154 – 参 – 総務委員会 – 23号 平成14年07月23日
平成十四年七月二十三日(火曜日)
午前九時開会
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委員の異動
七月二十二日
辞任 補欠選任
内藤 正光君 辻 泰弘君
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出席者は左のとおり。
委員長 田村 公平君
理 事
景山俊太郎君
世耕 弘成君
谷川 秀善君
浅尾慶一郎君
伊藤 基隆君
高嶋 良充君
委 員
岩城 光英君
小野 清子君
久世 公堯君
沓掛 哲男君
南野知惠子君
日出 英輔君
森元 恒雄君
山内 俊夫君
高橋 千秋君
辻 泰弘君
松井 孝治君
魚住裕一郎君
木庭健太郎君
八田ひろ子君
宮本 岳志君
松岡滿壽男君
渡辺 秀央君
又市 征治君
国務大臣
総務大臣 片山虎之助君
副大臣
総務副大臣 佐田玄一郎君
大臣政務官
総務大臣政務官 山内 俊夫君
政府特別補佐人
人事院総裁 中島 忠能君
事務局側
常任委員会専門
員 入内島 修君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官
兼行政改革推進
事務局公務員制
度等改革推進室
長 春田 謙君
総務大臣官房総
括審議官 平井 正夫君
総務省行政管理
局長 松田 隆利君
総務省郵政企画
管理局長 團 宏明君
総務省郵政公社
統括官 野村 卓君
郵政事業庁長官 松井 浩君
法務大臣官房審
議官 河村 博君
財務大臣官房審
議官 加藤 治彦君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○派遣委員の報告
○日本郵政公社法案(内閣提出、衆議院送付)
○日本郵政公社法施行法案(内閣提出、衆議院送
付)
○民間事業者による信書の送達に関する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
○民間事業者による信書の送達に関する法律の施
行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○理事辞任の件
○理事補欠選任の件
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宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
先々週の本会議で、与党修正に加えられた出資条項について私が大臣に、もうけを目指す組織ではないからとの理由で公益法人に原則として禁止された子会社への出資がなぜ公社に許されるのかと、こう質問をいたしましたら、大臣は、公益法人は非営利性の法人ですよと、この公社は民間と堂々と争う法人なんですと答弁されましたね。
念のために確認をしたいんですが、総務省にお答えいただきますが、日本郵政公社は営利法人なのか、非営利法人なのか、どちらですか。政府参考人(野村卓君) 今御指摘の営利法人、非営利法人と言っている意味についてはちょっと明確によく分からないところがあるわけでございますけれども、営利法人につきまして、民法上の公益法人に対する営利を目的とする法人という意味に営利法人を解するならば、日本郵政公社はそれに該当しないというふうに考えているところでございます。宮本岳志君 つまり、郵政公社も営利法人じゃないんですね、非営利法人なんですね。
<これからも今まで通りの天下りが>宮本岳志君 こういう点で考えれば、じゃ、あと大臣の答弁で残るのは、民間と堂々と争うからという意味付けが残ると思うんですが、つまり競争があるからと。しかし、そうしますと、むしろ郵便貯金は既に民間銀行と競争する状況にあります。簡易保険は民間生保と競争関係に既にあるんですね。それだったら、出資規定を何ら郵便の分野に限る必要はないと。
これは大臣にお伺いしたいんですが、これは遠からず郵貯も簡保の分野も出資規定を広げると、こういうことです。国務大臣(片山虎之助君) 郵貯や簡保の方も検討しましたが、当面、そういうことで出資をして会社を作って、関連業務の一部をやってもらうような必要はないと。
郵便については、先ほど何度も副大臣や局長が答弁しているような業種について、場合によっては出資をしてそういうところでやってもらう方が経営の効率化に資すると、こういう判断から限定いたしたわけであります。なるべく出資は限定した方がいいに決まっておりますから、そういたしたのであります。宮本岳志君 じゃ、効率的経営という、そういうことに結び付くかどうかを議論したいと思うんですね。
この出資条項が、従来から郵政ファミリーと言われる企業を新たに広げ、総務省や公社からの天下りの温床になるのではないかとの指摘が繰り返しされてまいりました。先ほども大臣は民主党の委員に、御心配のような天下り先を作るための趣旨ではないと、こう答弁されておりましたね。
では、お伺いしたいんです。
我が党は、これまで郵政ファミリーと呼ばれるグループ企業を使った利権と腐敗の構造、あるいはそこへのOBの天下りという実態を繰り返し明らかにして追及してまいりました。
それでは、これまでの郵政事業の中で天下りと言われる状況があったと、このことは総務省はお認めになるんですか。政府参考人(松井浩君) ファミリー企業という言葉遣いで、いろんな言葉遣いをされることはありますが、その意味内容について厳密にはどういうことなのかということについてはいろいろあろうかと思います。
ただ、退職した職員の営利企業への就職ということについて申し上げますと、それは本人の知識、経験、技能等が就職先に評価されて行われるものであるということでございまして、営利企業への就職に当たりまして、国家公務員法等に基づいて適切に措置すべきは当然のことでございます。宮本岳志君 そう言うと思っていたんですよ。
我々が事実を示してどんなに追及しても、あなた方はこれまでも天下りはなかったと答弁しているんです。つまり、国家公務員法に基づいて適切にと、適材適所とか民間からの要請とか、そう言ってきたわけですよ。
つまり、大臣、じゃ、あなたの言う天下り先は作らないというのは、これまでだって天下りなどやっていなかったという話ですから、これまでどおりやるということに何の違いもないのであって、どうですか、これまでとこの問題は何ら違わないということじゃないですか。国務大臣(片山虎之助君) 今までとは違うんですよ、今度は国営公社になるんですから。
それから、その出資の条項を作って、関連の会社なんですから、それは違いますので、今までも天下りはなかったですが、もっとないようにいたします。宮本岳志君 これからだって国家公務員法に基づき人事院の承認を得てやるというだけの話であって、これまでと何ら変わらない、私はそう思いますね。
先日、当委員会で自民党の理事がこうおっしゃいました。これは悪うするといわゆる天下り先になるんですよ、第二、第三の天下り先になると思うんですよ、道路公団を見たらよう分かりますね、とんでもないことをやっておるでしょう。子会社をたくさん作って、子会社、孫会社を作って、しかも、そこは黒字で本体は赤字というようなことを平気でやっておる、これはそのとおりだと私は思います。
道路公団の改革について、昨年九月の週刊東洋経済で石原行革担当大臣がこう言っているんですね。一九六八年から特殊法人改革をやっていますけれども、その後も子会社を一杯作って、例えば道路公団のファミリー企業の内部留保が幾らあるかなんて正直言って分かりません、こう石原大臣はここで述べておられます。
こういうファミリー企業にメスを入れるというのが小泉改革の建前だったのではないですか。違いますか、大臣。国務大臣(片山虎之助君) したがって、今、特殊法人の見直しやなんかをかなり精力的にやっている。例えば、道路公団につきましても、研究委員会ですか、作って今いろんなことを検討いたしておるわけでありまして、そういうことをやっていこうというのが小泉総理の改革の一つでございます。
<「郵政ファミリー」にトンネル会社>
宮本岳志君 いやいや、そのときにこの出資条項を作るというのがどのような結果をもたらすかということを私は議論したいんです。
今日は、過去に、じゃ、この総務省、郵政省の関連の公益法人が出資していた企業、これはどういうものであったかということを、これを私調べてみたんですよ。資料を作ってまいりました。
業務の概要を見ただけでも、これは明らかにトンネル企業だと思われる会社が幾つもあります。
配付資料の1を見てください。これは東京商工リサーチの企業情報ですけれども、アイレックス産業株式会社、ここは十八人の従業員で八十億円の売上げですから、一人当たり四億円売り上げているわけです。この会社の営業品目は、郵政省及び郵政事業関係団体への事務用品等販売と。販売先は郵政局、総務省、郵便局。事業概要、郵政省関係の退職者中心に組織され、全国十二か所郵政局を主力に事務用品等を供給と、これは典型的なファミリー企業です。
大株主を見てください。郵政弘済会、総合資材サービス、郵資輸送、東京ビル管理、全部ファミリー企業です。そして、役員には郵政OBが天下っております。これは昨年九月二十八日時点の資料ですけれども、この代表者の小倉久弥氏、役員の小巻幸男氏、監査役の横井功氏は、いずれも郵政のOBですね。政府参考人(松井浩君) 郵政省に在職していた小倉久弥氏の最終官職は近畿郵政監察局長、昭和六十二年に退職しておられます、その郵政省に在職していた小倉さんは。それから、同じく小巻幸男さんは大船郵便局長で、平成十一年七月に退職をしておられます。それから、横井功さんは京都簡易保険事務センターの所長をやっておられまして、平成十一年に退職しておられます。宮本岳志君 これがファミリー企業への天下りでなくて何なのかと言いたいですね。
次に、資料2を見てください、新興機材、資料3には互興建設というのをお付けいたしました。
新興機材は従業員三十三人で、年間の売上高が三十一億円、互興建設は三十三名で、売上げが四十五億円。これも従業員一人当たり一億円あるいはそれ以上の売上げをしております。
建設業ならそれぐらいはと言うかもしれないけれども、スーパーゼネコン社員一人当たりの売上げというのはどんなものか御存じですか。調べてみましたが、九九年版の会社四季報の数字から計算すると、大林組が社員一人当たり一億一千万、大成建設一億円、清水建設一億二千万、正にスーパーゼネコン並みの従業員一人当たりの売上げをこれらの企業は上げているわけです。
新興機材の社長をしている松井邦夫氏は、元中国郵政局建築部長、専務の岡本尚氏でしょうか、北海道郵政局建築部長、間違いございませんね。政府参考人(松井浩君) 郵政省に在職しておられた松井邦夫氏それから同じく在職しておられた岡本尚氏と、ちょっと読み方が正確かどうかあれですが、尚氏は郵政省のOBでございました。宮本岳志君 これ、すべて調べたんですよ。この方々は郵政省のOBです。
もう五年も前の九七年の九月に、我が党の緒方議員がこの新興機材という企業について、役員七名のうち四名が郵政省の天下りだという指摘をいたしました。そのときに、この新興機材という会社の異常な受注システム、つまり、郵政省関連の工事を受注したゼネコンがいったん形式上はこの新興機材に下請に出し、その新興機材から実際の仕事をする会社に孫請の形で工事が再発注されるシステムが作られているということを暴露いたしました。当時の自見郵政大臣は、初めて聞いた話なのでしばらく調査をさせていただきたいと答弁いたしました。しかし、今日いまだにOBが六人中二人と、そして従業員一人当たり一億円の売上げ、これ一体何を調査して、何を是正したのか。いかがですか。政府参考人(松井浩君) 当時のお話と今とのかかわりについて、ちょっと今日午前にいただいたばかりなものですから、手元にございません。宮本岳志君 これは何もしてこなかったということですか、長官。政府参考人(松井浩君) 手元に資料がございませんが、一般的な競争の在り方だとか、それから退職規制の問題、それからあるいは公益法人の株の所有等については整理をきちんとしてきていると思います。
先ほど、先生が御指摘になったものの中で、例えば弘済会だとか互助会だとか、株等は、既に株売却を終わっております。既に持っておりません。そういうことはございます。宮本岳志君 ほとんど手が打たれてきていないと私は思うんですよ。現にこういう形でOBの就職ということが続けられてきていると。全くやっぱり無反省に終わっているんですよ。これからやらないなんという話、これから天下りなど一切やらないと言うけれども、大体これから、これまでもやってきていないという話ですし、そしてこれまでの状況、何一つ変わっていないわけですからね。
資料4に東京ユー企画というのを付けました。この東京ユー企画というのは、従業員十八名で十一億円の売上げがあります。従業員一人当たり一億円近い売上げですけれども、営業品目はゆうパックによる通信販売業なんですよ。
ゆうパックというのはどんなものか。参議院の郵便局に行ってカタログを持ってきました。ここにゆうパックがどっと載っておりますが、(資料を示す)載っている商品、大体三千円から四千円の商品なんですよ。これを一億円売るというのはとてつもないことなんです。一人当たり約一万五千個売り上げた社員が十八名いるという話になります。社員が自分でこんなものを売って歩いて、とてもじゃないが毎日何百個も売れるわけがないんですね。実態は郵便局の窓口で取り扱っているわけで、それが全部この東京ユー企画というところの売上げになっているんです。
代表取締役の中川隆氏は、九四年七月七日付で世田谷郵便局長に就任しているれっきとした天下りだと思います。郵便局では企画小包の販売促進のノルマを職員に押し付けて自腹を切らせるということまで行われていると聞いております。
大臣、これ道路公団と全く同じ構図じゃないですか。いかがですか、大臣。国務大臣(片山虎之助君) 道路公団の方はよく私は存じ上げませんけれども、こっちの方も初めて聞いたような話が多いんですけれども、いずれにせよ、公社になるんですから、来年の四月は。もう一遍見直すべきものは見直して、改めるべき点があればそれは改めるという努力は、やっぱり公社に移行するんですから、大きな一区切りのときですから、そういうことはこれから中でよく相談してまいります。
<新たな「出資先」にも既に天下りが>
宮本岳志君 では、新たな出資先、あなた方が言っている新たな出資先について見てみたいと思うんです。
出資先について、総務大臣は答弁で、ダイレクトメール等に関する発送準備や発送業務を行う発送代行業と、こういう答弁をされておられます。現在、この発送代行の業務を行っているのは、これまた多くの場合、郵政OBが役員をしている企業が多いんです。
例えば、東京発送という会社があります。資料の5―1にこの会社の登記簿謄本を付けておきました。この東京発送という会社の取締役社長の高橋伸哉氏、取締役の山田欽次氏、同じく齋藤一郎氏、監査役の松田惠一郎氏は郵政省のOBではありませんか。政府参考人(松井浩君) 御指摘の方々が郵政省に在職をしておられたことがあるのは事実でございます。宮本岳志君 高橋伸哉氏、九三年、新宿局長。山田欽次氏、二〇〇〇年、渋谷局長。齋藤一郎氏、二〇〇〇年、武蔵野局長。松田惠一郎氏、八七年、東海電気通信監理局長。これもすべて私どもで調べました。役員六人中四人までが天下りです。
この会社のホームページには、北迫という社長の写真入りのコメントが出ております。この人は東京ユー企画の資料にある代表者と同一人物です。
そして、資料の5―2に付けておきましたけれども、そのホームページでは、広告郵便物の割引率最高四三%などと営業内容が書かれてあります。つまり、郵便の割引制度に精通したOBが大口利用者のために最も有利に郵便局を利用する方法を教えますという商売だと思うんですね。
このような業者の存在は郵便事業の本体にとっては収入の減少要因になるのではありませんか。政府参考人(松井浩君) 今、大量に区分して差し出されたような場合に割引があるのは事実でございますが、これは日本だけじゃありません、アメリカももっと、もう少ししっかりした制度がございますけれども、それは、物の考え方はいろいろ、大量に出されて、そして区分けして差し出していただければコストが安くなるという、ワークシェアリングの考え方でそういった制度が設けられております。したがいまして、そういう、それを活用されて、民間の創意と工夫という形でそういった付加価値を付けて仕事をされるというのは民間の事業活動なんだと思っております。
それが郵便事業にとってどうなのかという御指摘でございますが、御案内のように、私ども必死に、特に全体の八割が今法人の利用でございます。そういった方々で、郵便離れなされないように、引き続き郵便を御愛用いただいて、全国のユニバーサルサービスがきちっと全うしていけますように、一生懸命営業活動もやっております。そういう中で、何といいましょうか、他と区別されて排他的な特権を持つということではなくて、同じ平等の立場でお出しいただいて、それで仲介的な形で付加価値を付けてビジネスをしていただけるということについては、事業にとっていささかも損傷はないというふうには考えております。
もちろん、企業行動として行き過ぎがあったりいろんなことがありましたらそれは問題でありますけれども、きちっとした活動であれば、それはそれで郵便事業と両立するものだと考えております。宮本岳志君 幾ら利用が増加したって、それが原価割れだったら減収要因にしかならないと。
それで、平等だ、平等な、決して特別なサービスじゃないと言うけれども、これは三十万通とか百万通という利用者、こんなものは一般利用者にそんな百万通も郵便物出す人はいないわけですから、大口優遇の制度であることはもう間違いないんです。一般の最大半額、四八%引きという制度があるからこの四三%という商売ができるんですよ。あなた方の制度に最大四八%引きという、そういう制度があるから四三%引きという商売成り立つんですね。
半額というのはどう考えても原価割れだと私は言わざるを得ない。なぜなら、コストが安くなるとあなた方言うけれども、郵便事業のコストは個々のあて先への配達の部分が最も大きいんです、それは。たとえまとめて持ってこられようとバーコードを印刷してあろうと、最後は他の郵便物と同じように、コース立てをして一軒一軒ポストに入れて回らなくてはならないんですから、コスト計算からいえば、これは正にここが同じである以上、変わらないはずです。もしそれで半額にできるというんだったら、一般の郵便だって半額にできるはずだというふうに思いますよ。こういうところへ出資をして、発送代行業、こういうところをどんどん子会社で作ると。それはむしろ効率的経営どころか赤字要因を広げる結果になるということを私は指摘をしたいというふうに思います。もう答弁はいいですから。
<郵便事業が悪徳業者の食い物にされた>
宮本岳志君 そして、発送代行業といえば、私は、一昨年、私の地元近畿で起こった近畿管内のダイレクトメール汚職ということについて触れざるを得ません。
今日は法務省に来ていただいております。エンデバー事件と郵和事件で起訴された者の肩書と起訴事実の概要をごくかいつまんで御説明いただけますか。政府参考人(河村博君) 御説明申し上げます。
株式会社エンデバーコーポレーションに係ります贈収賄事件の公訴事実の概要などでございますが、大津中央郵便局郵便調整室上席課長代理として料金別納郵便物の引受検査などの職務に従事しておりました西村聰及び京都中央郵便局郵便部第一普通郵便課長として同様の職務に従事しておりました大西康規、この両名が広告郵便物の発送代行等を業といたします株式会社エンデバーコーポレーションの常務取締役からそれぞれ、同社が搬入いたしました料金別納郵便物の引受検査業務を行うに当たりまして、通数検査をせず差し出し通数の過少申告を是認してもらいたい旨の請託を受けまして、これを承諾して、西村におきまして現金など合計三百万円、大西におきまして現金など合計二百万円の供与を受けて賄賂を収受いたしまして、同社が搬入いたしました料金別納郵便物について通数検査することなく差し出し通数の過少申告を是認して郵便物を引き受けるなどの職務上不正の行為をなしたなどというものでございます。
また、株式会社郵和でございますけれども、これには二つございまして、一つは加重収賄事件、背任事件というもの、それからもう一つが管内郵便局に対します業務指導等に当たっておりました職員によります収賄事件というものがございます。
まず、加重収賄事件などの公訴事実の概要などでございますが、伏見郵便局郵便課主任などとして料金別納郵便物の引受検査などの職務に従事しておりました橋口文博が、広告郵便物の発送代行等を業といたします株式会社郵和の代表取締役らから、同郵便局に搬入いたします料金別納郵便物の引受検査業務を行うに当たりまして、通数検査をせずに差し出し通数の過少申告を是認するなどの職務上不正な行為をしたことに対する謝礼として供与されるものであることを知りながら、現金合計百七十万円の供与を受けたというもの。またこの関係では、関係被告人が共謀の上、適正に郵便料金を収納すべき任務に背きまして、国に対し約五千七百九十九万円の損害を加えたという背任の事実でも起訴されたと承知しております。
また、収賄事件でございますが、これは、近畿郵政局郵務部業務課業務係次席として管内郵便局に対し料金別納郵便物の引受検査等に関する業務指導などを行っておりました伊藤文訓が、郵和の代表取締役から、有利かつ便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼などの趣旨で供与されるものであることを知りながら、現金など合計千二百五十万円の供与を受けたというものでございます。宮本岳志君 つまり、業者が東京でかき集めた郵便物がトラックで大阪だとか京都、兵庫、滋賀など五十を超える郵便局へと不当に安い料金で運び込まれた、それが郵便事業の配達ルートで逆に東京までもう一遍送られて、そして郵便局によって一件一件配達されると。その通数をごまかすことによって、この三堀という容疑者は五年間で何と十億円を超える不当な利益を得たと報道されております。こんなものを五年間も放置しておいて事業が赤字にならない方が不思議だと私は言わざるを得ません。
実は、事件発覚に先立つ九八年秋に、郵政監察はこの事件で検挙された大西被告を含む十数人を対象とする捜査を行っております。何を調べておりましたか。政府参考人(松井浩君) この事件は正に違法な犯罪に値するものでございます。適正な営業活動では断じてありません。
先生御指摘のこの捜査でございますが、平成十年の七月ごろに郵政監察に情報が入ってまいりました。それは、姫路方面の金券ショップに大量に郵便切手を持ち込んで換金している者がいると、そういったことがあったわけでございます。これを基にしまして兵庫の郵政監察室が捜査を行いまして、神戸中央郵便局主任を三百万円の郵便料金横領容疑で検挙し、懲戒免職にしております。
そこで、この当時の近畿郵政局に勤務しておりました、先ほど話のありました大西課長補佐等関係者に対しましても横領事件との関連で調査をいたしましたけれども、不適正経理の問題では分かったんですが、立件に至るような材料がなかったということで減給等の処分を行っております。それが当時の調査でございます。
<不正を知りながら放置していた当局>
宮本岳志君 郵政監察が乗り出して一部は検挙までしておりながら、結局は警察が動くまで不正の全容を明らかにすることはできなかったと、この責任は重大だと思うんですけれども。
実は、今お認めになったように、これは事件の発覚以前から本省にこの不正については伝わっていたわけです。
九九年七月八日の「通販新聞」によると、五月二十一日に行われた日本メーリングサービス協会の会員協議会の席上、ある事業者から、一部の事業者が郵便料金をごまかしている、こういう発言があったと。郵務局輸送企画課の課長補佐が本省へ報告するとその場で発言をしております。この「通販新聞」は、その後、本省の濱田郵務局長に本省の見解を求めたがコメントは拒否されたと報じられております。
エンデバーコーポレーションや郵和というこの悪質な事業者に対してなぜもっと早く断固とした措置が取れなかったのか、これはいかがですか。政府参考人(松井浩君) 先ほど申しましたように、九八年の秋、平成十年でございますが、その当時での捜査では立件に至る材料はなかったと、刑事事件でございますので、そういうことでございます。しかしながら、不適正経理ということでは当然その問題の大西被告についても処分されております。
ただ、その後、先ほど法務省の方からお話がございましたけれども、京都中央郵便局に勤務していた当時の問題について京都府警に収賄容疑で逮捕されておるわけでございます。それは収賄容疑でございます。贈収賄事件でありまして、事案が違います。それについて何か分かればよかったじゃないかということは御指摘のとおりだと思います。もっと能力的に、あるいはそういった材料があれば端緒が発見できたかもしれないという点ではそうでございます。それは不幸にして九八年の捜査では立件に至るまでの材料はなかったということでございますが、京都府警の方では贈収賄事件として証拠を得られて、そして起訴されたということで確定判決になっております。それにつきましてはそういうことでございます。
そういう意味で、監察のその捜査の能力について、この点については遺憾に思っているところはございます。宮本岳志君 いや、そんな話ではないと私は思うんですね。
私の手元に、株式会社アビアに係る公文書偽造同行使及び郵便料金減脱容疑事件についての、本省に対し局付監察官、兵庫監察室の捜査状況を説明し、今後の捜査等打合せ結果という九八年九月十八日付けの近畿郵政監察局の内部文書があります。
ここには、こう書いてあります。近畿郵政監察局側の発言として、エンデバーコーポレーション梅谷信行は、郵便局の別納郵便の取扱い実態を知り過ぎており、同人を取調べすることにより、郵便局のずさんな取扱いがマスコミによりたたかれるおそれがある。一昨年の和歌山中央局員の贈収賄事件の捜査では警察が郵政局を捜査して大きな問題となった。このことを十分念頭に置いておかなければ監察側が一方的に悪く問われかねない。これに対して本省は、郵務局に情報提供し、国会議員への押さえ等しておく必要があるので早急にやりたいと。それに対して、さらに監察局側は、公文書偽造、同行使罪について、これを立件しても郵政省にとって何のメリットもないので警告にとどめたいと、こういうやり取りがやられたと。
先ほどの通販新聞の連載を見ますと、ダイレクトメールを通数の過少申告で郵便局へ持ち込む業者の存在、その不正の背景として、郵便局の幹部が他の郵便局とのノルマ達成の競争に駆り立てられていること、それから発送代行の業者が現職の郵便局幹部と人脈を作って不正のために活用している、これらが背景にあるんだと、こういうふうに論じられているんですね。
これは、正にこういう癒着が、そしてまたノルマということがこういった問題を見過ごす結果になっているんじゃないですか、いかがですか。政府参考人(松井浩君) この一連の問題につきましては、先ほど申し上げました最初の近畿郵政監察局による捜査、それから京都府警による贈収賄事件としての捜査、それからその後近畿郵政監察局が徹底的に調査をいたしまして、また横領を一つ見付けたことでございます。
それから、それに関連していろいろ問題があるということで、手続でいろいろ不備があると。つまり、業者の側の動きもあるんですけれども、ぎりぎり時間の締切り、トラックが出る締切りぎりぎりにあえて持ち込んで、それで早く早くというふうにせき立てたり、いろんな動きがあるんですけれども、そういう中できちっとした監査を行いにくいような問題、それから先ほどの贈収賄事件になりますと、本当は全然性格の違う話なんですけれども、それにつきましては、警察と監察との捜査協定の中で、贈収賄事件に関しては一義的に警察がやる、一般警察がやる、郵政監察はやらぬという協定になっております。そういうことも一つあったのでございますけれども、それにしてもしっかりと、何といいましょう発覚の端緒をつかむべく何かできたんじゃないかという御指摘は御指摘で受け止めなきゃいかぬと思っております。
それから、手続を直していかなきゃいかぬということと、それからそういう何といいましょうか、きちっとその物数が幾らあったかということをきちっと確認するということがいかに営業収入の確保という観点から非常に重要であるということの徹底はもちろん必要でございます。
それから、先ほど先生御指摘のような、営業活動一般の在り方として、今まで単純な収入だけの目標ということでみんな頑張れ頑張れではいろいろ問題もあるんじゃないかというふうなこともあります。それで今年からは、営業収入の目標の設定そのものは必要だと思っておりますが、切手とはがきを売るようなそういう収入目標と、それから先ほど大口で差し出されるような別納、後納、こういったものと収入目標を分けるようにいたしました、今年度から。それから、公社になりましたら完全な発生主義になりますから、収益の理解そのものが完全な企業会計制度の下で変わると思っております。
いずれにいたしましても、いろんなものについて反省すべき点も多々ございまして、きちっとした事業基盤の確保に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
宮本岳志君 効率的経営と言うけれども、事業対象業務に挙げている発送代行業を見てもこういった事件もこれまで起こってきているわけですし、正に子会社を一杯作って天下り、子会社は黒字で本体は赤字と、先ほど来いろんな方から指摘されている道路公団とうり二つの構図になるのではないかという疑念は私は払拭できないと思います。
<日本共産党への中傷は看過できない>
宮本岳志君 最後に、私はどうしてもはっきりさせておかなければならない問題がございます。
実は、総理は本会議の私の質問への答弁で、私が高祖派の選挙違反事件について総理に、なぜやめさせなかったのかと、こう問うたのに対して、これを労働組合と野党との関係に混同する答弁でごまかしをいたしました。衆議院では、「よくはつまびらかには知りませんけれども。」などと言いながら、郵産労という名前まで出して私どもに反論をしております。はっきり申し上げますけれども、日本共産党と郵政産業労働組合との間には、国会の場で取り上げられて困るようなことは何一つございません。
総務省に確認したいんですが、あの昨年の高祖事件で法律違反とされたのは公務員の職権濫用だったと思うんです。これは個々の局長が選挙運動をしたということが問題になったのではなくて、全特や近畿郵政局の幹部がその立場を使って特定局長らに選挙運動をするように強制したと、これが問題になったということだと思うんですが、これは間違いないですね。政府参考人(松井浩君) 御指摘の事件でございますが、一月十七日に前近畿郵政局長等に対しまして公職選挙法違反により、これは公務員の地位利用という形でございますが、禁錮刑の判決が言い渡されたところでございます。誠に遺憾でございまして、厳粛に受け止め、深く反省しているところでございますが、その判決の中では、前近畿郵政局長等が管内の特定郵便局長が公務として出席を義務付けられている特推連の会議の場を利用して選挙運動を行ったこと等をもって近畿郵政局の組織ぐるみとの指摘がなされたことについては、また謙虚にかつ厳粛に受け止めているところでございます。宮本岳志君 私は繰り返し特定局長のぐるみ選挙の問題を取り上げてまいりましたが、特定局長個人が自民党を支持してはならないなどとただの一度も申し上げたことはないんです。特定局長の一人一人が自民党を支持しようが民主党を支持しようが、それは自由なんです。むしろ、その自由を自民党と郵政官僚が踏みにじっていることがけしからぬということを言ってまいりました。つまり、公務上の、公務の業務上の組織が特定の政党を応援すれば公務員の職権濫用に当たります。そして、もちろん労働組合であっても特定政党や特定候補者の選挙運動をやると機関決定をして進めるならば、それは高祖事件と全く同じ構図になるでしょう。
今日はここに郵政のある大きな組合のホームページの写しを持っております。だれということは言いませんけれども、ある参議院議員の写真が載っておりまして、こう述べております。今回の選挙では○○組合の皆さんの一体となった戦いで勝利することができましたと。実際この組合は年間の運動方針自体にこの特定の議員の選挙に取り組むということを公然と掲げておられます。
総務大臣にお伺いしたいんですが、総理が、公務員が労働組合を作って選挙運動することは違法だと、こういうふうに答弁されたのは、この組合のやっているこういうことではありませんか。国務大臣(片山虎之助君) 総理は一般論を言ったんですね。国家公務員というのは全体の奉仕者で、政治的に中立で、公職選挙法その他関係の法律をしっかり守るべきだと。そこのところは少しそうでもないような状況があるんではないかということを一般論として言われたわけでございまして、特定の組合の特定の候補の云々ということではございませんので、そこは御理解を賜りたい。宮本岳志君 正にこういうことをやっておれば総理の反論に言い返せないという現状もあるでしょうが、私ども日本共産党、私にそのような中傷をしてくるというのは断じて許されないと言わざるを得ません。
我が党は一貫して労働組合が特定政党の支持を機関決定することに反対をしてまいりました。総理が口にした郵政産業労働組合と我が党は協力、協同の関係を持っておりますが、ただの一度もこの組合に日本共産党の支持の決定を求めたこともありませんし、また現にこの組合は我が党始めいかなる政党も支持決定したこともございません。これだけは明確にしておきたいと思います。
我が党は、理事会の場で何度となく小泉総理の本委員会への出席と視覚障害者団体からの意見聴取を求めてまいりました。しかし、その我が党の要求には一切耳をかさず、今朝の理事会では我が党の反対を押し切って、本日質疑終了後の議了、採決を強引に決められました。このような理事会運営を我が党は断じて容認できません。
本郵政関連四法案は、内容からいっても小泉流の郵政民営化、つまり大銀行が郵政事業を食い物にする新しい利権に道を開くとともに、いわゆる族議員にとってはファミリー企業や天下りなど古い利権をも温存する最悪の法案であるとともに、その成立の過程、つまり形式から見ても徹頭徹尾国民に背を向けたものであったということを厳しく指摘して、私の質問を終わります。