149 – 参 – 交通・情報通信委員会 – 2号 平成12年08月09日
平成十二年八月九日(水曜日)
午前九時一分開会
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委員の異動
八月九日
辞任 補欠選任
高橋 千秋君 今泉 昭君
谷林 正昭君 寺崎 昭久君
簗瀬 進君 菅川 健二君
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出席者は左のとおり。
委員長 齋藤 勁君
理 事
景山俊太郎君
寺崎 昭久君
簗瀬 進君
日笠 勝之君
渕上 貞雄君
委 員
泉 信也君
岩城 光英君
鹿熊 安正君
鈴木 政二君
田中 直紀君
常田 享詳君
野沢 太三君
山内 俊夫君
菅川 健二君
高橋 千秋君
谷林 正昭君
内藤 正光君
吉田 之久君
弘友 和夫君
筆坂 秀世君
宮本 岳志君
岩本 荘太君
国務大臣
運輸大臣 森田 一君
郵政大臣 平林 鴻三君
政務次官
運輸政務次官 泉 信也君
運輸政務次官 実川 幸夫君
郵政政務次官 佐田玄一郎君
郵政政務次官 常田 享詳君
事務局側
常任委員会専門
員 舘野 忠男君
政府参考人
運輸大臣官房長 小幡 政人君
運輸大臣官房総
務審議官 藤野 公孝君
運輸省運輸政策
局長 岩村 敬君
運輸省鉄道局長 安富 正文君
運輸省自動車交
通局長 縄野 克彦君
運輸省海上交通
局長 高橋 朋敬君
気象庁長官 山本 孝二君
郵政省郵務局長 松井 浩君
郵政省通信政策
局長 鍋倉 真一君
郵政省電気通信
局長 天野 定功君
郵政省放送行政
局長 金澤 薫君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○運輸事情、情報通信及び郵便等に関する調査
(IT革命の推進・基盤整備に向けた取組に関
する件)
(NTT回線接続料引下げをめぐる日米規制緩
和交渉の経過と内容に関する件)
(家計における通信費負担の引下げに関する件
)
(電子署名並びにハッカー対策の国際的枠組み
の確立に関する件)
(情報の地域間格差の解消に関する件)
(鉄道事故調査のための常設組織の設置に関す
る件)
(路面電車の現状と活性化方策に関する件)
(郵便物の海上運送委託契約に関する件)
(運輸大臣の政治献金に関する報道問題に関す
る件)
(生活路線の維持に向けた運輸省の取組に関す
る件)
○理事補欠選任の件
○ペースメーカー装着者のための公共交通機関に
おける携帯電話の使用規制等に関する請願(第
一〇号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
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<情報通信技術の恩恵をすべての国民に>
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
大臣も昨日の所信表明で言及されましたけれども、九州・沖縄サミットでは世界に向けてIT憲章が採択されました。IT憲章の第三パラグラフでは、IT革命の推進に当たり「我々は、すべての人がいかなるところにおいてもグローバルな情報社会の利益に参加可能とされ、何人もこの利益から排除されてはならないという参加の原則に対するコミットメントを新たにする。この社会の強靱性は、情報及び知識の自由な流れ、相互の寛容性、多様性の尊重といった、人間の発展を促進する民主的価値に依存する。」と、こう高らかに宣言をいたしました。
私は、特に「何人もこの利益から排除されてはならない」と言っていることが極めて重要だと思います。IT憲章に書かれたこの理念を推進する大臣の決意をまずお伺いしたいと思います。
国務大臣(平林鴻三君) 九州・沖縄サミットで採択されましたいわゆるIT憲章、グローバルな情報社会に関する沖縄憲章でございますが、ITが二十一世紀を形づくる最強の力の一つであり、何人もこの利益から排除されてはならないという、おっしゃいますように参加の原則が確認されたところでございます。国内的にも国際的にも、デジタルオポチュニティー、ITが提供します機会を活用して、だれもが参加できる情報通信社会の構築に向けた取り組みが重要であると私どもは認識をいたしております。
そこで、郵政省といたしましては、このような観点から、情報通信ネットワークの整備と利用促進のための施策を進めるとともに、その関連の施策も積極的に実施してまいりたいと、さように考えて今後努力をいたしたいと思っております。
宮本岳志君 そこで、この第三項を我が国で実現するために何が必要かということを考えてみたいと思うんです。
IT革命とはつまりインターネット革命のことだと言う人もいるぐらい、IT革命にとってインターネットの普及というものが決定的な問題になってくることは異論がないと思うんですね。
そして、今回の憲章が「何人もこの利益から排除されてはならない」と宣言していることに照らせば、インターネットへのアクセスを従来のユニバーサルサービスという、この範囲に加えるということが当然検討されるべきではないかと、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。
国務大臣(平林鴻三君) おっしゃいますインターネットへのアクセスをユニバーサルサービスの範囲に加えるということでございますが、現在は東西NTTの電話サービスがNTT法に基づいてあまねく公平かつ安定的なユニバーサルサービスとして確保されておるところでございますが、インターネットにつきましても、御指摘のように、九州・沖縄サミットにおけるIT憲章の採択に象徴されますように、デジタルディバイドの解消の観点から、地域などにはかかわりなしに需要をあまねくかつ公平に確保することが望ましいという考え方は、これは世間一般にだんだんと強くなってきておると存じます。
そこで、郵政省としては、七月二十六日に電気通信審議会にインターネット時代を念頭に置いた今後の競争政策のあり方を諮問いたしまして、競争状況のもとでのユニバーサルサービス確保のあり方について、そのサービス範囲も含めて御審議をいただくことにしております。
今おっしゃいましたようなことはこの審議会の審議の中で十分に御議論を願いたいと、そう期待をいたしておるところであります。
宮本岳志君 ぜひ積極的に検討していただきたいと思うんです。
ユニバーサルサービス懇談会では、普及の状況なども踏まえて、まだ時期尚早とかつて言われたこともありましたけれども、そのとき同じように時期尚早と言われた携帯電話は既に加入電話を上回ったということですので、まさに秒進分歩と言われる分野ですから、機敏に見直すことを求めていきたいというふうに思います。
<ネットバブルを生んだ「IT革命」>
宮本岳志君 ところが、このIT革命というのをそういう国民のニーズから考えるのではなくて、専ら都合のよいビジネスチャンスととらえる傾向も一方で存在すると私たちは危惧しております。
例えば、この間ネットバブルということが問題になりました。これは事実の問題を確認したいんですが、つい先ごろまでIT関連ビジネスの旗手だと言われた光通信の株価がどうなったか、昨年末と現在の数字をお答えください。
政府参考人(天野定功君) 光通信の昨年末と現在の株価ということでございますので、お答え申し上げたいと思います。
まず、昨年末の終わり値は二十万五千円であり、昨日の終わり値は四千五百六十円となっております。
宮本岳志君 ITといえば何でももてはやされる風潮に乗せられて、株を買ったらたちまち四十分の一以下ということになってしまったということなんですね。
光通信だけではありません。ソフトバンクを初めこれまでIT関連ともてはやされてきた銘柄が軒並み暴落をしております。もちろん投機はいつの時代にもあるわけですし、仮に一もうけをたくらんだ人が失敗したとしてもそれは自己責任の問題だと思います。しかし、国の政策によってそうした投機が仮にあおられたり経済に無用の混乱を生んだりすることがあってはならない、それは九一年のバブル崩壊の際にも厳しく問われたことだったと思います。
ネットバブル崩壊に対する反省の中で、これらの企業のビジネスの中身が本当にIT革命の担い手と言えるようなものだったのかということが言われております。光通信というのは、実際は携帯電話の端末の販売ということでありますけれども、もうけの手口はいわゆる寝かせと言われているものでありまして、架空の売り上げを計上してバックマージンを取る。そして、そのバックマージンを見越してダンピングするというものでありまして、これ自体は古くからある営業、販売手法なんです。さらに、最近では、小売業者の株式上場を仕掛けて創業者利益を吸い上げるということもやっております。
こういう風潮について、大臣はどのようにお考えになるか、まずそこをお伺いしたいと思います。
国務大臣(平林鴻三君) 私は、実は商売をしたことのない人間でございますし、株式は若干持ったりしたことはありますが、今は一つも持っておりません。ですから、この方面のことに関しては大変疎いわけでございますが、やはり時勢に便乗して巧みにもうけ口を考えるという人はこれは常にございます。それが大きく伸びてしっかりした企業になるか、あるいはバブルのごとく消え去るかというようなことは、これはやはり私のような経歴の人間にはちょっと予測がつきがたい問題だなと思っております。
いずれにいたしましても、経済の運営に非常に大きな影響を及ぼすような、悪影響を及ぼすようなことは、これはやはり政府としても気がつけば注意を促すということは大切だろうと思います。自由な世の中でありますし、自己責任ということが中心でございますが、経済全体に悪影響を及ぼすようなことは、これはやはり注意をしていかなきゃいかぬことだろうと、その程度の感想でございます。
宮本岳志君 総理の所信表明演説でも、いわゆるIT革命を新生経済の起爆剤と位置づけて、その中身というのはもちろんいろいろあるんでしょうけれども、しかし、やはりIT革命ということでひっくるめて論じられているというのは非常に不安を感じるわけであります。
そこで、実際にそのIT革命を日本で進める上で中心的な問題は何かと。これは、やはり遅い、高い、危ないとよく言われるインターネットへの接続を、いつでもどこでも早く低料金で安全にという方向に政策誘導することだと思います。
<加入者基本料金と市内通話の値下げを>
宮本岳志君 時間がないので、きょうは料金問題に絞ってお伺いをしたいと思うんです。
それで、私、きょうは資料を配付させていただきました。これは郵政省からいただいた資料であります。一世帯の国内通信料金、これは月間の料金の資料であります。それで、加入電話、移動通信、またインターネット、その合計を右に計算しましたけれども、九三年度は七千二百八十三円だったものが、九九年度は一万四千三百十一円と、実に倍になっている姿がよくわかっていただけると思うんです。つまり、携帯電話やインターネットの普及がそのまま家計の中での通信費支出の増加となってかぶさっているということがあらわれております。加入電話の分は、この間七千円前後でほとんど変わらずに推移しております。
こういう状況ですと、やはり通信料金への出費というものが大きく家計にのしかかっていると、国民がインターネットに新たな支出をするようになかなかならないというふうに思うんですけれども、まず家計における通信費支出の引き下げ、これがIT化の推進のために必要だと認識しているかどうか、ここをひとつお伺いしたいと思います。
政府参考人(天野定功君) 我が国では、従来からの加入電話に加えまして、近年携帯電話やインターネットのような多様な通信手段がふえて、家計における通信費の負担の比重もふえているところでございます。
通信料金は、競争政策の導入だとか、あるいは規制緩和によりまして最近は低廉化しているところもございますけれども、さらにIT革命を推進させるための通信料金のより一層の引き下げ、中でも家計における通信費負担の引き下げを図っていくことは重要な政策課題であると私どもは認識いたしております。
宮本岳志君 インターネットの接続というのは市内のアクセスポイントで行うんです、大体。ですから、国際通話や長距離通話料金が下がってもだめなんですよ。この市内通話料金が下がらないとだめだと思うんですね。
それで、この間、先ほど議論もありましたが、接続料の引き下げにもかかわって市内電話が三分九円とかいう議論がございます。しかし、私はその程度ではインターネットユーザーの期待にはこたえられないと。政府が本気でインターネットを普及しようとするなら、大臣の所信でも触れられたように、思い切って低い水準の定額料金制を、しかもインターネットに見合う通信速度のサービスと一体に提供できるように、そういう政策誘導が必要だと思います。
同時に、電話料金についてはライフラインとしての電話網の性格というものもあるわけですから、私はインターネットはやりませんという人には定額制を押しつけない配慮も必要だと。もちろん基本料金の引き下げということも必要だと私たちは思います。大臣の抜本的な料金引き下げへの取り組みの決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
国務大臣(平林鴻三君) やはり、一番力が強いのはNTTであろうと思いますが、東西のNTTは例のISDNを利用した月額四千五百円の完全定額制サービスを本年の七月から大都市で始めておりまして、これを徐々に広げていくということで、これは低廉化の方向に行くものだと考えております。
その他、いろいろの方法で低廉な完全定額制というものが実現をできるようにこれからも考えていきたいと思いますし、事業者側の努力を望みたいと思っております。
それから、いわゆるプライスキャップ制というものをとった東西NTTの電話料金でございますが、この一年間全体の料金水準としては、少なくとも二・二%の引き下げということを求めてやっておるわけでございます。基本料金につきましても、このプライスキャップ制の中でもサブバスケットとして、少なくとも現行料金水準よりも引き上げられることがないように措置をしておるところでございます。今後も効率的な経営に努めてもらって、安易に基本料金の引き上げにつながらないようにひとつ願いたいと思っておるところでございます。
宮本岳志君 一言だけいいですか。
ネットワークを事業に使ってそこから利益を得ている事業者というのは、当然それに見合った応分の負担をすべきだと私たちは思うんです。だから、できるだけ事業者からの収益を一般のユーザーの電話料金引き下げに使う、ネットワークを広げる、そういう料金体系への抜本的な改革が必要だと思います。
我が党は、情報通信技術の進歩は国民生活の向上に大きく寄与し得るし、IT革命がこれから本格的に姿をあらわせば、人類の文化、技術の歴史の中でも画期的な一段階を画するものになり得ると思います。そのためには、ビジネスチャンスというようなことで専ら企業がもうけを吸い上げるものにするのではなくて、逆に企業にとってはあぶくのようなもうけはないが広く国民の役に立つ、そしてそのことがやがて地に足がついた新たなビジネスの場が開拓される、そういうものとして政策誘導していくことこそ国の責任である。このことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
<受注企業からの違法献金受領を認める>
(運輸大臣への質問)
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
まず、大臣の政治資金についてお伺いをいたします。
昨日の新聞で大臣は、党支部経由で東洋建設から三年間で一千六百万円の献金を受け取ってきたということが報道されました。新聞へのコメントでは、秘書に任せているので全くわからない、また昨日の予算委員会では、報道されるまで全く知らなかったとお答えになりました。
私は、きょう、皆さんに資料をお配りしてあります。
資料一を見てください。平成十年分の政治資金収支報告書であります。
新産業政策研究会というのは森田大臣の資金管理団体です。ここに一企業が献金できる上限は当時の政治資金規正法で五十万円、この五十万円を超えると違法となります。ここには東洋建設というのはないんですけれども、この中に自由民主党香川県西部商工開発支部八百十二万円というのがございます。
次に、資料二を見てください。こちらは香川県選管に届けた分の報告書であります。
この自民党香川県西部商工開発支部の収支報告を見ますと、収入は、東洋建設株式会社五百万円を含む八百十二万円、そして全額が新産業政策研究会への寄附であり、それ以外に何の支出もないわけです。つまりこの支部は、森田大臣の資金管理団体に資金を流し込む、これだけのトンネル団体になっております。平成七年、八年、九年、念のために全部調べましたが、毎年同じやり方で、平成八年は六百万、その他の年は五百万、東洋建設から受けとっております。
資料三を見てください。この東洋建設という会社は運輸省からどれだけの発注を受けているか。これは運輸省提出の資料であります。毎年二百億から三百億、五年間で実に一千二百億円の発注を受けております。
大臣、これで運輸大臣が務まるんですか。知らなかったと、そんなことでは済まされないと思うんですよ。新産業政策研究会の収入というのは四千万ですから、東洋建設から八分の一を受けとっているわけですよ。これ、運輸大臣、直ちにやめるべきではないですか。
国務大臣(森田一君) 私は、おとといに至るまでこのことの事実は一切知りませんでした。
と申しますのは、去年の八月にやめました齋藤という秘書がやっておりまして、この男はちょっと変わっておりまして、議員会館の中でも私と一切口をきかなかったわけでございます。したがって、報告は一切ございませんでした。赤旗に出ているということを聞いて、赤旗を読んで初めて知ったわけでございます。
宮本岳志君 全く知らなかったということでは通らないと思うんです。
だって、この東洋建設からのお金が現に資金管理団体に入って、それを使ってこられたわけでしょう。昨日の答弁では大平時代から続いてきたということもおっしゃっていました。だから、毎年ずっともらっているわけです。
例えば久世金融再生委員長、辞任されましたけれども、これは三菱信託銀行という銀行から特別の利益供与を受けてきた、あるいは一億円という献金をマンション業界の会社から受けとった、その政治的、道義的責任をとっておやめになったわけですよ。大臣、五百万を二十年間もらえば一億円ですよ。あなた、そういう責任を感じないんですか。
国務大臣(森田一君) 私は、東洋建設の社長、役員、一切知りません。会ったことがありません。それから、東洋建設から何かを頼まれたこともございません。
ただ、秘書官に確かめますと、大平時代からずっと振り込まれておるということをおとといになって知ったわけでございます。
宮本岳志君 事実だということは確認できるわけですね、五百万振り込まれてきたということは。
国務大臣(森田一君) そうです。
宮本岳志君 そうですね。
では、そのことが実際にこういうトンネル、支部を通じて受けとってきたということですから、それはみずからの政治的、道義的な責任をぜひ述べてください。ないんですか。
国務大臣(森田一君) 私は、このことについては一切知りませんでしたので、このことについて、政治資金団体は適正に設立されたものと考えております。
宮本岳志君 これからどうするんですか。
国務大臣(森田一君) 運輸大臣として務めてまいりたいと思います。
宮本岳志君 これからももらい続けるんですか。
国務大臣(森田一君) これから運輸大臣の在任中につきましては、向こうに頼んで振り込まないようにしていただこうと思っております。
宮本岳志君 運輸大臣の在任中に受け取るべきでないお金はそれ以前でも受け取るべきではないんですよ。そうでしょう。
私は、この問題は運輸大臣の資質にかかわる問題だと思います。委員長、ぜひこの問題で当委員会での集中審議をお願いしたいと思うんですが。
委員長(齋藤勁君) ただいまの宮本委員の発言につきましては、後ほど理事会で御協議したいと思いますけれども、いかがですか。──要望でよろしいですか。
発言をし直します。
ただいま宮本岳志君からの御指摘につきましては、要望として受けとめます。
<やめられない関空工事の裏に天下りが>
宮本岳志君 ぜひ徹底的に調査をしていきたいというふうに思います。
中尾前建設大臣が若築建設からの受託収賄罪の容疑で逮捕されました。若築建設といえば運輸省も直轄工事で平成十一年度百九十四億円、十年度百九十五億円など毎年二百億円程度の発注を行っている建設会社であります。運輸大臣はこの事件をどうとらえているのか。また、この事件の発覚を受けて運輸省についてきちんと調査いたしましたか。
国務大臣(森田一君) 本件につきましては、現在司法当局が捜査中でございますが、このような事件が起きたことはまことに残念だと思っております。
宮本岳志君 調査しましたか。
国務大臣(森田一君) 調査いたしました。
宮本岳志君 先日の衆議院の議論で我が党の大幡議員が関西空港の予想を上回る沈下問題を取り上げました。二期工事の中止、調査結果の公表、沈下に対する抜本対策の必要性を明らかにいたしました。それでも、あなた方は二期工事の中止はおろか再検討すらしようといたしませんでした。一度始めたらまさにやめられない、止まらないという、この公共事業の裏に何があるのか、このことを明らかにしたのが中尾事件だと私は思います。政治家が建設業界からわいろや献金を受け取り、その見返りに公共事業をばらまく、ここにこの問題の本質があると思うんです。
注目すべきことは、若築が新たな建設省関連の公共工事に食い込むために天下りを求めたという点であります。つまりこれは、若築は役所からの天下りの受け入れがその役所から公共事業を獲得する上で大変効果があるということを知っていたということなんです。そしてその役所というのは一体どこなのか、若築はマリコンなわけですから、私は運輸省との関係でそういうことをあらかじめ知っていたんだと思います。
ここに若築建設の平成十一年の有価証券報告書があります。これに役員名簿がついておりますけれども、常務取締役の阪本浩氏は運輸省の出身となっておりますが、間違いないですね、運輸省。
政府参考人(小幡政人君) お話の同氏は、平成元年、一九八九年の四月一日に運輸省を退職しております。それまでの期間、運輸省の職員でございました。
この天下りは実は人事院の承認を得ておりません。なぜかといいますと、昭和六十年に沖縄開発庁に出向いたしまして、六十一年五月から平成三年まで五年間、本四連絡橋公団の調達補償部長などを務めた後、平成三年四月に若築建設に入社しているからです。大臣、これは立派な天下りではないんですか。
国務大臣(森田一君) 職員の営利企業への再就職に当たりましては、いやしくも官民癒着というような批判を招くことのないように十分注意しなきゃいかぬと思っております。
ただ、一応適材適所という観点から今の公務員制度の中で職員が第二の人生を選ぶということは、これは許されておるというふうに思っております。
宮本岳志君 では、どのような適材適所かということをひとつ議論したいと思うんです。
同じ有価証券報告書の経歴書を見ますと、この運輸省出身の阪本氏は、入社したわずか二カ月後、平成三年六月には取締役に就任しています。平成十年六月には第一営業本部営業担当兼第二期関西空港対策室副室長に、平成十一年一月にはそれに加えて兼任で中部国際空港対策室副室長になっております。
これは資料四につけましたけれども、事前に運輸省が出した資料です。若築建設の関西空港二期工事受注実績は、平成十一年三月、護岸築造工事等地盤改良工事で百五十八億七千万円。平成十一年十月からことし三月二十八日までそれぞれの変更契約分として二十億六千三百万円。合計で百八十億円の受注を行っております。いずれも阪本氏が関空二期対策室副室長に就任して以降の受注であります。
中部空港はどうか。中部空港は去る八月一日に工事が始まったばかりですけれども、ことしの二月十五日、護岸築造工事で四十一億四千九百万円、これも阪本氏が中部空港対策室副室長に就任して以降の受注であります。
大臣、これが適材適所なんですか。これでは全く天下りの受け入れが威力を発揮している、そのとおりじゃないですか。
政務次官(泉信也君) 適材適所というものの考え方でございますが、阪本氏の御経験はまさに海の工事を技術者として今日まで幾つも現場を経験してこられた、そういう意味で若築建設が同氏を職員として採用されたものと思われるわけであります。
特に、今御指摘のそれぞれの副室長あるいは営業担当というようなお話でございますが、これはそれまでの経験を生かそうという立場で恐らく会社がその役割を命じられたものと思いますが、若築建設が特段にこのことによって多くの仕事を受注したということにはなっていないと私は思っておりますので、御指摘は当たらない、このように思う次第でございます。
宮本岳志君 国民はこういうことを納得いかないと思うんですよ。
先ほどの東洋建設の例も紹介しましょう。東洋建設の副社長も運輸官僚ですよ。これも有価証券報告書で明らかになっております。しかもこの副社長は営業部門管掌となっているんです。つまり仕事とりの責任者なんですね。そして、その人は平成三年一月から第三港湾建設局の局長をやった人なんです。平成五年から新東京国際空港公団理事を経て、平成七年に東洋建設に入っております。第三港湾建設局長といえば、これは工事を発注する側の責任者なんですよ。発注する側の責任者がマリコンへ天下って受注する副社長、責任者をやっている、こんな話が適材適所なんという話で通るわけがないんです。
大臣、少なくとも、少なくともですよ、運輸省がそういう直轄事業などを発注している建設会社については、人事院の規定、二年とかということにかかわらず再就職すべきでない、そうは思いませんか。
国務大臣(森田一君) 今の公務員制度におきましては非常に若くしてやめなければならぬわけでございまして、これが定年延長がなされた後についてはまた別途考える必要があろうかと思いますが、現状においては適材適所によって第二の人生を選ぶということは認められるべきだというふうに思っております。
宮本岳志君 官僚は二年の冷却期間を置けば法的には問題ないといってマリコンに天下る、政治家は政党の支部を通せば献金を受け取って問題はないんだと、こういう政官財の癒着が、結局、公共事業がどんなにむだだと指摘されても、どんなに安全性が指摘されてもやめようとしない根底にあると思います。
我が党は、そういった汚職、腐敗、政官財の癒着の根を絶って、本当に国民本意の公共事業に切りかえるために全力を挙げる、このことを申し上げて質問を終わります。