154 – 参 – 総務委員会 – 14号 平成14年04月25日
平成十四年四月二十五日(木曜日)
午前十一時開会
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委員の異動
四月二十三日
辞任 補欠選任
高橋 千秋君 江田 五月君
木庭健太郎君 浜四津敏子君
四月二十四日
辞任 補欠選任
江田 五月君 高橋 千秋君
内藤 正光君 輿石 東君
浜四津敏子君 木庭健太郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 田村 公平君
理 事
景山俊太郎君
谷川 秀善君
浅尾慶一郎君
伊藤 基隆君
委 員
岩城 光英君
久世 公堯君
沓掛 哲男君
南野知惠子君
日出 英輔君
森元 恒雄君
山内 俊夫君
輿石 東君
高嶋 良充君
高橋 千秋君
松井 孝治君
魚住裕一郎君
木庭健太郎君
八田ひろ子君
宮本 岳志君
松岡滿壽男君
又市 征治君
国務大臣
総務大臣 片山虎之助君
副大臣
総務副大臣 若松 謙維君
事務局側
常任委員会専門
員 入内島 修君
政府参考人
総務省自治行政
局長 芳山 達郎君
総務省自治行政
局公務員部長 荒木 慶司君
総務省自治財政
局長 林 省吾君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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本法案は、地方議員の共済年金制度の破綻を回避するために手当てするものでありまして、その限りにおいて我が党も反対はいたしません。しかし、今後この制度がどうあるべきかということは、そもそも地方議員というものの在り方にかかわる問題ですから、この法案がその点できちんとした検討に基づいて出されたものかということが問題だと思うんです。
そこでまず、この法案に先立って検討を行った地方議会議員の年金制度に関する研究会の報告書についてお伺いしたいと思います。
この報告書を見ますと、高額所得者の年金の一部支給の停止について、常勤公務員並みの所得制限を導入することを検討する必要があると、こう書いてあります。どのような検討を行いましたか。
今回の制度改正案の基になった報告を取りまとめた地方議会議員年金制度検討会におきましては、高額所得者に係る一部支給停止措置に関しましては、常勤公務員並みの所得制限を講じることも選択肢の一つとして検討をしたところでございますが、地方議会議員年金は公的年金ではなく、これと同じ所得制限を講ずることは適当ではないとの考え方から不採用となりまして、退職年金の給付水準の引下げに合わせて、適用となる年金額の基準を原則として二割引き下げるということにしたところでございます。
なお、ただいま委員から御指摘ございました地方議会議員の年金制度に関する研究会報告でございますが、これは平成十一年に三共済会が自主的に設置した研究会において、考えられる対応策として平成十二年九月に取りまとめをしたものでございます。総務省ではこれを受けまして、先ほど申しました検討会を平成十二年十二月に発足させまして、あらゆる角度から対応策を検討しましてこの二月に報告として取りまとめ、これを踏まえまして今回の制度改正案を作成した、こういった経緯がございます。
そこで聞くんですけれども、二〇〇一年度の実績で、高額所得に基づく一部支給停止の対象となっているのは市議会議員共済と町村議会議員共済でそれぞれ何件あったか、それは今回の改定によってどの程度増える見通しか、お答えいただけますか。
しかしながら、今回の改正事項に限って申し上げますと、高額所得者に係る一部支給停止について、退職年金の給付水準の引下げに合わせて適用となる年金額の基準を原則として二割引き下げることとしておりますために、これによる該当件数は増加はないものと見込んでいるところでございます。
宮本岳志君 全国で四十八件ですから、ほとんどないということなんですね。そして、上限を下げたといっても、これは支給額の切下げに連動しているというだけであって、一部支給停止の対象を拡大するというわけではないわけです。これでは本当に真剣に検討をしたのかという声が出されるのも私はうなずけると思うんですね。
<もし市町村合併が進めば議員数も急減>
宮本岳志君 そこで、この改正案が本当にそういう点でつじつまが合うものになっているのかということを更に突っ込んで議論したいと思います。
今回の再計算ですけれども、今から五年後及び十年後の市議会議員数及び町村議会議員数はどうなると想定しておりますか。
政府参考人(荒木慶司君) 今回の制度改正に当たっての試算におきましては、おおむね過去十年間の傾向を踏まえまして、市議会議員につきましては毎年〇・六%の減、町村議会議員につきましては毎年〇・八%の減で見込んだところでございます。
この前提で、五年後の平成十九年度の市議会議員数は四・八%減の一万八千六百二十四人、十年後の平成二十四年度では七・六%減少しまして一万八千七十三人になると見込んでいるところでございます。また、町村議会議員数につきましては、五年後の平成十九年度で六・三%減の三万七千六百四十四人、平成二十四年度、十年後でございますが、これで一〇%減の三万六千百六十二人と、このような推計をして、これを前提に試算をしております。
なぜ合併目標に見合う定数を想定してやらないんですか。改めてお答えをいただきたい。
それで、要するに、この与党の方針どおり進めば今回のこの改正で想定したとおりにいかない、小手先の検討ではもう済まなくなると。それはそのときになったら考えようということになるんだと思うんですね。
それで、市町村合併特例法の第十六条の三項、政府が地方議員年金の健全な運営を図るために必要な措置を講ずると、こうありますけれども、健全な運営を図るための措置の中には年金の給付額の更なる引下げも含まれるわけですか、いかがですか。
今、委員からございました、その中に年金の給付額の引下げが含まれるかという点でございますが、将来的に年金額の引下げを行うということは、この議員年金につきましては、給付内容が負担に比べまして手厚い、基本的なそういう構造がございますので、この点についての検討ということは全く考えられないということではないかと思いますが、今議論ございます市町村合併そのことだけを理由としての引下げということにつきましては、やはり会員の方々の理解を得ることは難しいのではないかというふうに考えております。
今日午前中、衆議院では電波法の審議でアナログテレビの問題がまた議論されていましたけれども、私、去年の電波法の審議で、今もアナログテレビを売っていると、その買うお客さんに対して九年後には見れなくなりますよというように言わなきゃならなくなりますよという指摘しましたけれども、実はこの問題は、地方議員の、全国の地方議員の方々に、政府の言うとおりに合併を進めたら、あなた方の年金は半分とかそれ以下とか再切下げの可能性も出てきますよと、これは説明しなければならない性質の問題になってくると思うんですよ。そういうふうなことを本当に地方議員の方々に説明して話は通るのかと。これ、大臣、どうお考えになりますか。
こういうように思っておりますけれども、基本的にはこの制度は互助年金なんですよ。公費が入っていることから公的なとくっ付けていますが、互助年金ですからね。お互いがどう考えて制度設計をしていただくかということで、今、公務員部長が言いましたように、基本的には必要な措置は掛金を増やすということが筋なんでしょうね。なかなか給付の引下げということは合併だけを理由には私は難しいんじゃなかろうかと思いますけれども、しかし、年金財政がもたなきゃいけませんから、互助年金ですから、お互いの助け合いなんですから、そこのところはよく御認識を賜る必要があると思います。
宮本岳志君 これまでも地方議員数そのものの減少がこの地方議員年金の財政状況の悪化の大きな要因になってきたということだと思うんです。それは、もちろん市町村の合併だけでなく、減数条例による議員定数の削減も次々と進められてまいりました。地方分権の看板の下、鳴り物入りで行われた九九年の法改正も、地方議員の定数については拡充ではなく削減するという方向になったわけです。
<地方議員は住民と行政のパイプの役割>
宮本岳志君 私の地元、大阪の一つの例として、河内長野市の例を取り上げたいと思います。
まず、これは自治行政局に聞きますけれども、河内長野市議会の議員定数は平成十一年四月一日現在で何人になっておりますか。
政府参考人(芳山達郎君) 河内長野市の十一年四月一日現在の法律による議員定数は三十六名でございますが、減少条例によりまして議員定数は二十四名となっております。
地方自治法九十一条の二項には、確かに減数条例によって法定定数から減らすこともできるという規定がございます。これを利用する形で定数の削減が行われてきたわけです。このような傾向は大阪の他の自治体も共通ですし、全国でもこれはもうずっと進められてきております。実に自治体数の九八%で法定定数から定数を減らす、条例によって減らすということがやられております。
実は、来年の一月からは、これももう御承知のとおりですけれども、地方議会の議員定数というものは条例で定めるということが原則となって、法律では上限のみが決まっているということになりますけれども、我が党はこのとき随分議論して、これは随分根本的な精神の転換だということで反対いたしましたけれども、ただ、現時点ではまだこれはそういうことになっていないんですよ。まだ地方自治法は法定定数というのがあって、それを基本にしながら条例で減らすこともできると、こういう運用になっていると思うんですけれども、これ、間違いないですか。
ここで再確認しておきたいんですけれども、現時点での法律の運用として、地方自治法上の法定定数というのはどうでもいい数と、こういうことになるんですか。
この趣旨は、明治以来、法定定数制度が維持されております。そういう歴史的経緯、また地方行政を取り巻く状況にかんがみまして、法律において人口区分ごとに定数を定めつつ、これを上限としながら、それぞれの地方公共団体で自律的、自主的に定数を定めるということを可能にしているという具合に理解をしております。
したがいまして、各地方公共団体におきましては、議員定数の在り方について、法定定数を上限としながら、各団体において十分御議論した上で現在の定数を決定されているということでございまして、法定定数を頭に置き、それを上限にしながら地方団体が自主的に定めておるという具合に理解しております。
そもそも、市町村の合併についても、それで市長や助役の数が減るとか、地方議員の数も少なくて済むということが行政の効率化であるかのように言う向きもあるわけです。私は、地方議員というものは、一人一人が住民と行政を結ぶパイプとして大切な役割を担うべきものだと考えます。それをむやみに削減すればそれだけ住民の声が行政から遠くなるということだと思いますし、それが少なければ少ないほど良いという議論は、地方議員や地方議会は無駄なものだと言うに等しい暴論だというふうに思うんですね。幾ら合併で自治体の規模だけを大きくしても、その行政に住民の声が反映しなければ、決して地方自治が拡充したということにはなりません。
大体、効率的な行政といいますけれども、地方議員のために掛かる費用というのはどれぐらいなのかと。私はそれほど大きくないと思うんですね。一つこれお伺いしたいんですけれども、地方自治体の経費に占める議員報酬手当の割合というのはどれぐらいになっているか、自治財政局からお答えいただけますか。
だから、これはそれ以外に行政の無駄といえば、我が党がかねてから指摘するような無駄な公共事業など、削るべきところは他に幾らでもあります。そこにメスを入れるためにきちんとチェックする者こそ地方議会の議員ですから、これが減ってチェック機能が弱まって、歳出の浪費が見過ごされるということになれば、何をやっていることか分からないということに私はなるだろうというふうに思うんです。これまで、合併で自治体が広域化して議会が住民から遠くなったと、そういう声も聞きます。議員が少なくて済むというのはむしろ合併のマイナス面だというふうにも考えなくてはならないと思うんですね。
必要なのは、地方議員が住民の声を行政に反映することを通して、本当に効率的で住民本意と言える自治体行政を実現することだというふうに考えますけれども、これはひとつ、今日のやり取り聞いていただいて、片山総務大臣のひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
宮本岳志君 多ければ多いほどいいという主張をするつもりもないです、もちろん。しかし、法定定数というのはそういう大切なものだということも御答弁いただいたわけですから、地方分権というスローガンはあるんですけれども、実際にはそのことをどんどんどんどんやせ細らせると言わざるを得ないようなことも地方議会の場で進められております。そのツケが、その矛盾がこの議員年金の問題に現れているということを指摘をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。