159 – 参 – 総務委員会 – 16号 平成16年05月11日
平成十六年五月十一日(火曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
四月二十七日
辞任 補欠選任
吉川 春子君 宮本 岳志君
五月十日
辞任 補欠選任
谷林 正昭君 川橋 幸子君
五月十一日
辞任 補欠選任
野沢 太三君 藤野 公孝君
内藤 正光君 山根 隆治君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 景山俊太郎君
理 事
柏村 武昭君
岸 宏一君
山崎 力君
小川 敏夫君
広中和歌子君
委 員
狩野 安君
片山虎之助君
久世 公堯君
椎名 一保君
世耕 弘成君
藤野 公孝君
川橋 幸子君
高橋 千秋君
松岡滿壽男君
山根 隆治君
渡辺 秀央君
鶴岡 洋君
日笠 勝之君
八田ひろ子君
宮本 岳志君
又市 征治君
衆議院議員
修正案提出者 滝 実君
国務大臣
総務大臣 麻生 太郎君
副大臣
総務副大臣 田端 正広君
事務局側
常任委員会専門
員 藤澤 進君
政府参考人
内閣府経済社会
総合研究所景気
統計部長 小島愛之助君
総務省情報通信
政策局長 武智 健二君
総務省総合通信
基盤局長 有冨寛一郎君
総務省政策統括
官 鈴木 康雄君
経済産業省商務
情報政策局長 豊田 正和君
国土交通省自動
車交通局長 峰久 幸義君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○市町村の合併の特例等に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
今回の法改正は、全体として、携帯電話や無線LANなど新たな分野への電波の利用を促進しようというものであり、我が党は衆議院でも本改正案に賛成をいたしました。しかし、電波の有効利用というテーマでいえば、地上波テレビ放送のデジタル化という大問題があります。今日は、その進捗状況を踏まえて質問をしたいと思います。
まず、誤解がないように申し上げておきたいんですけれども、日本共産党は、地上波テレビ放送のデジタル化には賛成であります。法案審議でも、九九年の放送法改正には賛成の態度を取りました。そのとき、私の質問に当時の品川放送行政局長は、国民にデジタル化を押し付けるものではないと、はっきり答弁をいたしました。
その後、二〇〇一年の電波法改正に我が党が反対したのは、テレビをデジタル化するからではなく、二〇一一年のアナログ放送打切りを決めるものだったからであります。もちろん、我々もデジタル放送への移行という以上、アナログ放送を止めることになることは否定いたしません。しかし、デジタル受像機の普及状況などを勘案することなく打切り期日だけを先に決めるというのでは、結局は国民に受像機の買換えを強制することになりかねないと考えます。
その後、既にスケジュールが当初の予定から大きくずれ始めていると思うんです。
<サイマル放送の期間がわずかの地域も>
宮本岳志君 まず、総務大臣に、この地上波テレビのデジタル化の進捗状況について全体の認識を聞きたいんですけれども、大臣はこのスケジュールは滞りなく進んでいると、そういう認識でございますか。
国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、昨年十二月の一日、東京、名古屋、大阪、三つでしたか、三つの地域でスタートしたと思っておりますが、そのスタートにつきましては成功裏にまず、地上局の初めての試みでしたけれども、スタートいたしております。
受信機の販売、これは業者の話ですから、聞いているとしか言いようがありませんけれども、販売は好調ということに言っております。また、ケーブルの受信可能な世帯数というものは、私どもは最初、本年六月末には約二百万世帯と思っていたんですが、現実既に八百七十万世帯になるということに思っておりますんで、その点につきましてはかなり目標より早く普及をしつつあるということは現状では確かだと思っております。
また、この地上波の受信可能な機械というものが、約半年になりますけれども、一五%ぐらい値段が下がってきていると思っておりますんで、私どもとしては、このデジタル放送の地域の拡大というのを、前提となりますアナログ周波数の変更対策というのが大事なところで、ここのところの周知徹底を始め、いろんな意味でこの問題につきまして普及推進というものに努力を払っていかねばならぬところだと思っております。
宮本岳志君 では、そのような楽観的な見通しでいくかどうかということを論じたいと。
昨年五月二十九日の私の質問に対し、高原情報通信政策局長は、末端の中継局においてはデジタル放送開始からアナログ放送打切りまでのサイマル放送、つまり両方の電波が飛ぶ期間は平均一年から二年程度と見積もっておりますと答弁をし、地方の末端の中継局の住民にとっては一、二年でテレビの買換えが迫られるということが明らかになりました。
ところで、去る三月十八日、衆議院総務委員会で田端副大臣は、アナログ周波数変更が当初思っていたよりも三年ぐらい早く、二〇〇七年ごろには完了すると答弁をされましたけれども、たしか昨年の電波法改正で、サイマル放送の期間、総務省は平均二・八年としていたはずですけれども、田端副大臣が言う三年前倒しということによって、これは平均サイマル期間は五・八年に延びるというふうに考えてよろしいですか。
副大臣(田端正広君) アナログ周波数変更対策については、今年度の予算において国庫債務負担行為が設定されることによりまして、今後は集中的に実施されていくことになると考えています。今お話ありましたように、当初は二〇一〇年ごろという見込みでありましたが、しかし、まあそれが三年ぐらい前倒しして二〇〇七年ごろには目標が達成できるんではないかという考えでいるわけであります。
で、このアナログ周波数変更対策については、地上デジタル放送の電波を発射することを可能とする環境を整備するということでありまして、無線局をいつ設置して、そして放送事業者がどういう経営判断の下にデジタル放送をするかということとはこれは別のものではないかなと。そこがどういうふうに組み合わさっていくのかということになるんだと思います。したがって、アナ・アナ変換があったからといってデジタル放送に直にということにはならないんではないかというように考えております。
サイマル放送期間が平均的に二・八ということで、今までも言っておりますが、見直す必要はよほどの大幅な変動がない限りは必要はないというふうに考えておりまして、つまり二・八という平均値に三年早まったからといって単純にプラスして五・八と、こういうことにはならないんではないかと考えております。
宮本岳志君 環境が整うということと電波が飛ぶということは別のことだと。おっしゃるとおり、そういうふうに早まるということにならないですね。
それで、三大都市圏以外の周波数、三大都市圏でのデジタル放送も本来の出力になるのは来年の末です。三大都市圏以外の周波数変更は二〇〇七年まで掛かると。それから、末端の中継局までデジタル放送が始まるのは、結局、地方のテレビ局の経営との兼ね合いもあって、サイマル期間、一年から二年どころか、二〇一一年のアナログ停波に何とか間に合うかというのが実態だと思います。
<店頭には7年後には映らないテレビが>
宮本岳志君 だからこそ私は、アナログ打切りを決めた二〇〇一年の電波法改正時に、二〇一一年のアナログ停波の一年前に、デジタル放送による受信地域の一〇〇%カバーが達成されない場合や、又はデジタル用受像機の普及が十分でない場合には、アナログ放送の打切りの延期など必要な措置を取ることを総務大臣に求める法案の修正案を提案をさせていただいた。そのときはあなた方は耳もかさない態度でありましたけれども、大臣、今の進捗状況を考えれば当然一定の時点でそういった見直しが必要になると私は思いますけれども、大臣はそう思われませんか。
国務大臣(麻生太郎君) 今、宮本先生のお話しの話は二〇〇一年に御党から出された修正案と思いますが、これは、衆議院におきまして出された修正案というのは否決されたというようにたしか記憶をいたしております。衆参において両方で否決されたんだと思いますので、賛成者少数により否決ということになっておると記憶をいたしますので、私ども役所を預かる立場といたしましては、国会で否決された話を今ここでやらにゃいかぬという立場にはとてもありませんので、そこのところであります。
ただ、委員もおっしゃるように、これは、もしも天災みたいな話が起きてみたり、いろんな状況が起きる話ではありますから、それは確かにいろんなことを考えておかにゃいかぬというのは事実かと思いますが、まだ宮本先生、まだちょっと時間がある先の話でございますので、今の段階で、それを見直すようなつもりを今の段階で聞かれた場合はございません。
宮本岳志君 まあ、もちろん否決されたからこそ聞いているんであって、可決されていればこんなこと問題にする必要ないんですよね。
では聞きますけれども、今日は経済産業省にお越しをいただいております。経済産業省が電機メーカーに示しているガイドラインで、カラーテレビと白黒テレビの修理に必要な部品の最低保有期間は何年になっておりますか。
政府参考人(豊田正和君) お答え申し上げます。
テレビの補修用性能部品の最低保有期間については、昭和四十九年四月に機械情報産業局長の通達が出ております。それによりますと、カラーテレビもそれから白黒テレビにつきましても、両方とも最低保有期間は八年というふうに定められております。
宮本岳志君 政府は、企業には最低でも八年間は修理に応じられるようにしなさいと言う一方で、今売られているアナログテレビの電波はあと七年と二か月後には強制的に止めてしまうということを決めているわけであります。電波が来なければそもそも修理をしても意味がないわけでありまして、今全国で販売されているテレビ受像機の大半はアナログ専用の機種ですよ。デジタルテレビを買えと言われても、国内の世帯の四分の三ではまだアナログの放送しか見ることができないんですから。
二〇〇一年の電波法改正のときには、三大都市圏でデジタルテレビ放送が始まれば、その魅力が国民に伝わって、デジタル放送が始まっていない地域でもデジタル放送に対応したテレビを買おうとする動きが広がっていくんだと、これが総務省の説明でありました。しかし、実際には三大都市圏、デジタル放送が始まった地域でも、従来のままのアナログ専用テレビ受像機が少なからず売れ続けているというのが実態だと思います。
これは田端副大臣、そういう事実ですよね。今も売れていますよね。
副大臣(田端正広君) 先ほど大臣からも、三大広域都市圏において順調にデジタル化が進んでいるというお話がございました。
それで、今、先生からは地上デジタル放送の受信機がどういうことなんだと、アナログの方の専用の受信機も売れているじゃないかと、こういうお考えであろうかと思いますが、デジタル放送の方は今デジタル家電の一つのブーム等もありまして大型化あるいは薄型化という形で今中心になって進んでいるんだと思いますが、しかし、逆にアナログの方は小型化という形で今販売されているものというふうに考えております。そして、デジタル化が進めばこの販売の比率というものは上昇していくわけでございまして、そういった意味では、先ほど大臣が御答弁させていただいたようにおおむね順調にいっていると、こういう考えでございます。
宮本岳志君 いやいや、今でもアナログテレビは売れ続けているでしょうと言っているんです。
総務省も参加している地上デジタル推進全国会議の第四次アクションプランでは、二〇〇六年夏のワールドカップ・ドイツ大会の時点で、デジタルテレビの普及台数の目標が一千二百万台となっております。大体、テレビの受像機の需要は年間一千万台ですから、これからドイツのワールドカップまでに二千数百万台が売れるはずなんですね。仮にこの目標どおり事が進んだとしても、それまでにアナログテレビ、従来のアナログテレビが一千万台以上まだ家庭に入っていくという計算になるんですよ。
<破たんした「自然な流れ」という説明>
宮本岳志君 二〇〇六年にアナログテレビを買えば、八年間どころか、停波までわずか五年ということになります。それにもかかわらず、田端副大臣は、三月二十三日の衆議院総務委員会で、テレビの買換えは平均的に八年だと、こう言って、二〇〇三年から二〇一一年までの八年間で、それなりに一つの寿命といいますか、買換えの自然な流れができるのではないかと、こう答弁されました。
サイマル放送の期間が短いところで一、二年しかない、平均でも三年と、なぜこれで買換えの自然な流れができるとおっしゃるんですか、大臣、副大臣。
副大臣(田端正広君) 人間の寿命も、これは平均寿命といってもその平均寿命の前に亡くなる方はたくさんあるわけでありまして、そういう意味では、八年という、先ほども経済産業省の方から御答弁がありましたが、そういう形で我々としては八年から十年という平均的な使用期間ということを買換えのめどとして申し上げているわけでありまして、それがたまたま、二〇〇三年から八年という数字を当てはめますと、ちょうど二〇一一年という時期に符合すると、こういうことで申し上げたわけでございます。
宮本岳志君 いや、もうそんな説明だったら、そもそもテレビの買換えサイクルから論じるという意味がないわけですよね。大体、この平均的な買換えサイクルが八年という話自体が疑わしいと私は思っております。
四月の十三日、衆議院総務委員会で我が党の塩川議員の質問に、経済産業省は、カラーテレビの平均使用年数は十・三年だと答弁をいたしました。一方で、武智情報通信政策局長は、九年という数字もあれば六年という数字もあるので、総務省としては買換えサイクルは八年と考えていると答弁をされたんですね。
武智局長が示された、短いもので六年という数字の根拠になったのは、内閣府経済社会総合研究所が行っている消費動向調査の結果ですね。
政府参考人(武智健二君) 四月の十三日の衆議院の総務委員会において塩川先生に対してお答えをしたその六年という数字でございますけれども、これはただいま御指摘のありました内閣府経済社会総合研究所が行っている消費動向調査の主要耐久消費財品目別購入世帯割合に基づいて更に総務省が推計をしたものでございます。
宮本岳志君 ここにその最新の四月実施の調査結果を持ってまいりました。これを見ると、四半期ごとに四%内外の世帯がカラーテレビを購入しているというふうになっております。つまり、一年間に一六%の世帯がカラーテレビを買ったことになる。一年間に一六%がカラーテレビを買うならば、六倍すれば六年間でほぼ一〇〇%となると。すべての世帯が六年間に一回はテレビを買うという結論が出るというわけですね。
しかし、この表からこの六年というのを導くというのは、そういう計算ですね、違いますか。
政府参考人(武智健二君) 御質問そのものについてお答えすれば、そういうことであります。
宮本岳志君 しかし、この計算は大間違いなんですよ。この調査の次のページを見ていただけば、買換え前のテレビを何年使っていたかという数字があって、平均して九・八年と。もう一枚めくったら、そこに九・八年と書いてあります。
テレビの購入世帯数からの推計六年というのと、平均使用年数九・八年、なぜこの食い違いが起きるか、お分かりになりますか。
政府参考人(武智健二君) 前の衆議院の予算委員会のときに私が答弁を申し上げましたのはこういうことでございます。
まず、八年というのはどういう根拠かというお尋ねがございましたので、まずは、私ども、信頼すべき業界団体の数字がございますと。それが社団法人電子情報技術産業協会というところの数字がございまして、そちらの予測でありますと、通常八年から十年程度というのがカラーテレビの買換えサイクルだという、業界としてそういう予測をしておるということであります。
それで、それに加えまして、まだいろんな数字があるわけでございますね。幾つかそういったものを基にいたしまして、最終的にその八年という判断を総務省とはしているということでございますが、その点は御理解をいただきたいと思います。
宮本岳志君 いや、内閣府だって別にテレビの買換えサイクルを調査しているんじゃないですよ。あなた方がこの内閣府の、カラーテレビをどれだけの世帯が、何%の世帯が買ったかという資料から六年という期間をあなた方が勝手に導いたと、その導き方が間違いだと私は言っているんです。だって、六年というのは、平均的に家庭は六年に一回テレビを買うということが示されているだけであって、買い換えるサイクルではないんですよ。
今、各家庭には複数のテレビがあります。ですから、買換えはそれは九・八年、十年であってもやっぱり二台目のテレビを買うということになっていて、だからそれは買った率からいうとこういうことになってくるわけですね。だから、結局、テレビの買換えサイクルは、経済産業省の言う十・三年、消費動向調査でも九・八年、やっぱり十年というのが一つの目安なわけなんですよ。
<「高画質」を望む視聴者はまだ少数>
宮本岳志君 そこで、サイマル放送期間は平均三年、短いところは一年から二年と。これから二〇〇六年夏のワールドカップ・ドイツ大会までだってまだ引き続き一千万台もアナログテレビが売れると。そのアナログテレビは大体十年、つまり二〇一六年ごろまで十分使えるわけですよ。それを、二〇一一年にアナログ放送打ち切るということは、結局、デジタル受像機を国民に無理やり買わせるということに、大臣、なるんじゃないですか、これ。大臣。
政府参考人(武智健二君) アナログテレビであっても、これは例えばチューナーを接続することによって地上デジタル放送も見ることができるわけでございますので、すべてがすべて駄目になって、デジタル専用機を買うということには必ずしもならないと考えております。
宮本岳志君 大臣、どうですか。
国務大臣(麻生太郎君) 現在、アナログ専用テレビというのを、きれいな映るのもありますが、この放送は二〇一一年にはアナログはデジタルに変わりますということを知った上で買っておられるという方の比率のパーセントは御存じだと思いますが、ね。だから、知った上で買っておるわけです。その理由はチューナーを付ければ見られるということも分かっておられるわけで、今の予算の都合もありますから、もうしばらくすればもっと安うなると思って待っておる。で、二〇一〇年ぐらいになって本当に安くなった段階で買えばいいというように思っている方も随分いらっしゃるんだと思いますが。
宮本岳志君 いや、それは、デジタルテレビが安ければみんな買いますよね。でも、そんな、あなた、六十万も七十万もするものを買えないから、いまだにアナログテレビ買っているわけですよ。覚悟の上で買っているというのはちょっと私は実態と合わないと思いますけれどもね。
二〇〇一年の法改正時には既にBSデジタル放送が始まっていたんです。それが国民にどう受け入れられていくのかしっかり見極めながら、謙虚に、そして着実に進めるという姿勢が大事だったんです。それを、私の警告も聞かずに、あなた方は一方的に二〇一一年というアナログ打切り期限だけを国民に押し付けたと。そもそも、なぜテレビをデジタルに切り替えるのかについても国民の納得が得られているとは言えない、言える状態ではないと思うんですよね。例えば、デジタル放送の高画質についても、アナログテレビの画質自体が相当に良くなっております。だから、それなりに大きな画面でなければ違いが分からないですね。
そこで、内閣府にもう一問聞きますが、消費動向調査の結果で、昨年度の一年間に二十九インチ以上のテレビを購入した世帯、二十九インチ未満のテレビを購入した世帯の割合はどうなっていますか。
政府参考人(小島愛之助君) お答え申し上げます。
消費動向調査の結果によりますと、平成十五年度に二十九インチ以上テレビを購入した世帯の割合は六・五%、二十九インチ未満のテレビを購入した世帯の割合は一〇・三%となっております。
宮本岳志君 これ、足して一〇〇パーにならないのは一六%程度しか一年間でテレビ買わないからです。これは絶対数ですからね。だから、買った一六%のうちでもやっぱり二十九インチ未満の小さい画面の方がはるかに多いんですよね。一〇%がそうなっていると。それで、二十インチ台では、デジタルでもアナログでも、あるいはハイビジョンであっても、それほど画質の差は感じられないんです。二十インチ以下ではもう違いそのものが素人目には分からないのが実際のところなんですね。大画面のテレビが増えたといっても、一般消費者にはまだまだ二十九インチ未満のテレビの方がはるかに多く買われていると。だから、高画質のデジタルテレビを見るために、わざわざ高いテレビを買おうというふうにまだなっていないということが言えると思います。
<大臣は「双方向」とテレビ電話を混同>
宮本岳志君 もう一つの魅力として言われているのが双方向ということですね。そこで、BSデジタル放送の番組表から双というのね、双方向の双と付いた、マークの付いた番組を拾ってみると、多くの局では一日に一つか二つしかないんです、大体。双方向の放送にただ一局だけ積極的に取り組んでいるのはBS―iの番組ですね。ここにこのマークが付いているのは、テレビショッピングばかりなんですね。
こういう双方向のテレビが見たいからといって国民がこぞってデジタル用のテレビ受像機を買うようになると、総務大臣はそういうふうにお考えになりますか。
国務大臣(麻生太郎君) 長期的には、遠隔地において、孫とじいちゃんが直接大画面を通じてしゃべり合えるというのは魅力だと思います。私どもの方は田舎がありますんで、少なくとも大画面を置けるだけのうちの広さもある、またそういったものを引くための金も払う気もある。なぜなら、孫と双方向で話ができるからという理由であります。
人によって価値観が違いますんで、それがすべてと申し上げるつもりはありませんけれども、いろいろ山村、へき地の方こそむしろ需要は高いかなと思うぐらい、いろんな意味で、私どものこの数か月の話聞かせていただいている範囲では、むしろ都会の方は情報があふれておって、余り興味はない方の方が多い。しかし、いわゆる地方の方が、娯楽が少ないせいもあって、この種のものに対する需要は多い。双方向に関しましても、まあ田舎のおじいちゃんの方が都会のおじいちゃんよりはるかにEメールができる。
もう御存じのとおりだと思いますんで、そういった意味では、私は双方向いうのは、今まだ大したことはないと思っておりますけれども、いずれにいたしましてもこういったもののコンテンツが更に発達してくると、いろんな意味での需要というものはおのずと出てくるであろうと予想しております。
宮本岳志君 いやいや、デジタルによるテレビ電話技術のことであれば、それは大臣おっしゃられることはあるのかもしれません。
今、デジタル放送の議論をやっていましてね、大臣、三月二十三日にも、救急患者等々の顔色をデジタル放送で病院に送って、病院でその患者の顔を見て病状を判断でき得るというところまでいきますと、救急患者につきまして適切な薬等々を搬送中に打てるなど、いろいろな意味で影響が大きいと、こう答弁されたんですね。
僕、ちょっとこれ、事実関係確認しますけれども、総務省ね、テレビ放送がデジタル化されると、将来、病院に搬送される救急患者の容体がテレビ放送でリアルタイムで見られるようになるんですか、いかがですか。
政府参考人(武智健二君) もう既に先生御案内だと思いますけれども、御説明をさせていただきますと、デジタル放送、地上デジタル放送におきましては、高精細度なハイビジョン画像を表示する技術でありますとか、多くの情報を効率的に伝送する技術でありますとか、移動する車でも安定して高精細度のハイビジョン画面が受信できる技術など、最新のデジタル技術が採用をされているわけであります。
大臣が先般の委員会で引用した救急車の件は、昨年、ジュネーブで開催されました世界情報通信サミットにおきまして、東海大学の遠隔医療画像伝送システムの展示といたしまして、救急車から病院に搬送する患者の映像を病院に送る実験が報告をされたというところに基づいているわけでございますが、この実験におきましては、デジタル放送の実績のある映像符号化方式が採用され、非常に成果を上げたわけであります。
今後、この高精細度のデジタルテレビ技術の普及が進めば、患者の顔色や容体が分かる映像が移動する救急車からリアルタイムに送信できるような技術も実用化されることは期待できるというわけでございます。
もとより、既に御案内だと思いますが、地上デジタル放送においてそういうものを出すということではなくて、こういった地上デジタルの技術が応用されて、今後、安全、安心に暮らせる社会の実現に寄与するであろうということで申し上げたというふうに私としては理解をしております。
<アナログ停波期日の撤回を改めて要求>
宮本岳志君 デジタル放送という点では、そんな話が出てくるというぐらいですから、国民に分かるはずないんです。
デジタル放送のアナログ放送にない特徴として双方向と言うけれども、いいですか、情報の伝達方式がアナログであろうとデジタルであろうと電波そのものに違いないんですから、テレビ局から家庭のアンテナへと一方向で伝わるものなんです、そんなもの。逆に、家庭からテレビ局に電波が飛んだりはしないんです。双方向といっても、結局、デジタル放送の双方向の各家庭の受像機からテレビ局への情報は電話回線やインターネット回線を使って送るということでしょう。そして、その電話回線やインターネット回線は通信の秘密ということがきちっと掛かったものになりますね。
政府参考人(武智健二君) 御指摘のとおり、地上デジタル放送における双方向機能につきましては、電話回線やインターネット回線を使って情報を送信するということでございまして、通信でありますので、通信の秘密は掛かってくるというふうに理解しております。
宮本岳志君 情報通信のイロハに属することですけれども、通信と放送には全く別な規律が存在をします。放送はだれでも見ることができるし、公正中立であるとか視聴者を欺いてはならないと、規律が必要なんです。一方、通信は典型的には一対一であって、通信の秘密が守られなければならず、第三者がそれを傍受することは許されておりません。
例えば、大臣が言うような病院に急行する救急車の中での患者の状態などという情報は、たとえそれがデジタルテレビ放送と同じ技術によって送られたとしても、みだりに第三者に見られるべきものではなく、純然たる通信に属するものであって、完全な個人情報ですよ。これがテレビ放送のように見られたらとんでもないことになります。
そもそも自分たちでさえよく分からないようなデジタル化のメリットなるものを無責任に振りまいて、しかも国民にきちんと理解してもらえる自信があるというなら、何も性急に打切り期日を決めなくとも、それが国民に広がれば、正に田端副大臣が言うように、自然に買換えが進むはずであるにもかかわらず、結局、二〇一一年アナログ停波のスケジュールにしがみついて再検討しようともしない。結局、デジタルテレビでもうけようという家電業界のことしか頭にないと言わざるを得ません。
破綻した二〇一一年のアナログ停波の期日を白紙に戻し、改めて国民的な議論で無理のない移行計画を作り直すことを求めて、私の質問を終わります。