153 – 参 – 総務委員会 – 2号 平成13年10月18日
平成十三年十月十八日(木曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 田村 公平君
理 事
景山俊太郎君
谷川 秀善君
浅尾慶一郎君
伊藤 基隆君
委 員
岩城 光英君
小野 清子君
狩野 安君
久世 公堯君
沓掛 哲男君
日出 英輔君
森元 恒雄君
山内 俊夫君
高嶋 良充君
高橋 千秋君
内藤 正光君
松井 孝治君
魚住裕一郎君
木庭健太郎君
八田ひろ子君
宮本 岳志君
又市 征治君
渡辺 秀央君
松岡滿壽男君
国務大臣
総務大臣 片山虎之助君
副大臣
総務副大臣 遠藤 和良君
総務副大臣 小坂 憲次君
法務副大臣 横内 正明君
外務副大臣 杉浦 正健君
大臣政務官
総務大臣政務官 山内 俊夫君
国土交通大臣政
務官 木村 隆秀君
政府特別補佐人
人事院総裁 中島 忠能君
事務局側
常任委員会専門
員 入内島 修君
政府参考人
人事院事務総局
勤務条件局長 大村 厚至君
警察庁長官官房
長 石川 重明君
総務省行政管理
局長 坂野 泰治君
総務省行政評価
局長 塚本 壽雄君
総務省自治行政
局長 芳山 達郎君
総務省自治行政
局公務員部長 板倉 敏和君
総務省自治行政
局選挙部長 大竹 邦実君
総務省自治財政
局長 香山 充弘君
郵政事業庁長官 足立盛二郎君
消防庁長官 中川 浩明君
国土交通省道路
局長 大石 久和君
国土交通省政策
統括官 吉井 一弥君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消
防、情報通信及び郵政事業等に関する調査
(総務省の行政運営に関する件)
(市町村合併に関する件)
(総務省職員の選挙違反事案に関する件)
(公共事業の政策評価に関する件)
(公務員の定員管理に関する件)
(炭疽菌等によるテロ対策に関する件)
(選挙制度に関する件)
(地方交付税制度の在り方に関する件)
(郵政三事業の経営形態に関する件)
(地方税財源の充実に関する件)
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<繰り返し指摘してきたとおりの事態に>
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
高祖氏陣営による公職選挙法違反事件では、既に十六名の逮捕者が出、うち四名が大阪地検により起訴されました。大阪、京都両府警が摘発を進めてきた郵政組織ぐるみの不正選挙事件は、二府四県、約三千五百郵便局を抱える現職郵政局トップの逮捕、起訴という前代未聞の事態となりました。
私は、昨年の十一月七日、ことし三月二十二日、そして五月二十四日と三回にわたり決定的な証拠も示してこの問題で大臣と論議をしてきました。しかし、大臣、三度もの質問に対するあなたの答弁は、「郵政職員につきましては平素から国家公務員法に基づく服務規律に違反することのないようにという強い指導をしておりまして、そういうことは行われていないものと、こう信じております」などというもので、調査するつもりはない、つもりもないというものでありました。
事実はいよいよ私の指摘どおりだったことがはっきりしてまいりました。一体どう責任をとられるんですか。
国務大臣(片山虎之助君) 先般の参議院選挙におきまして、近畿郵政局管内におきまして、御承知のように公選法違反の容疑で逮捕が何人か出ました。そのことは大変郵政事業を預かる総務省のトップとしてまことに遺憾であり、責任を感じております。
御指摘を宮本委員初め何人かの委員からいただきました。私は、そういう御指摘を受けまして、できるだけいつもよりは通達を早く出し、徹底を図るようにいろんな形で次官、長官初め関係の職員の皆さんにお願いして、それはそれでやっていただいたんですが、結果としては徹底不十分でそれだけの効果を上げることができなかった、こういうことについては大変反省いたしておりますので、今後、二度とこういう事態が起こらないように、いろんなことを考えてまいりたいと。
関係の郵政局長さんや監察局長さんの意向も体しまして、せんだっても例えば研修会を少し、少しじゃございません、徹底して行う、公選法、国家公務員法その他。あるいは、郵政監察局が業務監察をやっておりますけれども、服務の監察もそれを仕事にしたらどうかと。あるいは、よく問題になります特推連と特定郵便局長会の間を完全にこれを分離すること等を指示いたしておりまして、現在その結果によって二度とこういう事態が起こらないようにしてもらいたいと、こう思っております。
郵政事業がこれだけ国民の皆さんに強い関心を持っていただいておる時期にこういうことで信頼を失うようなことは、大変私としては残念でございまして、十分の、この事態の反省の上に立って、今後とも努力してまいりたいと考えております。
宮本岳志君 いや、私は調査をあのとき要求したはずです。この三月に提出した資料には、近畿地方会という名前がずばりあったはずです。この近畿地方特定局長会の会長も専務理事も起訴されておるのです。罪名は公務員の地位利用です。今でも、あのときの私の質問に対して調査の必要がないとおっしゃった、その態度は正しかったとお考えですか。
国務大臣(片山虎之助君) 私は、常日ごろ郵政局長さんは管内のいろんな状況についての十分な把握の上にお仕事をやっていただいていると思いますから、そういうことについての特に御報告をいただいていませんでしたので、私どもの方からかなりいろんなことを、この服務規律や選挙の問題については申し上げましたので、それが下の方まで徹底しているなと、こういうふうに私は思っておりましたが、必ずしもそれはそうでなかった、こういうことではやっぱり不十分であったなと思っております。
宮本岳志君 それは調査しないと事実つかめないわけですよ。だからこそ調査を要求したわけでありまして、それに対して通達を出したって、それは通達はこれまでも出してきたことですから。
それで、私ぜひお伺いしたいのは、総務大臣はこの一昨日の発言でも、「できるだけ速やかに事実を確認の上、」「厳正な行政処分をする」と、こう述べられました。つまり、その過去の反省に立って、じゃ今はこれまでと違った対応をとろうとしているのかということなんです。ところが、大臣は、捜査が始まって以降も、近畿については公選法違反の調査そのものについては捜査当局にお任せするんだ、そしてそれ以外の地域では不正は行われていないし調査する必要はないと、こう繰り返しおっしゃっているわけですね。
まさに、「できるだけ速やかに事実を確認」というのも、結局警察や検察にお任せと、またぞろ何の調査もしないということなんですか。
国務大臣(片山虎之助君) 公選法違反につきましては、午前中もお答えしましたように、これは事柄の性格からいっても捜査権のある当局によって事態、事実を解明していただくのが筋で、我々はできるだけの協力をする、しかしそれ以外の服務規律については郵政局長さんに現状をしっかりと把握していただいて報告を受ける、こういうことに基本的にはいたしておりまして、そこで私が「速やかに事実を確認の上、」と言いましたのは、今回の公選法違反容疑で略式起訴及び起訴猶予になった職員につきましては、国家公務員法等に基づく行政処分を行うために当方としても起訴の内容を含めた事実関係の確認をできるだけ早くやって、その上で行政処分をいたしたい、こういう意味でできるだけ早くということを申し上げたわけであります。
宮本岳志君 大臣の答弁で、予算委員会の答弁で、この服務規律違反やあるいは公私混同がなかったかということを各郵政局長などに聞いたがなかった、そういう事例はなかった、だから近畿だけなんだ、こういうお話をされておりますね。
郵政局長に聞いて、服務規律の違反はありましたか、地位利用の選挙はやりましたか、やりましたと答えるわけないんですよ。近畿郵政局長だって逮捕されるまでは、そんなことやっていない、逮捕されたって身に覚えがないと言ってきたんですから、事実を調査しなければ本当にそういうことはつかめないわけでしょう。これはちょっと幾ら何でもこういうやり方でまじめに事実を把握しようとしているとは思えないんですけれども、いかがですか、調査しない理由ないんじゃないですか。
国務大臣(片山虎之助君) 私は何度も申し上げておりますように、この公選法違反の事案について、公選法に違反するかどうかの事実調査は、これは捜査権を持つ当局にお任せしたいというのが当方の基本的な立場で、ただその捜査をされる上で、我々はいろんな協力をしてまいりましたし、そういうことを申し上げているわけであります。
宮本岳志君 じゃ、もう少し突っ込んで聞きますけれども、じゃ大臣のおっしゃりたいことは、つまり一言で言えば遺憾だ、遺憾だということをおっしゃる、そして捜査の進展結果を待って厳正に対処したい、つまりこういうことですか。
国務大臣(片山虎之助君) いや、起訴された職員につきましては、これは公判の結果を待たなければなりません。ただ、略式起訴や起訴猶予の職員につきましては、事実を当方としても確認いたしまして、その上で行政処分をいたしたい、こういうふうに考えております。
<副大臣も「ぐるみ選挙」に加担していた>
宮本岳志君 遺憾のきわみで捜査を待って厳正に処分と、こんなことぐらいだれでも言えるんですよ。実は近畿郵政局の総務部長逮捕に際しての今度逮捕された三嶋局長のコメントがこれなんですよ。こう言った十一日後にはみずから逮捕されたんですから。
だから、やっぱりまじめにこの問題を正面からとらえて解決するというんだったら、これまではそれは調査ということもやってこられなかったけれども、きちっとやるということが私は求められていると思います。
少し突っ込んで聞きますけれども、じゃ、各郵政局長に聞いたら、大臣は極めて顕著な服務規律の違反や公私混同はなかったと、こう述べています。極めて顕著なと二つも形容詞を重ねてあるわけですけれども、つまりこれはあれですか、読みようによっては、極めて顕著でなければ、軽い服務規律違反や公私混同ならいいと、こう読めるんですけれども、そういうことですか。
国務大臣(片山虎之助君) いや、そんな意味で申し上げたのではありません。極めて顕著でなくても公私混同はあってはならないし服務規律違反はあってはならない、こういうふうに思っておりますが、今回、私どもは特推連と特定郵便局長会の公私混同ということをいろいろ、捜査当局の起訴事実等でも、あるいは容疑の事実の公表等でもそういうことがありましたので、その関係はほかの局内ではどうだろうかと、こういうことでそこをいろいろ報告を受けましたら、近畿のようなことはやっていないと、こういうことでございました。
それから、ほかのところでこの公選法違反の状況についての捜査の、どういう捜査を受けたか、その結果の報告を聞きましたら、近畿局以外では、特定郵便局長さん一名が戸別訪問の禁止違反ということで、これが略式命令を受けていると、こういうことがございましたので、極めて顕著ではないということを申し上げましたが、その思いは今私が言ったようなことのまとめた表現としてお受け取りいただければありがたいと思います。
宮本岳志君 顕著であろうが軽微であろうが、職務規律違反や公私混同があってはならないというのは当たり前のことなんですよ。
では、その中身ですけれども、大臣の言われる公私混同というのは、公的組織の特推連と任意団体の特定郵便局長会の活動が混同したと、こういうことですね。
国務大臣(片山虎之助君) 公私混同というのは大変広い概念でございますけれども、今回特に指摘され問題となったのは、特推連と特定郵便局長会が別の組織であって、一方は公的なものであり、一方は任意団体でありながらそれが同じようなものとして活動している疑いを持たれているではないか。こういうことでございますので、そこは特推連は、これは業務推進のための連絡会議でございますからこれはこれとして機能してもらわなきゃいかぬ。特定郵便局長会は、宮本委員御承知のように、局長さん方のいわば管理者組合的なものですよね、そういうもので、任意団体でございますから、これはやっぱりそこは一線を画して、峻別をしていろんな活動をしていただくことが私は世の中のそういう意味での疑い、そういうことに対してはっきりするのではなかろうか、こう思ってそのことを申し上げているわけであります。
宮本岳志君 公的組織の特推連と任意団体である特定局長会は分けなければならぬ、これを混同したら公私混同であると、こういうことですね。
ところで大臣、私は五月の質問で北海道の特定局長会の総会の問題を取り上げて、ここに北海道郵政局長はもちろんですけれども、郵政監察局長や総合通信局長も出席していたということを指摘いたしました。そこでは、総合政策などという隠語も使って選挙にかかわる議論がされたと私は指摘をいたしました。こういう言葉が、総合政策あるいは第四事業というのが選挙を意味するものであったということがこの間の近畿の事件でも明らかになってきております。
先ほど大臣は、各郵政局長からヒアリングをしたとおっしゃっていますけれども、この北海道の郵政局長からこのときの総会の内容を問いただしましたか。また、北海道の郵政監察局長や総合通信局長を呼んで事情をお聞きになりましたか。
国務大臣(片山虎之助君) その会議で報告を聞きました。そこで、北海道においても服務規律違反の事実があるのか、特推連と特定郵便局長会の活動が混同と疑われるようなことをやっているかやっていないか、こういうことを聞きましたら、どちらもないという報告を受けました。
ただ、宮本委員ね、特定郵便局長の会に来賓として郵政局長や郵政監察局長が呼ばれるということはありますよね。我々だって、任意団体がとにかくこういう会合をやるので顔を出して祝辞ぐらい言ってくださいと言ったら参りますよ、任意団体であろうがそうでなかろうが。私は、そういうことなので、その総合云々ということは、それはそういうことはやっていないという報告を受けております。
それから、総合通信局長は、これはテレコミュニケーションの方ですからその会議には呼んでおりません。
宮本岳志君 じゃ、役所が出席して選挙のことについて話をしてもいいんですか。
国務大臣(片山虎之助君) それは、そういう報告は受けておりません。
宮本岳志君 それは選挙の話なんかやったら大問題ですよね。
そこで、小坂副大臣にお伺いします。
副大臣はことし五月二十八日、長野で開催された全国特定郵便局長会の通常総会に来賓として出席してあいさつされましたね。
副大臣(小坂憲次君) あいさついたしております。
宮本岳志君 ここに持ってきたのは別冊宝島リアル〇一八号です。ここには総務副大臣としてあなたがその場で行ったあいさつが掲載されています、全文。
「私の名前は小坂憲次でございます。皆さんのお仲間として、顧問をお務めいただいている方も、コの字で始まり、ケンジで終わる、高祖憲治さんでいらっしゃいます。どうも皆さん、高祖憲治、小坂憲次、ダブル・ケンジでございますけれども、決して悪い人間ではございませんで、郵政事業に深い理解を持ち、改革の精神に富んだ人間でございますれば、深いご理解と、ご支援をたまわりたく、高い所から誠に恐縮でございますが、心からお願いを申し上げる」と述べてあります。結びで総務副大臣としてのあいさつだとはっきり述べているんですよ。
副大臣として任意団体たる全特総会に行き、高祖選挙への支援を呼びかけた。これはまさに大臣の先ほどの話からいえば明確な公私混同ではないですか。こんなことをやっていて正せるんですか、小坂副大臣。
副大臣(小坂憲次君) 委員御指摘のように、私はその場におきましてあいさつを申し上げました。おおむね委員が御指摘のような内容でございますが、私も高祖さんもともに郵政事業に対して理解とそういった改革の精神に富んだ者でございますので、私も含めて御支援を賜りたい、こういうことを申し上げました。
また、任意団体の局長会の場でございますが、地元の議員といたしまして、また自由民主党の議員といたしまして選挙について御支援を賜りたい、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。
宮本岳志君 責任は感じないんですか。
副大臣(小坂憲次君) 私としては、その場において、私の立場として、地元においでになった皆さんの歓迎の意も込めながら、選挙が近い中で、私どもの政党に対しての御理解、また地元の議員としての御理解を求めたところでございます。
宮本岳志君 大臣、今の副大臣のお話ですけれども、選挙の話を全特という任意団体のところへ行って高祖憲治さんの支援をお願いしたいと。これは適切だとお考えですか、大臣。
国務大臣(片山虎之助君) いや、それは知り合い、友だちとして小坂副大臣が高祖さんを紹介したわけでありまして、それじゃ、皆さんも初対面のときにどうぞよろしく、よろしくお願いしますと、こういうことぐらい、いわばそれは私は社交的な儀礼の中に属することだと思いますよ。投票してくれとか選挙をしてくれとか一言も言っていないんだから。しかも、それはまだ候補者であることが告示か何かで公的に確定している段階じゃありませんからね。しかも、小坂副大臣は特別職ですから。私は、それはあなたが言われるような、そんなに深刻、ストレートに法に触れるような問題だとは思いません。
宮本岳志君 国民はそんなのは絶対納得しませんよ、大臣。そんなこと、その程度の区別ですか。それが認められるような公私混同の区別、つまり特定局長会と特推連との区別というのがそんな程度のものだったら、それはもう始める前からたかが知れた話になってきますよ、それは。私は、そんなことでこの問題を解決できるとは到底思いません。
<「小泉さんに聞け」と答弁のしっぱなし>
宮本岳志君 もう一つ大臣に聞いておかなければならぬことがあります。
ことし三月と五月の質疑で、私は小泉総理の著書を示して大臣とやりとりをいたしました。その内容について総理に報告いたしましたか。そして、どういう指示を受けましたか。
国務大臣(片山虎之助君) いや、今、小坂副大臣があいさつされたのは任意団体においてでしょう。特推連じゃないんでしょう。任意団体の局長会に来賓として呼ばれて自分の自己紹介と高祖さんもあわせてよろしくとこう言ったわけですから、公私混同じゃないでしょう。特定郵便局長会としてやっているんですから、今、長野の会は。
それから、なるほど五月ですか、三月だったか、宮本委員から御質問がありました、小泉総理の本についておまえ読んでいるかと。私は読んでいないと申し上げました。その書かれた事実についても確認していない。そこで、委員がいろいろ言われたんで、どうぞそれは小泉総理に聞いてくださいと、こういうことは申し上げました。その本のことについては総理に申し上げておりませんが、今回の高祖さんのこの事件については総理にはちゃんと報告しておりますし、いろいろ総理からも御指示をいただいております。二度とこういうことがないようにやろうと、こういうことでございます。
宮本岳志君 この事件を総理に報告するのは当たり前のことですよ。小泉総理は今回の事件のコメントで、憂慮していたことが現実の問題となって出てきたことが問題だという、まるで他人事のようなコメントを出されました。以前から憂慮していたと言うのなら、小泉さんは総理であり自民党の総裁なんですから、事前に手を打つことは幾らでもできたはずなんです。これだけ重大な内容について、そして結果として今回の事件に結びついた特定郵便局長が選挙をやっているという問題について、あなたは国会の場で、ないと信じていると強弁をし、小泉総理は以前から憂慮していたと言っていると。それが繰り返し国会で議論になっているというのに、総理とそれを協議もしない、そしてそういう事実があるかどうかについても、総理の書いたものについても確認もしないと。余りにも無責任、職務怠慢じゃないですか、いかがですか。
国務大臣(片山虎之助君) 郵政事業全般のあり方等については総理とは何度も、郵政事業懇談会だけじゃありませんで、いろいろ協議いたしておりますから、その点は委員が今お考えになったようなことでございませんけれども、総理が言うのは、公務員というものの公共性や地位の特殊性について、すべての公務員の方がそれだけの認識を持っているんだろうかと。すべての公務員の方であります、当該、今事件になった郵政の関係の方だけじゃなくて、そういうことの憂慮は前から持っておったと、こういうことは言われております。
宮本岳志君 それは、すべての公務員に、当然この問題は戒めとすべきものであることは確かですよ。
しかし、少なくとも具体的に近畿特定局長会のことを私が指摘をし、そして総理がこの著書の中で述べておられるのは特定郵便局長会のことを述べているわけですから、具体的に、そのことをめぐって認識の食い違いがあるということを私は指摘したわけですから、当然、総理との関係で認識を一致させると。そういうことをしないから、憂慮していたことが現実の問題となって出てきたことが問題だという、こういうコメントになるんじゃないですか。もし、その時点で協議しておったら、直ちにそういうことがないかどうか調査して正しなさいという指示が出たかわからないじゃないですか、どうですか。
国務大臣(片山虎之助君) いやいや、それは私の名前の依命通達をすべての公務員に出すときにも総理の了解、了承を求めたわけでありまして、選挙が近づいたんだからさらにこれから徹底しますと、ぜひ徹底してほしいと、こういうことでございましたが、残念ながら近畿管内でこういう事件が起こったと、こういうわけでございまして、その点については私も総理も遺憾だと思い、また責任を感じていると、こういうことでございます。
宮本岳志君 大臣も副大臣もみずからの責任をまずはっきりさせることなしに、私は再発防止に取り組めないということを指摘したいと思います。
<「任意団体」と業務上の組織が表裏一体>
宮本岳志君 大臣は十月の十六日の大臣会見で再発防止策について述べております。とにかく、繰り返しておられるのは特推連と特定局長会を切り離すということです。同じ場所で同じ日に会議をするなどというのは論外ですけれども、大臣は役員の兼任も好ましくないと、こうおっしゃっております。しかし、この二つの組織は兼任なんという生易しいものではないのですよ。一つのコインの裏表、まさに一心同体というのが実情なんです。資料を見てください、配付した。
これは、総務省の資料と逓信新報という業界紙から作成した比較対照表です。業務上の組織である特推連と任意団体である特定局長会、さらには、それから特定局長の有志寄附でつくられたとされている財団の特定局長協会の三つが、全国の役員でいいますと、佐々木特推連副会長が他の二つでは理事になっているという以外は完全に一致しております。まさに地方に至ってはぴたっと全部一致しております。この表には入れていないですけれども、副会長もまるで同じ。つまり、まさに三位一体の組織になっているんですよ。この資料はこの九月に入手した最新の資料によるものですから、選挙後も全くこういう実態は変わっていないということだと思います。
特定局長会と特推連の役員の兼任を完全になくすと、そういうふうにお考えですか。もしそのつもりなら、いつまでにそれはおやりになるんですか、大臣。
国務大臣(片山虎之助君) 特推連の方は我々が決めさせていただくようなことになっておりますが、任意団体の方はまさに任意団体ですから、皆さんが自由に御相談でお決めになるということですが、私は、今、宮本委員が言われるように、こういうほとんどがダブっているような状態なら、やっぱり世の中のいろんな批判を招きかねないと思いますので、できるだけこれは分離していただくように任意団体の方にお願いいたします。
宮本岳志君 私、そこで聞きたいんですね。大臣、ことし三月の私の質問に対して、特定局長会は任意団体だから、どこで何をやろうが関知する立場にないと、こうお答えになったんですよ。もし、大臣が特定局長会の役員構成に何らかの関与ができるのであれば、この三月の答弁は間違いだったとお認めになりますか。
国務大臣(片山虎之助君) いえ、私は基本的には任意団体は独自でお決めになればいいと思っておりますが、今度の近畿管区におけるような事案も出ましたし、そのことについての指摘も広く受けておりますので、任意団体でございますけれども、私どもの方として要請をいたしたい、お願いをいたしたいと、こう思っております。
宮本岳志君 特推連はそれは業務上の組織ですから、あなた方の役所が当然いろいろと指図できますよね。指図というか決めることできますよね。しかし、特定局長会にやはりきちっと関与しなければ、兼任をなくすと言ったって、それは何の保証もないということになるわけでしょう。
私は、むしろ、やはりこの特定局長会も、任意団体とはいえ特定局長でつくっているわけですから、きちっとやっぱり役所として責任を持った対応すると。そして、兼任をなくすということだけでなくて、郵政ぐるみの選挙もやめさせる必要があると。そういうこともやめてくださいよと、そういうことをこそ言う必要があるということを私ぜひ指摘しておきたいというふうに思います。
<民営化でこの問題は何ら解決しない>
宮本岳志君 それで、政府は郵政事業の国営の維持ということもおっしゃっておりますけれども、実際には国民のための国営事業ということを一番裏切っているのがやっぱりこういう事態だと私は思うんですね。だから、一方で、このことを取り上げて民営化という議論がある。私どもは郵政の民営化ということには断固反対であります。
そこでお伺いしたい。総務省選挙部長に聞くんですけれども、宅配業者や銀行員や保険業者など郵政三事業と同種の業務を行っている民間会社の社員に対して、今回の逮捕容疑となった公職選挙法の公務員の地位利用、こういう法律は適用され得ますか。
政府参考人(大竹邦実君) 公職選挙法におきましては、公務員がその地位を利用して行いますところの選挙運動の禁止規定を設けているわけでございますけれども、これは、公務員が公務員として有するその権限や地位を利用して行う選挙運動が選挙の自由、公正を害するという見地から設けられたものでございます。
この規制の対象となります者は、国または地方公共団体の公務員、特定独立行政法人の役職員、日本道路公団等、公団、公庫の役職員等とされておりまして、これらに該当いたしません民間会社の社員に対しましてはこの規定の適用はございません。
宮本岳志君 つまり、郵政事業が民営化して公務員でなくなれば、今回のような不祥事も法律上はやり放題ということになってしまいかねないんです。我々は民営化そのものに反対だが、民営化では何ら解決しないということも指摘しておきたいと思います。
我が党は、郵政であれ何であれ、また民間であっても、企業・団体ぐるみ選挙は、憲法の思想、信条の自由を踏みにじるものとして一貫して厳しく批判をしてまいりました。
郵政ぐるみ選挙は、公務の職場で業務上の地位を利用して組織ぐるみで自民党の選挙を特定局長を初めとする郵政労働者に押しつけてきたことに最大の問題があります。もちろん、国家公務員であれ地方公務員であれ、個人として政党への加入を含む政党支持の自由があることは当然であります。
むしろ、政府や自民党は、これまで公務労働者の憲法に保障されたこの当然の権利まで抑圧をしてまいりました。
特定郵便局長を初めとする郵政労働者の憲法に保障された思想、信条の自由を守るためにも、郵政ぐるみ選挙と言われる実態を徹底解明し、直ちにやめさせることを強く要求して、私の質問を終わります。