151 – 参 – 総務委員会 – 3号 平成13年03月22日
平成十三年三月二十二日(木曜日)
午前九時三十分開会
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委員の異動
三月十五日
辞任 補欠選任
菅川 健二君 和田 洋子君
三月十六日
辞任 補欠選任
和田 洋子君 菅川 健二君
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出席者は左のとおり。
委員長 溝手 顕正君
理 事
入澤 肇君
常田 享詳君
浅尾慶一郎君
宮本 岳志君
委 員
岩城 光英君
景山俊太郎君
鎌田 要人君
木村 仁君
久世 公堯君
世耕 弘成君
関谷 勝嗣君
輿石 東君
菅川 健二君
高嶋 良充君
高橋 千秋君
弘友 和夫君
富樫 練三君
八田ひろ子君
山本 正和君
松岡滿壽男君
高橋 令則君
石井 一二君
国務大臣
総務大臣 片山虎之助君
副大臣
総務副大臣 遠藤 和良君
総務副大臣 小坂 憲次君
財務副大臣 村上誠一郎君
政府特別補佐人
人事院総裁 中島 忠能君
事務局側
常任委員会専門
員 入内島 修君
政府参考人
人事院事務総局
総務局長 平山 英三君
人事院事務総局
人材局長 藤原 恒夫君
内閣府大臣官房
政府広報室長 勝野 堅介君
警察庁交通局長 坂東 自朗君
総務大臣官房審
議官 衞藤 英達君
総務省人事・恩
給局長 大坪 正彦君
総務省行政管理
局長 坂野 泰治君
総務省自治行政
局公務員部長 板倉 敏和君
総務省自治財政
局長 香山 充弘君
総務省自治税務
局長 石井 隆一君
総務省情報通信
政策局長 鍋倉 真一君
総務省郵政企画
管理局長 松井 浩君
総務省政策統括
官 高原 耕三君
郵政事業庁長官 足立盛二郎君
消防庁長官 中川 浩明君
法務大臣官房審
議官 小池 信行君
財務省主計局次
長 藤井 秀人君
国土交通大臣官
房長 岩村 敬君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消
防、情報通信及び郵政事業等に関する調査
(行政制度、地方行財政、消防行政、情報通信
行政等の基本施策に関する件)
(平成十三年度人事院業務概況に関する件)
○平成十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
送付)、平成十三年度特別会計予算(内閣提出
、衆議院送付)、平成十三年度政府関係機関予
算(内閣提出、衆議院送付)について
(内閣所管(人事院)、総務省所管(日本学術
会議、公正取引委員会及び公害等調整委員会を
除く)及び公営企業金融公庫)
○行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消
防、情報通信及び郵政事業等に関する調査
(平成十三年度の地方財政計画に関する件)
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特
別措置に関する法律の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
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宮本岳志君 このパネルを見ていただきたいと思います。(図表掲示)
今、全国にある二万四千七百の郵便局の内訳であります。普通郵便局が約千三百、特定郵便局が一万八千八百、簡易郵便局が約四千六百。圧倒的に特定局が多いわけです。
それで、昨年も指摘をいたしましたけれども、行政監察局からは、簡易局制度を積極的に活用して特定局の設置は抑制するようにと九九年八月に勧告が出されております。昨年、平林郵政大臣は、「特定郵便局を含む国の直轄の郵便局が原則で、簡易郵便局が補完である」と、こう述べて、この特定局を減らすつもりはない、こういう答弁でありました。
片山大臣は、この行政監察局の勧告をどのように受けとめておられますか。
国務大臣(片山虎之助君) 今、お話がございましたように、平林大臣が言われたそうでございますが、郵政事業は原則として国の直轄の郵便局でやる、こういうわけでございまして、極めて直轄を置く場合が著しく非効率になる、こういう場合には例外的に委託による簡易郵便局が置ける、こういう建前にいたしているわけです。
今、宮本委員御指摘の、九九年八月ですか、行政監察局が出されました勧告でございますけれども、あれは無集配特定郵便局の設置事例のうちで、当初考えているよりは人口の伸びが非常に、あれはビルか何かにつくる郵便局でございまして、当初の予定で考えているよりずっと人口の伸びが低くなりまして、そういうことから基準に至らないという大変乖離ができまして、そういうことで行政監察局が勧告を出したようでございまして、これは勧告そのものも大変例外的な私は勧告だった、こういうふうに思っております。
宮本岳志君 指摘をした行政監察結果では、特定局よりも簡易局の方が効率的だと事実に基づいて指摘をしております。
私は別に簡易局をふやせということを主張したいわけではありません。この黄緑をふやせということを言いたいわけじゃないんです。私は、むしろ局長のもとに複数の職員を置くような局は原則として普通局として、つまりこのブルーの局としてやはり位置づけていくべきではないか、こう思っているわけです。それで、普通局で位置づけるのが本質だと思われるところでも特定局にすると。少なからず集配局でも特定局になっております。また、簡易局でも十分じゃないかと指摘されるようなところでも特定局にすると。この意図は何なのかということであります。そもそも午前中に質問したような問題がそこにあるのではないか。
そもそも特定局というのは一体何なのかと。つまり、青と赤とを分けるのは一体何なのかと。規模なのかと。いろいろ考えましたが、例えば国会の議員面会所に置いてあるあの国会内郵便局は特定局じゃなくて、小さいですけれども普通局なんですね。規模で明確に分けているというようでもないと。
これはひとつ事業庁長官に聞きたいんですが、郵便局の規模や設置の仕方なりで、これ以上なら普通局、以下なら特定局というような機械的に分ける基準はありますか。
政府参考人(足立盛二郎君) お尋ねの普通局と特定局の区別でございますが、私どもといたしましては、一人の職員が郵便、貯金、保険の三事業を総合的に行った方が能率的であると、そういう局につきましては特定郵便局というふうにしております。また、事務量が多くてそれぞれ職員が郵便、貯金、保険、先端で配置された方が能率的であるという規模の大きい局、これを普通局というふうにしておるところであります。
具体的に申し上げますと、集配郵便局でいいますと、定員が三十五人以上であればこれを普通局、また無集配郵便局でありますと、原則として定員十五人以上であればこれは特定局ではなくて普通局というふうにしておるところでございます。
宮本岳志君 しかし、それを越えて特定局というところもありますし、あるいはそれ以下でも普通局というところがあると思うんですよ。
宮本岳志君 それで、この特定郵便局長という存在が午前中議論したような、やはり自民党にとって大変ありがたい存在になっているというふうに私は思うんですけれども、改めて、前回この質問をさせていただいて、特定局長の任用は実は競争試験ではなくて選考によって行われていると、これが質疑で明らかになりました。
そこで聞きたいんですけれども、特定局長以外の特定局の内勤職員の任用はどのように行っておりますか。
政府参考人(足立盛二郎君) 特定郵便局の内勤の職員につきましては、人事院が実施いたします国家公務員採用・種試験の郵政事務区分の合格者から任用しておるところでございます。
宮本岳志君 職員はきちんと公務員試験をパスしなければならないと。しかし、その上司である特定局長は競争試験を受けなくてもなれる。しかも、二十五歳以上で相当の学識才幹ある者と、わけのわからない基準で任用しているということも前回議論になりました。
ここで人事院に聞きたいんですが、なぜ競争試験が原則でありながら特定郵便局長を試験でなく選考で任用することが許されているんですか。
政府参考人(藤原恒夫君) 国家公務員の採用は、国家公務員法三十六条によりまして競争試験によって行うことが原則とされているところでございますが、本省係長以上の官職や特別の免許、資格を有する官職など、競争試験によることが必ずしも適当でない官職につきましては選考による採用が認められているところでございます。
特定郵便局長につきましては、局内の現業事務を経営的立場から管理監督することを主な職務内容としておりますことから、競争試験によらず選考により採用が行われているものと理解しております。
宮本岳志君 一定の幹部であるという御説明だと思うんですけれども、幹部だからという理由で競争試験をせずに現場で採れると。大体幹部というならば、普通郵便局長はそれ以上の幹部だと思うんですね。
それで、過去三年間の特定局長の任用で、郵政の現業や郵政省本省など、いわゆる内部から任用された者の数、それから外部の民間などから特定局長に任用された者の数を三年間、年度別にお答えください。事業庁。
政府参考人(足立盛二郎君) まず、平成九年度でありますが、特定郵便局長に任用された者の数は一千百八十五人でございます。このうち部内から任用した者が九百九十九人、部外から任用した者は百八十六名でございます。
平成十年度でございますが、総数で一千二百六十一人の任用をしております。このうち部内から任用した者が一千四十一人、部外から任用した者が二百二十名でございます。
平成十一年度は、総数で一千百六十三名、そのうち部内から任用した者九百五十六名、部外から任用した者二百七名でございまして、おおむね部内からの任用が八〇%、部外からの任用が二割弱というのが現在の状況でございます。
宮本岳志君 全体の二割弱が外部からの任用となっている、五人に一人は公務員試験を経ないで特定郵便局長についていると。
この選考について、昨年の郵政省官房長の答弁では、各郵政局等において教養試験、作文試験、面接試験等の能力実証試験を実施していると、こう答弁されました。
そこで聞きます。昨年度の一年間に近畿郵政局の管内で行われた特定郵便局長の選考について、筆記試験を十五回、面接試験を四十九回実施したという資料を受け取っております。筆記試験と面接試験の受験者総数及び実際に任用された数は何人か、お答えください。
政府参考人(足立盛二郎君) 平成十一年度、近畿郵政局管内で行いました試験でございますが、筆記試験の受験者が八十六名、それから面接試験の受験者が七十七名でございます。そして、合格者が七十三名でございます。そのほか、ただいま申し上げましたのは郵便局の管理者以外の方でありまして、郵便局の管理者で申し上げますと、面接試験が三十七名でございまして、合格者が三十六名でございます。
宮本岳志君 その局舎管理者三十七名面接のみ受験、三十六名合格と。この局舎管理者という方々はどういう方ですか。
政府参考人(足立盛二郎君) これは郵便局の管理者でございますので、郵便局の課長等でございます。
宮本岳志君 いや、昨年の官房長答弁では能力実証試験を実施していると。なぜ局舎管理者であれば面接だけで能力が実証できるんですか。
政府参考人(足立盛二郎君) 特定郵便局長も管理者でございまして、管理者から管理者にいわば登用するという場合には殊さら筆記試験といったようなものはしないで、あくまでも人物本位といいますか、そういったことを見ることが大切であるということから面接試験を行っておるところでございます。
宮本岳志君 では、局舎の管理者であれば部外からでも面接のみで採用されているんじゃないですか。
政府参考人(足立盛二郎君) 部外から登用する場合には、筆記試験それから作文試験、面接試験といったようなことを行って採用しておるところであります。
宮本岳志君 念のために確認しますが、部外から面接のみで任用をしているという事実は全くないですね。
政府参考人(足立盛二郎君) そのようなことは聞いておりませんし、またないと思います。あくまで、選考とはいえ、決して情実にわたって採用するということはいたしておりませんので、選考ではありますけれども、筆記試験、それから作文試験、面接試験といったようなことを行って特定郵便局長の採用をいたしておるところでございます。
宮本岳志君 午前中にも紹介したこの小泉議員の本の中にこの問題も出てまいりまして、局舎管理者であれば国家公務員試験を受けずに試験もなしで面接だけで特定局長になれると、だから特定局長が自民党に恩義を感じて大いに頑張るんだと、だから特定局という制度は廃止すべきだと。この方々は民営化ということですけれども、私は別に民営化ということでないですけれども、そういう議論が出てくるわけなんですよ。
それで、特定局長の推定の平均年収額という資料をいただきました。基本給が約五百七十万円、ボーナスが二百六十万円、合計で八百三十万円なんです。このほかに通勤手当とか管理職手当等々、だから九百万近い額になるんでしょう。一般の郵政職員の年収平均というのは大体六百八十万円というふうに、これもこの本の中に出てくるんですけれども、かなりの差があると思うんですね。
管区郵政局で筆記試験と面接を受けるだけで特定局長になれるのであれば希望者が殺到しそうなものだと私は思います。ところが、皆さんからいただいたこの表を見ますと、受験者数のほとんどが合格をしております。
採用試験の実施はその都度、職員に周知しておりますか。いかがですか。
政府参考人(足立盛二郎君) 特定局長の任用と申しますのは、一万八千の特定郵便局長がおりまして、それが随時欠員になった段階でこれを補充するというふうにいたしております。したがいまして、何千人も四月一日付で採用するといったような一般職員の採用とは異なります。あくまでも個々の局ごとにその地域の信望を担い得るかどうか、また局務運営について万全の体制でやれる能力があるかどうかといったことを判断いたしましたために、個々の局ごとに欠員が生じた都度に試験をやっておるということであります。
したがいまして、お尋ねのように、一般的に広く公募するといったような形は採用いたしておりません。
宮本岳志君 もう少し議論したかったですが、ちょっと時間の関係もありますので、もう一つ次の問題を取り上げたいと思います。
財務省に来ていただいております。会計上も独特の奇妙な制度が特定郵便局をめぐってあると。来年度予算案における渡し切り費というものが省庁別に幾らになっているか、財務省、御答弁ください。
政府参考人(藤井秀人君) お答えいたします。
今、先生御質問の渡し切りでございますけれども、会計法の二十三条に規定されております。
十三年度予算における予算額という御質問でございますが、外務省で申し上げまして七十八億八千五百万円、それから総務省郵政事業庁でございますけれども、九百九十四億二千二百万円、そして法務省、これは登記の特別会計でございますけれども、七十二万円ということになっております。
宮本岳志君 外務省の七十九億というのは在外公館の経費なんですね。これは、外務省のやっていることには報償費とかいろいろありますけれども、外国での支払いですから国内と同じ会計処理ができないということ自体はなるほど否定できないと思うんです。したがって、郵政の渡し切り費と比較できるのは登記所の七十二万円しかないんですね。
事前の法務省の説明では、渡し切り費が支給される登記所は一人官署のみで、この七十二万というのは七カ所で一カ所約十万円と、こう聞いております。幾ら一人官署だといっても、北国では暖房費なども必要になって十万では足が出ると。その場合は、本局の支出官に請求を回しているという説明でした。法務省、きょう来ていただいておりますが、間違いないですね。
政府参考人(小池信行君) 小規模登記所におきます渡し切り費につきましては、対象庁の実情に応じた措置がされているものというふうに承知をしております。
その渡し切り費が不足した場合についてのお尋ねでございますが、その場合には御指摘のように支出官により所定の会計手続を経て手当てをするのが一つの方法であるというふうに理解しております。
宮本岳志君 登記所でも以前は広く渡し切り費という制度が用いられていたんですよ。今は七カ所以外は行われていない。しかも、全額それで賄うというわけでなく、足りなくなれば請求を管区の法務局に回して、そして出してもらうと。それならもう最初から全部そういう処理にすればいいではないかと。実は法務省、この登記所からはもうこういう制度はやめてもらった方がいいという現場の声も出ていると聞いております。
ところが、特定局向けは毎年一千億近い渡し切り費というものが出されているわけですよ。先ほど行政改革という議論がありましたけれども、行革というのはむしろこういった制度こそ見直すべきだと私は思います。ところが、それが温存されて、そしてそれが自民党の選挙のための集票マシンとして特定局が動いているという事実が出てきていると。
こんなことを続ける限り、国民の支持は絶対に得られないということを私、指摘をして、質問を終わりたいと思います。