塾業界から献金 その後 公設民営学校解禁 閣議決定 衆院委で宮本岳志議員 下村文科相の疑惑追及 (しんぶん赤旗)
189-衆-予算委員会第四分科会-1号 平成27年03月10日
本分科会は平成二十七年三月五日(木曜日)委員会において、設置することに決した。
三月九日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
大島 理森君 萩生田光一君
古屋 圭司君 山下 貴司君
後藤 祐一君 今井 雅人君
三月九日
萩生田光一君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成二十七年三月十日(火曜日)
午前八時開議
出席分科員
主査 萩生田光一君
安藤 裕君 尾身 朝子君
大串 正樹君 大島 理森君
神山 佐市君 武井 俊輔君
古田 圭一君 古屋 圭司君
八木 哲也君 山下 貴司君
荒井 聰君 後藤 祐一君
柚木 道義君 笠 浩史君
今井 雅人君
兼務 緒方林太郎君 兼務 金子 恵美君
兼務 本村賢太郎君 兼務 足立 康史君
兼務 井出 庸生君 兼務 篠原 豪君
兼務 吉村 洋文君 兼務 赤羽 一嘉君
兼務 國重 徹君 兼務 角田 秀穂君
兼務 斉藤 和子君 兼務 宮本 岳志君
…………………………………
文部科学大臣 下村 博文君
文部科学副大臣 丹羽 秀樹君
文部科学大臣政務官 山本ともひろ君
国立国会図書館長 大滝 則忠君
政府参考人
(内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理)
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 中西 宏典君
政府参考人
(内閣府大臣官房公益法人行政担当室長) 岩田 一彦君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室室長代理) 富屋誠一郎君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君
政府参考人
(消費者庁審議官) 服部 高明君
政府参考人
(総務省統計局長) 井波 哲尚君
政府参考人
(文部科学省大臣官房長) 戸谷 一夫君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 関 靖直君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 小松親次郎君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 吉田 大輔君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 藤原 誠君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 川上 伸昭君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 常盤 豊君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 田中 正朗君
政府参考人
(文化庁次長) 有松 育子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 武田 俊彦君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局雇用開発部長) 広畑 義久君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 宮城 直樹君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 黒田 憲司君
文部科学委員会専門員 行平 克也君
予算委員会専門員 石崎 貴俊君
―――――――――――――
分科員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
古屋 圭司君 八木 哲也君
後藤 祐一君 荒井 聰君
同日
辞任 補欠選任
八木 哲也君 古田 圭一君
荒井 聰君 逢坂 誠二君
同日
辞任 補欠選任
古田 圭一君 大串 正樹君
逢坂 誠二君 宮崎 岳志君
同日
辞任 補欠選任
大串 正樹君 武井 俊輔君
宮崎 岳志君 柚木 道義君
同日
辞任 補欠選任
武井 俊輔君 安藤 裕君
柚木 道義君 笠 浩史君
同日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 尾身 朝子君
笠 浩史君 後藤 祐一君
同日
辞任 補欠選任
尾身 朝子君 神山 佐市君
後藤 祐一君 宮崎 岳志君
同日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 古屋 圭司君
宮崎 岳志君 後藤 祐一君
同日
第一分科員金子恵美君、本村賢太郎君、斉藤和子君、第二分科員緒方林太郎君、篠原豪君、第三分科員國重徹君、角田秀穂君、第五分科員赤羽一嘉君、第六分科員井出庸生君、吉村洋文君、第七分科員宮本岳志君及び第八分科員足立康史君が本分科兼務となった。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
平成二十七年度一般会計予算
平成二十七年度特別会計予算
平成二十七年度政府関係機関予算
(文部科学省所管)
――――◇―――――
○山下主査代理 次に、宮本岳志君。
<大失敗だった公設民営学校>
○宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、公設民営学校の解禁問題について質問をいたします。
解散・総選挙で廃案になりましたけれども、昨年の臨時国会には、国家戦略特区法一部改正案が提出されました。そこで初めて公設民営学校の規定が盛り込まれたわけであります。しかし、公立学校の民間開放ということをめぐっては、歴史的な経緯があります。
二〇〇四年に構造改革特区法に定める特例措置として株式会社立学校が導入されたときにも、公設民営学校の導入が検討されました。
二〇〇三年五月三十日付で、総合規制改革会議は文部科学省宛てに、公設民営において、地方公共団体自身が最終的責任を負うと希望した上で、学校法人以外の株式会社、NPOに委託した場合、どのような問題が生じると貴省は考えているのかとの資料等提出依頼を発出いたしました。
文科省、このとき、六月四日付で何と回答しましたか。端的にお答えください。
○小松政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の回答におきましては、一つには、公立学校の管理運営を第三者に包括的に委託した場合、学校の設置者の直接的、恒常的な監督が困難となり、学校設置者としての責任を果たすことが困難となること。
それから、市町村、都道府県、国の適切な役割分担、協力のもと、教育公務員制度や給与負担制度等の各種制度が整備されているところでありまして、包括的に委託した場合には、これらとかかわる問題が生ずること。
そしてもう一つ、公立学校における学校教育は、入学の許可、課程修了の認定、あるいは卒業の認定、退学等の懲戒といった、処分性を有する措置と、これと密接に不可分な日常的な教育活動から成り立っているということ、委託された学校の教職員が非公務員となった場合には、教育委員会が直接的に教職員服務管理等を行うことが困難となり、中立性の確保等の適正な管理運営に支障を来すことなどを考慮すると、公立学校としての直接的な責任を果たすことが困難になることというふうにしたところでございます。
○宮本(岳)分科員 極めて明快な回答だったわけですね。
二〇〇四年には、中教審も、「今後の学校の管理運営の在り方について」と題した答申を発表いたしました。
こういった議論と検討の上に立って、公立学校教育は設置者である地方公共団体の公の意思に基づき実施されるものであること、入退学の許可や卒業の認定等の公権力の行使と日常の指導等が一体として実施されるものであること等を踏まえれば、これを包括的に委託することは困難である、これが法制的な整理という形でなされたというふうになっておりますけれども、これも間違いありませんね。
○小松政府参考人 その点につきましては、平成二十五年九月十三日に実施された国家戦略特区ワーキンググループにおける関係府省からのヒアリングにおいて文部科学省が提出した資料におきまして、公立学校における教育活動について、契約に基づき包括的に委託することは当然の法理との関係で困難であると整理されてきた旨を記載しているところ、その御指摘だというふうに理解をいたしております。
○宮本(岳)分科員 まさに当然の法理、そして設置者管理主義に立つ以上、公立学校の包括的な民間委託、つまり公設民営化は認められないと。しかし、このとき、構造改革特区に限定した特例措置として、冒頭申し上げた、株式会社による学校設置が認められました。
では、この株式会社立学校に名乗りを上げたのはどういう会社であったか。きょうは学校一覧を資料で配付しておきました。資料一を見ていただきますと、塾や予備校など民間教育産業界が圧倒的であります。塾業界、民間教育産業界は、構造改革特区を奇貨として、次々と株式会社立学校の経営に乗り出しました。
しかし、この株式会社立学校というものは決して順風満帆ではなかったんです。そもそも、株式会社立では私学助成金が受けられない、また、学校法人に認められている税制上の優遇措置がないという点で不利なんですね。
二〇〇四年に日本初の株式会社立大学として発足したLEC東京リーガルマインド大学は、大学の累積赤字が三十億円に上り、二〇〇八年度には入学者二十九名、二〇〇九年度入学者はわずか十九名、二〇一〇年度以降は学部生の募集を停止いたしました。また、この大学は、教育研究面でも多くの問題点が指摘をされ、文科省が再三にわたり改善に向けた指導を行ったにもかかわらず、十分な是正がなされず、ついに二〇〇七年一月二十五日、文部科学省から日本の大学としては初の改善勧告を受けたわけであります。
この大学だけではありません。株式会社立学校は、この学校以外にもさまざまな問題点が指摘をされてまいりました。
構造改革特区において講じられた措置については、内閣府の評価・調査委員会で評価を行うということになっておりますけれども、二〇一二年八月二十一日に行われた評価・調査委員会の評価意見に関する今後の政府の対応方針では、株式会社立学校は全国展開しないということが決められるとともに、運用の是正、これを決定し、指導することになりました。
文科省、運用是正の内容はどういうものでありましたか。
○戸谷政府参考人 御指摘の株式会社立学校の件でございますけれども、まず、平成二十四年六月に、構造改革特別区域推進本部の評価・調査委員会におきまして、評価意見というものが取りまとめられたわけでございます。その中におきまして、英語教育、情報通信技術の活用、不登校生徒の受け入れなどの地域の特色ある教育機会の提供など、事業の効果が認められる一方、本来学校の教員が行うべき添削指導等を特区外の民間教育施設で実施する事例など、教育活動面や学校経営面等について問題点も指摘されたわけでございます。
これを踏まえまして、構造改革特別区域推進本部におきまして、平成二十四年八月二十一日に、今御指摘の、今後の政府の対応方針というものが決められたわけでございますが、その中で、面接指導、添削指導、試験を特区区域内で行うこと、認定自治体が学校に対する助言指導体制を確保すること、学校法人化を希望する学校への相談窓口を設けることなどの情報提供を行うこと等々、運用の是正を行うことを決定したところでございます。
○宮本(岳)分科員 資料二に、二〇一二年八月十九日付の朝日を配付しておきました。「株式会社が設立 サポート校展開 特区の通信制」「規制へ 文科省 七割に法令違反」という見出しになっております。この記事で、文科省の担当者は、脱法行為である上に教育の質も低く、高卒資格を売り物にしたビジネスになっているとまで辛辣に批判をしております。
教育への株式会社の参入は問題が多いことは明らかになりました。だからこそ、株式会社立から学校法人に移行することを促して、現に、学校法人立へ、つまり私学に移行する学校も出たわけであります。
ところが、その後、二〇一二年末の総選挙で自民党が政権に復帰し、第二次安倍内閣が誕生すると、下村大臣が文部科学大臣になった。第二次安倍内閣が二〇一三年六月十四日に閣議決定した日本再興戦略では、「公立学校で多様な教育を提供する観点から、公立学校運営の民間開放が有効な方策となり得ることを踏まえ、少なくとも特区において、こうした民間開放を柔軟に行うことについて、速やかに検討を開始し、できるだけ早期に結論を得る。」こういうふうにされたわけですね。
法制的にも実態的にも一旦決着済みに見えた公設民営学校が、なぜここで息を吹き返したのか。下村大臣、その理由は何か心当たりはありますか。
○下村国務大臣 まず、今御指摘がありました構造改革特区における株式会社立、これは、いろいろな創意工夫が行われ、不登校の子供たちの新たな受け皿的な要素もありましたし、また、通信教育やあるいは英語教育等プラス面もありましたが、しかし、御指摘のような課題も多々あるということは、そのとおりだと思います。
ですから、これに対してしっかり改善努力をしていくことによって、国民の皆さんに、金もうけではなくて、まさに教育をすることによって、そういう子供たちに対して適切に教育をするという努力をしていく必要があるというふうに思いますし、文部科学省の視点からすれば、そのためには、学校法人等にシフトしていくように指導していくということも適切な判断の一つだというふうに思います。
その中で、今回の国家戦略特区における公設民営学校の御指摘でありますが、これはスキームは全然違います。今国会で、これは内閣府の方で法案として提出される予定でありますが、今回の国家戦略特区における公設民営学校というのは、株式会社等に、民間にそのまま委託するということではなくて、あくまでも教育委員会が主体的に、そこの当自治体における、やり方をとりながらするということと、それから、既存の株式会社がそのまま公設民営で学校運営、経営ができるということではなくて、これは非営利法人の形にして、そして、教育委員会と連動してやるということですから、御指摘の構造改革特区における株式会社の参入とは全然違うスキームで国家戦略特区における公設民営を考えているということであります。
<2013年当時、文科省も自民党も反対だった公設民営学校>
○宮本(岳)分科員 文科省の立場を見ますと、二〇一三年九月十三日の国家戦略特区ワーキンググループの関係省庁からの集中ヒアリング、この議事概要を読めば、先ほどの、公立学校における一定の行為が公権力の行使に当たるという当然の法理、これを主張しておりますし、それから、ここでは、現行の構造改革特区での株式会社立学校、通信制高校で、正直申し上げて、学校教育としての内実を備えているとは言えないような不適切な学校教育活動の実態が確認されたということもはっきり述べているわけですよ。
だから、これは、もう既にさっき私が指摘をした日本再興戦略の後になってもまだそういう不適切な事例があるという認識を持っているわけですね。これは、文科省、事実ですね。
○小松政府参考人 平成二十五年九月十三日の国家戦略特区ワーキンググループの関係省庁からの集中ヒアリングにおいて、当省から、公立学校における一定の行為が公権力の行使に当たらないという立場はとれないということ、それから、構造改革特別区域における株式会社立の通信制高校の状況について、特区評価の過程において、学校教育としての内実を備えているとは言えないのではないかと思われるような実態が確認され、是正の判断に至ったということについて説明しているところでございます。そのことの御指摘と理解をいたします。
○宮本(岳)分科員 まさに、文部科学省も当初から否定的だった。自民党内でさえ圧倒的に反対が多かった。
あなたは、二〇一三年十一月五日の国家戦略特区法案の閣議決定の後の大臣記者会見で、自民党の文部科学部会勉強会で私が説明しましたが、八割ぐらいが反対だった、こう語り、最終的には文部科学部会長と大臣に一任を取りつけた、こう語っております。
十一月五日のわずか二カ月前、先ほど文科省が答弁したのはもっと、二カ月以内でありますけれども、その段階では否定的だった、自民党内の八割が反対だったこの公設民営学校を、国家戦略特区法案に入れるに当たって下村大臣が大きな役割を果たした、これは明確だと思うんですが、これはお認めになりますね。
○下村国務大臣 もともとはこれは内閣府の方で、国家戦略特区の中の一つの位置づけとしての公設民営学校ということの中で、しかしこれは文部科学行政に関係するということで、自民党においては文部科学部会の中で議論していただいたということであります。
先ほどから申し上げていますように、スキームそのものが明確でない中で、株式会社そのものが、公設民営学校の受け皿として、ここで例えば金をもうけて、そして本体の株式会社に利益を還元するというようなことの危惧があった中、そもそもそういうスキームではないという整理の中で、先ほど申し上げましたように、株式会社が直接、公設民営学校をするわけではない、それが先ほど申し上げた国家戦略特区と構造改革特区の位置づけの違いであるわけであります。
今回の国家戦略特区における公設民営学校というのは、そういう中でのスキームということで、自民党の党内手続も了承されて、部会だけでなく、それで、今国会、法律として出されているということでありますので、私がというのじゃなくて、党としても了解していただいている、政府全体としてこれは法案として出しているというものであります。
<公設民営学校導入に大きな役割を果たした下村文科大臣>
○宮本(岳)分科員 いや、私が議論しているのは昨秋の話じゃないですよ。この国会に出てこようとしている、昨秋の国会に出てきた、あの特区法案の話じゃなくて、二〇一三年十一月、つまり、一年以内にそれを検討するぞと言った最初の突破口を開いたときに、八割の反対を突破する上であなたが果たした役割は大きかったということを指摘したわけですよ。
大臣が学習塾業界から政治家となり、その意を酌んだ役割を果たしてきたということは、これまでみずからも決して否定されておりません。
資料三に、塾業界の月刊誌「私塾界」二〇一三年二月号をつけておきましたけれども、二〇一二年末の総選挙で自民党が政権を奪還し、あなたが文部科学大臣に就任したとき、業界はどう受けとめたか。「下村文科相にとってはなおのこと、学習塾業界にとっても待ちに待った文科相の椅子である。」と書いてあります。
あなたが文科大臣に就任したことは、同時に塾業界としては、塾業界が文科相の椅子を獲得したことを意味していた、そうじゃありませんか。
○下村国務大臣 その言葉は適切だとは思いません。ただ、塾業界の方々が私に対して非常に期待を持っていただいているということは、ありがたいことであります。
私は、もちろん、法的に問題があることについてはこれはしっかりと、私も先頭に立って、民間団体に対して、もしそういうことがあれば、指導していきたいと思います。
ただ、法的に問題がない中、これから日本の教育に問われていることは、オール・ジャパンで、それぞれいいところは知恵を出し合って、そして一人一人の子供たちの持っている潜在的可能性をどう引き出すかということについて、力を尽くしているところについてはぜひ頑張っていただきたい、そういうふうに思っています。
○宮本(岳)分科員 そういう答弁で通るかどうかということをこれから少し議論したいと思うんですけれども。
ここに、二〇一二年四月に全日本学習塾連絡会議という団体が発行した「学習塾百年の歴史 塾団体五十年史」という本を持ってまいりました。あなたはこの本に寄稿されております。この寄稿の中で、小泉内閣のときに構造改革特区が始まったのを機に、「学校を変える!「教育特区」」というこの本を出版したこと、二〇〇二年、この特区を使って教育分野に風穴をあけたいと考えたと語っておられます。
そして、この本を読むと、ドキュメンタリータッチで、あなたのブレーンと称する民間塾経営者等と組んで、抵抗する文部科学省を抑え込み、さまざまな策を弄して政治決着を図ったということが得々と書かれてあります。
二〇〇二年十二月から二〇〇三年二月にかけて、構造改革特区二次募集の政府方針取りまとめまでの間に、あなたがこの本に書かれているような政治的な働きかけを行ったということは、これは事実ですね。
○下村国務大臣 一つ一つのその言葉尻がいかがと思いますが、私は、先ほど申し上げましたように、教育においても、民間の中でノウハウがあって、そしてそれをぜひ生かすということは、日本の教育において必要なことだというふうに思います。
ですから、新しいタイプの学校が、そのことによって既存の学校がプラスの刺激を得るということについては、それが望ましいと思いますし、構造改革特区においてそういうふうな学校が新たにできるということについては、これは地方自治体の了解がなければもちろんつくれない話ですけれども、その構造改革特区法案については、教育の部分から推進していきたいというふうに当時考えておりましたし、またそういう本を出したということはもちろん事実であります。
○宮本(岳)分科員 私の言葉を今指摘されましたけれども、ここの中では、事実、こういう策をとって一つ一つ政治決着に向かって頑張ったとリアルに書いてありますから。
それで、こういうやり方で誕生したのが株式会社立学校でありました。そして、ここに塾や予備校の業界が参入していったわけでありますけれども、その後、これらの学校設置会社は、二〇〇五年十月には学校設置会社連盟という団体を結成いたしました。
しかし、その後、株式会社立学校の経営困難、あるいは文科省が学校法人への移行を促したこともあって、一社が学校法人に移行しました。それを機に、新しい学校の会、略称新学会と名前を変えました。
大臣、あなたは、この学校設置会社連盟改め新学会の顧問を務めてこられましたね。
○下村国務大臣 一社というのは、もともと学校法人の学校をつくりたいと考えていたところでありますが、いろいろな要件が整わないということの中で、株式会社立の学校をスタートさせたというふうに聞いております。
新しい学校の会、そこの顧問をしていたということはそのとおりであります。
○宮本(岳)分科員 新しい学校の会という団体の概要を資料四につけておきました。ルネサンス・アカデミーの桃井隆良氏が理事長、先ほど紹介したLEC東京リーガルマインド大学の反町勝夫氏も理事に名前を連ねております。
この新学会は、公設民営学校の導入を求めて、強力なロビー活動を展開してまいりました。
資料五は、新学会が二〇一三年十一月十一日に国会内で開催した「公設民営学校を考える」と題したシンポジウムの案内状であります。「国家戦略特区の教育分野の目玉は、公設民営学校です。」下村文科相は「「認める前提で、具体例ごとに対応を検討する」と発言しています。」と説明し、あなたの発言をわざわざ引用しています。
そこで、大臣に聞くんですが、あなたは、この新しい学校の会の会員企業から、大臣になる前も、大臣になってからも、献金を受けてきたのではありませんか。
○下村国務大臣 まず、顧問をしておりましたが、顧問としての報酬は一切ありません。
それから、新しい学校の会の会員企業からの献金ということでありますが、ウィザス、それからルネサンス・アカデミー、代々木学園の三カ所から献金をいただいております。
<何の前触れもなく献金を渡した業者が国家戦略特区提案ヒアリング者に>
○宮本(岳)分科員 実は、今三つお認めになりましたが、それ以外にもう一社あります。
あなたの二〇一三年の政治資金報告書によると、あなたは、今お認めになった、四月二十日にルネサンス・アカデミーから六万円、しかし、六月二十五日には、その親会社であるワオ・コーポレーションから五十万円の献金を受け取っております。事実ですね。
○下村国務大臣 突然の質問ですので、ちょっと手元にありませんが、資料として記載されているのであれば、そのとおりだと思います。
○宮本(岳)分科員 私は手元に持ってきていますが、確かに六月二十五日付でワオ・コーポレーションから五十万円と記載をされております。
それで、この新学会の加入法人からのあなたの政党支部への献金、全て私は調べてみましたけれども、毎年、今最初にお認めになった代々木学園六万円、ウィザス十二万円という名前が出てまいります。この代々木学園というのは、あなたがこの本の中であなたのブレーンだと認めている一色真司氏の会社であります。この両会社は新学会の副理事長を務めております。しかし、二〇一一年度、一二年度には見当たらないにもかかわらず、二〇一三年度のあなたの政治資金報告書には、突然、このルネサンス・アカデミー及びワオ・コーポレーション、五十万円というのが出てまいります。
あなたの政治資金報告書を見ておりますと、大体、あなたはみずからも広く浅く集めるというふうにおっしゃっていますから、六万円とか十二万円というように十二の倍数になっていて、月々の会費のように集めていることがうかがえます。ところが、この六月二十五日のワオ・コーポレーションからの献金五十万円というのは多額であり、また十二の倍数にもなっておりません。
この献金は、特別な意図を持ってあなたに送られたものではありませんか。
○下村国務大臣 全くそういうことはありません。
○宮本(岳)分科員 ならば、内閣府に聞きましょう。
二〇一三年七月八日に、国家戦略特区ワーキンググループは、有識者等からの集中ヒアリングというものを行っております。この七月八日十七時から十七時五十分までの間にヒアリング対象者として招いた有識者は誰でありましたか。
○富屋政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十五年七月八日の十七時から十七時五十分に、新しい学校の会の桃井理事長からヒアリングをしております。
○宮本(岳)分科員 まさに、ルネサンス・アカデミー株式会社代表取締役、新学会理事長の桃井隆良氏でありました。
もう一つ聞きましょう。
内閣府に聞きますが、同じく国家戦略特区ワーキンググループは、二〇一三年九月九日に、提案に関するヒアリングを行っております。午前十一時三十分から十二時三十分まで、提案者として報告したのは一体誰でありましたか。
○富屋政府参考人 平成二十五年の九月九日十一時三十分から十二時三十分に、提案に関するヒアリングということで、ルネサンス・アカデミー株式会社の御提案をヒアリングしております。
○宮本(岳)分科員 そのときのルネサンス・アカデミーの提案概要はこれであります。ずばり、表紙に「公設民営学校プロジェクト」となっております。
これを時系列で考えてみると、下村文科大臣は、二〇一三年四月二十日にルネサンス・アカデミーから六万円、六月二十五日には親会社であるワオ・コーポレーションから五十万円を受け取りました。すると、そのわずか十二日後の七月八日には、国家戦略特区ワーキンググループの有識者からの集中ヒアリングでルネサンス・アカデミーの社長が意見を述べ、さらに、九月九日には、そのルネサンス・アカデミーが国家戦略特区ワーキンググループ提案に関するヒアリングに提案者として出席をし、公設民営学校プロジェクトを力説したわけです。そして、十一月五日、下村大臣は、文部科学省が否定的であり、当初は自民党内でさえ八割ぐらいが反対だった公設民営学校の義務教育への導入を、最終的には一任という形を取りつけ、閣議決定に至った、こういうことであります。
大臣、これでは、あなたが塾業界と癒着をして、そして教育行政をゆがめたのではないか、こう疑われても仕方がないのではないですか。
○下村国務大臣 全く当てはまりません。
私の方で、今の例えば内閣府のヒアリング等に別に紹介したわけでは全くありません。それから、そもそも、どんなヒアリングでどんな発言をされたかというのは私は存じ上げませんが、先ほどから申し上げていますように、今回の国家戦略特区というのは、そこの株式会社が単独でやれるということではないわけです。スキームがそもそも違うわけです、今回の法案はですね。ですから、特定の企業のためにそういうふうにしたということは全くございません。
○宮本(岳)分科員 今の法案の制度設計を聞いているんじゃないんですよ。二〇一三年十一月の閣議決定に至る過程であなたがそういう動きをしたということを、私は、問題だ、誤解されても仕方がないと。私は決して、お金を受け取ってこれをやったと言っているわけじゃないんですよ。そんな、むしろ、お金を受け取ってやったんだったら、まさに受託収賄じゃないですか。しかし、この一連の流れは国民からそう見られても仕方がない、こう私は指摘しているんです。一切の誤解がないと言い切れないでしょう。
我が党は、パーティー券を含む企業・団体献金の禁止を主張しております。みずから企業・団体献金など一円たりとも受け取っておりません。しかし、せめて文科大臣の在任中は、教育関係の業界や教育関係企業からの献金は一切受け取らないというのが、政治家として最低限の矜持じゃないですか。いかがですか。
○下村国務大臣 今のような、先ほどの指摘は、全く当てはまりません。そういう形で、私の方があっせんとか紹介とか、あるいはヒアリングに行ったらどうかというようなことを直接、間接的にも全くしておりません。
企業・団体献金については、これは合法的に政治資金規正法の中でも認められていることであります。その中で、一般の国民の方々から疑惑とかあるいは不正とかの疑問が抱かれないような対処の仕方については、慎重にしっかり考えていきたいと思います。
○山下主査代理 宮本岳志君、質疑時間が経過しておりますので、御協力願います。
○宮本(岳)分科員 疑惑を持たれるのは当然だと言わなければなりません。
これだけ言っても、あなたは、企業・団体献金、少なくとも教育団体からは受け取らない、会社から受け取らないとおっしゃらない。これでは、私は、道徳教育などということを語る資格はないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。