156 – 参 – 個人情報の保護に関する特別委員会 – 3号 平成15年05月13日
平成十五年五月十三日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
魚住裕一郎君 山下 栄一君
五月十三日
辞任 補欠選任
泉 信也君 入澤 肇君
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出席者は左のとおり。
委員長 尾辻 秀久君
理 事
常田 享詳君
林 芳正君
若林 正俊君
岡崎トミ子君
高橋 千秋君
荒木 清寛君
宮本 岳志君
委 員
有馬 朗人君
入澤 肇君
狩野 安君
柏村 武昭君
小林 温君
佐々木知子君
世耕 弘成君
田村 公平君
西銘順志郎君
野上浩太郎君
保坂 三蔵君
森元 恒雄君
山下 英利君
大塚 耕平君
川橋 幸子君
高嶋 良充君
辻 泰弘君
内藤 正光君
藤原 正司君
松井 孝治君
山下 栄一君
山本 保君
八田ひろ子君
吉川 春子君
森 ゆうこ君
福島 瑞穂君
国務大臣
総務大臣 片山虎之助君
国務大臣 細田 博之君
副大臣
内閣府副大臣 伊藤 達也君
総務副大臣 若松 謙維君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 大村 秀章君
事務局側
常任委員会専門
員 鴫谷 潤君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 藤井 昭夫君
内閣府情報公開
審査会事務局長 松村 雅生君
警察庁刑事局長 栗本 英雄君
警察庁警備局長 奥村萬壽雄君
総務省行政管理
局長 松田 隆利君
総務省自治行政
局長 畠中誠二郎君
総務省総合通信
基盤局長 有冨寛一郎君
総務省政策統括
官 大野 慎一君
法務大臣官房審
議官 河村 博君
文部科学省初等
中等教育局長 矢野 重典君
厚生労働大臣官
房統計情報部長 渡辺 泰男君
厚生労働省医政
局長 篠崎 英夫君
国土交通省自動
車交通局長 丸山 博君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○個人情報の保護に関する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○行政機関の保有する個人情報の保護に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣
提出、衆議院送付)
○行政機関の保有する個人情報の保護に関する法
律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
従来より、我が党は、国民のプライバシー権を真に確立するための法整備、これは急務だという立場であります。私自身も、三年前、二〇〇〇年秋のIT基本法審議の際に、世界最高水準の高度情報化社会などという言葉だけではなくて、まず個人情報保護と消費者保護の徹底こそが必要ではないかと、こういう指摘をさせていただきました。その後、政府が出してきた個人情報保護を冠したこの一連の法案は、国民各層から、これはちょっと違うんじゃないか、言論の自由、報道の自由に反するのではないか、メディア規制ではないかという声が上がり、ついに前国会で審議未了、廃案となったわけです。そして、改めてあなた方が修正したということで出されてきた法案がいよいよ衆議院から送付され、今日から委員会、特別委員会での審議となっています。
私、まず改めて、三年前に私が指摘した内容に照らしてこの法案がどういう中身であるかということを吟味してみたいと思うんですね。
<法案では不十分な電気通信分野の規制>
宮本岳志君 私は、二〇〇〇年十一月二十八日、IT基本法の質疑で、個人情報保護の制度が緊急に求められているということを示す典型的な事例を二つ挙げさせていただきました。電気通信事業者が保有している顧客情報が流出した事件、もう一つは政府が保有している医療情報が危険にさらされた事件、この二つのケースを取り上げたわけであります。
衆議院でも議論されてきましたように、情報通信分野は個別法がどうしても必要となっている分野の一つなんですね。私は、一つ目に、旧KDDの顧客名簿が中文産業という委託先から流出して営業に使われたという事件を取り上げて、この委託先から流出が引き起こされた場合に本来の管理責任を負うべきKDDは処罰されるのかと、こうこのときお尋ねしたら、当時の郵政省天野電気通信局長の答弁は、「現行法上の扱いでございますが、」「今御指摘の委託先から不正に情報が流出した場合につきましても、同様に電気通信事業者を処罰することはできません。」と、こういう答弁でありました。
そこで聞くんですけれども、これは藤井審議官にお答えいただきたいんですが、今審議されている五法案が成立すればこういった事例を直接処罰できるようになるんですか。
政府参考人(藤井昭夫君) 御指摘の事例というのは、ある会社の顧客情報が代理店から流出されたという事例というふうに承っております。
それで、まず、ある電気通信事業者、これ自体が個人情報取扱事業者である場合、当然そこの部分については規制が掛かるわけでございますが、代理店に個人情報を流出と申しますか委託のような形で流したという場合、これは当然、一つは法案第二十条の安全管理措置義務、それから第二十二条の委託先の監督義務、これが言わば委託した側、委託した側が十分になされていたかどうかということがやっぱりこの法案上問われることになるということでございます。
それから、受託した側、受託した側もまたそれでデータベースとして事業の用に供しているということであれば、それまた受託した側自体がまた個人情報取扱事業者ということになり得るわけでございますので、そこでの取扱いが適正であったかどうかということが問われるということでございます。
それから、ちょっと蛇足ぎみになるんですが、ただ、刑事罰がすぐ科されるかどうかということでございますが、私どもの御提案申し上げている法案は、あくまで言わば不適正な個人情報の取扱いが是正されることを目的としておりまして、先ほど来大臣が、普通は助言等で是正される場合が多いというふうなことを申し上げましたが、それで、助言のみならず勧告、あるいは勧告が守られないということで改善命令が課されると。その改善命令も守られないということで初めて罰則を科すと、そういう仕組みになっておりますので、そこまで是正されない限りはすぐに刑事罰が科されるという形にはなっていないということでございます。
宮本岳志君 私は、やっぱり今利用者にとって一番不安に思っているのはこういった事例だと思うんですね。そこに対して本当に歯止めになるのかといえば、私はやっぱり非常に生ぬるいと、現状は。こういう問題は、だからこそ、一般法ではなくて正に電気通信分野での個別法の整備が急がれているということを、これは政府側もお認めになると思うんです。
ただ、これをいつまでにやるのかと。急いでやる必要があると思うんですが、いつまでにやるかということについては、先日の本会議で小泉総理に我が党の吉川議員が御質問申し上げましたけれども、どの分野の個別法をいつまでにやるということはお答えになりませんでした。総理が答弁されなかった後、細田大臣がこれについて、具体的に個別法を整備すべき分野やその時期については個別の府省、各府省で検討すべしという御答弁だったわけですね。
だからこそ私は、これはやっぱり内閣としてこれらの個別法をどういったスタンスでやるかということを総理に再度お尋ねしたいと思っておるわけですけれども、今日はいらっしゃいませんので総務大臣にお伺いしたいと思うんですが、電気通信分野は総務大臣の所管ですけれども、これはいつまでに電気通信分野の個別法をお作りになるとお考えですか。
政府参考人(片山虎之助君) 取りあえずは基本法制の適用になるわけですね。だから、その適用状況を見なければなりませんし、私どもの方では、今年の二月に電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会というものを作りまして、そこで今議論をやってもらっているんですから、その議論の動向も踏まえる、あるいは実際の電気通信事業者に係る個人情報の取扱いの状況も踏まえて、その結果、結論を得れば、そして法制化をする必要があるということを判断すれば法制化をしてもらいたいと思いますけれども、基本法の施行までには結論を出したいと、こう思っております。
宮本岳志君 衆議院の附帯決議でも、医療、金融・信用、情報通信等、国民から高いレベルでの個人情報保護が求められている分野について、特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報を保護するための個別法を早急に検討することということで、これは細田、片山両大臣ともその趣旨を十分に尊重するということでお答えになっているわけですね。
今、二月に懇談会を立ち上げた、既に二回やったと、先ほど事務当局からもお答えがあって、来年三月までに取りまとめる予定だということでいえば、いかがですか、この二年以内ぐらいのスタンスでこれは受け止めてよろしいでしょうか。
政府参考人(片山虎之助君) いずれにせよ、今申し上げましたように、基本法の施行までには結論を得てしっかりと対応いたしたいと、こういうふうに思っております。
宮本岳志君 これはそれぞれの分野での検討ということもあるでしょうけれども、先ほども申し上げたように、内閣としてやっぱりどういう全体の法と個別法ということを考えるかということにかかわる議論になってまいりますので、その点でも、私、改めて総理に御出席をいただいて、その点も是非議論を深めたいと思っておりますので、是非委員長にお取り計らいのほどをお願いしたいわけですが。
政府参考人(尾辻秀久君) 承りました。
<行政機関保有個人情報の保護も不十分>
宮本岳志君 それでは、次の、もう一つの事例を引きたいと思っております。
もう一つは当時厚生省に答弁してもらっておりますので、もう一度かいつまんで説明していただけますか。もう一つの事例ですね。
政府参考人(渡辺泰男君) 患者調査の調査票が紛失した事件の概略についてお答えいたします。
病院それから診療所を利用する患者につきまして平成十一年十月に実施いたしました患者調査の調査票の一部が契約事業者から再委託により在宅で入力事務を行った者によって過って家庭ごみとして廃棄処分されたものでございます。厚生労働省におきましては、廃棄当日に当該地域で回収された家庭ごみは全量焼却処分されていることを確認しております。また、なお調査票には個人名は記載されておらず、直接的に個人を特定することはできないものであります。
厚生労働省といたしましては、当該事業者に対して厳正な対応を行うとともに、この事故を教訓といたしまして、契約に当たって業務処理能力の体制等に関する審査を厳格にするなど、再発防止に努めておりまして、その後はこのような事故は発生しておりません。
宮本岳志君 これは今、数をおっしゃらなかったんですが、調査票約二百二十一万枚のうち、これを委託、下請に出したと。この下請がまた二次下請に出したと。そうしたところが、この二次下請から先は、何と自宅作業のところまで行っておりまして、家庭ごみに出たということは、つまり自宅にこの調査票が持ち込まれていたと。千二百八十六枚の調査票が家庭ごみに出されたという事件なんですね。
それで、患者情報というのは最もデリケートな情報の一つでありまして、これがおかしなところに渡れば本当に深刻な人権侵害を引き起こされかねないと、こういう状況だったんですね。それで、こういう厳重な情報の管理責任を負っているはずの厚生省が、この事件が起こるまでその調査票がどこにあったかと、つまり、起こって初めて家庭まで持ち込まれていたということが分かったと、後で調べるまで分からなかったという事件なんです。それで、医療情報分野の法整備というのは、これはこれで、先ほどと同じようにあると思うんですけれども、しかしこの問題は、旧厚生省という行政機関が責任を持って守らなければならない情報が驚くべきずさんな取扱いをされていたという事件なんですね。
それで、今度はこれについて聞くんですが、この患者票紛失事故の事例で考えた場合に、資料を家庭ごみに出した当人、それからそのような無責任な再委託を行った事業者、そして本来の管理責任を負っている行政機関の職員に対する刑事罰というのは、今審議されている法案でどのようになるか。刑事罰の適用について改めてお聞かせいただきたい。
政府参考人(若松謙維君) お答えいたします。
まず、日本国憲法第三十九条に刑事不遡及の原則がございますので、御指摘のケースに対しまして本法案の罰則は当然適用されないということは御理解いただきたい、いただけると思います。
いずれにしても、本法案の罰則が適用されるかは事実認定次第でございますので、平成十二年十一月の、今おっしゃった参議院交通・情報通信委員会での政府参考人の答弁、いわゆる調査票には個人名は記載されておらず、直接的には個人を特定することはできない、こういう状況だというふうに理解しておりますので、個人情報ではないことから本法案の対象とはならないと、このように理解しております。
宮本岳志君 対象にならないというお答えなんですね。それは、名前が入っているかいないかというお話でしたけれども、私は、今度の法案で、やっぱり何といっても、行政機関の個人情報保護法に罰則を入れたとおっしゃるわけですけれども、先ほども議論になっていましたが、この罰則が正に、専ら職務以外の用に供するというような書きぶりになっておりまして、罰則が本当に掛かる場合がどれほどあるのかということを非常に問題にせざるを得ない規定になっていると思うんですよね。
例えば、こういう今回のような事例、例えばこれが仮に、じゃ名前が入っていたとして、委託した、受託事業者はどうなるかといった場合に、「正当な理由がないのに、」というこれ前提が入っておりますから、あるいは「第三者の不正な利益を図る目的で提供し、」というような場合には、それは掛かってくるようになっておりますけれども、今回、この場合は、仕事のために委託したということになるでしょうから、こういう場合は掛かってこないんじゃないですか、総務省。
政府参考人(若松謙維君) 今のお尋ねは、いわゆる仮に個人が特定できる場合と、そういうお尋ねだと思うんですが、本法案の罰則が適用されるかどうかでございますが、先ほど申し上げましたように、事実認定次第でございますけれども、この平成十二年十一月の先ほどの参議院での委員会でのいわゆる政府参考人での答弁で過失と、こういうことでありまして、この過失をどう考えるかということだと思いますが、この過失につきましては、いわゆる故意性がないということで、私どもは本法案の罰則の対象とはならないと、このように理解しております。
宮本岳志君 そういう話なんですよね。だから、結局、国民が一番これを心配をして、きちっと守ってほしい、私の個人情報を守ってほしいと言っているその願いに対してこたえるものになっているかどうかということを今一つ一つ見てきたわけですけれども、この点で私は到底その願いにこたえていないと言わざるを得ないと思うんです。
例えばこの厚生労働省の、厚生省の事件で、一次下請に出した会社は通産省所管のプライバシーマークまで実は受けていた業者なんですよ。だから、先ほどどなたか大臣認定があれば安心だとか言っていましたけれども、受けていたところが二次下請に出し、そこから先は家庭ごみまで行っていたわけですから、これは私、本当にこういう中身をしっかりふさげるというか個人情報を守れるものでなければ個人情報保護という名に値しないと思うんですね。
実は、この三年前の議論で、当時の堺屋大臣も、個人情報の保護がITの普及の速度に比べて立ち後れている、だから対策が必要だと、これはもう明瞭に認めておられました。そういう点では、やっぱりこの法案、これで国民の個人情報が守られるということにはならないというふうに思っています。
<防衛庁のリスト事件も罰せられない>
宮本岳志君 次に、行政機関法の罰則規定についてもう少し議論したいと思うんです。
昨年は防衛庁が作成した情報公開請求者リストというのが大問題になりました。今年は自衛隊の適齢者リストというのが大問題になりました。これ今、自治体に協力させていたと、適齢者リストの方はですね。だから、総務省が今年出してきた法案が昨年のものよりも改善されているというのであるならば、これらの問題を防止できる内容になっているかどうかということが問われると思います。しかし、今年の行政機関法が昨年と違うのは、つまり先ほどの罰則規定が付いた、しかも情報収集の場合は専ら職務以外の目的で個人情報の不正な取扱いをしたと、こういう場合の罰則ということになっているわけですね。
だからひとつ、これは事実問題、どうお考えになるか行政管理局長に聞きたいんですが、これら防衛庁の事件で防衛庁の職員が行った行為というのは、専ら職務以外の用に供する目的で行ったとなるのか、またこれは正当な理由がないのに個人情報ファイルを適用することに当たるか、これはいかがですか。
政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
基本としまして、先ほども副大臣から御答弁申し上げましたように、憲法三十九条によりまして刑事不遡及の原則がございますので、この防衛庁リスト事案そのものが本法案の関係で処罰されるということは当然ないわけでございます。したがいまして、仮に防衛庁リスト事案と同じような事案が今後発生した場合ということになるわけでありますが、基本的には、本法案の罰則の構成要件に該当するかどうかというのは、司法当局及び裁判所においてどのような事実認定がなされるかということになるわけでございます。
今、先生お尋ねの五十五条の関係、その中での「専らその職務の用以外の用に供する目的で」という点の御指摘でございますが、五十五条は、行政機関の職員がその職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集することを処罰するものであるわけでございます。防衛庁リスト事案では、海幕三佐が特定個人が病気を理由として自衛隊を不合格となった事項などをリスト化していたことが問題とされたわけでございますが、あくまでこれは防衛庁リスト事案を離れてでありますが、一般論でありますけれども、仮にこれらの情報、特定個人が病気を理由の、そこの関連の情報ですが、これらの情報が個人の秘密に属する事項に該当して、そしてその職員がその職権を濫用して、専ら職員は情報公開業務を担当していましたから、情報公開業務の用以外の用に供する目的でこれらの事項が記録された文書等を収集したと事実認定されますれば本条の対象になるわけでございます。
一方、仮に専ら情報公開業務の用に供する目的で、しかし職務熱心であるがゆえの行為として、もしそういう職権濫用的な収集行為があったといたしましても、当罰性の高いそういう行為であるとはなかなか言えず、刑罰の対象とすることはやや行き過ぎになる、これが一般論でございます。
宮本岳志君 いや、防衛庁はこの行為を職務に関するものだからということで非常に甘い処分しかしていないんですよね。そうであれば、もうこの条文の適用というのは本当にそれぞれの、正に任命権者に任されているということに、これ総務大臣、そういうことになってしまうんですか、任命権者次第と。
政府参考人(片山虎之助君) 何度も言いますように、刑罰は何でも掛けりゃいいというものじゃないですよ。やっぱり刑罰にふさわしい行為に罰則を掛けるので、当罰性といって今言っていましたけれどもね。そういう意味では、職務の用以外にやった場合に刑罰を掛けると、こういう条文ですから、職務の用で行き過ぎた場合には懲戒処分の対象でございます。
宮本岳志君 職務と何の関係もないような不正行為を一人でやったら罰せられると、当たり前のことなんです、そんなことは。そうでしょう。
問題は、組織ぐるみで職務の一部のようにして行われていることが国民の権利保護に反するような場合、こういう場合が出てきているわけですよね。そして、組織としてやっていることがなかなか懲戒処分も現実に行われにくいと。それに対してきちっと罰することができるようにせよという声が上がって、そして曲がりなりにも皆さん方が罰則規定でございますと付け加えたのがこの規定だから、私はそうはなっていないんじゃないですかということを申し上げているわけなんですよね。
<大臣の言う罪名では不正が防げない>
宮本岳志君 私、片山大臣は、元々刑事罰は必要ないということを繰り返し衆議院でも、衆議院というか、以前、これが修正される前は繰り返してこられたわけですよ。公務の場合には、職権濫用罪、公用文書遺棄罪等、こういう刑法上の罪につきましても、犯罪構成要件を満たす場合には直ちに処罰の対象になるんだと、だからいいんだと、こうおっしゃっているんですね。
僕は、ちょっとこれを読んで奇妙に実は思ったんです。公用文書の遺棄に罰則があることが個人情報の保護になると、効果があると。あるいは、現実に国家公務員が職権濫用罪の適用を、個人情報の保護に反することを行ったことで職権濫用罪の適用を受けたと。私は、そういう事例というのは、これちょっと確認したいんですが、ございますでしょうか。
政府参考人(松田隆利君) 刑法の公用文書の毀棄、毀損罪でございますが、これと個人情報との関係でございますが、例えば個人の権利利益に関する処分の前提となります重要な個人情報が記録された公文書、こういうものを公務員が毀棄した場合とか、それから、これから本法案が通りますと開示請求が行われるわけでありますが、その開示請求の対象になります文書を、そういう意味で毀棄をするというようなことの場合に公用文書等毀棄罪の対象になり得る場合があるわけでございます。したがいまして、この刑法の公用文書毀棄罪も公務員による個人情報の取扱いに関する行為の適正化に当然効果があるわけであります。
それから、国家公務員が職権濫用罪の適用を受けた事例でありますが、裁判のすべてを把握しているわけでございませんが、例えばでございますが、昭和五十七年一月二十八日の最高裁の判決でございますけれども、裁判官が司法研究その他職務上の参考に資するための調査研究という正当な目的による調査行為であるかのように仮装して、これとかかわりのない目的のために身分帳簿の閲覧、その写しの交付等を求めて、この場合は刑務所でございますが、刑務所長らをしてこれに応じさせた場合というような例があると承知しております。
宮本岳志君 つまり、公用文書遺棄というのは、要するに証拠隠しで公文書を廃棄するというようなことは認められない、罰せられると、あるいは職権濫用というのも、実際上は公務員法を持ち出すまでもなく、強要するという強要罪などに問われるような悪質なケースに限られるんですよね。
こういう議論をやっておってもあれですので、ちょっと今日はもう法務省に来ていただいていると思うんですが、国家公務員が厳正に管理すべき個人情報ファイルを不用意に民間業者の処理にゆだねたために仮に重大なプライバシーの侵害が引き起こされたと、こういう場合に公用文書毀棄罪という今の適用対象になるか、公務員職権濫用罪、どうなるか、お答えいただけますか、法務省。
政府参考人(河村博君) 御説明いたします。
お尋ねの犯罪の成否の点でございますが、これは具体的事案に即しまして収集された証拠に基づいて司法の場で判断されるべき事柄でございますのでお答えいたしかねるわけでございますが、あくまで一般論として申し上げますと、公用文書等毀棄罪は、公務所の用に供します文書又は電磁的記録を毀棄した場合、すなわち現に公務所において使用に供せられ又は使用の目的で保管されております文書などにつきまして、その効用を滅却又は減損した場合に成立するものでございますし、公務員職権濫用罪は、公務員がその職権を濫用して人に義務のないことを行わせ又は権利の行使を妨害するときに成立するものでございまして、いずれも故意犯であると承知いたしております。
宮本岳志君 そうなんですよね。だから、国家公務員の善管注意義務違反を規律するようなものじゃないんですよ。だから、私は改めてこの法案が、職務のためにやればこれは免れるということは、これは到底、懲戒処分だけで、ここに掛からない場合は懲戒処分でいくというだけではいかないと思うんですね。
それで、例えば新たな刑事罰を行政機関には付けたというけれども、こういった抜け穴がたくさん残されていると。そして、こういうものを行政機関法という形で出してきたというのは、私は世論が大変うるさいのでここへ付け加えたというだけの話ではないのかと言わざるを得ないんです。
<思想調査ファイルの保有を否定せず>
宮本岳志君 それで、ちょっとテーマをここで変えたいと思うんですけれども、実は私、四年前の盗聴法の審議のときの会議録を読んでおりましたら、いわゆる盗聴法の審議のときの会議録を読んでおりましたら、民主党の日野市朗議員が非常に興味深い発言をしておられます。いわゆる警備公安警察が個人に関する情報をファイルして持っているという内容です。九九年五月二十一日、衆議院法務委員会の会議録をちょっと御紹介したいと思うんですね。
もちろん、団体の構成員について、特に政党であるとか、それから労働組合であるとか、それからいろいろな文化団体まで入っているんですな。それから、非常にプライバシーにわたること、プライベートな事項にわたること、これについても記載がある、これは間違いないですね。もう警備局長さんなんかは警備畑が長いんだから、御承知でしょう。
と、こう述べて、これに対する金重警備局長の答弁は、
先ほどもお答えいたしましたように、警察の目的を遂行するために、それに必要な資料を妥当、適法な方法で収集しておるということでございますけれども、どういう形でそれを整理、保管しておるのかというような具体的な内容につきましては、警察の犯罪捜査活動に支障を及ぼすおそれがございますので、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
と、こう述べております。
そこで、現職の警備局長に聞きたい。
日野議員が言っているような警備資料整理規定に基づいた個人の所属団体や思想、信条まで記載された情報ファイルの存在を承知しておりますか。
政府参考人(奥村萬壽雄君) お答えをいたします。
警察は、警察法の第二条一項によりまして、犯罪の予防、鎮圧並びに捜査、その他公共の安全と秩序の維持に当たることを責務としております。この責務を遂行するために、法令の範囲内で適法、妥当に必要な情報というものを収集しております。
警察が収集いたしました警備情報をどういうふうに保管、管理しているということを明らかにいたしますことは私どもの犯罪捜査活動等に支障を及ぼすおそれがありますので、御指摘の情報ファイルの存否を含めまして答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
宮本岳志君 少なくとも否定はされないわけですけれども。
日野議員は、先ほど読み上げた金重局長の答弁の後でこう言っているんですね。
私がやった事件で、宮城県のやぐら荘事件というのがありました。これは付審判事件です。そして、その付審判事件で検察官の役割をする弁護士が、ある人に対する個人別整理簿、この者に関するファイルを提出しろ、こう警察に命じたことがあります。そのときの宮城県警本部長からの回答は、「御命令の件は、職務上の秘密に関しますので、貴意にそいかねます。御了承願います。」
と、こういう答えが返ってきたと。
改めて警察庁警備局長に、宮城県のやぐら荘事件なる付審判事件でそのような回答をいたしましたか。
政府参考人(奥村萬壽雄君) 御指摘の事件でありますけれども、国賠請求訴訟におきまして個人別整理の書類等の提出を求められまして、これに対しまして本部長から仙台地裁に対しまして、「職務上の秘密に関しますので、貴意にそいかねます。」ということを回答したことがあるという報告を宮城県警から受けております。
宮本岳志君 つまり、暗にその存在をお認めになっているわけですよね。
それで、そういうことを少し調べておりましたら、五月二十七日付けの週刊プレイボーイという雑誌が警察にかかわる問題を書いておりました。これは通告しておりませんが、一点だけこの機会ですからお伺いをしたい。
実は、警察には右翼標榜暴力団団体カード及び個人カードというものが存在すること、そして、それが警視庁から大手金融会社に流出しているという事実をこの週刊誌は報道しておりますが、警察庁、これは事実ですか。
政府参考人(栗本英雄君) 急なお尋ねでもございますし、また個別の事案に関するお尋ねでございますので、答弁は差し控えたいと思います。
宮本岳志君 私もこれ見たところですので、改めてこれは深くやらせていただきたいと思っております。
しかし、公安調査庁あるいは警察、こういったところが個人の思想、信条に係るデータを蓄積していること、そして、そういったものを様々な形で持っておられるということはもう公然の秘密であると思うんですね。
そこで、今度のこの行政機関法が成立すれば、こういった思想調査データのファイルもこの法律に基づいて存在が公表されるようになるのかどうか。これ、ひとつ行政管理局長にお答えいただけますか。
政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
総務省といたしましては、今、先生お尋ねのような思想ですとか等についてのファイルを警察庁や公安調査庁が保有しているかどうかは承知しておりません。
一般論として申し上げますれば、本法案、行政機関法案におきましては、行政機関が保有する個人情報ファイルにつきまして第十一条第二項に個人情報ファイル簿への掲載の例外規定がございます。これに該当すれば公表されませんし、該当しなければ公表されるということになります。
宮本岳志君 私たちは、こういった権力機関による思想調査は最悪のセンシティブ情報の違法収集であり、憲法違反だと考えております。
あなた方は適法なこと以外やっていないと、こう主張するでしょうけれども、仮にそうであっても、これらの機関に個人の情報に関するファイルがあるのかないのかぐらいは明確にならなければ、何のためにこの法律を作るのかということにもなります。
それで、しかし警察や公安調査庁が集積するデータにもこの法の適用があるんだと、この法の適用から除外されないと言っても、先ほどお話があったとおりですよ。総務大臣への事前通知は十条二項の一から十一で除外されると。さらには、公表義務も十一条の二項三号で除外されると。つまり、総務大臣に通知が行ったものでさえすべて公表されるわけではないんでしょう。総務大臣には通知するが公表はしないというものもあり得るわけですよ。そもそも、通知するものも一号から十一号で除外されると。
大体、十一条の三項なんというのを見ましたら、行政機関の長が利用目的に係る事務の性質上、当該事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断しさえすれば個人情報ファイル簿に掲載しなくてよいと。つまり、公表しなくてよいとなっているわけですよ。
総務大臣、これはつまり、作っているということが分かったらまずいものは公表しなくてよいと私は書いているようにしか読めないんですが、そうじゃないんですか、総務大臣。
政府参考人(片山虎之助君) やっぱり個々に例外規定を設けているようなものは、それだけそれぞれ正当な理由があって例えば事前通知を除外しているんですよ。それぞれの仕事は国民を守る仕事なんですよ。国民を守り国家を守る、そういうことについてはいろんな法益を比較考量してこういうことを決めているわけですから、何でも全部明らかにすればいいというものではないんです。明らかにすることによって国家、国民にマイナスなことはこれは明らかにしなくてもいいという考え方に立っているわけであります。そこは是非御理解を賜りたいと思います。
宮本岳志君 例えば、自衛隊適齢者リストの問題でいえば、それは一部の自治体では健康状態というセンシティブ情報まで記載されたものが作られていたと。これはもう年齢と健康状態の情報を突き合わせれば正に適格者リストと呼ぶべきものなんですね。
ところが、衆議院の答弁を見ても、最初はこの法律ができたら公開の対象になると、こうお答えだったんですよ。ところが、その後話が変わってまいりまして、一年以内に、十条二項六号の一年以内に消去されるファイルで除外だと言い出して、さらにその後また反論、追及されると、今度は十一号の紙媒体のファイルだから通知されないんだと、除外だと言い出したと。
結局、こういうリストがいろいろ作られても、国民の目に明らかにならない、明らかにしたくないものは、この一から十一のどれかに引っ掛けて、結局公表しないんじゃないかと、こういうふうに国民が私は見るのも無理ないことだと申し上げておきたい。
<マッチングの実態は明らかにならない>
宮本岳志君 次に、データマッチングの問題についてお聞きしておきたいと思います。
明確な法的根拠によらないデータマッチングは厳しく規制しなければ、圧倒的な情報量を持つ政府によって国民のプライバシーは丸裸にされてしまうと思います。住基ネットの本格稼働を控えた今、国民は、自分に関するデータ、このデータマッチングが知らないところで行われているのではないかと、こういう今不安を強めているわけですよ。
まず、はっきりこれ総務大臣にも申し上げておきますけれども、我が党は決して個人情報保護の法整備ができたら現状の住基ネットを認めるという立場ではありません。たとえどのような個人情報保護法ができようとも、全国民に共通の通し番号を付けたような住基ネットは中止すべきだと考えています。
しかし、それは今日の本題ではないのでおいておきましょう。あなた方が行政機関保有の個人情報を保護するというならば、最低限、行政機関がどのようなデータマッチングを行っているのかが国民に分かるようにしなければならないと思うんです。
そこで、二、三問聞いておきたいんですが、複数の行政機関保有ファイルを照合することによって、それらのファイルの共通部分マッチングして、共通部分なり新しいリストをそこに作るということになるんですけれども、これは新たな個人情報ファイルを保有したということになりますか。
政府参考人(若松謙維君) 委員御指摘のとおり、新たな個人情報ファイルが作成されたならば、行政機関が保有することになり、本法の規制の対象となります。
宮本岳志君 データマッチングの場合でもですね。
政府参考人(若松謙維君) いわゆるデータマッチングというのは各種の情報を言わば合わせるということでありますので、そういった形が新たな個人情報ファイルということになれば、当然、委員御指摘のとおりでございます。
宮本岳志君 そうであれば、この新たに保有することになったファイルが、行政機関法案の第十条の二項の先ほどから議論になっている十一項目に当たらない限り、法案のスキームによって、マッチングを行っている事実が国民に明らかにされるということになるわけですね。
ところが、実際には、この第十条二項によって回避することが可能となっている。例えば、新たに作られるデータのファイルのデータ数が政令で定める数を上回らない場合ですね、一千ですか、以下の場合と、あるいは必ず一年以内に消去するものの場合はこれに当たらないということになってくるわけですよね。
それで、大体データというようなものは新しい方がいいわけですから、結果を一年も保持している必要はなくて、一年以内にどんどん新たなデータマッチングをして廃棄していけば、これは今お話しいただいたような通告義務も外れるし、公表もしなくてよいということになってきます。これはそういうことになりますね。
政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
事前通知の適用除外になっておりますものはおおむね二種類に分かれていまして、一号、二号は、国の安全とか外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項を記録する個人情報ファイル、二号は犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は公訴の提起等々、そういうことで取得される個人情報ファイルでございまして、非常にそういう高度の政治判断あるいはその専門性の高いものでございまして、総務大臣の法運用の統一性の適用がなかなか難しいという、そういう問題でございます。
三号以下は非常に軽微なものでございまして、例えば一年以内に消去するような一過性のファイルですとか、あるいは資料の発送その他に使うような発送簿のたぐいのようなリストですとか、そういうものでございまして、国民の権利利益の侵害についての心配が非常に少ない、そういうものでございます。
先生今お尋ねの、マッチングによりまして新しい個人情報ファイルができればもちろんこの本法の対象になって、この第十条二号の適用が除外されるものでなければ公表の対象になる、事前通知、公表の対象になるということでございます。
宮本岳志君 いや、だから、一年以内に消去することとなる記録情報のみを記録する個人情報ファイルは除外されますねと言っているんです。
政府参考人(松田隆利君) そのとおりでございます。
宮本岳志君 だから、データマッチングをやっても、一年に一回ずつデータマッチングをすれば、それは新たなファイルとして通告もされなければ公表もされないということで、結局、データマッチングは新たなファイルの作成になるといってみても、それを頻繁に繰り返した場合には除外されちゃうということなんですよね。だから私は、これでデータマッチングが国民に明らかになるというふうに到底言えないというふうに思います。
<官僚は警察に関わることは答えない>
宮本岳志君 さて、次のテーマに移りたいと思うんですね。
データマッチングの規制がなぜ重要かということを明らかにするためにもう少し議論をしておきたいと。前提として、個人の氏名が明記されている情報だけが個人情報ではないということを確認をしておきたいと思います。先ほど名前がなかったという話がありましたが。
まず、これは細田大臣にお伺いしますが、固定電話の通話記録、また携帯電話の通話記録も、今審議している基本法案の第二条一項、個人情報に含まれますか。
政府参考人(細田博之君) 個人が加入する固定電話や携帯電話の通話記録であって、匿名化等が行われておらず、個人の識別が可能なものにつきましては本法案の個人情報に該当いたします。
宮本岳志君 当然の答弁だと思います。
では、行政機関法第二条第二項の個人情報の定義、これについても聞いておきたいんですが、この行政機関法の個人情報の中に特定の車両登録ナンバーと結び付けられたデータの集合も含まれることになるか、片山大臣、お答えいただけますか。車両データ、登録ナンバーと結び付けられたデータの集合は入るか。
政府参考人(松田隆利君) 個人情報は、先ほど細田大臣から御答弁ございましたように、特定の個人を識別することができる情報ということでございますが、お尋ねの車両ナンバーとの関係で特定の個人が識別するようなことができるのかどうか、私ども承知いたしておりませんので、答弁は差し控えさせていただきます。
宮本岳志君 特定の個人と結び付けられた情報かどうかが分からないから個人情報であるかどうかは分からないという御答弁でしたか、そうでしたか。それは、例えば車の場合は別の人間が乗っていることがあるかもしれないということをおっしゃっているんでしょうか。
先ほど細田大臣は、携帯電話についても個人情報に含まれるというふうにおっしゃっておりましたが、これはおかしいんじゃないですか。
政府参考人(若松謙維君) 今、局長答弁でございますが、先ほどお尋ねのその車両登録ナンバーですか、それがこれに該当するかどうかということでありますが、当然それは個別具体的に判断される必要があるという観点からの局長の答弁だと思うんですが、それは、一般的にはこの車両登録ナンバーによりまして特定の個人、例えば所有者ですね、こういったものが識別するということは可能ではないかと、そのように考えておりまして、したがいまして、特定の個人情報を容易に検索できるような体系的に構成されていれば、通例は個人情報ファイルに該当するものと考えております。
宮本岳志君 それはそうなんですよね。基本法の定義は「容易に照合することができ、」となっているんですね。さっきの携帯の方は基本法なんですよ、包括法なんですよ。だから、これは容易に照合できるという意味では狭い概念になっているんです。ところが、行政機関法は容易にという言葉が入っていないので広いんですよ。だから、照合できればもうこれは広い範囲で個人情報とみなさなければならないんですから、私は、携帯電話の通話記録が個人情報であって、車両登録ナンバーが個人情報でないということは極めて考えられない事態だというふうに思いますので、今、若松大臣からそういう改めての答弁もいただきました。
それで、時間がなくなってきたのでもう警察庁にこのことは聞きませんけれども、四月の十七日に社民党の保坂議員が警察のNシステムということを問題にしておられます。
このNシステムというのは、道路の特定の地点を何日の何時何分にどのナンバーの車が通過したのかを記録集積するシステムで、犯罪捜査のために各県警が保持しているという説明ですけれども、衆議院の保坂議員は、車を運転している本人が、当事者が、あのときNシステムの監視カメラの下を通った、だからそのことを証明したいのでNシステムの情報を開示してくれと、こういうふうに求められたらどうするかと聞いたら、警察庁は開示しないと言っているんですね。
このようなシステムによるデータのファイルは、行政機関法の第十条二項の二号、犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査云々と、この十条二項の二号に該当するかを行政管理局長にお答えいただけますか。
政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
Nシステムにつきまして国会での御議論は承知いたしておりますが、その詳細を私どもが承知しているわけでございませんので、行政機関法の適用についての御説明は差し控えさせていただきたいと思います。
宮本岳志君 時間が参りましたので、次の機会に譲りたいと思います。
以上です。