155 – 参 – 総務委員会 – 3号 平成14年10月31日
平成十四年十月三十一日(木曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 力君
理 事
景山俊太郎君
世耕 弘成君
山内 俊夫君
伊藤 基隆君
高橋 千秋君
委 員
泉 信也君
加藤 紀文君
岸 宏一君
久世 公堯君
谷川 秀善君
南野知惠子君
森元 恒雄君
輿石 東君
高嶋 良充君
辻 泰弘君
内藤 正光君
木庭健太郎君
山下 栄一君
八田ひろ子君
宮本 岳志君
渡辺 秀央君
又市 征治君
国務大臣
総務大臣 片山虎之助君
副大臣
総務副大臣 若松 謙維君
総務副大臣 加藤 紀文君
大臣政務官
総務大臣政務官 岩永 峯一君
総務大臣政務官 吉田六左エ門君
総務大臣政務官 岸 宏一君
政府特別補佐人
人事院総裁 中島 忠能君
事務局側
常任委員会専門
員 藤澤 進君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官
兼行政改革推進
事務局公務員制
度等改革推進室
長 春田 謙君
警察庁長官官房
審議官 堀内 文隆君
総務省行政管理
局長 松田 隆利君
総務省自治行政
局長 芳山 達郎君
総務省自治税務
局長 瀧野 欣彌君
総務省総合通信
基盤局長 鍋倉 真一君
総務省統計局長 大戸 隆信君
総務省政策統括
官 稲村 公望君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消
防、情報通信及び郵政事業等に関する調査
(地方行財政改革に関する件)
(行政機関における個人情報保護に関する件)
(住民基本台帳ネットワークシステムに関する
件)
(独立行政法人における職員の給与水準に関す
る件)
(公務員制度改革に関する件)
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<「住民の利便のため」と言いながら…>
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
今日は住基ネットについて質問いたします。
まず、総務大臣に端的にお聞きしたいんですが、住基ネットワークシステムを導入した目的ですけれども、この目的は、住民の利便のために導入したと。これでよろしいですね、大臣。
国務大臣(片山虎之助君) 八割ぐらいは住民の利便のためでございます。残りは行政効率化のためでございます。
宮本岳志君 本当にそうなのかということを、私、まずお伺いしたいんですよ。
それで、地方自治体の現場でも、住民にとってはそれほどの利便にならないのではないか、何のためにこれほどの手間と金を掛けるのかという疑問さえ私は聞いております。住民票の異動は年に何回も必要になるわけでは普通ないわけですし、遠隔地で住民票を取る、こういう場合も結局一回はどこかの窓口には出向かなければならないことに変わりはありません。そういうことをやるためにこれだけ巨大なシステムを、つまりお金と時間を掛けてやっているのかとちょっと疑問に思うんですが、いかがですか。
国務大臣(片山虎之助君) 今、いろんな給付をもらう、今の住基法でやっているのは恩給や共済年金ですけれども、これからその他の年金も全部やろうと、こういうことです。それから、いろんな資格が取れるものも、今は建築士か何かでございますけれども、例えば、今後はパスポートその他いろんな事務が拡大していくと。それは、現在は全部自分で申請を出すのに住民票を取って添付をしてお金を払って、それで申請をしているんですよ。それから、年に一遍、共済や何かもらわれている方は御承知のように届出をさせられるんで。強制的にということもないけれども、共済年金や何か。
ところが、それが今後は全部、本人がそういう手続を取らなくても、それぞれの関係の行政機関が住基ネットに照会して本人確認をしてもらえる。それから、全国どこの市町村に行っても自分の住民票が取れるということは今までと大分違いますし、転入転出が一回になるということ。それから、来年から、来年の八月からですけれども、住民基本台帳カードを出せればですよ、出すように法的にできるわけですから、こうなりますとぐわっと利用範囲が広がるわけですよね。それからもう一つ、今、参議院の方で継続審査にお願いしております中に、公的な個人認証の仕組みですね。これがなければこれから例えばいろんな電子商取引だとか電子納税だとかできないわけで、もう御承知のとおりだと思いますけれども、この基礎は住基ネットなんですね、これが常時チェックしているということで。そういう意味では、これからのIT社会に住基ネットは私は不可欠だと思っている。
だから、今はなるほどこのくらいの利用ですけれども、だんだんこの八月から御承知のように広がっていきますし、個人の公的認証システム法が通りますと、その関係のあれがまたそれに付け加わりますから、そういう意味では大変大きな利便を国民の皆さんに与えるものだと。同時に、行政側もそれでいろんなことが助かるという意味では行政の方の利便にもつながると、こういうふうに思っております。
宮本岳志君 どんどん広げるというのが、私、少し引っ掛かるんですよ。つまり、住基台帳、この法律の審議の過程では九十三事務限定だということで、そう無制限に広げないという話から始まったわけですけれども、今はとにかく、答弁などを聞いておりますと、電子納税から電子投票に至るまで大臣の口から出てきていると。
それで、全国統一番号での国民の情報管理というのは、どこでも、他の国もやっているという説明なんですけれども、同じようなIDカードの導入計画は、イギリスやオーストラリア、ニュージーランド、フィリピンで挫折したということも報道されております。
一九八三年にドイツ憲法裁判所が示した判決では、行政機関が自らの保有する個人情報と国勢調査の結果の照合を無制限に行うこと自体が自己情報コントロール権に反して違憲だと、明確な違憲判決が出ております。
<自治体のネットだが「決めるのは国」>
宮本岳志君 日本でもこのシステムに対する国民の不安が払拭されていないということは、横浜で八十四万人が参加拒否したことでも明瞭だと思います。これだけの数の人が自分から積極的、能動的に拒否行動を起こしたと。これは重く受け止めるべきだと思うんですけれども。
大臣は横浜市の中田市長に対して、まず不参加の意思表示をしていない市民から先に参加手続をすることを提案したと、こう報じられております。そうなりますと、既に参加している自治体の住民の中にも嫌だという住民はいるわけですから、この方々にも不参加の権利を認めるべきではありませんか、大臣。
国務大臣(片山虎之助君) 今、委員がもったいないとおっしゃるから、この住基ネット。もっと、これだけの仕事しかしないんではもったいないとおっしゃるから、いや、それは国会で法律で認めてもらったものを広げていきますと、こういうことでございまして、それは完全な個人情報保護やセキュリティーの上に広げていくので、しかもそれは、決めるのは国会が法律で決めてもらうんです。法律で決める仕事についてだけ広げていくと、こういうことでありますから、是非そこはそういうふうにお考えいただきたいと思いますし、よその国と違うのは、これは国のネットワークじゃないんですよ。何度も言いますけれども、全地方団体、全都道府県、市町村のネットワークでございまして、しかも、やることは極めて法律で限定的にやるし、我々としては万全の、制度的にも技術面でも運用面でも個人情報保護の仕組みを取っておりますので、だから是非国会の御了承を得ながら仕事を広げていきたいと、こういうふうに思っているわけであります。
そこで、横浜市なんですが、横浜市は中田市長がああいうことを、公約ということもないけれども言われて御当選されて、いろいろ御希望を聞いたようですよ。それで、私のところに来て、二百七十何万人については接続させてほしいと。神奈川県は、法律はそんなことを想定していないから接続はできないという話だったと。
そこで、市長が来られたので、市長の立場も分からないでもないんで、選択制や希望制は一切駄目だ、それは法律が認めていない、想定していない、だから全員参加ということなら考える、全員参加ですと。部分的に分けて、まず二百七十何万人、残りの八十万人か何かについてはできるだけ早く接続したいので、取りあえず二百七十何万人を接続させてもらえないかと言うから、二百七十何万人に接続というと二、三か月掛かるんですよ、これはいろんな。だから、それじゃ、そういうまず第一として、これだけ接続させてほしいということについて、技術面を含めて対応できるかどうか事務的に検討させましょうと。そして、残りについてはできるだけ早く接続するように、接続を希望するようにまとめてくれと言ったら、それは分かりました、我々はもう全員参加です、選択でも希望参加でもありませんと、こういうことですから、それじゃ今の法律の制度が想定しているぎりぎりの範囲でどこまでいけるか事務的に検討してほしいと事務方に命じたわけでありまして、選択を一切認めたわけではありませんし、希望制を認めたわけではありません。あくまでも全員参加なんですよ。
住民基本台帳というのは、国として国民の居住関係を公証する制度なんですよ、住民基本台帳は。これは希望であろうがなかろうが全部公証するという制度、国として。その上に住基ネットの仕組みというのはあるんですから。参加しない人がおるとか、それを認めるなんということは一切考えておりません。
宮本岳志君 いや、国のネットワークじゃなくて地方のものだと、そういうふうに言いながらそういう論が出てくるから私は違和感を感じるんですね。
つまり、住民サービスのためだと言うけれども、その八十四万人の横浜市の人たちは、私たちにとっての最大のサービスはそんな不気味なネットワークに入れないでほしいんだと、こういう声を上げておられるんですよ。だから、その方々に対する最大のサービスは、私は、そのネットワークに入れないという、その方々の権利を保障することだと。国の都合にとっては、全員がこれはつながらなければ意味がない、だからその選択制は認めないと、こういう話に私はなっているんだということを指摘せざるを得ないんですね。
<中央省庁の利用のために情報を集中>
宮本岳志君 そこで、私、ちょっとこのネットワークの原理的なことをお伺いしたい。
住民票の異動、それから遠隔地の住民票の交付、これは直接、市町村同士のデータのやり取りで行われるんです。だから、大臣おっしゃったように、地方同士のデータのやり取りという趣旨ならばこれはできるんです。これは正に、四情報に変更があったという、指定情報処理機関、つまり国の指定情報処理機関へのデータ送信とは、この市町村同士のデータのやり取りとは別途行われる、間違いないですね。これは総務省。
政府参考人(芳山達郎君) ただいまの御指摘ありました住民票の写しの広域交付ないしは転入転出の特例の場合は市町村から市町村へ情報が流れるわけでございまして、この場合は、都道府県ないしは指定情報処理機関のコンピューターに保存されることもありませんし通過することもありません。ただ、その事務を行う場合に当たって、市町村間の情報通信の前提としまして、申請者の申請内容の誤りがないかと、また情報通信を依頼する相手方の市町村を確定するという必要がありますから、指定情報処理機関及び、又は都道府県知事に対して本人確認情報を行うということが前提として必要になってまいります。
そういうことから、市町村と指定情報処理機関ないしは都道府県との連携接続というのは必要になってくるという具合に思っています。
宮本岳志君 いや、後半の話は付け加えただけであって、つまり少なくとも住民票を動かす、あるいは遠隔地で住民票の写しを取るという場合には、その地方自治情報センター、指定情報処理機関に四情報を送らなくても市町村同士の接続でできると、これはもう明瞭ですね。
政府参考人(芳山達郎君) ただいま申し上げましたけれども、情報が流れるのは市町村間でありまして、指定情報処理機関にも都道府県にも行きません、今言われたとおり。
ただ、その場合の確認をするに当たって、当該市町村に関係があるか、ないしは申請が正しいかというのは、アクセスを、本人確認情報を指定情報処理機関、ないしは同一都道府県の場合は都道府県サーバーにアクセスをします。
宮本岳志君 住民サービスが便利になるという点では、別に中央に対して四情報を全部全国から集めるという必要はないというのは原理的に明瞭だというふうに思うんですね。
それで、なぜこれに対してそれほど不安が出るのかと、私、そのことに次に入りたいと思うんです。これは本当に安全なのかということなんですよ。
総務省の住基台帳ネットワークシステム調査委員会委員の安田浩東大教授が七月の十四日付け朝日にこう書いているんです。「住基ネットが技術的には現時点で得られる最高のシステムであることは確かであり、それぞれのネット管理者の運用に誤りさえなければ、国民の個人情報がどんどん流出するというが如き、今日懸念されている問題は全く発生しない。」、皆さん方にとっては心強い発言ですが。しかし、この賛成派のこの方でも、管理者の運用の誤りさえなければと付け加えている。これは注目に値することだと私は思います。
ネットワークの安全性というのは、実は人の問題が必ず付きまとうんです。人が誤りを犯したり、もし悪意を持った人が入り込めば、正に安田教授の言うとおり、個人の、住民の、国民の個人情報がどんどん流出する、こういう事態がたちまち現実のものとなるわけですね。
<常時5万人の自治体職員がアクセス>
宮本岳志君 そこでお伺いしますけれども、それぞれのネット管理者に相当する自治体の操作者識別カード、これの保持者の総数は全国で今何人になっておりますか。
政府参考人(芳山達郎君) 現在の各自治体の操作者識別カードの発行枚数でございますけれども、業務管理者用並びに業務窓口用など合わせて約五万枚でございます。
宮本岳志君 大臣ね、五万枚、五万人、これだけの方々が一人の間違いもなくデータを適正に取り扱えると、これ大臣、保証できますか。
国務大臣(片山虎之助君) とにかく、不気味だとか漏れたら困るとか、漏らしちゃいけませんよ、漏らしちゃいけないんだけれども、この四情報は公開情報なんですよ。仮に漏れた場合ですよ、それを民間が使うことは一切認めていないんですよ。やったら罰則なんですよ。大変おどろおどろしいみたいなことを情緒的に言うのはやめてもらわなきゃいけません。四情報は全部公開なんですよ。取ろうと思えば全部取れるんです。しかし、それが漏れたって、どう使うんですか、民間は。使い方は一切駄目なんですよ。全部アウトなんですよ。それを漏らした職員には罰則を掛けるんですよ。
この間も衆議院の予算委員会で質問がどなたかありましたけれども、やみ金融の何とかをやっているといって。だから、出せと言ったの、事例を。何にも使えないんですから。だから、それをオーバーにオーバーに言うのはやめてもらわぬと困りますよ。
宮本岳志君 いや、そう言うと思っていたんですよ。そう言うと思っていたんです。
それで、じゃそれほどきちっとしているのかと、私、事実指摘しましょうよ。例えば、八月の五日にシステムが本稼働したその直後に、私の地元、守口市で住民票コードが誤って他人に郵送されるというミスがありました。それはありました。また、一部の自治体では住基ネットの端末が同時にインターネットにも接続されていたということがありましたよね、これ。あなた方は是正を指導したようですけれども。
この住基ネットの端末がインターネットに接続されておりますと、これはもう御承知のように、インターネットから端末に侵入したハッカーが住基のネットに何らかの不正な工作を行う懸念がある、またウイルスの侵入経路となる可能性もあるんです。このような重大なことが現に行われていたけれども、大臣はその後テレビで神様じゃないと、こう言っているのを私見ましたよ、人間がやっているんですからと。
<3ヶ月も放置されていたウイルス対策>
宮本岳志君 ところが、これは末端の自治体だけの話かといいますと、今月十一日の毎日新聞で、住基ネットのウイルス対策ソフトが丸三か月間更新されていないということが報道されておりました。これ、事実ですね。
政府参考人(芳山達郎君) 当初、指定情報処理機関は原則二週間に一度ウイルス対策の更新を行うということでしたけれども、緊急の場合には即時対応するということでありましたけれども、ウイルス対策のソフトの更新、十月の中旬に実施しました。御指摘がありましたように三か月の間隔があったわけですが、この間、我々もヒアリングしましたけれども、住基ネットそのものが閉じたネットワークである、脅威を与えるものでないと判断してそうしたということであります。
今後、我々としても、原則として二週間に一度のウイルス対策のソフトの更新を行うという方向でセンターも考えておりますし、そういうことを指導してまいりますが、総務省としては、住基ネットのこのウイルス対策ソフトの更新の在り方と、どういう具合にすればいいのかというのについて、大臣の下に設置されました住民基本台帳ネットワーク調査委員会などで十分お伺いしながら、必要に応じ指定情報処理機関に指導をしてまいりたいという具合に思っています。
国務大臣(片山虎之助君) ちょっと補足しますと、一億二千六百万人を相手にこのシステムを動かしているんですよね。だから、私は神様じゃないから間違いもあると言ったのは、例えば機械の故障だとか、やっている職員が操作をミスするとか、そういうことが何件かありますよと言っているんですよ。ビールスの不正な侵入なんというのは一件もありませんよ、今のところ。それはやったって何の得もないから、そういうことなんですよ。しかし、あればこれは断固撃退するような仕組みを取っておりますし、今言いましたように、システムも三か月、あれは大丈夫だと思ってそうやったと思いますけれども、これも専門家の先生方の意見を聞いてそれは適切な対応をすると、こう言っているんですから。
とにかく、ちょっとオーバーにオーバーにおどろおどろしいものだというように言っていただくのは大変これシステムの誤解を与えるんですね。どういう具体的な不気味なところがあるのか、どういう問題点かを言ってくださいよ。
宮本岳志君 だから、閉じた体系だとあなた方はおっしゃるけれども、現にインターネットに接続されていたということが出発当初あったわけですよ。また、末端の五万人の操作のところで誤ってインターネットとつながっちゃえば、閉じたものでもなくなるじゃないですか。ウイルスの侵入の可能性だって出てくるじゃないですか。それで私は言いたい。じゃ、それほどきちっとしたものになっているのかということを今日は一つ一つこうしてお話ししているわけじゃないですか。
あなた方が出した事務連絡、これは地方自治情報センターのものですけれども、それも今日資料にお付けをいたしました。おっしゃるとおり二週間に一度ということでしたけれども、これは三か月間更新されなかったと、この毎日新聞の記事では専門家が常識がないという指摘をしておりました。
同時に、それではこの住基台帳ネットワークに使われている回線網自体のセキュリティーはどうかということも私、改めて問題提起したいと思うんです。これも事実を確認しますが、この専用回線網、つまり閉じた回線網だから大丈夫だという専用回線網と呼ばれるものはIP―VPNという回線が使われておりますね。間違いないですね。
政府参考人(芳山達郎君) 住基のネットワークの専用回線につきましては、当時、指定情報処理機関である情報センターで学識経験者ないしは地方団体の皆様も入れて技術評価委員会というのを作りました。その中で検討を進めた結果、専用回線の要件を満たすIP―VPNを採用したという具合になっております。
宮本岳志君 いや、満たすかどうかは聞いてないんです、使っているかどうかを聞いたんですから。使っているんですよね。
それで、満たすかどうかという議論はともかくとして、今日はこれを、これも地方自治情報センターからいただいた資料を付けました。資料の・を見ていただきたいと思うんです。
専用回線という言葉から大体イメージするのは、この資料の・の下側にあるAというところからXというところへ一本の線を引く、Yとは全く別の線になっていると。こうなれば専用に引いた線だと、こういうふうに恐らく理解をされるんでしょうけれども、実はこのIP―VPNという回線はどうなっているかといいますと、資料・に付けたような回線になっているんですよ。つまり、多重化装置の両側にはAもBもCも、またXもYもZもつながっていて、例えばAをある自治体としましょう、Xを地方自治情報センターとしたら、AとXとの間は確かに一本の線で結ばれている形になるんですけれども、同時に同じ回線の上をBもCもYもZもみんなこれ使っているわけですよ。もちろん多重化装置によって混同されないようにはなっているんですけれども、しかし全く全然別の線を新たに引いているというような話では到底ないんですよ。
それで、このBやYやCやZはインターネットの世界に対して開かれております。それで、IP―VPNのそもそもIPというのはインターネットプロトコルということですから、これはインターネットのプロトコルを使っているわけです。それで、VPNというのはバーチャル・プライベート・ネットワークと。バーチャル、つまり仮想的に専用線のようにこれは働くということを言っているだけなんですね。
だから、専用回線と、専用回線だから大丈夫だということを繰り返されるわけですけれども、実際はこのような回線を使っていると、これは大臣、お認めになりますね。
政府参考人(芳山達郎君) この資料を含め、今御質疑があった点は平成十二年の八月に国会でも御論議されまして、この資料をそのまま提出をしております。御質疑があったIP―VPNにつきましては、デジタル専用回線、多重化装置、また住基そのものの専用の交換装置ということで構成をされております。そして、各拠点と交換装置は常に固定的に接続をされておるということで、論理的に他回線と完全に隔離された専用回線であるというようなことでございまして、この点、先ほど申し上げました技術評価委員会でもっても専用回線として条件を満たすということでセキュリティー上も全く問題ないということであります。
宮本岳志君 つまり、この装置は多重化装置と言われる装置がかぎなんですよ。この多重化装置の管理は電気通信事業者がやっているんです。電気通信事業者のところで信頼がもし裏切られれば、この中身は説明どおりにいかないということになるんですよ。
<NTTグループでまたも顧客情報流出>
宮本岳志君 今日はもう時間がありませんが、警察庁に来ていただいているので、警察庁にこれは是非聞いておきたいんですが、この九月に、NTTコムと同じNTTグループでドコモの関連会社の社員が顧客情報を漏えいして逮捕されたという事件が報道されておりますが、その容疑事実の要旨を述べていただけますか。
政府参考人(堀内文隆君) 本件につきましては、大手電気通信会社の料金請求を請け負う会社の社員らが、他人の携帯電話の通話記録を入手するため、その大手電気通信会社の端末を不正に操作して、発信の日時、相手方の番号等を出力、印字し、もって通信の秘密を侵すとともに、その印字した文書を窃取した事件であります。
宮本岳志君 これは、NTTドコモの職員がこの個人情報を持ち出したという事件が現に起こっているわけですね。
それで、先ほども私、安田教授の文書も紹介しましたけれども、セキュリティー問題のかぎは人の問題と言っても過言でないわけです。少なくともこういう問題一つ一つ、つまりそれぞれのところでセキュリティーがどうなっているかということについての不安がまだ依然として住民の間に残っているからこそ、横浜市で八十四万人の方が不安だという声を上げているわけですね。
もう終わりますけれども、私のところへ、今日いただいた中野区長のコメント、九月十一日付けを見ても、やはり接続を切断すると、そして問題点があると判断したと、こういうふうに新たに言い始める地方公共団体も出ているわけです。そういうやっぱり住民の声というのは、正に私の情報はそういうネットにつないでほしくないと。この住民の要望にこたえるということが住民サービスであって、やっぱりそれを国の都合で押し付けるということは直ちにやめるべきだということを私指摘して、私の今日の質問を終わりたいと思います。