153 – 参 – 憲法調査会 – 2号 平成13年11月07日
平成十三年十一月七日(水曜日)
午後一時一分開会
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委員の異動
十一月六日
辞任 補欠選任
桜井 新君 松村 龍二君
椎名 素夫君 松岡滿壽男君
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出席者は左のとおり。
会 長 上杉 光弘君
幹 事
市川 一朗君
加藤 紀文君
亀井 郁夫君
谷川 秀善君
野沢 太三君
江田 五月君
高橋 千秋君
山下 栄一君
小泉 親司君
委 員
愛知 治郎君
荒井 正吾君
近藤 剛君
斉藤 滋宣君
中島 啓雄君
中曽根弘文君
服部三男雄君
福島啓史郎君
舛添 要一君
松田 岩夫君
松村 龍二君
松山 政司君
大塚 耕平君
川橋 幸子君
小林 元君
直嶋 正行君
堀 利和君
松井 孝治君
柳田 稔君
魚住裕一郎君
高野 博師君
山口那津男君
宮本 岳志君
吉岡 吉典君
吉川 春子君
大脇 雅子君
福島 瑞穂君
平野 貞夫君
松岡滿壽男君
事務局側
憲法調査会事務
局長 桐山 正敏君
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本日の会議に付した案件
○日本国憲法に関する調査
○参考人の出席要求に関する件
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宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
派遣団として調査活動に当たっていただいた各党議員の皆さん、事務方の皆さんには大変お疲れさまでございました。
今の派遣報告を聞かせていただいて、各国の憲法が各国それぞれの歴史を踏まえたものであり、そこにはそれぞれ真剣な議論と歴史があるということを痛感をいたしました。あわせて、日本が憲法九条を持ち、恒久平和主義を掲げてきたことに対する確信を改めて深めたところです。
日本共産党は、第九条を初めとする日本国憲法を日本の現実に生かすことこそ二十一世紀の国づくりの基本であると考えております。
ところが政府は、この間一貫してこの憲法をないがしろにする政治を続けてきたと言わざるを得ないと思うんです。例えば、いわゆるテロ対策特別措置法の審議の中でもそれは浮き彫りになったと考えます。
例えば、小泉首相は答弁で、常識的に考えれば自衛隊は戦力と述べましたけれども、この答弁について津野内閣法制局長官は、昨日の朝日新聞に掲載されたインタビューで、「法理論として、自衛隊は九条二項の戦力だなんて言われたら、死んじゃう」と述べ、厳密な法律理論に立った憲法論議が国会審議で行われていないことを認めております。
さらに小泉首相は、憲法前文と憲法九条の間にすき間があるなどという議論まで持ち出しておりますけれども、しかし、憲法前文と九条との間にすき間などは存在しないと私は思います。
憲法前文に言う国際協調主義は、自国の利益にのみとらわれ、侵略戦争を起こした反省に立って、恒久平和主義をもって名誉ある地位を占めたいと、そういう決意を示したものにほかならないと思うんです。すき間を云々するのならば、違憲の軍隊である自衛隊を戦力でないとごまかしながら増強し、海外派兵の枠組みまでつくってきた歴代自民党政府こそ、憲法との間に大きなすき間をつくってきたと言わざるを得ません。
しかも、政府や首相が憲法についての事実すら真剣に検討していないのではないかと思われる事態も明らかになりました。首相は、日本の最高裁判所は自衛隊が合憲であるという判決を下していると答弁し、そのわずか三日後に、我が党吉岡議員の質問に、自衛隊合憲の最高裁判決はないと答弁を訂正せざるを得なくなりました。まさに憲法を語る資格そのものが問われる醜態だと言わなければなりません。
そもそも、審議で明らかにされた憲法制定議会での政府言明に照らしても、日本国憲法のもとで軍隊による国際貢献はあり得ないと思うんです。そのことから、政府や与党の中には、国際的な舞台で第九条があるためにやるべきことがやれないなどと考える劣等感とも言うべき感情があるのではないかと指摘せざるを得ません。
しかし、憲法九条が国際貢献の障害であるかのような議論には全く道理がないと思います。日本の政治家であるならば、自国の憲法に劣等感を持つのではなく、日本は憲法九条を持っているからこそこういうことができるんだという誇りを持った国際貢献を考えることこそ当然の姿だと思うのです。
昨日帰国した我が党のパキスタン調査団の報告でも、今現地で日本のNGOなどが難民支援のために行っている献身的な活動が、平和憲法を持つ国ならではの信頼を持って歓迎されているというふうに聞いております。
国際政治の舞台でも、本来なら平和憲法を持つ日本こそ、国連憲章の精神に全面的に立った解決の方向を説得力を持って主張できるはずだと思うんです。
憲法を踏みにじるような海外派兵などではなく、憲法九条の優位性を発揮した国際貢献を行って、さすが憲法九条を持っている日本は難民救援などですごい活動をすると世界からも評価されるような活動こそ真剣に進めるべきである、こういうことを申し上げて私の発言といたします。
ありがとうございました。