを八千六百人でありますから、四〇〇%ふやしたわけでございます。
そこで、我々は強い意思として、将来は希望する方々全てが無利子の奨学金が受けられるようにする、これは大きな目標として初めて掲げたわけであります。
残存適格者という御指摘がございました。そうした方々については、適格であるわけでありますから、しっかりと奨学金が受けられるようにするべくスピードアップしていきたい、このように考えております。
○宮本(岳)委員 わずか二百十一億円ですよ。そういう比較は余りしたくないですけれども、今回の防衛予算の中に含まれているような戦闘機とか、あるいは、我が党は今国会冒頭に政党助成金も廃止しようという法案を提案しましたけれども、三百二十億円の助成金を廃止すれば、こんな本当に理不尽なことを一気に解決するだけの予算をつくれるわけですから、それもやらないとすれば、やはり総理の所信表明というのは羊頭狗肉だと言われても仕方がないということを申し上げて、同僚議員に質問を譲りたいと思います。