154 – 参 – 予算委員会 – 6号 平成14年03月04日
平成十四年三月四日(月曜日)
午前九時開会
─────────────
委員の異動
二月二十八日
辞任 補欠選任
山根 隆治君 峰崎 直樹君
三月一日
辞任 補欠選任
浅尾慶一郎君 ツルネン マルテイ君
柳田 稔君 池口 修次君
大沢 辰美君 紙 智子君
西川きよし君 田名部匡省君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 真鍋 賢二君
理 事
金田 勝年君
野沢 太三君
日出 英輔君
松谷蒼一郎君
齋藤 勁君
高嶋 良充君
魚住裕一郎君
小池 晃君
平野 貞夫君
委 員
有馬 朗人君
市川 一朗君
入澤 肇君
木村 仁君
国井 正幸君
佐藤 昭郎君
山東 昭子君
世耕 弘成君
田中 直紀君
伊達 忠一君
谷川 秀善君
段本 幸男君
仲道 俊哉君
松村 龍二君
山崎 力君
山下 英利君
池口 修次君
江田 五月君
小宮山洋子君
佐藤 道夫君
ツルネン マルテイ君
内藤 正光君
藤原 正司君
峰崎 直樹君
若林 秀樹君
遠山 清彦君
福本 潤一君
渡辺 孝男君
紙 智子君
大門実紀史君
宮本 岳志君
田名部匡省君
平野 達男君
大脇 雅子君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田 成宣君
参考人
国際協力NGO
センター理事長 船戸 良隆君
ピースウィンズ
・ジャパン統括
責任者
ジャパン・プラ
ットフォーム評
議会議長 大西 健丞君
─────────────
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○予算の執行状況に関する調査
(NGO問題に関する件)
─────────────
<日本の外交に大きな汚点を残した>
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。お二人の参考人には大変御苦労さまでございます。
今回の問題は、言った言わないという小さな問題ではないというふうに私たちは思います。大西さんもおっしゃっているように、鈴木宗男議員の圧力で外務省の外交がねじ曲げられたということですね。政治家がNGOを参加させるなと言えば、外務省はすぐにそれに屈服をする、そして言うことを聞いてしまうと。それがアフガン復興会議という非常に大事な会議に大きな汚点を残したというのが私は今回の問題だと思うんです。
その圧力は、この国際会議への参加という問題だけでなくて、最近では北方四島への人道支援始め外務省のありとあらゆる問題に及んでいるということも明らかになってまいりました。
そこで、まず大西参考人にお伺いするんですけれども、大西さんが一番最初に鈴木氏と面識を持たれたのはいつか、どういう場面であったかということをひとつお話しいただけますか。
参考人(大西健丞君) 一番最初は、たしか十月ごろに三十秒だけちらっと、よろしくお願いしますと言った覚えがあるんですが、ほとんどそれは、多分お互いに、私は覚えておりますが、お互いに、向こう、鈴木さんの方は覚えていらっしゃらないぐらいだと思います。正確にコンタクトがちゃんと来たのは、先ほど申しましたように、十三日の、私の携帯電話に突然鈴木さんがお電話を、先に秘書がされてこられたんですが、秘書の方が。その後、鈴木さんが出られて、先ほど申したとおりの接触が実質上初めてと言っていいと思います。
宮本岳志君 じゃ、十三日にお会いになったときというのは、ほとんど初対面というか、面識がないという状況でお会いになったわけですね。
それで、年内に三回、年明けに一回ということがございましたけれども、今回のアフガン復興支援会議にかかわって言えば、やはりこの一月の十九日の午後四時に携帯電話に掛かってきた重家局長の電話から始まったやり取りというのが中心問題になると思うんです。
それで、先ほど大西参考人は、そのとき重家局長は、朝日に出た「ひと」欄を見た鈴木さんが大変怒っている、出席させるなと言っている、鈴木さんに謝りの電話を入れてくれないかと述べたと。この事実を先ほどもお認めになりました。これは間違いないですね。
参考人(大西健丞君) 私の記憶している限り、間違いはございません。
<大西参考人は政府見解を明確に否定>
宮本岳志君 ところが、政府がこの間発表した政府見解によりますと、「アフガン支援国会議へのNGOの参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」というふうに述べられているんですね。つまり、特定の議員の意見によってそこに参加させるかさせないかということを考えたことはないというふうにここには書いてあるわけですけれども、そうなりますと、この政府見解というものは間違いだということになると思うんですけれども、いかがでしょうか。
参考人(大西健丞君) 私も当事者ですので、片方の方の調査結果を一方的に間違いと言うのはフェアでないと思いますが、ただ、私の立場に立ちますと、私の認識している事実とは違うと思います。
宮本岳志君 この十九日午後四時の重家局長の電話というのは、辞退できないかという話はあったと思うんですよ。しかし、参加を拒否するという電話ではなかったと思うんですが、そうですね。
参考人(大西健丞君) はい。はっきり覚えておりまして、重家局長は、私に対して、おまえがそんなことを言ったからなったんだというような態度を取られなくて、逆に僕は立派な方だとそのとき思ったのではっきり覚えているんですが、参加辞退ではなくて困ったと、どうすればいいかというようなニュアンスで終始お話しされておられました。
宮本岳志君 実は、この四時の時点ではまだ決定はされていなかったというふうに思うんですね。実はこの日、鈴木氏はロシアにいたわけです、この前日まで。十九日の午前十一時過ぎにロシアから日本に帰国をした。そして、慌てて重家局長があなたに電話を入れた。そして、最終的に確認、この参加拒否ということが伝わるのは、多分ホテルに駆け付けてきた課長が、午後七時ごろということになろうかと思うんですけれども。
その点で、この四時の時点の電話を受けて、もちろんこれは仮定の話ですけれども、鈴木氏に謝罪の電話をもしあなたがしていれば、事態は変わっていたというふうにお感じになりますか。
参考人(大西健丞君) 推測の域を出ないのでお答えしにくいんですが、ただ、私は電話をしなかったのは、もちろんそれが正しいとは思わなかったのと、もう一つは、それをしても無駄であるというふうな判断をその場で下したからであります。
宮本岳志君 重家局長は国会答弁で、参加拒否の理由については、外務省自身の判断であると、それはつまり「ひと」欄で信頼関係が傷付いたからだというふうに述べられているわけですよ。
この十九日の外務省とのやり取り、重家さんとのやり取りでそういう理由だというふうにお感じになりましたか。それとも、やはり鈴木さんが怒っているということが主要な理由だとお感じになりましたか。
参考人(大西健丞君) 今まで一緒にいろいろと仕事をさせていただいていましたので、まあ若輩者の私が少し新聞紙上で言ったことに対して、重家さん、外務省の方々がそれで怒って参加を拒否するというふうには私には思えませんでした。
宮本岳志君 鈴木氏は、実はこの間、北方四島の人道援助をめぐっても様々な圧力を外務省に働き掛けてきたということが明らかになりました。いわゆるムネオハウスと言われる国後の友好の家を作らせるその事業を自分の選挙区の建設業者にやらせるように働き掛けたということも、我が党の追及で明らかにしてまいりました。今日、朝発表されたこの外務省の報告書でもその働き掛けた事実というのが確認をされているところです。
この間、鈴木氏と様々な場面で面識を持ってこられた大西さんが、このこういった鈴木氏のこういう問題についての圧力ということについて、直接他の問題で何かそういう圧力があったということを体験されたことや、あるいはNGOの運動の中でそういうことを、そういうことが議論になったと耳にされたことはございませんか。
参考人(大西健丞君) 余りそれまで鈴木さんとそんなに接触を持っていたわけではないので分かりかねますが、端的に申しまして、アフガンの復興会議、政府がやられた復興会議の前にNGOで会議を催しました。それが私どもも意外なほどメディアが関心持たれまして、それでそのころから鈴木さんとのいわゆる接触等が始まっておりますので、その前に関しましては私どもNGOはそんなに相手にされていなかったのではないかというふうな印象を持っております。
<政治家の責任で意志決定をすべき>
宮本岳志君 先ほど、鈴木氏のところに十二月の十三日呼び出されたときに外務省と一緒に行ったことについて、先ほどの質問に対して、外務省の決定についてその過程がいびつであるということはつぶさに見てきたというふうにもお答えになったように私お聞きしたんですが、少しその中身をお話しいただけるでしょうか。
参考人(大西健丞君) 制度の問題のことで、イギリスのことをちょっと念頭に置きながらお話ししました。
本来、私は意思決定に関しては意思決定責任者がすべきだと思いますので、外務省に関しては外務大臣、外務副大臣、政務官、政治家の方がなられている場合にはその方々が本来の意思決定をすべきだと思いますので、それ以外の方が意思決定をされるということに関しては、責任の所在があいまい、それから透明性、責任、説明責任が消えてしまいますので、それは問題であるというふうに個人的に考えておりましたので、そういうふうな、つぶさに見てきたというのはそういう思い、つぶさに見たというのはイギリスのことですけれども、そういった少し違うなという思いを持ちました。
宮本岳志君 先ほど、これも答弁の中で、田中外務大臣には情報が上がっていないという印象を持ったというふうにお答えになりましたね。これは具体的にどういう場面でそういう印象をお持ちになられたんでしょうか。
参考人(大西健丞君) 最後、深夜に最終決定を携帯にいただく以前に、担当課長とずっとお話ししていた過程で、何度も私はどなたの責任で決定をされたのでしょうかと、別に責めていたわけではなくて、ひょっとしたらちゃんと物事が上に上がっていない可能性があって、私としてはこれは大問題になるという感覚というか危機感がありましたので、だれが決定をされているのかと確かめましたが、もし大臣であれば一番上の大臣であるということを素直に言われたと思うんですが、そうではなかったので、違うという印象ですね、印象を持ちました。
宮本岳志君 田中眞紀子前外務大臣は、二月の二十日に衆議院の予算委員会で参考人として御答弁されておられます。大西さんは、このときの田中眞紀子さんがお述べになったことに対して、どのように御感想をお持ちになっているかということはお伺いできるでしょうか。
参考人(大西健丞君) 本当のことを言いますと、私はイラク北部でおりましたので、通信状態が極めて悪く、普通の電話回線もありません。衛星携帯しかないので、すべてを拝見したわけではありません。部分的な断片的なファクスしか送られておりませんので、全体的な印象というのは本当に分かりかねます。
宮本岳志君 我が党の調査によりまして、二〇〇〇年三月、アフリカのモザンビークの洪水災害に国際緊急援助隊医療チームを派遣しようとしたとき、出発直前に外務省が鈴木議員にお伺い立てたと。そうしたら、鈴木議員が慎重にと、こう述べた一言で、成田空港にまで集まっていた隊員がいたにもかかわらず、隊はたちまち解散になってこれが終わったという事実が明らかになりました。外務省の担当者も、これは事実としてお認めになっております。
大西参考人も、テレビのインタビューで、鈴木議員が自分のエゴで中止させたと発言されておられますけれども、このことについて御存じのことをお話しいただけますか、大西さん。
参考人(大西健丞君) 私がテレビで発言いたしましたのは、その当事者の方から私はこういう状況になったので応援メールをいただきまして、つぶさにそのメールの中でいろいろと状況を説明していただきました。ただ、どうしても匿名でということでしたので私は発表いたしませんでしたが、その過程だけは明らかにということでお話をいたしました。
宮本岳志君 少し、この参加拒否、国際会議参加拒否以前の四回のやり取りについてもお伺いをしたいと思うんですけれども、政府報告書とそして大西さんが発表されたこのメモとを見比べて、一番大きく食い違っているのは一月の八日の訪問のときのやり取り、一番最後の四回目のやり取りだと思います。
それで、政府の報告書では、ピースウィンズ・ジャパンの活動の状況を報告し、鈴木氏がこれに耳を傾けたと、こう書いてあるんです。一月の八日にやったことは、ピースウィンズ・ジャパンが報告して、鈴木さんがこれに耳を傾けたと。ところが、大西さんのメモを見ますと到底そういうものではないですね。おい、おまえ、と机をたたいて、新聞記事なんかでもてはやされているから調子に乗るなと、ふざけるなというんだよと、アフガン会議では一銭も金はやらぬからな、覚えておけと、こういう生々しいやり取りになっております。
これはどういうことかというふうに思いまして、これも今日、朝、今朝発表された外務省の、これは北方四島の住民支援についての鈴木氏の関与の報告書ですけれども、この中にも実は、外務省に対して激怒し、欧亜局関係者をどなり付けながら云々とか、あるいはその後のページでは、激高し、声を荒らげて強く要望したとか、とにかくどなったり声を荒らげるというのはこの中にも各所に出てまいります。
実際にこういうやり取りがやられたのではないか、つまり大西さんのおっしゃるとおりのやり取りがやられたのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
参考人(大西健丞君) 一月八日のこの私どもが発表させていただきましたメモの文章に関して、私の認識では全く偽りも変更もございませんので、このとおり、若しくはそれ以上の会話が行われたというふうに認識しております。
宮本岳志君 そういたしますと、一月の八日、これは政府報告書ですけれども、無償課長ほかと大西代表が鈴木委員長を往訪と。ピースウィンズ・ジャパンの活動の状況を報告し、鈴木委員長はこれに耳を傾けたと、こうなっているんですけれども、こういうものではなかったということでしょうか。
参考人(大西健丞君) トータルの時間の中で最後の四分ほどは、我々の、女性のスタッフがおりまして、イラク北部に展開しているスタッフがたまたま帰ってきておりましたので、その女性のスタッフが説明した部分四分ほどに関しては鈴木さんは耳を傾けて聞いておられました。
<NGOによる政府批判もあって当然>
宮本岳志君 大西さんは大阪の方だということで、私も大阪の人間なんですけれども、「お上の言うことはあまり信用しない」という表現は、私は、なるほど大阪ではごく普通に語られる言葉だというふうに受け止めております。これを理由として参加を拒否をするというのは私はちょっと考えられないというふうに思うんですね。
先ほども、物を言う自由のある国では問題になるような発言ではないと大西さん述べられましたけれども、私も全く同感です。これが理由でないといたしますと、これはもう鈴木氏から、つまり、謝りの電話を入れてくれという話があったように、鈴木氏が怒っているからということしか考えられないと思うんですが、ここはそういうふうな御認識でいいわけですね。
参考人(大西健丞君) 私であれば、この朝日のやり取りを理由にせずに、もう少しうまい理由を探したと思います。
以上です。
宮本岳志君 今日は船戸参考人もお見えですので、併せてお伺いしたいと思うんです。
そもそもNGOの活動というのは、私も国際協力NGO活動推進議員連盟に加えていただいておりますので、批判的精神を持って、そして政府とは異なる立場や視点から政府に対して率直な意見を述べていくということはNGOの使命であり、また、政府活動を監視し補正していく上で不可欠の役割だと思っております。その点で、鈴木議員による、政府を批判する者がなぜ政府の会議に出るのかという発言は非常に重大だというふうに私も思いますし、船戸参考人の事前のペーパーでもそういうことが述べられておったというふうに思うんですけれども、この点、先ほどのお上の言うことは余り信用しないと言う者を会議から排除するという問題とも併せて、船戸参考人の率直なお考えをお伺いしたいと思います。
参考人(船戸良隆君) ただいまお話がありましたように、政府に対して批判的なことを言うというのは、それは政府と立場を異にしているNGOが時によってはそういうようなことがあるということは、これはもう十分に考えられることであると思いますし、それが日本全体に対して、日本の政策その他に対してプラスになるということは十分に考えられ、またあることだと思いますので、そのようにNGOが発言するということは、もうこれは当然のことであるというふうに私は思っております。
宮本岳志君 今日、世界ではきめ細かな援助ということを考えたときにNGOの役割というのは本当に決定的になっていると思うんです。そういう点で、アフガンの復興支援国際会議にNGOを排除したというのは、本当に世界に対して恥ずかしい重大な汚点だったというふうに私は思います。
それで、アフガニスタンの人々へのきめ細かい効果的な復興や協力を進める上で決定的なNGOの皆さんの会議への参加という点で、これはピースウィンズ・ジャパンやジャパン・プラットフォームに限らず、NGOの参加手続について問題があったというふうに船戸参考人はお考えになりますでしょうか。
参考人(船戸良隆君) 国際会議へのNGOの参加でございますけれども、これについては今まできちんとしたルールができていません。その時々によって、ある場合にはこの団体、ある場合にはこの団体というような形になっておりますので、今後はそれは外務省なりどこかなりとそのルール作り、国際会議にはどういうようなNGOが出られるのか、そしてその基準は一体何なのかということをきちんと双方で基準作りをして、そしてそういうような問題が起こらないように今後努力をしていくべきだというふうに私は考えております。
宮本岳志君 どうもお二人の方、ありがとうございました。(拍手)