所得税法等の一部改正案に対する反対討論 (動画)
第189回国会 本会議 第10号
平成二十七年三月十三日(金曜日)
―――――――――――――
平成二十七年三月十三日
午後五時 本会議
―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
平成二十七年度一般会計予算
平成二十七年度特別会計予算
平成二十七年度政府関係機関予算
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案(古川元久君外三名提出)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
関税法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
午後五時二分開議
○議長(町村信孝君) これより会議を開きます。
○議長(町村信孝君) 宮本岳志君。
〔宮本岳志君登壇〕
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、所得税法等の一部改正案に対し、反対の討論を行います。(拍手)
本法案に反対する理由の第一は、消費税一〇%への増税を延期した上で、二〇一七年四月には完全実施するものだからであります。
消費税は、応能負担、生計費非課税という税の原則に反する大衆課税であり、低所得者ほど重い負担となる逆進性を持ちます。消費税が逆進性を持ち、貧困と格差をさらに広げることは、予算委員会での私の質問に、総理も認めざるを得ませんでした。
三月二日に経済産業省が公表した消費税の転嫁状況に関するモニタリング調査でも、二割前後の業者が、転嫁できていないと答えています。申告の時期を迎え、価格転嫁ができなかった全国の中小零細業者は、今、廃業の危機に直面しています。
このような過酷な税金をさらに引き上げることは、断じて許されません。
昨年四月の消費税八%への増税は、低所得層ほど収入も消費も落ち込ませ、個人消費下落と不況の原因となっていることを、ミニ経済白書で政府自身が認めました。この上、一〇%への増税を行うならば、家計を圧迫して消費を弱め、さらなる生活破壊と景気悪化をもたらすことは、火を見るより明らかであります。
景気判断条項まで削除して、経済状況や国民生活を一切配慮せず問答無用に増税を進めることには、断固反対するものであります。
反対する理由の第二は、財界の要求に基づいて、主に大企業が納める法人税の実効税率を二・五一%も引き下げるものだからであります。
政府は、本年度だけでなく来年度も法人税率を引き下げ、実に二年間で一兆六千億円もの法人税減税を行うばかりか、さらに数年にわたる改正で二〇%まで引き下げるなどとしています。
政府はあたかも、大企業減税をすれば、賃金引き上げや下請企業にも恩恵が及ぶかのように喧伝しますが、この間のたび重なる大企業減税の結果が示したことは、どんなに大企業が高水準の利益を上げても、巨額の内部留保が積み上がるだけだということであります。
大企業がもうかればやがて下にも滴り落ちてくるというトリクルダウン政策の誤りは、もはや明らかではありませんか。
一方、政府は、実効税率引き下げの財源は課税ベースの拡大等で確保するといいながら、その実態は、差し引き二千六十億円の大幅減税。研究開発減税については、縮減どころか、批判の強い総額型を事実上拡充しています。
日本の大企業の実質的な税負担率は、実効税率などよりはるかに低いものです。にもかかわらず、財界の要求に応えて、国際競争の口実で法人税引き下げ競争にのめり込むならば、そのツケを際限のない消費税の増税に押しつける結果になるばかりか、我が国財政を破壊し、国際的にも歯どめのない減税競争をもたらすことになりかねません。
第三に、家計の零細な資産をリスクにさらすNISAの拡充に反対だからであります。
NISAは、貯蓄から投資へという政府方針のもと、二〇一三年度税制改正で導入されました。
庶民の微々たる預金の利子にさえ二〇%もの課税をする一方で、株式投資の利益は非課税として優遇することは、課税の公平性に反するものでしかありません。ましてや、ジュニアNISAなどといって子供まで貯蓄から投資への政策誘導の口実に使うなどというのは、到底まともな政策とは言えません。
本法案に盛り込まれている、富裕層の国外転出による税逃れに課税を強化するなどの措置は当然です。
なお、民主党提案の対案も消費税の増税を前提としており、賛成できないことを申し添えて、反対討論といたします。(拍手)
○議長(町村信孝君) これにて討論は終局いたしました。