154 – 参 – 本会議 – 12号 平成14年03月27日
平成十四年三月二十七日(水曜日)
午後二時四十一分開議
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○議事日程 第十二号
平成十四年三月二十七日
午後二時三十分開議
第一 地方税法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、平成十四年度一般会計予算
一、平成十四年度特別会計予算
一、平成十四年度政府関係機関予算
以下 議事日程のとおり
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<デフレ加速・地域経済破壊の予算案>
宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、来年度予算三案に反対の討論を行います。
討論に先立って、まず、野党が求めている鈴木宗男衆議院議員、加藤紘一自民党元幹事長らの証人喚問が実現に至らないまま予算案が採決されようとしていることに、私は強く抗議するものであります。
いわゆるムネオ疑惑なるものは、北方四島支援をめぐる入札への介入にとどまらず、防衛庁、国土交通省、科学技術庁など、省庁を横断して行政をゆがめ、税金を食い物にしてきたものであります。そればかりか、外交方針をねじ曲げ、領土問題を事実上の二島返還で終わらせるという、正に国益を損ね、日本の主権をも食い物にした疑惑まで明らかになりました。これらの行為は、決して鈴木議員一人でできるものではないことは明白で、外務省は、言わば共犯者であったと言わざるを得ません。
さらに、鈴木議員は、自民党、公明党の国会議員に多額の政治資金を配ってきましたが、その原資は、正に税金が還流した疑いが持たれるものであります。そればかりか、自民党は、北方四島・ロシア支援を受注した商社八社から莫大な献金を受け取ってきました。正に自民党全体が汚染されていると言っても過言ではないのであります。
また、加藤紘一事務所の前代表が脱税で逮捕された事件は、加藤氏自身の政治資金集めの中心にいた人物にかかわるものであります。これまで、このような人物が集めた資金を頼りに政治活動を行ってきた加藤氏自身の責任こそが厳しく問われているのであります。
鈴木、加藤両議員に共通するのは、金丸巨額脱税以降も何ら変わることなく、公共事業を食い物にしてきた自民党の金権腐敗政治の姿であります。
鈴木宗男衆議院議員や加藤紘一元自民党幹事長の数々の不正、腐敗が委員会の審議で示されたにもかかわらず、その全容の解明が不十分なままで予算を成立させることは、その執行に重大な禍根を残すものであることを厳しく指摘するものであります。
このような問題が次々と起こってきた背景には、政と官とをつなぐ企業・団体の存在があります。企業が政治に金と票を流し、官には天下りポストを提供する、これが接着剤となって、政と官の関係がゆがめられてきたのであります。我が党は、既に本院に企業・団体献金禁止法、天下り禁止法を提出しているところですが、この方向こそ国民の求める改革であることを、この際、指摘するものであります。
また、社民党政審会長だった辻元清美衆議院議員による政策秘書の名義借り、政治資金規正法違反も重大です。同議員は議員辞職を願い出ましたが、事の真相は明らかになっておらず、この真相究明も引き続き進めなければなりません。
次に、予算の内容についてであります。
本予算案に反対する第一の理由は、今日の不況の解決に役立たないばかりか、長引く不況を一層深刻にするものだからであります。
小泉内閣の誕生から一年、日本の経済は再生に向かうどころか、GDPが三期連続のマイナスを記録するなど、一貫して悪化を続けてきました。過去に例のない五%台の失業率、完全失業者数の十か月連続の増加など、今や小泉大不況という言葉すら生まれているのであります。
そもそも、この予算案の審議の途中でデフレ対策なるものをまとめざるを得なかったこと自体が、この予算がデフレと不況を同時進行させるものであることを自ら認めたものにほかなりません。しかも、その第一の柱として掲げられている不良債権処理の促進は、デフレの解消どころか逆にデフレ加速要因となることは政府自身も認めていたではありませんか。
そればかりか、不良債権処理を口実に、金融庁は、地域経済に大きな貢献をしてきた信金、信組をねらい撃ちして計画的につぶしてきたことが我が党の追及で明らかになりました。破綻処理に際して、つぶされた金融機関の債務者が、時には恣意的に不良債権の烙印を押されるなど、営業を続ける権利を脅かされる事態が急増しています。構造改革の名で地域金融、地域経済を破壊し、景気を一層悪化させる政治は直ちにやめるべきであります。
宮本岳志君 反対理由の第二は、不況に苦しむ人々に一層のしわ寄せを押し付けるものとなっているからです。
サラリーマンなどの医療機関の窓口負担を三割にし、高齢者の負担と政管健保の保険料を引き上げる医療制度の改悪によって、二〇〇三年度には約一兆円の国民負担増になることが明らかになりました。高齢者マル優の廃止や、米軍の思いやり予算と比べてわずか四分の三にまで削減された中小企業予算などは弱い者いじめ以外の何物でもありません。
さらに、政府にこそ責任があると総理も明確に認めたBSE問題でも、生産者や流通業者へのまともな対策はありません。
とりわけ、次世代を担う子供たちを健やかに育て、教育・研究条件を拡充するために必要な予算は、従来にも増して更に貧困な内容となっています。
国立大学の学費は、来年度も更に二万四千円を値上げし、三十年間で何と四十倍もの値上げ、無利子の奨学金も一万六千人も削減しています。また、母子家庭への児童扶養手当は年間にして三百六十億円もばっさりと削る。このような、次世代を担う子供たちに冷たい政治を進めるなど、米百俵の精神が聞いてあきれるではありませんか。
理由の第三は、その必要性が疑われる大型プロジェクトの公共事業、大銀行支援のための七十兆円枠の温存など、浪費にメスを入れないまま財政の破綻を拡大するものだからであります。
川辺川ダムや諫早湾干拓などは、事業の目的そのものが失われているにもかかわらず、国民の批判に挑戦するかのように事業が進められています。
例えば、私の地元の関西空港は、既に完成した一期工事分だけで空港としての機能にはまだ十分な余裕があります。かつて国が、この関空の建設に当たって、過大な経済効果予測に基づいた投資を地元に押し付けたことで、今日、財政破綻に直面する地方自治体が続出しています。その反省もないままに、今また過大な需要予測に基づき二期工事を進めていることは、二重、三重に許し難いものと言わなければなりません。
また、アメリカの戦争に一層深く組み込まれている自衛隊の装備の拡充や、ムネオ疑惑の舞台にもなった在日米軍支援など、憲法違反の防衛関係費を聖域化し、従来どおり巨額のまま温存していることも問題です。
自民党政治の行き詰まりに対して、自民党を変えると絶叫して誕生した小泉内閣は、この一年、自民党を何一つ変えられないばかりか、正に従来型の自民党政権そのものであることが明らかになりました。それは本予算案の内容にも示されています。
日本共産党は、国民の立場での国政の転換を求めるすべての人々と力を合わせて、小泉政治と正面から対決をし、そして国民生活と営業を守り、有事立法に反対し、憲法が生かされる政治を実現するため全力を挙げることを表明し、反対討論といたします。(拍手)