147 – 参 – 交通・情報通信委員会 – 3号 平成12年03月15日
平成十二年三月十五日(水曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月十四日
辞任 補欠選任
日笠 勝之君 森本 晃司君
三月十五日
辞任 補欠選任
小川 敏夫君 谷林 正昭君
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出席者は左のとおり。
委員長 齋藤 勁君
理 事
景山俊太郎君
簗瀬 進君
弘友 和夫君
渕上 貞雄君
委 員
岩城 光英君
加藤 紀文君
鈴木 政二君
野沢 太三君
山内 俊夫君
小川 敏夫君
谷林 正昭君
内藤 正光君
森本 晃司君
筆坂 秀世君
宮本 岳志君
戸田 邦司君
岩本 荘太君
国務大臣
運輸大臣 二階 俊博君
郵政大臣 八代 英太君
政務次官
運輸政務次官 中馬 弘毅君
運輸政務次官 鈴木 政二君
郵政政務次官 小坂 憲次君
郵政政務次官 前田 正君
事務局側
常任委員会専門
員 舘野 忠男君
政府参考人
厚生省健康政策
局長 伊藤 雅治君
運輸大臣官房長 小幡 政人君
運輸省運輸政策
局長 羽生 次郎君
運輸省鉄道局長 安富 正文君
運輸省自動車交
通局長 縄野 克彦君
運輸省海上技術
安全局長 谷野龍一郎君
運輸省港湾局長 川嶋 康宏君
運輸省航空局長 岩村 敬君
郵政省電気通信
局長 天野 定功君
建設省道路局長 大石 久和君
自治省財政局長 嶋津 昭君
消防庁次長 細野 光弘君
参考人
社団法人日本自
動車連盟理事モ
ータースポーツ
局局長 田村 勝敏君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
送付)、平成十二年度特別会計予算(内閣提出
、衆議院送付)、平成十二年度政府関係機関予
算(内閣提出、衆議院送付)について
(運輸省所管(港湾建設局、海上保安庁、海難
審判庁、気象庁及び港湾整備特別会計を除く)
、郵政省所管(郵便貯金特別会計及び簡易生命
保険特別会計を除く)、総務省所管(通信総合
研究所、総合通信局、郵政事業特別会計)及び
国土交通省所管(地方運輸局、地方航空局、船
員労働委員会、自動車損害賠償責任再保険特別
会計、自動車検査登録特別会計、空港整備特別
会計))
○特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を
改正する法律案(内閣提出)
○特定公共電気通信システム開発関連技術に関す
る研究開発の推進に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
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<国民共有の財産としての電気通信網>
きょうは、NTTの接続料の問題についてお伺いをしたいと思うんです。
国民共通の財産である電気通信網を国民全体のためにどう生かしていくのか、これが何よりも問われていると思っております。ですから、アメリカの言いなりになって国民の利益が犠牲になるというようなことはあってはならない、そういう立場で政府の態度の問題点もこの間指摘をしてまいりました。技術進歩の成果を国民に還元するという立場で加入基本料も通話料も値下げをするべきだと私どもは考えておりますし、また接続料の値下げにも決して反対ではございません。しかし、長期増分費用方式によって接続料を決めることは若干問題があるのではないかと考えております。
まずお伺いしたいんですが、接続料の算定に当たって長期増分費用方式を導入する眼目といいますか、目的は何でしょうか。
従来、東西NTTの事業者間接続料の算定に当たっては、ネットワークの構築や維持管理に実際に要した費用、これを回収するという観点から、いわゆる実際費用方式を用いてきたわけです。これに対して長期増分費用方式というのは、現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技術を利用するという前提で、実際のものではなくて、いわゆる仮想で組み立ててネットワークのコストを算定する方式。
これは、なぜこんなことをやるかというと、この方式は現実の独占的な地域通信ネットワークの提供における非効率性を排除して、そして競争価格の水準を示すもの、こういうふうに経済理論上の理解がされておりまして、通信市場における競争を促進していく観点から、事業者間接続料の一層の引き下げを図るために、郵政省ではこの長期増分費用方式を用いた接続料算定のあり方について電気通信審議会に諮問をいたしたわけでございます。
そういう観点から長期増分費用を段階的に導入していくという方式をとっておるわけでございまして、これは二月九日に審議会から答申をいただいたところで、その方針に従って進めてまいるわけでございます。
宮本岳志君 この問題、なぜこだわってお伺いするかといいますと、長期増分費用方式の議論というのは、この原理というのは、原理的にユニバーサルサービスのための費用の出どころを奪うといいますか、そういう原理になっていると私たちが考えるからであります。これは時間が限られておりますので、きょうはここで立ち入って算定方式の議論は避けますけれども、きょうは料金の問題で幾つか質問させていただきたい。
東西NTTの地域網の接続料は、過去五年間を見ますと中継交換機の場合ですと四六%の値下げになっておりますし、また平成八年度から始められました加入者交換機接続の場合は、三年間ですが一二%ほど値下げになっています。
この値下げを分析しますと、平成七年度、八年度は接続料算定対象となる費用を見直しましてその費用の範囲を狭めましたのですが、それによる効果は一部にとどまっているわけでありまして、費用削減だとか通信量の増大による効果の方が大きいと見ております。
さらに、九年度以降につきましては電話について費用範囲の見直しは行っておりません。しかしながら、順調に値下げは行われておりまして、これは主として効率化等による費用の削減と通信量の増大によるものと考えております。
以上のことから、接続料の値下げは年によって要因が若干異なりますが、全般的には効率化等による費用の削減と通信量の増大が主たる原因だと見ております。
そこで、郵政省が募集したパブリックコメント、特に接続料算定のあり方についての意見、これを見てみますと、TTネットは、接続料は高どまり、利用者料金は大幅値下げという構図は公正競争を妨げると苦情を言って、接続料のさらなる引き下げを求めております。郵政省が参入の促進などと言っているもとでこういう意見が出てくるのは当然なことだ、自然なことだと私どもも思いますけれども、しかし問題は、ここで言われているように、本当に一般の多くの加入者にとって大幅値下げとなっているのかどうかということであります。
九四年以降、NCCのNTT市内通信網への接続料は既に述べたように大幅に下げられてまいりました。一方で、加入者の基本料金、市内通話料金、市外通話料金、公衆電話の通話料、それから一〇四の番号案内の料金はどうなったか、民営化当時と今の時点でどのように推移したか、御答弁いただけますか。
しかし他方、基本料につきましては、民営化当時、住宅用四十万加入以上の収容局の場合ですと千五百五十万円であったものが、平成七年二月には千七百五十円へ値上げされております。
また、公衆電話の通話料につきましては、市内通話の昼間、夜間の例をとりますと、民営化当時三分十円であったものが、平成五年十月に三分二十円に値上げ、平成六年四月に三分三十円に値上げが行われております。
失礼いたしました。先ほど四十万加入以上の収容局につきまして千五百五十万円と申しましたが、千五百五十円の間違いで、訂正いたします。
それで、もう一つ番号案内の料金でございますけれども、民営化当時これは無料であったんですが、月一回のオペレーター扱いの昼間、夜間の例をとりますと、平成二年十二月以来有料化、これは三十円になったわけでありまして、平成十年五月に五十円、そして平成十一年五月には六十円というふうに値上げになって現在に及んでおります。
市内通話料金は平日昼間三分十円で、これは民営化当時と変わっておりません。
宮本岳志君 市外通話についてはかなり下がっておりますけれども、基本料や公衆電話、番号案内は逆に値上げとなっているわけです。
そこで、一つお伺いしたいんですが、例えばタイムプラスあるいはインターネット向けの定額料金のサービス、これらの対象となっている加入者数とそして加入者総数が大体どれぐらいの比率になっているかということはおわかりでしょうか。
平成十一年三月末時点でこの加入者回線数を申し上げますと、電話加入者数は全体で五千八百四十七万加入でありますが、うちタイムプラスは百九十一万契約で加入率三・三%、それからISDN加入者数は全体で三百九十六万加入で、うちタイムプラスは三十一万契約で七・八%の加入率でございます。
また、夜の十一時から翌朝の八時までの深夜、早朝時間帯に定額制となるいわゆるテレホーダイの契約者数ですが、これも十一年三月末現在で、電話では四十一万契約で加入率〇・七%、それからISDNでは二十二万契約で加入率五・六%となっております。
それから、NTT東西では、さらに昨年十月からISDN回線に対しまして、曜日、時間帯にかかわらずに月額千二百円または三千円で月最大十五時間または三十七・五時間まで利用可能になる割引サービス、いわゆるi・アイプランを開始しましたが、その契約数は現在では四十万に達する勢いというふうに聞いております。
最近、郵政省が電気通信のユニバーサルサービスの維持について検討していることは評価をしております。しかし、このユニバーサルサービスの維持についても、例えば一一〇番、一一九番の無料サービスを維持するといっても、基本料金は上がるというようなことになれば意味がないということになってまいります。
それで、先ほど郵政省自身も接続料が下がっているのは効率化の成果が主だと、こうお答えになったわけですから、接続に使われる市内回線のコストが下がっているということは、同じ回線を使っている市内の通話料金を下げることもこれは可能だという理屈になってまいります。
NTTに対して、この技術革新の成果を国民に還元するという意味で、基本料金の値下げ、多くの一般加入者のための料金値下げを求める、そういう気はございませんか。大臣いかがですか。
これは、新しい規制方式でございまして、ことしの秋には導入するということになっていきますと、いろんな事業者の参入によってどの料金をどのように下げるかという具体的な競争が非常に活発になっていくんじゃないかと思いまして、これは東西NTTのそれぞれの判断にゆだねるということにはなっておりますけれども、いろんな意味で引き下げが行われるだろうという見込みを私たちも予感しているところでございます。
いずれにいたしましても、先ほど来お話をいただいておりますが、今はもうモバイルの時代、だんだん家庭の固定電話がもう携帯電話に追い越されて、そういう意味では厳しい状況の東西NTTのことはあるにいたしましても、そういう一つの新しい時代の情報通信、また基本料、いろんなものを含めたものが低廉化されていく、これがまた民間事業者によってさらに競争が低廉化への道をつくっていくという状況を私たちもしっかり風を送る政策を展開しながら、この秋そういう形の上限方式を取り入れることによってかなり競争の中においての低廉化は期待できるのではないか、こんなふうにも見込んでいるところでございます。
それで、アメリカはISDNだけでなくて通常の電話が全部定額サービスなんです。一本当たり幾らなんです。だからアメリカでインターネットが爆発的に普及したとも言われているんです。これは九九年度の通信白書にも郵政省自身が書いていらっしゃるんです。だから、特殊なものだけでなくて、つまり一本当たり何ぼと定額でびしっと決めることもアメリカなどではできているわけですから、そういう形で目に見えて利用者のところにその恩恵がきちっと行き渡るというふうにしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。