143 – 参 – 交通・情報通信委員会 – 3号 平成10年09月22日
平成十年九月二十二日(火曜日)
午前十時一分開会
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委員の異動
九月二十一日
辞任 補欠選任
川橋 幸子君 伊藤 基隆君
九月二十二日
辞任 補欠選任
伊藤 基隆君 川橋 幸子君
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出席者は左のとおり。
委員長 小林 元君
理 事
加藤 紀文君
景山俊太郎君
寺崎 昭久君
森本 晃司君
渕上 貞雄君
委 員
岩城 光英君
鹿熊 安正君
田中 直紀君
野沢 太三君
山内 俊夫君
山本 一太君
若林 正俊君
伊藤 基隆君
内藤 正光君
鶴岡 洋君
筆坂 秀世君
宮本 岳志君
戸田 邦司君
岩本 荘太君
国務大臣
運 輸 大 臣 川崎 二郎君
郵 政 大 臣 野田 聖子君
政府委員
運輸政務次官 林 幹雄君
運輸大臣官房長 梅崎 壽君
郵政大臣官房長 高田 昭義君
郵政省郵務局長 濱田 弘二君
郵政省貯金局長 松井 浩君
郵政省簡易保険
局長 足立盛二郎君
郵政省通信政策
局長 金澤 薫君
郵政省電気通信
局長 天野 定功君
郵政省放送行政
局長 品川 萬里君
事務局側
常任委員会専門
員 舘野 忠男君
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本日の会議に付した案件
○運輸事情、情報通信及び郵便等に関する調査
(運輸行政の諸施策に関する件)
(インターネットの普及促進と不正利用対策に
関する件)
(放送のデジタル化と今後の課題に関する件)
(情報通信基盤整備における日米格差と我が国
の対応に関する件)
(中央省庁再縞と郵政行政の在り方に関する件
)
(Vチップ制導入の是非に関する件)
(北海道グルメ会の郵便局における販売活動に
関する件)
(郵便事業の収支悪化と料金据置きに関する件
)
(郵便貯金事業の今後の運営方針に関する件)
(電気通信料金の地域間格差是正に関する件)
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宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
先ほど公明の森本委員の方からも、郵便事業の決算について、赤字になっているがどういう要因かという質問がございました。大体、御答弁で聞かしていただきますと、やはり景気の停滞が一番大きな背景にあるということもお話がございました。景気停滞の影響ということであります。
私どもは、景気停滞の影響というのを取り除く、打ち破る上では、昨年の消費税の増税を初めとする九兆円の負担、これがやはり景気低迷の大きな原因になっているというふうにも考えております。同時に、経費節減ということもおっしゃいましたけれども、現状は消費税の増税分二%をこれは値上げせずにかぶっているわけですから、消費税を三%に戻せば経費節減という点でも大きく四百億円ほどはずばり減るわけですし、同時に、各企業や各家庭がいろいろ消費を抑えているという点でも消費税の減税というのは極めて有効な手だてだと思われますが、まず郵政大臣のこの点についての御所見をお伺いいたします。
国務大臣(野田聖子君) 私は、今現在郵政大臣としての仕事をちょうだいしておりますので、その範囲内でできることと考えたときには、繰り返しになりますけれども、いろいろと増収につながるような営業活動とかキャンペーンとか、または商品をつくっていくこととあわせて、節約、節減の方は、例えば国民に御協力いただいているとけた化とかそういうのを推進していくことで合理化させていこう、そういうことでございます。
宮本岳志君 私どもももちろん増収のための営業、販売活動というものを否定するものではございません、一概に否定するものではない。しかし、問題は、今郵便局の現場でやられていることは、今おっしゃったような適切な営業活動と言えるようなものではないと私は思います。
<営業ノルマの達成に自腹切りを強制>
宮本岳志君 先日、我が党に、ある郵便局の管理者の方から手紙が届きました。きょうは私その手紙、全文をお持ちしましたので、よければぜひごらんいただきたいのですが。(資料を示す〉
この手紙でこう管理者の方が述べておられます。
郵政省は、事業収入を少しでも多く確保しようと、職員にたいし、ノルマを含む営業目標を押しつけています。
特に管理者にたいしては、郵便局別に設定をした業務収入の確保について、目標を達成させるべく、厳しく責任を負わせています。
と指摘し、具体的には、
各郵便局に割り当てられた「かもめーる」の売れ残ったものは、管理者が自腹を切らされ、使うあてもない「かもめーる」を、十万円、二十万円と無理やり買わされてしまいます。そして、郵政局には、「かもめーる」は完売できましたとうその報告をしているのです。
このことは、春に売り出される「さくらめーる」や年賀状についても、同様のやり方でおこなわれ、その度に管理者は、貯金を引き出して、使いもしないはがきを泣く泣く買わされています
と、この方は指摘をしているわけであります。
そして、さらに続けて、
事業収入を確保する為にという理由で、国の公の機関である郵便局で、一般常識で考えてもおかしいと思うやり方で、職員に無理を押しつけるやり方が、許されるものでしょうか。
と、怒りを込めて告発をされているわけであります。
これが現在郵政省が推進している、実施している増収対策の実態ではないんですか。ぜひこの中身について、こういうことをやられているのか、御答弁いただきたいと思います。
政府委員(濱田弘二君) まず私から事実関係を踏まえまして。
現実の非常に厳しい状況を打開いたします、先生からも営業施策全体について理解はしていただいておるというようなお話もあったように承っておるわけです。まさに今全職員が総力を挙げて営業活動に取り組んでいくということが国民利用者の皆様から見ても期待されておるというふうに思っております。
ただ、今先生御指摘のような、職員、あるいは管理者を含めてでございますけれども、自腹を切るということを押しつける、そういうような営業活動を私どもとして求めておるものでもございませんし、私ども、少なくとも把握する限りにおいてはそのようなものがあるとは承知いたしておりません。
宮本岳志君 自腹を切るというようなことはやらせていないという御答弁でしたが、実際にやられていることは、全国幾らでもそんな例はありますよ。私の地元の大阪でも、年間百万円も自腹を切ったという、購入している管理者の話も聞いております。また、営業成績を職場に張り出して圧力をかける、そういうこともいっぱいやられているわけです。これは各地の報告、労働組合等で調査された中身も私いろいろ教えていただきました。
例えば、広島のある郵便局ではこういうことです。「「かもめーる」の書損交換が異常に多い。それも身内によるものが。売れ残っているにもかかわらず、窓口から立秋の前に全てひきあげた。」。なぜ引き揚げるのかと聞いたら、「課長代理によると「売れ口が決まったらしい」とのことだった。」と。つまり、これはそれこそ全部買い取るという話になったと。
あるいは、名古屋のある局からも生々しい話をお伺いしました。「課目標・班別目標を各イベントごとに、課内の掲示板に貼りだし、毎朝のミーティングで「全員参加」「ゼロ者のないように」などと尻たたき」、「局長室には全職員の毎日の推進管理が貼りだしてあって、ゼロの人は個別に事情を聞く」、呼んで。こういうしりたたきがやられている。
そういうふうに使われている表だってありますよ。私、ここに東京のあるところの表を持ってきましたけれども、これ一見したって毎日毎日目標を持たせてしりをたたいているという中身が如実にわかります。お中元特選品、グルメ、「かもめーる」。指標、販売実績、販売率、参画率と日々数を出して、始終業ミーティング記録簿ということで一つ一つしりたたきをしているという実態があるわけです。
参画率というのが出てきますけれども、この参画率というのはくせ者です。あるチームが販売実績がないというので副課長からあなたのチームは参画していないと言われた。いや、そんなことはない、努力はしています、おかしいと言うと、参画イコール販売だ、販売が上がらない以上参画しているとはみなされないと。結局全員一個ずつ買わされた、こういう報告も私は聞いております。
郵政省としてはそのようなことはやっておらないとの御答弁だったと思いますが、各地の郵政局でこのようなことをやらせておりませんか。
政府委員(濱田弘二君) 先生のお言葉でございますが、先生おっしゃる中で、私どもとして、事業であれば当然取り組んでいかなきゃならぬというような行為までも先生の方で何か否定されておるようにも伺えたわけでございますが、私がはっきり申し上げておるのは、自腹を切って職員、そして管理者に対して、今先生「かもめーる」というような商品をにおわせられましたけれども、そういうようなことはやっておらない。私どもの耳にも届いてきてはおりませんし。ことしの場合、ちょっと残念でございましたけれども、「かもめーる」は全体からいえばほんの少してございますが、現実に売れ残りもしております。こういったものは処分もするわけでございますので、その辺、先生の御認識と私どもの認識について相当な差異があるのかなというふうに今率直に思っておるところでございます。
宮本岳志君 現実に現場の人たちからそういう声も出されて、そしてその中身として、管理者の中で自腹を切るということもあるし、あるいは販売実績が上がらないということになればみずから買い取らざるを得ないということもあると。こういうことになっているわけであります。これはしかも郵政局を挙げてやっていると私は思います。
八月二十五日に、九州郵政局長が「職員の皆さまへ」と題する文書を出しております。それにはこう書いてある。
万一、赤字を出すこととなれば、国民の郵便局に対する信頼を一気に失う結果となり、今後の事業運営に重大な影響を及ぼすこととなります。
このような未曾有の危機を乗り切るため、本年九月一日から平成十一年三月三十一日までの間、郵政局及び管内全局に「九州ゆうびん緊急増収対策本部」を設置し、三事業一体の強力な営業推進を図ることとしました。
職員の皆さまにおかれましても、このような現状を十分認識し、郵便販売収入目標の必達に向け、なお一層のご努力をいただきますようよろしくお願いいたします。
つまり、郵便、貯金、簡保、三事業一体、全職員で郵便販売収入目標の達成に取り組むということですよ。つまり、通常の営業で目標達成できない局では、先ほど指摘したような職員や管理者への自腹による購入の押しつけ、いわゆるタコ足ですね、タコ足ということの押しつけが拡大するおそれが多分にある。
絶対に職員や管理者に対して目標達成のために自腹で買わせるということはやらない、一切やらないと約束できますか。
政府委員(濱田弘二君) 繰り返すようでございますが、自腹で職員、管理者を含めてですが、郵政省の方で販売しておる商品について強制的に買わせるというようなことはいたしておりませんし、今後ともしてもらうつもりは全くございません。
それから、今先生、九州郵政局長のお話をされましたけれども、それはそれで大部分のところにおいて必要な話ではないかなと思っております。私自身も、八月終わりに、日本全国の全部の郵便局、郵便関係職員でございますが、に対しまして、私どもの内部のテレビを通じましてやはり現在の危機を訴えるという行為は当然にしておるところでございまして、今先生から局長の言葉として御紹介いただきましたけれども、やはり万一事業財政がおかしくなれば国民の皆様の郵便局に対する信頼を一気に損なう、これはまさしくそのとおりのことではないかなというふうに私も認識いたしておるところでございます。
宮本岳志君 現場でこういう声が出ているわけですから、ひとつ調査をしていただいて、自腹で買わせるとかタコ足という事態がないのかどうか、あれば直ちにこれをやめさせるということでお願いをしておきたいと思うんです。
<従業員8人の企業で12万人の会員>
宮本岳志君 さて、次に私お伺いいたしますが、こういう営業活動が「かもめーる」などの郵便事業のためだけではなく、とんでもないことのためにもやられているということをきょうは御質問したい。
北海道グルメ会という会があると思いますが、この北海道グルメ会が、ことし十月から来年の九月まで、ゆうパックによる毎月一回の北海道などの食品を郵送する「美味旅情 第十一回頒布会」というのをやっております。きょうはパンフレットも取り寄せて持ってきました。これですね。「北海道グルメ会 第十一回頒布会」。これを郵便局に置いて募集をしておりましたけれども、これは郵政省の企画ですか。また、北海道グルメ会というのは一体どういう団体ですか。どうぞお答えください。
政府委員(濱田弘二君) 北海道グルメ会と申しますのは、私ども承知いたしますところ、会員の方を集められまして、会員の納めた会費によりまして会員が希望される各地の特産品、今先生お示しのパンフレットに載っておるようなものだというふうに思っておりますけれども、それを郵便局のゆうパックで毎月お届けしている任意団体というふうに承知いたしております。
そういう任意団体から私どもとしてそういうようなパンフレットを寄附受けいたしまして、これはまさしくゆうパックの販売の拡大にもなるわけでございますし、そしてまたさらには、地場の産業の振興にも郵便局が貢献できるものでございますので、北海道グルメ会にかかわりますところのそうしたゆうパックに係るものの販売促進に私どもとしても御協力もし、また積極的に取り組んでもおるところでございます。
宮本岳志君 ところが、この北海道グルメ会というのは、なかなかマスコミなどでも取り上げられて、非常に奇妙な面を持っている任意団体であります。
北海道新聞社関連の月刊誌「道新TODAY」九月号によれば、北海道グルメ会は任意団体、職員は八名だと。連絡先は札幌白石郵便局の私書箱になっているといいますが、見たら、確かに私書箱十号となっております。そして、一九九六年九月の決算で売上高が四十億円、利益は九千八百万円。売上高では北海道の食品小売業七百十二社中十四位、業界大手並みの実績を上げております。
先ほど十二万人の会員という御答弁がありました。八人の職員で十二万人の会員を募集するというのはなかなかできる話ではございません。一人一万人以上も会員を募集したということになりますが、これは結局、郵政局が音頭をとって会員の募集を郵政省自身が郵便局の窓口でやらせたということではないんですか。
政府委員(濱田弘二君) 先ほどもお答えいたしましたように、北海道グルメ会の施策というのは、まさにイコールと言ってもいいぐらいゆうパックの取り扱い物数をふやすということにつながるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、そういうものについては積極的に取り組むということで、郵政局、郵便局を挙げて北海道管内で取り組まれておるというふうに事実を把握いたしております。
宮本岳志君 同じくこの「道新丁ODAY」にはこういうことも書かれております。六月十九日付で内部文書が出され、その文書の表題には「第十一回「北海道グルメ会」会員募集について」、こういう文書が郵便局に配付をされていると。その文書の中身もこの記事は引用しておりますけれども、「郵政局施策として会員募集を行いますので、積極的な勧奨活動を願います」と書かれ、販売目標も書いていますよ、一人五件の会員の拡大をしなさいと。これが郵政局の施策だというふうに書かれています。
これ一人五件というのを調べてみたら、確かに現場でそうなっています。旭川郵便局ではこういうふうに言われております。個人指標一人五個で、あるチームが一人以外全員達成になった。残る一人もあと一個で達成になるので、チームリーダーがその人のところへ来て、自分の一個を譲るから達成させてくれと言ってきた。つまり、一人五個という目標全員達成ということをこのグルメ会でやるためにおれの分を譲るからひとつ全員達成ということにさせてくれと言ってきたと。また、別の人の報告では、このグルメ会はまず一個は自分で買い取り、もう一個は親に、三個目は兄弟や親戚にという実態ですと。数十個も実績を上げるには休日にセールスに歩くことになる、こういうふうに言われているわけです。
これオーバーじゃないですよ、休日に売り歩くというのは。これも旭川の方での話ですけれども、休日に職員の自宅に電話をかけて、君、グルメ二個しかやっていないよね、残りはどうなっているのかね、休日も勧誘に歩けと管理職から電話がかかってきた。努力していると答えると、努力だけではだめなんだ、結果だ、結果を出せ、やる気はあるのかと追い打ちをかけると。
つまり、グルメ会の新規会員の獲得というのは、全部郵政局に依存して、職員を駆り立ててやらせている。それで十二万の会員が八人の職員で集まっているということじゃないんですか。そうでなければ集まらないですよ、こんな数は。
政府委員(濱田弘二君) 先ほど来御答弁申し上げておることの繰り返しになるわけでございますが、郵便局として、そしてまた郵政局として非常にメリットがあるということでございます。ひとりゆうパックがふえるだけじゃなくて、地場の産業の振興にも貢献できるという、それだけの意味のあることでございますので、郵政局、郵便局挙げて積極的に取り組んでおるということでございます。
また、土曜、日曜というお話でございますけれども、私は北海道について申し上げるわけじゃございませんが、管理者が今土曜日、日曜日、例えば東京でいえば渋谷の郵便局あるいは新宿の郵便局に臨時出張所を出して営業をしておるというのは別に珍しい姿ではございません。
宮本岳志君 そんなことではないと思うんですね。では、今郵政省はゆうパックを使う企業であれば、どんな企業でも窓口に置いて十二万も職員を使って拡大、販売してくれるんですか。
<「毅然として自腹を切らない行動を」>
宮本岳志君 なぜこの団体、この北海道グルメ会というのがそういう十二万もの販売を郵政局長のというか郵政局自身の活動としてバックアップをされて進められるのか。ここにはそんなことでない特別な実はいきさつ、理由があるでしょう。
つまり、このグルメ会というのは結局郵政省官僚OBの天下りの組織になっている。これ全部調べてみたら、望月という会長は札幌中央郵便局長を務めた幹部である。八人と言われる職員も郵政のOBが大半を占めている。つまり、みずからの天下り先をつくるために、そしてそういうグルメ会というのと癒着をして、みずからそこにもうけさせていくということになっているんじゃないんですか。私は、そのためにそういう形で全面的に応援をしてやっているとしか考えられない。そのためにこのグルメ会というものが郵便局の業務として会員拡大が進められているとしか考えられない、私、こう思いますが、いかがですか。
政府委員(濱田弘二君) 先生誤解をされておられるのは、いかにも北海道郵政局なり郵便局がこの北海道グルメ会だけのゆうパック小包を取り扱っておるというふうに御指摘をされておるように私は少なくとも受けとめることができたわけでございますが、そういうことはございません。
北海道グルメ会に限らず、非常に意義のあるゆうパックの取り扱い、これは例えば別のイベントで、父の日とか母の日とか、それにちなんだゆうパックの取り扱いもいたしておりますし、一つのところに偏ることのないようこれは北海道郵政局でも心して取り組んでおるところでございますので、その辺は先生の方でも事実をお調べいただければすぐわかる話だと思っております。
宮本岳志君 事実を調べて言っているんですよ。それは、もうそんな話はいっぱいありますよ。また、このグルメ会というものを名指しで進めているということも明らかです。
囲えば、郵産労の調査結果、別の、旭川でない場所のものをいただきましたけれども、「課長から「グルメ会をやめたら北海道の特産品約百万個が流通しなくなるから、何としても指標を達成せよ。」」とハッパをかけられたと。ひどい場合には、「君は障害者だから業務で他人に迷惑を掛けているぶん営業で返すことが必要だ」と公然と言われたと。中には、「北海道グルメ会とのトラブルがもとで一個もとらなかったある郵便内務の労働者が、課長との対話でも買い取り」、つまり自爆です、タコの足食いですね、これ「を拒否した結果、五回も副局長室によばれて長時間にわたって”脅し-恫喝”とも言うべき言葉で買い取りを強要され、最後には「自爆」した」と。まさに強制的に募集、自爆させられている、こういうことだと思うんですね。こういう実態がもしあるとすれば重大だと思うんです。
政府委員(濱田弘二君) 今先生幾つか事例を挙げられたわけですが、やはり私ども今の中で非常に問題だなと思ったのが、郵便局で障害者の方に対して、職場の中でふだん迷惑をかけているからこちらの方で頑張らなきゃならぬのだと、そういうようなことをもし郵便局の職場の中で管理者が言ったというと大変な話だと思うんです。
先生、これだけの国会の場でそれだけの事実を指摘されたわけですから、この場でなくて結構ですから、後で私どもに対して、どこの郵便局のど
の管理者がそういうような行動をされたのか、もし具体的につかんでおられるんならぜひ教えていただきたいと思います。
宮本岳志君 わかりました。では後ほどそれについては。
さて、私は、こういうやりとりの上に立って、ぜひ郵政大臣にお伺いしたいんです。
自主的なものだという言い方で言い、また決してゆうパックのあれであって商品の販売ではないと言うんだけれども、結局、九七年度から新昇格制度の導入で自己評価がされ、昇級昇格に響くために職員は泣く泣く買い取らされている、こういうのが実態ですよ。国の機関で人権を無視した憲法違反の行為が行われているというのは絶対に容認できない。しかも、北海道グルメのゆうパックは職員への押しつけ、営利企業への奉仕、天下り先の確保と私企業の営業活動の促進に職員を強制するだけです。北海道の産業の育成にもこれでは決して結びつかない。
大臣にお伺いしたいんですが、職員の人権を無視している郵政省にこういうことがもし実際あるとすれば、ユニバーサルサービスとか国民本意の郵政事業を語る資格はないと思うんです。ぜひ大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
国務大臣(野田聖子君) 宮本先生からの御質問を若干事前に承っておりまして、先ほどの自腹の件に関しましては、何度も再三再四確認いたしましたところ、自腹で払え、自腹を切れという強制行為はないということでございまして、ただ、事実として強制、命令はなくても払わざるを得ない状況があるというのであれば、むしろ払わなくて結構なんだと。このお手紙も今管理者の方のを読まさせていただきましたけれども、どうか毅然として自分は自腹を切らないという行動を起こしていただきたいなということを思っているわけです。
ただ一つ、先ほど来ほかの先生方からも御指摘のとおり、現在、大変郵便事業は赤字で苦しんでいるところでございます。私たちはできる限りのことをしてこの郵便事業をよくしていきたい。ですから、全国の郵便局の皆さんには、苦しいかもしれないけれども一生懸命できる限りの努力はしていただきたいということをお願い申し上げます。
私自身も、議員になる前はある民間企業で営業活動をしました。女性ですから特にハンデが多かったですけれども、毎週月曜日のセールスのミーティングでは働きの悪い私に対して上司から随分おしかりがございました。しかし、とにかく売り上げを上げなきゃならないんだということで歯を食いしばって頑張ったことを思い出しました。必ずしも、人権に配慮していないようなことはいけないわけですけれども、ある程度これは営業だと、仕事なんだということで、できる限りの努力を郵便局の皆さんにも、私も頑張りますから、お願い申し上げたいと思います。
北海道グルメ会につきましては、宮本先生から今細かいいろいろの話をじかに承ったところでございます。濱田局長がおっしゃっていたように、障害者の方にそのようなことがあれば、私としてもきちっと処罰、処分させていただきたいと思っておりますので、御報告いだだきたいと思います。
私は、北海道グルメ会のさまざまな人たちが北海道の地場産業をゆうパックを通じて広めていただくことをやはり大切にしていきたいと思うので、現場にあって一生懸命取り組んでもらうけれども、それ以上の精神的な被害は取り除くとしても、そういう形で今の郵便事業の様子を皆さんで真摯に受けとめていただき、できる限り頑張っていただきたい、私たちも一生懸命頑張っていく、そういうふうに申し上げたいと思います。
宮本岳志君 自腹を切らない勇気ということをおっしゃいましたけれども、やはりそれは勇気がなければそうできないような状況があるとすれば重大ですから、そのことについてもぜひ御検討いただきたいと思うんです。
国務大臣(野田聖子君) そういうことであれば、きちっとまた地方郵政局に確認して、そういう指導をしていきたいと思いますので、双方のやっぱり歩み寄りが大事ではないかと思いますので、お願いします。
<ATMの保守を官僚天下り会社が独占>
宮本岳志君 次に、少しこの問題とはまた切り口を変えて、幾つか天下り、癒着と言われる問題についても大臣の御見解をただしておきたいと思うんです。
野田大臣は、ATM、郵便貯金の現金自動預け入れ払い出し機、この保守管理会社をめぐってのさまざまな疑惑や郵便番号読み取り機の保守会社に郵政職員が大量に天下りをしている問題について、マスコミの大臣就任直後のインタビューで、「そういう不明朗なところは正していかなければならない。情報公開が必要だ。近いうちにきちんと報告する」と、これは八月五日付朝日新聞で述べておられます。
私は、この記事を読んで大臣の見識に非常に注目もし、こういう姿勢で取り組んでいただきたいと思ったところですけれども、先ほどの北海道グルメ会もそうですが、企業と郵政省との癒着、天下りという問題は今国会でもたびたび取り上げられてまいりました。マスコミでもさまざまな報道をいたしております。
衆議院の逓信委員会で我が党の矢島議員が取り上げた東京ユー企画、これは先ほどのグルメとよく似たようなことでございます。参議院決算委員会でこれも我が党の緒方議員が追及した振興機材、郵便番号読み取り機の談合疑惑では公取の立入調査もやられました。そして、最近では、衆議院で自由党の石垣議員がATM、CDの保守業務をめぐって日本オンライン整備を取り上げられました。また、郵政弘済会の問題も毎日新聞で取り上げられております。
郵政大臣、あなたは情報公開し近く報告すると言うのであれば、これらすべてを調査して報告するということですね。いかがですか。郵政大臣どうですか。郵政大臣のインタビューですから、郵政大臣のお答えに対する質問ですから。
政府委員(高田昭義君) 実は私も先生の御質問を受けまして、朝日新聞のインタビュー記事を読んでみました。
実は、大臣が就任される以前の本年の五月から、郵政省におきましてはATMの保守体制の見直しに着手をいたしました。見直しの主眼点は、これまでATM、CDの保守が随意契約による一社独占であったということに私どもも問題意識を持ちまして、契約方式の改善について検討を進めてきたわけであります。
その省内の検討がまとまりましたのが実は大臣が就任される前日でございまして、一応その段階で郵政省としての検討の方向づけをしたわけでございますが、その要旨を申し上げますと、郵政省といたしましては、来年度の保守契約から競争契約を導入するという方向で契約手続の見直しを進めるということ、それからあわせまして、これは日本オンライン整備の方の改善策でございますが、現在全国一社でやっております日本オンライン整備を二社に分割をするという改善策がございました。それらをあわせまして実は八月の二十六日の段階でそういう改善方策をとるということを私どもから対外的に発表をしたところでございます。
宮本岳志君 はい、わかりました。
るる述べられましたけれども、幾つもの問題が今出ているわけですし、そして大臣自身がみずからそれを調査して公表すべきであるというふうにもおっしゃっているわけですから、ぜひそういう点についてきちっとやる必要があると思うんです。しかも、これはただ単にそういう癒着が取りざたされているという問題ではなくて、事は国民にかかわる問題だと思います。
例えば、四月に発覚した番号読み取り機の保守業務についての問題、NECで言いますとNECポスタルテクノレクス、東芝は日本自動機器保守、この二社が番号読み取り機の保守を事実上独占をしてまいりました。それぞれNEC、東芝の子会社ということですが、この二社も典型的な郵政官僚OBの天下りの会社であります。社長も郵政官僚OBなら、役員の重要ポストも天下り組が占めてきた。他社にはできない業務だとして契約は随意契約になっております。つまり言い値で契約してきた。新聞紙上で関係者の一人はこう言っております。「保守業務を発注するのが郵政官僚なら、仕事を受注する側の会社トップも元郵政官僚。カネを払う相手のトップが身内なので、保守費用を安くしてくれとは要求できない。」、こう言っているじゃありませんか。そして、郵政省は保守費用について公表もしていない。
問題は、こういうやり方で値段がつり上げられたら、その費用は全部最終的には国民負担として料金にはね返ってくるということです。あなた方の天下りのポストのために国民に負担が行くということじゃないですか。防衛庁の汚職もここが問題になっているんです。郵政大臣、これは徹底的に情報公開する、そしてこういう癒着をきっぱり断ち切るとはっきりお答えください。
政府委員(濱田弘二君) ちょっと事実関係。
ただいま区分機の関係の保守の御指摘がございましたけれども、この保守につきましては、我が国の会計法上、実際、例えば東芝ですと東芝の保守のノウハウを持っておるのは東芝の保守会社一社でございます。その余はありません。NECも先生御指摘の会社一社でございまして、これは会計法令上も随意契約によらざるを得ないというのが我が国の現在の法制度で、実態でございます。
それから、事実誤認と申し上げましたのは、NECのポスタルテクノレクス社長は郵政省OBじゃございません。
その余の発言については、また別途先生にお話を申し上げたいと思います。
宮本岳志君 今防衛庁の汚職が大問題になっておりますけれども、つまり独占価格のもとで防衛庁とNECが癒着をして総利益率を〇・一%上げてやった、それで不当な利益を与えて天下り先をつくっていったというのが今防衛庁で問題になっていることですよ。しかも、この番号読み取り機の問題というのは決して過去の問題ではない。これからまだ二千億円以上読み取り機というのは買うんでしょう。ですから、これからまだまだ二千億というお金がこの売買に絡んで動くわけです。NECといえば、まさに郵政省だって番号読み取り機を買っている会社だし、ATMも発注している会社じゃないですか。そういう意味では、本当にこういう価格がどうなっているのか、そしてそのことが天下りの先をつくるということになっていないのかと疑惑の目で省庁と官僚に国民の目が向けられていると思うんです。
郵政事業というものは国民との信頼の上に成り立つものであることは言うまでもありません。郵政大臣、あなたは私に私たちの世代が郵政事業を担うんだということもおっしゃいました。しかし、こんな天下りの問題や癒着の問題が国民に疑念を広げるという事態になって、二十一世紀の郵政事業のまともな発展はない。最後に郵政大臣のぜひ御見解をお伺いして、そしてきょうは貯金局長も来ていただいているんですが、残念ながら時間が今来ましたので、そのことについておわびをして、ぜひ郵政大臣の最後の御見解をお願いいたします。
政府委員(松井浩君) せっかくお話しいただきましたので。
ATMをNECから買っているというお話がございましたが、それはちょっとございません、先生の言い間違いかもしれませんが。それだけちょっと申し上げます。
国務大臣(野田聖子君) 恐らく宮本先生と私は同世代であろうかと思います。ですから、感性も似ていると思います。
今先生御指摘にあったさまざまな新聞なんかに出てきた記事、情報につきましては、逐一私は目を光らせておりまして、その都度各局にこれは絶対大丈夫か、間違っていないのか、このとおりなのかそうじゃないのかと全部確認させてきました。その中で、今局長から答弁あったように、これは事実誤認だ、これはそういうことはないということを私は一つ一つ答えをいただいた上で、ならばそのままでいいんだ、それで問題ないんだというふうに今日までやってきたつもりでございます。
手を抜いていたわけではなく、やはりまだまだ私の突っ込みが弱いと言われるかもしれませんけれども、私なりにいつも問題意識を持って頑張っておりますので、これからもさらに、防衛庁の問題もございましたので、実はこの間も省議があった際には、きちんとやってくれと各局長さんにハッパをかけたところでございますので、今後とも引き続きよろしくお願いします。
宮本岳志君 以上で終わります。