国民の年金積立金運用を批判 (動画)
年金積立金運用を批判 宮本岳志議員 株価買い支えをただす 衆院財務金融委 (しんぶん赤旗)
189-衆-財務金融委員会-5号 平成27年03月13日
平成二十七年三月十三日(金曜日)
午後一時開議
出席委員
委員長 古川 禎久君
理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君
理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君
理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君
理事 丸山 穂高君 理事 伊藤 渉君
井上 貴博君 井林 辰憲君
岩田 和親君 鬼木 誠君
勝俣 孝明君 國場幸之助君
柴山 昌彦君 鈴木 隼人君
田野瀬太道君 竹本 直一君
津島 淳君 中山 展宏君
根本 幸典君 福田 達夫君
藤丸 敏君 牧島かれん君
務台 俊介君 宗清 皇一君
山田 賢司君 大島 敦君
玄葉光一郎君 古川 元久君
前原 誠司君 鷲尾英一郎君
伊東 信久君 吉田 豊史君
岡本 三成君 斉藤 鉄夫君
宮本 岳志君 宮本 徹君
亀井 静香君 小泉 龍司君
…………………………………
内閣総理大臣 安倍 晋三君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
内閣府副大臣 西村 康稔君
財務副大臣 菅原 一秀君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
厚生労働大臣政務官 橋本 岳君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 井野 靖久君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 小野田 壮君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 若井 英二君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 樹下 尚君
政府参考人
(財務省主税局長) 佐藤 慎一君
政府参考人
(財務省関税局長) 宮内 豊君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 成田 昌稔君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉田 学君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 山崎 伸彦君
財務金融委員会専門員 関根 弘君
―――――――――――――
委員の異動
三月十三日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 岩田 和親君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 鬼木 誠君
―――――――――――――
三月十二日
消費税増税を中止することに関する請願(本村伸子君紹介)(第一七四号)
消費税率を五%に戻し、増税中止を求めることに関する請願(清水忠史君紹介)(第一八九号)
同(宮本徹君紹介)(第二一四号)
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(宮本徹君紹介)(第二一三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案(古川元久君外三名提出、衆法第四号)
関税法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
――――◇―――――
<所得税法等一部改正案反対討論>
○古川委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、所得税法等一部改正案に対し、反対の討論を行います。
本法案に反対する理由の第一は、消費税一〇%への増税を延期した上で、二〇一七年四月には完全実施するものだからであります。
消費税は、応能負担、生計費非課税という税の原則に反する大衆課税であり、低所得者ほど重い負担となる逆進性を持ちます。消費税が逆進性を持ち、貧困と格差をさらに広げることは、予算委員会での私の質問に、総理も認めざるを得ませんでした。
三月二日に経済産業省が公表した消費税の転嫁状況に関するモニタリング調査でも、二割前後の業者が転嫁できていないと答えています。申告の時期を迎え、価格転嫁ができなかった全国の中小零細業者は、今、廃業の危機に直面しています。
景気判断条項まで削除して、経済状況や国民生活を一切配慮せず、問答無用に増税を進めることは断じて許されません。
反対する理由の第二は、財界の要求に基づいて、主に大企業が納める法人税の実効税率を二・五一%も引き下げるものだからであります。
政府は、本年度だけでなく来年度も法人税率を引き下げ、実に二年間で一兆六千億円もの法人税減税を行うばかりか、さらに数年にわたる改正で二〇%台まで引き下げるなどとしています。
政府はあたかも大企業減税をすれば賃金引き上げや下請企業にも恩恵が及ぶかのように喧伝しますが、この間のたび重なる大企業減税の結果は、大企業が高水準の利益を上げ、巨額の内部留保を積み上げただけであります。
日本の大企業の実質的な税負担率は、実効税率などよりはるかに低いものです。にもかかわらず、財界の要求に応えて法人税引き下げ競争にのめり込むならば、そのツケを際限のない消費税の増税に押しつけ、我が国財政を破壊し、国際的にも歯どめのない減税競争をもたらすことになりかねません。
第三に、家計の零細な資産をリスクにさらすNISAの拡充に反対だからであります。
長引くゼロ金利政策のもとで、庶民の微々たる預金の利子にさえ二〇%もの課税をする一方で、NISAにより株式投資の利益を非課税として優遇することは課税の公平性に反します。ましてや、ジュニアNISAなどといって、子供まで貯蓄から投資への政策誘導の口実に使うなどというのは、到底まともな政策とは言えないものであります。
富裕層の国外転出による税逃れに課税を強化するなど、賛成できる内容も含まれてはいますが、総合的に判断し、本法案には反対いたします。
なお、民主党提案の対案も消費税の増税を前提としており、賛成できないことを申し添えて、反対討論といたします。(拍手)
<なぜGPIFによる年金積立金の管理運用の資産運用が成長戦略の一環となるのか~結局は株価のため~>
○古川委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
本日の議題である関税法及び関税暫定措置法の一部改正案の項目の一つである危険ドラッグの水際対策の強化は、国内における規制強化にも効果が期待できる内容です。これまで国内の薬物対策の強化を求めてきた我が党も、この内容には賛成であります。その他の措置も含め総合的に判断して、本法案には賛成したいと思っております。
なお、本法案の給食用脱脂粉乳の関税軽減措置は、国内酪農経営への影響も懸念されるということを指摘しておきたいと思います。
そこで、本日は、年金積立金の運用について質問したい。
まず、GPIFを所管する厚労省に聞きますけれども、GPIFの運用の目的は、厚生年金保険法に照らせばどのようなものになりますか。
○山崎政府参考人 年金積立金の管理運用についてでございますが、厚生年金法第七十九条の二等に基づきまして、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うものとされているところでございます。
○宮本(岳)委員 厚生年金保険法の規定には、積立金の運用は、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うと明記しております。
ところが、奇妙なことに、昨年六月二十四日に安倍政権が決定した日本再興戦略改訂二〇一四というものを見ますと、GPIF運用の見直しは成長戦略の一環、こういうふうに位置づけられております。なぜGPIFの資産運用が成長戦略の一環となるのか、これは麻生財務大臣にお答えいただけますか。
○西村(康)副大臣 私の方からお答えを申し上げます。
御指摘の日本再興戦略改訂版の二〇一四でありますけれども、GPIFの運用について、デフレからの脱却、それから適度なインフレ環境への移行、こうした長期的な経済・運用環境の変化に即して、年金財政の長期的な健全性を確保するため、適切な見直しを行うものというふうにされております。
運用の改革については、今御説明がありましたけれども、専ら被保険者の利益のために行うとされておりますけれども、同時に、こうした運用が結果的に成長への投資、ひいては日本経済に貢献し、経済の好循環実現につながるということも期待されておりまして、成長戦略の一環として位置づけられているものでございます。
○宮本(岳)委員 専ら被保険者の利益のために行うものが、結果的に日本経済に貢献するからといって、何で成長戦略の一環になるのか、その説明ではさっぱりわからないわけですよ。
日銀からGPIFに出向し審議役・企画部長をしていた玉木伸介現大妻女子短大教授は、昨年十一月二十二日付朝日新聞で、「成長戦略としては、正直疑問です。GPIFの買いで株価が上がることで、中長期の経済成長が実現するでしょうか。あえて理屈付けすれば、株価が上昇することで人々の気持ちが前向きになり、企業経営の革新や経済の構造改革が促される、というシナリオです。だけど、これが通用するのは一回だけ。」と言い、政府が今後も積立金を株価維持のために利用することについては、「危険な誘惑ですね。短期的な株価変動で運用方針をコロコロ変えるようでは、とても「長期的」とは言えないし運用益にも悪影響が出る。」こう指摘をしております。
成長戦略というけれども、結局は株価を上昇させるための運用方針の変更ではありませんか。
○西村(康)副大臣 デフレ環境からインフレの環境へと、我々はそれを目指して今政策を推進しておりますので、したがって、債券として持ち続けるよりも、成長してインフレに応じて投資をしていく。これは、さまざまな、株式もそうですし、場合によってはインフラの投資も考えられると思いますけれども、そうしたものも含めて、全体の環境が変わってくる中で当然ポートフォリオも見直していくということだと思いますし、結果的に資金運用によって経済の成長の果実を享受するという立場にあるわけですから、経済成長と資金運用の好循環が期待されるものというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 年金積立金管理運用独立法人、いわゆるGPIFは、二〇〇六年の発足以来守ってきた資産運用のポートフォリオを、二〇一三年六月七日と二〇一四年十月三十一日、二度、株式比率を引き上げる変更を行いました。
昨年の変更については、四月に安倍首相が人事権限まで使ってGPIFの運用委員会委員をほぼ総入れかえし、株式比率を二五%にまで高める方針を強引に受け入れさせたと言われております。
普通の国民には、なぜ公的年金の運用で安全資産である国債を売り、国内株式や海外の株式、債券を大量に買い入れたいのか、とても理解できません。
この前議論したように、大臣のようにもう十分お金持ちであればお金は回すものかもしれませんが、子供の学費ですら計画的にためないと払えない一般家庭では、金融資産の運用は失わないことが第一であります。幾ら株の方がもうかると言われても、なけなしの資産を回す余裕は庶民にはありません。だから、国民は老後の資金となる年金には安全運用を求めているわけであります。
二〇一二年二月に発覚したAIJ投資顧問の詐欺事件は、約千九百億円という巨額な資金がたった一つの投資顧問にだまされて消滅したこと、また、その投資資金が労働者の老後を支える年金の原資であったことが大問題となりました。
その後、厚生年金基金に関する法律が改正され、二〇一四年四月に五百二十六あった基金は、ことし二月には四百六十九基金に減り、そのうち三百六十七基金が解散を決める事態となっております。約八割の厚生年金基金が解散の道に進んでいることになります。
そこで、厚労省に聞きます。
AIJ投資顧問詐欺事件が起こる背景の一つに、厚生年金基金の運用比率規制、いわゆる五・三・三・二規制が緩和され、自主運用が認められたことがあると思うんですが、なぜこの運用比率が自由化されたのか、お答えいただけますか。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
厚生年金基金の資産運用につきましては、かつては資産の種類ごとに配分割合の上限を定めた一律の定量的規制、いわゆる五・三・三・二規制というものが定められていたところでございますが、これは平成九年に撤廃されたところでございます。
これは、一九九〇年代の日米金融協議を契機とする金融自由化の流れの中で、経済界や企業年金関係者からの要望を受けて行われたものでございまして、一律の数量的規制を改めまして、運用のプロセスや体制に着目した規制を取り入れるということになったところでございます。
<公的年金の基礎的な部分をリスクにさらす>
○宮本(岳)委員 バブル崩壊後、多くの厚生年金基金は、運用失敗により多額の損失が発生して、積み立て不足の傷口が悪化しておりました。そこで、自主運用が認められたために、積み立て不足の基金は、高い収益を上げなければ制度が破綻するからと、ハイリスク・ハイリターンのヘッジファンドにのめり込んでいったというのが真相だと思うんですね。
この事件の教訓の一つは、情報開示の少なさと、被保険者の意見が資産運用に反映されていない仕組み、いわゆる被保険者によるチェック機能がなかったことだと言われております。当事者である被保険者みずからが監視することが年金資金の運用リスクを未然に防ぐ鍵になるというのが最大の教訓だったと思います。
しかし、厚生年金基金は、現行の年金制度でいえば三階部分と言われるものでありまして、一方、きょう議論しているGPIFは、一階の基礎部分を含む公的年金の積立金であり、より安全な運用が求められております。冒頭確認したように、法律では、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から安全かつ効率的に行うと明記しているわけですね。しかし、現状は、アベノミクスへの貢献のための運用目標ありきで、被保険者の利益は忘れ去られたような議論になっていると思うんです。
先ほど引用した玉木伸介元GPIF審議役・企画部長は、今の年金制度について、ざっくり言うならば、「現在の年金の支払総額は年間約五十兆円ですが、それを賄う財源のおおよその内訳は保険料が三十兆円、税金十三兆円、積立金は七兆円程度です。積立金は主要な財源ではない。」と指摘をして、何もGPIFが高い運用目標を得るために、積立金の運用でリスクをとる必要はないということを力説されております。
そこで、きょうは資料をつけましたが、資料の二を見てください。
例えば、ドイツでは、積立金をほとんど保有せず、保険料と税金だけで年金財政をやりくりしております。自己責任と市場運用が原則のように言われる米国ですら、老後の生活基盤を支える米国連邦政府の公的年金である社会保障信託基金は、約二百九十一兆円の運用資産の全てを非市場性米国政府証券で運用しております。
政府が言うように、株式市場での運用が長期的な観点から安全かつ効率的というのであれば、なぜドイツや米国では公的年金の基礎的な部分をふやすために積立金を株式で運用するようなことをしていないのか。どうお考えですか。政府のお考えをお答えいただきたい。
○山崎政府参考人 例えば、ドイツで申しますと、実際、年金の財政はほぼ賦課方式ということでございまして、積立金は年金給付の数カ月分程度を持つということでございますので、なかなか本格的な運用というのは難しいということかと存じております。
米国の場合は、非市場性の国債ということでございますが、こちらにつきましては、政府が株式を持つことによりまして民間の企業経営に対する介入のようなことが起こるのではないかという議論に基づきまして、株式運用を行わないというふうになっていると承知しているところでございます。
○宮本(岳)委員 この年金積立金の運用の問題は、まさに年金制度の根幹にかかわるんです。公的年金の積立金の運用方法についてどのような道を選択するかは、当事者である被保険者が判断することだと思います。それが厚生年金基金破綻の大きな教訓の一つだったわけですよ。
政府やその意向を受けた有識者が国民に運用リスクを一方的に押しつけるのは大きな間違いだと私は思いますが、厚労省、違いますか。
○山崎政府参考人 今回、新たな基本ポートフォリオというもので株式の割合を引き上げたということでございますが、これは、デフレから脱却いたしまして、国内債券だけでは実質的な年金給付を確保することが困難になるという想定のもとに、被保険者の利益のために、年金財政上必要な利回りを最小限のリスクで確保できるよう、最適な運用について専門家の方々に検討していただき、策定されたものでございます。
その結果、これまでよりも国内債券比率が下がり、株式比率が上がったところでございますが、これは、専門家によりまして、現在想定される運用環境に即して、最適なポートフォリオであるというふうに判断されたものと承知しております。
○宮本(岳)委員 では、重ねて聞きます。
そうしたら、この間の年金運用は賃金の上昇率を下回っておるんですか。
○山崎政府参考人 自主運用を開始いたしました二〇〇一年度から二〇一三年度までの平均収益率は二・七%でございますが、これは名目賃金上昇率を約三・一六%上回っているということでございます。
○宮本(岳)委員 二〇〇一年から二〇一三年度までの運用も、賃金の上昇を上回っている。何もここで、今おっしゃったようなポートフォリオの変更をする必要はないわけですよね。ましてや、私は、日本だって賦課方式だということを申し上げたわけですよ。
それで、一体これはどういう結果を生んでいるかということを申し上げなくてはなりません。
配付資料三を見ていただきたい。東京証券取引所の統計から私どもで作成したものであります。安倍内閣が組閣される直前の二〇一二年十月からの部門別の月別株式売買状況をグラフにしたものであります。
特別に影響が大きい海外投資家とGPIFの運用が反映される国内法人のうちの信託銀行を別に取り出したものが、その次のページ、資料四のグラフであります。
これを見ますと、二〇一三年十二月までは海外投資家が大きく買い越しをし、その他の投資家はほとんどが売り越しております。一方、二〇一四年になると、とりわけ後半になって信託銀行の買い越しが相場をリードするような形となっております。麻生大臣、ごらんになりましたね。
安倍内閣の二年間で日経平均株価は倍の値段をつけました。総じて、誰が、どのプレーヤーが日本の株価を上げてきたのか、麻生大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 これはもう数字が出ておりますので、前半は外国人が大きい。はっきりしています。御存じでしょうから。後半は日本の信託の買いです。
○宮本(岳)委員 お認めになりました。このグラフが示しているのは、アベノミクス二年間の前半である二〇一三年は、海外投資家ひとりで株式市場をほぼ引き上げてきた。後半、二〇一四年は、海外投資家が売り越しに転じる気配があったために、その株価を下支えするための財源として、GPIF等が株式を買い増しして株価を支えてきたというのがこの二年間のアベノミクスの実態ではないか。
麻生大臣が当財務金融委員会で、GPIFの動きが六月以降出てくる、そうした動きが出てくるとはっきりすれば外国人投資家が動く可能性が高まると答弁して、株式市場がちょっと混乱した。昨年の四月の十六日ですよ。まさにあなたの予測どおりの動きになったわけであります。
結局、GPIFのポートフォリオの変更は株価を上げるためだったと疑われても仕方がないのではありませんか、麻生大臣。
○麻生国務大臣 宮本先生はこの種のことはお詳しいんだと思いますが、少なくとも、我々の内閣が始まりますまでは、今までのポートフォリオで、あの年はたしか後半の、最後の四―九で赤字の一兆五千億だったですよね、一兆五千億で赤ですよ。かわって一年間で、通しでたしか十一兆の黒、去年が十兆五千億の黒ということになっています。
だから、少なくとも、私は、これが全てとは言いませんが、金利が〇・四だ三だということになってきて、年金のあれを百二十兆持って、たった〇・三とか四じゃ、それはとてもじゃない、アメリカの債券の場合は三%ぐらいつきますけれども、こっちはそんなにつかないということになってくれば、年金のいわゆる払いの方もというようなことになってきて、年金が危ないとかいう話も当時はわんわん書かれたりなんかしましたけれども、最近出ない。
なぜ出ないかというと、最大の理由は、黒だからというのも大きな理由なんだと思うんですね。だから、年金のもとを稼いでいるという意味においては、これは結構大きな意味があったと思います。
ただ、おっしゃるように、株の比率が高まったらその分だけ危なくなるじゃないかというのは正しいですよ。だから、そこのところのために、みんなでちゃんとしたやつを入れてやらないかぬという話をしているのであって、私はこれが全て正しいなんて言っている覚えはありません。今まで、国内債券だけでやって赤字の一兆五千億も出した時代もあったんですから。
だから、そこのところは我々は、きちんとしたポートフォリオでありきちんとした投資というものをやらないと、少なくとも厚生年金課長ごときにやらせるような仕事じゃありませんから、少なくともきちんとした組織をつくった上でやらないとえらいことになるということは頭に入れておかないかぬ、私はそう思います。
○宮本(岳)委員 危ないとお認めになりました。
結果よければ全てよしという話にならないんですね。それは、株価が上がれば黒に転じるというのは当たり前であって、しかし、そうならなければどうだったのか、あるいは、この後もし暴落したらどうなるかということは、常にそういうリスクを背負っているわけであります。
配付資料の最後、五を見ていただきたい。
このグラフは、年金積立金全体の構成割合について、資産別に二〇一二年九月末からの二年間の経年変化を示したものであります。
厚生労働省に確認いたします。
二〇一三年十二月末から今日までの約一年間で、国内株式は幾ら構成割合をふやしたのか。また、二〇一二年十二月末から今日までの二年間で、債券の構成割合はどれだけ減少したのか。それぞれ、金額とパーセンテージをお答えいただけますか。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
年金積立金の資産構成割合につきましては、GPIFにおきまして四半期ごとに公表しておるところでございまして、お尋ねの二〇一三年十二月末から直近の二〇一四年十二月末までの一年間における国内株式の比率は、四半期報告で見ますと、約三・一%増加しております。これを金額ベースに換算いたしますと、約五・三兆円の増加に相当するところでございます。
また、お尋ねの二〇一二年十二月末から直近の二〇一四年十二月末までの二年間におきます国内債券の比率は、四半期報告で見ますと、約一六・五%減少しておるところでございまして、これを金額ベースに換算いたしますと、約七・七兆円の減少に相当するところでございます。
○宮本(岳)委員 今、五・三兆株式をふやした、そして国内債券は七・七兆減らしたというふうにお答えがありました。
東証の部門別年間売り越し、買い越しのデータを見ますと、二〇一四年では国内個人は三・八兆円の売り越しです。海外投資家が約一兆円の買い越しです。証券会社が三千億円の売り越しです。国内法人が約三兆円の買い越し。これが二〇一四年、一年間の結果なんですね。
部門別の売り越し、買い越し額を見ても、今の五・三兆とか七・七兆というのは、その全てを凌駕する金額に達しております。
これは、つまり、昨年はGPIFが相場をつくってきたということを示しているのではありませんか。
○山崎政府参考人 GPIF法におきましては、年金積立金の運用が市場その他の民間活動に与える影響に留意する旨が定められておりまして、新しい基本ポートフォリオへの移行につきましても、この法令の規定に基づき、GPIFにおきまして、市場への影響に留意しつつ、被保険者の利益となるようリバランスが行われているものと承知しておるところでございます。
○宮本(岳)委員 民間の市場に留意するといったって、まさに五・三兆も国内株式を買い越したら、ほかのものはみんな三・八兆とか一兆円なんですから、影響を与えるに決まっているじゃないですか。一方で、国内債券は二年間で七・七兆の売り越し。年間五十兆円の長期国債の買い入れを行っている日銀の金融緩和政策に貢献しているようなものですよ。銀行から国債を購入しているだけでは、もはやリスクマネーとして市場に流れないので、GPIFを通してリスクマネーを供給しているだけだと言わなければなりません。
きょうも、東証株価は一万九千二百円台を回復したと報じられておりますけれども、ロイターの報道を見ても、公的資金の買い期待だと。公的資金がこれからつり上げてくれるからという話が、まさに相場に影響を与えている。
このように、アベノミクスを支えるために国民の資産である年金積立金を国内株式等の買い支えに利用する政策は間違っているということを厳しく指摘して、私の質問を終わります。